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7/15/2020

TRF(Time-Restricted Feeding)の研究

TRF(Time-Restricted Feeding)は、一日のうち食事を摂れる時間枠を8時間以内や4時間以内と決めて、残りの時間はカロリー摂取をしない食事方法のこと。具体名を出すと、リーンゲインズやウォリアーダイエットといった方法。

TRFはIF(Intermittent Fasting)に含まれるけど、IFだと一日置きの断食(ADF:Alternate-day fasting)などもあって、そういった方法は運動する人には実行が難しい。TRFは運動する人でも実行可能。

TRFとレジスタンストレーニングを組み合わせた研究がここ数年でいくつか出てきたので紹介します。

10/23/2016

intermittent fasting(リーンゲインズ方式)の最新研究

Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males
http://translational-medicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12967-016-1044-0?__s=xd85fbqhz9qszcjaruiv


time-restricted feeding(一般的にはintermittent fasting)の効果を調べた研究。

time-restricted feeding(TRF)は、一定の時間内に1日分の食事をし、後の時間は何も食べない食事方法。この研究でのやり方はリーンゲインズとほぼ同じで、食事は24時間のうち8時間以内、後の16時間は何も食べない。細かいことを言うとリーンゲインズはトレーニング直前には食べなかったと思うので、そこが違いかな。


★被験者
- イタリアのジムでそれなりにトレーニング歴のある男性を募集。53名集まってそのうちアナボリックステロイドの使用歴がある7名が除外、12名が実験プロトコルの説明を受けて辞退。残り34名が参加。
- 平均年齢29歳
- 平均体重85kg
- 平均除脂肪体重74kg
- TRFグループ17名、通常食事グループ17名


★食事
- 被験者は一日あたりのトータルの食事量はこれまで通り食べるように指示された。栄養士の指導のもと、自己管理での維持カロリーの食事。タンパク質は1日に体重1kgあたり1.9gくらいと、十分な摂取量。
- TRFグループは、午後1時、午後4時、午後8時に食事。カロリー配分は午後1時から順に40%、25%、35%。
- 通常食グループは、午前8時、午後1時、夜8時に食事。カロリー配分は午前8時から順に25%、40%、35%。
- 両グループともこの食事に加えてトレーニングの30分後に20gのホエイプロテインを摂取。


★トレーニング
- 週に3日 分割法 各種目6-8レップ限界までを3セット。
- 実施時間帯は午後4時-6時。
- 実験以外のトレーニングは禁止。


★結果
- 除脂肪体重は、両グループとも実験前と実験後では有意差無し。
- 体脂肪量は、TRFが-16.4%で有意差有り、通常食が-2.8%で有意差無し。
- テストステロンレベルとIGF-1レベルがTRFグループで低下、通常食は有意差無し。
- 除脂肪体重、1RM、腕と脚の太さの変化はそれぞれ両グループとも有意差無し
- 血糖レベルとインスリンレベルはTRFで低下、通常食は有意差無し。
- レプチンはTRFで低下だが体脂肪量で調整すると有意差無し、通常食は有意差無し。
- アディポネクチンはTRFで増加、通常食は有意差無し。
- TRFは甲状腺ホルモンT3が減少だがTSHは変わらず、通常食は有意差無し。
- コレステロールはHDLがTRFが増加、通常食は有意差無し。LDLは両グループとも有意差無し。
- 中性脂肪はTRFが減少、通常食は有意差無し。
- 炎症関連の指標であるTNF-αとIL-1βはTRFが減少、通常食は増加傾向。
- 安静時代謝は両グループとも有意差無し。



☆コメント
期間が短いので体組成の変化が小さく、体組成測定の誤差の影響が大きいのではないかというのと、食事が自己管理なのとが欠点だが、これまでのintermittent fastingの研究に比べると、とても良い研究デザイン。特に筋肉愛好家の男性を対象としているので、ボディメイクを行う人にとって参考になる。

intermittent fastingでも除脂肪体重や1RMや腕と脚の太さは通常食と変わらず、人間の身体は柔軟に適応するんだなあと思える。○時間食べなかったらカタボリック!(強迫的トレーニー)とか、朝食を抜いたり食事間隔を空けたりすると太る!(迷信ダイエッター)とかは考えなくて良いだろう。

維持カロリーなのにTRFグループでは体脂肪量が減っていたのは、アディポネクチンの効果ではないかと論文著者は推測している。ただはっきりと理由はわからないようだ。単に摂取カロリーが少なかった可能性もある。8時間以内に一日分の維持カロリーを食べるのは結構キツイから、自然と少し減ってしまったのかもしれない。もしかしたら体重測定のタイミングが朝食時間~昼食時間の間で、TRFグループは朝食が無いぶん水分等が抜けていて体重が軽くなっていたのかもしれない(こんなマヌケなことはやらないと思うが測定時間が書いていないので)。

