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2/17/2016

ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法

Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20


ナチュラル(薬物を使わない)ボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法を、栄養摂取とサプリメントの面で調べたレビュー論文。ボディビルをやらなくても、低い体脂肪率を目指す人には参考になると思います。


★減量期の摂取カロリーの設定
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくする。体脂肪1ポンドは約3500kcal。1日500kcalのカロリー赤字を続ければ、理論的には一週間で1ポンドずつ体脂肪が減っていく。しかし実際には、摂取カロリーの減少により代謝の適応が起こり消費カロリーも減少していく。過体重ではない男性を対象とした研究では、摂取カロリーを維持カロリーの50%に設定したダイエットを24週間続けたところ、体重が25%減少し、基礎代謝が40%減少した。この40%のうち25%は体重減少によるもので残り15%が代謝の適応によるものだと考えられる。従って、ダイエットを継続し体重減少が起きるとともに摂取カロリーの設定も調整していく必要がある。

カロリー赤字を大きくすればそれだけ速く体重が減少するが、除脂肪体重の減少も大きくなるというデメリットがある。推奨は、週に0.5-1.0%の体重減少ペースで、減量期間は2-4ヶ月間。スタート時の体脂肪率が高ければそれだけ減量期間も長くなる。体脂肪率が低くなるとより除脂肪体重が失われやすくなるので、減量期の後半は体重減少ペースを落とした方が良い。


★マクロ栄養素の摂取量
・タンパク質
除脂肪体重を維持するのに十分な量のタンパク質を摂取する。タンパク質の必要摂取量は運動や栄養状態によって変わってくる。
- 激しい運動を行う場合はより多くのタンパク質が必要になる。
- 減量時にはより多くのタンパク質が必要になる。
- 体脂肪率が低くなるとより多くのタンパク質が必要になる。

コンテスト準備期間のボディビルダーにはこれらの要素が全て当てはまる。この論文での推奨は1日に除脂肪体重1kgあたり2.3-3.1gのタンパク質を摂取。

・炭水化物
減らしすぎるとパフォーマンスの低下と除脂肪体重の減少につながる。低炭水化物による除脂肪体重の減少はインスリンとIGF-1のレベルの低下が関連しているようだ。

・脂質
減らしすぎるとテストステロンレベルの低下につながる。ただ、高タンパク質・高脂質・低炭水化物での減量と、高タンパク質・低脂質・高炭水化物での減量を比べた場合、高炭水化物の方が除脂肪体重の維持につながったので、脂質と炭水化物だったら炭水化物を優先した方が良さそう。それと極度に低い体脂肪率にする場合はそれ自体がテストステロンレベルを大幅に低下させる。目安は摂取カロリーの20-30%を脂質で、カロリー摂取枠に余裕が無い場合は15-20%。

・ケトジェニックダイエットと個人差
デザインの良い研究がないので、除脂肪体重を維持しつつ体脂肪率を極度に低くする場合のケトジェニックダイエットの是非は今後の研究待ち。ただ、脂質多めが良いか炭水化物多めが良いかの反応には個人差がある。多くの人はこの論文での推奨レンジで良い結果がでるが、推奨レンジをはずれたマクロ栄養素バランスで良い結果を出す人もいる

・まとめ
減量ペースを決め、一日あたりのカロリー赤字を決定し、マクロ栄養素のバランスを決める。トレーニングのパフォーマンスが落ちてきたら、脂質を減らしその分の摂取カロリーを炭水化物に割り当てる。

減量ペース: 体重の0.5-1.0%/週
タンパク質: 2.3-3.1g/除脂肪体重kg/日
脂質: 総摂取カロリーの15-30%
炭水化物: タンパク質と脂質を除いた残りのカロリー


★栄養摂取のタイミング
一日のトータルの栄養摂取量が最も大事だろう。詳しくは以下の論文を参照。これもAlan A Aragonが関わっている。

ゴールデンタイムはあるのか?

