9/28/2016

プランクのやり方

腰椎を少し曲げ、骨盤を後傾させる。 大腿四頭筋に力を入れて膝をロックし、臀筋に力を入れて骨盤の後傾を維持するとやりやすい。





こうすることで、

・身体が石橋と同じアーチ状になるので、背骨にかかる負荷が分散し腰を傷めにくい。

・腹直筋が短縮した状態になるので腹直筋に力を入れやすい。背骨ニュートラルの状態は腹直筋が伸びているので力を入れにくい。





参考サイト:
Anti-Ab Training
https://www.t-nation.com/training/anti-ab-training

The RKC Plank
https://bretcontreras.com/the-rkc-plank/

9/24/2016

デッドリフトにおける広背筋の重要性


参考サイト

Cueing Lat Activation For a Deadlift, or pretty much anything that needs lats
http://deansomerset.com/cueing-lat-activation-deadlift-pretty-much-anything-needs-lats/

Cueing Lat Activation For a Deadlift, or pretty much anything that needs lats
http://deansomerset.com/the-most-important-low-back-muscle/

The Importance of the Lats in the Deadlift
http://strengtheory.com/lats-in-the-deadlift/


★基礎知識
- 背骨の伸展(extension)は、背中を反らす方向の動き
- 背中の屈曲(flexion)は、背中を丸める方向の動き


★広背筋のデッドリフトへの寄与

大きく分けて2つ

◇胸椎の負荷を減らし上背部の姿勢を保ちやすくする

腕を下半身の方に引き寄せ、肩甲骨を下半身の方向に押し込むことで、荷重点を股関節方向にわずかに移動させ、股関節にかかる曲げモーメントを少し減らし、胸椎にかかる曲げモーメントを大幅に減らすことが出来る。


肩甲骨を下半身の方向に押し込む動き(専門用語だと肩甲骨の下制)を意識しにくい場合は、立った状態で胸を上にクイッと上げる動きをすると良い。同時に頭をやや後ろに動かすとやりやすい。


ちなみに他のトレーニング種目でも、体幹に強い負荷がかかる種目は大体この姿勢で行う。懸垂やローイングもこの姿勢の方が広背筋に刺激が入りやすい。胸を張るのではなくて、胸を上にクイッと。

ではなぜ肩甲骨を下制し、腕を引き寄せると、胸椎の負荷が減るかというと・・・

デッドリフト時の背中は片持ち梁だと考えられる。荷重点はバーベルと上半身の合成重心の真上(バーベルが十分に重ければバーベルの位置と近似)。重力は垂直方向にかかるので、荷重点からの水平距離(モーメントアーム)と、バーベル+上半身の重さ(荷重)の積が曲げモーメントになる。荷重点から離れるほど(デッドリフトの場合は股関節に近づくほど)、曲げモーメントは大きくなる。

strengtheoryの例を使うと、肩甲骨を下制し腕を引き寄せることで荷重点を1インチ股関節に近づけた場合、股関節(重りを持ち上げるのに動かす関節)は荷重点から遠いので、例えば水平距離が20インチ→19インチになると曲げモーメントは5%減る。一方で、胸椎は荷重点から近いので例えば5インチ→4インチになると曲げモーメントは20%も減る。上の図では赤の矢印がbeforeで、緑の矢印が1インチ股関節に近づけたafter。

このため上背部の姿勢をキープしやすく、また股関節が重りに打ち勝つのに必要な力も少しだが小さくなるので、デッドリフトを効率的に行うことができる。

このメカニズムから、バーよりも肩が前に出て、腕が鉛直にならない方がデッドリフトは効率的になるのだが、バーベルが重たいとこの腕の角度をキープするのに広背筋はかなりの力が必要になる。従って高重量のデッドリフトでは腕はほぼ鉛直になる。

トップレベルになると上背部を意図的に曲げるフォームになることもあるみたいで、これも力学的にどう有利になるのか解説されているけど、技術的な難しさと怪我のリスクを考えると、趣味でトレーニングする人はあまり真似しない方が良いと思う。


◇腰椎の伸展をサポートし下背部の姿勢を保つ

広背筋は背骨の中の方から下の方や肩甲骨にくっついていて、もう片方は上腕骨にくっついている。これだけ大きい筋肉なので、下背部のS字姿勢を保つのに重要な働きをする。下の画像はWikipediaから。




★広背筋の収縮を意識する方法

背中を壁にベタッとつけ、息を吐きながら手のひらで壁を強く押す。下背部のアーチを作らずベタッと壁につける。


ストレートアームのプルダウンの動き



★広背筋に効かせやすいトレーニング

パラレルグリップでのプルダウン。股関節を伸ばした状態で、背中を伸ばし、臀筋(尻)に力をいれながらやると良い。座った状態(股関節が曲がった状態)でのラットプルダウンは広背筋を使うのが難しい。

個人的に広背筋に負荷をかけやすい種目は、デッドリフトとナローパラレルグリップでの懸垂なので、これはよくわかる。



☆コメント

Greg Nuckols(strengtheory)が言うには、「広背筋は(脊柱起立筋と違って)複数の椎骨にまたがってつながっているわけではないから、脊柱の伸展方向の力はほぼなく、また広背筋は上部胸椎にはつながっていないから胸椎の伸展には関わらない」とのことだけど・・・

私が考えるには、下背部は腰椎がS字を維持している限りは、広背筋の収縮で下背部には伸展方向の力が働き、バーベルによる曲げモーメントに抵抗するのでは。



ただし下背部が丸まると伸展の力は働かなくなり、逆にやや屈曲方向の力が働くのでは。広背筋がストレッチされて力を入れにくいが、水泳のスタートのときのように背中を丸めて広背筋に力を入れてみるとそうなると思う。

自分で背中を丸めたり伸ばしたりした状態で広背筋に力を入れて試してみたけど、たぶんこれで合ってるかと。脊椎がS字のときは広背筋の収縮で下背部を面でサポートできる感じ。脊柱起立筋だけだと線でサポートする感じになる。

なのでDean Somersetの言うとおり、広背筋は下背部に伸展方向の力を加え下背部の姿勢を保つのに非常に重要な働きをすると思う。

上背部は、肩甲骨を下制することで鎖骨を引っ張り胸椎の伸展を保つのに寄与するのではないだろうか。ただこの力は弱いかも。モーメントアーム短縮による曲げモーメントの削減の方が大きそう。

