3/25/2017

肘の痛み

★肘関節の解剖学
上腕骨(上腕)と尺骨・橈骨(前腕)で構成される。

肘関節の動く方向は、
- ヒンジの動き(伸展・屈曲):上腕骨-尺骨
- 軸回転の動き(回内・回外):上腕骨-橈骨

肘の筋肉は複数の平面上で複雑な動きをする必要がある。16の筋肉がこの狭い肘エリアに密集。筋肉が多いので腱も多い。

人体で軟部組織に問題が起こりやすい場所は、
(A) 筋肉・腱同士の摩擦が多い場所。
(B) 筋肉-筋膜ユニット(身体部分を一方向に動かすモーターユニットの集合と動きに関わる関節と神経血管とこれらを結合している筋膜)によって生み出された力が集まる場所。一般的には筋肉-腱-骨の結合部分。

肘は筋肉・腱が密集していて摩擦が起きやすいうえに(A)、腱の付着箇所が多くの筋肉で被っている(B)。


腱の主な付着箇所
(1) 内側上顆:肘の内側の出っ張り。手首の屈曲と前腕の回内をする筋肉の腱が付着。ゴルフ肘で痛くなる部分。

(2) 外側上顆:手首の伸展をする筋肉の腱が付着。テニス肘で痛くなる部分。

(3) 肘頭突起:肘の後ろ側の出っ張り。上腕三頭筋と肘筋の腱が付着。

(4) 上腕二頭筋、上腕筋、腕撓骨筋が付着している前腕の広い部分



肘は筋肉・腱だけでなく、靭帯と神経も密集している。筋肉・腱に異常が起きると、靭帯と神経が巻き添えになるケースもある。



★肘の怪我
小さなエリアに原因となる可能性があるものが密集しているので診断が難しい。腱の炎症なのか靭帯がおかしいのか神経痛なのか骨折なのか。熟練した専門家の診断が必要。



★ウェイトトレーニングを行う人に多いケース
過度に使われ続けると筋肉・腱は固く縮み、密集した場所では摩擦が起き、軟部組織の癒着も起こりやすい。

1. 内側上顆
重い物を握る。肘の曲げ伸ばしを行う。ウェイトトレーニングではこれを繰り返す。バックスクワットでも手首の屈曲と前腕の回内を行う筋肉に強い負荷がかかる。これらの筋肉は内側上顆に付着している。この部分に過度の負担がかかるとゴルフ肘の症状になる。(逆手でのプル動作、逆手懸垂やドリアンローでもここを痛めやすいと思う。プル動作はニュートラルグリップが安全)

対策:
一般的にバックスクワットでは、握る手幅を狭くすると肘への負担が増し、広くすると肩への負担が増す。ストレートバーでのバックスクワットばかりやらず、フロントスクワットやセーフティスクワットバーを取り入れると良い。プル動作ではストラップを積極的に利用する。マッサージ(自分でやる場合は親指やゴルフボールを使う)などの軟部組織ケアや、ゴルフ肘用のストレッチを行うと良い。ただし素人判断であまりアグレッシブにはやらず、症状が良くならない場合は専門家に診てもらうこと。


2. 肘頭突起
上腕三頭筋の腱が付着していて、肘筋の腱も付着している。トライセプスエクステンションやフレンチプレスなどの上腕三頭筋のアイソレート種目はこの部分に強い負担がかかる。

対策:
上腕三頭筋を鍛える場合は、コンパウンドで鍛えたほうが安全。クロースグリップベンチプレス(狭く握りすぎないよう注意)やディップスなど。


上の2つはウェイトトレーニングで多い肘の怪我だけど、ウェイトトレーニングでも他のタイプの肘の怪我が起きる場合もあるので、まずいなと思ったら専門家に診てもらうこと。



★エルボーバンド
メカニズムとしては、バンドで前腕の筋肉を押さえて、振動や張力が肘の腱に伝わりにくくすることで、肘が痛みにくくする。ゴルフ肘にもテニス肘にも効果がある。治したかったらなるべく安静にし、ストレッチ、軟部組織のケア、フォーム改善、トレーニングプログラムの見直しなどを並行して行う必要があるが、とりあえず運動を続けたい人には有用な道具。



★個人的な話
昨秋から右腕の肘が痛くて調べてみました。自己診断では内側上顆の炎症だと思われる。ゴルフはやらず、運動はウェイトトレーニングのみ。ウェイトトレーニングが原因なら、弱くてトレーニングボリュームを右腕よりも多くしている左腕の肘が痛くなりそうなもの。今のところ原因として思い当たるのは、去年の7月に子供が生まれて、右手で尻を支えるスタイルでの抱っこを長時間やったこと。子供の体重増加という漸進的過負荷に肘がギブアップしたのかもしれない。

現在は日常生活には支障がなくちょっと痛い程度なので、スクワットでバーをしっかり握れないのと、懸垂とアームカールができないのを除けば、他の種目は通常通り行えている。まあウェイトトレーニングを続けているからなかなか完治しないのだろうけど、数ヶ月のあいだ軽いダンベルとマシンや自重での脚トレーニングだけってのもなあ・・・と。どっちみち完治まで数ヶ月かかる性質の怪我みたいなのでとりあえずエルボーバンドしながらトレーニングは続けてみようと思います。


参考サイト:
Understanding Elbow Pain – Part 1: Functional Anatomy
http://ericcressey.com/understanding-elbow-pain-part-1-functional-anatomy

Understanding Elbow Pain – Part 2: Pathology
http://ericcressey.com/understanding-elbow-pain-part-2-pathology

Understanding Elbow Pain – Part 5: The Truth About Tennis Elbow
http://ericcressey.com/understanding-elbow-pain-part-5-the-truth-about-tennis-elbow

Understanding Elbow Pain – Part 6: Elbow Pain in Lifters
http://ericcressey.com/understanding-elbow-pain-part-6-elbow-pain-in-lifters

ちなみにPart3,4は野球での肘の問題について。

Are Tennis Elbow Straps Effective?
https://mikereinold.com/are-tennis-elbow-straps-effective/

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