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8/18/2026

睡眠、運動、栄養の寿命への影響

(1)Minimum combined sleep, physical activity, and nutrition variations associated with lifeSPAN and healthSPAN improvements: a population cohort study
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(25)00676-5/fulltext



睡眠、運動、栄養。

どれも長生きや健康に重要だと言われますが、多くの場合は個別に切り離されて研究され、影響度の比較や相乗効果があるのかは調べられていませんでした。

この研究では、睡眠、運動、栄養の、寿命と健康寿命への影響をまとめて調べています。

5/17/2024

タンパク質の摂取量・種類と健康の関係

(1)Dietary protein intake in midlife in relation to healthy aging – results from the prospective Nurses’ Health Study cohort
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523662823

中年の女性看護師を対象としたコホート研究です。

30年間の追跡調査で、タンパク質の摂取量・種類と健康状態の関連をアンケートで調べています。

健康状態の調査項目は大きく分けると以下の4点です。
・慢性疾患(がんや糖尿病など)
・記憶力(物忘れがひどくないか)
・身体機能(日常生活に支障がないレベルに動けるか)
・メンタルヘルス


タンパク質の摂取量(摂取量カロリーに占めるタンパク質の割合)で5階層にグループ分けをして、各階層のタンパク質の摂取量・種類と健康状態の相関関係を分析しています。


3/06/2021

座りっぱなしの生活は健康だけでなく体組成にも悪影響が出る可能性

 

座りっぱなし(sedentary)の生活が、肥満や健康リスクと相関するという研究が近年多く出ています。私も気になってはいたのですが、そこそこ運動していて肥満を避けるようにしている自分には関係ないだろう・・・観察研究だと交絡因子があるかもしれないし・・・と思いながらスルーしていました。しかし、1日や2日でも座りっぱなしの状態にすると、脂質代謝に悪影響が出るといったRCTが出てくるようになって、これは身体のメカニズム的に何かあるなと思って調べました。


身体活動と体組成に関する新たな考え方

今回調べてみて、新たな考え方を導入するにいたりました。自分の中でのパラダイムシフトは、こんな感じです。

「太るか痩せるかはカロリー収支の問題である」

       ↓

「太るか痩せるかは生理学的にはカロリー収支の問題ではあるが、活動量が少ないと食欲のコントロールが失われ、ついつい食べすぎになることで太りやすくなる」(関連記事:運動と食欲)

       ↓

「座りっぱなしの時間が長いと、脂質代謝の異常やインスリン感受性の低下により、摂取カロリーの振り分け(カロリーが筋肉にいくか体脂肪にいくか)が体組成変化にネガティブに働き、カロリー収支以外の面でも生理学的に太りやすくなる可能性がある」 ←New!

4/07/2020

新型コロナウィルスとビタミンD

緊急度が高いので先に結論を書いておきます。私がそう考えるに至った背景については数日中に別の記事に詳しく書いていきたいと思います。

新型コロナウィルス対策としてビタミンDの摂取が有効かもしれないので、毎日5000IUのビタミンD摂取を推奨。屋外での活動が少なく、ビタミンD欠乏になっていそうな人は、最初の数週間は毎日10000IU摂取し、その後毎日5000IU摂取を推奨。(摂取量は成人の目安)

ロジックを簡単に書くと、体内のビタミンDレベルが低い人は、上気道感染症やインフルエンザへの罹患リスクと重症化リスクが上がると考えられ、ビタミンD摂取によりビタミンDレベルを望ましいレベルまで引き上げ免疫機能を正常化することで、これらの罹患リスクと重症化リスクを下げることが期待される。これは新型コロナウィルスにも同じことが言える可能性があり、北半球の4月は体内のビタミンDレベルが下がりやすく、また外出自粛要請により日光に当たる機会が減り、ビタミンDレベルが低下している人が多くいると思われるので、ビタミンDを摂取するのが良いと考えました。血清ビタミンD濃度を測定できるのなら、測定結果を元にビタミンDレベルが低い人のみビタミンDを摂取するのがベストですが、検査には費用と手間と時間がかかるし、医療リソースを使うかもしれないので、とりあえず摂取するのが良いという判断です。

こういった注意が出ているのは把握しています。

「新型コロナウイルスにビタミンDが効く」等の情報に注意 (200226)

