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7/05/2025

筋肉の伸長ポジションと短縮ポジションで負荷をかける

関節の安定性のためには、

・筋肉の「伸長ポジション」で強い負荷がかかる種目

・筋肉の「短縮ポジション」で強い負荷がかかる種目

両方ともやったほうが良いと、最近考えています。


「筋肉が伸長されたポジションで強い負荷がかかる種目のほうが筋肥大効果が高い」というのが、今の科学界のトレンドですが、伸長されたポジションでのトレーニングばかりやると、関節がゆるくなりやすい感じがします。特に、ストレッチを効かせようとすると、器用な人だと意図的に関節を緩めて可動域を広げようとします。

短縮ポジションでもトレーニングすることで、関節がハマって安定しやすくなる感じがします。

具体的には、

<股関節(ハムケツ)>
・伸長ポジション:スクワット、レッグプレス、デッドリフト系の種目 
・短縮ポジション:ヒップスラスト、ヒップリフト、ライイングレッグカール(ハム二関節筋)

<膝関節(大腿四頭筋)>
・伸長ポジション:スクワット、レッグプレス系の種目 
・短縮ポジション:レッグエクステンション

<肘関節(上腕三頭筋)>
・伸長ポジション:フレンチプレス系の種目 
・短縮ポジション:プッシュダウン系の種目


短縮ポジションで負荷をかける種目では、以下のポイントを意識するといい感じになると思います。

・トップポジションで筋肉を絞り上げるように収縮させる。

・重量は軽め、最低でも10レップはできる重量で行う。重いと、トップポジションで絞り上げられない。

・コンセントリックは最速にしない。軽めで最速だと、慣性でトップ付近での負荷が抜ける。伸長ポジションで負荷をかける種目は、コンセントリック最速を意識するとボトム付近(伸長ポジション)での負荷が上がるから良いけど、短縮ポジションで負荷をかける種目はトップ付近で負荷が抜けないようにしたい。

・関節は過伸展しないようにする。伸ばしきりから数度前で止めて絞り上げるのが良いかも。

6/07/2024

6/05/2021

スターティングストレングスの正しさの範囲

Mark Rippetoe のスターティングストレングス(=パワーリフティング基準でのBIG3)について、色々と書いていきます。否定的なことも書きますが、パワーリフティング基準でのBIG3を「ルールのある遊び」として楽しむことを否定するわけではありません。そこは個人の価値観です。

私がモヤモヤするのは、「パワーリフティング基準でのBIG3は安全で効果的。正しいフォームでやれば怪我リスクの低いトレーニング方法だ」といった主張に対してです。YouTubeにたくさんある「正しい〇〇のやり方」といった動画にも、モヤモヤしたものを感じます。それは誰にとって正しいのか?と。(「宇宙一正しいスクワット」という動画は勢い良すぎてクスッとしました)

昔の私のような準備の出来ていない初心者がバーベルトレーニングで怪我をしたり、経験の浅いトレーナーがスターティングストレングスに傾倒して正しさの範囲を意識せずにクライアントに適用したり・・・そういったことを少しでも減らしたいです。そこら辺をつっついていく記事です。

バーベルトレーニングは筋肉量やストレングスの向上にとても効果的だ、という点には強く同意します。BIG3を否定したいわけではなく、多くの人が安全に効果的にトレーニングできるよう問題点を洗い出して改善していきませんか、という問題提起がしたいです。

5/28/2021

スクワットの深さ/推奨のスクワット方法

 

スクワットの分類 

<フルボトム/フル/ATG>

腰が曲がらない範囲でなるべく深く、腿の裏側とふくらはぎが接触するまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は約130-150°。日本語だと、パラレルより少し下の深さをフルスクワットと呼ぶことがありますが、研究だとフルスクワットは出来るだけ深くしゃがむスクワットのことを意味することが多いので、この記事ではフルボトムもフルもATGも同じものとします。

<パラレル>

太腿が床と平行になるまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は骨格やフォームによって違いますが、だいたい110-130°くらい。

<ハーフ>

膝の屈曲角度が約90°になるまでしゃがむスクワット。

<クォーター>

膝の屈曲角度が50-60°になるまでしゃがむスクワット。

 

5/15/2021

パワーリフティングのケガ率/BIG3の調整

過去のパワーリフティングのケガ率の研究で、パワーリフティングのケガ率は低いというものがあります。同じようにウェイトリフティング(五輪の重量挙げ)のケガ率が低いという研究もあり、マッチョ寄りのフィットネス業界ではそれらの研究をもとに「バーベルを使ったウェイトトレーニングは、正しく行えばケガ率が低く安全である」と言われることが多いです。

しかし、それらの研究での怪我は、トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我のことでした。今回紹介する研究では、怪我を「痛みと、トレーニングに影響を与える機能障害」と定義し、記録上位25%のエリートレベルを除くパワーリフターにアンケートを送って、現在の怪我、過去12ヶ月の怪我について回答を集めています。調査はスウェーデンで行われました。

Prevalence and Consequences of Injuries in Powerlifting: A Cross-sectional Study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5954586/

バーベルを使って趣味でBIG3をする場合、パワーリフティング系、特にRippetoeのスターティング・ストレングスのやり方をする人も多いと思います。このブログの過去記事にもスターティング・ストレングスのやり方は紹介していますし、自分もそのやり方をやっていました。

ただ、趣味でBIG3をやるなら、パワーリフティング系のやり方から何箇所か調整したほうが、怪我リスクを下げられます。

今回のパワーリフティングの怪我リスクの研究をもとに、BIG3で怪我をしやすい部位、原因、趣味でやる場合の調整方法などを考察していきます。

(今回はパワーリフティングについての研究なのでパワーリフティングのみ取り上げていますが、ウェイトリフティングのケガ率も似たようなものだと思います。トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我は少ないが、痛みを抱えるケースは多いでしょう)

5/01/2021

ショルダープレス-肩のトラブル回避と難易度調整-


ショルダープレスでの肩のトラブルを回避する方法と、肩に問題がある場合や肩の怪我リスクを下げたい場合にショルダープレスの難易度を調整する方法を書いていきます。

ここでのショルダープレスは、肩のプレス動作をおこなう種目全般をひっくるめてです。ダンベルショルダープレスや、バーベルでのオーバーヘッドプレスなどを含みます。

肩の種目は怪我をしやすいです。肩のトラブルを回避するには、コンディションを整えることが重要です。アラインメント(姿勢)→モビリティ(可動性)→スタビリティ(安定性)の順に、ショルダープレスの準備をしていきます。

関連記事:筋トレのピラミッドとパフォーマンスの積み木


4/17/2021

筋トレでの肘の痛み-対処方法と予防方法-

筋トレで起こる肘の痛みについて結構わかってきたので、以前の記事を全面的に書き直しました。ディスクレイマーとしては「痛い場合は医者にいきましょう」なのですが、医者に行っても「安静にしてください」と言われて湿布とか処方されて終わりになりそうなので、自力でなんとかする方法を書いていきたいです。ただ、私は専門家ではないので、あくまで自己責任でお願いします。



筋トレで痛くなりやすい箇所

・内側上顆
肘の内側の出っ張り。手首の屈曲と前腕の回内をする筋肉の腱が付着。ゴルフ肘で痛くなる部分。

・外側上顆
手首の伸展をする筋肉の腱が付着。テニス肘で痛くなる部分。

・肘頭突起
肘の後ろ側の出っ張り。上腕三頭筋と肘筋の腱が付着。

3/20/2021

ニースリーブのすすめ



ニースリーブとは

ニースリーブは膝にはめて使う筒状のサポーターです。上の画像はニースリーブを着用した状態です。似たものにニーラップがありますが、ニーラップは帯状のもので、ぐるぐると膝の周りに巻いて使います(ベンチプレスの時に手首に巻くリストラップの膝用みたいなものです)。

最近、ニースリーブを使い始めて、これはいいものだと思ったので紹介記事を書きます。



自分の使用感

私は膝が弱くて、スクワットを頑張ると膝に違和感が出やすく負荷をかけにくかったのですが、ニースリーブ着用で膝の不安が無くなり、楽しくスクワットが出来るようになりました。

体感では、「すごいなニースリーブ!」って感じなのですが、エビデンスだとどうなのかも書いていきます。

12/19/2020

怪我をしにくいベンチプレスのやり方

怪我をしにくいベンチプレスのやり方について、いくつかポイントを書いていきます。 

 

1. 肩甲骨の位置

肩甲骨は可動範囲の下限まで下げます。それから、下げた状態をキープしながら寄せます。肩甲骨の下げ(下制)と寄せ(内転)だったら、下げを優先したほうが良いです。下制が緩むと肩の怪我をしやすくなります。

