★糖質制限ダイエットのメリット
カロリー不足の状態ではタンパク質の必要摂取量が増加する。高タンパク高脂質の食品は多いけど、高タンパク高炭水化物の食品はほぼ無いため、糖質制限ダイエットは結果としてタンパク質の摂取量が確保しやすい。それと単品を抜けばいいので、栄養についての知識が無い人でも頭を使わず実行できる。
一食分のご飯(米)を抜くといったレベルでこのダイエットを行うなら、タンパク質の摂取量を確保し、カロリー収支をマイナスにするための手軽な手段としてお薦め出来る。
次に、厳しく糖質を制限したダイエットについて。炭水化物依存症みたいになっていて、少し炭水化物を摂取すると、食欲に歯止めが効かなくなる体質の人にも向いている。それと、体脂肪率一桁でさらに体脂肪を減らしたい人も、極度に低い体脂肪率だと体脂肪の分解がボトルネックになるので、体脂肪分解を促進するテクニックとして有効。
通常からぽっちゃり程度の体脂肪率の人で、炭水化物摂取に対して悪い反応が起きない人は、過度に炭水化物を制限せずそれなりに炭水化物を摂るダイエットにした方が良い。レプチンレベルの低下をなるべく抑えるのにも炭水化物を摂取したほうが良い。
★糖質制限ダイエットに関する誤った認識
糖質は中性脂肪に合成されやすいというのは間違いで、人間においては、糖質から脂質への変換(DNL)は、糖質を過剰摂取してオーバーカロリーにしグリコーゲン貯蔵がだいぶ満たされてから、ようやく活発になる。通常は糖質は脂質よりも優先的に活動エネルギーとして使用され、あまった脂質が体脂肪として蓄えられる。(余剰エネルギーはグリコーゲンか体脂肪の形で蓄えられ、適宜取り出されてエネルギーになるので、普通は脂肪合成がどうとか気にする必要はない)
また、糖質を摂らなければ血糖値が上がらずインスリン分泌による体脂肪合成が起こらないというのも間違い。タンパク質摂取でもインスリンは分泌されるし、そもそも遊離脂肪酸とグリセロールから体脂肪合成を行うのはASPで、インスリンはLPLを活性化し、LPLが血中の脂質から遊離脂肪酸を取り出す役割を果たす。ちなみに脂質だけ摂取しても体脂肪は合成される。
★糖質制限ダイエットを始めるとすぐに体重が減る理由
グリコーゲンとそれに付随する水分が抜ける。それと腎臓の水分吸収に影響するインスリンのレベルの低下と、ケトン体の脱水効果によっても水分が抜ける。体重減少イコール体脂肪減少ではない。
★結局はカロリー収支の問題
減量の基本は、カロリー不足の状態を作り出すこと。糖質制限だろうが何だろうが、カロリー不足分のエネルギーが、体脂肪か除脂肪部分(主に筋肉)の分解燃焼により賄われ、(水分変動を除いての)体重が減っていく。なるべく筋肉を残したかったら、高タンパク質の食事とウェイトトレーニングを行う。ある程度の炭水化物を摂取して筋グリコーゲン補充した方が高負荷のウェイトトレーニングをやりやすい。
★補足
高炭水化物ダイエットに比べて糖質制限ダイエットの方が有利という研究があるかもしれないけど、そういうのを見かけたら、カロリー摂取量とタンパク質摂取量が同じ条件になっているか、食事内容が自己申告制ではなくコントロールされたものか、水分変動のことを考えているか、といった点をチェックしよう。
※ 文章中の糖質と炭水化物の使い分けに特に意味は無いです。世間では「糖質制限」という呼称が一般的なので、糖質制限ダイエットについて言及するときは糖質という表現を使いましたが、糖質と糖分を混同する人がいそうなのと、carbohydrateは炭水化物と訳すのが自然と思うので、なるべく炭水化物という表現を使おうとしたら、中途半端に混じった文章になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