8/21/2020
ケーススタディ:ボディビルダーの減量とコンテスト後の回復
https://pdfs.semanticscholar.org/7eb2/f2177a56705379065088b3480ce75329fd8e.pdf
一人の男性ボディビルダーがコンテストに向けて減量するまでと、コンテスト後の回復を記録した研究。細かく記録されているので、減量期間の食事や体組成推移などを見ていきたい。
2/17/2016
ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20
ナチュラル(薬物を使わない)ボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法を、栄養摂取とサプリメントの面で調べたレビュー論文。ボディビルをやらなくても、低い体脂肪率を目指す人には参考になると思います。
★減量期の摂取カロリーの設定
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくする。体脂肪1ポンドは約3500kcal。1日500kcalのカロリー赤字を続ければ、理論的には一週間で1ポンドずつ体脂肪が減っていく。しかし実際には、摂取カロリーの減少により代謝の適応が起こり消費カロリーも減少していく。過体重ではない男性を対象とした研究では、摂取カロリーを維持カロリーの50%に設定したダイエットを24週間続けたところ、体重が25%減少し、基礎代謝が40%減少した。この40%のうち25%は体重減少によるもので残り15%が代謝の適応によるものだと考えられる。従って、ダイエットを継続し体重減少が起きるとともに摂取カロリーの設定も調整していく必要がある。
カロリー赤字を大きくすればそれだけ速く体重が減少するが、除脂肪体重の減少も大きくなるというデメリットがある。推奨は、週に0.5-1.0%の体重減少ペースで、減量期間は2-4ヶ月間。スタート時の体脂肪率が高ければそれだけ減量期間も長くなる。体脂肪率が低くなるとより除脂肪体重が失われやすくなるので、減量期の後半は体重減少ペースを落とした方が良い。
★マクロ栄養素の摂取量
・タンパク質
除脂肪体重を維持するのに十分な量のタンパク質を摂取する。タンパク質の必要摂取量は運動や栄養状態によって変わってくる。
- 激しい運動を行う場合はより多くのタンパク質が必要になる。
- 減量時にはより多くのタンパク質が必要になる。
- 体脂肪率が低くなるとより多くのタンパク質が必要になる。
コンテスト準備期間のボディビルダーにはこれらの要素が全て当てはまる。この論文での推奨は1日に除脂肪体重1kgあたり2.3-3.1gのタンパク質を摂取。
・炭水化物
減らしすぎるとパフォーマンスの低下と除脂肪体重の減少につながる。低炭水化物による除脂肪体重の減少はインスリンとIGF-1のレベルの低下が関連しているようだ。
・脂質
減らしすぎるとテストステロンレベルの低下につながる。ただ、高タンパク質・高脂質・低炭水化物での減量と、高タンパク質・低脂質・高炭水化物での減量を比べた場合、高炭水化物の方が除脂肪体重の維持につながったので、脂質と炭水化物だったら炭水化物を優先した方が良さそう。それと極度に低い体脂肪率にする場合はそれ自体がテストステロンレベルを大幅に低下させる。目安は摂取カロリーの20-30%を脂質で、カロリー摂取枠に余裕が無い場合は15-20%。
・ケトジェニックダイエットと個人差
デザインの良い研究がないので、除脂肪体重を維持しつつ体脂肪率を極度に低くする場合のケトジェニックダイエットの是非は今後の研究待ち。ただ、脂質多めが良いか炭水化物多めが良いかの反応には個人差がある。多くの人はこの論文での推奨レンジで良い結果がでるが、推奨レンジをはずれたマクロ栄養素バランスで良い結果を出す人もいる
・まとめ
減量ペースを決め、一日あたりのカロリー赤字を決定し、マクロ栄養素のバランスを決める。トレーニングのパフォーマンスが落ちてきたら、脂質を減らしその分の摂取カロリーを炭水化物に割り当てる。
減量ペース: 体重の0.5-1.0%/週
タンパク質: 2.3-3.1g/除脂肪体重kg/日
脂質: 総摂取カロリーの15-30%
炭水化物: タンパク質と脂質を除いた残りのカロリー
★栄養摂取のタイミング
一日のトータルの栄養摂取量が最も大事だろう。詳しくは以下の論文を参照。これもAlan A Aragonが関わっている。
ゴールデンタイムはあるのか?
激しい運動を2時間以上する場合は、1時間あたり8-15gのタンパク質と30-60gのカーボを6-8%の濃度で水に溶かした飲み物を摂取することで筋肉のダメージを抑える。
・状況毎の栄養摂取のタイミングの重要度
ピンポイントで摂取すべきか、フレキシブルに摂取してもよいか。
炭水化物
超重要: グリコーゲンを多く消費する運動を一日に複数回行う場合
タイミングは変更可能: 一晩の絶食の後のトレーニング。1~2時間の激しいトレーニング。
重要じゃない: 空腹ではない状態での1時間以内の低中強度のレジスタンストレーニング
タンパク質
超重要: 前回の食事から3-4時間以上経過した状態でのレジスタンストレーニング
タイミングは変更可能: タンパク質を十分に含む食事の後のレジスタンストレーニング
重要じゃない: 有酸素運動
サプリメント
超重要: カーボ/電解質のスポーツドリンク、カフェイン、その他のパフォーマンス向上効果のあるサプリメント
タイミングは変更可能: 無し
重要じゃない: クレアチニン、ベータアラニン、その他の筋肉の適応に長期的な効果のあるサプリメント
★食事頻度
トータルの摂取量が同じなら、一日の食事回数を多くしても少なくしても消費カロリーは変わらない。しかし食事パターンをコロコロ変えると食後の熱産生が減少し、インスリン感受性と血中脂質にネガティブな影響が出たという研究がある。ただ、運動はインスリン感受性と血中脂質を改善するので、これらへのネガティブな影響は運動をしない人に限られるだろう。
コンスタントにカロリーカットするダイエットと、普通に食べる日と極端に制限する日を交互に行うダイエット( ICR: intermittent calorie restriction)では、ICRの方が良い結果が出ているが、体組成の測定方法の影響も考えられるので、結果の解釈には注意が必要。
- 筋合成のスイッチを入れるには一食あたりのロイシン摂取量が閾値を越える必要があるという説
- 血中アミノ酸濃度を高いままにしたら筋合成速度が低下したという研究
アミノ酸注入による反応を調べたacuteの研究なので長期間ではどうなるかはわからないが、一応これらの研究結果を考えると、一食当たり30-40g以上のタンパク質を摂取、食事間隔を短くしすぎない、というのが推奨の食事の仕方になる。一日に3-4回の食事、各食事のタンパク質摂取量は均等、この食事パターンが筋肥大を最大化するのに良いとする論文もある。