9/17/2016

女性の糖質制限

てんかん患者の治療にケトジェニックダイエット(厳格な糖質制限食)が使われていて、てんかん患者を対象とした研究が結構ある。どれも1日の炭水化物摂取量が100gを大幅に下回る食生活にしている。

個人差はあるがケトジェニックダイエットはてんかんの発作の抑制に効果的なのだけど、副作用がいくつかあって、これは疾患の無い人がケトジェニックダイエットを行った場合にも起こると思われる。特に女性は高い確率で月経異常になるので注意が必要。


◇The Ketogenic Diet: Adolescents Can Do It, Too
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1528-1157.2003.57002.x/full

被験者:てんかん患者の思春期の男女。開始時点の平均年齢は約14歳。

45%(9名)の女性に月経異常が起こった。うち6名が無月経、3名が思春期の遅れ。9名のうち4名が体重減少(残り5名は体重減少していない)。1名は月経を起こすためにホルモン治療を受けた。8名はケトジェニックダイエットの終了後は月経は正常に戻った。1名はケトジェニックダイエット終了後に月経過多になった。


◇The Ketogenic Diet for Intractable  Epilepsy in Adults: Preliminary Results
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1157.1999.tb01589.x/pdf

被験者:男性2名 女性9名。年齢19-45歳。

女性9名全員が月経異常になった。男女11名中5名が体重減少したが、カロリーを増やすことでこれに対処した(それ以降は体重減少無し)。ケトジェニックダイエットの終了後は全員が月経は正常に戻った。


◇Long-term use of the ketogenic diet in the treatment of epilepsy
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1469-8749.2006.tb01269.x/pdf

ケトジェニックダイエットは、他には便秘や骨が脆くなることや腎結石になりやすいといった副作用がある。



★コメント
女性は体重を維持するだけのカロリーを摂取していても、厳格な糖質制限食を行うと非常に高い確率で月経異常になる。

厳格な糖質制限食では、身体は飢餓時に発動する緊急システムを使うことになる(詳しくは関連記事の[書籍] The Ketogenic Diet を参考)。健康の維持にはある程度のストレスが必要なので、たまにケトジェニックダイエットやファスティングをするのは健康に良いかもしれない。また極度に低い体脂肪率にするために、炭水化物の摂取をサイクルさせ一時的にケトーシスを起こすダイエットは、数ヶ月といった短い間ならそれほど問題にはならないだろう。だけど飢餓時の緊急システムをずっと使い続けるのは、健康に良いとは思えない。

個人的には、厳格な糖質制限食は、特定の疾患を持つ人以外には勧めません。体重を維持するだけのカロリーを摂取する場合でもそうです。最低でも1日100-150gの炭水化物を摂取した方が良い。

1日100-150gの炭水化物の摂取を糖質制限と呼ぶ人も見かけるけど、例えば1日1500kcalのダイエットをするとして、炭水化物125g(500kcal)、タンパク質100g(400kcal)、残りの600kcalを脂質で摂取するとしたら、これは糖質制限ではなくて単なるバランス型ダイエットになる。

炭水化物でも脂質でも摂り過ぎて体内で余剰が出れば、健康に害を及ぼす。バランスの取れた食生活をして、適度に運動をするのが最も健康に良いだろう。

糖質制限は、頭を使わずに摂取カロリーを抑えつつタンパク質の摂取量を確保できるので、その点は優れていると思う。ダイエットで重要なのは摂取カロリーが消費カロリーを下回るようにし、タンパク質を十分に摂ること。でも糖質制限で痩せると考える人は、体重の増減のメカニズムを間違って理解するケースが大半だろうから(糖質でインスリンが出るから太る云々)、壁にぶつかるとどうしようもなくなる。またダイエットの際はウェイトトレーニングを行うと筋肉を維持増強できるので、ウェイトトレーニングは出来るならやったほうが良い。ウェイトトレーニングを行うには炭水化物を摂取した方が楽だし効果的。

減量の効果の観点からは、厳格な糖質制限食は男性なら体脂肪率10%程度、女性なら17%程度を下回ってさらに減量したい場合には意味があると思うけど、それ以上の体脂肪率の人がやってもバランス型ダイエットに比べて効果的かというと恐らく意味がない。



関連記事:
[書籍] The Ketogenic Diet

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

9/14/2016

健康な骨と心臓血管のための食生活ガイドライン

Nutritional strategies for skeletal and cardiovascular health: hard bones, soft arteries, rather than vice versa
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4809188/

2016年の論文。先にまとめを書いて、その後に詳しく書いていきます。

★先にまとめ
カルシウムはサプリメントよりも食事から摂取する。特に骨を含む食品を多く食べると良い。骨を含む食品とは、例えばイワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など。一般的なカルシウムサプリメントは心臓血管系に悪影響が出る可能性がある。

乳製品もカルシウム摂取に良いが、牛乳の飲み過ぎは乳糖不耐症やガラクトースの過剰摂取による悪影響の可能性があるので、牛乳の飲み過ぎは避け、チーズやヨーグルトを優先的に食べると良い。

十分な量の動物性タンパク質を摂取し、1日にカルシウム約1000mgを摂取することを目指す。カルシウム摂取量は多すぎても健康にネガティブな影響がある。

果物と野菜の摂取を増やす。体内システムをアルカリ化し骨の健康を保つ効果が期待される。またナトリウムの摂取量が多く、カリウムの摂取量が少ないと、心臓血管系の疾患リスクが上がるので、この面でも果物や野菜を積極的に食べるのは効果的。種子類や豆類も良いだろう。

ビタミンDも重要。日光にあたるか食品やサプリメントで摂取する。

ビタミンK1・K2も骨と血管の健康に良いと考えられる。色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品にビタミンKが豊富に含まれるので、これらの食べ物の摂取を増やすと良いだろう。


★骨と心臓血管の疾患
- 50歳以降、閉経後の女性は年に0.7-2%の骨量が減少し、男性は0.5-0.7%の骨量が減少する。45歳から75歳の間に、平均で女性は30%の骨量を失い、男性は15%を失う。
- 骨密度の低下と心臓血管系の疾患リスクの上昇は強く相関している。例えば骨粗相症の人は冠動脈疾患のリスクが高く、逆もまた然り。


