5/01/2021

ショルダープレス-肩のトラブル回避と難易度調整-


ショルダープレスでの肩のトラブルを回避する方法と、肩に問題がある場合や肩の怪我リスクを下げたい場合にショルダープレスの難易度を調整する方法を書いていきます。

ここでのショルダープレスは、肩のプレス動作をおこなう種目全般をひっくるめてです。ダンベルショルダープレスや、バーベルでのオーバーヘッドプレスなどを含みます。

肩の種目は怪我をしやすいです。肩のトラブルを回避するには、コンディションを整えることが重要です。アラインメント(姿勢)→モビリティ(可動性)→スタビリティ(安定性)の順に、ショルダープレスの準備をしていきます。

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アラインメント(姿勢)

猫背だと頭上に腕が上がらないですし、反り腰だと頭上に重りを持ち上げたときに腰を痛めやすくなります。姿勢に問題がある場合は直します。

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モビリティ(可動性)

肩甲骨の可動性と、肩関節(肩甲骨と上腕骨から構成される関節)の可動性の両方が必要です。

<肩甲骨を動かす>





<肩関節の柔軟性の確保>

ショルダープレスで肩関節に要求される動作は、

・腕を上げる(肩の外転・屈曲)

・手首の下に肘をポジショニングする(肩の外旋)

これらの動作を妨げやすい筋肉は、大胸筋、広背筋、肩甲下筋です。


<大胸筋ストレッチ>

猫背の人はラットマシンを使った大胸筋ストレッチをやると、胸椎も伸びやすくなって効果的です。


<広背筋ストレッチ>

広背筋が固い場合はストレッチします。バーなどに手を引っ掛けてのストレッチでも良いのですが、今回は胸椎と上腕三頭筋長頭も伸ばせるストレッチを紹介します。




<肩甲下筋ストレッチ>

肩周りの細かい筋肉や関節包は、緩めすぎると怪我をしやすくなります。とりあえずやっておけばOKのストレッチではないので、チェック方法で引っかかった場合のみやります。片側だけひっかかるなら、その肩のみです。

肩甲下筋を伸ばすには外部から力を加えて、肩を外旋方向にストレッチしていきます。肩甲骨が一緒に動くと肩甲下筋がストレッチできなくなるので、肩甲骨をいかに固定するかがポイントです。肘を下げた状態と上げた状態の2通りでやります。グイグイやると肩を痛めるので、ゆっくりやりましょう。




<可動性チェック>

バーベルでのオーバーヘッドプレスなど難易度の高い種目をやる場合は、この可動性チェックをクリアする必要があります。片手ランドマインプレスは難易度が低いので、クリアしなくても実施可能です。







スタビリティ(安定性)

安全に頭上に重りを持ち上げるためには、体幹と肩周りを安定させることが必要です。

<体幹の安定>

腰が反らないように体幹を固める練習です。ショルダープレスで腰を反ると、腰を痛めます。バックスクワットでの背中の反り対策にもなります。



<肩周り(背中)の安定>

上下方法や水平方向に腕を適当に動かします。様々なポジションで肩周りの安定を得られるようにするのが、このトレーニングの目的です。


<肩周り(上方回旋ポジション)の安定>

ヨガプッシュアップのプッシュアップ抜きです。プッシュアップを入れて普通にヨガプッシュアップをやってもOKです。


ウェイターキャリーです。適当な重さの物が入った小さめのエコバッグでも出来ます(買い物帰りに実施可能)。



ショルダープレスの難易度調整

ショルダープレス系の種目にはいくつか種類があって、それぞれ難易度が違います。難易度の高低には技術面以外にも、肩のコンディションが良好でなくても実施できるかどうかといった要素が含まれます。


片手ランドマインプレスは技術面でそれほど難しくありません。肩のコンディションが良好でなくても実施が容易く、肩関節への負担が小さくて怪我リスクが低いです。セットするプレートの重さを変えれば負荷調整も簡単に出来るので、多くの人に勧められる優良種目です。

ボトムアッププレスは、肘を下ろしたポジションでの肩の負担が軽く、肘を前に出すことで前鋸筋を動員しやすくなり、肩甲骨の上方回旋がしやすくなります。

ダンベルショルダープレスはバーベルに比べて関節の自由度が高いため、バーベルに比べると難易度が低いです。

バーベルでのショルダープレス(オーバーヘッドプレス)は、肩のコンディションが非常に良好でないと実施が困難です。準備の出来ていない人がやると、怪我をしやすくなります。

ダンベルショルダープレスやバーベル・オーバーヘッドプレスで肩がゴリゴリする、肩の中で何かが挟まったり引っかかったりする、といった場合は、その種目は避けたほうが良いです。

<片手ランドマインプレス>

バーの片側にプレートをセットし、プレス動作を行います。バーを握る位置が低いと、胸の筋肉を使いやすくなります。今回は肩の筋肉を使いたいので、図の位置くらいで握るのがおすすめです。バーが長くて身長が低い場合は、立ったほうがやりやすいです。膝をついてでも立ってでも、やりやすい方でOKです。


<ボトムアッププレス>


<ショルダープレス(バーベル・ダンベル)>

ダンベルもバーベルも垂直の軌道で上下させますが、バーベルの場合は顔に当たらないように上半身のスウェイ動作が入ります。バーベルの握り方はベンチプレスと同じで、指で握り込まず掌底に乗せ、前腕の骨で負荷を受けるようにします。手幅はベンチプレスよりも狭めです。







オーバーヘッドプレスのトップポジションでの肩関節屈曲角度

トップポジションでの肩関節の屈曲角度にはいくつか種類があります。YouTubeの動画からキャプチャした画像を並べて比較してみます(180°超えの画像はクリーン&ジャークのもの)。



動画:Overhead Press Tips
https://www.youtube.com/watch?v=EtQxbZKuodU

動画:Build Bigger Shoulders With Perfect Training Technique (The Overhead Press)
https://www.youtube.com/watch?v=_RlRDWO2jfg

動画:CLEAN and JERK / Olympic weightlifting and crossfit
https://www.youtube.com/watch?v=9HyWjAk7fhY

ダンベルショルダープレスだと、胸椎はニュートラルで、肩の屈曲が170°くらいが一般的だと思います。バーベルでのオーバーヘッドプレスだと、170°、180°、180°超えと、人によってやり方が違ってきます。

170°に比べて、180°やそれを超えるところまで肩を屈曲し胸椎を伸展する動作に、どのようなメリット・デメリットがあるのか私にはわからないです(このやり方をする人を煽ってるわけではなくて純粋にわからない)。170°は棚の上の物を取る時などに使う動作ですが、180°や180°超えで肩をロックする動作はウェイトリフティング以外では使わなそうなので、趣味の筋トレならやらなくてもいいかなと個人的には思います。



メガネ民

バーベル・オーバーヘッドプレスの際に、バーがメガネに当たって悲劇が起こることがあります。バーベル・オーバーヘッドプレスではメガネを外したほうが良いでしょう・・・。



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