この論文での推奨は、1日3-6回の食事、一食当たり20g以上のタンパク質。このレンジ内だったら、良いトレーニングと正しく設定された一日のトータルの栄養摂取を行えば、食事頻度による差はほとんど無いだろう。
★サプリメント
・クレアチン
継続的に摂取。筋肉のサイズと強さを増大させる。副作用は確認されていない。色々なタイプが出ているが、クレアチン・モノハイドレイトが最も効果があるだろう。
・βアラニン
継続的に摂取。高強度運動への疲労耐性を上げ、パフォーマンスを向上させる。除脂肪体重増加の効果もあるようだ。長期服用の安全性についてはまだあまり研究されていない。一度に大量に摂取すると知覚異常の副作用が起こることが確認されている。
・HMB
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB)はロイシンの代謝物で、筋分解の抑制と筋合成の促進に効果があるとされている。しかし、高齢者や病気の人には効果的でもトレーニングを行う健康な人への効果については結果が分かれている。非常に強度の高いトレーニングをするフェーズに摂取することでカタボリックを抑制する効果があるかもしれない。長期のカロリー制限の状況で除脂肪体重を維持する効果があるかは調べられていない。
・BCAA
BCAAの摂取直後に筋合成が高まることは繰り返し示されているが、筋肥大と筋力への長期的な効果については今後の研究待ち。
・アルギニン
血流を増やしたり運動後の筋合成を高めたりといった効果はないようだ。パフォーマンス向上効果については結果が分かれているが、これもどうやら効果は疑わしい。
・シトルリンリンゴ酸
パフォーマンス向上の効果があるとされているが、現状の研究結果でははっきりとした判断を下すことは難しい。今後の研究待ち。
・グルタミン
健康なアスリートのパフォーマンス向上効果はこれまでの研究からはサポートされない。ストレス環境下にある人の胃腸の健康とペプチドの取り込みには良い影響があるかもしれない(減量中のボディビルダーは強いストレスに晒される)。
・カフェイン
ワークアウト前に摂取。多くの研究で持久運動、スプリント、ストレングストレーニングのパフォーマンスを向上させることが示されている。ストレングストレーニングでの効果を示した研究の多くは安全な摂取量の上限である5–6 mg/kgという多量のカフェインを投与している。カフェインは常用により耐性がついてパフォーマンス向上効果が低下する。カフェインを上手く利用するには摂取をサイクルさせるのが良いだろう。
・微量栄養素
念のためサプリメントで補助するのが良いかも
★コンテスト直前
水抜きが見た目に及ぼす効果についての研究は無いが、体調のことを考えると危険な行為である。水分は皮下組織だけでなく血管系にも多く存在するので、水抜きによりこれらの血管系の水分も抜けコンテスト時のパンプに悪影響が出ることが考えられる。また筋肉の大部分が水分であるので、筋肉の水分が抜け見た目に悪影響が出る可能性もある。
コンテスト前のカーボローディングについては効果がありそう。やる場合は自分に合うやり方を事前に試しておくこと。定量的な見た目の変化と炭水化物の摂取割合、トータルカロリーの影響を調べる研究が望まれる。
★心理社会的な問題
ボディビルダーは増量と過酷な減量を繰り返すので精神面に問題を抱えてしまうケースが多い。過食症、拒食症、不安神経症、短気イライラ、筋肉異形症(Muscle dysmorphia)、月経異常。問題を感じたら早めに専門家に相談すること。
★Limitations
この論文の第一の制約は、ナチュラル・ボディビルダーを被験者とした大規模で長期間の研究が欠如していることである。これを回避するため、アスリートを対象とした骨格筋の肥大と体脂肪の減少についての長期の研究を優先的に選んだ。そのような研究が無い場合は、短期の研究や動物を対象とした研究を選んだ。
12/23/2015
炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
基本的には、栄養素の貯蔵と引き出しの記事で書いたように、一定のタンパク質量を確保すれば、いつどう何を食べようとも、減量増量はトータルでのカロリー収支が重要になる。
しかし筋肉量が多く体脂肪量が少ない人が減量を行う場合、体脂肪は分解がボトルネックになり始め(頑固な脂肪)、貯蔵されやすくなってくる(インスリン感受性)。特に体質に恵まれておらず薬物も使わない条件下では、このような上級マッチョが体脂肪率一桁を目指して減量を行うような場合、トレーニングと栄養摂取のタイミングについてテクニックが必要になってくる。他には増量による体型変動を避け、体重をあまり変えずに体組成を筋肉増・脂肪減にしていきたい場合にも使えるテクニックである。
★炭水化物の役割
筋肉の維持・増量には、筋肉への刺激と筋グリコーゲンレベルが高いことが必要である。筋肉への刺激とは強度の高いウェイトトレーニングであり、強度の高いウェイトトレーニングを行うには筋グリコーゲンが必要である。つまり筋肉の維持・増量には炭水化物の摂取は必須ということになる。また炭水化物の摂取は、代謝を司るホルモンであるレプチンのレベルに影響するので、炭水化物をある程度摂取してレプチンレベルをなるべく下げないようにした方が、ダイエットの効率的に、そしておそらく健康面でも良い影響があるだろう。
★カロリーの振り分け
理想を言えば、摂取した炭水化物は筋肉の維持・増加と筋グリコーゲンの補充に回され、筋グリコーゲンはウェイトトレーニングの実施エネルギーに使用され、日常生活のエネルギー消費は体脂肪の分解燃焼で賄われるのが良い。しかし飢餓に抵抗する人体はそれと逆のことをやろうとしてくる。
このカロリーの振り分け(calorie partitioning)を有利にするためのテクニックとして、炭水化物の摂取タイミングとウェイトトレーニングを組み合わせたダイエットプロトコルがいくつかある。UD2.0、リーンゲインズ、カーボバックローディングなど。UD2.0以外は詳しくは知らないけど、たぶん同じような根拠をもとに組み立てられている。(間違ってたらご指摘いただけると有難いです)
留意点としては、いずれもエビデンスベースで組み立てられているけど、特定の条件下での短期間(acute)の反応を調べた研究をつぎはぎして短期の結果が長期に外挿できると仮定したものであって、これらのパッケージ化されたダイエットプロトコルで何ヶ月間もの実験を行って結果を出したわけではないこと。個人差もあるだろうし、苦労に見合う効果があるかはわからない。コンテストを目指すなどの目標があり、大抵の苦労を受け入れられる人は試す価値はあると思う。私自身はボディメイクは生活の質を向上させるためであり、その苦労が生活の質を低下させるようなら本末転倒なので面倒なのはあまりやる気はない。
それでエビデンスの構成要素はだいたい以下のような感じになる
・ウェイトトレーニング後に筋合成が高まる。タンパク質を摂取するとさらに高まる。