肩甲骨を最も寄せられるのは、肩甲骨を少し上に上げた位置ですが、その位置で寄せると脇が開いて肩を怪我しやすくなると思います。まず下げてから、できる範囲で寄せるイメージで肩甲骨を動かすと良いでしょう。


5/28/2019

肩の健康を考慮した筋トレ

上半身の筋トレで人気のあるエクササイズ種目は、肩の健康を損ねやすいものも多い。肩のトレーニングでは、どのようなポジションで負荷をかけると怪我リスクが高くなるのか、どのような対策を取れば肩の健康を保ちやすくなるのかを書いていきたい。


★ショルダープレスやラットプルダウン
肘を上げて、肩関節を外旋させ、腕を開いた状態で強い負荷をかけると、肩関節の前部が緩んで肩関節が不安定になりやすい。
種目例
- ビハインドネックのショルダープレス
- ビハインドネックのラットプルダウン

◇対策◇
ビハインドネックでのラットプルダウンやショルダープレスは避け、身体の前側で動作を行う。つまり普通のラットプルダウンやショルダープレス。上腕を30度ほど前に出して、上腕骨が肩甲骨と同一平面で動くようにすると、肩関節への負荷が軽くなる。ラットプルダウンは上体を後ろに30度ほど倒すのも良い(僧帽筋中部・下部の収縮を意識しやすくなる)。



★ベンチプレスやダンベルフライ
肘が胴体よりも大幅に後ろにある状態で肩関節に強い負荷をかけると、肩関節の前部が緩んで肩関節が不安定になりやすい。


種目例
- ベンチプレス系
- フライ系
- トライセプス・ベンチ・ディップス
- ローイング動作での引きすぎも肩関節前部に負担がかかる。

特にワイドグリップでのベンチプレスや腕が長い人のベンチプレスでは、肘が胴体よりも大きく後ろに来て肩関節に負担がかかりやすい。

◇対策◇
ベンチプレスでは脇はあまり開きすぎず、肘は後ろに引きすぎない。目安は肩関節の外転(脇の角度)45度以内、伸展15度以内。

脇をあまり開かず、みぞおち付近にバーを下ろすフォームでベンチプレスをする際は、背中は軽くアーチを作るとやりやすい。コツは腰椎を反るのではなくて、胸椎を反ること。

参考記事:ベンチプレスの背中のアーチ

ワイドグリップでのベンチプレスや脇を大きく開いて鎖骨付近に下ろすボディビルスタイルのベンチプレスは避ける。手幅は肩幅の1.5倍以内にする。

胸にタオルを置いたり、バーにスクワットパッドを巻いたりすると、バーの下ろす深さを制限できる。また鎖を使うとボトム付近での負荷を下げることができる。鎖をバーベルにぶら下げると、バーが下がるにつれて地面に着く鎖が長くなり負荷が軽くなる。

インクラインのベンチプレスは避けたほうが良いだろう。インクラインのプレスをやるならダンベルを使うと良い。デクラインベンチプレスやリバースグリップ(逆手)でのベンチプレスは肩関節への負担が軽い。

ダンベルでのフラットベンチプレスで、持ち方をニュートラルグリップにすると肩関節への負担が軽くなる。ニュートラルグリップで握れるswiss bar(fottball bar)があればそれを使うのも良い。


ダンベルフライやペックフライは、可動域の限界まで開かない。肘が胴体の横かすこし後ろに来る程度で止める。脇の角度も90度に近すぎないほうが良い。ケーブルマシンを使うのも良い

トライセプス・ベンチ・ディップスは避け、普通の腕立て伏せやケーブルマシンなどを使って上腕骨三頭筋を鍛える。腕立て伏せはボックスやベンチの角などを使って行うと、手首への負担も減る



★サイドレイズやアップライトロー
肩関節が窮屈な状態で負荷をかけると、ローテーターカフの腱や滑液包が肩峰の下のスペースで挟まれて炎症を起こしやすい(肩峰下インピンジメント)。サイドレイズでもアップライトローでも、肘を高く上げると特に怪我リスクが高くなる。

種目例
- サイドレイズ
- アップライトロー
- プルオーバー

◇サイドレイズの対策◇
肘を肩より上に上げない。ショルダープレスと同様に上腕を前方に30度ほど出して肩甲骨平面上で動作を行う。

サイドレイズにはいくつかやり方があって、通常の手のひらを下に向けて行うやり方は肩峰の下のスペースが狭くなるので怪我リスクが上がる、ただ、健康な肩の人なら、このやり方でも肘を上げすぎないことに注意すれば、それほど怪我リスクは高くならないと思う。肩の調子が悪い人は避けたほうが良いだろう。

他には、フル缶、エンプティ缶というやりかたがあって、フル缶が親指が上を向くようにダンベルを握る、エンプティ缶が親指が下を向くようにダンベルを握る。飲み物の入った缶を中身がこぼれないように持つのがフル缶、中身が全部流れ落ちるように持つのがエンプティ缶。

動画:Full Can Raise
https://www.youtube.com/watch?v=fgHZlFy7Ho0


動画:DB Empty Can Raise
https://www.youtube.com/watch?v=CIqtc_7QWQY


フル缶は肩関節の健康を保ちやすい(肩峰下スペースが広い、肩甲上腕リズムが自然、肩甲骨が後傾)が、筋肥大の観点からは三角筋中部後部への負荷が小さい。エンプティ缶は三角筋中部後部への負荷を上げられるが、肩の健康の観点からはあまり良くない(肩峰下スペースが狭い、肩甲上腕リズムが不自然、肩甲骨が前傾)。

ベンチにうつ伏せになってフル缶のレイズを行うやり方もあって、これだと三角筋中部後部を動員できる。うつ伏せフル缶の肩の健康への影響を調べた研究はざっと探したけど見つからなかったが、自分でやってみた感じでは肩関節への負担は軽そうだった。やり方は脇の角度が100°くらいになるようにして行う。


◇アップライトローの対策◇
種目自体を避ける。やるなら肘を肩より上に上げない。


◇プルオーバーの対策◇
肩関節を過度に屈曲させて負荷をかけると肩峰下インピンジメントが悪化する。プルオーバーをやるなら、可動域の限界までやらない。もしくはラットプルダウンで広背筋を鍛える。


懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)の記事でも書いたが、肩峰下のスペースはBIG3+懸垂を熱心にやると狭くなって、肩の怪我につながりやすい。本格的に筋トレする人は、肩のトレーニングの際に上記のポイントに気をつけることに加えて、肩周りのストレッチを念入りに行うことで肩峰下インピンジメントを予防すると良いだろう。


★肩甲骨と上腕骨の連動
肩周りの筋トレは、肩甲骨と上腕骨が連動して動き、大きな筋肉(三角筋や大胸筋や広背筋)と小さな筋肉(ローテーターカフや前鋸筋)の両方を動員できる種目を多くやったほうが良い。これは短期的な怪我リスクよりも、長期的に見て肩関節を良好なコンディションに保つために意識すると良いこと。

肩甲骨と上腕骨の連動を切って、三角筋や大胸筋や広背筋をアイソレートして鍛えると、見た目は良くなりやすいし、短期的にはそれほど怪我をしないだろけど、肩関節の正常な動作が失われやすくなるので、長期的には肩関節の健康が損なわれやすくなる。



関連記事:
肩関節の基礎知識

肩周りのストレッチ

プッシュとプルのバランス


参考文献:
Avoiding Shoulder Injury From Resistance Training
https://www.researchgate.net/publication/232204583_Avoiding_Shoulder_Injury_From_Resistance_Training

Characteristics of Shoulder Impingement in the Recreational Weight-Training Population
https://pdfs.semanticscholar.org/f962/896c767355405a14a06cde7ab7b012c76edd.pdf

Ultrasound evaluation of the subacromial space in healthy subjects performing three different positions of shoulder abduction in both loaded and unloaded conditions.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27776926

Shoulder Coordination During Full-Can and Empty-Can Rehabilitation Exercises
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4732390/

Electromyographic Analysis of the Supraspinatus and Deltoid Muscles During 3 Common Rehabilitation Exercises
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2140071/

Exercise Modification Strategies to Prevent and Train Around Shoulder Pain
https://www.researchgate.net/publication/312266298_Exercise_Modification_Strategies_to_Prevent_and_Train_Around_Shoulder_Pain

EVIDENCE-BASED ALTERNATIVES TO POPULAR EXERCISES
https://journals.lww.com/acsm-healthfitness/fulltext/2017/11000/EVIDENCE_BASED_ALTERNATIVES_TO_POPULAR_EXERCISES.7.aspx

Comparison of chain- and plate-loaded bench press training on strength, joint pain, and muscle soreness in Division II baseball players.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19050650

