<目次>
スクワットの分類
<フルボトム/フル/ATG>
腰が曲がらない範囲でなるべく深く、腿の裏側とふくらはぎが接触するまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は約130-150°。日本語だと、パラレルより少し下の深さをフルスクワットと呼ぶことがありますが、研究だとフルスクワットは出来るだけ深くしゃがむスクワットのことを意味することが多いので、この記事ではフルボトムもフルもATGも同じものとします。
<パラレル>
太腿が床と平行になるまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は骨格やフォームによって違いますが、だいたい110-130°くらい。
<ハーフ>
膝の屈曲角度が約90°になるまでしゃがむスクワット。
<クォーター>
膝の屈曲角度が50-60°になるまでしゃがむスクワット。
推奨の関節角度
以前のスクワットの深さの記事では、筋肥大目的でスクワットをする場合の推奨を「膝の屈曲90°を超えてパラレル程度まで」と書きましたが、これを訂正します。筋肥大目的のスクワットでは、
というのを新しい推奨にします(膝に問題がなく健康な場合)。
パラレル程度という基準が不適切な理由は、
・骨格の違いによる関節角度の差を考慮していない。
・大腿骨が長い場合、パラレル付近の関節角度は、膝関節と股関節の怪我リスクが高くなる恐れがある。
筋肉の発揮できる力、関節への負担は、スクワットの深さで決まるのではなくて、関節の角度で決まると考えられます。筋肉は伸ばされすぎても、縮みすぎても、強い力を発揮するのが難しくなります。骨格がどうであれ、強い力を出せる筋肉の長さの範囲と、関節の角度の範囲は決まっています。
私の推奨するスクワットは、ボトムでの深さが上の絵くらいです。大腿骨が短い場合は、ほぼパラレル。それ以外はパラレルちょっと上で止めて立ち上がります。
膝や股関節に限らず、関節を深く曲げていくと、筋肉が力を発揮できなくなることで関節の安定度が低下し、関節の骨同士の接触が増えたりすることで、関節の負担が大きくなりやすいです。従って、多くのトレーニング種目では、関節の負担が大きくならず、筋肉が強い力を発揮するレンジで動作を行うことが一般に推奨されています。
ベタ寝ベンチプレスで脇を開いて鎖骨にバーが付くまで下ろしたり、ダンベルプレスやダンベルフライで肩の可動域限界まで下ろしたり、プルダウン・懸垂で完全脱力から肘が脇腹に付くくらいまで上下したり・・・といったやり方はあまり推奨されていません。この考え方は、スクワットにも当てはまると考えられます。
スクワットの場合、膝と股関節の屈曲90-110°までしゃがんでから立ち上がるのが、筋肥大目的では最適だと私は考えています。理由についてはこれから長々と説明していきますが、オンリーワンの内容なのでお付き合いいただければ。
関節角度による膝伸展筋と股関節伸展筋の出力変化
深くしゃがんだ状態(膝関節と股関節が大きく屈曲された状態)では、膝伸展筋と股関節伸展筋の出力は低下します。膝の伸展では大腿四頭筋が力を出せなくなり、股関節の伸展では臀筋が力を出せなくなります。
フルスクワットの際の関節角度と各筋肉のEMG推移
フルスクワットの際の関節角度と各筋肉のEMG推移を測定した研究を見ていきます(1)。被験者は6人のウェイトリフター。荷重なし(Unloaded)と、80%1RM(Loaded)でフルスクワットを実施。関節の角度、各筋肉のEMGを測定。
グラフ横軸のPercent Cycleはスクワット実施中の時間経過。0がスタート、しゃがんでいき53でボトム、立ち上がっていき100でフィニッシュ。
関節角度のグラフを使って、横軸のパーセント・サイクルのどの位置で、膝と股関節がどの角度になるかを割り出してみると、だいたいサイクル60で挙上フェーズでの膝屈曲110°・股関節屈曲106°(ピンク線)、サイクル70で挙上フェーズでの膝屈曲90°・股関節屈曲86°(青線)になる。(この研究では直立時の伸展しきった関節角度を180°としているので、一般的な屈曲角度の表記に変換してあります)
各筋肉のEMGグラフに、サイクル60(膝屈曲110°)とサイクル70(膝屈曲90°)の線を描き加えて、どのくらいの関節角度でEMGが高くなるのかを見てみると。
・外側広筋は膝屈曲110°の少し前から膝屈曲90°くらいがEMGが高い。ボトム付近での活動レベルは低い。
・大腿直筋は膝屈曲110°前後がEMGが高い。ボトム付近での活動レベルは低い。(ただあとの筋肥大研究で見るが大腿直筋はスクワットでは肥大しにくい)
・内側広筋、中間広筋については測定していない。
・大殿筋のEMGはサイクル60(膝屈曲110°・股関節屈曲106°)より上の挙上フェーズで高くなる。ハーフを超えてクォーター付近が最もEMGが高い。ボトム付近での大殿筋の活動レベルは低い。
スクワット姿勢での各関節角度のアイソメトリック出力
スクワット姿勢で各関節角度のアイソメトリック出力を測定した研究を見ていきます(2)。被験者はトレーニング歴のある若い男性(平均30歳)。膝関節の屈曲角度は、20°、90°、140°に設定。スミスマシンのバーを固定して、スクワットの姿勢で10秒間のアイソメトリック最大出力を測定。
・大腿四頭筋の活動レベルは、ハーフ90°が最も高い。膝屈曲140°では低い。
・大殿筋の活動レベルは、90°と20°が高い。膝屈曲140°では大幅に低い。
深くしゃがんだポジションである膝屈曲140°では、大腿四頭筋も大殿筋も活動レベルが低いです。膝屈曲90°が大腿四頭筋も大殿筋も活動レベルが高いです。20°も全般的に出力が高いですが、現実のフリーウェイトのスクワットでこの膝角度の時に筋肉がフル出力をするとバーが不安定になるので、上のフルスクワットの研究でみたように、浅い角度では筋肉の出力は低下します。(浅い角度でも高い出力を出したい場合はチェーンをつけたりすると良いでしょう)
膝関節トルク
レッグエクステンション動作での膝伸展の最大トルク推移を調べた研究(3)。膝伸展トルク推移の研究は他にもあるのですが、膝屈曲100°超えのデータを含む研究があまり無いので、エキセントリックトレーニングの影響を調べた研究のデータから、膝の屈曲角度ごとの最大トルク変化を見ていきます。膝屈曲80°くらいがトルクのピークで、そこからトルクは徐々に低下していき、110°あたりから急低下します。
股関節伸展モーメントにおける筋肉ごとの寄与
スクワット動作中の、股関節の伸展筋(大内転筋、大臀筋、ハムストリング)の寄与割合を調べた研究(4)。スクワットで深くしゃがむほど(膝屈曲が大きくなるほど)、大殿筋の寄与割合は低下していきます。同時に大内転筋の寄与が高まります。論文によれば、深くしゃがんだポジションでは大臀筋は伸ばされるが、モーメントアームが小さくなることで強い股関節伸展モーメントを発揮するのが難しくなるとのこと。
他の種目での大臀筋のEMG
体感でもわかるのですが、スクワット、ルーマニアンデッドリフト(RDL)、ヒップスラストのEMG研究も紹介(5)。スクワット(パラレルちょっと下)、RDL(バーが膝のお皿の下端)、ヒップスラストでの臀筋のEMG比較。挙上平均EMGはスクワットとRDLで同じ。この研究のRDLの深さだと、自分の身体で試した感じでは股関節屈曲90°くらい。膝を深く曲げなくても、股関節を深く曲げなくても、RDLのように負荷をかけるフォームでやれば大臀筋は強い力を発揮します。(臀筋の筋肥大研究がほとんど無いので、臀筋のEMG研究を多めに紹介します)