・運動後の炭水化物摂取で筋グリコーゲンが回復しやすい(筋グリコーゲン補充に炭水化物が回されやすい)。
・筋グリコーゲンレベルが低いと筋グリコーゲンが回復しやすい。
・筋グリコーゲンレベルが筋肉の合成・分解に影響する。
・肝グリコーゲンレベルが全身の脂肪と筋肉の合成・分解に影響する。
・インスリンレベルが低いと脂肪分解が促進される。
・インスリンレベルが高いと脂肪分解が抑制される。
・インスリンレベルが低い状態で運動すると運動中に体脂肪が分解燃焼されやすい。
★増量と減量のサイクル
上記の構成要素をもとに1日~数日間で増量フェーズと減量フェーズをサイクルさせる。
増量と減量では肝グリコーゲンと筋グリコーゲンのコントロールを行う。大雑把にそれぞれの役割を書くと、
・増量
肝グリコーゲン多い→全身がアナボリック(筋合成+体脂肪合成)に傾く
筋グリコーゲン多い→局所(その部分の骨格筋)がアナボリック(筋合成)に傾く
・減量
肝グリコーゲン少ない→全身がカタボリック(筋分解+体脂肪分解)に傾く
筋グリコーゲン少ない→局所がカタボリック(筋分解+脂肪をエネルギー利用)に傾く
一般的なパターンは、減量フェーズでは肝グリコーゲンを少なくし、炭水化物カットでインスリンレベルを上げない時間を長くする。この時に軽度の有酸素運動、もしくは高レップウェイトトレーニング・HIIT・タバタプロトコルなど、消費カロリーが大きくアドレナリンと成長ホルモンが大量分泌される運動を行いそのあと有酸素運動をすることで脂肪減を促進する。増量フェーズでは低中レップのウェイトトレーニング後にタンパク質と炭水化物を摂取することで、筋合成と筋グリコーゲンの回復を狙う。
※ウェイトトレーニングのレップ数による区分け
高レップ:15レップ以上
中レップ:10レップ前後
低レップ:5レップ前後
★時間効率
グリコーゲンレベルが低すぎなければ、グリコーゲンを入れている時間はアナボリックにも使える。一方、減量フェーズへの切り替えでグリコーゲンを抜いている間はあまり減量が進まずこの時間は無駄になる。肝グリコーゲンは普通に生活してると半日~1日で枯渇、筋グリコーゲンは数日間はもつ。従ってサイクルの期間を短くすればするほど、切り替えの際の無駄な時間が占める割合が高くなり効率が低下する。
UD2.0はこのグリコーゲンを抜く時間を短縮するため高レップトレーニングで一気に肝グリコーゲンと筋グリコーゲンを減らし、それから数日間の減量フェーズに入る。入れるときはウェイトトレーニングを行ってから一気にカーボローディングする。そうしたほうがカロリーの振り分けで有利だし短時間で筋グリコーゲンが回復するしグリコーゲン超回復も起こる。ただしきつい。増量・減量フェーズの切り替えを短縮し時間効率を高めようとすると、どうしても体力面と精神面できつくなる。
★トレーニング前の栄養補給
▽ トレーニング前に栄養補給なしのプロトコルは、以下を狙ってると思われる。
- インスリンレベルを下げた状態でトレーニングを行い、運動中の脂肪分解燃焼を促進。
- トレーニング後のタンパク質と炭水化物摂取で筋合成と筋グリコーゲン回復。
図ではタンパク質+脂質の食事も減量フェーズに含まれているが、厳密に言えばタンパク質のみでもインスリンが分泌されるので減量は一時的に止まる。
▽ 効率を考えるなら筋合成狙いのトレーニングと脂肪分解燃焼狙いのトレーニングを分け、増量・減量フェーズを数日間のサイクルで切り替えていくのが良いだろう。
- 筋合成狙いのトレーニングではトレーニング前に栄養補給しアナボリックの準備をしておき、筋トレ後に速やかにアナボリックモードに入れるようにする。トレーニングは低中レップ。
- 脂肪分解燃焼狙いのトレーニングではトレーニング前栄養補給無し、トレーニングは高レップやHIIT等と有酸素運動。
▽ あまりきついのは嫌だという場合は、空腹時の軽い有酸素と、低中レップトレ前後の栄養補給。私はだいたいこんな感じでやっている。図の食事内容はタンパク質と脂質のみ、タンパク質と炭水化物のみになっているが、ここまで厳格にやらなくても良い。食材の選択肢が極度に狭まって大変。
★摂取する炭水化物の種類
グリコーゲン充填速度
- グリコーゲンレベルが低いほどグリコーゲン充填速度が高い
消化吸収速度
- よく使われるGI値は単品を決まった量だけ食べた時の反応。通常の食事は食べ物の組み合せも食べる量も様々。
それぞれコンディションによって変わるし、何が律速になるかわからんです。消化吸収速度を律速にしたくない場合は、科学実験みたいにホエイとマルトデキストリンでも摂取すれば良いと思うけど、微量栄養素が欠落してるので健康にはあまり良くない。ダイエット時は摂取カロリーの制約が厳しいので、微量栄養素が欠落している食べものに多くのカロリー枠を取られたくないと個人的には思います。これは自分で試してみて、自分の体質とトレーニング内容では何をどれだけ食べれば、トレーニングと減量がうまく進むのか把握していくのが良いでしょう。
この記事の最後に言及した研究を見ると、甘いものを摂り過ぎなければ炭水化物の種類にはそんなにこだわらなくても良いのではないかと思う。ちなみにネットでの筋肉増へのインスリンの効果は通常の食事で十分なので、この面で高GI炭水化物を選ぶ理由はないだろう。
9/18/2015
ダイエットに効果のあるサプリメント
Fat Loss Supplements
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/fat-loss-supplements-2.html/
★はじめに
ダイエットに効果のあるサプリメントには、消費カロリーを増やすもの、食欲を抑制するもの、頑固な脂肪の分解を促進するものがある。ヨヒンビン以外は消費カロリーを増やすもので、ものによっては食欲も抑制する。消費カロリーの増加は良くて5-10%程度。副作用は心拍数が増え血圧が上がるものが多い。
ダイエットにはこれらのサプリメントが必須というわけではない。正しい食事と運動がダイエットの基本。これらのサプリメントは、低い体脂肪率でコンテスト等に向けて減量している人が、なかなか体重が落ちなくなってきた時の切り札として使うのが良いだろう。
詳しい服用方法についてはリンク先の記事や、Lyle McDonald の以前の書籍に書かれている。自分で調べられるレベルの人のみが使用した方が良いと思うので、意図的に私の記事には詳しく書いていない。
現時点では、この記事に書かれているサプリメントのみがダイエットに効果があると考えて良い。ガルシニアやカルニチンはダイエットには無意味。市販されていない薬物にはもっと効果のあるものもあるだろうけど私は詳しくは知りません。。
★カフェイン
- 1日600mgの摂取で100kcal程度消費カロリーを増やす。
- 女性の黄体期ではカフェインへの感受性が鈍り体内の滞在時間が長くなる。
- 睡眠への影響を避けるため就寝が近い時間帯に摂取しない。