ビタミンDサプリメントの価格の安さ、及び摂取によるダウンサイドリスクとアップサイドリスクを考慮すると、ビタミンD摂取は割の良い賭けだと思うので、摂取したほうが良いと判断しました。もちろん、ビタミンDを摂取すると新型コロナウィルスへの罹患リスクが下がるとか、重症化しにくくなるといったエビデンスは現時点ではありません。

稀に遺伝子変異(CYP24A1 Mutation)によりビタミンDへの感受性が高い人がいます。通常は問題ない量のビタミンD摂取で高カルシウム血症の症状(吐き気、嘔吐、脱水症状、腹部などの痛み、倦怠感、食欲不振など)が出た場合は、服用を止めて病院に行ってください。ビタミンDサプリメントの摂取だけでなく、高カルシウム食や紫外線への曝露を避けたりと、生活の仕方から変えないといけないようです。もちろん既に医師からビタミンDの摂取を禁じられている人は摂取しないこと。


<参考文献>
 Evidence That Vitamin D Supplementation Could Reduce Risk of Influenza and COVID-19 Infections and Deaths
https://www.preprints.org/manuscript/202003.0235/v2
メカニズム的には新型コロナウイルスの感染リスクを低減し得るという論文。PDFのボタンを押すと全文読めます。ここでの推奨摂取量は、最初の数週間は1日10000IUで急速にビタミンDレベルを上げ、その後1日5000IU摂取。25(OH)Dレベルを測定できるなら、これを40–60 ng/mlにしたい。マグネシウムの摂取も推奨。

GLOBAL EPIDEMIC OF CORONAVIRUS—COVID-19: WHAT CAN WE DO TO MINIMIZE RISKS
https://storage.googleapis.com/journal-uploads/ejbps/article_issue/volume_7_march_issue_3/1584436192.pdf
学術誌の記事で高用量のビタミンD摂取が提案されています。この記事ではビタミンDに加えて亜鉛、セレン、抗酸化物質の摂取を推奨。最初に20万~30万IUをまとめて摂取、一週間後に同じ量。この量だと遺伝子変異が無い人も過剰摂取の症状が出るかもしれないけど、体内のビタミンDレベルを急速に上げたい場合は選択肢になる。

Optimisation of Vitamin D Status for Enhanced Immuno-protection Against Covid-19
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m810/rapid-responses
左下の下矢印クリックで全文読めます。

Preventing a covid-19 pandemic
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m810/rapid-responses
ここのresponsesでビタミンDの摂取についていくつかコメントが付いています。

9/17/2016

女性の糖質制限

てんかん患者の治療にケトジェニックダイエット(厳格な糖質制限食)が使われていて、てんかん患者を対象とした研究が結構ある。どれも1日の炭水化物摂取量が100gを大幅に下回る食生活にしている。

個人差はあるがケトジェニックダイエットはてんかんの発作の抑制に効果的なのだけど、副作用がいくつかあって、これは疾患の無い人がケトジェニックダイエットを行った場合にも起こると思われる。特に女性は高い確率で月経異常になるので注意が必要。


◇The Ketogenic Diet: Adolescents Can Do It, Too
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1528-1157.2003.57002.x/full

被験者:てんかん患者の思春期の男女。開始時点の平均年齢は約14歳。

45%(9名)の女性に月経異常が起こった。うち6名が無月経、3名が思春期の遅れ。9名のうち4名が体重減少(残り5名は体重減少していない)。1名は月経を起こすためにホルモン治療を受けた。8名はケトジェニックダイエットの終了後は月経は正常に戻った。1名はケトジェニックダイエット終了後に月経過多になった。


◇The Ketogenic Diet for Intractable  Epilepsy in Adults: Preliminary Results
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1157.1999.tb01589.x/pdf

被験者:男性2名 女性9名。年齢19-45歳。

女性9名全員が月経異常になった。男女11名中5名が体重減少したが、カロリーを増やすことでこれに対処した(それ以降は体重減少無し)。ケトジェニックダイエットの終了後は全員が月経は正常に戻った。


◇Long-term use of the ketogenic diet in the treatment of epilepsy
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1469-8749.2006.tb01269.x/pdf