12/05/2018

プッシュとプルのバランス

プッシュ・プレスと、ロウ・プルのトレーニグバランスをどうすれば良いか。

動画:EricCressey.com: Should You "Balance" Pushes and Pulls?
https://www.youtube.com/watch?v=t9XKZRIIazc

この動画で Eric Cressey が言っているように、必要なトレーニグはその人のコンディションによって様々で、画一的な処方箋があるわけではない。

だが、ウェイトトレーニングを熱心にやっている人がバランスを取るにはどうしたら良いか、基本的な考え方は提示できると思う。


★懸垂ではベンチプレスとのバランスは取れない
単純に考えても、腕を前に動かす動作とバランスを取るには、腕を後ろに動かす動作(水平方向に引く動作)をするのが良い。腕を下に動かす動作である懸垂を行っても、ベンチプレスとバランスは取れない。

バランスのとり方についてもっと詳しく見ていく。ベンチプレスの動作を、肩関節と肩甲骨の動きに分けて考えると、

・肩甲骨:寄せる
・肩関節:腕を前に出す(水平方向に押す)

従って、ベンチプレスの拮抗動作は、

・肩甲骨:開く
・肩関節:腕を後ろに引く(水平方向に引く)



肩甲骨を開くのと同時に腕を引くのは非常にやりにくいし、日常生活やスポーツに役立つ動作とも思えない。従って、ベンチプレスを熱心に行う人が、ベンチプレスの動作とバランスを取るトレーニングをするのなら、

a) 肩甲骨を開く動作を伴うトレーニグ
b) 腕を後ろに引くトレーニグ

の2種類に分けて、トレーニグを行うのが良いだろう。

肩甲骨を開く動作を伴うトレーニグは、以下の関連記事に具体的なエクササイズ例が載っている。

関連記事:前鋸筋の動員

片腕ランドマインプレスがベンチプレスとバランスが取れる動作というのは変な感じがするかもしれないが、肩甲骨の動きを考えてみると、開くと寄せるで対になっている。一般的なウェイトトレーニングのプログラムは、「肩甲骨を開く動作」が欠如しているので、肩甲骨を開く動作を伴うエクササイズを積極的に取り入れることで肩関節の健康を保ちやすくなるだろう。

腕を後ろに引くトレーニグは、一般的なロウ種目で良いだろう。シーテッドローやpendlay rowなど。詳しくは以下の記事を参考に。

関連記事:ロウ・プルのやり方


★本格的なウェイトトレーニングで起こりやすい肩周りの偏り
BIG3+懸垂といった本格的なウェイトトレーニングで起こりやすい肩周りの偏り(骨の位置のズレと筋力のアンバランス)についても書いておく。

BIG3と懸垂での肩甲骨の動きに着目すると、

・ベンチプレス → 肩甲骨は寄せる(内転)。下方向(下制)に固定するケースも多い。
・バックスクワット → 肩甲骨は寄せる(内転)。下方向(下制)に固定。
・デッドリフト → 肩甲骨は下方向(下制)に固定。
・懸垂 → 肩甲骨は下方回旋。


BIG3と懸垂を熱心に行うと、肩甲骨が下方向に強く押し付けられることが続き、その結果肩甲骨がスムーズに動かなくなりやすい。ウェイトトレーニングに熱心で、なで肩になっている人は、この症状になっている可能性が高い。

高重量でのバーベルトレーニングを行う必要がない場合は、バックスクワットの代わりにゴブレットスクワット、ベンチプレスの代わりに腕立て伏せを行うと、肩周りの偏りが緩和される。トレーニング初心者の中高年にBIG3をやらせているパーソナルトレーナーをよく見かけるけど、あれはやめたほうが良いと思う。


★肩甲骨の下方向への偏りへの対処法
まずは肩周りのストレッチをしっかり行う。特に広背筋のストレッチ。

関連記事:肩周りのストレッチ

バランスを取るためのエクササイズは、肩甲骨の上方回旋で使われる筋肉を鍛える。上方回旋でどのような筋肉が使われるかは、以下の記事を参考に。

関連記事:ショルダープレス

ショルダープレスで上方回旋の動作を鍛えようとすると、三角筋など強い筋肉ばかり使って、肩甲骨周りの細かい筋肉を鍛えにくい。また既に肩関節の機能に問題が生じている場合はショルダープレスをきちんと行えず、肩関節の怪我のリスクが高まる。以下に紹介するようなエクササイズを行い、上方回旋の動作を鍛えると良い。

動画:ShoulderPerformance.com: Prone 1-arm Trap Raise
https://www.youtube.com/watch?v=3fK93Ul0da8

動画:EricCressey.com: Troubleshooting the Prone 1-arm Trap Raise
https://www.youtube.com/watch?v=jzRpo0mv328
僧帽筋下部を鍛えるエクササイズ。注意点は、腰を反らない、顎を引く、肩甲骨は前傾しない、腕だけを上げるのではなくて肩甲骨を動かすことを意識、広背筋や三角筋後部や僧帽筋上部から力を抜くことを意識する。

動画:EricCressey.com: Wall Slides with Overhead Shrug
https://www.youtube.com/watch?v=e5-rB6bYBr8

動画:EricCressey.com: Forearm WallSlides at 135 Degrees
https://www.youtube.com/watch?v=W4h4DuUxaQs


★上腕骨の内旋
懸垂では広背筋が鍛えられるが、広背筋は上腕骨を内旋させる働きがある。大胸筋も上腕骨を内旋させる働きがある。大胸筋と広背筋が強いと、上腕骨が内旋(つまり巻き肩)の状態になりやすい。ローテーターカフのトレーニグで外旋動作を鍛えろ、とよく言われるのはこのため。内旋動作を行うローテーターカフが弱っている場合もあるので、その場合は内旋のローテーターカフも鍛える。広背筋や大胸筋では内旋を行うといっても肩関節を安定させるのは難しいので、内旋を行うローテーターカフを鍛えて肩関節を安定させる。

関連記事:ローテーターカフの強化



11/05/2018

前鋸筋の動員

★前鋸筋の基礎知識
前鋸筋の主な働きは、
・肩甲骨の外転:肩甲骨を開いて前に突き出す動き。
・肩甲骨の上方回旋:ショルダープレスなどで腕を上に挙げる時に必要となる肩甲骨の動き。以下の動画での肩甲骨の動き。

動画:Scapulohumeral Rhythm
https://www.youtube.com/watch?v=rpzBGlOEW4E

広背筋の使いすぎなどで肩甲骨が下制の位置に張り付いてあまり動かなくなっている場合、腕を上に挙げたり(ショルダープレスの動き)、腕を前に出したり(腕立て伏せの動き)するときに、上腕骨の動きに肩甲骨がついていかず、ボールとソケットがずれて、肩関節に痛みや違和感が出やすくなる。

本格的なウェイトトレーニングプログラムは、一般的にはBIG3や懸垂を中心として構成される。

しかし懸垂では広背筋が強く使われ、BIG3はどの種目も肩甲骨を下制の位置に固定しやすく、またベンチプレスは肩甲骨を固定したまま上腕のみを前に動かすため、BIG3や懸垂といった本格的なウェイトトレーニングを熱心にやればやるほど、プッシュ・プレス動作での上腕と肩甲骨の連動が失われやすくなる。

また菱形筋が過度に緊張して固く縮こまっていると、肩甲骨が寄って少し上がった状態になり、この場合も腕を上げたり前に出したりといった動作で、肩甲骨と上腕骨が連動しにくくなる。

そのため健康な肩関節の機能を保つには、肩甲骨周りのストレッチを行いつつ、前鋸筋に刺激を入れ、肩甲骨の突き出し・上方回旋を行う種目を積極的に取り入れるのが良い。


段階としては、

1) 肩甲骨がパッシブに動くようにする。
広背筋、菱形筋を中心として肩周りのストレッチを行う。

関連記事:肩周りのストレッチ

2) 肩甲骨をアクティブに動かせるようにする。
前鋸筋に刺激をいれて肩甲骨がプッシュ・プレス動作でよく動くようにする。

3) 上腕と肩甲骨の連動を脳に覚え込ませる。
前鋸筋を動員するプッシュ・プレス動作を繰り返し行い、上腕と肩甲骨が正常に連動して動くようにする。


★前鋸筋のエクササイズの基本
前鋸筋は腕を前に出して90度以上に挙げたポジションで負荷をかけると動員されやすい。

前鋸筋は意識して力をいれるのが難しい。肘を押し出すイメージで行うと前鋸筋が動員されやすい。手を押し出すイメージだと三角筋前部が動員されやすくなると思う。

いずれのエクササイズも臀筋に力を入れ、体幹を安定させ、腕を上げる時に腰が反って頭が前に出ないように気をつける。


★前鋸筋のエクササイズ例
上の方のエクササイズが前鋸筋にアイソレートで刺激を入れるエクササイズ、下の方のエクササイズが前鋸筋を動員する肩周りの複合動作。全てやる必要はないけど、順序としては上から下へ順にステップアップしていくと良いと思う。