膝と股関節の筋肉の出力研究まとめ
研究では、スクワットで深くしゃがんだポジションの関節角度では、大腿四頭筋や大殿筋の活動が低下していることが一貫して示されています。これは体感とも一致します。深くしゃがんだポジションでは力が入らず、そのため深くしゃがむほど挙上重量が低下します。
スクワットのしゃがみの深さの違いによる大臀筋のEMGを比較した研究は他にもありますが(6)(7)、しゃがみこみ・挙上のフェーズ通してのトータルのEMGがどうかというデータの表し方で、関節角度ごとに大殿筋がどのくらい出力を出しているのかはわかりません。これらの研究からは、深いポジションで大殿筋が強い出力を出しているとは主張できないです。
スクワットの深さの違いによる筋肥大研究
深さの違うスクワットを長期的に続けた場合の筋肥大効果の差を見ていきます。
クォータースクワットとパラレル・ハーフの比較
パラレル(膝屈曲120°)と膝屈曲60°を比較した研究(8)。被験者はトレーニング歴無しの男子学生。120°スクワット1RMが体重の1.3倍くらい、スクワットジャンプ約33cm。大腿四頭筋の筋肥大、ジャンプ力ともに120°グループのほうが向上した。
もう一つの研究が、ハーフ(膝屈曲90°)と膝屈曲50°の比較(9)。被験者はトレーニング歴なしの男女。膝屈曲90°のスクワットのほうが、膝屈曲50°よりも外側広筋が筋肥大する傾向だった。(研究ではデトレーニングの影響も調べているので、下の表ではトレーニングを実施した8週目までの部分を切り抜いています)
これらの2つの研究からすると、膝屈曲が50°や60°のクォータースクワットでは、ハーフスクワットやパラレルスクワットに比べて大腿四頭筋の筋肥大効果が低くなると考えられます。筋肥大目的でスクワットをする場合は、少なくとも膝屈曲90°くらいはしゃがんだほうが良いでしょう。
フルスクワットとハーフスクワットの比較
フルスクワット(膝屈曲140°)とハーフスクワット(膝屈曲90°)を比較した研究(10)。被験者は平均20.8歳の男性。体重64kg。フルスクワット1RMは81kgくらいで、フルスクワット1RMが体重の1.3倍くらいです。
大腿四頭筋はフルとハーフで同等の筋肥大。内転筋と大殿筋は、フルスクワットのほうがハーフスクワットよりも筋肥大した。
筋肥大研究まとめ
筋肥大研究からすると、大腿四頭筋については、膝の屈曲90°で筋肥大には十分だと考えられます。EMGと膝伸展トルクの研究から見ても、大腿四頭筋が強い力を発揮できるのはパラレル付近よりも浅いしゃがみでの膝角度で、そのレンジでスクワットをすれば大腿四頭筋についてはOKでしょう。
問題は大臀筋です。EMG研究や股関節伸展モーメントの研究では、深くしゃがんだポジションでは大臀筋の出力が低下していて、ハーフ付近やさらに浅いしゃがみ位置で大臀筋は強い力を発揮しています。しかし、筋肥大の研究ではハーフスクワットよりもフルボトムのスクワットのほうが大臀筋が大きく肥大しています。
他に大臀筋の筋肥大の研究を探してみても、ほとんど見つかりません。大臀筋の形状が立体的で測定が難しいからでしょうか(尻のどこの厚さや断面積を測るのか?)。
ヒップスラストとスクワットの大殿筋の筋肥大を比較した研究が1つあるのですが、捏造疑惑があるBarbalhoの論文なのでこれはちょっと・・・除外します。特定の研究で数値がおかしいだけでなく、まともに研究していたら到底無理なペースで論文を量産していたので、多くの研究で数値をでっち上げている可能性が高いです。
関連記事:Barbalho他の研究に注意
大臀筋のEMG研究と筋肥大研究のミッシングリンクを埋める
深くしゃがんだポジションでは大臀筋は強い力を発揮できず、大臀筋が強い力を発揮するのはむしろ浅い屈曲角度なのに、なぜ深くしゃがんだスクワットのほうが大殿筋が筋肥大するという結果になっているのか?
直接確かめた研究があるわけではないですが、考察していきます。
ハイバーでバーベルを担ぎ、膝と股関節を同時に曲げ始めて、下に尻を落としてしゃがんでいきます。深さを出すスクワットだと、通常はこのしゃがみ方になると思います。私もそうなります。
動画 スクワット(フル)
https://www.youtube.com/watch?v=UF7hHNSRMtY
このしゃがみ方で、ハーフあたりで止めて切り返すと、膝に負荷をぶつけて立ち上がる形になりやすいです。大腿四頭筋でブレーキをかけながらしゃがんで、それから大腿四頭筋を収縮させて立ち上がる。尻の筋肉があまり使われません。そして膝のお皿の少し下あたりが痛くなりやすいです。このハーフスクワットのやり方だと、大臀筋の筋肥大はあまり起きないでしょう。このやり方のハーフスクワットは膝に悪そうなのでやらないほうがいいです。
パラレルより下までしゃがむと大腿四頭筋だけでは力が足りなくなるせいか、少し尻を後ろに出して股関節にも負荷を乗せて立ち上がるようになります。
パラレル以下のハイバースクワットは、しゃがむ時は真下にしゃがんでいき、立ち上がる時は少し尻を後ろに出す動きになりやすいです。ウェイトリフターが80%1RMの重量でフルスクワットをしたときの、関節角度とEMGの研究のデータをさらに分析してみると、下降時は膝屈曲90°時点での足首の曲げが大きく股関節の屈曲が小さい(膝が前に出ている)、挙上時は膝屈曲90°時点での足首の曲げが小さく股関節の屈曲が大きい(尻が後ろに出ている)ことが確認できます。
ただ、重量がある程度重たくならないとこの動きにならないです。実際のウェイトリフターのスクワットを見ると、アップの時の軽い重量では真下にしゃがんでそのまま真上に立ち上がる。バーベルが重くなってくると、真下にしゃがんで、尻を後ろに出しながら立ち上がる。
動画:Lu Xiaojun Squatting up to 275kg + Warm Up 2015 World Weightlifting Championships Training Hall
https://www.youtube.com/watch?v=MI0L7E_5Qac
ウェイトリフターではない人のスクワットも同じです。セット終盤できつくなってくると、尻が後ろに出る。画像は5レップ目のもの。
動画:150kg Back Squat x 5 Reps @ 90kg BW
https://www.youtube.com/watch?v=ICN9iI3pkZw
スクワットの姿勢で、アイソメトリック最大出力を計測した研究だと、ハーフの関節角度で大腿四頭筋も大臀筋も強い力を発揮しています。自分の経験上、パラレルより上のピンスクワットでも、なるべく強い力を全身で発揮しようとすると大臀筋を使います。エキセントリックフェーズ無しだと、浅いしゃがみでも大臀筋を使うようになるようです。
ちなみに膝よりも股関節を先に曲げるしゃがみ方をすると、浅いしゃがみでも大臀筋を使いやすくなります。ロウバーだとこのしゃがみ方をする人もいます(これは先程の動画とまとめて撮ったのでハイバーで担いでいます)
動画 スクワット(股関節から曲げる)
https://www.youtube.com/watch?v=5ukZcfk6Xgo