★牛乳をカルシウムの主な摂取源とする場合のリスク
- 乳糖不耐症の人はあまり乳糖を摂取できない。
- 牛乳の摂取量がいくつかの疾患、具体的には白内障や卵巣がん、前立腺がん、パーキンソン病、タイプ1糖尿病と相関することが疫学調査で示されることがある。
- また乳糖は体内でグルコースとガラクトースに分解され、ガラクトースが炎症と酸化を増加させるという研究もある。
- 安全を期するなら、牛乳をたくさん飲んでカルシウムを摂取しようとするのは避け、乳製品はヨーグルトやチーズを主に食べるのが良いだろう


★ベジタリアン食の骨への影響
- 多くの植物や穀物や豆類に含まれるシュウ酸やフィチン酸がカルシウムの吸収を阻害する。
- ヴィーガンは骨折リスクが高いことがいくつかの研究で示されている。カルシウムの摂取量が少ないことと、吸収率が低いことが影響していると考えられる。


★カリウムとナトリウム
- 植物や加工度が低い食品にはカリウムが多く含まれている傾向がある。加工度の高い食品にはナトリウムが多く含まれている傾向がある。
- ナトリウムを多く摂取すると心臓血管系の疾患のリスクが上がる。
- 心臓血管を健康に保つには、野菜や果物や豆類やナッツなどカリウムの豊富な食品を多く食べ、味の濃い加工度が高い食品は控えめにするのが良い。


★ビタミンK
- 骨の強度を増すことで、骨を健康にするのに役立つと考えられている。
- 血管の石灰化は心臓血管疾患の予測因子。ビタミンKの摂取で血管の石灰化を防ぐことができると考えられる。
- ビタミンKは、色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品に多く含まれている。


★カルシウムサプリメントの問題点
- 一般的なカルシウムサプリメントは、炭酸カルシウムやクエン酸カルシウム。リン酸塩の吸収を阻害することで、骨が脆くなるのを防ぐと考えられるが、これまでの研究だと骨折リスクの低下について強いエビデンスが出ているわけではない。
- カルシウムサプリメントの摂取は心筋梗塞リスクと相関すると報告する研究もある。
- 血清カルシウム濃度の上昇は、頸動脈のプラークの厚み、動脈と大動脈の石灰化、そして心筋梗塞の発症と相関するという研究がある。500-1000mgのカルシウムサプリメントの摂取後に血清カルシウム濃度が一時的に上昇することが観察されている。
- 対照的に、食事からカルシウムを摂取した場合のカルシウム濃度の上昇はずっと小さい。
- カルシウムサプリメントと心臓血管疾患を結びつける他のメカニズムとしては、冠動脈の石灰化、血管拡張の阻害、動脈の硬化の増大、血液凝固の亢進。


★骨を食べる利点
- 骨に含まれるカルシウムはカルシウム・ハイドロキシアパタイトで、非常に効果的に骨を形成する。
- またカルシウムとともにマグネシウム、リン、ストロンチウム、亜鉛、鉄、銅、コラーゲン、アミノグリカン、オステオカルシンなどを摂取でき、頑強な骨の形成をサポートする。
- イワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など動物の骨を積極的に食べ、カルシウムを摂取すると良いだろう。
- サプリメントで摂取するなら、一般的な水溶性のカルシウム塩ではなくて、ハイドロキシアパタイトのが良いだろう。カルシウム・ハイドロキシアパタイトとビタミンDの投与で骨の厚みが大きく増したという研究がある。


☆コメント
一般的なカルシウムサプリメントが骨を強くするか微妙な感じで、心臓血管系の疾患リスクを上げるネガティブな効果があるというのが新たな発見だった。栄養なんてサプリで摂ればいいだろうという人間の浅知恵を嘲笑うかのような人体のメカニズム。こういう例はよくあって、たいていは健康のためには肉や魚や野菜や果物や豆類や種子類や乳製品などをバランスよく食べ、加工度の高い食品を食べ過ぎず、適度に運動しましょうという常識的で平凡なガイドラインになる。食物繊維やフィトケミカルなどの効果がわかってきたのも最近だし、今後も同じようにホールフードに含まれる栄養について新たな発見があることでしょう。長期的な健康を考えるなら、食事に対してこのようなアプローチ方法は危険だと思う(栄養失調よりはマシだが)。

ヨーグルトなら牛乳の飲み過ぎによるデメリットが無いみたいに書かれているけど・・・ヨーグルトは乳糖がだいぶ残っている。まあ牛乳をがぶ飲みするのは簡単でも、ヨーグルトを大量摂取するのはかなり頑張らないと難しいので、ヨーグルトを優先的に食べればガラクトースの過剰摂取は避けられると思う。牛乳も毎日1リットルとか飲まない限りは問題ないでしょう。こういう研究を知ると、特定の食品を少しでも食べると身体に毒になる、という考え方をしてしまう人がいるけど、そういうのは病的になるので止めたほうが良いでしょう。チーズについては、カルシウムは豊富だけどカロリーと塩分の摂り過ぎに注意が必要。カッテージチーズは脂質少ないけどカルシウムも少ない。

骨の摂取には、骨ごと食べられる魚の缶詰が便利だと思う。イワシや鮭や鯖の缶詰。安いし、オメガ3脂肪酸も豊富に含まれるし、タンパク質も摂取できる。すばらしい栄養価とコストパフォーマンス。小魚も良いと思う。

それとウェイトトレーニングが骨密度を高めるのはよく知られているので、骨の健康のためにはウェイトトレーニングも行うとなお良い。心臓血管系にはたしか有酸素運動が効果的(うろ覚え)。



関連記事:
カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響

高タンパク食の健康への影響(骨への影響について記述あり)

