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8/21/2020

ケーススタディ:ボディビルダーの減量とコンテスト後の回復

(1)Natural Bodybuilding Competition Preparation and Recovery: A 12-Month Case Study
https://pdfs.semanticscholar.org/7eb2/f2177a56705379065088b3480ce75329fd8e.pdf

一人の男性ボディビルダーがコンテストに向けて減量するまでと、コンテスト後の回復を記録した研究。細かく記録されているので、減量期間の食事や体組成推移などを見ていきたい。

7/21/2017

減量時に助かるアイテム(※個人の感想です)

★タンパク質源
・カッテージチーズ
カッテージチーズの主成分であるカゼインは消化吸収が非常に遅いので、アミノ酸の長時間供給の観点から減量時に向いている。カロリーオフカルピスを原液で少量かけると食べやすい。
カルピスの他のフレーバーをかけると色々な味になって楽しい。個人的には以下のレモン味がベスト。


・青魚の缶詰
オメガ3脂肪酸の摂取も兼ねて。鯖やサンマの塩焼きなど。蒲焼きや味噌煮は米が無いと味が濃い。水煮単品はちょっとキツイ。
味はこれが良かった。


・ミセラーカゼインプロテインパウダー
オプティマムのナチュラルカゼインのチョコ味とザバスホエイストロベリー味を混ぜて、少量の低脂肪乳で練り練りするとイチゴチョコ味になっておいしい。トルコアイスくらいの固さに練る。
国内メーカーでは普通の価格で買えるミセラーカゼインが見つからない、海外メーカーの人工甘味料の味付けが苦手、ということでオプティマムのナチュラルカゼインを個人輸入しています。





あとはツナ缶とか。私は偏食で肉が食べられないけど、サラダチキンなど脂質の少ない肉も良いですね。


★野菜
・ノンオイルドレッシング
生野菜に

・マジックソルトなど
茹で野菜に
・シーズニング
お酒にも合う低カロリーの料理が簡単に作れる



★旨味成分
旨味成分があるものを飲み食いすると空腹感を抑えやすい。

・低カロリーのインスタントスープ

・わさび茶漬けの元
乱切りキュウリにふりかけるとおいしい。お湯入れてスープとして飲むのもなかなかおいしい。

・ハードタイプのチーズ
パルミジャーノ・レッジャーノなど。旨味成分が豊富。少量をかじる。



★デザート
・ゼロカロリーゼリー
ブルボンも同じようなの出してるけど、たらみの方が食べごたえあって好み。

・かき氷器で氷を削ってCCレモンゼロをかける。


★便通対策
私の場合は以下の2点の組み合わせで毎朝ウンコが出ます。

・1日分の食物繊維
カゼインプロテインパウダーを練り練りしたものに乗せるとクリスピー食感が加わって美味。

・新ビオフェルミンS


関連記事:
減量時の食事調整例

8/20/2016

増量と減量の移行期

増量から減量に移行するときも、減量から増量に移行するときも、すぐに切り替えるのではなくて2-4週間の移行期を入れると上手くいきやすい。

元ネタ
 ↓
The Transition Phase Between Dieting and Gaining
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/transition-phase-between-dieting-gaining.html/


★増量から減量への移行
・目的
- ハードなトレーニングを止めた後も、増量期のトレーニング効果はある程度は続いているのでそれを回収する。
- 有酸素運動など減量期に行うトレーニングに慣れておく。

・期間
- 2-4週間

・食事
- 維持カロリーにする。
- タンパク質摂取量を少し増やす。ここでは体脂肪率15%以下の男性で除脂肪体重1ポンドあたり1.2gが推奨されている。
- 炭水化物と脂質はほどほどに摂取。

・トレーニング
- 高レップトレや有酸素運動など、減量期に取り入れるトレーニングに慣れておく。
- 高強度トレ(低中レップ)のボリュームを減らして疲労を抜く。減量期は回復力が弱まるので疲労を抜いておいたほうが良い。

移行期の後は、摂取カロリーを減らせばそのまま減量期が始まる。


★減量から増量への移行
・目的
- 減量により代謝が低下しているので、いきなりオーバーカロリーにすると体脂肪が増えやすい。
- 維持カロリーにし体脂肪を増やさないようにしつつ、内分泌系を回復させる。内分泌系が回復してくると代謝も戻ってきて消費カロリーも上昇していく。

・期間
- 2-4週間

・食事
- 維持カロリー。ただし減量前よりも消費カロリーは低下しているので気をつけること。体重から想定される消費カロリーに0.9を掛けた摂取カロリーにするか、減量中のカロリーから徐々に摂取カロリーを増やしていく。体脂肪が増えない限りは、摂取カロリーを少しずつ増やしていく。
- 最初の数日間はグリコーゲンと水分が蓄えられることで一気に体重が増えるが、体脂肪が増えているわけではないので焦らないように。体脂肪を1kg増やすのには7500kcal程度のカロリー超過が必要。どか食いしない限りは、短期間にそんなにカロリー超過しない。
- タンパク質の摂取量について。維持カロリーでは身体が必要とするタンパク質摂取量は減るが、タンパク質摂取量を多めにすることで食欲の爆発を抑えやすくなる。減量終了後に摂取カロリーを増やすときは食欲が爆発しやすく、コントロールを失ってどか食いすると一気に体脂肪が増えてしまう。減量後の移行期は減量中と同程度のタンパク質摂取量にするのが推奨される。
- 炭水化物は最低でも120-150gは摂取すること。レプチンと甲状腺ホルモンの回復のため。
- 体脂肪が蓄えられやすくなっているので、脂質は少なめ。総カロリーの20-25%程度が目安。

