4/08/2014

AMPkについて

Lyle McDonaldの記事。具体的な活用方法の話ではないが、身体の中で何が起きているのかを知る手がかりになる。あと論文を読む時に理解度が高まる。

★AMPkとは何か
- AMPk(AMP-activated protein kinase)。代謝に大きく関わる。
- 細胞のエネルギー状態が低下すると活性化。基本的に、エネルギーを使うことするとAMPkが活性化される(ATP/ADPレシオが鍵)。
- 筋肉においては、グリコーゲンレベルがAMPkを調整している。高レベルのグリコーゲンはAMPkを非活性化し、低レベルのグリコーゲンはAMPkを活性化しているようだ。
- 細胞でのストレスもAMPkを活性化。代謝毒、グルコース枯渇、虚血、低酸素症、酸化ストレス、高浸透圧ストレス。ジニトロフェノール(DNP)を使わない限り、どれも健康な人には起こらない。
- AMPk活性化に最も関係があるのは、エクササイズと筋肉の収縮。ATP/ADPレシオがシフトする。
- エクササイズは、肝臓と脂肪細胞のAMPkも活性化する。
- AMPkはレプチンやアディポネクチンやグレリンによってもコントロールされる。

★AMPkは何をするのか
- ここでは肝臓、骨格筋、脂肪細胞、脳(特に視床下部)でのAMPkの役割についてフォーカスする。
- 炭水化物については、AMPkの活性化はグリコーゲン貯蔵を抑制し、グルコースの取り込みを増加させる。インスリン感受性にも関わるようだ。
- 脂質について。肝臓において、AMPkの活性化は、脂肪酸とコレステロールの合成を減らす。筋肉細胞において、AMPkの活性化は脂肪酸の酸化を増やす。脂肪細胞において、AMPkの活性化は脂肪酸の合成と脂肪分解の両方を抑制する。
- 細胞のエネルギーレベルが低いと、タンパク質合成は抑制される。AMPkの活性化はこのメカニズムに関わっているようだ。ラットモデルでは、AMPkの活性化は、mTORの調整によるタンパク質合成を抑制する。これは人間では示されてはいないが、一般的な振る舞いとしては、AMPkはタンパク質合成のようなエネルギーコストの高いプロセスを抑制し、エネルギー生産に関わるプロセスを促進する。
- 脳でのAMPkの活性化は食欲を増加させる。
- メカニズムはわからないが、レプチンは筋肉でのAMPkレベルを上昇させ、脳でのAMPkレベルを低下させる。

★まとめると
- 減量時: 細胞のエネルギーレベルが低下し、脂肪燃焼が増加し、インスリン感受性がアップし・・・つまり脂肪減少にとって良いことが起きる。しかしホルモンレベルの変化とAMPk活性化により、空腹になり、タンパク質合成が抑制される。脂肪減少と筋肉増加を同時に行うことが困難であることの大きな理由。
- 運動中はAMPkが活性化し、mTORとタンパク質合成を抑制する。運動後の栄養摂取によるエネルギーレベルの回復がタンパク質合成を促進する。また、ロイシンはmTORを活性化させ、タンパク質合成を促進するので、アミノ酸摂取も大事。(Lyle McDonaldドは、ロイシンによるmTORの活性化は、AMPkによるmTORの抑制をオーバーライドするのだろうか?という疑問を投げかけている)
- 運動前・中の栄養摂取は、AMPkの活性化を抑制するのだろうか。Lyle McDonaldが知る限り研究はされていないけど、論理的に考えればそうなるだろうとのこと。(追記: 運動前・中・後のタンパク質のみの摂取は運動によるAMPkの活性化を抑制しない Protein ingestion does not impair exercise-induced AMPK signalling when in a glycogen-depleted state: implications for train-low compete-high.
- 増量時: AMPkは非活性化し、タンパク質合成は抑制されない。しかし脂肪の酸化は抑制される。筋肉の増加に体脂肪の増加が伴う一つの理由。
- 他にも複数のメカニズムが関わるが、AMPkは脂肪減少と筋肉増加を同時に行うことが困難である理由を説明する。


参考:
AMPK: Master Metabolic Regulator
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/ampk-master-metabolic-regulator.html

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