動画:EricCressey.com: Short Plank with Reach Across and Under
https://www.youtube.com/watch?v=CuB2KC289r0
前鋸筋のアクティベーションと胸椎のローテーション。

動画:EricCressey.com: Bear Crawl Variations
https://www.youtube.com/watch?v=SJHw2nLEdL0
腕を前方向に90度以上に挙げたポジションで行う。三角筋前部のみで負荷を受け止めないよう注意する。

動画:Serratus Anterior Activation: Reach, Round, & Rotate
https://www.youtube.com/watch?v=hyfb9x7VJWE
肘を伸ばすのではなく、肘を前に押し出すイメージで、肩甲骨がしっかり動くことを意識する。胸椎はフラットにならず少し丸める。

動画:EricCressey.com: Serratus Wall Slides with J-Band
https://www.youtube.com/watch?v=gKxerg7TESQ
上のエクササイズの動きをゴムバンドで行う。

動画:Arm Care Lesson 24: Core positioning impacts scapular movement.
https://www.youtube.com/watch?v=o1eAv96wfdg
腕を前方向に90度以上に挙げたポジションでヨガプッシュアップ。

動画:EricCressey.com: Coaching the Landmine Press
https://www.youtube.com/watch?v=jCfcGei-NqM
片腕ランドマインプレス。やり方のコツは、腰を反らず体幹を安定、脇は締めず少し開ける、腕を引く際に身体より後ろに腕がいかない、腕を伸ばしたときに身体を前に倒す、三角筋前部のみで持ち上げず肩周り全体でプレス、首を前に突き出さず顎を引く。
このエクササイズは、ゴムバンドでやるのも良いと思う。ゴムバンドは自宅でもできるメリットがある。


関連記事:
肩関節の基礎知識

肩周りのストレッチ

ローテーターカフの強化

ロウ・プルのやり方

プッシュとプルのバランス

10/31/2018

ローテーターカフの強化

★ローテーターカフの基礎知識
肩関節のボール(上腕骨頭)とソケット(肩甲骨関節窩)、ローテーターカフと広背筋や大胸筋など大きな筋肉の腱の付着点を単純化して描いたモデル図。


ローテーターカフの腱はボールの近くに付着しているので、ボールをソケットに安定化する働きがある。一方で、支点と力点の距離が近いため、テコの原理により作用点(手)で発揮できる力は小さい。

広背筋や大胸筋や三角筋は筋肉自体が太いことに加えて、腱がボールから離れた箇所に付着しているので、作用点(手)で大きな力を発揮することができる、しかし、これらの大きな筋肉のみが強く働くとボールとソケットがずれやすくなる。

とりあえず腕を力強く動かすだけなら大きな筋肉を動かせば良いのだけど、それを続けるとボールとソケットの安定性が低下して肩関節に不具合が起きやすくなる。

肩関節を安定させつつ強い力を発揮するには、広背筋や大胸筋など大きな筋肉の筋力に見合うだけのローテーターカフの強さが必要になる。


★ローテーターカフのエクササイズの基本

ローテーターカフのエクササイズは、ボールがソケットからずれないようにしながら、上腕骨の外旋・内旋を意識して行う。


腕は胴体の真横ではなくて、胴体よりも少し前に出す。角度は10度~30度くらい。肩甲骨の同一平面上に上腕骨が来るようにする。

ローテーターカフ強化のエクササイズは、良い姿勢で行うのが重要。猫背にならないよう背筋を伸ばし、顎を引く。詳しくは、以下の関連記事を参考に。

関連記事:肩周りのストレッチ

立ってエクササイズを行う場合は、腰の反りで反動をつけないよう気をつける。前部コア(腹直筋下部と外腹斜筋あたり)と臀筋群に力を入れると体幹が安定し腰の反りが抑制される。

外旋・内旋をアイソレートして動かすのが難しい場合は、まずは他の人に手を抑えてもらったり、壁などに手を押し付けたりしながらアイソメトリックで力の入れ方を学ぶと良い。それから負荷なしで上腕の外旋・内旋を行い、慣れてきたらゴムバンドやケーブルで負荷をかけていく。

前述のように、ローテーターカフが作用点(手)で発揮できる力は小さい。負荷が強すぎると、三角筋や広背筋などの大きな筋肉で動かしてしまうので、無理に強い負荷で行うことは避ける。

個人的には、ローテーターカフのエクササイズはゴムバンドが効かせやすい。次点でケーブル。ダンベルは負荷をかける方向の調整が難しい。ローテーターカフのトレーニグは、ハードなのを週2,3回やるよりも、軽いのを毎日やったほうが良い。ゴムバンドを買って家でストレッチのついでに軽くトレーニグすると良いと思う。ジムに行く日は、他の種目の合間にやると時間を効率良く使える。


★エクササイズ例
動画:EricCressey.com: Fine-Tuning the Band Pullapart
https://www.youtube.com/watch?v=73Dm-j5wYIc
腕を開いた時の肩甲骨のポジションは、フォームローラーの上に寝て腕を開くと学びやすい。フォームローラーに肩甲骨が沿う程度に肩甲骨を寄せる。腕の動きに沿って結果的に肩甲骨が少し寄る程度で良く、意識して無理に肩甲骨を寄せなくて良い。

動画:EricCressey.com: Coaching the Cable External Rotation
https://www.youtube.com/watch?time_continue=63&v=QqkErY_Z2Dg
外旋動作のやり方。この動画では、上腕二頭筋がrotisserie chickenの鶏肉のように回転するイメージでやる良いと言っている(上腕骨が金串)。

動画:Face Pull Y Press
https://www.youtube.com/watch?v=FN_VCg1j6Sw
家でやる場合はドアの取手などにゴムバンドを引っ掛ける。私はジムでは、スクワットの合間にバーに引っ掛けてやっています。

動画:EricCressey.com: Troubleshooting the Side-Lying External Rotation
https://www.youtube.com/watch?v=ry7ZU-JVGZA
ダンベルで外旋トレーニグを行う場合の注意点。頚椎、胸椎、肩甲骨の位置をニュートラルに保つ。腕と胴体がぴったりくっつかない(脇の角度は30°くらい)。肩をすくめたり、なで肩になったりしない。広背筋や僧帽筋上部の力を抜く。
 
動画:EricCressey.com: 1-arm Bottoms-Up Kettlebell Carry
https://www.youtube.com/watch?v=mkSSED3NxFU
体幹を締める、上腕二頭筋や三角筋前部で持ち上げるのではなく、肩周り全体で負荷を受け止める。肩甲骨が前傾せず、良いポジションを保つように気をつける。ケトルベルが無ければ、ウェイトプレートを縦に持って行うのも良いだろう。

動画:SturdyShoulders.com: When Should You Train Shoulder Internal Rotation?
https://www.youtube.com/watch?v=aapa6VXbQVk
ローテーターカフのエクササイズは一般的に外旋動作が多いけど、内旋を行う肩甲下筋が弱っている場合もあるので、コンディションによっては内旋動作もトレーニグする。
パッシブの可動域(外部の力で動く範囲)と、アクティブの可動域(自分の力で動く範囲)に大きな差がある場合は、内旋動作もトレーニグするのが良い。1:40~のエクササイズを参考に。台にうつ伏せになって、肩甲骨が動かないように注意し、ボールとソケットがずれないようにしながら上腕を内旋させて肩甲下筋を鍛える。大胸筋や広背筋に力が入らないようにする(これらの筋肉も上腕の内旋を行う)、



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10/19/2018

肩周りのストレッチ

★姿勢・アラインメント・筋力バランス
良い姿勢に骨の配列が収まっていて、筋力のバランスが取れていると肩がよく動くようになる。姿勢がニュートラルポジションから逸脱していたり、関節の安定に寄与する小さな筋肉が働かなくなって大きな筋肉で力任せに動かす癖がついていたりする場合は、姿勢の矯正をした上で正しい関節動作を身体に覚え込ませる必要がある。

段階としては、
step1. 使いすぎて固く縮こまっている筋肉を緩めて伸ばす。
step2. 弱っている小さな筋肉をアイソレートして鍛える。
step3. 大きな筋肉と小さな筋肉が連動して動作を行えるよう身体に覚え込ませる。
step4. 肩関節の健康を保つ上でバランスのとれたトレーニングを行う。

