運動のタイプやトレーニングレベルなどによって、タンパク質の必要量は違ってくると考えられます。ただ、運動量もトレーニングレベルも体組成も人によって違いますし、タンパク質のアミノ酸組成も違います。またタンパク質の必要量を調べる研究の測定精度の問題もあるので、タンパク質の推奨摂取量はおおまかな目安でしか出せません。以下の表は、カロリー収支がマイナスではない場合のタンパク質摂取量の目安です。タンパク質は多めに摂取してもデメリットが小さいので、多めの数字にしています。
持久系競技 | 筋肥大・ストレングス | |
---|---|---|
趣味の運動 | 1.2-1.5g/kg/day | 1.6-2.2g/kg/day |
アスリート | 1.8-2.2g/kg/day | 2.2-3.0g/kg/day |
アスリートは、一日数時間の運動を週に5日以上実施するような競技者を想定しています。また、わずかな運動パフォーマンスの差が成績に大きな影響を及ぼす高いレベルの競技者を想定しています。ボディビルやフィジークの競技者も含みます。
・トレーニングをしない日
基本的には、トレーニングをしない日も同じ量のタンパク質を摂取します。ただ、トレーニングが週一回といった場合は、トレーニング日とその翌日と翌々日のみタンパク質摂取量を上の表の量にし、他の日は体重1kgあたり1g程度でいいかもしれません。
・体脂肪率が高い場合
体脂肪にはタンパク質は必要ないので、男女とも体脂肪率が30%を超えるような場合は、除脂肪体重1kgあたり上記の量のタンパク質を摂取すると良いでしょう。例えば体重80kgで体脂肪率30%だったら、除脂肪体重は80×(1-0.3)=56kgです。2g/kg/dayで計算して、一日にタンパク質を112g摂取します。
・性別による違い
一般的に女性は男性に比べて体脂肪率が高いので、タンパク質の必要量が男性よりも少ないです。摂取量レンジの下限付近にすると良いでしょう。例えば趣味の筋トレだったら、女性は1.6-1.9g/kg/dayにすると良いと思います。
・減量でカロリー収支がマイナスの場合
大まかな目安としては、維持・増量時よりもタンパク質の摂取量を20%程度増やすと良いでしょう。タンパク質には除脂肪体重の減少を抑える効果に加えて、食欲を抑える効果もあります。ここでの減量はカロリー不足が消費カロリーの20%程度の減量を想定しています。例えば消費カロリー2500kcalだったら、摂取カロリー2000kcal、カロリー不足500kcal程度です。明確な関係式が出せるわけではないですが、基本的には消費カロリーに対する摂取カロリーの割合が低くなるほど、つまり急速な減量ほど、タンパク質の摂取量を増やしたほうが良いです。
持久系競技 | 筋肥大・ストレングス | |
---|---|---|
趣味の運動 | 1.4-1.8g/kg/day | 1.9-2.6g/kg/day |
アスリート | 2.2-2.6g/kg/day | 2.6-3.6g/kg/day |
・体脂肪率が極度に低い状態への減量
ボディビルやフィジークのコンテストを目標に減量する場合は、男女とも3.0g/kg/day前後のタンパク質を摂取すると良いでしょう。コンテストに向けての減量をおこなう競技者を対象としたケーススタディ研究がいくつかあるのですが、このくらいのタンパク質を摂取しているケースでは除脂肪体重をある程度維持できています。マラソンランナーなどトップレベルの持久系アスリートのケーススタディ研究も、2.5-3.0g/kg/day程度の摂取で減量がうまくいっているので、非常にレベルの高い持久系アスリートも一般に推奨されるよりも多めに摂取したほうが良いと思います。
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