ケトジェニックダイエットは、他には便秘や骨が脆くなることや腎結石になりやすいといった副作用がある。



★コメント
女性は体重を維持するだけのカロリーを摂取していても、厳格な糖質制限食を行うと非常に高い確率で月経異常になる。

厳格な糖質制限食では、身体は飢餓時に発動する緊急システムを使うことになる(詳しくは関連記事の[書籍] The Ketogenic Diet を参考)。健康の維持にはある程度のストレスが必要なので、たまにケトジェニックダイエットやファスティングをするのは健康に良いかもしれない。また極度に低い体脂肪率にするために、炭水化物の摂取をサイクルさせ一時的にケトーシスを起こすダイエットは、数ヶ月といった短い間ならそれほど問題にはならないだろう。だけど飢餓時の緊急システムをずっと使い続けるのは、健康に良いとは思えない。

個人的には、厳格な糖質制限食は、特定の疾患を持つ人以外には勧めません。体重を維持するだけのカロリーを摂取する場合でもそうです。最低でも1日100-150gの炭水化物を摂取した方が良い。

1日100-150gの炭水化物の摂取を糖質制限と呼ぶ人も見かけるけど、例えば1日1500kcalのダイエットをするとして、炭水化物125g(500kcal)、タンパク質100g(400kcal)、残りの600kcalを脂質で摂取するとしたら、これは糖質制限ではなくて単なるバランス型ダイエットになる。

炭水化物でも脂質でも摂り過ぎて体内で余剰が出れば、健康に害を及ぼす。バランスの取れた食生活をして、適度に運動をするのが最も健康に良いだろう。

糖質制限は、頭を使わずに摂取カロリーを抑えつつタンパク質の摂取量を確保できるので、その点は優れていると思う。ダイエットで重要なのは摂取カロリーが消費カロリーを下回るようにし、タンパク質を十分に摂ること。でも糖質制限で痩せると考える人は、体重の増減のメカニズムを間違って理解するケースが大半だろうから(糖質でインスリンが出るから太る云々)、壁にぶつかるとどうしようもなくなる。またダイエットの際はウェイトトレーニングを行うと筋肉を維持増強できるので、ウェイトトレーニングは出来るならやったほうが良い。ウェイトトレーニングを行うには炭水化物を摂取した方が楽だし効果的。

減量の効果の観点からは、厳格な糖質制限食は男性なら体脂肪率10%程度、女性なら17%程度を下回ってさらに減量したい場合には意味があると思うけど、それ以上の体脂肪率の人がやってもバランス型ダイエットに比べて効果的かというと恐らく意味がない。



関連記事:
[書籍] The Ketogenic Diet

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

9/14/2016

健康な骨と心臓血管のための食生活ガイドライン

Nutritional strategies for skeletal and cardiovascular health: hard bones, soft arteries, rather than vice versa
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4809188/

2016年の論文。先にまとめを書いて、その後に詳しく書いていきます。

★先にまとめ
カルシウムはサプリメントよりも食事から摂取する。特に骨を含む食品を多く食べると良い。骨を含む食品とは、例えばイワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など。一般的なカルシウムサプリメントは心臓血管系に悪影響が出る可能性がある。

乳製品もカルシウム摂取に良いが、牛乳の飲み過ぎは乳糖不耐症やガラクトースの過剰摂取による悪影響の可能性があるので、牛乳の飲み過ぎは避け、チーズやヨーグルトを優先的に食べると良い。

十分な量の動物性タンパク質を摂取し、1日にカルシウム約1000mgを摂取することを目指す。カルシウム摂取量は多すぎても健康にネガティブな影響がある。

果物と野菜の摂取を増やす。体内システムをアルカリ化し骨の健康を保つ効果が期待される。またナトリウムの摂取量が多く、カリウムの摂取量が少ないと、心臓血管系の疾患リスクが上がるので、この面でも果物や野菜を積極的に食べるのは効果的。種子類や豆類も良いだろう。

ビタミンDも重要。日光にあたるか食品やサプリメントで摂取する。

ビタミンK1・K2も骨と血管の健康に良いと考えられる。色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品にビタミンKが豊富に含まれるので、これらの食べ物の摂取を増やすと良いだろう。