- ストレスに対するコルチゾールの反応を高めるので、過剰摂取しないほうが良い。
★唐辛子
- 消費カロリー増加と脂肪の分解・燃焼にわずかな効果がある。
- 効果の持続時間は長くても数時間。
★緑茶(有効成分EGCG)&カフェイン
- EGCGとは没食子酸エピガロカテキンのこと。
- 消費カロリーを5%程度増やす。
- 緑茶で効果のある量を摂取するのは難しいので、サプリメントの利用が良い。
- 推奨服用方法は、130-160mgのEGCGと100mgのカフェインを一日三回摂取。
★ニコチン&カフェイン
- 消費カロリーを5%程度増やす。
- 食欲の抑制に効果大。
- 効果の持続時間は2時間程度。
- 推奨服用方法は、1mgのニコチンと100mgのカフェイン。
★エフェドリン&カフェイン(ECスタック)
- 1990年代に流行。過剰摂取と他の薬物との併用による死亡例あり。
- 消費カロリーを5-10%程度増やす。
- 食欲抑制し脂肪燃焼を増やしエクササイズのパフォーマンスを向上させる。
- 心拍数と血圧が上がる。慣れるとこの副作用は消える。
- 他の薬物とは逆に、使用を続けていると効果が増していく。
- 推奨服用方法は、20mgのエフェドリンと200mgのカフェインを一日三回摂取。使ったこと無い人は半分の量からスタート。
★ヨヒンビン
- 頑固な脂肪の分解を促進する。体脂肪率が低い人向け。
- わずかなインスリンの分泌でヨヒンビンの効果が消されるので、空腹時に使用し同時に有酸素運動を行い分解された脂肪を燃焼する。
- 運動中の心拍数が上がる。
- 保水効果があるので体脂肪が減ってないように見えるが、水が抜ければ減ってるのがわかる。摂取量を減らすと水が排出される。
- 推奨服用方法は、0.2mg/体重kgのヨヒンビンと100-200mgのカフェイン。
- 男女とも性器への血流が増す。男性は勃起に注意。
- 多量の摂取は不安発作のトリガーになるので、その性質のある人は使用禁止。
4/01/2014
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
リフィードは、減量中に24-48時間程度、摂取カロリーを増やす方法です。リフィードは、減量をスムーズに進める目的で筋トレ愛好家の間で広く行われています。
リフィードの効果は、以下の3つがあるとされています。
・代謝低下の抑制
・筋肉の維持・肥大
・メンタル面の息抜き
リフィードは理屈の上では効果がありそうでも、根拠となる研究は短期的なものや部分的なメカニズムに関するものが中心で、実際のところの効果ははっきりしていませんでした。しかし、2020年に筋トレ愛好家にとって喜ばしい研究デザインのリフィードの研究が出てきました。
研究では、「維持カロリーからコンスタントに25%のカロリー不足にするグループ」と、「維持カロリーから週に5日は35%のカロリー不足にして、週に2日は炭水化物中心のリフィードで維持カロリーにするグループ」を比較しました。その結果、リフィードグループのほうが体組成変化の面で良い成果が出ました。コンスタントにカロリー不足にするグループは実験前後で除脂肪体重が減少しましたが、リフィードグループは実験前後で除脂肪体重の変化は有意差なしでした。体脂肪率は両グループとも低下し、その変化はグループ間で有意差なしでした。安静時代謝の低下は、リフィードグループのほうがやや抑えられました。週ベースの摂取カロリーは、両グループとも維持カロリーから25%カットで同じです。
おそらくリフィードは、代謝回復で体脂肪の減少を促進するというよりも、除脂肪体重の維持に有効だと思われます。リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなることが期待されます。
それでは、リフィードのやり方を説明していきます。リフィードではタンパク質と脂質の摂取量は増やさず、炭水化物の摂取を増やします。具体的にはグルコースが必要なので、白米やうどんなどデンプン質の炭水化物を食べます。なぜグルコースが必要なのかというと、筋グリコーゲンを補充することでトレーニングの質を維持しやすくなることや、身体全体の代謝と筋肉の局所的な筋肉合成シグナルの両方でグルコースが有利と思われるためです。高GIの炭水化物食品のほうが筋グリコーゲンがより多く回復することが期待できるので、白米、餅、精白パン、うどん、じゃがいもなどが、リフィードに適しています(オートミールなど消化の遅い炭水化物はリフィードに向いていません。詳しくは、関連記事:リフィードでの筋グリコーゲン回復に適した炭水化物 )。
フルクトースを含む甘いものを食べたい場合は、リフィード開始直後の運動後が良いでしょう。運動後だとスクロース(グルコース+フルクトース:砂糖の主成分)を摂取しても筋グリコーゲンの回復速度が高いです。肝臓と筋肉のグリコーゲン貯蔵がある程度満たされた後は、フルクトースが含まれる糖類は筋グリコーゲンの回復がデンプンに劣るようになります。従って、リフィード後半はデンプン質の炭水化物を食べたほうが良いでしょう。
リフィードをおこなうと、グリコーゲンと水分の増加により体重が一気に増えますが、体脂肪が増えたわけではないので慌てないようにします。身体の大きな男性ではリフィードで体重が2-3kg増えるのも珍しくないですが、体脂肪を1kg増やすのには7000-7500kcalのカロリー超過が必要なことを考えると、短期間にそれほど体脂肪が増えることはありえません。
またリフィードのあと、水分が抜けて見た目がすっきりして皮下脂肪が減ったように見える現象が起きることがあります。コルチゾールレベルが下ることにより水分が抜けるのか、摂取した炭水化物がグリコーゲンとして貯蔵される際に水分を吸い出すのかわかりませんが、リフィードで体脂肪の燃焼が促進されているわけではないでしょう。
体脂肪率が20%以下の男性の減量、体脂肪率が28%以下の女性の減量ではリフィードを入れるのをおすすめします。体脂肪率が低くなればなるほどリフィードは必須になり、リフィードの頻度も上げていったほうが良いと思います。
体脂肪率が高い時の減量は筋肉が減りにくいので、体脂肪率が高い場合にリフィードを入れたほうが良いかはわからないです。生理学的に効果があるかどうかの期待値と、メンタルが何でも食べていいモードになって減量失敗になるリスクを考えると、体脂肪率が高い場合はあまりリフィードを入れないほうが良いかもしれません。その代わりメンタル面での息抜きを目的として、週に1食だけ好きなものを食べても良いという方法にすると良いでしょう。ただしビュッフェで限界まで食べるといったことはやらないようにします。
減量が2ヵ月以内で終わるなら、リフィードを週に1,2日入れるペースで乗り切りたいです。大幅に体脂肪率を下げることを目標とし、減量が2ヵ月以上つづくなら、リフィードと合わせて定期的に1-2週間のダイエット休憩を入れるのがおすすめです。ダイエット休憩については次で説明します。
