3/23/2016

[書籍] The Muscle and Strength Pyramid(肉体改造のピラミッド)

 


・The Muscle and Strength Nutrition Pyramid
・The Muscle and Strength Training Pyramid


購入はこちらから。栄養とトレーニングについてそれぞれ一冊ずつ。
http://muscleandstrengthpyramids.com/


エビデンスベースでトレーニングと栄養について総合的に書かれていて、優先順位と重み付けも明確にしている。素晴らしい本だと思う。

Lyle McDonaldも推薦(Muscle and Strength Pyramids by Eric Helms – Book Review)。Alan Aragonは序文を書いている。

ピラミッドは、優先順位と重み付けを表している。1が土台となる要素で、より優先順位が高く、より重みも増す。ピラミッドの上の方は、高いレベルを目指すアスリートがさらに上積みするために使うもので、初級者やレクリエーションでトレーニングを行う人にとっては重要度は低い。

栄養
1.エネルギーバランス
2.マクロ栄養素と繊維質
3.ミクロ栄養素と水分補給
4.栄養摂取タイミングと頻度
5.サプリメント

トレーニング
1.継続(Adherence)
2.ボリューム、強度、頻度
3.進歩のペース・プログラムの組み方
3.エクササイズ種目の選択
4.休憩時間
5.挙上テンポ

アスリートでなくても、何が重要ではないか知るのは、リターンの小さいことにリソースを使わないようにするという点で役に立つ。リソース(時間、労力、お金など)は限られているから、リターンの大きい土台に使うと効率良く結果を出せる。フィットネス雑誌の記事にあるようなサプリメントや○○セット法トレーニングなどの些末なことに労力を使ってしまうと、空回りしてしまい効果が出ない。

想定読者は、週4-6回ゴールドジムのようなフリーウェイトを扱えるジムに通い、本気で身体作りを行う、またボディビルのコンテスト出場やパワーリフティングの大会出場を目指すような人。現時点でのレベルは初級者でも良いが、ガッツリやる気のある人向け。あとフォームが身についていて、筋肉にしっかりと負荷をかけられることが前提。ただ、週2-3回のジム通いでそこそこ良い身体になりたいという人にとっても十分に役に立つ内容だと思う。

筋トレやダイエットについてネット検索するとトレーニング面も栄養面も変な記事ばかり出てくるし、メディアなんかも無駄に労力とお金がかかる方法が宣伝されてたりするし、この本ほどコア層向けじゃなくて良いから、ライト層向けのまともで安価な日本語本があれば良いのになと思う。


※2021年9月追記

最近、このページのアクセスがあるので、どうしたのかなと思ったら翻訳本が発売されたようですね。

現時点の評価を追記しておきます。

今読んでも良い内容だと思いますが、2016年時点でこの本がエポックメイキングだったのは、

・エビデンスベースで書かれている。
・トレーニングと栄養に関して広範囲のトピックがまとまっている。
・優先順位がピラミッド型でわかりやすく書かれている。

ことでした。これを1冊(形は2冊ですが)で実現した本はそれまで存在しませんでした。

2021年時点だと、エビデンスについては新たな研究が出てきているトピックもあり、広範囲をカバーする本は他にも出てきています。したがって、本の内容は今見ても良いものだと思いますが、価格もそれなりにしますし、今は他にも選択肢があります。出版元のアスリートボディさんの記事を見ると、内容はエビデンスに合わせてアップデートされていないと思います。

飢餓モード対策:チートデイ vs. リフィード
「これまでにリフィードの効果に特化した研究は行われていませんが、減量中にカロリー消費量が落ちてしまうのを和らげるという狙いはダイエット休みと共通しています。」

→2020年にリフィードの研究が出ています。

関連記事:リフィードの研究

それと、私は海外の文献漁りをLyle McDonaldから入ったので、彼の書いているものを基準にしてしまうのですが、「The Muscle and Strength Pyramid 」は栄養分野についてはそれほど強くないという印象です(トレーニング分野は強いと思います)。ただ、Lyle McDonaldは栄養方面最強で個人的にはとても尊敬していますが、著書は文章が長くて読みづらく、1冊あたりのカバー範囲が狭い(そのぶん異常に深い)ので、マニア以外におすすめするのは気が引けます。


自分の本を宣伝するための長い前フリみたいになってしまいましたが・・・2016年に書いた「この本ほどコア層向けじゃなくて良いから、ライト層向けのまともで安価な日本語本があれば良いのにな」という思いは、2020年に自分で本を書くことで実現しました。目次のところを見てもらえばわかりますが、栄養の項目については「The Muscle and Strength Pyramid 」よりもカバー範囲が広く詳しい内容にしています。リフィードやリーンゲインズの最新研究の結果も踏まえて書いています。

電子書籍「ボディメイクガイド」リリース!

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