・トレーニング
- 減量中にHITをやっていた場合は、回復のために止める。高レップトレも無くしても良い。
- 有酸素運動を減らす。ただ有酸素運動をある程度は続けておくと、食欲のコントロールを失った場合の摂取カロリー増加を相殺できる。
- 低中レップトレのボリュームを徐々に増やしていく。強度(重量)は下げても良い。維持カロリーに戻しているので、強度を下げても筋肉は減りにくい。強度を下げることで疲労を抜き、増量期でのハードトレーニングに備える。移行期の終盤に向けて再び強度を上げていく。

4/19/2016

減量時の食事調整例

私はだいたいこんな感じで減量しています。ウェイトトレーニングを行っている体脂肪率10-20%の男性。


★前提として以下を身につけていること
・体重変動の把握
朝起きて放尿してから体重測定。一週間の平均値で体重の増減を判断。

・食べ物のマクロ栄養素の大雑把な把握
スーパーやコンビニで売られているものは容器の栄養成分表示をチェック。外食はカロリー表示ある場合はチェック。自炊でよく使う食材は食品成分表でチェック。こまめに栄養成分を調べていると食べ物のマクロ栄養素が何となく把握できるようになる。

・摂取タンパク質量のカウント
各食事のタンパク質量を把握し、一日トータルで必要量を満たす。


★食べ物のカテゴライズ
◇減量でも必ず食べる
- タンパク質源:肉、魚、乳製品、卵、プロテインパウダー
- オメガ3脂肪酸:青魚(DHA・EPA)、亜麻仁油等(αリノレン酸)、魚油サプリメント
- 微量栄養素・繊維質:野菜、豆、生の果物

◇カロリー調整に使う
- 油:マヨネーズ、バター、ドレッシング、揚げ物、クリームチーズ
- 炭水化物:米、パン、麺類、芋、かぼちゃ、豆
- お菓子


★体重減少ペースの目安
1週間に体重を0.5-1.0%減らす。体重70kgだったら1週間に350-700gのペースで減らすのが目安。これは体脂肪率10-20%の男性の場合。体脂肪率がこれより高い場合はもっと速いペースでも可。女性は男性の基準体脂肪率に+7%程度して考える。


★減量プロセス
まずは体重変動が起きない食事量を把握。上記の食べ物カテゴリごとにどれくらい食べると体重が維持されるか把握。

最初の1週間くらいはグリコーゲンと水分が抜けることで体重がストンと落ちる。これは体重減少ペースの勘定には入れない。

減量が進むと、主に基礎代謝とNEATが減少し消費カロリーが低下する。これにより体重減少ペースが落ちてくる。そうしたら次の段階に移行。一時的な停滞の場合もあるので、体重が減らなくなっても1-2週間は様子見、炭水化物のリフィードで水が抜けるかどうかも試す。男性の場合はウェスト周りの変化も進捗管理に利用できる。ウェストが減っていればだいたい体脂肪は減っている。

[第一段階]
油とお菓子をカット。ドレッシングはノンオイルに。脂質はタンパク質源の食べ物に十分に含まれている。炭水化物も精製度の高いものを中心にある程度減らす。繊維質摂取のため、芋やオートミールを優先的に食べる。減量中は便秘になりやすい。

[第二段階]
タンパク質の摂取量は減らさず、タンパク質源を低脂質のもの中心に。肉だったら脂身がすくないもの。乳製品は低脂肪のもの。全卵は控えめに。魚の脂質はオメガ3脂肪酸が豊富なので魚はそのまま。果物は控える。

[第三段階]
炭水化物をさらに減らす。ウェイトトレーニングの強度が維持できる程度には食べる。

[第四段階]
食べ物を削るのが難しくなってくるので、有酸素運動で消費カロリーを増やす。有酸素運動はウェイトトレーニングに支障が出ないよう、また関節を痛めないよう、軽いものにする。ウォーキング、エアロバイク、ゆっくり泳ぐなど。個人的にはエリプティカルトレーナーが関節へのダメージが小さくて良い感じ。

<イメージ図>


第四段階までやって体重が減らなくなってきたら、2週間程度のダイエット休止を行う。もしくは2ヶ月に1度といった決まった頻度でダイエット休止を行うのも良い。ダイエット休止では主に炭水化物の摂取量を増やし、摂取カロリーを引き上げ、消費カロリーと摂取カロリーをバランスさせる。

消費カロリーは、エネルギーのストック(体脂肪水準)とフロー(摂取カロリー)の両方が影響する。フローを戻してやることで、消費カロリーをある程度回復することを目指す。戻すと言っても減量前に比べればバランスの取れるカロリーは低下しているので、食べ過ぎないように注意する。

リフィードで炭水化物を一気に入れてから維持モードにする方法と、少しずつ摂取カロリーを増やしてい行く方法がある。最初の数日はグリコーゲンと水分が回復して急激に体重が増える。その後は体重が横ばいになるようにする。個人差はあるけど炭水化物を1日あたり50-100g程度増やすのが目安。一日のトータルの炭水化物摂取量は100g以上が望ましい。

旅行などの予定がある場合は、その期間をダイエット休止にするのも良い。その場合は厳密に食事管理をすることは困難なので、楽しむのを優先しつつも食べ過ぎないようにし、体重を維持することを目指す。

2週間程度のダイエット休止が終わったら再び減量スタート。


★その他留意事項
息抜きのために週に一回くらいはお菓子も可。200kcal以内が目安。和菓子など脂質が少ないものが良い。私は下半身トレの日に甘いものを食べてます。どら焼きなど。テンション上がる。

ウェイトトレーニングは行わず体脂肪率が高い人は、インスリン抵抗性の問題で炭水化物への反応が悪い場合があるので、炭水化物を優先的に減らすのも良いかもしれない。



関連記事:
体重減少への代謝適応

なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか

減量ペースの違いによる体組成変化と運動パフォーマンス変化

タンパク質摂取量の目安

2/28/2016

体重減少への代謝適応

Metabolic adaptation to weight loss: implications for the athlete
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-7

