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10/24/2026

BIG3偏差値の計算機を作った(パワーリフティング基準)






「BIG3で体重の◯倍を挙げたら中級者や上級者」といった基準数値があります。

挙上重量を基準としたものは、個人の才能差が強く影響するため、トレーニングレベルの測定目的としては無意味です。重量ベースでの客観的な指標は、どうやっても決められません。

例えば、華奢な骨格の人と、ラグビーや格闘技などの競技に向いているがっしりした骨格の人では、重量のスタートラインも伸び方も全く違うので、数値による中級者や上級者の判定は出来ないです。


今回は、競技者のレベル測定として考えた場合の話です。これだと客観的な指標は決められます。

最近見つけた論文が、挙上重量をパーセンタイルで表すものです。パーセンタイルは、集団内で何%の位置にいるかを表すもので、50%​が中央値です。母集団データは、openpowerliftingに登録された約10万人分の大会記録です。

Percentile-Based Normative Standards for Strength Assessment Beyond Linear Bodyweight Multipliers in Competitive Powerlifters
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13582683/

なぜパーセンタイルを使っているかと言うと、体重比の挙上重量の数値は、体重が重たい人ほど下がりやすくなり、異なる体重間での比較が難しいからです。


体重比の挙上重量の数値が、体重が重たいほど下がりやすくなる最大の理由は、骨格バランス・筋肉バランスが全く同じと考えた場合、力の出力(≒筋肉の断面積)はサイズの2乗で増加するのに対して、体重は3乗で増加することです。

他にも、デッドリフトは、大柄になるほどボトムでの関節角度が深くなり、ロックアウト時に太ももの太さが邪魔になるといった理由もあります。スモウデッドリフトでの足幅の制約、ベンチプレスでの手幅の制約も影響しますね。

パワーリフティングには、Wilks、DOTS、IPF GL などの、体重を考慮したスコアはあるのですが、重量ベースでの目標といった普段使いでの用途には向かない、3種目のバランスがどうなのかがわからない、集団内での立ち位置がわかりにくいといった欠点があります。

そのため、上の論文では、BIG3挙上重量の階級ごとの相対位置をパーセンタイルで表し、それを競技レベルの基準にすることを提案しています。

ただ、パーセンタイルは日本ではあまり馴染みがないと思うので、日本の受験経験者には馴染みのある「偏差値」でBIG3の強さを表す計算機を作ってみました。


BIG3偏差値計算機の想定される利用方法は、

・パワーリフターとしてはどのくらいのレベルなのかを判定する。

・3種目の得手不得手を判定する。パワーリフティングは、階級ごとに、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトのトータルに占める平均的な割合が変わります。例えば、軽量級はデッドリフトの割合が高いです。各種目の偏差値を比較することで、自分の得手不得手がわかりやすくなります。

・階級を変更する場合に、どのくらい重量を上げれば、もしくは重量ダウンをどの程度に抑えれば、相対的な立ち位置が有利になるのかを判断する。

といったところです。


母集団のデータは、上の論文のData Availabilityのリンク先にあるcsvファイルを使いました。論文と同じ条件でデータを抽出して、男女別・階級ごとに平均値と標準偏差を算出、それを元にブログ掲載用の計算機を作るようにチャッピーに指示して作ってもらいました。


論文にある中級者、上級者の基準は以下のとおりです。正規分布に従うと仮定した場合の偏差値も参考として併記します。

50パーセンタイル(偏差値50):Intermediate(中級)

75パーセンタイル(偏差値56.7):Advanced(上級)

90パーセンタイル(偏差値62.8):Elite(エリート)

99パーセンタイル(偏差値73.3):World Class(世界クラス)


母集団が、重たいバーベルを持ち上げることに特化した怪力集団であるため、競技者でない人が入力するとあまりテンションの上がらない偏差値が出ると思いますが・・・。数値の向上を見て、自分の進歩を確認するという使い方は出来ます。偏差値50でも、普通のジムにいたら異能者です。


ちなみにスクワットとデッドリフト記録の中央値は、5年あたり2.5-7.5kg向上してきているとの論文があるので、時間が経ったら、データを再集計して作り直したほうが良さそうです。

The Evolution of Normative Strength Values in Powerlifting from 2000 to 2024: A Retrospective, Cross-Sectional Analysis 
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41259664/


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