9/08/2016

筋肥大トレのピリオダイゼーション

前回の記事(プラトー打破とピリオダイゼーション)の続き。

筋肥大目的のトレーニングにピリオダイゼーションを取り入れるメリットを書いていきます。


★同じ内容のトレーニングを続けるデメリット
種目やレップレンジが同じトレーニングを続けると・・・
- メンタル面: 飽きる。意欲的にトレーニングに取り組めるかどうかは、トレーニングの効果に影響する。
- フィジカル面: レップレンジごとに筋肉に入る刺激と適応する組織が変わってくると考えられるので、筋肥大を最大化したいなら、低レップ(1-5レップ)も中レップ(6-12レップ)も高レップ(15レップ以上)もやった方が良い。


★レップレンジへの身体適応
筋肥大をもたらす主な三つの刺激は、
- メカニカルテンション
- 代謝ストレス
- ダメージ

メカニカルテンションは低レップと中レップで良い刺激が入る。代謝ストレスは中レップと高レップで良い刺激が入る。

ダメージはエキセントリック動作でよく起こるとされてる。特に不慣れな動作で起こりやすい。ダメージにフォーカスする場合は、コンセントリックの1RM超えの負荷をかけてエキセントリック動作をやると効くと思われるが、負荷が大きいので長期間続けられるトレーニングではなく、リターンがどれだけあるかもわからない。個人的には、通常の挙げて下ろすトレーニングでエキセントリック動作を丁寧にやれば十分だと思う。

筋肥大の要素は、
- 筋原線維の肥大: 収縮して力を発揮する組織が太くなる。
- 筋形質の肥大: 毛細血管やミトコンドリアやグリコーゲン貯蔵量などの増加。高レップで筋形質の肥大が起こりやすいだろう。


★トレーニングへのフィードバック効果
高レップで代謝ストレスへの耐性を上げる事で、中レップでこなせるレップ数が上がる。また低レップで高強度トレに慣れることで、中レップでより強度の高いトレーニングを行える。従って、低レップも高レップもやることで、より質の高いトレーニングをこなすことが出来る。


★レップレンジ毎のトレーニング方法
- 低レップはコンパウンド推奨。アイソレートの低レップは怪我のリスクが高い。
- 中レップはコンパウンドでもアイソレートでも良い。
- 高レップはアイソレート推奨。コンパウンドの高レップは心肺機能やスタビライザーがボトルネックになりメインターゲットとなる大筋群を追い込みにくい。

一回のセッション中のトレーニングの順番は、低レップ→中レップ→高レップにする。


★筋肥大関連の身体能力のピラミッド
ストレングス(筋力)と筋肥大(筋量)とワークキャパシティはピラミッドの関係になっている。
土台がワークキャパシティ。ワークキャパシティとは、トレーニングセッションでどれだけトレーニングをこなせるか、次のトレーニングセッションまでにどれ だけ回復できるか。身体の適応はこなせるトレーニングの質と量が上限になる。そして回復が追いつかないと継続的にトレーニングをこなせない。

回復力はワークキャパシティの拡大で向上するが、栄養と睡眠を十分に確保することも重要。またトレーニング以外のストレス、例えば仕事やプライベートなどのストレスもワークキャパシティに影響する。ストレスがキツイときはワークキャパシティが縮小していると考え、トレーニングを全体的に軽くしたり、特定の筋肉や種目にター ゲットを絞って他は維持程度に軽くトレーニングし、トータルのトレーニング量を抑えた方が良いだろう。

トレーニングへの適応として筋肥大が起こる。基本的には、筋肉が太いほど強い力を出せる。

神経系とフォームの効率性を高めることで、太くした筋肉から強い力を引き出せる。神経系の適応とフォーム改善が上限に達したら、より強い力を発揮するにはより筋肥大しないといけない。


★筋肥大トレーニングのイメージ化

筋肥大トレーニングの内容を台形のイメージで考える。横幅がボリュームで、縦方向は上が高強度トレーニング、下が低強度トレーニング。

例えば中レップはバランス型なのでこのような台形。


低レップはこんな形





トレーニングを続けると、ワークキャパシティと筋肥大とストレングスがトレーニング内容に適応する。


初心者は中レップのみのトレーニングでも良いだろう。これで問題なく伸びていくし、この段階ではフォームを身につけることが最も重要なので、中レップが向いている。

5×5(5セット×5レップ)のようなボリュームが少ない低レップトレーニングは、ある程度続けると伸び悩む。



そうしたら、中レップと高レップを中心としボリュームを増やしたトレーニング内容にすると良いだろう。こうすることでワークキャパシティと筋肥大の土台を大きくすることが出来る。


前述したように筋肥大目的のトレーニングでは、全てのレップレンジのトレーニングを行うのが良いと考えられるが、長期的に均した時に中レップのトレーニングボリュームが最も多くなるのが良いだろう。中レップはメカニカルテンションと代謝ストレスのバランスが良く、怪我のリスクが低く、疲労も溜まりにくい。


★ピリオダイゼーションの例
ある程度トレーニングに慣れてきたら、期間を分けて特定のレップレンジにフォーカスすると良いだろう。

数ヶ月を一区切り、1-3週間を各レンジにフォーカスしたトレーニングを行う。

例えば、各週のトレーニングボリュームの振り分けを以下のようにする。
1週目: 中レップ4割、高レップ6割
2週目: 低レップ2割、中レップ6割、高レップ2割
3週目: 低レップ4割、中レップ4割、高レップ2割
4週目: デロード

トレーニングの強度とボリュームを下げるデロードの週を定期的に入れると良い。例えば3週ハードトレーニング続けたら1週デロード。デロードは疲れを抜いて体力を回復させる以外にも、トレーニングへの感受性を回復させる効果があるとされている。

各部位を週に複数回トレーニングするなら、トレーニング日ごとにレップレンジを変えるDUP(Daily Undulating Periodization )という方法もある。具体例は以下の記事で紹介した研究が参考になる。

関連記事:レップ数を変化させるトレーニングの筋肥大効果


その他関連記事:
筋肥大トレの変数調整

筋肥大のメカニズム


8/28/2016

プラトー打破とピリオダイゼーション


★トレーニングへの適応モデル
(1) 下図の左側のバケツが運動能力を表す。運動能力には様々な面がある。ストレングス、パワー、スピード、アジリティ、筋持久力、全身持久力など。その他にもそのスポーツ独自のスキル、チームプレイのスキルなど。