減量を続けていくと体重が落ちにくくなっていく。この時、身体で起きている適応について調べたレビュー論文。

★エネルギー不足への内分泌反応
- 甲状腺ホルモン、特にT3は、代謝率の調整に重要で直接的な働きをする。甲状腺ホルモンの血中レベルが増加すると代謝率が上がり、減少すると下る。
- レプチンは短期と長期のエネルギー可用性(availability)の指標として機能する。短期的なエネルギー制限と低い体脂肪率はレプチンレベルの低下を伴う。
- 高いインスリン血中レベルはエネルギー可用性のシグナルになり、食欲抑制効果を伴う。
- グレリンは食欲促進効果がある。
- テストステロンは体脂肪生成を抑制する可能性がある。
- コルチゾールは筋分解を促進する。レプチンの活動を抑制する可能性もある。

全体としては、カロリー不足への内分泌系の反応は、空腹感を増加させ、代謝率を低下させ、除脂肪体重の維持を脅かす。減量を止め低い体脂肪率を維持しようとする際も、これらのネガティブ(飢餓回避の観点ではポジティブ)なホルモンレベルは継続する。


★体重減少と代謝率

消費カロリーの項目
- total daily energy expenditure (TDEE) 1日の総エネルギー消費量
- basal metabolic rate (BMR) 基礎代謝量
- exercise activity thermogenesis (EAT) 身体活動代謝
- non-exercise activity thermogenesis (NEAT) 非運動性活動熱産生
- thermic effect of food (TEF) 食事誘発性熱産生



減量時には総エネルギー消費量が低下する。その内訳を項目別に見ていく。
- まず体重減少のぶん基礎代謝量が減る。
- 身体活動代謝も低下。体重減少したぶん動くのに必要なエネルギーが減るが、それに加えて筋肉が効率よく働くことで消費エネルギーが低下する。
- 食事誘発性熱産生も食べる量が減るぶん低下する。摂取カロリーの10%くらいが食事誘発性熱産生になるので、例えば摂取カロリーを1000kcal減らすと食事誘発性熱産生は100kcal減る。
- NEATも減る。無駄な動きをあまりしなくなる。

減量後に体重維持モードにしても、消費エネルギーは以前よりも低下した状態になる。リバウンドしやすい。


★熱生成の減少
熱生成でエネルギーを消費する量が減る。UCP-1の発現に加えて、甲状腺ホルモン、レプチン、コルチゾールが褐色脂肪細胞での熱生成の増減に関わっている可能性。


★実践
低カロリーの食生活を続けると、体重減少を防ぎエネルギー消費を抑えるための数多くの適応が起こる。適応の度合いは、カロリー赤字の大きさに比例するようなので、カロリー赤字を大きなものにせず(急激な減量はせず)、適応を緩やかにした減量の方が良いだろう。それにカロリー赤字が大きすぎると除脂肪体重が減りやすくなる。

減量を続けると代謝の適応により消費カロリーが低下し、体重が減らなくなる。そうしたら摂取カロリーをさらに減らし、再びカロリー赤字を作り出す。これを繰り返す。

最近ではリフィードが普及。主に炭水化物の摂取量を増やし、維持カロリーよりもわずかに多いカロリーを摂取。しばしばボディビルやフィジークの競技者は24時間のリフィードを週に1,2回行う。レプチンレベルを上げる事で代謝率を上昇させるのが目的。女性を対象とした研究では短期の炭水化物メインのカロリー過剰摂取(維持カロリー+40%)によりレプチリンレベルが上昇することが確認されているが、消費カロリーの増加はそれほどでもなく、1日の総エネルギー消費量が食事誘発性熱産生を含めて7%増えた程度。

※維持カロリーを続けてからカロリー過剰摂取を行った研究なので、減量を続けて消費カロリーが低下した状態ではまた違った結果になるかもしれない。アスリートの減量と同じような状況設定の研究が望まれる。まあリフィードは代謝回復には過度な期待はせず、メンタル面の息抜きと、筋グリコーゲン回復・トレーニング強度の維持を主目的とした方が良いと思う。

減量を続けて低い体脂肪率になると、維持カロリーに戻しても代謝の適応は完全には回復しない。この状態は体脂肪が増えやすいので気をつける。減量後の回復は摂取カロリーを少しずつ増やしていくと良い。またラット実験ではあるが、減量後のカロリーオーバーでの体脂肪増加は、脂肪細胞の過形成(脂肪細胞が増える)を伴うことが確認されている。減量と回復を繰り返すと、脂肪細胞が増えて減量が難しくなっていく可能性がある。


関連記事:
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか

2/17/2016

ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法

Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20


ナチュラル(薬物を使わない)ボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法を、栄養摂取とサプリメントの面で調べたレビュー論文。ボディビルをやらなくても、低い体脂肪率を目指す人には参考になると思います。


★減量期の摂取カロリーの設定
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくする。体脂肪1ポンドは約3500kcal。1日500kcalのカロリー赤字を続ければ、理論的には一週間で1ポンドずつ体脂肪が減っていく。しかし実際には、摂取カロリーの減少により代謝の適応が起こり消費カロリーも減少していく。過体重ではない男性を対象とした研究では、摂取カロリーを維持カロリーの50%に設定したダイエットを24週間続けたところ、体重が25%減少し、基礎代謝が40%減少した。この40%のうち25%は体重減少によるもので残り15%が代謝の適応によるものだと考えられる。従って、ダイエットを継続し体重減少が起きるとともに摂取カロリーの設定も調整していく必要がある。

カロリー赤字を大きくすればそれだけ速く体重が減少するが、除脂肪体重の減少も大きくなるというデメリットがある。推奨は、週に0.5-1.0%の体重減少ペースで、減量期間は2-4ヶ月間。スタート時の体脂肪率が高ければそれだけ減量期間も長くなる。体脂肪率が低くなるとより除脂肪体重が失われやすくなるので、減量期の後半は体重減少ペースを落とした方が良い。


