熱心にウェイトトレーニングを行う人は、肩の怪我をしやすい。ウェイトトレーニングをハードに行いつつ、肩のコンディションを良好に保つにはどうすればよいか。基礎的な知識をいくつかの記事に分けて書いてみたい。
肩のコンディションは人によって様々で、現時点で痛みが激しい場合は、専門家に診てもらうのが良いだろう。
★肩関節の基礎知識
肩関節は、ボール(上腕骨頭)とソケット(肩甲骨関節窩)の組み合わせになっている。ただソケットはかなり浅いので、プラモデルのボールジョイントなどと違ってボールがずれやすい。けん玉の皿と玉、もしくはゴルフのティーとボールの形に近い。肩関節には腱や靭帯や神経が密集しており、ボールがずれるとこれらの組織を圧迫して不具合が生じる。
運動を熱心に行う人が肩関節の健康を保つために最も重要なことは、
ソケットからボールをずらさない
そのためには腕と肩甲骨がうまく連動して動くことが必要となる。腕を動かすとボールが動き、腕に連動して肩甲骨が動くことで、肩甲骨のソケットで上腕のボールを受ける。
上腕骨と肩甲骨の連動の話でよく言及されるのが肩甲上腕リズムで、筋トレだとショルダープレスを行う際にこの動きになる。
動画:Scapulohumeral Rhythm
https://www.youtube.com/watch?v=rpzBGlOEW4E
腕を上に挙げる時だけではなく、腕立て伏せで腕を身体の前方に押し出す動きでも、ローイングで腕を後ろに引く動きでも、肩甲骨と上腕が上手く連動して動くことが大事。腕が前に出れば、肩甲骨も前に出る。腕を後ろに引けば肩甲骨も後方からやや内側に動く。
ローイングやプルやプレスの種目で、フォームについて考える時は、「肩甲骨と上腕が連動し、ボールがソケットからずれていないか?」を考えるのが良いと思う。ローイングでは肩甲骨を寄せて・・・といったキューは本質的ではないだろう。
(この点で、肩甲骨を寄せて固定したまま上腕を前に動かすベンチプレスの動作は、肩関節にとっては不自然な動作になる。ベンチプレスでは肩甲骨を固定して安定性を高めることでより強い力を発揮するようにしていて、「強い力を発揮する」という観点からは理に適ったフォームではあるのだけど、肩関節の健康という観点からはデメリットがある)
上腕と肩甲骨の連動のためには、大胸筋や広背筋といった大きな筋肉の筋力や柔軟性、前鋸筋や僧帽筋やローテーターカフの働きなど、肩関節の動きに関わる筋肉のバランスが重要となってくる。また肩甲骨や上腕骨や胸椎といった骨が、姿勢の良い位置に収まっていることも重要となる。
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