リフィード日は維持カロリーか、それを上回るくらいの摂取カロリーにすると良いでしょう。炭水化物を多く摂取してカロリー超過にしても、肝臓と筋肉のグリコーゲンが少ない状態では炭水化物はグリコーゲン補充に回されやすいので、すぐに体脂肪は増えないです。週ベースの体重減少ペースを保ちたい場合は、一週間でのカロリー不足量を一定にするために、リフィード日以外の摂取カロリーを減らす必要があります。
<リフィード例(週ベースのカロリーカット25%)>
土曜日、日曜日:炭水化物の摂取量を増やして摂取カロリーを2500kcalにする。
参考研究:
Effects of short-term carbohydrate or fat overfeeding on energy expenditure and plasma leptin concentrations in healthy female subjects
http://www.nature.com/ijo/journal/v24/n11/full/0801395a.html
High-fat meals reduce 24-h circulating leptin concentrations in women.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10334310?dopt=Abstract&holding=npg
Low-dose leptin reverses skeletal muscle, autonomic, and neuroendocrine adaptations to maintenance of reduced weight.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16322796?dopt=Abstract
Responses of leptin to short-term fasting and refeeding in humans: a link with ketogenesis but not ketones themselves.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8866554?dopt=Abstract&holding=npg
Evidence that glucose metabolism regulates leptin secretion from cultured rat adipocytes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9449624?dopt=Abstract&holding=npg
関連記事:
リフィードでの筋グリコーゲン回復に適した炭水化物
The Ultimate Diet 2.0 メモ
レプチンについて
運動後に摂取するカーボの種類によるグリコーゲン回復の違い
炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
2/27/2014
シクリカル・ダイエット
シクリカル・ダイエット(カーボサイクル/サイクル・ダイエット)とは、数日から一週間程度といった短いサイクルでアナボリックフェーズとカタボリックフェーズを繰り返す方法。アナボリックフェーズでは、カーボ中心のリフィードとウェイトトレーニングを行うことで内分泌系・神経系の回復と筋肉量の維持増加を狙い、カタボリックフェーズでは低カロリー低カーボもしくはファスティングにより体脂肪の減少を狙う。この方法により、以下の成果を目指す。
・減量:筋肉をなるべく減らさないようにしながら、体脂肪を減らしていく。
・体組成組み換え:筋肉を少しずつ増やしながら、体脂肪を少しずつ減らしていく。
・増量:体脂肪の増加をなるべく抑えながら、筋肉を増やしていく。
具体的なプロトコルとしては、Lyle McDonald の The Ultimate Diet 2.0 や Martin Berkhan の Leangains が挙げられる。
オーソドックスな減量期(アンダーカロリーで体脂肪減らす)と増量期(オーバーカロリーで筋肉増やす)を数ヶ月スパンで繰り返すのに対して、このようなシクリカル・ダイエットを用いるメリットは、
・体脂肪率15%以上の人(女性の場合は+7%が基準)
- 減量目的・・・時間と手間がかかるだけで、特にメリットは無さそう。この体脂肪率なら、そこまでシビアにやらなくても、オーソドックスなダイエットで筋肉を残しながら体脂肪を減らせる。
- 体組成組み換え目的・・・増量減量に伴う体脂肪量の大幅な変動を避けられ、見た目や服のサイズの問題を回避できる。
- 増量目的・・・筋肥大速度は遅くなるが、体脂肪量の増加を抑えられ、見た目や健康にメリット。
・体脂肪率12-15%以下の人
- 減量目的・・・多くの人はこのくらいの体脂肪率から、筋肉量を維持しながらの減量が難しくなってくるので、シクリカル・ダイエットの手法を使うメリットがある。
- 体組成組み換え目的・・・低い体脂肪率でオーソドックスな減量と増量をすると、減量期に筋肉が減りやすく増量期に体脂肪が増えやすくなり、体組成組み換えの進捗が非効率になると思われる。シクリカル・ダイエットは、カテコールアミンの分泌、脂質の燃焼、alpha-2受容体抑制による頑固な脂肪の分解、骨格筋のインスリン感受性を高めてからのリフィードといったテクニックを用いることで、Calorie Partitioning(カロリーが体脂肪にいくか筋肉にいくかの問題)を改善しているので、低い体脂肪率でも体組成組み換えが効率的に行えることが期待される。
- 増量目的・・・筋肥大速度は遅くなるが、体脂肪量の増加を抑えられ、見た目や健康にメリット。
関連記事:
炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
2/26/2014
The Ultimate Diet 2.0 メモ
- アスリートやボディビルダーと違って、遺伝的に恵まれているわけでもなく、薬物も使わない人向けのプロトコル。遺伝的に恵まれていない人が、いかに筋肉を残しながら(できれば少し増やしながら)低い体脂肪率を実現するか。
- このプロトコルの対象は体脂肪率12-15%くらいの人(女性はこれに+7%くらいを基準として考える)。このくらいの体脂肪率までは、オーソドックスなダイエットで落とせる。このへんから下は、筋肉を残しながら体脂肪を落とすのが難しくなってくる。
★内分泌系と体脂肪の基礎知識
- インスリンは貯蔵ホルモン。エネルギーを貯蔵する。筋肉のインスリン感受性が高いと、糖質が筋肉に送り込まれやすい。体脂肪のインスリン感受性が高いと脂質が貯蔵されやすい。
- 体脂肪の分解。トリグリセリドとグリセロールにする。分解速度の鍵は hormone sensitive lipase (HSL).