★マクロ栄養素の摂取量
・タンパク質
除脂肪体重を維持するのに十分な量のタンパク質を摂取する。タンパク質の必要摂取量は運動や栄養状態によって変わってくる。
- 激しい運動を行う場合はより多くのタンパク質が必要になる。
- 減量時にはより多くのタンパク質が必要になる。
- 体脂肪率が低くなるとより多くのタンパク質が必要になる。

コンテスト準備期間のボディビルダーにはこれらの要素が全て当てはまる。この論文での推奨は1日に除脂肪体重1kgあたり2.3-3.1gのタンパク質を摂取。

・炭水化物
減らしすぎるとパフォーマンスの低下と除脂肪体重の減少につながる。低炭水化物による除脂肪体重の減少はインスリンとIGF-1のレベルの低下が関連しているようだ。

・脂質
減らしすぎるとテストステロンレベルの低下につながる。ただ、高タンパク質・高脂質・低炭水化物での減量と、高タンパク質・低脂質・高炭水化物での減量を比べた場合、高炭水化物の方が除脂肪体重の維持につながったので、脂質と炭水化物だったら炭水化物を優先した方が良さそう。それと極度に低い体脂肪率にする場合はそれ自体がテストステロンレベルを大幅に低下させる。目安は摂取カロリーの20-30%を脂質で、カロリー摂取枠に余裕が無い場合は15-20%。

・ケトジェニックダイエットと個人差
デザインの良い研究がないので、除脂肪体重を維持しつつ体脂肪率を極度に低くする場合のケトジェニックダイエットの是非は今後の研究待ち。ただ、脂質多めが良いか炭水化物多めが良いかの反応には個人差がある。多くの人はこの論文での推奨レンジで良い結果がでるが、推奨レンジをはずれたマクロ栄養素バランスで良い結果を出す人もいる

・まとめ
減量ペースを決め、一日あたりのカロリー赤字を決定し、マクロ栄養素のバランスを決める。トレーニングのパフォーマンスが落ちてきたら、脂質を減らしその分の摂取カロリーを炭水化物に割り当てる。

減量ペース: 体重の0.5-1.0%/週
タンパク質: 2.3-3.1g/除脂肪体重kg/日
脂質: 総摂取カロリーの15-30%
炭水化物: タンパク質と脂質を除いた残りのカロリー


★栄養摂取のタイミング
一日のトータルの栄養摂取量が最も大事だろう。詳しくは以下の論文を参照。これもAlan A Aragonが関わっている。

ゴールデンタイムはあるのか?

激しい運動を2時間以上する場合は、1時間あたり8-15gのタンパク質と30-60gのカーボを6-8%の濃度で水に溶かした飲み物を摂取することで筋肉のダメージを抑える。

・状況毎の栄養摂取のタイミングの重要度
ピンポイントで摂取すべきか、フレキシブルに摂取してもよいか。

炭水化物
超重要: グリコーゲンを多く消費する運動を一日に複数回行う場合
タイミングは変更可能: 一晩の絶食の後のトレーニング。1~2時間の激しいトレーニング。
重要じゃない: 空腹ではない状態での1時間以内の低中強度のレジスタンストレーニング

タンパク質
超重要: 前回の食事から3-4時間以上経過した状態でのレジスタンストレーニング
タイミングは変更可能: タンパク質を十分に含む食事の後のレジスタンストレーニング
重要じゃない: 有酸素運動

サプリメント
超重要: カーボ/電解質のスポーツドリンク、カフェイン、その他のパフォーマンス向上効果のあるサプリメント
タイミングは変更可能: 無し
重要じゃない: クレアチニン、ベータアラニン、その他の筋肉の適応に長期的な効果のあるサプリメント


★食事頻度
トータルの摂取量が同じなら、一日の食事回数を多くしても少なくしても消費カロリーは変わらない。しかし食事パターンをコロコロ変えると食後の熱産生が減少し、インスリン感受性と血中脂質にネガティブな影響が出たという研究がある。ただ、運動はインスリン感受性と血中脂質を改善するので、これらへのネガティブな影響は運動をしない人に限られるだろう。

コンスタントにカロリーカットするダイエットと、普通に食べる日と極端に制限する日を交互に行うダイエット( ICR: intermittent calorie restriction)では、ICRの方が良い結果が出ているが、体組成の測定方法の影響も考えられるので、結果の解釈には注意が必要。

- 筋合成のスイッチを入れるには一食あたりのロイシン摂取量が閾値を越える必要があるという説
- 血中アミノ酸濃度を高いままにしたら筋合成速度が低下したという研究
アミノ酸注入による反応を調べたacuteの研究なので長期間ではどうなるかはわからないが、一応これらの研究結果を考えると、一食当たり30-40g以上のタンパク質を摂取、食事間隔を短くしすぎない、というのが推奨の食事の仕方になる。一日に3-4回の食事、各食事のタンパク質摂取量は均等、この食事パターンが筋肥大を最大化するのに良いとする論文もある。

この論文での推奨は、1日3-6回の食事、一食当たり20g以上のタンパク質。このレンジ内だったら、良いトレーニングと正しく設定された一日のトータルの栄養摂取を行えば、食事頻度による差はほとんど無いだろう。


★サプリメント
・クレアチン
継続的に摂取。筋肉のサイズと強さを増大させる。副作用は確認されていない。色々なタイプが出ているが、クレアチン・モノハイドレイトが最も効果があるだろう。

・βアラニン
継続的に摂取。高強度運動への疲労耐性を上げ、パフォーマンスを向上させる。除脂肪体重増加の効果もあるようだ。長期服用の安全性についてはまだあまり研究されていない。一度に大量に摂取すると知覚異常の副作用が起こることが確認されている。

・HMB
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB)はロイシンの代謝物で、筋分解の抑制と筋合成の促進に効果があるとされている。しかし、高齢者や病気の人には効果的でもトレーニングを行う健康な人への効果については結果が分かれている。非常に強度の高いトレーニングをするフェーズに摂取することでカタボリックを抑制する効果があるかもしれない。長期のカロリー制限の状況で除脂肪体重を維持する効果があるかは調べられていない。