仕組みはよくわからないですが興味深いです。人間の身体の使い方の癖でしょうか。腕を前に出してバランスを取る自重スクワットや、身体の前に重りを持つゴブレットスクワットでは、浅いしゃがみでも膝メインになりにくい感じなので、ハイバー・バックスクワット特有の問題なのかもしれません。
股関節に負荷を乗せるには、尻を少し後ろに出して、バーベルを足の真上よりも少し前に出すのですが、ハイバーだとこの動作がやりにくい可能性があります。
スクワット動作でバランスが取れる時、「バーベルと身体の合成重心が足の真上」にきます。人体の重たい部位である胴体、尻、太腿を後ろに出して、股関節のモーメントアームを大きくして、股関節に負荷を乗せるには、バーベルを少し前に出してバランスを取る必要があります。
バーベルが非常に重たくなれば、バーベルの重心は、バーベルと身体の合成重心に近づいていくので影響は小さくなります。あとおそらくバーベルが非常に重たい場合は、合成重心を踵側に少し移動させることでバランスを取っている場合もあると思います。
上の二人のスクワット画像を見ると、挙上時に尻は後ろに出てもバーベルの位置は下降と挙上でほぼ同じです。バーベルの重心が合成重心に近づいているため、(合成重心の位置は変わらないが)バーベルは肉眼では差が確認できない程度に前方にシフトしているのか、それとも合成重心が少し踵側にシフトしていてバーベルの位置は変わらないのか、力学的にはどちらか(もしくは両方の組み合わせ)になりますが、実際にどっちでやっているのかは外から観察するだけだとわからないです(たぶん踵側に合成重心がシフトしています。試した感じだと、デッドリフトでも同じことが起こっています。まとまりが無くなってきたのでバーの軌道と足裏の重心の話は下の記事で詳しく書きました)。
ちなみに垂直軌道固定のスミスマシンだとバーベルの前方シフトができないので、バーの真下に立つと上半身が傾かない膝メインのしゃがみになりやすいです。上半身を傾けて強引に股関節に負荷を乗せようとすると、バーベルが軽い場合はかなりの踵重心になると思います。スミスマシンでスクワットをする場合は、バーよりも少し後ろに足を置くと股関節に負荷をかけやすくなります。
考察まとめ
推測になりますが、フルスクワットとハーフスクワットの筋肥大を比較した研究では、ハーフスクワットはバーベルを真下に下ろして、膝メインに負荷がかかるフォームになっていた。フルスクワットは、立ち上がる時に後ろに尻を出し、そのため股関節を使いやすくなり、大殿筋の筋肥大が高まった。フルスクワットは、深くしゃがんだポジションで大殿筋の出力が高まるわけではないが、股関節に負荷を乗せながら立ち上がるフォームを促すことで、結果として股関節の伸展筋を使わせやすくする・・・というのが考察です。(スクワットの研究は通常ハイバーで担いでいます)
ただ、深くしゃがんだポジションの時は筋肉の出力が高まらないのだから、そこのフェーズはカットしたほうが効率的です。しゃがむ時に真下ではなくて斜め後ろにしゃがんで、尻を少し後ろに出せば、エキセントリックフェーズで膝と股関節が負荷が乗り、大腿四頭筋と臀筋が強い出力を出せるレンジで動作ができるようになります。筋肉の出力が低下し関節の怪我リスクが上がると考えられる深いレンジはハイリスク・ローリターンなのでやる必要はない、というのが90-110°スクワットを推奨する理由です。
筋肥大に必要な力学パラメータの調整
筋肥大に必要なのは、重量とモーメントアームを調整して関節に適切なトルクを与えること、そして力が入る関節角度(=筋肉の長さ)の範囲で筋肉を伸び縮みさせてそのトルクに抵抗するのを繰り返すことです。
経験則からいえば、股関節の屈曲が90-110°程度のRDLで大臀筋は筋肥大するので、モーメントアームを調整して股関節に負荷を乗せてやれば、フルボトムまでしゃがまなくてもスクワットで大臀筋は筋肥大すると考えられます。
可能性としては、フルボトムまで股関節を屈曲させると、大臀筋の出力は低下するが大殿筋がストレッチされることで筋肉のダメージが増して、筋肥大が促進されるかもしれないです。ただ筋肉のダメージは、筋肥大の主要ファクターではないと考えられます。
関連記事:筋肥大をもたらす刺激(2019年版)
力の入る関節角度で動かすパーシャルのほうが、力が入らなくなる関節角度まで動かすフルレンジのトレーニングよりも筋肥大しやすかったという研究があります(11)。種目はスカルクラッシャーで、パーシャル(肘屈曲範囲45⇔90°)とフル(0⇔120°)でトレーニングを続けたら、パーシャルのほうが上腕三頭筋が筋肥大しました。論文では、力が抜けないパーシャルのほうが低酸素環境を維持できるので、それが筋肥大に貢献したと考察されています。
個人的には、挙上距離が短いことによる消費エネルギーの小ささが、セット間インターバル(1分)での回復を速くし、動作範囲の小ささが、エキセントリック動作による筋肉のダメージを小さくして次のトレーニングまでの回復を速くし、疲労の少ない状態でトレーニングを続けることで漸進的過負荷のペースが上がり、筋肥大がより高まったと考えます。力があまり入らないレンジまで動作を行うことは、リターンが小さい割に疲労コストが大きくかかり、トレーニングが非効率的になるというのが私の考えです。
スクワット動作のモーメントアームを考えると、単純計算では、膝と股関節に要求されるトルクはパラレルで最大になります(実際のスティッキングポイントはパラレルより少し上になり、これはおそらく弾性エネルギーと慣性の影響だと考えられます)。
パラレルより下ではモーメントアームは小さくなり、関節に要求されるトルクは小さくなります。特に股関節のモーメントアームは小さくなります(パラレルより下では膝の位置は変わらないか、少し前に出るので)。もしフルボトムのポジションで大臀筋(や他の伸展筋)が強い力を発揮するのなら、フルボトムまでしゃがんでもパラレルより挙上重量が下がらないはずです。実際には、モーメントアームが小さくなって要求トルクが低下するにも関わらず、フルボトムスクワットでは挙上重量が下がるので、フルボトムでは筋肉の出力が低下していると考えられます(EMG研究で見たように実際に低下しています)。
モーメントアームと筋肉出力の一致・不一致
膝と股関節のモーメントアームが最大になるのはパラレルです。モーメントアームが最大の時、関節に要求されるトルクも最大になります。
大腿骨が短い場合、膝と股関節の屈曲110°程度でパラレルになります。この程度の屈曲までなら膝と股関節の伸展筋が高い出力を出し、筋肉が十分に力を発揮できる動作範囲でスクワットが出来ます。このタイプの人はパラレル付近までしゃがむと、ハッピーなスクワットになります。
・筋肉が強い力を発揮できるレンジでスクワットができる。
・関節の負担が小さく、トレーニングを継続しやすい。
・筋肉があまり伸ばされないので筋肉のダメージが小さく回復が速い。
・挙上距離が短いので消費エネルギーが小さく全身疲労が小さい。
・モーメントアームが小さいので重たいバーベルを持ち上げやすくモチベーションが上がりやすい。
→正のサイクルによりスクワットがどんどん強くなる。
問題は大腿骨が長い人です。パラレルまでしゃがむと120°、130°といった屈曲角度になり、大腿四頭筋の出力が急低下して、膝の出せるトルクが下がります。臀筋もあまり力が入らないようになります。内転筋など他の股関節伸展筋の深い角度での出力は不明ですが、パラレル以下ではモーメントアームが小さくなるにも関わらず挙上重量が下がることから、股関節全体での出力も低下するはずです。
