6/14/2024

筋トレへの筋肥大反応が低い人はボリュームを増やすと筋肥大しやすいという研究(ただし高齢者対象の研究)

筋トレへの筋肥大反応には大きな個人差があります。同じトレーニングをしても、ほとんど筋肥大しない人もいれば、大きく筋肥大する人もいます。

現在の科学だと、どういう人が筋肥大反応が良いのか事前に判断することはできませんし、反応が悪い人はどうすれば筋肥大するようになるのかもわかっていません。

今回、トレーニング歴の無い高齢者が対象ですが、筋肥大反応が悪い人はボリュームを増やすと筋肥大効果が高まったという研究が出てきました。

Higher resistance training volume offsets muscle hypertrophy nonresponsiveness in older individuals
https://journals.physiology.org/doi/epdf/10.1152/japplphysiol.00670.2023



<研究内容>
被験者:60歳以上の男女 平均年齢は60代後半 トレーニング歴無し

トレーニング種目:レッグエクステンション

レップ数:最初の2週間が12-15RM 残りの8週間が8-12RM

セット数:片脚が1セット、もう片方の脚が4セット

トレーニング頻度:週2回

トレーニング期間:10週間

食事:普段の食事に加えて朝と夜に20gのホエイプロテインを摂取

筋肥大測定:大腿四頭筋の断面積をMRIで測定

筋力測定:レッグエクステンションの1RM

グループ分け:被験者それぞれの片方の脚が1回のトレーニングで1セット、もう片方の脚が4セット実施(週ベースだと2セットと8セット)。実験終了後に、1セット側の脚の筋肥大反応で、高反応グループと低反応グループに分ける。それから、それぞれのグループで1セット側の脚の筋肥大・筋力変化と4セットの脚の筋肥大・筋力変化を比較する。


<結果>
低反応グループは、1セット側の脚の筋肥大反応は乏しかったが、4セット側の脚はしっかり筋肥大した。低反応グループは全部で51名で、個別の比較では、多くの人が4セットのほうが大幅に筋肥大反応が高く、数名が4セットにしても筋肥大反応はほぼ同じだった。2名だけ4セットのほうが筋肥大反応が低い人がいたが、この2人は1セットの筋肥大反応が高反応グループに振り分けられる寸前くらい良かった。

高反応グループは、1セット側の脚がしっかり筋肥大反応し、4セット側の脚はさらに筋肥大した。高反応グループは全部で34名で、個別の比較を見ると、4セットが1セットの筋肥大反応を下回る人が9名ほどいた。

筋力については、低反応グループのほうが1セット→4セットの差が大きかった。ただ、筋力アップ目的のレップレンジではないし、この実験デザインだと、片方の脚の筋力アップがもう片方の脚にも影響を与えるクロスエデュケーション効果があるので、筋力についてはそこまで参考にならない(筋肥大についてはこの実験デザインは非常に参考になる)。


[筋肥大平均]
低反応1セット+0.9% 低反応4セット+5.5%
高反応1セット+5.4% 高反応4セット+8.0%

[筋力平均]
低反応1セット+6.3% 低反応4セット+13.1%
高反応1セット+8.5% 高反応4セット+12.6%



コメント

低反応グループは、ボリュームを増やすことでしっかり筋肥大反応するようになりました。高反応グループは1セットでしっかり筋肥大し、ボリュームを増やすと平均としてはさらに筋肥大しますが、個人差が大きく、逆に1セットよりも筋肥大しなくなる人もわりといました。

「トレーニング歴の無い高齢者」「週に2セットと8セットという若い人にとっては少ないボリュームでの比較」という条件付きではありますが、筋肥大の反応が乏しい人はトレーニングボリュームを増やすと筋肥大反応が良くなるという結果となっています。若い人も、なかなか筋肥大しない場合はボリュームを増やしてみると良いかもしれません。もちろん、食事や睡眠に気をつけた上での話で、食事と睡眠をないがしろにして高ボリュームのトレーニングをしても逆効果になる可能性が高いです。

低ボリュームで筋肥大反応が良い人は、高ボリュームが逆効果になるリスクがあるので、むやみにボリュームを増やさないほうが良いかもしれません。ただ、高ボリュームでさらに伸びる人もいるんですよね。この選ばれし者が、レベルの高いボディビルダーになるのでしょう。

今後、同じ実験デザインで、被験者を若い人にして週のボリュームをもっと増やした研究が行われることが期待されますね。

0 件のコメント:

コメントを投稿