★骨と心臓血管の疾患
- 50歳以降、閉経後の女性は年に0.7-2%の骨量が減少し、男性は0.5-0.7%の骨量が減少する。45歳から75歳の間に、平均で女性は30%の骨量を失い、男性は15%を失う。
- 骨密度の低下と心臓血管系の疾患リスクの上昇は強く相関している。例えば骨粗相症の人は冠動脈疾患のリスクが高く、逆もまた然り。


★牛乳をカルシウムの主な摂取源とする場合のリスク
- 乳糖不耐症の人はあまり乳糖を摂取できない。
- 牛乳の摂取量がいくつかの疾患、具体的には白内障や卵巣がん、前立腺がん、パーキンソン病、タイプ1糖尿病と相関することが疫学調査で示されることがある。
- また乳糖は体内でグルコースとガラクトースに分解され、ガラクトースが炎症と酸化を増加させるという研究もある。
- 安全を期するなら、牛乳をたくさん飲んでカルシウムを摂取しようとするのは避け、乳製品はヨーグルトやチーズを主に食べるのが良いだろう


★ベジタリアン食の骨への影響
- 多くの植物や穀物や豆類に含まれるシュウ酸やフィチン酸がカルシウムの吸収を阻害する。
- ヴィーガンは骨折リスクが高いことがいくつかの研究で示されている。カルシウムの摂取量が少ないことと、吸収率が低いことが影響していると考えられる。


★カリウムとナトリウム
- 植物や加工度が低い食品にはカリウムが多く含まれている傾向がある。加工度の高い食品にはナトリウムが多く含まれている傾向がある。
- ナトリウムを多く摂取すると心臓血管系の疾患のリスクが上がる。
- 心臓血管を健康に保つには、野菜や果物や豆類やナッツなどカリウムの豊富な食品を多く食べ、味の濃い加工度が高い食品は控えめにするのが良い。


★ビタミンK
- 骨の強度を増すことで、骨を健康にするのに役立つと考えられている。
- 血管の石灰化は心臓血管疾患の予測因子。ビタミンKの摂取で血管の石灰化を防ぐことができると考えられる。
- ビタミンKは、色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品に多く含まれている。


★カルシウムサプリメントの問題点
- 一般的なカルシウムサプリメントは、炭酸カルシウムやクエン酸カルシウム。リン酸塩の吸収を阻害することで、骨が脆くなるのを防ぐと考えられるが、これまでの研究だと骨折リスクの低下について強いエビデンスが出ているわけではない。
- カルシウムサプリメントの摂取は心筋梗塞リスクと相関すると報告する研究もある。
- 血清カルシウム濃度の上昇は、頸動脈のプラークの厚み、動脈と大動脈の石灰化、そして心筋梗塞の発症と相関するという研究がある。500-1000mgのカルシウムサプリメントの摂取後に血清カルシウム濃度が一時的に上昇することが観察されている。
- 対照的に、食事からカルシウムを摂取した場合のカルシウム濃度の上昇はずっと小さい。
- カルシウムサプリメントと心臓血管疾患を結びつける他のメカニズムとしては、冠動脈の石灰化、血管拡張の阻害、動脈の硬化の増大、血液凝固の亢進。


★骨を食べる利点
- 骨に含まれるカルシウムはカルシウム・ハイドロキシアパタイトで、非常に効果的に骨を形成する。
- またカルシウムとともにマグネシウム、リン、ストロンチウム、亜鉛、鉄、銅、コラーゲン、アミノグリカン、オステオカルシンなどを摂取でき、頑強な骨の形成をサポートする。
- イワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など動物の骨を積極的に食べ、カルシウムを摂取すると良いだろう。
- サプリメントで摂取するなら、一般的な水溶性のカルシウム塩ではなくて、ハイドロキシアパタイトのが良いだろう。カルシウム・ハイドロキシアパタイトとビタミンDの投与で骨の厚みが大きく増したという研究がある。