筋肉が力を出しにくい関節角度でモーメントアームが大きくなるのは、不幸な組み合わせです。筋肉が強い力を発揮できないと関節の安定度が低下しますし、筋肉が引き受けるべき負荷が、腱や、関節内での骨同士のぶつかりで受け止められます。このタイプの人は、パラレル付近や、さらにその下までしゃがむのは、アンハッピーなスクワットになります。筋肉が力を出せない角度までしゃがんでも、筋肥大・ストレングスの面で意味がないですし、関節の負担が大きいです。
・パラレルの深さでも筋肉が強い力を発揮するレンジを超える。
・関節の負担が大きく、トレーニングに支障が出やすい。
・筋肉が大きく伸ばされるので筋肉のダメージが大きく回復が遅い。
・挙上距離が長いので消費エネルギーが大きく全身疲労がきつい。
・モーメントアームが大きいので重たいバーベルを持ち上げるのが苦手でモチベーションが上がりにくい。
→負のサイクルでスクワットが向上しにくい。
「膝と股関節の屈曲90-110°までしゃがむ」という目安でしゃがみの深さを決めると、骨格に関わらず筋肉が強い力を発揮する範囲でスクワットができ、みんなハッピースクワットになります。
何のためのスクワットか
趣味の筋トレ(筋肥大・ストレングス)だけではなく、アスリートの筋トレについても言及します。パフォーマンス関連の研究についてもまとめて説明できるようになるので。
まず、筋肉量(筋肥大)、ストレングス、パワーの関係を簡単に説明します。高いパワーを出すにはストレングスが必要で、高いストレングスを出すには筋肉量が必要です。筋肉量を増やせばストレングス向上の余地ができ、ストレングスを高めれば、パワー向上の余地ができます。もちろん体重増加によるデメリットもあるので、競技によってどのくらいの筋肉量が良いのかは変わってきます。(スプリントやジャンプは、短い時間に強い力を出す必要があるので、基本的にはパワーが必要です。プライオメトリクスがその上に乗ってきますが、ここでは省略します)
筋肉量を増やすトレーニングをすれば、ある程度はストレングスとパワーも伸びます。ただ筋肉量のポテンシャルを引き出すには、競技で要求されるストレングスやパワーに特化したトレーニングもしていく必要があります。
下半身のトレーニングとしてスクワットをする場合、大きく分けて2つの目的があります。
(1)ストレングス・パワーの土台となる下半身の筋肉量を作るトレーニング
(2)競技に特異的なストレングス・パワーを引き出すトレーニング
(1)については、クォータースクワットでは筋肥大効果が小さいので、少なくともハーフスクワットまではしゃがんだほうが良いでしょう。現状の研究結果だと、膝の伸展筋(大腿四頭筋)については屈曲角度90°で十分そうですが、股関節の伸展筋(臀筋・内転筋)についてはフルスクワットのほうがハーフスクワットよりも大きく肥大しています。ただ研究では臀筋に負荷がかからないハーフスクワットのやり方をしている可能性があり、股関節にも負荷を乗せるフォームでスクワットをすれば、膝関節と股関節の屈曲90-110°のスクワットで股関節の伸展筋も十分に筋肥大するというのが私の考えです。怪我リスクも疲労コストもフルスクワットに比べると低くなるでしょうから、趣味の筋トレも、下半身の全般的な強化目的でスクワットをするアスリートも、このやり方をしたほうが良いと思います。ただし、直接確かめた研究はありません。
(2)の目的でスクワットをする場合、可動域限界までしゃがむフルボトムのスクワットがベストな状況はほとんどないです。ウェイトリフティング以外の競技では、深い体勢で強い力を出して踏ん張る時に、膝が90°より大幅に曲がることは滅多にありません。膝は動いている身体にブレーキをかけて減速したり、身体の動く方向を変えたり、固いバネのようにして地面から反力を得たりするのに使われることが多いので、膝を深く曲げて膝で動きを作り出す癖はつけないほうが良いと思います。
股関節を深く曲げることはあるので、股関節を深く曲げるトレーニングをやる意味はあると思います。ただバックスクワットで股関節を深く曲げると、グッドモーニングの動きに近くなって大腿四頭筋に負荷をかけにくくなり、股関節・腰椎に負担がかかりやすくなります。バックスクワットはデッドリフト系に比べると体幹を固めにくいので、股関節を深く曲げるトレーニングをするのなら、体幹への負荷を軽く出来る片脚種目か、デッドリフト系のほうが向いていると思います。
スクワットの深さと運動パフォーマンス
スクワットの深さの違いが運動パフォーマンスに及ぼす影響については、深いスクワットのほうが良いという研究もあれば、浅いスクワットのほうが良いという研究もあります。
深いスクワットで、スプリントやジャンプのパフォーマンスが上がるのは、被験者の身体能力があまり高くなく、膝関節と股関節の伸展筋が鍛えられた(筋肉量とストレングスが向上した)ことが主な要因でしょう。下半身の筋肉量とストレングスが全般的に上昇すれば、パワー(スプリント、ジャンプ力)も向上します。身体能力があまり高くない場合は、まず筋肉を増やしたほうが良いでしょう。陸上競技でもコンタクトスポーツでも球技でも、筋肉量を増やすことで解決されることはたくさんあります。
前述したように、ハイバースクワットで真下にしゃがんでいって途中で切り返す浅いスクワットをすると、膝メインのスクワットになり、股関節があまり鍛えられません。深くしゃがむスクワットだと、立ち上がりで尻が後ろに出て、股関節も使われるようになります。ただ、しゃがむ時に尻を後ろに出してしゃがめば股関節も使えるようになるので、そうすれば筋肥大目的でもフルボトムまでしゃがむ必要はないと思います。
すでに筋肉量が多いアスリートや、ピリオダイゼーションでスプリントやジャンプに特異的なストレングスを強化するフェーズの人は、浅めのスクワットのほうが良いでしょう。非常に高いレベルの例(アサファ・パウエル)ですが、下の動画のように尻を後ろに出してしゃがめば、浅いスクワットでも尻を使い、スプリントやジャンプに必要なストレングスを鍛えられると考えられます。
動画:Asafa Powell squatting 585
https://www.youtube.com/watch?v=HvzWB9EDZkA
このレベルのアスリートに、高重量・高ボリュームのフルボトムスクワットを継続的にやらせたら、足が遅くなるでしょう。
スクワットの深さの違いによる運動パフォーマンスへの効果を調べた研究
フルスクワット、パラレル、90°の比較(12)。フルの基準は、腿の裏とふくらはぎとが接触するまで、もしくはバットウィンクがひどくなるまで。トレーニングではスミスマシンを使用。被験者は平均23歳の男性で、実験開始時のフルスクワット(スミスマシン)1RMが体重の1.1倍くらい、垂直跳び(CMJ)が35cmくらい。パフォーマンス測定はスプリントとジャンプ力で、いずれもフル>パラレル>90°の順で、フルスクワットがもっともパフォーマンスが向上した。
フルスクワット、フロントスクワット、クォータースクワット(クォーターだけスミスマシン使用)の比較(13)。被験者は男性と女性で、実験開始時のフルスクワット1RMが体重の1.1倍くらい、垂直跳び(CMJ)は40cm弱。垂直跳び(CMJ)はフルスクワットグループは向上したが、クォーターグループは向上しなかった。