大胸筋や広背筋が固く縮こまっていて姿勢が悪く、前鋸筋やローテーターカフなど小さな筋肉が弱っている場合は、step1から順に行う。

現状で大きな問題がなければstep3と4で、小さな筋肉を動員するエクササイズをバランス良く行うことで、肩関節に不具合が起きないようにする。BIG3を中心としたウェイトトレーニングを行う場合は、大胸筋や広背筋が固く縮こまらないよう、これらの大きな筋肉のストレッチを並行して続けると良い。

今回の記事はstep1についてのみ。

step2については、弱っている代表的な小さな筋肉であるローテーターカフと前鋸筋について、それぞれエクササイズ方法を紹介するつもり。

step3については、プル・ローイング動作のやり方を書くつもり。プッシュ・プレス動作については、前鋸筋の記事にまとめて書くつもり。

step4については、プッシュ動作とプル動作のバランスのとり方について書くつもり。


★肩関節を動かしやすい良い姿勢
- 猫背にならない。胸椎はニュートラルなカーブを描き、肩甲骨が前傾しない。
- 肩甲骨が寄り過ぎたり離れ過ぎたり、上がりすぎたり(いかり肩)、下がりすぎたり(なで肩)になっていない。
- 上腕骨が前方に突き出たり、内旋したりしない。直立して腕をだらんと下ろした際に、手のひらが後ろを向くようだと上腕骨が内旋している。
- 首が前に突き出ていない。首が反っていない。

現時点でニュートラルな姿勢からどのような逸脱が起きているかは個人差がある。生活習慣や長年行っている競技によっても異なる。効果的な対処をするには、専門家による現状の正確なアセスメントが必要。

それを前提とした上で、「ウェイトトレーニングに熱心な人がどのような状態になりやすく、それにはどう対処したら良いか」について汎用的な対処法を書いていく。あくまで汎用的な方法なので、現状分析した上でのスペシャルな対処法には効果が劣るだろう。

ウェイトトレーニングに熱心な人が固く縮こまりやすい主な筋肉は、大胸筋、小胸筋、広背筋、菱形筋。


★姿勢の歪みの例
動画:EricCressey.com: Should You "Balance" Pushes and Pulls?
https://www.youtube.com/watch?v=t9XKZRIIazc
動画に出てくる最初の例は、広背筋を多く使うトレーニグにより肩甲骨が下に押し付けられて、なで肩になっている状態。デッドリフトや懸垂で広背筋は強く使うし、ベンチプレスやスクワットでも肩甲骨は下に押し付けられやすい。そのため本格的なウェイトトレーニングを行うとこの状態になりやすい。この場合は広背筋のストレッチを行うのが良いだろう。

動画の1:43~でmilitary postureと言っている例は、菱形筋が固く縮こまって肩甲骨が寄りすぎて少し上がっている状態。ベンチプレスやスクワットでは肩甲骨を寄せて固定するし、また身体を後ろに倒して肩をすくめながらローイングをやるとこうなりやすい。この場合は肩甲骨を開くストレッチをやったり、テニスボールなどでマッサージして菱形筋をほぐすと良い。

動画:Effects of bad posture on your spine: prevent with Low Pressure Fitness
https://www.youtube.com/watch?v=Obsut3Dc2Ok
大胸筋や小胸筋や広背筋が固く縮こまり、猫背巻き肩になっている例。首も前に突き出している。Youtube で bad posture で検索すると、もっとわかりやすい生身の人間の例が出てくるのだけど、対処方法がいまいちなのでここでは紹介しない。大胸筋や広背筋の使いすぎで猫背巻き肩になっている場合は、胸椎を伸ばし、大胸筋と広背筋のストレッチを行うと良い。


★使いすぎて固く縮こまっている筋肉をストレッチする
肩関節周りのストレッチを行う際に共通する注意点は、肩関節のボールとソケット部分のみを大きく曲げないこと。胸椎と肩甲骨を同時に大きくゆっくり動かすことを意識する。ボール・ソケット部分をグイグイ曲げると、肩関節の安定性が低下する恐れがある。肩甲骨と胸椎の可動性を高めることを意識してストレッチを行う。

・胸椎
丸まった胸椎を伸ばす。胸椎の捻りも重要。

TonyGentilcore.com How to Perform Thoracic Extension on Foam Roller Correctly
動画:https://www.youtube.com/watch?v=Oi9MeEGiQ-0
フォームローラーで胸椎を伸ばす時の注意点。腰椎を伸ばすのではなく、胸椎を伸ばす。グイグイと反らない。胸を開かない。首を反らない。1:00~が良いやり方の例で、腰が反らないよう体幹を締め、胸が開かないよう腕を前に伸ばしながら行う。胸椎の可動域は小さいので、少しだけ動かせば良い。

動画:HighPerformanceHandbook.com: Bench T-Spine Mobilizations
https://www.youtube.com/watch?v=qovO0ysEpuc
顎を引いて胸椎を伸ばしたまま、ゆっくりと身体を下ろしていく。下ろしきったところで息を深く吐き出す。広背筋や上腕三頭筋も同時にストレッチできる。

動画:HighPerformanceHandbook.com: Side-Lying Windmill
https://www.youtube.com/watch?v=RX21NOL61OE
腰椎は固定して捻らない(ヘソの位置が動かないよう意識するとやりやすい)。肩関節のみを回さず、胸椎を含む上背部全体を大きく回す。自分の手の動きを目で追うとやりやすい。

・大胸筋、小胸筋
グイグイとアグレッシブにストレッチしないこと。肩関節は優しく扱う。胸筋のストレッチはリラックスして鎖骨をゆっくり開くイメージでやると良い。腕だけ後ろにいって胴体が前に残ると、上腕骨のボール部分が前に押し出されて肩関節に良くない。

動画:Doorway slides
https://www.youtube.com/watch?v=b0Ccih0z7pE

動画:Corner Wall Chest Stretch
https://www.youtube.com/watch?v=Kvo7054R3fQ

動画:ShowandGoTraining.com: Pec Major & Minor Soft Tissue
https://www.youtube.com/watch?v=kOtSeKKJDmc

・広背筋
広背筋のストレッチのポイントは、腕を身体の前方に、親指は上を向く、肩甲骨も腕に合わせて動かす、胸椎は伸ばす、腰椎は丸める、伸ばしたポジションでゆっくりと息を吐いて、吐ききった状態で静止。

動画:EricCressey.com: TRX Deep Squat Breathing with Lat Stretch
https://www.youtube.com/watch?v=LENyTY-MKy4
広背筋のストレッチ。パワーラックに手を引っ掛けてやったり、床の上で土下座スタイルで腕を前に伸ばしてやっても良い。

・菱形筋
菱形筋のストレッチを調べてみたけど、腕を自分の身体に寄せて引っ張ることで肩甲骨を開いて菱形筋をストレッチするやり方が多い。このやり方だと肩関節のボールとソケット部分の角度が鋭角になって、肩関節の安定性が低下しそうなので、肩関節のボールとソケットがなるべく鋭角にならず、肩甲骨をのみを開くやり方が望ましい。

動画:Rhomboid Stretch
https://www.youtube.com/watch?v=j4NyH5YNLl4
こんな感じが望ましい

動画:How to Stretch Rhomboids
https://www.youtube.com/watch?v=ca5j-33Bn6c
この動画の後半のように腕を自分の身体に寄せて引っ張ると肩関節に悪そうな感じ

個人的には、下図のようにダンベルを片手に持って、ダンベルの重さで菱形筋を伸ばすのがやりやすい。ダンベルの重さは私は20kgくらいがちょうど良かった。軽すぎると伸びないので適度に重いのが良いと思う。胸椎の捻り方向のストレッチも同時に行える。



動画:Tennis Ball Rolling Exercises for Upper Back Pain -Missoula Chiropractor Krieg Tip
https://www.youtube.com/watch?v=bFI6hGRa-hg
菱形筋をテニスボールでほぐす。肩甲骨と背骨の間にボールを置いて行う。硬めのマットレスのベッドの上に寝て行うのも良い。

・首の突き出し、反り

首周りのエクササイズは慎重にゆっくり行うこと。グリングリンと勢いよく回したり、強い負荷をかけないこと。それとスクワットやデッドリフトで首を反って挙上するのは、首の突き出しや反りを悪化させるので止めたほうが良い。

動画:FIX Forward Head Posture! (Daily Corrective Routine)
https://www.youtube.com/watch?v=wQylqaCl8Zo
首が前に突き出ている場合の矯正方法。他の箇所の姿勢矯正と同様に、固く縮こまっている筋肉を伸ばして、弱い筋肉を鍛える。顎を引くストレッチは、立って背中を壁につけて行うのも良い。



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9/28/2018

肩関節の基礎知識


熱心にウェイトトレーニングを行う人は、肩の怪我をしやすい。ウェイトトレーニングをハードに行いつつ、肩のコンディションを良好に保つにはどうすればよいか。基礎的な知識をいくつかの記事に分けて書いてみたい。