テストステロンレベルの低下は、摂取カロリーが(もしかしたら)少なかったからなのかもしれないし、intermittent fastingにテストステロンレベルを下げる効果があるのかもしれない。体脂肪の減少量からするとせいぜい一日100-200kcal程度のアンダーカロリーなのに、テストステロンレベルは26%低下していて、要因は摂取カロリーだけではないように思える。

現状のエビデンスだと維持カロリーもしくはマイルドなカロリーカットとウェイトトレーニングの組み合わせでは、intermittent fastingは除脂肪体重に悪影響はなさそうと言えるようだ。筋肉愛好家にも十分に利用可能な食事方法に思える。ただもっとカロリーを減らして体脂肪減少ペースを速くした場合に、除脂肪体重がどうなるのかという問題はある。

増量の場合は、intermittent fastingではテストステロンレベルとIGF-1レベルの低下が筋肥大に悪影響を与えるかもしれない。今後の研究で、この程度の低下では筋肥大に影響がない、カロリーオーバーならテストステロンレベルは通常食と同じになる、逆にintermittent fastingの方が筋肥大にも優れている、などといった結果が出るかもしれないが、現状わかってることを組み合わせて考えると、筋肉を増やすのを第一の目的とする人は、朝から晩まで分散させて食べるのが無難な選択だと思う。

健康面では通常の食事パターンよりもかなりメリットがありそうなのが良い。intermittent fastingは、健康リスクが気になる増量期にこそ行うと良いんじゃないかと個人的には思う。一日200-300kcal程度のカロリーオーバーなら、健康関連の指標については今回の結果と同じく、通常の食事パターンよりも良い結果が出るのではないかと思う。運動してるとはいえカロリーオーバーは健康には良くないので、少しでもダメージを減らせるなら良い。

筋肉が増えるのはゆっくりでもいいが、健康面を大事にしたいという人には、intermittent fastingは良い選択肢だと思う。今回測定していない健康リスク指標に悪影響が出る可能性もあるが、単に朝食を抜くだけでそんなに過激なことをやっているわけではないし、メジャーな健康リスクに関わる指標は改善しているし、IGF-1レベルの低下は発がんリスクを下げだろうし、たぶん全体的に見て健康には良いだろう。一日分に必要なマクロ栄養素とミクロ栄養素を8時間以内にちゃんと食べるように意識する。特にタンパク質とミクロ栄養素が不足しないよう注意する(高タンパクで精製度の低い食事は短い時間にたくさん食べるのが大変)。もちろん自分でやってみて体調が良くなかったら続けない方が良い。

人類の歴史を考えると朝昼晩の決まった時間に食事を出来るようになったのはごく最近で、進化上は人間の身体は不規則な食事や一時的な絶食に適応しているという話があって、これは多分そのとおりだけど、淘汰圧がかかっているのは個体の若い時の生存と生殖であって、急激に寿命が伸びた現代の中高年以降にはその淘汰圧がかかっていない。だから不規則な食事や一時的な絶食が中高年以降の人間の健康に良いとは、件のストーリーからは演繹できない。それと生物の個体の生存と生殖にはトレードオフがあるので、カロリー制限やファスティングで個体の生存確率が上がるなら、生殖能力が犠牲になっている可能性がある。今回の研究でのテストステロンレベルの低下はその表れかもしれない。

あと今回の研究は男性のみが対象。intermittent fastingの反応には性差がある。女性はfastingは14時間にすることがLeangainsでは推奨されている。

intermittent fastingの研究は健康面ではフロンティアだと思う。ボディメイクの面でフロンティアなのかは現状のエビデンスでは何とも言えない。炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエットのカテゴリとして何かしらのメリットがあるかもしれないが、ファスティング自体がカロリーの振り分けを改善するのかは今のところ不明。

intermittent fastingのこれまでの研究について興味がある場合は、strengtheoryの記事にリンクが張られていたこの記事が非常に参考になる。

ちなみに私は増量期でも朝はプロテインパウダーとコーヒーのみにしてます。朝カーボ摂らなければintermittent fastingに近い効果が得られるだろうと考えているのと、筋肉合成の面でタンパク質摂取をある程度分散させたほうがわずかでも有利になるのではないかと思うのと、以前朝コーヒーだけを試したらうんこが出なくて困ったのと、単に朝は食欲が無いのとで、こういうスタイルにしています。ちなみに減量期も維持期も同じで朝はプロテインパウダーとコーヒー。

最後に。。一般ジムにこれだけステロイド利用者がいるってすごいなあ・・・。7名というのも自己申告だろうから実際は被験者内にもいたかもしれない。

2/03/2014

頑固な脂肪の落とし方(リーンゲインズ流)

・絶食時の軽い有酸素運動(絶食後12-18時間くらいに軽く運動すると良い)
・ウェイトトレーニング後の軽い有酸素運動
・トレーニング終了後のリフィード

Intermittent Fasting and Stubborn Body Fat
http://www.leangains.com/2010/06/intermittent-fasting-and-stubborn-body.html