フルスクワット、ハーフスクワット、クォータースクワットの比較(14)。フルスクワットは膝屈曲110°以上、ハーフスクワットは85-95°、クォータースクワットは55-65°。被験者は男性で、実験開始時のフルスクワット1RMが体重の1.4倍くらい、垂直跳び75cmくらい。スクワット以外にもパワークリーン、ランジなどの下半身トレーニングと上半身トレーニングをグループ共通で実施。スプリントとジャンプ力は、クォーター>ハーフ>フルの順で向上した。
膝関節の怪我リスク
モーションキャプチャと床反力から力学計算して、膝関節へのせん断力や圧縮力を計算したような研究(15)(16)は多くありますが、実際の関節の内部で何が起こっているのか、長期的に繰り返した場合にどうなるのか、といった点についてはほとんどわからないです。具体的にどういう手法で計測しているのかはこちらのサイトを参考に。
しゃがみの深さによる膝への影響の考察
(16)の論文を参考にして具体的なケースを挙げると
- 膝蓋骨と大腿骨の圧縮方向の負荷、脛骨と大腿骨の圧縮方向の負荷、脛骨と大腿骨のせん断力は、それぞれ深くしゃがむほど大きくなる。
- 大腿四頭筋腱と大腿骨の接触による大腿四頭筋腱への負荷は、深くしゃがむほど大きくなる。
- スクワットによるACLとPCLへの負荷は、どの深さでも健康な膝の人にとっては問題のない水準。
- 深くしゃがんだポジションでは、膝の左右方向の安定性に問題が起きやすい。具体的には骨のズレ、半月板の圧迫、靭帯(LCL・MCL)への負荷。
- 強い負荷をかけるときは、ゆっくり腱を伸ばしたほうが腱を怪我しにくい。素早くバウンドさせるスタイルでのフルボトムスクワットは、腱の怪我リスクが上がる可能性がある。
- 膝蓋骨-大腿骨の関節内の接触は深くしゃがむほど面積が増える。一方で、圧力(力/面積)は膝の屈曲角度90-100度でピークに達し、その後は力が一定で接触面積が増えていくので圧力は低下する。
深くしゃがむことで膝関節への負荷が強くなる主なメカニズムは
1. パラレルより深くしゃがんでいくと、膝が前に出ていく。回転軸(膝関節)が重心から遠くなることで、膝へのモーメントが大きくなり、膝関節内での軟骨や腱の接触負荷が大きくなる。一般的にフルボトムはハーフやパラレルよりも扱える重量が下がるが、相対的な強度を揃えた場合でも膝関節へのピークモーメントはフルボトムが最も大きくなる(24)(25)。ただフルボトムで実際にかかっているモーメントは、腿の裏側とふくらはぎが接触することで減衰されている可能性がある(一方でこの接触により膝伸展時の回転軸が膝関節から別の位置に移動してしまうリスクがある)。
2. 膝関節の屈曲角度が大きくなると、膝関節内での骨、軟骨、腱の接触面積が増える。強い負荷での接触を繰り返すことで、炎症や変性が起こる可能性がある。
3. 深くしゃがんだ際に、膝関節の安定性が損なわれることで、靭帯への負荷が大きくなる。
高齢者にセンサー付きの人工関節を埋め込んで膝関節にかかる力を測定するような研究(17)もあるのですが、膝の怪我リスクの箇所は、軟骨、靭帯、半月板など複数あります。そもそも膝をどのくらい前に出すか、脛に対して上半身をどれくらい傾けるか(ハムストリングのテンションに関わる)といったフォームの違いで、膝への負荷は変わってきます。
筋肥大の研究などもそうなのですが、論文で○○という具体的な数値が出てくるとすごく説得力があるように感じますが、測定手法の限界については常に意識したほうが良いです。
関連記事:筋肥大研究の見方
ウェイトリフターの研究
膝を深く曲げるスクワットを繰り返すウェイトリフターの研究では、ウェイトリフティングは膝に悪いことが示唆されています。正確に書くと、深くしゃがんだポジションでバーをキャッチし立ち上がるのと、そのフェーズを強化するための高重量での深いスクワットを繰り返すことが膝に悪いと思われます。趣味でウェイトリフティングをする場合は、重量を減らして高い位置でキャッチするようにすれば膝に負担はかかりにくいと思います。
エリートレベルのウェイトリフター13名とパワーリフター12名の関節の状態を調べた1980年の研究(18)。合わせて平均年齢が30代半ばですが、選手寿命を考えればウェイトリフターのほうが若いはず。変形性関節症はウェイトリフターのほうが多い。部位別では膝が多い。エリートレベルのウェイトリフターとパワーリフター合わせて約半数が膝蓋大腿関節の痛みと摩擦音を訴えた。
論文では1966年の普通の人対象の変形性関節症の研究を引用して、ウェイトリフターとパワーリフターをあわせて見れば、変形性関節症リスクは高くないと結論づけていますが、肉体労働・家事労働などの影響があり時代や地域によって普通に暮らしていた場合の変形性関節症リスクは変わってくるので比較が難しいです。30代の約半数が膝蓋大腿関節の痛みと摩擦音を訴える状況では、膝に優しい競技だとは言えないでしょう。
上の表だとグレード2以上の関節が膝(膝蓋大腿関節+大腿脛骨関節)のみで合計13。下の表だと変形性関節症の関節の数が合計14。膝以外にグレード2以上の関節が1つあるようですが、ほぼ全てのグレード2以上の変形性関節症が膝です。(グレードが高いほど状態が悪い)
グレード2以上の変形性関節症はウェイトリフター(オリンピックリフター)のほうが多く、そのほぼ全てが膝だと思われます。パワーリフターに比べるとウェイトリフターは変形性膝関節症リスクがずっと高いという結果になっています。パワーリフターとウェイトリフターのスクワットで大きく違う点は、膝を曲げる深さなので、同じ高重量スクワットでも膝を深く曲げたほうが膝の変形性膝関節症リスクが高くなると考えられます。
他には、中高年の元トップアスリートの変形性膝関節症の割合を調べた研究があります(19)。この研究では、サッカーとウェイトリフティングでは約3割が変形性膝関節症になっていて、他の競技(長距離走が14%と射撃が3%)に比べると割合が高いという結果になっています。サッカーは大腿脛骨関節の変形性膝関節症が多く、ウェイトリフティングは膝蓋大腿関節の変形性膝関節症が多いです。
こういった研究にはエリートレベルになる過程で深刻な怪我をしたりしてドロップアウトした選手は含まれないので、生存バイアスが強くかかっています。ウェイトリフターのスクワットを動画で見て思ったのは、大腿骨が短く股関節の可動域が広いため思ったよりも膝が前に出ていないこと。一般的な骨格と股関節の人があれだけ上体を立てて深くしゃがんだら、かなり膝が前に出ます。挙上重量面だけではなく怪我リスクの面でも有利な骨格の人が生き残っていると思われるのですが、現役と引退後のウェイトリフターの膝の状態は悪いです。
肉体労働による変形性膝関節症の研究
職業による変形性膝関節症のリスクファクターを調べた研究(20)を見ると、重労働、膝を曲げる、床に膝をついたりしゃがみこんだり、長時間立ったり、長時間歩いたり、繰り返し階段を登ったり、重いものを持ち上げたり、ジャンプしたり、振動を受けたりといった要素のある職業がリスクファクターになっています。重いものを持つのと、膝を付く・しゃがみ込む・階段を登るといった動作が組み合わさると、さらにリスクが高くなります。
他には肉体労働者の変形性関節症リスクを調べた研究(21)では、重いものをもつこと自体よりも姿勢がリスクファクターになると考察されています。膝の怪我リスクまとめ