肩のコンディションは人によって様々で、現時点で痛みが激しい場合は、専門家に診てもらうのが良いだろう。


★肩関節の基礎知識
肩関節は、ボール(上腕骨頭)とソケット(肩甲骨関節窩)の組み合わせになっている。ただソケットはかなり浅いので、プラモデルのボールジョイントなどと違ってボールがずれやすい。けん玉の皿と玉、もしくはゴルフのティーとボールの形に近い。肩関節には腱や靭帯や神経が密集しており、ボールがずれるとこれらの組織を圧迫して不具合が生じる。




運動を熱心に行う人が肩関節の健康を保つために最も重要なことは、

ソケットからボールをずらさない


そのためには腕と肩甲骨がうまく連動して動くことが必要となる。腕を動かすとボールが動き、腕に連動して肩甲骨が動くことで、肩甲骨のソケットで上腕のボールを受ける。

上腕骨と肩甲骨の連動の話でよく言及されるのが肩甲上腕リズムで、筋トレだとショルダープレスを行う際にこの動きになる。

動画:Scapulohumeral Rhythm
https://www.youtube.com/watch?v=rpzBGlOEW4E


腕を上に挙げる時だけではなく、腕立て伏せで腕を身体の前方に押し出す動きでも、ローイングで腕を後ろに引く動きでも、肩甲骨と上腕が上手く連動して動くことが大事。腕が前に出れば、肩甲骨も前に出る。腕を後ろに引けば肩甲骨も後方からやや内側に動く。

ローイングやプルやプレスの種目で、フォームについて考える時は、「肩甲骨と上腕が連動し、ボールがソケットからずれていないか?」を考えるのが良いと思う。ローイングでは肩甲骨を寄せて・・・といったキューは本質的ではないだろう。

(この点で、肩甲骨を寄せて固定したまま上腕を前に動かすベンチプレスの動作は、肩関節にとっては不自然な動作になる。ベンチプレスでは肩甲骨を固定して安定性を高めることでより強い力を発揮するようにしていて、「強い力を発揮する」という観点からは理に適ったフォームではあるのだけど、肩関節の健康という観点からはデメリットがある)

上腕と肩甲骨の連動のためには、大胸筋や広背筋といった大きな筋肉の筋力や柔軟性、前鋸筋や僧帽筋やローテーターカフの働きなど、肩関節の動きに関わる筋肉のバランスが重要となってくる。また肩甲骨や上腕骨や胸椎といった骨が、姿勢の良い位置に収まっていることも重要となる。


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4/21/2017

腰痛の予防

腰痛には様々なケースがあるけど、現在それなりに健康で運動をしていて、腰の健康を維持したいと考えている人向けの内容。

現在腰痛を抱えている人も、ここに書かれている内容で当てはまるものがあるなら、改善を目指してエクササイズなどをやってみるのも価値があると思う。


★腰痛豆知識
- 誰しも生きていればほぼ確実に腰痛を経験する。備えあれば憂いなし。
- 腰痛の原因についてはっきりした診断を得られないかもしれない。医者に診てもらっても、身体のどこに問題があって腰痛になっているのか、はっきりわからないことが多い。
- 特に痛みなどがなく無症状であっても背骨の状態が異常になっていることがある。特に高齢者に多い。ゆっくりした悪化で普段の生活に支障がなければ、身体は痛みを感じないのかもしれない。
- 痛みとその原因となる部位が異なることがある。過去の怪我や柔軟性の不足で身体の一部が動かなくなると、他の部位が過度の可動域を要求されることになり、痛みが起きることがある。
- 寝起きは腰を痛めやすいので注意する。横になっている間に椎間板が水分を含んで膨らみ、起きたときは背骨がキツキツになって安全に曲げ伸ばしできる範囲が小さくなっている。物を拾ったりかがんだりといった日常生活での動作の際には気をつける。立った状態を続けると圧縮方向の力が背骨にかかって1,2時間で水が抜けるので、運動するならその後が良い。
- 子供と大人で怪我しやすい組織が違う。子供は骨がまだ弱いので、骨折しやすい。大人は骨が強いので、靭帯や椎間板などを怪我しやすい。いずれも相対的に弱い組織が先に壊れる。



★腰の反りすぎ・腰の丸まり
- 腰が反りすぎていることによる腰痛と、腰が丸まっていることによる腰痛がある。
- 腰が反りすぎていることによる腰痛は、一般的には立っているときに腰が痛くなる。このケースでは股関節の屈筋の短縮、臀筋がうまく使えていない、体幹の前側が弱いといった特徴がある。股関節の伸展がうまくできないので、デッドリフトなど股関節の伸展が必要な動作で腰を反らせて股関節の伸展を代償する。ウェイトトレーニングをやっている人に多い。骨盤の前傾の矯正プログラムで対処可能。

参考記事:骨盤の前傾の矯正

腰が丸まっていることによる腰痛は座っているときに腰が痛くなる。デスクワーカーと自転車競技者に多い。腰筋がうまく使えないとなりやすい。腰筋がうまく使えず股関節の屈曲を腰を丸めることで代償する。座りっぱなしにならないなど、なるべく腰が丸まった姿勢を取らないように気をつける。デスクワークの人はこまめに立ち上がってウロウロしたり、元気玉を作る姿勢を取ったりすると良い(この姿勢は肩の健康にも良い)。




★腰を痛めやすい状況
背骨がニュートラルポジションからずれているときに力が加わると痛めやすい。腰を丸めてデッドリフトを行うのは危険。

特にせん断方向の負荷は腰を痛めやすい。例えばデッドリフトで前かがみになっている時には強いせん断方向の力が加わっている。従って、前かがみの姿勢を取るときは、背骨がニュートラルの姿勢を保つよう腹圧や体幹の筋肉でしっかりサポートしないといけない。ウェイトトレーニング以外でも、日常生活で前かがみになって落ちているものを拾おうとする時など、気をつけないと腰を痛めてしまうことがある。

横から見た背骨のイメージ図。間に椎間板が挟まって周囲を靭帯や筋肉で支える構造になっている。実際はゆるやかなS字カーブが人間の背骨のニュートラルポジションだけど、イメージ図なので直線にしている。



ただし四つん這いの状態だと、腰はフラットにするかやや丸めるくらいしたほうが耐えられる。四足歩行動物の背骨は人間のようなS字になっていない。人間もプランクや自転車競技(ロードレース)の際は四足歩行動物のような背骨のポジションにすると耐えられる。ただ自転車競技で腰痛になるということは、慢性的にこの姿勢になることには人間は耐えられないのだろう。

参考記事:プランクのやり方

ちなみに競輪の腰痛は反り腰が要因みたいだ。姿勢は四つん這いだけど力のかけかたは片脚ずつ全力でスクワットするような感じだからか。



★安全な身体の動かし方
大きな力を生み出す時、腰椎はしっかり固定してなるべく動かさない。膝関節、股関節、胸椎、肩関節などを動かす。

ウェイトトレーニングだと胸椎を動かす種目はあまりないと思う。スクワットやデッドリフトは胸椎を動かさない。ボールを投げる動作やゴルフスイングでは胸椎を動かす。

捻り動作は、おちんちんとヘソが同じ方向を向くよう意識すると腰をひねりにくいと思う。胴体の捻りストレッチや捻りを入れた腹筋運動も同様。ジムで腰椎を捻ってる人をよく見かけるけど、あれだと腰に悪い。捻るのは胸椎。



★股関節の可動域の重要性
股関節の可動域が狭いと、例えば床に落ちているものを拾う時や床からデッドリフトを行う時に、股関節の動きだけでは手が届かなくなるので、腰を丸めて手を伸ばそうとする。

股関節のストレッチや可動域を広げるエクササイズをやると良い。内旋・外旋のストレッチは、膝が悪い人はあまりアグレッシブにやらないように注意。

hip mobility で動画検索して良さそうなのやってみるのも良いと思う。



★胸椎の可動域と筋肉
捻る動きのあるスポーツをやっている人は、胸椎の可動域も広げると良い。

参考記事:胸椎の姿勢矯正

胸椎を伸展する筋肉は腰椎を守るのに重要なのでケアすると良い。

マッサージの代用として、胸椎を伸展する筋肉をフォームローラーでコロコロ圧迫する。
動画:Thoracic Erector Rolling
https://www.youtube.com/watch?v=2nJGvEi_0bw

テニスボール2個をマスキングテープでつなげて、ピンポイントで。
動画:Tennis Ball T Spine
https://www.youtube.com/watch?v=tDwG8-Q3c1g