・BCAA
BCAAの摂取直後に筋合成が高まることは繰り返し示されているが、筋肥大と筋力への長期的な効果については今後の研究待ち。

・アルギニン
血流を増やしたり運動後の筋合成を高めたりといった効果はないようだ。パフォーマンス向上効果については結果が分かれているが、これもどうやら効果は疑わしい。

・シトルリンリンゴ酸
パフォーマンス向上の効果があるとされているが、現状の研究結果でははっきりとした判断を下すことは難しい。今後の研究待ち。

・グルタミン
健康なアスリートのパフォーマンス向上効果はこれまでの研究からはサポートされない。ストレス環境下にある人の胃腸の健康とペプチドの取り込みには良い影響があるかもしれない(減量中のボディビルダーは強いストレスに晒される)。

・カフェイン
ワークアウト前に摂取。多くの研究で持久運動、スプリント、ストレングストレーニングのパフォーマンスを向上させることが示されている。ストレングストレーニングでの効果を示した研究の多くは安全な摂取量の上限である5–6 mg/kgという多量のカフェインを投与している。カフェインは常用により耐性がついてパフォーマンス向上効果が低下する。カフェインを上手く利用するには摂取をサイクルさせるのが良いだろう。

・微量栄養素
念のためサプリメントで補助するのが良いかも


★コンテスト直前
水抜きが見た目に及ぼす効果についての研究は無いが、体調のことを考えると危険な行為である。水分は皮下組織だけでなく血管系にも多く存在するので、水抜きによりこれらの血管系の水分も抜けコンテスト時のパンプに悪影響が出ることが考えられる。また筋肉の大部分が水分であるので、筋肉の水分が抜け見た目に悪影響が出る可能性もある。

コンテスト前のカーボローディングについては効果がありそう。やる場合は自分に合うやり方を事前に試しておくこと。定量的な見た目の変化と炭水化物の摂取割合、トータルカロリーの影響を調べる研究が望まれる。


★心理社会的な問題
ボディビルダーは増量と過酷な減量を繰り返すので精神面に問題を抱えてしまうケースが多い。過食症、拒食症、不安神経症、短気イライラ、筋肉異形症(Muscle dysmorphia)、月経異常。問題を感じたら早めに専門家に相談すること。


★Limitations
この論文の第一の制約は、ナチュラル・ボディビルダーを被験者とした大規模で長期間の研究が欠如していることである。これを回避するため、アスリートを対象とした骨格筋の肥大と体脂肪の減少についての長期の研究を優先的に選んだ。そのような研究が無い場合は、短期の研究や動物を対象とした研究を選んだ。

12/19/2014

[ボディメイク記録] 減量結果





前回の記録 7月4日
今回の記録 12月17日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは低め。直前のトレ履歴は、当日に上半身。


★身体計測
身長:180cm
体重:72.5kg(-7.7kg)
バスト:98cm(-4.0cm)
ウェスト:76cm(-7.0cm)
ヒップ:93cm(-2.0cm)
右上腕:30cm(-1.0cm)
左上腕:39cm(-1.0cm)
手首径:16cm
右大腿:56cm(-3.0cm)
左大腿:55cm(-3.0cm)
右カーフ:35.5cm(-0.5cm)
左カーフ:35.5cm(+0.5cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
懸垂ワイド順手・・・5kg加重×7reps
ベンチプレス・・・70kg×4reps
ダンベルショルダープレス・・・20kg×8reps
デッドリフト・・・120kg×1reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×5reps
レッグプレス・・・140kg×10reps
レッグカール・・・65kg×10reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン5セットくらい。最初に低レップやってその次に中レップ(Reverse Pyramid Training な感じ)。筋グリコーゲンが少ない状況で、テンションとボリュームの両方を確保するため。

メイン種目
- スクワット(週1回)
- デッドリフト(週1回)
- ベンチプレス(週2回)
- レッグプレス(週1回)

補助種目
- インクラインダンベルプレス
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- インクラインベンチにうつ伏せになって上背部を使ってのダンベルローイング
- 懸垂(ワイド順手・ナローパラレル)
- ローイングマシン
- レッグカール
- カーフレイズ
- プレス
- ダンベルショルダープレス
- サイドレイズ
- キューバンプレス
- 腹筋マシン
- 台に肘を置いて身体を浮かせてのレッグレイズ
- アームカール


★減量プロセス
基本的に上半身を週2回、下半身を週2回。上半身は胸、肩、腕、懸垂で都合によっては週1回の週もあった。下半身は、スクワットの日と、デッドリフト+レッグプレスの日がそれぞれ週1回ずつ。

有酸素運動は、休みの日に早足で30分歩く程度。減量終盤に、トレーニング後や休みの日にエアロバイクを30分くらい漕ぐようにした(週3,4回程度)。

カロリー摂取の振り分け目安は以下の通り。あくまで目安なので厳密には出来ていない。
1. トレーニング日はトレーニング前後の食事で炭水化物摂取。トレーニング直前にホエイとスクロース(角砂糖をお湯で溶いたもの)とコーヒーを摂取。
2. トレーニングしない日は炭水化物カット。食事回数は一日3回。インスリンレベルが下がった状態をなるべく作る。カテゴリ的には、Targeted Ketogenic Dietのやりかた。

従って、1週間のサイクルはこんな感じ。
1日目:上半身トレ/維持カロリーくらい
2日目:下半身トレ/維持カロリーくらい
3日目:休み/500~1000kcalマイナス
4日目:休み/500~1000kcalマイナス
5日目:上半身トレor休み/維持カロリーくらいorアンダーカロリー
6日目:下半身トレ/維持カロリーくらい
7日目:休み/500~1000kcalマイナス