- インスリン(炭水化物摂取でもタンパク質摂取でも出る)も、血中トリグリセリドもHSLの活動を抑制する。つまり何を食べても体脂肪の分解は抑制される。
- カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)がHSLを活性化する。正確にはcAMPがHSLの活動を決定、インスリンやカテコールアミンはcAMPに影響。
- インスリンとカテコールアミンのレベルが同時に上ったら(例えば運動中にカーボ摂取するとか)、インスリンの影響が勝つ(脂肪分解が抑制される)
- アドレナリンレセプター:alpha-2が脂肪分解抑制。beta-2が脂肪分解促進。
- アンドロゲンと甲状腺ホルモンはbeta-2の感度を上げる
- 頑固な脂肪エリアは血行も良くないので、脂肪が分解されたとしてもそれを燃焼させる組織へなかなか運ばれず再合成されてしまう。
- ファスティングで脂肪細胞への血行がよくなる。ファスティングを続けると筋肉も落ちるので、低炭水化物・ケトジェニックダイエットでそれに近い状態にする。
- 甲状腺ホルモンレベルが高いと脂肪細胞への血行が良くなりやすい。
- エクササイズでも脂肪細胞への血行が良くなりやすい。
- 肝臓や筋肉に分解された脂肪が運ばれ燃焼される。肝臓・筋肉のグリコーゲンレベルが低いと燃焼されやすい。
★筋肥大の基礎知識
・主に二種類の筋肥大:筋原線維と筋小胞体
- 筋原線維の肥大→繊維のサイズとタンパク質量の増加。ホルモンなど様々な要因と、繊維への強いテンションが肥大を開始させるシグナルになる。
- 筋小胞体の肥大→繊維以外(グリコーゲン、水、ミネラルなど)のサイズと量の増加。高レップのトレーニングを続けると、毛細血管の密度やミトコンドリアの密度や他の筋収縮以外のサイズアップに貢献する要素が増加する。あまり顕著に肥大しない。
・普通は筋原線維の肥大を目的とする
- 筋原線維の肥大のプロセスは、高負荷のテンションが繊維にかかる(ダメージも付随)→細胞内の核がmRNAを生成→リボゾームに入り→リボゾームがアミノ酸を掴んで→それをくっつけて新たな収縮用タンパク質を作り出し→既存の筋繊維に統合する。
- 細胞のエネルギーレベルが低いと(グリコーゲンが枯渇していたりクレアチンリン酸のレベルが低かったり)、タンパク質合成はあまり起こらない。mRNAが続く時間は36時間程度。リボゾームの活動レベルが筋合成速度の鍵。アンドロゲンはリボゾームを活発にする。
★三種類のトレーニング
・Volume Training
- 高レップ・多セット・短インターバル(パンプトレーニングともいう)。
- 筋グリコーゲンを枯渇させる。普通の人(遺伝的に恵まれておらず、薬物も使用していない人)は、トレーニング後の栄養補給では、筋グリコーゲンの再充填が筋合成よりも優先され、筋合成が効率的に起こらない。だからUD2.0では、筋肉の成長を目的としてはこのトレーニングを行わない。
- このトレーニングの目的は以下の通り。
- グリコーゲン枯渇させてからのグリコーゲン超回復。
- グリコーゲンを枯渇させることで、脂肪の分解燃焼を促す。
- 乳酸レベルを上げて成長ホルモンの分泌を促す。成長ホルモンは脂肪分解に関わる。
- カテコールアミンなどのホルモン反応が脂肪分解を促す。
- カロリー消費が大きい。トレーニング後のカロリー消費は脂質の燃焼で賄われる割合が高い。
- いつも高負荷のトレーニングだと関節にダメージがたまる。高レップトレで関節に休息を与える。また血行や乳酸レベルの上昇が関節強化にも繋がる。
- UD2.0では低炭水化物・低カロリーのフェーズでこのトレーニングを行う(めちゃくちゃキツイとのこと)
・Tension training
- 6-12レップ インターバルは1.5-2分
- 基本は、重いウェイトを使って限界(付近)までやる。
- リスクは、怪我と神経系の疲労。
- 筋肉と神経系の疲労と回復のタイミング。神経系に大きな疲労が残ると、筋肉は次の刺激を受け入れられる状況になっても、神経系の回復に時間がかかってトレーニングできず非効率。
- UD2.0ではカーボロードスタートの際に行ってグリコーゲン超回復とリボゾーム増加を促して、パワートレーニングの効果を高める。
・Power training
- 3-5レップ 3-10セット 3-5分休憩
- ATP/クレアチンリン酸を主に使うので筋グリコーゲンをあまり消費しない。筋肥大に有利。
- UD2.0ではグリコーゲンを十分に充填した状態で行って筋肥大を目指す。
★体脂肪を減らすには。
- 低カーボでインスリンを抑える。カテコールアミンレベルが上がる。ウェイトトレーニングと有酸素運動でもカテコールアミンレベルが上がる。
- ファスティングか低カーボケ・トジェニックで脂肪細胞への血行が良くなる。有酸素運動でも良くなる。
- alpha-2 receptorsを抑制するにはどうするか。ヨヒンビンがその効果があるが・・・
- 血中の脂肪酸濃度を上げるとalpha-2 receptorsが抑制される。カーボをトータルカロリーの20%以下にすると、血中の脂肪酸濃度が上がる。ついでにエクササイズへのカテコールアミンの反応も上がる。
- 3-4日間、血中の脂肪酸へさらされるとalpha-2受容体が抑制される。低カーボをこのくらいの期間続けると良い。
- グリコーゲンを枯渇させることで、筋肉と肝臓での脂肪酸燃焼を促進。
★ケトーシスとは
- 脂肪酸燃焼が増えて肝臓がそれ以上エネルギーとして使えなくなると起こる。絶食、低カーボ、長時間の持久運動で起こる。脂肪酸が部分的に酸化され、余ったacetyl-CoAがケトンに転換される。ケトンの濃度がある一定レベルを越えると、身体がケトーシス状態であると言う。ケトーシスが起こり、血糖レベルが低いと、ケトンは多くの組織で優先的に燃料になる。
- 太ってる人なら、ケトーシスでエネルギーを賄うことでタンパク質(筋肉)分解を抑えられる。痩せている人は体脂肪分解が難しくなってくるので、ケトーシスでタンパク質分解を抑えるのは無理。
- ケトンは同量の脂質よりもややエネルギー効率が低い。変換ロス?