膝を深く曲げた状態で強い負荷をかける、もしくはその姿勢を長時間続けると、変形性膝関節症のリスクが上がる感じです。EMGの研究で示されているように、膝を深く曲げた状態では大腿四頭筋の出力は低下します。膝を深く曲げた状態は関節が脆弱なポジションなのに、関節を安定させる大腿四頭筋の出力が低下し、バーベルの負荷が膝に乗ってくる・・・深いスクワットは膝に良いとは思えません。
激しい運動をしなくても高齢者になれば多くの人が膝が痛くなってきますが、ウェイトリフターや肉体労働者の研究から考えると、膝を深く曲げて重たいものを持ち上げることを繰り返すと、膝の寿命をゴリゴリ削っていき、他の人よりも早い段階で膝がボロボロになりやすいと思います。下のグラフは、変形性膝関節症の年代ごとの割合です(世界各地の変形性膝関節症研究のデータを集めたもの(22))。
若いうちは関節の痛みも治りやすいです。関節の痛みは筋肉痛のちょっと悪い程度のもの、筋肉痛と同じように関節も休めば元の状態に戻る・・・と考えているかもしれません。元に戻るようなものもありますが、ダメージの蓄積が完全には回復せず徐々に蓄積されていくようなケースもあります。特に膝は消耗品です。
極論をいえば、人体のパーツは全て死ぬまでの消耗品ですが、何をやったらどうなりやすいかというリスクを把握したうえで使っていきたいものです。競技で深いスクワットが必要ならやるしかないですが、それ以外の人が深いスクワットをやっても、得るものよりも失うもののほうが多いと思います。
股関節の怪我リスク
股関節は膝に比べると丈夫ですが、可動域限界まで曲げれば骨同士がぶつかります。正確には骨の表面をカバーしている軟骨部分、関節唇が衝突します。重たいバーベルを担ぎながらぶつければ、これらの組織に強い力が加わりダメージが入ります。これを繰り返すと股関節インピンジメント(FAI)になることもあります。
パワーリフターのケガ率の研究では、股関節の痛みを訴える割合が高いです。尻を後ろに出すパワーリフター型ロウバースクワットは、膝の負担は小さくなるが股関節の可動域が厳しくなり、股関節に負担がかかると考えられます。スクワット自体の負担もありますし、パラレル下の基準を満たすためのモビリティドリルで、股関節の可動域をグリグリ広げようとするのを繰り返すことでも股関節にダメージが入ります。運動不足で筋肉・筋膜が固く、それを緩めて本来の可動域を取り戻す程度なら良いのですが、股関節の可動域限界をグリグリ攻めるのはやめたほうがよいです。
臀筋は付着点が関節に近いので股関節を安定させます。股関節の屈曲が大きくなると臀筋の出力が低下しますが、臀筋の力が抜けた状態で股関節の伸展動作をすると、股関節の噛み合わせがズレやすくなります。ズレると骨(軟骨)同士がぶつかります。
関連記事:股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み
それと臀筋は仙腸関節を安定させる働きもあって、臀筋が使われないと腰椎と骨盤のつなぎ目あたりが不安定になる恐れがあります。
腰痛の被験者に、体幹トレーニングのみ、体幹トレーニング+臀筋トレーニングをやってもらったら、臀筋トレーニングを加えたほうが腰痛改善、体幹の安定性アップ、体幹の筋力の出力アップ、と良い結果が出ました(23)。臀筋が力を発揮できるかが、体幹の安定性に影響するようです。メカニズムは臀筋が仙腸関節を安定させ、それを通じて腰椎・仙骨の安定化に寄与と推測されています。深くしゃがんでいくにつれて体幹が不安定化しバットウィンクが起きやすくなるのは、臀筋の出力低下も一因になっているかもしれません。
怪我リスクまとめ
長期的に深くしゃがむスクワットを続けるとどうなるか、推測できる研究はこれくらいだと思います。研究の数は少ないですし、サンプル数も少ないので、フルボトムスクワットを続けると膝を壊すといった断定的なことは言えません。
個人的には、ウェイトリフター型のスクワットは膝に良くないけど、パラレル付近(パワーリフター型のスクワット)の深さなら大丈夫だろうと以前は思っていました。自分でもパラレルちょっと下までしゃがんでいました。ただ、最近パワーリフターのケガ率の研究を見て、骨格に恵まれていない限りは、パラレル付近のしゃがみでも膝か、股関節・腰にかなり負担がかかりそうだという考えになりました。特に大腿骨が長い場合、膝をどれくらい曲げるのかで悩むことになります。膝を深く曲げてパラレルまでしゃがんでいると膝の負担が大きくなる、膝をあまり曲げないように尻を後ろに出してパラレルまでしゃがむと股関節の可動域が足りなくなり、股関節で骨がぶつかったり、腰椎が曲がりやすくなって腰を痛めやすくなる。あちらを立てればこちらが立たずです。
関連記事:パワーリフティングのケガ率/BIG3の調整
ワイドスタンスという対策もあるのですが、股関節の骨の噛み合わせからワイドスタンスが向いていない人もいます(太腿付け根の内側が痛くなったり、力が入らなかったり)。
筋肉の出力の研究からすれば、大腿骨が短くない限りはパラレルまでしゃがむ必要はなさそうなので、しゃがみを浅くすることで怪我リスクを下げられると思います。
浅いスクワットでも、真下にしゃがんで膝に負荷をぶつけるやり方だと怪我リスクが高くなるでしょう。膝痛や変形性膝関節症のリハビリ・再発予防では、クォーターからハーフくらいの深さで、尻を後ろに出すスクワットが推奨されています。大腿四頭筋、内転筋、大臀筋を鍛え、これらの筋肉で負荷を受け止めて関節の負担を減らすのが目的です。尻を後ろに出して、膝と股関節に負荷を分散させる浅いスクワットなら、膝の負担を軽くして筋肉を鍛えられるようになると思います。
現実として、膝を深く曲げてフルボトムスクワットをしているのは、ほぼ30代前半くらいまでの人です。動画サイトで知名度が高い人だと、Clarence Kennedyは20代後半です。
中年以降の人で、フルボトムスクワットをしたほうが良いと言っているのは、自分ではトレーニングをしていない研究者や指導者がほとんどでしょう。
中年以降で出来なくなる動作が、人体にとって自然な動作だとは思えません。ジョギング・ランニングは中年以降でも多くの人が出来ますが、フルボトムスクワットは多くの人が出来ないでしょう。
話が少し脱線しますが、フルボトムスクワットを推奨する人が、「幼児はフルボトムのポジションまで楽にしゃがめるから、これは人間にとって自然な動作で大人も出来るべきだ」みたいなことを言っているのを見かけますが・・・あれは、脱力して腰を丸めて骨盤を後傾してしゃがんでいます。筋トレのスクワットでは、背骨ニュートラルで強く踏ん張ることが必要で、脱力して腰を丸めてウンコ座りするのとは全く違う動作です。
ちなみに幼児は深くしゃがんだボジションで、背骨ニュートラルで踏ん張ることが出来ないと思います。自分の子供(4歳児)で試したら出来ませんでした。立った状態からしゃがませていくと、ハーフスクワットくらいまでしか背骨ニュートラルを保てず、その姿勢でも全身の関節がプルプルして踏ん張れず、膝が内側に入ります。大腿骨の前捻角などが大人と違うから幼児はスクワットが出来ないだろうなと考えていましたが、それよりもスタビリティの問題でスクワットが出来ない感じです。
90-110°スクワットのやり方
基本は、膝と股関節に負荷分散しながら、斜め後ろにゆっくりしゃがんで立ち上がるだけです。この動作を学ぶのにおすすめなのが、腕を振って全力で垂直跳びをしてみることです。できれば裸足がいいです(足の指が地面を掴んでいるのがわかるので)。腕を後ろに振ると同時に、足の指で地面を掴み、太腿と尻に負荷を感じながらしゃがんでいきます。
動画:垂直跳び5分で伸びる!