★食事内容
- タンパク質の摂取量は2-3g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。植物性タンパク質はアミノ酸組成と人体への吸収率が低いのでカウントしていない。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、炭水化物カットの日は卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を普通に摂取、トレーニング日は脂質を減らしなるべく炭水化物でカロリーを摂るようにした。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。炭水化物カットは米やパスタを食べない程度でシビアにはやらず、野菜や豆類はなるべく食べるようにした。


★雑感
- 炭水化物の摂取をサイクルさせたが、概ね毎日同じくらいのカロリー・マクロ栄養素を摂取して減量するよりもかなり楽だった。トレーニング面でもメンタル面でも。腹回りの頑固な脂肪も落ちやすい気がする。
- トレーニング重量が落ちた。グリコーゲンレベルを戻せばある程度は戻るだろうけど、やはり落ちたと思う。
- UD2.0のように高レップ・有酸素運動を取り入れ、トレーニング日の摂取カロリーを増やせば、体組成変化の面で有利なのだろうけど、ちょっと試した感じでは自分の体力レベルでは無理ですた。怪我のリスクも上がるし。
- 筋グリコーゲンを枯渇させる高レップトレーニングをやらなければ、数日間炭水化物カットしても筋グリコーゲンはある程度のレベルを維持できる。肝グリコーゲンは一日もすれば枯渇する。トレーニング日のトレーニング数時間前の食事で炭水化物を摂取するのは、肝グリコーゲンを補充し全身をアナボリックに傾けるため。筋グリコーゲンが枯渇していた場合は、数時間では筋グリコーゲンの補充が間に合わないので、炭水化物摂取からトレーニングまで時間を空ける必要がある。


★怪我
- 減量期終盤にエアロバイクで有酸素運動をやるようにしたら、膝の靭帯に疲労が溜まったのかレッグプレスで膝に痛みが出た。有酸素運動は種目を分散させ、関節の疲労に気をつけながらやるようにしたい。増量期での高レップトレーニングで少しは関節周りを強化できるかもしれないのでやってみよう。
- デッドリフトで軽く腰を痛めることが2,3回あった。グリコーゲン不足で体幹が突然ヘタる。1週間で回復する程度だったけどデッドリフトは減量期に組み入れるのが難しいなと思った。


★使用サプリメント
- マルチビタミン・ミネラル
- 新ビオフェルミンS、エビオス。便秘対策。これは効くと思う。
- 亜鉛。私は肉や貝類を食べないので亜鉛が不足しやすい。


★今後の予定
- 2週間程度の維持・休養期を入れる。その後たぶん軽く増量。スクワットを伸ばしたい。あと広背筋と三角筋を鍛えたい。目指せロナウド。


プライベートと仕事がバタバタしていて、なかなかブログが更新できない。
単にめんどくさがってるだけかもしれないけど(´・_・`)
最近はライル・マクドナルドの Protein Book を読みました。近いうちにタンパク質についての記事をいくつか書きたい。

7/19/2014

減量時のタンパク質摂取量による体組成変化の違い





Increased protein intake reduces lean body mass loss during weight loss in athletes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19927027/


一日のタンパク質の摂取量を体重1kgあたり1.0gのグループと2.3gのグループに分けて、減量による体組成変化の違いを調べている。被験者はエリートレベルではないアスリートで、減量前の体脂肪率(平均値)は17%程度。結果は、2週間という短い期間ではあるが、高タンパク質摂取グループの方が除脂肪体重の減少が抑制された。2010年の論文。


★被験者
年齢: 18-40歳
運動歴: 週に2回以上のレジスタンストレーニングを6ヶ月以上継続。
性別: 男性
人種: 英国人
人数: 20人

詳しいデータはTABLE 1に。(数値は平均値±標準誤差)


★実験期間
- トータル4週間
- 減量フェーズは3週目と4週目の計2週間


★減量期間の食事
- 維持カロリー摂取の60%に制限(40%のカロリーカット)。
- マクロ栄養素の割合は、高タンパク質グループがタンパク質35%、脂質15%、炭水化物50%。対照群がタンパク質15%、脂質35%、炭水化物50%。
- 一日のタンパク質の摂取量は、高タンパク質グループが体重1kgあたり2.3g、対照群が体重1kgあたり1.0g。詳しくはTABLE 2に。
- タンパク質は主に動物性タンパク質を摂取。
- 食事回数は不明だが、通常の食事に加えて軽食も摂取して、栄養摂取タイミングを一日に分散させている。栄養摂取タイミングはトレーニングに合わせてはいない。
- 被験者が高タンパク質グループなのか対照群なのかわからなくするため、脂質中心でタンパク質をほとんど含まないプロテインシェイクもどきを作ったり、肉っぽいけど実は脂質が多い食べ物を提供したりと気を使っている。被験者のトレーニングに対するやる気が違ってきたりしないように。


★トレーニング
- 通常のトレーニングを各自継続。


★測定
- 体組成測定方法: DEXA
- 運動パフォーマンス測定: スクワットジャンプ、アイソメトリックでのレッグエクステンションの最大筋力、チェストプレの1RM、チェストプレスの筋持久力テスト、バイクでの無酸素運動能力テスト(Wingate test)
- 血液分析もしているけど特に面白くないのでここでは割愛。
- 主観での疲労感や満腹感も測定している。


★結果
<体組成変化>
以下の数値はアブストラクトに載っているもので多分2週目の測定値からの変化。FIGURE 2 は1週目と2週目の平均値からの変化。体脂肪の減少量は両グループとも同じで、対照群は除脂肪体重の減少が大きく、そのぶんトータルの体重の減少も大きくなっている。

・体重
高タンパク質群: -1.5±0.3kg
対照群: -3.0±0.4kg

・除脂肪体重
高タンパク質群: -0.3±0.3kg
対照群: -1.6±0.3kg

<運動パフォーマンス>
スクワットジャンプの際の踏み込みの力以外は、減量による変化はなし。除脂肪体重は減少しているので、実際には運動能力はわずかに低下していて測定では観測できなかった可能性がある。スクワットジャンプの際の踏み込みの力の低下は、体重減少に伴う必然的なもので、運動パフォーマンスの低下を示すものではないだろうとのこと。