- 痩せている人にとっては、ケトーシスは脂肪燃焼を手早く行うことに伴う副作用と考えた方が良い。ケトーシス自体を目的とはしない。
★UD2.0を始めるにあたって
- 体脂肪を減らすフェーズでは筋肉の減少は避けられない。
- 週末に2-3日のリフィードを行う。グリコーゲン枯渇とテンショントレーニングで筋肉のインスリン感受性が高まっているので、摂取した炭水化物は筋グリコーゲンとして蓄えられる。内分泌系・神経系もある程度回復する。
- それまで別のダイエットをしていたら、UD2.0を始める前に2週間の維持期を入れる。
- 高炭水化物・低脂質のダイエットをしていたら、炭水化物と脂質を適度に摂る2週間の期間を挟む。
- UD2.0の実行は6-8週間以内にすること。続けたかったら2週間の維持期を入れる。
★UD2.0の具体的プロセス。一週間で一サイクル。
・月曜と火曜:低カーボの食事。高レップ短インターバルのトレーニング実施。
- 脂肪減少を最大にしたい場合は、維持カロリーの半分の摂取カロリーにする。ただし1200kcal/day以下にはしないこと。タンパク質と微量栄養素の摂取量が確保できない。
- カロリー不足を大きくしたい場合は、有酸素運動を行う。
- 体脂肪を増やさない筋肥大が目的の場合は、維持カロリーから10-25%減らす。
- 炭水化物の摂取は総カロリーの20%以下にすること。一日あたり65-70グラム程度以内。
- 除脂肪体重1ポンドあたり1-1.5gのタンパク質摂取。
- 残りのカロリーは脂質で調整。オメガ3脂肪酸は摂取すること。
- 筋分解が増えない程度までグリコーゲンを枯渇させる。各部位あたり10-12セット(種目を変えていろんな方向から筋肉を動かした方が良い)。60% 1RMの重量。15-20レップ。60-90秒インターバル。吐き気やめまいやバーン感が出るレベルまでやること。トレーニングを月曜火曜の二日に分ける(部位で分けても、全身のセット数半々で分けても良い)。
・水曜:月曜火曜と同じ低カーボの食事。ウェイトトレーニングはやらない。やりたければ有酸素運動を。
・木曜:(一日4食として)最初の3食は低カーボの食事。夜のトレーニングの30-60分前に25-30グラムの炭水化物と15グラムのホエイを摂取。
- テンショントレーニング各部位2-4セット、6-12レップ(70-85% 1RM)。二日後のパワートレーニングに支障が出ないように限界一歩手前まで。全身をトレーニングすることで、全身の筋肉にグリコーゲンを一気に送り込む。
- 強度の高いトレーニングと適切な炭水化物の摂取で、24時間以内にグリコーゲンを100%まで回復させられる。
- 正しくグリコーゲン枯渇させてたとして。除脂肪体重1kgあたり12-16グラムの炭水化物を木曜夜から金曜夜までに摂取。それと1ポンドあたり1グラムのタンパク質と、総カロリーの15%の脂質。合わせると総カロリーは維持カロリーの2倍くらいになる。グリコーゲンの再貯蔵に優先的に回されるため、脂肪貯蔵されにくく、グリコーゲン貯蔵中は脂肪燃焼が続きやすい。
- 筋グリコーゲン補充のために、フルクトースは大量に摂取しない。肝臓で代謝されるので。ただ50グラム程度(スクロースなら100グラム)摂取するとカーボロードが効果的になるようだ。
- グリコーゲン合成速度に上限があるだろうから、24時間で8-10回に分けて摂取。1000グラムを10回に分けると一回100グラム。
- 水も十分に飲むこと。1グラムのグリコーゲンあたり3-4グラムの水が蓄えられる。
- クレアチンを併用するのも効果的。
- カフェインは控える。
・金曜:木曜夜の続きで、夜までひたすら食べて休む。
・土曜:パワートレーニングの日
- トレーニングの2-3時間前にほどほどの炭水化物とタンパク質の食事。30分前に30グラムの炭水化物と15グラムのホエイを摂取。
- 各部位につき、3-6セット、3-6レップ。
- 2-4秒掛けて下ろして、全力で挙げる。
- 3-5分のインターバルを取る。
- この日のトータルの栄養摂取は、除脂肪体重1kgあたり4-5グラムの炭水化物、2gのタンパク質、40-50グラム程度の脂質。だいたい維持カロリーくらいになる。減量重視の場合は10-20%炭水化物減らす。
・日曜
- 筋肥大を重視する場合は維持カロリーくらい。
- 減量を進める場合は除脂肪体重1kgあたり2-3gの炭水化物。
- 朝のうちは複合炭水化物を食べても良い。午後は低GIの野菜中心。
★なるべく体脂肪を増やさず筋肥大をさせたい場合のUD2.0の応用
- 低カーボの日(月曜~木曜午前)は、維持カロリーかマイナス10-25%程度のカロリー摂取、炭水化物を100g以内にして、高レップのテンショントレーニングを行う(ボリュームトレーニングより重量をやや上げて、レップ数とセット数を減らす)。
- 週末のカーボロードとトレーニングは同じ。
- 土日は維持カロリーかプラス10%程度のカロリー摂取。
参考: The Ultimate Diet 2.0 / Lyle McDonald
1/19/2014
The Sutubborn Fat Solution メモ
頑固な脂肪。男の下背部、脇腹、下腹部の脂肪。女の尻・太もも。
HSL(hormone sensitive lipase)の活動レベルが脂肪分解速度に影響を与える