☆コメント
一般的なカルシウムサプリメントが骨を強くするか微妙な感じで、心臓血管系の疾患リスクを上げるネガティブな効果があるというのが新たな発見だった。栄養なんてサプリで摂ればいいだろうという人間の浅知恵を嘲笑うかのような人体のメカニズム。こういう例はよくあって、たいていは健康のためには肉や魚や野菜や果物や豆類や種子類や乳製品などをバランスよく食べ、加工度の高い食品を食べ過ぎず、適度に運動しましょうという常識的で平凡なガイドラインになる。食物繊維やフィトケミカルなどの効果がわかってきたのも最近だし、今後も同じようにホールフードに含まれる栄養について新たな発見があることでしょう。長期的な健康を考えるなら、食事に対してこのようなアプローチ方法は危険だと思う(栄養失調よりはマシだが)。

ヨーグルトなら牛乳の飲み過ぎによるデメリットが無いみたいに書かれているけど・・・ヨーグルトは乳糖がだいぶ残っている。まあ牛乳をがぶ飲みするのは簡単でも、ヨーグルトを大量摂取するのはかなり頑張らないと難しいので、ヨーグルトを優先的に食べればガラクトースの過剰摂取は避けられると思う。牛乳も毎日1リットルとか飲まない限りは問題ないでしょう。こういう研究を知ると、特定の食品を少しでも食べると身体に毒になる、という考え方をしてしまう人がいるけど、そういうのは病的になるので止めたほうが良いでしょう。チーズについては、カルシウムは豊富だけどカロリーと塩分の摂り過ぎに注意が必要。カッテージチーズは脂質少ないけどカルシウムも少ない。

骨の摂取には、骨ごと食べられる魚の缶詰が便利だと思う。イワシや鮭や鯖の缶詰。安いし、オメガ3脂肪酸も豊富に含まれるし、タンパク質も摂取できる。すばらしい栄養価とコストパフォーマンス。小魚も良いと思う。

それとウェイトトレーニングが骨密度を高めるのはよく知られているので、骨の健康のためにはウェイトトレーニングも行うとなお良い。心臓血管系にはたしか有酸素運動が効果的(うろ覚え)。



関連記事:
カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響

高タンパク食の健康への影響(骨への影響について記述あり)

7/15/2016

人間ドック結果

減量終盤に受けた人間ドックで気になった点を考察。

★腎臓
BUN(尿素窒素)
基準値:8-20mg/dl

1回目
測定タイミング:前日の夜9時以降に食事禁止で昼まで何も食べられないということなので、カゼイン中心にタンパク質を100gくらい摂取。減量中のため炭水化物はほとんど無し。この時点で肝グリコーゲンはほぼ空。採血は食後13時間くらいのタイミング。
BUN:29.6
eGFR:97.8
考察:eGFRは正常値でBUNが異常値。前日からの窒素(タンパク質)供給量が多く、また筋肉由来の糖新生によっても窒素が供給されていたと思われる。そのため腎臓の濾過が間に合わず、血中の尿素窒素が高いレベルのままであったと考えられる。

2回目
測定タイミング:昼食にタンパク質70gくらい食べてから3時間後くらい。1回目の結果説明の時に、異常値が出たのでもう一度測定しましょうとなってその場で採血された。
BUN:34.0
eGFR:124.9
考察:直前のタンパク質摂取が多く、窒素の濾過が間に合わず、血中の尿素窒素が高いレベルのままであったと思われる。推定の濾過速度(eGFR)も上昇している。高タンパク食では濾過速度が上昇することが多くの研究で示されていて、その通りの挙動になっている。

3回目
測定タイミング:前日から低タンパク質・高炭水化物の食事にして、当日朝にタンパク質10gくらいと炭水化物多めに食べてから7時間後に採血。
BUN:16.1
eGFR:95.7
考察:前日から低タンパク質・高炭水化物の食事にしたおかげで、仮説通りにBUNが正常値になった。高炭水化物にしたのは糖新生を防ぐため。私の場合、血清クレアチニン値から算出されるeGFRは正常で、尿蛋白など他の指標も引っかかっていなかったので、高タンパク食による一時的なBUNの上昇だと考えてこの対策を行った。犬の実験だけど、肉を多く含むドッグフードを与えたら、食後にBUNがベースラインから2倍くらいまで上昇したという研究があるので、正常な腎臓の人間でも高タンパク食の後はBUNが一時的に上昇すると考えられる(人間を対象とした食後BUNのデータは見つからなかった)。

Postprandial changes in plasma urea nitrogen and plasma creatinine concentrations in dogs fed commercial diets
http://users.ugent.be/~jwbauwen/08022016/003.pdf