★足首の可動域
足首の可動性は、股関節の可動性と腰椎の安定性に密接に関係する。

ヒールが高い靴を履くと、重心がつま先側に移動し、バランスを取るために腰を伸ばす筋肉が緊張し続ける。妊娠してお腹が大きくなり重心が前側に移動する女性が腰椎になりやすいのも同様の理由。

足首の背屈(つま先をスネに近づける動き)の可動域が狭いと、しゃがんだり、スクワットしたりするときに、足首が曲がらないので膝がつっぱった状態になり、股関節を大きく曲げて、それでも足りない可動域を腰を丸めることで補おうとする。

重心が前側になると、足が回内(土踏まずが潰れる方向の動き)し、それに抵抗するために股関節の外旋を行う筋肉が緊張し続け長期的には固く短くなり、股関節の可動域が狭くなる。外旋の筋肉が固いと股関節の内旋の可動域が小さくなり腰痛になりやすい。足首の可動域と同時に股関節の可動域も狭くならないようにする。

こんな感じでストレッチをする。膝を曲げた状態と、膝を伸ばした状態の両方をやると良い。



★体幹トレーニング
腰を守るためにどのような種類の体幹トレーニングが必要かは人によって異なる。

体幹トレーニングで負荷をかける方向性を3つに分けると、

・屈曲への抵抗
胴体が屈曲することに抵抗するトレーニング。例えばデッドリフトやスクワット。これらの種目を行っていれば、この方向への体幹トレーニングは特に追加でやる必要はない。

・伸展への抵抗
胴体が伸展することに抵抗するトレーニング。例えばプランクや腹筋ローラー。

・捻りへの抵抗
サイドブリッジ
動画:Side Bridge Wall Slide
https://www.youtube.com/watch?v=M6ajilgRpgA

ケーブルマシンを使っての捻り方向への負荷
動画:Pall of Press
https://www.youtube.com/watch?v=Ifwbhli7O90

ゴムチューブでも代用できる
動画:Pallof Press 2.0 - Cable Tight Rotation - New Abs/ Core Exercise  
https://www.youtube.com/watch?v=0UeD7T0U1gY

動画:Recoiled Med Ball Shotput
https://www.youtube.com/watch?v=Y3olv_RdWUg


体幹トレーニングの基本は、
1) その人にとってどの方向性の体幹トレーニングが必要か判断する。その時点の筋肉のバランスと、生活やスポーツで必要とされる体幹の安定を考える。
2) アイソメトリックで体幹を安定させる筋肉を意識して動員できるようにする。慣れたら筋力を強化する。
3) 体幹を安定させたまま、股関節など他の関節を大きく動かす。その人の生活やスポーツにとって必要な動作を、体幹を安定させたまま行えるよう身体に学習させる。



★片脚でのトレーニング
片脚でのトレーニングは以下のようなメリットがあるので、補助種目としてトレーニングに取り入れると良い。
- 日常生活やスポーツでの動作に近い。
- 背骨の姿勢をニュートラルに保ちやすい。
- 前かがみにならず上半身を立てたままのトレーニングがしやすい
- 股関節の内転と外転の筋肉がバランス良く鍛えられる。

種目は、ランジ、ブルガリアンスクワット、スプリットスクワット、片脚RDLなど。膝に不安がある場合はリバースランジがおすすめ。上半身があまり傾かない種目は、ゴブレットスクワットの要領でダンベルを持つと上半身の良い姿勢を保てるので、ダンベル一個で重量が足りる人にはおすすめ。


★ベンチプレスで腰が痛い場合
腰の反りすぎによる腰痛でベンチプレスの際に腰が痛い場合は、足の下にプレートか有酸素運動用の踏み台を置くと、足の位置が少し高くなって腰の反りが和らぐ。もしくはインクラインベンチプレスでも腰が反りにくくなる。
腰が痛いときに上半身のトレーニングを行うときは、ダンベルよりもバーベルのほうが楽。ダンベルはラックへの出し入れのときに腰にくる。



参考記事:
Lower Back Savers
https://www.t-nation.com/training/lower-back-savers

More Lower Back Savers
https://www.t-nation.com/training/more-lower-back-savers

Bulletproof That Back
https://www.t-nation.com/training/bulletproof-that-back


関連記事:
腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)

3/22/2017

プレス動作のステップアップ

Ask EC: Installment 1
http://ericcressey.com/ask-ec-installment-1

肩峰下インピンジメントが治癒して、プレス動作のトレーニングを再開する際にどのようなエクササイズを行ったら良いかという質問にEric Cresseyが回答している。

肩の調子が悪い人のエクササイズ選択の参考にもなるので紹介。


★ステップアップ順
順序が最初の方のエクササイズは、肩がそれほど頑健でなくても怪我のリスクが低い。

自重腕立て伏せ → 荷重腕立て伏せ → 低い位置からのケーブルクロスオーバー → 尻の位置からのケーブルクロスオーバー → ニュートラルグリップ(両手の掌が内側を向く)でのダンベルフロアプレス → ニュートラルグリップでのデクラインダンベルプレス → 順手でのデクラインダンベルプレス → バーベルフロアプレス → デクラインバーベルベンチプレス → フラットベンチでのダンベルプレス → インクラインダンベルプレス → フラットベンチでのバーベルベンチプレス → インクラインベンチプレス → ダンベルミリタリープレス → バーベルミリタリープレス/プッシュプレス → ビハインドネックプレス

必ずしも最後までステップアップする必要はない。肩の怪我をした人にとっては、ビハインドネックプレスは得られるリターンに比べてリスクが大きすぎる場合がある。


★なぜこの順序なのか
1) 肩甲骨と上腕骨のスタビライザーは、クローズドチェイン(手もしくは足の位置が固定)のエクササイズで最も効果的に働く。したがって腕立て伏せはスタビライザーを動員しやすい。

2) インピンジメントの症状は、肩関節の屈曲・外転が90度を超えると悪化しやすい。したがって直立時に腕が肩よりも上にくる角度で行うインクラインやオーバーヘッドプレスの順序は後の方になる。(肩関節の屈曲はフロントレイズの動き、肩関節の外転はサイドレイズの動き)

3) ケーブルクロスオーバーのように上腕骨頭を関節窩(肩関節のソケット)から引っ張る動きは、上腕骨頭を関節窩に押し付ける動きよりも怪我歴のある筋肉にとってダメージが少ない。

4) 順手でダンベル/バーベルを握ると上腕骨が内旋のポジションになり、肩峰下のスペースが小さくなって再び肩峰下の怪我をするリスクが高くなる。


★その他注意点
- 最初はゆっくり丁寧に行う。特にエキセントリックをゆっくり。
- エクササイズ中とそのあとに肩に痛みが出ないか注意する。出たらステップバックしてリスクの低いエクササイズを行う。
- 肩甲骨の内転(寄せる動き)と下制(下げる動き)と上腕の外旋を、並行して鍛える。

・肩甲骨の内転のエクササイズ例
シーテッドロウやベントオーバーラテラルレイズやフェイスプルなど。軽い重量で肩甲骨から動かして肩甲骨を寄せるのを意識する。手や肘から動かすとだいたい肩に良くない動きになるので注意。

・肩甲骨の下制のエクササイズ例
動画:ShoulderPerformance.com: Prone 1-arm Trap Raise

動画:EricCressey.com: Troubleshooting the Prone 1-arm Trap Raise
- 仰向けになって顎を引く。
- 片腕ずつ行う。
- 意識して収縮させるのは僧帽筋下部で、メインで動かすのは「胸椎-肩甲骨」の部分。三角筋などを使って肩関節メインで動かさないこと。
- 肩がだらんと身体の前側に垂れないようにする。腕を上げるにつれ肩甲骨はやや後傾させる。
- 脇と胴体の角度は135度。

・上腕の外旋のエクササイズ例
動画:ShoulderPerformance.com: Elbow-Supported DB External Rotations



関連記事:
ショルダープレス

1/11/2017

股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み


トレーニングをしていると股関節の前側が痛いときがある、またその痛みを予防したい人向けの記事。慢性的な痛みが続いていたり、歩くだけで痛いといった場合は病院に行った方が良い。

股関節の前側の痛みの原因には、いくつかの候補がある。トレーニングを行う人によく見られる痛みの原因とその対処法を書いていく。


1) 股関節の屈筋の問題(腸腰筋、大腿直筋)
日々の生活で座っている時間が長くて股関節の屈筋が固く縮こまっていると、それ自体で屈筋が痛む場合があるし、股関節のボールとソケットが動くスペースが狭まることで衝突が起き痛みが起こる場合もある。また股関節の屈筋が固く縮こまっていると腰痛も起こりやすい。股関節の屈筋が縮こまっていると骨盤が前傾して腰椎が過度に伸展しやすく、大腰筋が縮こまっていると腰椎が直接引っ張られて過度に伸展しやすい。左右差があると腰椎に捻じれも起こる。