右側のジョウロがワークキャパシティを表す。ワークキャパシティとは、トレーニングセッションでどれだけトレーニングをこなせるか、次のトレーニングセッションまでにどれだけ回復できるか。ジョウロの中の水が体力で、図では体力が十分に満ちている状態。

(2) 運動能力のバケツを満たすだけのトレーニングを継続的に実施する。バケツに水(体力)を注ぎ込むイメージ。

(3) 運動能力が向上する。バケツのサイズが大きくなるイメージ。

(4) さらに向上し続けるには、強度とボリュームを上げたトレーニングを実施する必要がある。これにはより多くの体力を必要とする。

レジスタンストレーニングの例だと、スクワット3セット×8レップで向上しなくなったら(重量が伸びなくなったら)、スクワット5セット×8レップにしたり、レッグプレス2セット×8レップを加えたりする。順調に向上が続いている間は、ボリュームは無理に増やさない方が良い。その時点の運動能力の向上に必要な水準を大幅に越えるボリュームをこなしても、次のトレーニングセッションまでに体力が回復せず、長期的なトレーニング効果が低下する。





★プラトー
ある程度運動能力が向上すると、ワークキャパシティが足りなくなり、さらなる向上が難しくなる。この運動能力の向上が停滞した状態をプラトーと言う。






◇◇◇プラトーを打ち破るには◇◇◇


★運動能力の分割
運動能力を分割することで、それぞれの運動能力の向上にワークキャパシティが足りるようになる。一般的なスポーツ、例えばサッカーだったら、最初はゲームをプレイし続けることで、サッカーに必要な運動能力はある程度は向上する。しかしそのままでは上達が止まるので、持久力やアジリティなどの基礎能力を向上させる練習、パスやドリブルやシュートなどボールを扱うスキルを向上させる練習、チームプレイのスキルを向上させる練習などに分けて、それぞれの運動能力を向上させていく。(スポーツでは分割して反復練習した方がスキルの習得が容易という理由もある)

レジスタンストレーニングの例だと、最初は毎回のトレーニングセッションでBIG3+αを行い全身をトレーニングしていたのを、例えば上半身と下半身に分割して別の日にトレーニングする。そうすることで、各部位の強度とボリュームを上げることができ、向上を続けることが出来る。






★期間を分けて各運動能力を強化
数週間~数ヶ月の期間に分けて、それぞれの運動能力を集中的に強化していく。強化対象ではない運動能力は、何もしないと衰えていくので、維持のためのトレーニングを並行して行う。運動能力の維持に必要なトレーニングは、向上に必要な量よりもずっと少なくて済む。スポーツでは一般的には、土台となる基礎体力から始めて、基礎スキル、高度なスキル、コンディションを整えて試合に臨む、といった順番になる。

レジスタンストレーニングの例だと、中レップ(6-12レップ)のトレーニングを高ボリュームで行って筋肥大を目指す期間と、低レップ(1-5レップ)のトレーニングを行いストレングスの向上を目指す期間に分ける。また体力や時間の制約で全身の筋肉を同時に成長させるのが難しい状況では、特定の部位を集中的に強化し、他の部位は維持を目的として軽くトレーニングする方法もある。





★ワークキャパシティの拡大
プラトー打破の手段としては、運動能力を分割する以外にも、ワークキャパシティを大きくするというアプローチもある。運動能力を細かく分割しすぎても、各運動能力のトレーニング頻度が下がりトレーニング効果を得られなくなるので、いずれにせよ継続的な向上のためにはワークキャパシティを大きくする必要がある。ワークキャパシティを大きくするには、一般的に低強度・高ボリュームのトレーニングを行う。

レジスタンストレーニングでは、中レップと高レップ(15レップ以上)のトレーニングを多く行ったり、有酸素運動を行うことでワークキャパシティは大きくなる。低レップ中心のトレーニングをしている人は、プラトーが訪れたらワークキャパシティの拡大を意識すると良い。



★トレーニングの強弱
運動能力が向上するにつれ、さらなる向上にはよりハードなトレーニングが必要になる。しかしハードなトレーニングを連続すると体力の回復が追いつかなくなり、運動能力を向上させられるだけのトレーニングが行えなくなる(下図(3))。これを避けるために、トレーニングの強度とボリュームを下げる期間を挟んだり、休息を入れたりする。例えば、2週間はハードにトレーニングを行い、1週間は軽いトレーニングを行う、または一週間のうちでハードにトレーニングする日と軽くトレーニングする日を設ける。

体力を回復させずにハードトレーニングを続けると、そのトレーニングは体感ではハードだが実際には運動能力を向上させるほどハードではないので、停滞が続くことになる。体感でハードなトレーニングを行えているかどうかではなくて、運動能力のバケツを満たすだけのトレーニングを行えているかを考える必要がある。






関連記事:
筋肥大トレのピリオダイゼーション

8/20/2016

増量と減量の移行期

増量から減量に移行するときも、減量から増量に移行するときも、すぐに切り替えるのではなくて2-4週間の移行期を入れると上手くいきやすい。

元ネタ
 ↓
The Transition Phase Between Dieting and Gaining
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/transition-phase-between-dieting-gaining.html/


★増量から減量への移行
・目的
- ハードなトレーニングを止めた後も、増量期のトレーニング効果はある程度は続いているのでそれを回収する。
- 有酸素運動など減量期に行うトレーニングに慣れておく。

・期間
- 2-4週間

・食事
- 維持カロリーにする。
- タンパク質摂取量を少し増やす。ここでは体脂肪率15%以下の男性で除脂肪体重1ポンドあたり1.2gが推奨されている。
- 炭水化物と脂質はほどほどに摂取。

・トレーニング
- 高レップトレや有酸素運動など、減量期に取り入れるトレーニングに慣れておく。
- 高強度トレ(低中レップ)のボリュームを減らして疲労を抜く。減量期は回復力が弱まるので疲労を抜いておいたほうが良い。

移行期の後は、摂取カロリーを減らせばそのまま減量期が始まる。


★減量から増量への移行
・目的
- 減量により代謝が低下しているので、いきなりオーバーカロリーにすると体脂肪が増えやすい。
- 維持カロリーにし体脂肪を増やさないようにしつつ、内分泌系を回復させる。内分泌系が回復してくると代謝も戻ってきて消費カロリーも上昇していく。