普段から高タンパク食の人は、健康診断の前は低タンパク質・高炭水化物の食事にすれば、BUNが引っかからなくなると思う。腎臓関連の他の指標も引っかかっていたら腎臓に問題がある可能性が高いので、医師の指示に従いましょう。

あとクレアチンをサプリメントとして摂取していると、クレアチニン値が高くなる(eGFRが低くなる)ことがあるので、これも偽陽性の要因になる。心配な場合はクレアチニン・クリアランス検査を受けると良いでしょう。

Elevated plasma creatinine due to creatine ethyl ester use.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21411845

How we estimate GFR--a pitfall of using a serum creatinine-based formula.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17969491


★白血球数
基準値:3200-8599

1回目(減量中)
3100

2回目(普通食)
4510

考察:エネルギー不足の状態だと、不必要だったりダメージを受けたりした免疫細胞がリサイクルされ、白血球の総数が減る。1回目は減量中だったので白血球数が減っていた。2回目は維持カロリーに戻した後だったので、白血球数が回復していた。エネルギー不足にして白血球数を一度減らしてから再びカロリーを入れると、免疫系がリフレッシュされて健康にいいかも・・・という話もある。

Fasting triggers stem cell regeneration of damaged, old immune system
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-06/uosc-fts060214.php


★食後120分血糖値
基準値:70-139mg/dl

1回目
44(空腹時78)

考察:グリコーゲンが枯渇していたため、食後血糖が急低下していた。


★腹部CT
このボディメイク記録の一週間くらい前に計測。お腹側の皮下脂肪はだいぶ薄くなっているけど、脇腹の後ろ側の皮下脂肪が残っている。ここはなかなか落ちない。あと尻の皮下脂肪もなかなか落ちない。




関連記事:
高タンパク食の健康への影響 

6/29/2016

高タンパク食の健康への影響

[前提]
人間を対象とした長期のコントロール実験を行い実際に発病するかどうかを確認するのは予算的にも倫理的にも無理なので、長期の疫学調査と、短期の実験で病気と関連のある指標が変化するかを見て、それと動物実験の結果を見て、健康への影響を推測している。

明確な共通の定義がないが、高タンパク食というのはだいたい1.5 g/kg/day以上。


★腎臓
まとめ:既に腎臓に問題がある人は、高タンパク食を避けることで病状の進行を抑制できる。健康な腎臓の人は高タンパク食でも問題ないだろう。健康な腎臓は高タンパク食に適応できると思われるが、タンパク質摂取量を増やす場合は、一気に増やさず徐々に増やし段階的に適応させるのが良いだろう。

・既に腎臓に問題がある人
- 高タンパク食を避けることで病状の進行を抑制できる。これはほぼ確実。
- 日本腎臓学会のガイドラインだと、ステージ3以降(GFR60以下)でタンパク質の摂取量が制限される。
- 高タンパク食が悪影響を及ぼす経路の一つとして、機能低下した腎臓には酸負荷が問題になるようだ。

・健康な腎臓の人
- タンパク質の摂取量を増やすことが腎臓の仕事量を増やし、腎臓の機能を損なうという主張がある。しかし腎臓片方摘出後や妊娠時には腎臓の仕事量が増えるが、それで腎臓病になるわけではない。
- 高タンパク食では腎臓の仕事量の指標であるGFRが上がったり腎臓が肥大したりするが、これは高タンパク食への正常な適応だと思われる。
- アスリートは一般的に高タンパク食だが、アスリートが腎臓病になりやすいというエビデンスは無い。
- 脂質異常症、肥満、高血圧といった腎臓病になるリスクの高い人を対象とした高タンパク食ダイエットの実験でも腎機能の低下は報告されていない。
- 健康な腎臓の人においては、長期(疫学調査)でも短期でも高タンパク食による腎機能の低下を示した研究は無い。
- 比較的長期の動物実験でも、健康な動物が高タンパク食で腎臓を壊すという研究は無い。

・酸負荷
- 高タンパク食と高ナトリウム食は、腎臓の酸負荷を増やす。
- 病気(アシドーシス)と判断されるレベルまでいかなくても、体内のわずかなphの傾きでも健康に悪影響を与える可能性がある。
- 野菜や果物を十分に食べた方が良い。