それとウェイトトレーニングでは少ないと思うけど、股関節の屈筋が繰り返し伸ばされて炎症を起こしたり、急激に伸ばされて怪我をするケースもある。

股関節の屈筋が固いかどうかはトーマステストで調べられる。

動画:Thomas Flexor Stretch | hip flexor self test

固い場合はストレッチを行う。股関節の屈筋をストレッチする時は、同時に臀筋を強く収縮させると良い。


2) 骨の問題
大腿骨頭と、それが嵌まる骨盤のソケット部分のかみ合わせがあまり良くないと、股関節で衝突が起きる。スクワットで深くしゃがもうとすると股関節の前側が痛みそれ以上しゃがめない場合はこの可能性がある。深くしゃがむスクワットを止め、他の種目に切り替えて、痛みがなくなるか観察する。

参考サイト:股関節インピンジメント


3) 股関節の伸展をする時に臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使っている
臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行うと、大腿骨が前方に押し出され、股関節の前側で摩擦が起きたりする。ハムストリングスだけでなく臀筋もしっかり使って股関節の伸展を行うと、大腿骨頭がソケットにうまく嵌ってスムーズに動く。

この画像の上図が臀筋を使って股関節の伸展を行う様子。下図がハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行う様子で、大腿骨頭が身体の前方に押し出されている。

このケースでは、痛みはあるけどスクワットで深くしゃがめる。また、ハムストリングスや内転筋が固く張っていたり、腰が痛む(腰が過度に反ることでの痛み)といった症状を伴うことがある。

スクワットとデッドリフトで臀筋をしっかり使っておらず股関節のロックアウトが出来ていない例を出すと、

スクワットはこんな感じ
動画:Bad Squat Finish: Incomplete Hip Extension

デッドリフトはこんな感じ。ちゃんと見てないけどたぶん言ってることは正しい。
動画:Deadlifting 315 lbs. with BAD FORM To Prove A Point

デッドリフトの動画から画像キャプチャして例を出すと、

1.ハムストリングスと腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。

2.大腿四頭筋と腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。

3.臀筋を使って股関節をロックアウト(良い例)。

上に挙げたような悪いフォームでトレーニングを行っている人は、股関節の前側やハムストリングスや腰を痛めるリスクが高いので注意した方が良い。臀筋を使って股関節の伸展を行うやり方を覚えるには、ヒップスラストをやるのが良いと思う。臀筋も集中的に鍛えられる。

参考記事:ヒップスラストのやり方

下の動画の1:30あたりから正しい股関節の使い方の実演がある。ヒップスラストもデッドリフトもスクワットも、ロックアウトの時の股関節の使い方は同じ。
動画:Proper Hip Thrust Form

臀筋を鍛えるには、アイソメトリックで臀筋を強く収縮させるのも良い。
動画:Half Kneeling Glute Posterior Tilt Hard Brace


4) 体幹が弱い
レッグレイズやデッドバグなど脚を上げ下げして腹筋を鍛える運動をする際、特に脚を下ろす時に股関節の前側が痛くなる場合。このケースでは体幹の筋肉が弱くて、代償として大腿直筋や縫工筋や腸腰筋といった股関節の屈筋が過度に働いている。

対処法は、腹筋下部と腹斜筋に強く力を入れる。ドローインしながらやるとやりやすい。これでも良くならない場合は、膝を曲げながら脚の上げ下げを行うと良い。



★まとめ
ウェイトトレーニングを行っている人に多いケースは、1)と3)の組み合わせだろう。対処法は、股関節の屈筋のストレッチと臀筋の強化を行い、股関節の正しい使い方を覚える。デッドバグやプランクで腹筋下部の強化も行った方が良い(参考記事:骨盤の前傾の矯正)。3)だけなら股関節の屈筋のストレッチは行わないほうが良いだろう。


参考サイト:
Troubleshooting Anterior Hip Pain
http://deansomerset.com/troubleshooting-anterior-hip-pain/

Hip Pain In Athletes: Understanding Femoral Anterior Glide Syndrome
http://ericcressey.com/newsletter150html

How Should I Treat My Sore, Tight Hip Flexors?
https://www.girlsgonestrong.com/blog/injury-prevention/ask-ann-how-should-i-treat-my-sore-and-tight-hip-flexor/

Squats and Hip Dysfunction: 2 Common Problems and How to Fix Them
https://breakingmuscle.com/learn/squats-and-hip-dysfunction-2-common-problems-and-how-to-fix-them

1/03/2017

胸椎の姿勢矯正

胸椎の姿勢矯正と可動域の確保の話。


★胸椎とは
胸椎は背骨の胸のあたり。下の背骨の画像の青い部分。

胸椎はニュートラル姿勢でもやや曲がっているが、過度に曲がっていたり(猫背)、可動域に問題があると、生活に支障がでる。ウェイトトレーニングの観点からは、ショルダープレスなどの肩のトレーニングが良いフォームで行えず、怪我をしやすくなる。BIG3も良いフォームで行えない。

座っている時間が長い生活をしていると猫背になりやすい。歳をとるほど悪い姿勢による歪みが蓄積されていき、また老化により自然に可動域が狭くなる。


★胸椎の役割
・胸椎の機能的役割は以下の三つ
- 肋骨の接合点
- 肩甲骨の接合点
- 可動性(曲がる・捻る)

・肋骨は肋間筋で相互接続されている。また斜角筋、横隔膜、腹直筋など呼吸に関係する筋肉の影響を受ける。

・呼吸は上半身の運動機能において重要な役割を果たす。
- 肋間筋が縮こまっていて横隔膜が圧迫されていると、背中が丸まって伸ばせなくなる。肩の動きや首の姿勢に問題も出る。
- 肋間筋が縮こまったままだと呼吸において役割を果たせなくなり、横隔膜のみで呼吸を行うようになる。この状態だと呼吸で腹部のみが動く。
- 深く息を吸って吐く際には、機能が正常なら肋骨の上部と下部、腹部が大きく膨らんでもとに戻る。
- 胸椎が伸ばせないと、肩甲骨の動きが制限され、肩の働きに問題がでる。
- 座っている時間が長いと、胸椎が過度に曲がった状態で固定され、また呼吸も正常に行えなくなる。
- 胸椎の可動性が足りないと、背中の曲げ伸ばしが他の部分、例えば腰椎で行われる


★可動性チェック
・胸椎の横方向の曲がり
背骨の一箇所が曲がるのではなくて全体的に均等に曲がるのが良い。年齢にもよるが左右とも45度くらい曲がるのが目安。
動画:Lateral flexion spinal assessment

・胸椎の捻り
動画:3-point T-spine rotations

・胸椎の伸展
動画:T-spine extension

・肩甲骨の可動性
腕を真っすぐ伸ばして行う。上腕二頭筋が耳をこするのをイメージ。
動画:Supine Shoulder Flexion

。胸椎の伸展と捻り
動画:1-arm Overhead squat

これらの動作は矯正エクササイズとしても有効。


★矯正エクササイズ
・呼吸
- 背筋を伸ばして座って最大限に息を吸い込む。

- ゴムチューブを胸に巻いてチューブが伸びるように息を吸い込む。
動画:Banded Breathing

- 腕を頭の上にあげる時に息を大きく吸い込む。
動画:Supine Shoulder Flexion

- 胸椎の伸展と捻り。ランジの姿勢で腕を上げる 動画
動画:Box lunge & rotate

・胸椎の伸展と首の位置の矯正

動画:Sun Dogs

動画:Cable Face Pulls

・捻りの可動性確保
胸椎の捻りはウェイトトレーニング種目ではほとんど使わないけど、スポーツや日常動作(歩行や腕を前に伸ばして物を取る動きなど)ではとても重要。以下の捻りエクササイズでは、腰椎や肩関節を捻るのではなくて、胸椎を捻ることを意識する。

動画:bent over rotations

動画:Side Lying Extension Rotation

・肩後部の強化
水平方向のプル動作。留意点は、
- 胸を前に押しだすイメージで行うと胸椎が伸展されやすく、上背部の筋肉も動員しやすい。
- 顎を引く
動画:chin tuck hanging rows

・色々角度での肩後部の安定性。ベンチにうつ伏せに寝てダンベルを使うのも良いと思う。
動画:Cable wide arm altered Pollof Press



参考サイト:
All Things Thoracic Spine Part 1: Functional Anatomy
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-1-functional-anatomy/

All Things Thoracic Spine Part Two: Assessments and Figuring it All Out
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-two-assessments-and-figuring-it-all-out/

All Things Thoracic Spine Part 3: Corrective Strategies
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-3-corrective-strategies/