<疲労感>
主観での疲労感は、高タンパク質グループの方が高くなった。理由は不明。


★個人的な感想
- 2週間という短い減量期間だけど、減量時にはタンパク質の摂取量を増やすことで、除脂肪体重の減少を抑制できるという常識的な結果になっている。
- 40%のカロリーカットなので割と速い減量ペース。
- 体重1kgあたり2.3gのタンパク質摂取量がベストなのかは不明。
- 被験者の体脂肪率が平均で17%程度で運動歴があるのでボディメイクの参考になる(アスリート対象の実験は少なく、被験者が肥満で運動歴の無い実験が多い)。
- 減量前後の体重変化にはグリコーゲンと水分量の変化も寄与してそうだけど、両グループ間の比較においては条件は同じ。



関連記事:
減量ペースの違いによる体組成変化と運動パフォーマンス変化

7/13/2014

減量ペースの違いによる体組成変化と運動パフォーマンス変化









Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21558571

ここで全文PDFをダウンロードできる。



遅い減量と速い減量をするグループに分けて、減量ペースの違いが体組成と運動パフォーマンスに与える影響を調べている。2011年の論文。先に結果を書くと、ゆっくり減量した方が除脂肪体重と運動パフォーマンスに有利。


★2つの目標減量ペース
遅い減量:週あたり体重の0.7%ずつ減らしていくようカロリー制限をする。体重70kgだったら毎週0.5kg。
速い減量:週あたり体重の1.4%ずつ減らしていくようカロリー制限をする。体重70kgだったら毎週1kg。


★被験者
年齢:18-35歳
運動歴:エリートアスリート
人種:ノルウェー人
人数:男性11人、女性13人

被験者の競技種目はフットボール、バレーボール、クロスカントリースキー、柔道、柔術、テコンドー、ウォータースキー、モトクロス、自転車、陸上、キックボクシング、体操、アルペンスキー、スキージャンプ、フリースタイルダンス、スケート、バイアスロン、アイスホッケー。

被験者の詳しい身体データはTable 1に。


★食事
- 体組織1gあたり7kcalのエネルギーに相当すると仮定して、目標減量ペースから一日あたりのカロリー不足量を算出。
- 一日あたりの摂取量は、カロリーの25%をタンパク質、55%を炭水化物、20%を脂質。詳しいマクロ栄養素の配分はTable 2に。
- タンパク質摂取量は1.2-1.8g/kg
- 食事回数は、軽食も含めて一日5-7回。
- ミルクプロテインと炭水化物の含まれたドリンクをトレーニング後30分以内に摂取。
- サプリメントについては、クレアチンの摂取を禁止。マルチビタミンとタラの肝油(必須脂肪酸)が処方された。


★トレーニング
- 実験は各アスリートのオフシーズンに行われた。
- トレーニングは、週4回のストレングストレーニング。それに加えて各競技種目の専門トレーニングが平均週15時間程度。
- ストレングストレーニングの内容は、二分割で各部位週に2回トレーニング。メイン種目とアイソレートされたサブ種目を実施。
- 脚のメイン種目はクリーン、スクワット、ハックスクワット、デッドリフト。
- 上半身のメイン種目はベンチプレス、ベンチプル(bench pull)、ローイング、懸垂、ショルダープレス、体幹種目。
- セット数・レップ数: トータル12週間の場合、最初の4週間が3セット・8-12レップ、次の4週間が4セット・6-12レップ・次の4週間が5セット・6-10レップ。減量ペースが速くて実験期間が短い場合はそれぞれ期間を短縮。


★測定
- 体組成測定方法: DEXA
- 運動パフォーマンス測定: 40m走、垂直跳び(countermovement jump)、1RM(ベンチプレス、ベンチプル、スクワット)


★結果
<実験期間>
遅い減量: 8.5±2.2週
速い減量: 5.3±0.9週

<1日のカロリー不足量>
遅い減量: 19%±2%
速い減量: 30%±4%

<体組成変化>
・体重減少
遅い減量: 5.6%±0.8%(週平均0.7%±0.4%)
速い減量: 5.5%±0.7%(週平均1.0%±0.4%)

・体脂肪量減少
遅い減量: 31%±3%
速い減量: 21%±0%

・除脂肪体重変化
遅い減量: +2.1%±0.4%
速い減量: -0.2%±0.7%

・男女別の除脂肪体重変化(遅い減量グループと速い減量グループを合わせたデータ)
女性: +1.8%±0.4%
男性: 0.0%±0.7%

・男性の除脂肪体重変化
遅い減量: +1.7%±0.4%
速い減量: -2.0%±1.0%

<体組成変化の詳細>
- 遅い減量での除脂肪体重の増加は、主に上半身の除脂肪体重増加(+3.1%±0.8%)によってもたらされた。これは、一般的に上半身の方がレジスタンストレーニングに対しての反応が良い、さらにアスリートの場合は下半身はすでに十分鍛えられていて伸びしろがあまりない、といった理由によるものであろう。
- 女性の方が除脂肪体重が増加。体脂肪率が高めなことが影響しているのかもしれない。

<運動パフォーマンス>
Figure 2の通り。遅い減量の方が良い結果だが、遅い減量の方が実験期間が長いのでトレーニング期間も長い。測定種目全体の1RMを週あたりの変化で見ると、1.4%±0.7%と1.3%±0.5%でほぼ同じ結果になっている。

<目標達成について>
減量ペースの目標は週あたりの体重減0.7%と1.4%だが、達成できなかった人もいた。遅い減量では3人が、速い減量では5人が目標レンジから外れた。今回のデータには、達成できなかった人たちのデータも含まれている。達成できなかった人たちのデータを除外しても、結果に有意な違いはなかった。