テストステロンやコルチゾールやエストロゲンや成長ホルモンもHSLに影響を与えるが、カテコールアミンとインスリンが重要。
インスリンはHSLを不活性化する。血中のトリグリセリドもHSLを抑制する。何か食べればHSLは抑制される。
カテコールアミンはHSLを活性化する。カテコールアミンはアドレナリンで、副腎皮質から分泌され血液に乗って脂肪細胞に届けられる。
HSLの調整は、cAMPが行う。
アドレナリン受容体が重要。beta-2受容体にカテコールアミンがくっつくとcAMPレベルがあがり脂肪分解が進む。alpha-2受容体にカテコールアミンがくっつくとcAMPレベルが低下し脂肪分解が妨げられる。体脂肪の場所によって、このアドレナリン受容体の分布が異なり、脂肪分解が起きやすい場所と起きにくい場所が出てくる。
血行が良ければ、分解後の遊離脂肪酸が流れていく。悪いとまた脂肪細胞に戻る。筋肉や肝臓に運ばれた遊離脂肪酸は、グリコーゲンが少ないと盛んに燃焼される。
beta-2受容体は脂肪組織の血流増加にも影響。alpha-2受容体は逆。
成長ホルモンは筋肥大に関係ない。脂肪分解に関係ある。
コルチゾールは高いレベルが続くと身体に悪い影響。
甲状腺ホルモン
レプチンは通常より高いレベルにしても痩せる効果はない。低いレベルになると痩せを妨げる効果がある。非対称。
ダイエットの際にレプチンのレベルが下がらないようにするのはダイエットをスムーズにする効果がある。
レプチンは脂肪の分解や燃焼に影響を与える。また甲状腺ホルモンやテストステロンなど他のホルモンにも影響を与える。
体脂肪率が10%を切るとレプチンとても低下。
atrial natriuretic peptide
《生化学》心房性ナトリウム利尿ペプチド◆【略】ANP
落ちにくい場所の脂肪細胞はアドレナリンalpha-2受容体の割合が高い。
落ちにくい場所の脂肪組織は血行が悪い。
体脂肪の脂肪酸が多価不飽和脂肪酸だと分解されやすい。不飽和脂肪酸だと分解されにくい。
agonistがレセプターにつくと活性化、antagonistがレセプターにつくと非活性化(ブロック)
脂肪分解促進には
- betaレセプターにagonist
- alphaレセプターにantagonist
頑固な脂肪組織はalphaレセプターが多いのでこれをブロックしたい。
4日以上のローカーボ(炭水化物の占めるカロリー割合20%以下)で、alphaレセプターが抑制される。
サプリならヨヒンビンでalphaレセプターが抑制される。
低強度運動 ノルアドレナリン出やすい 落ちやすい脂肪には効くが、頑固な脂肪には効かない。
高強度運動 アドレナリンも出てきて頑固な脂肪を分解しやすい。が、高強度運動では遊離脂肪酸を使いにくい。また乳酸が出て分解を阻害する。運動やめて乳酸濃度低下すると分解されてくる。
インスリンレベル低下、グリコーゲン枯渇時に運動すると頑固な脂肪分解されやすい。
男ならカーボベースの食事と朝食前の有酸素運動で体脂肪を落とせるが、女性の下半身の脂肪はそうはいかない。
★ 頑固な脂肪を落とすプロトコル4つ。組み合わせても良い。SFPは週に2回まで! オーバートレーニングに気をつける!
1. ローカーボ&低強度有酸素運動
ローカーボでalpha-2レセプターを抑制して脂肪組織の血流を上げて、その状態で低強度有酸素運動で脂肪燃焼。運動時間は45-60分。心拍130-140程度。
2. ヨヒンビン&低強度有酸素運動
3. オリジナルの頑固脂肪プロトコル(SFP1.0) 週に2回程度。
- 朝食前に行う(インスリンレベル低い)
- 運動の30分前にカフェイン、ヨヒンビンなどを摂取
- 5-10のウォームアップ
- 10分間のインターバルトレーニングを行う。
- 5分間休憩して、遊離脂肪酸を血中に放出させる。
- 20-40分の低強度有酸素運動を行う。
- 運動終了して一時間後に食事。(
改訂版のSFP1.0
- 一日のどの時間帯でも良い。食事から3時間以上開けるのが理想。
- カフェイン、ヨヒンビンなどのサプリメントは摂らなくても良い。
- 5-10のウォームアップ
- 10分間のインターバルトレーニングか、20分以内の高レップ・短インターバルのウェイトトレーニング
- 5分間休憩
- 20-40分の低強度有酸素運動を行う。
- 運動後すぐ食事して良い。インターバルトレーニング後はインスリンあっても脂肪燃えるらしい
脚の高強度トレの日に、SFP1.0をやるのがいい。脚の回復期間を取れるので。
メニューを無理にこなそうとせず、疲労具合と相談しながらやるのがいい。
4. SFP2.0
- 食事から少なくとも3時間空ける
- できればカフェイン、ヨヒンビンなどのサプリメント
- 5-10のウォームアップ。インスリンレベルを下げる。
- 5分のインターバルトレーニング。10-15秒の最高強度運動と45-50秒の回復目的の低強度運動を5回繰り返す。
- 5分間休憩
- 20-40分の低強度有酸素運動を行う。
- 5-10分のインターバルトレーニング。30-60秒の高強度運動と30-60秒の回復運動。
- 3-5分のクールダウン。
- 運動後すぐ食事して良い。
参考: Lyle Mcdonald / The Stubborn Fat Solution