https://www.youtube.com/watch?v=t0W0V8j4TSQ
実際に跳ばなくてもよくて、大腿四頭筋と臀筋にグッと力を溜めてしゃがむ感覚が得られればOKです。それと本気で垂直跳びしようとすると、腰を反って尻を突き出す動作にはならないはずです。背骨ニュートラルで、腹圧を骨盤にぶつける感じになります。腰を反って尻を後ろに突き出すスクワットではなくて、背骨ニュートラルで膝と股関節に負荷分散するスクワットにしたいです。
関連記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方
膝がつま先より前に出るかは、あまり意識しなくて大丈夫です。膝を前に出さないことを意識しすぎるとグッドモーニング型スクワットになるので、それはNGです。大腿骨が長いと少し出るかもしれませんが、膝と股関節に負荷分散できていて、膝が痛くならなければ問題ありません。膝が痛くなる場合は、もう少し尻を後ろに出します。
ボトムのボジションが膝と股関節の屈曲角度90-110°くらい、大腿四頭筋と臀筋が同じくらい頑張っている感じがすれば良いフォームです。骨格やバーベルの重量によって、膝と股関節に同じくらい負荷をかけられるようになる関節角度が違うので、90-110°というレンジで表記しています。
しゃがみ込みに慣れてきたらゴブレットスクワットで練習します。足幅は肩幅くらいが目安です。深さを出す必要がないので無理にワイドスタンスにしなくても良いです。しゃがむときはゆっくり目にしゃがんで、太腿と尻に力を溜めます。立ち上がりは速くてOKです。股関節を深く曲げていくと臀筋の出力が低下して、股関節で骨同士がぶつかって止まるポイントが来ると思います。そこまで行くと曲げ過ぎなので、その直前で止めて切り返すと良いでしょう。
足裏の重心は、足の真中(ミッドフット)よりも少し踵寄りです。しゃがむ時も、立ち上がる時も、下の画像の「踵寄り重心」のあたりが足裏の重心位置になります。
関連記事:スクワットとデッドリフトのバーの軌道と足裏重心
バーの担ぎ方は、ハイバー、ロウバーやりやすい方でOKです。大腿骨が長くて胴体が短い人は、ロウバーだと上半身の傾きが大きくなって股関節の可動域が厳しくなりやすいので、ハイバーのほうが向いていると思います。
動画:スクワット(90-110°)
https://www.youtube.com/watch?v=35_YYv8wJkc
関節の動作範囲は、トラップバー(ヘックスバー)デッドリフトに近いです。そのためモビリティの問題が起きにくく、脚と尻に良い刺激が入ります。
動画:The Trap Bar Deadlift
https://www.youtube.com/watch?v=TU2xZ7s4jus
90-110°スクワットのメリット
<回復が速い>
挙上距離が短いので消費エネルギーが小さく、セット間の回復や、翌日以降の全身疲労の回復が速いです。それほど筋肉が引き伸ばされないので筋肉のダメージが小さく、翌日以降の筋肉の回復も速いです。
疲労コストが小さいのはメリットで、他の種目への影響を小さくでき、トレーニング間隔を短く出来ます。アスリートなら競技練習への影響を小さくできます。<関節のダメージが小さい>
関節のダメージが小さく、トレーニングに支障が出にくいです。
<技術面で習得が楽>
パラレル以下にしゃがむのは、けっこう技術が必要です。バットウィンクがなるべく起きないよう体幹コントロールに気を使いますし、膝と股関節のヒンジ動作メインから、脚の間に骨盤を落として尻を踵に近づけていく動作に移行する必要があります。90-110°でしゃがむのは技術的に簡単ですし、バットウィンクも起きなくなります。斜め後ろに直線的にしゃがんで、直線的に立ち上がるだけです
<エラー率が低い>
人間は失敗をする生き物なので、エラー率は低いほど良いです。疲労が溜まっている時や、きついセットの終盤ではミスが起きて怪我をしやすいです。怪我をするとトレーニングの内容を変更したり休んだりしないといけなくなるので、失敗が起きにくい簡単なやり方をしたほうがいいです。
「フォームが良ければ深くしゃがんでも怪我をすることはない。怪我をするのはフォームが悪いからだ(怪我をしないのが良いフォームだ)」といったことを言う人がいますが、それは詭弁(循環論法)ですね。<スクワットのために長時間のモビリティドリルを行う必要が無い>
スクワットで深くしゃがむための足首や股関節のモビリティドリルは世の中にたくさんありますが、わざわざあの手のものをやる必要がなくなります。普段から身体を動かしている人なら、90-110°のスクワットは簡単にできます。踵の高いウェイトリフティングシューズも必要ありません。
ウンコ座りはなるべく出来たほうが良いと思いますが(体幹のリラックス、背骨の屈曲、骨盤後傾)、フルボトムスクワットの姿勢は出来なくても問題ないです。競技で必要なわけでもないのに股関節の可動域限界をグリグリ広げるようなことはあまりやらないほうが良いでしょう。下の記事くらいの簡単なモビリティドリルで十分です。関連記事:股関節のストレッチ・ウォームアップ
<アラインメント異常の悪影響が小さい>
アラインメント異常、特にアシンメトリー(左右非対称)がある人は多いです。反り腰、猫背などの矢状面のアラインメント異常はわりと簡単に治るのですが、アシンメトリーはなかなか治りません。アシンメトリーをゼロにできるなら、そうするにこしたことはないですが、利き足、利き腕、内臓の重さの偏り、横隔膜の強さの左右差など人体の根本的な左右差に基づくアシンメトリーもあり、また骨自体がアシンメトリーの場合もあるので、多くの場合はある程度のアシンメトリーと付き合っていく必要があります。
アシンメトリーがあると、深くしゃがめばしゃがむほど膝がねじれたりして痛めやすくなります。たとえば、スクワットを深くしゃがんだ時に尻が横移動(ヒップシフト)する場合、尻が移動する側と反対側の膝が捻れて痛くなりやすいと思います。
関連記事:タイプ別の姿勢矯正方法
関連記事:アシンメトリー
<生涯スクワット>
中年以降でバーベルやダンベルを使ってスクワットをしている人をジムであまり見かけないですが、このやり方なら歳を取ってもスクワットを続けられます。老若男女が自分にあった負荷でスクワットができます。
動画:WHY EVERYONE Can & Should SQUAT THE SAME!!!! 70 Exampleshttps://www.youtube.com/watch?v=lbUhHlvZkHY
これらのメリットについて直接のエビデンスは無く、人体の仕組みから論理的に考えたのと、あとは自分の体感です。自分が大腿骨が長い体型で、年齢も中年なこともあり、深いスクワットは関節の負担が大きいと感じます。90-110°スクワットに切り替えてからは、関節の負担も軽く、脚と尻の筋肉にしっかり刺激が入っている感覚があります。私は生涯トレーニングを続けたいので、今後はパラレル以下のスクワットはやらないつもりです。
日本でも英語圏でも、ある程度本格的にトレーニングする人たちの間で主流の考えが、「ハイバーでもロウバーでも、可動域が足りるなら少なくともパラレルまではしゃがむべき。綺麗に深くしゃがむスクワットが正しいやり方だ」というのは認識しています(「スクワット 深さ」「squat depth」で検索すると、そういった主旨の記事が上位にきます)。私はこの記事の内容に自信を持っていますが、マイノリティでしょう。YouTubeだと「○○は嘘!△△は間違い!これが正しいスクワットのやリ方!」という動画が溢れていますね。傲慢は若さの特権なのでどうぞ存分に・・・。どのようなスクワットをするにしろそれは個人の選択で、結果はその人に全部返ってきます。
<参考文献>
(1)Lower Extremity Muscle Functions During Full Squats
https://www.researchgate.net/publication/23656200_Lower_Extremity_Muscle_Functions_During_Full_Squats
(2)Muscle Activation Differs between Three Different Knee Joint-Angle Positions during a Maximal Isometric Back Squat Exercise_2016
https://www.researchgate.net/publication/305411768_Muscle_Activation_Differs_between_Three_Different_Knee_Joint-Angle_Positions_during_a_Maximal_Isometric_Back_Squat_Exercise_2016
(3)Changes in the Mechanical Properties of Human Quadriceps Muscle after Eccentric Exercise
https://iv.iiarjournals.org/content/23/5/859.figures-only
(4)Relative Muscle Contributions to Net Joint Moments in the Barbell Back Squat
https://www.researchgate.net/publication/301690652_Relative_Muscle_Contributions_to_Net_Joint_Moments_in_the_Barbell_Back_Squat
(5)Comparison Between Back Squat, Romanian Deadlift, and Barbell Hip Thrust for Leg and Hip Muscle Activities During Hip Extension
https://www.researchgate.net/publication/334750289_Comparison_Between_Back_Squat_Romanian_Deadlift_and_Barbell_Hip_Thrust_for_Leg_and_Hip_Muscle_Activities_During_Hip_Extension
(6)Muscle Activation Differs Between Partial and Full Back Squat Exercise With External Load Equated
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2017/06000/muscle_activation_differs_between_partial_and_full.29.aspx
