1/23/2021

タンパク質摂取量と除脂肪体重の増加の関係(2020年のメタ解析)

タンパク質の摂取量と除脂肪体重の増加の関係を調べた最新のメタ解析(1)が出てきたので紹介します。

この手の研究だと2018年のメタ解析(2)が有名で、その解析ではタンパク質の摂取量が1.6g/体重kg/dayで除脂肪体重の増加が頭打ちになるという結果になっていました。下のグラフは、(2)の研究のものです。


今回のメタ解析だと、「1.3g/kg/dayを超えると除脂肪体重の増加が緩慢にはなるが頭打ちにはならず、タンパク質摂取量を増やすほど除脂肪体重が増えやすくなる関係が続く」という解析結果になっています。

2018年の研究はレジスタンストレーニング有りのみの研究が対象で、解析対象の研究数は49です。今回の研究はレジスタンス有り無しの両方を集めていて、全部で105、レジスタンストレーニング有りの研究は53です。


今回のメタ解析でのタンパク質摂取量と除脂肪体重変化の関係

9個のグラフがあって、いずれも縦軸が除脂肪体重変化、横軸がタンパク質摂取量(g/体重kg/day)です。

見方は、縦が研究の分け方で、

(a)(d)(g)・・・すべての研究
(b)(e)(h)・・・レジスタンストレーニング有りの研究
(c)(f)(i)・・・レジスタンストレーニング無しの研究

横が変数による調整の分け方です

(a)(b)(c)・・・調整無し
(d)(e)(f)・・・年齢、性別、実験期間、レジスタンストレーニングで調整
(g)(h)(i)・・・年齢、性別、実験期間、レジスタンストレーニング、体重の増減で調整

ダイエットの研究でカロリー不足にして体重が減っていれば除脂肪体重は増えにくい、レジスタンストレーニングをすれば除脂肪体重は増えやすい、実験期間が長ければ除脂肪体重は増えやすい・・・こういった要因による影響を調整したものが2段目、3段目のグラフです。


筋トレをする人に関係があるのは(h)のグラフです。2g/kg/dayや3g/kg/dayといった摂取量でも除脂肪体重の増加が頭打ちになっていません。

注意点としては、2g/kg/dayを超える高タンパク質摂取の研究は数が少ないので、「タンパク質摂取量が2g/kg/dayを超えても摂取量増と除脂肪体重増の関係が続く」という結果が正しい蓋然性はあまり高くないです。ただ、頭打ちになることはあっても効果がマイナスになる可能性は低いでしょうから、ハードな筋トレをする人はお金や摂取カロリーの面で問題がなければタンパク質は多めに摂取して良いと思います。

1g/kg/dayから1.5g/kg/dayくらいのタンパク質摂取量の研究は数が多いので、「1.3g/kg/dayや1.6g/kg/dayくらいまではタンパク質摂取量を増やせば除脂肪体重もそれだけ増えやすくなる」というのはおそらく正しいです。

いちおう言及しておくと、論文執筆者7人中5人が食品会社の明治の従業員です。明治はプロテイン(ザバス)を販売しているので、プロテイン販売を促進するインセンティブがありますね。解析手法の妥当性については私の能力ではわからず。


関連記事:

タンパク質摂取量の目安

<参考文献>

(1)Dose–response relationship between protein intake and muscle mass increase: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
https://academic.oup.com/nutritionreviews/article/79/1/66/5936522

(2)A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5867436/

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