・期間
- 2-4週間

・食事
- 維持カロリー。ただし減量前よりも消費カロリーは低下しているので気をつけること。体重から想定される消費カロリーに0.9を掛けた摂取カロリーにするか、減量中のカロリーから徐々に摂取カロリーを増やしていく。体脂肪が増えない限りは、摂取カロリーを少しずつ増やしていく。
- 最初の数日間はグリコーゲンと水分が蓄えられることで一気に体重が増えるが、体脂肪が増えているわけではないので焦らないように。体脂肪を1kg増やすのには7500kcal程度のカロリー超過が必要。どか食いしない限りは、短期間にそんなにカロリー超過しない。
- タンパク質の摂取量について。維持カロリーでは身体が必要とするタンパク質摂取量は減るが、タンパク質摂取量を多めにすることで食欲の爆発を抑えやすくなる。減量終了後に摂取カロリーを増やすときは食欲が爆発しやすく、コントロールを失ってどか食いすると一気に体脂肪が増えてしまう。減量後の移行期は減量中と同程度のタンパク質摂取量にするのが推奨される。
- 炭水化物は最低でも120-150gは摂取すること。レプチンと甲状腺ホルモンの回復のため。
- 体脂肪が蓄えられやすくなっているので、脂質は少なめ。総カロリーの20-25%程度が目安。

・トレーニング
- 減量中にHITをやっていた場合は、回復のために止める。高レップトレも無くしても良い。
- 有酸素運動を減らす。ただ有酸素運動をある程度は続けておくと、食欲のコントロールを失った場合の摂取カロリー増加を相殺できる。
- 低中レップトレのボリュームを徐々に増やしていく。強度(重量)は下げても良い。維持カロリーに戻しているので、強度を下げても筋肉は減りにくい。強度を下げることで疲労を抜き、増量期でのハードトレーニングに備える。移行期の終盤に向けて再び強度を上げていく。

8/13/2016

増量の考え方

★増量の基本
摂取カロリー>消費カロリー にする。カロリーの余剰分が体重増加になる。体重増加は、除脂肪体重の増加と体脂肪の増加によって起こる。


★増量時の消費カロリー増加の要素
・トレーニング量
多くトレーニングをすればそれだけ多くカロリーを消費する。それまで特に運動習慣が無く新たにトレーニングを開始する人は、トレーニングで増える消費カロリー分を食べる必要がある。

・筋肉合成
初心者ほどカロリーが必要。適応しないといけない組織が多いし、筋肉が増えるスピードが速い。

・カロリー超過による無駄消費
摂取カロリーを増やすと消費カロリーも増える。研究では1000kcal超過で、平均で500kcal程度の消費カロリー増加が見られた。まず食事誘発性熱産生で5-10%くらいが消える。基礎代謝も少し増える。あとの大部分はNEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)による無駄消費だけど、これがかなり個人差がある。NEATで無駄消費しやすい体質の人が体重を増やすには、より多くのカロリーを摂取する必要があるだろう。


★初心者
筋肉量が少なく体脂肪が多い初心者の場合は、筋肉増加と体脂肪減少を同時に行える。トレーニング開始前と同じかやや多めのカロリー摂取にすると良い。体脂肪率が低い初心者が本格的にトレーニングを開始する場合は、カロリー摂取を1日あたり1000kcal以上増やす必要があるだろう。


★中級者以降
摂取カロリーを維持カロリーから300-1000kcal程度増やすと良いだろう。上級者になるほど筋肉の増加ペースが下がるので、カロリー超過も少なくする必要がある。


★マクロ栄養素
ボディメイク目的の筋トレのみ行うのなら、タンパク質は一日に体重1kgあたり2gで十分。カロリー超過は炭水化物と脂質の摂取をを増やすことで行う。

ハードな筋トレを行うには炭水化物を摂取してグリコーゲンを蓄えておく必要があるので、炭水化物を十分に摂取する。また適切なホルモンレベルを保つのにある程度の脂質が必要なので、脂質もある程度は摂取しないといけない。肉や魚や卵や乳製品といった高たんぱく質食品は脂質が付随するものが多いので、これらを食べていれば脂質は十分に摂取できているはず。

グリコーゲン貯蔵を満たし力の入ったトレーニングが行えているなら、あとは炭水化物と脂質の割合は適当で良いが、一般的には炭水化物多めの方がやりやすいと思う。カロリーを足す時の計算も楽。例えば米1合で約500Kcal、パスタ乾麺100gで400kcal弱。


★トレーニングを行わない日にもカロリー超過すべきか
トレーニングの翌日も筋合成は続くし、EPOC(Excess post-exercise oxygen consumption)により消費カロリーも増加している。週に3日以上トレーニングを行うなら、トレーニングを行わない日もカロリー超過した方が良い。トレーニングを行う日から少し減らす程度で良いだろう。


★体重増加ペースの目安
筋肉の増加するペースについて、Lyle McDonaldやAlan AragonやEric Helmsの出している数字を参考にすると、

一ヶ月あたりの筋肉増加ペース
初心者: 体重の1.0-1.5%
中級者: 体重の0.5-1.0%
上級者: 体重の0-0.5%

なるべく速く筋肉を増やすには、体脂肪もある程度は増える覚悟でカロリーを増やす必要がある。その場合はこの筋肉増加ペースを1.5~2倍したペースで体重が増えると良いだろう。体脂肪をなるべくつけないようにするにはゆっくり増量した方が良いが、その場合の筋肥大速度はポテンシャルよりも低くなる。

これらの数字は、週に3日以上のトレーニング日を設け、コンパウンド種目主体で全身を本格的にトレーニングする人の場合。身体の一部分しかトレーニングしなかったりトレーニングボリュームが少なかったりする場合は、このペースで体重を増やすと体脂肪がつきすぎる。

同程度のトレーニング歴であっても、筋肥大速度には個人差がある。自分の身体の変化とトレーニング重量の伸びを観察しながら調整していくのが良い。体重増加ペースが速過ぎると、体重増加の大部分が体脂肪増加によるものになってしまう。悪くとも、除脂肪体重と体脂肪が1:1のペースで増えていくようにしたい。


