4/01/2014

リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた

リフィードは、減量中に24-48時間程度、摂取カロリーを増やす方法です。リフィードは、減量をスムーズに進める目的で筋トレ愛好家の間で広く行われています。

リフィードの効果は、以下の3つがあるとされています。

・代謝低下の抑制

・筋肉の維持・肥大

・メンタル面の息抜き

リフィードは理屈の上では効果がありそうでも、根拠となる研究は短期的なものや部分的なメカニズムに関するものが中心で、実際のところの効果ははっきりしていませんでした。しかし、2020年に筋トレ愛好家にとって喜ばしい研究デザインのリフィードの研究が出てきました。

研究では、「維持カロリーからコンスタントに25%のカロリー不足にするグループ」と、「維持カロリーから週に5日は35%のカロリー不足にして、週に2日は炭水化物中心のリフィードで維持カロリーにするグループ」を比較しました。その結果、リフィードグループのほうが体組成変化の面で良い成果が出ました。コンスタントにカロリー不足にするグループは実験前後で除脂肪体重が減少しましたが、リフィードグループは実験前後で除脂肪体重の変化は有意差なしでした。体脂肪率は両グループとも低下し、その変化はグループ間で有意差なしでした。安静時代謝の低下は、リフィードグループのほうがやや抑えられました。週ベースの摂取カロリーは、両グループとも維持カロリーから25%カットで同じです。

おそらくリフィードは、代謝回復で体脂肪の減少を促進するというよりも、除脂肪体重の維持に有効だと思われます。リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなることが期待されます。

それでは、リフィードのやり方を説明していきます。リフィードではタンパク質と脂質の摂取量は増やさず、炭水化物の摂取を増やします。具体的にはグルコースが必要なので、白米やうどんなどデンプン質の炭水化物を食べます。なぜグルコースが必要なのかというと、筋グリコーゲンを補充することでトレーニングの質を維持しやすくなることや、身体全体の代謝と筋肉の局所的な筋肉合成シグナルの両方でグルコースが有利と思われるためです。高GIの炭水化物食品のほうが筋グリコーゲンがより多く回復することが期待できるので、白米、餅、精白パン、うどん、じゃがいもなどが、リフィードに適しています(オートミールなど消化の遅い炭水化物はリフィードに向いていません。詳しくは、関連記事:リフィードでの筋グリコーゲン回復に適した炭水化物 )。

フルクトースを含む甘いものを食べたい場合は、リフィード開始直後の運動後が良いでしょう。運動後だとスクロース(グルコース+フルクトース:砂糖の主成分)を摂取しても筋グリコーゲンの回復速度が高いです。肝臓と筋肉のグリコーゲン貯蔵がある程度満たされた後は、フルクトースが含まれる糖類は筋グリコーゲンの回復がデンプンに劣るようになります。従って、リフィード後半はデンプン質の炭水化物を食べたほうが良いでしょう。

リフィードをおこなうと、グリコーゲンと水分の増加により体重が一気に増えますが、体脂肪が増えたわけではないので慌てないようにします。身体の大きな男性ではリフィードで体重が2-3kg増えるのも珍しくないですが、体脂肪を1kg増やすのには7000-7500kcalのカロリー超過が必要なことを考えると、短期間にそれほど体脂肪が増えることはありえません。

またリフィードのあと、水分が抜けて見た目がすっきりして皮下脂肪が減ったように見える現象が起きることがあります。コルチゾールレベルが下ることにより水分が抜けるのか、摂取した炭水化物がグリコーゲンとして貯蔵される際に水分を吸い出すのかわかりませんが、リフィードで体脂肪の燃焼が促進されているわけではないでしょう。

体脂肪率が20%以下の男性の減量、体脂肪率が28%以下の女性の減量ではリフィードを入れるのをおすすめします。体脂肪率が低くなればなるほどリフィードは必須になり、リフィードの頻度も上げていったほうが良いと思います。

体脂肪率が高い時の減量は筋肉が減りにくいので、体脂肪率が高い場合にリフィードを入れたほうが良いかはわからないです。生理学的に効果があるかどうかの期待値と、メンタルが何でも食べていいモードになって減量失敗になるリスクを考えると、体脂肪率が高い場合はあまりリフィードを入れないほうが良いかもしれません。その代わりメンタル面での息抜きを目的として、週に1食だけ好きなものを食べても良いという方法にすると良いでしょう。ただしビュッフェで限界まで食べるといったことはやらないようにします。

減量が2ヵ月以内で終わるなら、リフィードを週に1,2日入れるペースで乗り切りたいです。大幅に体脂肪率を下げることを目標とし、減量が2ヵ月以上つづくなら、リフィードと合わせて定期的に1-2週間のダイエット休憩を入れるのがおすすめです。ダイエット休憩については次で説明します。

リフィード日は維持カロリーか、それを上回るくらいの摂取カロリーにすると良いでしょう。炭水化物を多く摂取してカロリー超過にしても、肝臓と筋肉のグリコーゲンが少ない状態では炭水化物はグリコーゲン補充に回されやすいので、すぐに体脂肪は増えないです。週ベースの体重減少ペースを保ちたい場合は、一週間でのカロリー不足量を一定にするために、リフィード日以外の摂取カロリーを減らす必要があります。

<リフィード例(週ベースのカロリーカット25%)>

月曜日~金曜日:維持カロリーから35%カット。例えば維持カロリーが2500kcalなら摂取カロリーを1625kcalにする。

土曜日、日曜日:炭水化物の摂取量を増やして摂取カロリーを2500kcalにする。

 

参考研究:
Effects of short-term carbohydrate or fat overfeeding on energy expenditure and plasma leptin concentrations in healthy female subjects
http://www.nature.com/ijo/journal/v24/n11/full/0801395a.html

High-fat meals reduce 24-h circulating leptin concentrations in women.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10334310?dopt=Abstract&holding=npg

Low-dose leptin reverses skeletal muscle, autonomic, and neuroendocrine adaptations to maintenance of reduced weight.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16322796?dopt=Abstract

Responses of leptin to short-term fasting and refeeding in humans: a link with ketogenesis but not ketones themselves.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8866554?dopt=Abstract&holding=npg

Evidence that glucose metabolism regulates leptin secretion from cultured rat adipocytes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9449624?dopt=Abstract&holding=npg


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