(7)The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial hip and thigh muscles
https://www.academia.edu/27116050/The_effect_of_back_squat_depth_on_the_EMG_activity_of_4_superficial_hip_and_thigh_muscles
(8)Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle
and tendon adaptations
http://highfit.com.br/wp-content/uploads/2017/03/Squat-BLOOMQUIST-2013.pdf
(9)Impact of Range of Motion During Ecologically Valid Resistance Training Protocols on Muscle Size, Subcutaneous Fat, and Strength
https://www.researchgate.net/publication/236581117_Impact_of_Range_of_Motion_During_Ecologically_Valid_Resistance_Training_Protocols_on_Muscle_Size_Subcutaneous_Fat_and_Strength
(10)Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
https://highfit.com.br/wp-content/uploads/2019/06/KEITARO-KUBO-2019.pdf
(11)Partial Range of Motion Exercise Is Effective for Facilitating Muscle Hypertrophy and Function Through Sustained Intramuscular Hypoxia in Young Trained Men
https://www.semanticscholar.org/paper/Partial-Range-of-Motion-Exercise-Is-Effective-for-Goto-Maeda/c603d57f976a6a8656dfd2cd84a5b1c7809e285e
(12)Full squat produces greater neuromuscular and functional adaptationsand lower pain than partial squats after prolonged resistance training
https://brainactivity.es/wp-content/uploads/2019/12/7-2019.-Pallares-et-al.-Full-squat-produces-greater-adaptations-EJSS-_Q2.pdf
(13)Influence of Squatting Depth on Jumping Performance
http://www.commonwealthgames.org/proxy/files/Strength%20Training/Influence_of_Squatting_Depth_on_Jumping_10.pdf
(14)Joint-Angle Specific Strength Adaptations Influence Improvements in Power in Highly Trained Athletes
https://www.researchgate.net/publication/304607794_Joint-Angle_Specific_Strength_Adaptations_Influence_Improvements_in_Power_in_Highly_Trained_Athletes
quarter squat, half squat, and full squat
(15)Squatting Kinematics and Kinetics and Their Application to Exercise Performance
https://www.researchgate.net/publication/41562597_Squatting_Kinematics_and_Kinetics_and_Their_Application_to_Exercise_Performance
(16)Knee biomechanics of the dynamic squat exercise
https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2001/01000/Knee_biomechanics_of_the_dynamic_squat_exercise.20.aspx
(17)In vivo knee moments and shear after total knee arthroplasty.
https://europepmc.org/article/med/17462659
(18)Degenerative joint disease in weight-lifters. Fact or fiction?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1858976/?page=3
(19)Knee osteoarthritis in former runners, soccer players, weight lifters, and shooters
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7718008/
(20)Occupational and genetic risk factors for osteoarthritis: A review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4562436/
(21)Arthrosis and its relation to work
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6535245/
(22)Global, regional prevalence, incidence and risk factors of knee osteoarthritis in population-based studies
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(20)30331-X/fulltext
(23)The effects of gluteus muscle strengthening exercise and lumbar stabilization exercise on lumbar muscle strength and balance in chronic low back pain patients
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4713798/
(24)Knee Kinetics during Squats of Varying Loads and Depths in Recreationally Trained Females
https://www.researchgate.net/profile/Joshua_Cotter/publication/323669263_Knee_Kinetics_during_Squats_of_Varying_Loads_and_Depths_in_Recreationally_Trained_Females/links/5aabfd8b0f7e9b4897bc8f0a/Knee-Kinetics-during-Squats-of-Varying-Loads-and-Depths-in-Recreationally-Trained-Females.pdf
(25)Knee Joint Kinetics in Relation to Commonly Prescribed Squat Loads and Depths
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4064719/
こんにちは、愛読者です。合理的で説得力のあるとても良い提案だと思いました。
返信削除NGTNさんの意見は、筋肥大や健康目的のトレーニングとしては「スクワットをしない」という選択肢も含めるとむしろ現代では主流派なのではとも思います、脚トレをやるにしてもレッグプレスやヘックスバーデッドリフトで代替可能でストレートバーベルにこだわることもないですし。
自分も中年男性でトレーニングに費やす身体的、時間的コストについては日々考えてしまうことも多いです。が、PRを出したり、フォームを改善する遊びがモチベーションでリフティングやトレーニングを続けられているので、残念ながらフルスクワットのエゴは捨てられそうにないですね…
SADHIさん、コメントありがとうございます!
返信削除BIG3に自分の成長の楽しみを見出す気持ちはよくわかります。私はスクワットはもともと苦手なので筋肥大目的と割り切れているのですが、デッドリフトはPR狙って今でも攻めています。たしかに目標もなく効率を追い求めると、トレーニングが単なる作業になってしまいますね。私は効率大好き人間なので、遊びや楽しさを見落としがちになるのですが、SADHIさんのコメントでその点に気付きました。身体をケアしつつ、やりがい、健康、楽しさ、モチベーションのバランスを上手くとっていきたいですね。
こんんちは 普段から記事をよく読ませてもらってます。
返信削除著書も購入しました。
本記事もとても良く練られた考察と丁寧な解説で、興味深く読ませていただきました。
記事の内容全てに賛成なわけでは無いですが、考え方としては面白いですね。
何回も読みたくなります。
Daiさん、コメントありがとうございます!
返信削除記事が考えるきっかけになったなら嬉しいです。
満足の行くスクワットライフを送っていきたいですね。
返信ありがとうございます。
削除最近は、記事の更新頻度が高くて嬉しいです。
これから暑くなるので、熱中症等お気をつけください。
ありがとうございます。 がんばります!
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