★ウェストでの判断
個人的には男性は一ヶ月あたりのウェスト増加が1cm以内を目安にするのが良いと思う。男性はウェストに体脂肪率が如実に表れる。ウェストが増えないで体重がどんどん増えていくならそれがベストだけど、体重が増えないようだったら摂取カロリーを増やしてウェストを増加させる。

体重とウェストは毎日同じコンディションで測定する。起床して排尿を済ませた後が一般的だろう。過去1週間の平均値で増減を判断すると良い。


★ボディメイクの体脂肪率範囲
ボディメイクは体脂肪率12-15%のレンジでやるのが多くの人にとって良いだろう。体脂肪率の判断は、下のようなよくある画像を参考にして、見た目でのざっくりした判断で良い。もしくは体脂肪率の下限を自分が楽に減量できるところまで、体脂肪率の上限を自分が見た目的に許容できるところまで、でも良いだろう。下限と上限の体脂肪率とリンクした自分のウェストサイズを覚えておくと、管理がしやすいと思う。



体脂肪率が高いとインスリン感受性の低下などで筋肉が増えにくく、体脂肪が増えやすくなる恐れがある。また見た目も悪いし、健康にも良くない。逆に自分の身体が無理なく維持できる水準よりも体脂肪率を低くすると、身体が飢餓に抵抗することで、体脂肪が増えやすく筋肉が増えにくくなる。一般的には、無理なく維持できる体脂肪率の下限は10-12%くらい。体質に恵まれている人は10%以下でも無理なく維持できるだろうけど、そういう人は少数。

体脂肪率が高めの人は10%台前半まで落としてから増量⇔減量サイクルに入ると効率が良いと思う。ただ、体脂肪率がかなり高い状態が何年も続いていると、無理なく維持できる水準が上がっていて、10%台前半まで落とすのがきついかもしれない。

中級者以降の人も、カロリー収支ギリギリでも筋肉は増えていくだろうけど、長期的に見て筋肉量を出来るだけ速く増やすなら、増量⇔減量サイクルを繰り返すのが良いだろう。体脂肪率12-15%のレンジだったら減量はサクッと終わる。


関連記事:増量に必要なカロリー

8/05/2016

増量に必要なカロリー

増量に必要なカロリーの参考として、レジスタンストレーニングとカロリー超過を組み合わせた研究を見てみる。研究の数が少なく、とりあえずこれしか見つからない。

研究の限界としては、トレーニング期間が2,3ヶ月で、この期間での除脂肪体重の増加量が誤差の大きい体組成測定でまともに検出できるのだろうかという点。除脂肪体重と体脂肪の変化が有意差があるかどうかだけではなく、傾向としてはどうなのかを見ていく。

またいずれの研究も通常食のマクロ栄養素と摂取カロリーの算出は、自己申告の食事内容を元にしている。食べ物の量り方を指導はしているが、研究者側が管理しているわけではないので摂取カロリーは正確ではない。追加のカロリーとして与えられている分は管理されているので正確。


★初心者
Effects of high-calorie supplements on body composition and muscular strength following resistance training
https://www.researchgate.net/publication/11281926_Effects_of_high-calorie_supplements_on_body_composition_and_muscular_strength_following_resistance_training

被験者:トレーニング歴の無い人。全員が若い男性。
平均は身長170cm台、体重70kg後半

トレーニングは週に4回。1回あたり60-90分。コンパウンド主体で全身を二分割法でトレーニングする本格的な内容。
トレーニング期間は8週間

通常食の摂取カロリーは2200-2500kcalくらい。これに2000kcalを加える。
グループ1:通常食+2000kcal(タンパク質+炭水化物)
グループ2:通常食+2000kcal(炭水化物のみ)
グループ3:通常食

炭水化物のみ加えたグループ2もタンパク質を計1.7g/kg/day程度摂取しているのでタンパク質は十分な摂取量。

身体組成変化


カロリー超過グループは両方とも除脂肪体重が3kg前後増えて、体脂肪量はほぼ変わらずという結果になっている。ただ体組成測定の方法は水中体重測定法なので誤差が結構ありそう。ウェストが1cm前後増えているので実際には体脂肪がそれなりに増えていると思われる。

体重3kg増やしてウェスト+1cmなら良いペースだと思う。スタートラインの体脂肪率が低くて(15%以下)、体格が良い若い男性が本格的なトレーニングを始めるなら、このくらいのカロリー超過でも良いかもしれない。プラス2000kcalだと体脂肪もそれなりに増えそうなので、普段の食事にプラス1500kcalでも良いかも。

かなり大雑把な数字だけど、消費カロリーが新たに始めたトレーニングで500kcal増え、オーバーカロリーによるNEATなどの無駄消費で500kcal増え、筋肉の修復や増加で500kcal増えるとすると、合わせて1500kcalは消費カロリーが増えてもおかしくない。ただこの研究のトレーニング内容はトレーニング歴が無い人にはハードな内容だと思うので、そんなにトレーニングしない人はもっと摂取カロリーを減らした方が良い。

カロリーを足してないグループは除脂肪体重+1.4gで体脂肪-0.8kg、ウェストが-0.2cm。筋肉をなるべく増やすという点ではカロリー超過グループに劣るけど、筋肉が増えて体脂肪が減ってるっぽいので、体組成の組み換えはうまくいっている。


★中級者
この論文は書いていることが色々と変なんだけど、データだけ参考にさせてもらう。

Daily Overfeeding from Protein and/or Carbohydrate Supplementation for Eight Weeks in Conjunction with Resistance Training Does not Improve Body Composition and Muscle Strength or Increase Markers Indicative of Muscle Protein Synthesis and Myogenesis in Resistance-Trained Males
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4763837/

被験者:少なくとも1年はトレーニング歴のある若い男性
平均は身長約180cm、体重80kg台

トレーニングは週に4回
トレーニング期間は8週間

通常食のカロリーは2500kcal前後。これに1248kcalを加える。
グループHPC(11人):通常食+1248kcal(タンパク質+炭水化物+少量の脂質)
グループHC(10人):通常食+1248kcal(炭水化物のみ) 