☆感想☆
- サンプルサイズは小さいけど、ゆっくり減量した方が除脂肪体重と運動パフォーマンスに有利という結果が出ている。
- 実際の減量ペースの目安としては、体脂肪率15-20%程度の男性の場合、週に体重が1%以上減る減量ペースだと、レジスタンストレーニングを行っていても除脂肪体重に悪影響が出るリスクが高い。この実験は被験者が運動歴があって通常の体脂肪率なので、ボディメイクを続けている人にとって参考になると思う。
- 一般的に、体脂肪率が高いほうが減量時に除脂肪体重を維持・増加しやすく、体脂肪が減少しやすい。また、運動歴が少ない方が、減量時にレジスタンストレーニングを取りいれた場合に除脂肪体重の維持・増加が行いやすい。
- この実験でのタンパク質摂取量はそれほど多くないので、減量ペースが速くてもタンパク質の摂取量を2-3g/kgに増やせばある程度は除脂肪体重の減少を抑えられるかもしれない。
- 論文中で引用されている2004年のUmeda他(弘前大学)の実験では、被験者は38名の柔道選手、期間20日、減量ペース1.2kg/週、ストレングストレーニングは2時間/週、という実験条件で、減少した体重の61%が体脂肪、残りが除脂肪体重という結果になったとのこと。無料で読めないので私は中身は読んでないけど、減量ペースが速い、ストレングストレーニングのボリュームが少ないといった点が、除脂肪体重の減少につながってる可能性がある。


関連記事:
減量時のタンパク質摂取量による体組成変化の違い

3/04/2014

[ボディメイク記録] 減量終了

期間: 10週間(4週間減量+2週間維持+4週間減量)

★減量前
体重: 約80kg(グリコーゲン・水分いっぱい)
体脂肪率: 18~19%

★減量後
体重: 約75.5kg(グリコーゲン・水分ある程度戻って)
体脂肪率:  12~13%(見た目と筋力変化と体重変動で判断)

★筋力
特に落ちてはいないと思う。

★ウェイトトレーニング
週三回トレーニング。三分割で各部位週一回。基本的に6-15RM。

★有酸素運動
前半は特に無し。後半はウェイトトレーニング後に10-30分ほどエアロバイクを心拍数120-130程度で。頑固な脂肪が少しでも減ってくれればいいかなというのと、健康にも良いだろという理由。

★食事
- 食事回数はだいたい一日4回。朝食、昼食、夕食、寝る前。前夜のタンパク質量を増やして朝食抜くこともあった。
- タンパク質の摂取量は一日150-200g程度。カッテージチーズ、全卵、無脂肪ヨーグルト、魚、プロテイン粉末など。(私は肉が食べられないので、マストアイテムのササミが使えず)
- 脂質の摂取量はだいたい一定だったと思う。主に全卵と魚から摂取。魚はオメガ3脂肪酸を含むものを多く食べるようにした。
- 炭水化物の摂取量でカロリーを調整。筋グリコーゲン補充とかレプチン回復とか考えて、炭水化物はデンプンを主に摂取。米やパスタ。
- 健康のために野菜と果物と豆類を摂取した。
- 摂取カロリーは一日1500-2500kcalだと思う。厳密に計算してない。
- 減量前半は、リフィードとかあまり考えずに適当にやってた。基本的なことだけ。
- 土日に人と普通の食事をすることが多かったので、減量後半は土日を意識的にリフィードの日とした。アルコールもほぼ毎週末飲んでた。アナボリック効果を得たかったので土日はなるべくトレーニングを行うようにした。水曜もトレーニング日でリフィードを軽くおこなった。

★雑感
- 初めて計画的に減量したが、結構うまくいった。
- 体脂肪率15%を下回ってきたあたりから身体の抵抗が出てきた感じ。自分の維持しやすい体脂肪率はこの辺なのだろう。
- リフィードはトレーニング後から行うようにしていたが、アナボリック効果を高めるためには、トレーニング前に筋グリコーゲンを補充しておいたほうが良いみたいなので、次回からそうしよう。炭水化物100g→トレーニング→炭水化物100gみたいな感じで。筋グリコーゲン枯渇状態で炭水化物が入っても、筋グリコーゲンの充填が優先されて、筋合成にエネルギーがあまり回されないらしい。
- 体脂肪率18-19%くらいまで増量してから減量を始めたが、ここまで増やすと見た目が悪いし、筋肉のインスリン感受性が悪化してCalorie Partitioningが不利になって脂肪が増える割合が高まるようなので、今後は15%付近で増量は止めるつもり。
- 内分泌系・神経系の回復のため、今週と来週は2週間の維持期とする。その後すぐまた増量するかはその時考える。

1/22/2014

減量期のトレーニング

1. 高強度・低中レップ・普通インターバル。

2. 中強度・高レップ・短インターバルト。
メリットは関節への負荷が低い、消費カロリーが多い、グリコ枯渇、ホルモンリリースうんたら。だけど筋肉の肥大及び維持には、筋肉にかかるテンションが重要なので、減量期にこのトレーニングだけやると筋肉量が減少しやすい。

減量期に一つだけトレーニングをやるなら、「1.高強度・低中レップ・普通インターバル」を選ぶ。ただし、トレーニングを組み合わせるのは構わない。(初心者は除く。初心者は大概のトレーニングが効果的)

減量期はトレーニングのボリュームを落とさないといけない。カロリー不足の状態では回復力が低下するので。(ドラッグユーザーは除く)

維持の為のトレーニングは、強化の為のトレーニングよりもボリュームと頻度を落として良い(強化のためのトレーニングに比べて、それぞれ1/3のレベルまで落として良い)。ただし、強度(扱うウェイト)は維持すること!


Weight Training for Fat Loss Part 1-2
http://www.bodyrecomposition.com/training/weight-training-for-fat-loss-part-1.html
http://www.bodyrecomposition.com/training/weight-training-for-fat-loss-part-2.html