関連記事:
The Sutubborn Fat Solution メモ

絶食時のカタボリックについて

肝臓のグリコーゲンが枯渇した場合、血糖値を保つために糖新生によりアミノ酸からグルコースが作られる。食べ物によるアミノ酸供給が無いと、筋肉などの分解により賄われることになる。100gのグルコース摂取して絶食した場合の研究では、16時間後には筋肉由来のアミノ酸の糖新生が血糖値維持の50%を賄い、28時間後にはほぼ100%を賄った。絶食前に大量の消化の遅いタンパク質を摂取しておけば、筋分解の問題は大丈夫だと思われる。

16時間の絶食中に1000kcal消費すると仮定、半分が脂質で賄われると仮定、500kcalを糖質とタンパク質で賄うことになる。肝臓グリコーゲンの最大容量は400kcal程度だから、絶食前の食事で充填しておく必要がある。実際は絶食前半は消化中の食物からもエネルギーが供給されるから、まあ16時間くらいなら大丈夫っぽい。ほぼタンパク質しか摂取しないシビアな減量をリーンゲインズのスタイルでやると、絶食後半に筋分解されそうな気がする。アミノ酸供給が続いていたとしても、量が足りない。タンパク質100gで400kcalだし、糖新生だとエネルギーロス大きそうだし。

http://www.leangains.com/2010/10/top-ten-fasting-myths-debunked.html


2/02/2014

カタボリックに神経質になる必要は無い


- muscle catabolism doesn’t occur in short-term fasting for up to 24 hours. If you’re still paranoid about this (I am), make sure to eat some slowly absorbed protein before bed, such as cottage cheese, egg white protein or meat with veggies (the extra fiber will slow absorption as meat is generally considered a “fast” protein). Another thing to keep in mind is the very slow absorption rate of whole food proteins. We’re talking a few grams per hour, which means that a mixed meal with 40-50 grams of protein will maintain a steady level of amino acids in your bloodstream well through the night and into the next day. The belief that a few hours without food will cause muscle catabolism is absurd.

そうなんだ。まあ運動すると合成分解が盛んになるだろうけど、安静時はだいぶ長時間大丈夫っぽい。しかしレジスタンストレーニング後どれくらいで安静時モードになると考えて良いのだろうか。運動終了直後から? 数時間後? 二日くらい経ってEPOCがだいたい落ち着いてから?
 
リーンゲインズは8時間で一日分を食べるのがキツそうなのがネックだな・・・。高タンパクのホールフード3000kcalを8時間で食べるのは苦行に近い(*_*;

Martin Berkhan – Scorch Through Your Fat Loss Plateau
http://fitnessblackbook.com/diet-tips/martin-berkhan-scorch-through-your-fat-loss-plateau/

1/31/2014

Intermittent Fastingのレプチンとアドレナリンへの影響

IFでレプチンレベルに波が出来る。平均のレプチンレベルは良くなるっぽい。
アドレナリンに好影響がでるっぽい。アドレナリンはレプチンの支配から外れるらしい。

体脂肪率一桁ではゆっくり減量すること。体脂肪率一桁の維持を、性欲減退などの副作用なしに出来ている模様。リフィードとファスティングの方が、一日6回とか栄養摂取するよりも適しているのだろうか。

しかし72時間のファスティングの研究だったり、ラマダン対象の研究だったり。リーンゲインズのタイムフレームと、レジスタンストレーニングを組み込んだ研究はないものか。

Intermittent Fasting, Set-Point and Leptin
http://www.leangains.com/2010/03/intermittent-fasting-set-point-and.html

トレーニング前の栄養摂取


Fasted Training Boosts Muscle Growth?
http://www.leangains.com/2009/12/fasted-training-boosts-muscle-growth.html
炭水化物メインの食事を摂った場合と、絶食状態の場合で、レジスタンストレーニングをして、その後のタンパク質・炭水化物補給時における筋合成の度合いを比較した研究。 絶食時の方がアナボリックが高まった。絶食時の方がトレーニング中のカタボリックも盛んだろうから、長期的に見て筋肉が増えるのかは不明。

Pre-Workout Protein Boosts Metabolism
http://www.leangains.com/2009/12/pre-workout-protein-boosts-metabolism.html
トレーニング前のタンパク質(ホエイ)摂取と、炭水化物摂取を比較した研究。 タンパク質摂取したグループの方がEPOCが大きい。おそらく筋合成の差。

このブログの筆者(リーンゲインズの主唱者)は、「絶食+トレーニング前のアミノ酸もしくはタンパク質摂取+トレーニング後にメインの食事」でアナボリック効果を大きく出来るのではと言っている。絶食といっても、リーンゲインズでは2時間くらいまえに軽い食事を摂るプログラムもOKと言っているので、トレーニング時にインスリンの影響を排除できれば良いと考えている模様。