・GFR:糸球体(Glomerular)の濾過(Filtration)速度(rate)
- 腎機能の指標。健康な腎臓は血液をどんどん濾過して要らないものを尿として排出できる。これが低下してくると濾過が進まなくなるので、体内に要らない物質が残り続け健康に悪影響が出る。
- 健康診断の腎機能の項目にあるeGFRは、血清クレアチニン値と年齢と性別から算出される推定のGFR。濾過機能に異常があるとクレアチニンの排出が滞り血清クレアチニン値が上昇するので、血清クレアチニン値からGFRを推定することができる。正確なGFRはイヌリンを使って計測されるが、一般的にはクレアチニン・クリアランス検査で測定する。


★腎臓結石
まとめ:おそらく体質によって結石の出来やすさが異なる。結石が出来やすい体質の人は高タンパク食を避けるのが安全だろう。

・結石が出来やすい体質の人に推奨される、結石の種類別食生活。
- シュウ酸カルシウム結石では、動物性タンパク質とシュウ酸とナトリウムを減らし、カルシウムの摂取量は維持し、クエン酸とカリウムの摂取量を増やす。
- リン酸カルシウム結石では、ナトリウムを減らす。
- 尿酸結石では、インスリン抵抗性が最大の問題なのでまず体重を減らす。野菜を多く食べる。あとプリン体を多く含む動物性タンパク質を減らす。
- どの種類の結石でも水分を十分に取った方が良い。


★骨
まとめ:高タンパク食の場合は、カルシウムとビタミンDを十分に摂取することで骨を強くするだろう。また果物と野菜を多く食べることも重要だろう。

- 高タンパク食では尿からのカルシウムの排出が増える。これが高タンパク食は骨を脆くするという主張につながっている。
- しかし、高タンパク食ではカルシウムの吸収率が上がることで尿からの排出量も増え、骨由来のカルシウムの排出が増えているわけではないことを示す研究がある。
- タンパク質には、骨基質の材料を提供する、カルシウム吸収率を上げる、IGF-1の生成を促進するといった骨の健康にプラスになる効果がある。IGF-1は骨芽細胞の活動を活発にし、腎臓でのリン酸塩の再吸収を促進する。
- 中和のために骨が分解され、カルシウムが放出されるという酸負荷による悪影響が仮にあるとしても、果物と野菜の摂取を増やすことで防ぐことが出来るだろう。(腎臓が健康なら酸は問題なく処理できると思うが)


★肝臓
まとめ:健康なら問題ないだろう。ただ絶食後に大量のタンパク質を摂取するのは避けたほうが良いだろう。

- 肝硬変ではタンパク質摂取量を減らす。
- マウス実験で48時間の絶食後に高タンパク食を与えたら肝臓にダメージが出た。


★大腸がん/心臓病/健康全般
まとめ:脂質の多い加工肉は食べ過ぎないようにする。果物と野菜を食べ、運動をするのも大事。

- タンパク質摂取量の多い人は、脂質の多い加工肉を多く食べ、野菜や果物はあまり食べず、運動せず、太っている傾向がある。疫学調査で高タンパク食が数々の健康リスクにつながるという結果が出るのは、これらの他のファクターが影響している可能性が高い。
- 脂質の少ない加工されていない肉には健康にポジティブな効果がある。



参考:
Controversies Surrounding High-Protein Diet Intake: Satiating Effect and Kidney and Bone Health
http://advances.nutrition.org/content/6/3/260.long

Dietary protein intake and renal function
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1262767/

Protein Controversies
http://www.bodyrecomposition.com/nutrition/protein-controversies.html/

Can eating too much protein be bad for you?
http://examine.com/faq/can-eating-too-much-protein-be-bad-for-you/

知ればなるほど! CKD患者の電解質・酸塩基平衡
http://www.kayexalate.jp/report/pdf/kayexalate_REPORT07.pdf

慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル 〜 栄養指導実践編
http://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/H25_Life_Diet_guidance_manual.pdf

Nutritional aspects of stone disease
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12474643

Optimum Nutrition for Kidney Stone Disease
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1548559512002212

Self-Fluid Management in Prevention of Kidney Stones
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26166074


関連記事:
タンパク質摂取量の目安