身体組成変化

体重
グループHPC:+3.83kg
グループHC:+1.42kg

体脂肪量
グループHPC:+1.36kg
グループHC:+1.51kg

除脂肪体重
グループHPC:+2.28kg
グループHC:+0.25kg

被験者数が少ないせいか、両グループともに除脂肪体重の増加は有意差無しだけど、HPCグループは除脂肪体重が増加傾向。しかし体脂肪も結構な増加。カロリー超過はもっと少なくて良いと思う。HCグループはタンパク質摂取量が1g/kg/day程度になっていてこれではタンパク質が足りない。このためか除脂肪体重もほぼ増えない傾向となっている。


★上級者
Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes
http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17461391.2011.643923

対象
ノルウェーのエリートアスリート。男性9割。3分の2がアイスホッケー選手。
平均は身長約180cm、体重70kg台。

週に体重が0.7%増えることを目標とした。栄養指導グループ(NCG)と自己管理グループ(ALG)に分け、栄養指導グループは専門家の指導を受け、自己管理グループは各自自由に食べた。

レジスタンストレーニングは週に4回(それ以外に各々の競技のトレーニングを行っている)
トレーニング期間は平均9.9週間

結果として栄養指導グループは通常食(約3000kcal)に約500kcalのカロリーが加わる形になった、自己管理グループはカロリーは変わらず。

身体組成変化

体重
栄養指導グループ+2.7kg
自己管理グループ+1.2kg

除脂肪体重
栄養指導グループ+1.7kg
自己管理グループ+1.2kg

除脂肪体重脚
栄養指導グループ+0.5kg
自己管理グループ+0.0kg

除脂肪体重上半身
栄養指導グループ+1.1kg
自己管理グループ+1.1kg

体脂肪
栄養指導グループ+1.1kg
自己管理グループ+0.2kg

1RMの伸びは両グループで有意差無し

全身の除脂肪体重と体脂肪の変動を見ると、栄養指導グループの方が体重と体脂肪量が増えた。除脂肪体重は有意差無しだが、栄養指導グループの方が増える傾向があった。自己管理グループはほぼ除脂肪体重だけ増えているので、効率が良いと言える。ただ自己管理グループは脚の除脂肪体重が増えていない。アスリートなので脚は鍛え込まれていて、体脂肪増加覚悟のカロリー超過にしないと増量が難しいのかもしれない。
論文の結論は、アスリートでは500kcalの超過だと体脂肪が増えやすいみたいだから、200-300kcalの超過が良いかもとのこと。


関連記事:増量の考え方 

7/27/2016

遅発性筋肉痛について

遅発性筋肉痛(運動後に起こる普通の筋肉痛)について

ネタ元
 ↓
The Science of Sore – DOMS explained
http://strengtheory.com/doms/


★遅発性筋肉痛とは
- 不慣れな運動をすると起きやすい。程度にもよるが、痛みは運動後早いと8時間後くらいから出て、ピークは48-72時間後。
- 主に遅筋の筋繊維のダメージ。それほど深刻なダメージが起きているわけではない。(深刻なダメージがあれば即座に強い痛みが出る)
- 筋繊維のダメージが関係はしているが、筋繊維の実際のダメージと痛みの強さの相関は強くない。めちゃくちゃ痛いからといって、筋繊維がズタズタになっているわけではない。
- エキセントリック運動で筋繊維のダメージは起きやすい。筋肉痛を扱った研究の多くは、トレーニング歴のない被験者にたくさんのエキセントリック運動をやらせている。
- 代謝ストレスによっても筋肉痛は起こるようだ。代謝ストレスといっても乳酸のことではなくて、水素イオンと活性酸素種が筋肉痛を引き起こす可能性がある。これらの物質が筋鞘(細胞膜)にダメージを与え、細胞内に水分を引き込むことで細胞が膨張し炎症を起こす。
- 研究者の間では、一つの要因が遅発性筋肉痛を引き起こすのではなくて、いつくかの複合的な要因が遅発性筋肉痛を引き起こすと考えられている。


★筋肉痛は成長の指標?
- 激しい筋肉痛になったからといって筋肉がもりもり増えるわけではない。長距離のランニングでも激しい筋肉痛になるが、ランニングでは筋肉もりもりにならない。
- 激しい筋肉痛になると次のトレーニングに悪影響が出て長期的な筋肉の成長を妨げる。フォームが変わったり、筋肉に負荷をかけられなかったりする。従って筋肉痛を目指してトレーニングはしない方が良い。
- 筋肉痛の間に運動を行ってもダメージを悪化させるわけではないようだが、回復を遅らせるかもしれない。


★なぜ痛みを感じるのか
- 侵害受容器が刺激をキャッチすると痛みの信号を脳に伝える。
- 筋肉組織においては、侵害受容器は炎症といった化学的な刺激や血管への微小循環の撹乱を感知する。
- 侵害受容器は筋肉の内側には無い。なぜなら筋肉細胞が死んでも痛くないから。
- 一方で、筋肉が断裂するとものすごく痛い。これは侵害受容器が存在する場所へ筋肉内の基質が放出されることによる。
- 以上から遅発性筋肉痛は筋肉細胞内の収縮器官に関連して起こるものではないだろうと考えられる。


★筋肉痛を減らすには
- 慣れていない運動をするときは、最初は軽めにして徐々に慣らしていく。
- 運動前のウォームアップやストレッチは、運動後の筋肉痛を減らしはしない。(もちろん怪我のリスク低減やパフォーマンス向上のためにウォームアップやストレッチはやったほうが良い)
- フォームローラーはマッサージと同じ効果があり、筋肉痛からの回復を早める効果があるかもしれない。


★筋肉痛を減らすサプリメント
- 運動の1時間前のカフェイン摂取で、運動後の筋肉痛の程度が低くなったという研究がある。ただ体重1kgあたり5mgという多量のカフェイン摂取が効果的とのこと。
- オメガ3脂肪酸は炎症を抑える効果があり、筋肉痛を和らげるのにも効果があるようだ。
- タウリンも効果があるかも。
- クライオセラピー(冷却療法)は筋肉痛を減らしたり回復を早めたりはしないようだ。運動後に冷水に浸かる(摂氏10度の冷水に10分間)と筋肉の成長が鈍くなるという研究もあるので、運動後に筋肉を冷やすのは筋肥大目的の場合は止めておいたほうが良さそう。