激しい運動を2時間以上する場合は、1時間あたり8-15gのタンパク質と30-60gのカーボを6-8%の濃度で水に溶かした飲み物を摂取することで筋肉のダメージを抑える。

・状況毎の栄養摂取のタイミングの重要度
ピンポイントで摂取すべきか、フレキシブルに摂取してもよいか。

炭水化物
超重要: グリコーゲンを多く消費する運動を一日に複数回行う場合
タイミングは変更可能: 一晩の絶食の後のトレーニング。1~2時間の激しいトレーニング。
重要じゃない: 空腹ではない状態での1時間以内の低中強度のレジスタンストレーニング

タンパク質
超重要: 前回の食事から3-4時間以上経過した状態でのレジスタンストレーニング
タイミングは変更可能: タンパク質を十分に含む食事の後のレジスタンストレーニング
重要じゃない: 有酸素運動

サプリメント
超重要: カーボ/電解質のスポーツドリンク、カフェイン、その他のパフォーマンス向上効果のあるサプリメント
タイミングは変更可能: 無し
重要じゃない: クレアチニン、ベータアラニン、その他の筋肉の適応に長期的な効果のあるサプリメント


★食事頻度
トータルの摂取量が同じなら、一日の食事回数を多くしても少なくしても消費カロリーは変わらない。しかし食事パターンをコロコロ変えると食後の熱産生が減少し、インスリン感受性と血中脂質にネガティブな影響が出たという研究がある。ただ、運動はインスリン感受性と血中脂質を改善するので、これらへのネガティブな影響は運動をしない人に限られるだろう。

コンスタントにカロリーカットするダイエットと、普通に食べる日と極端に制限する日を交互に行うダイエット( ICR: intermittent calorie restriction)では、ICRの方が良い結果が出ているが、体組成の測定方法の影響も考えられるので、結果の解釈には注意が必要。

- 筋合成のスイッチを入れるには一食あたりのロイシン摂取量が閾値を越える必要があるという説
- 血中アミノ酸濃度を高いままにしたら筋合成速度が低下したという研究
アミノ酸注入による反応を調べたacuteの研究なので長期間ではどうなるかはわからないが、一応これらの研究結果を考えると、一食当たり30-40g以上のタンパク質を摂取、食事間隔を短くしすぎない、というのが推奨の食事の仕方になる。一日に3-4回の食事、各食事のタンパク質摂取量は均等、この食事パターンが筋肥大を最大化するのに良いとする論文もある。

この論文での推奨は、1日3-6回の食事、一食当たり20g以上のタンパク質。このレンジ内だったら、良いトレーニングと正しく設定された一日のトータルの栄養摂取を行えば、食事頻度による差はほとんど無いだろう。


★サプリメント
・クレアチン
継続的に摂取。筋肉のサイズと強さを増大させる。副作用は確認されていない。色々なタイプが出ているが、クレアチン・モノハイドレイトが最も効果があるだろう。

・βアラニン
継続的に摂取。高強度運動への疲労耐性を上げ、パフォーマンスを向上させる。除脂肪体重増加の効果もあるようだ。長期服用の安全性についてはまだあまり研究されていない。一度に大量に摂取すると知覚異常の副作用が起こることが確認されている。

・HMB
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB)はロイシンの代謝物で、筋分解の抑制と筋合成の促進に効果があるとされている。しかし、高齢者や病気の人には効果的でもトレーニングを行う健康な人への効果については結果が分かれている。非常に強度の高いトレーニングをするフェーズに摂取することでカタボリックを抑制する効果があるかもしれない。長期のカロリー制限の状況で除脂肪体重を維持する効果があるかは調べられていない。

・BCAA
BCAAの摂取直後に筋合成が高まることは繰り返し示されているが、筋肥大と筋力への長期的な効果については今後の研究待ち。

・アルギニン
血流を増やしたり運動後の筋合成を高めたりといった効果はないようだ。パフォーマンス向上効果については結果が分かれているが、これもどうやら効果は疑わしい。

・シトルリンリンゴ酸
パフォーマンス向上の効果があるとされているが、現状の研究結果でははっきりとした判断を下すことは難しい。今後の研究待ち。

・グルタミン
健康なアスリートのパフォーマンス向上効果はこれまでの研究からはサポートされない。ストレス環境下にある人の胃腸の健康とペプチドの取り込みには良い影響があるかもしれない(減量中のボディビルダーは強いストレスに晒される)。

・カフェイン
ワークアウト前に摂取。多くの研究で持久運動、スプリント、ストレングストレーニングのパフォーマンスを向上させることが示されている。ストレングストレーニングでの効果を示した研究の多くは安全な摂取量の上限である5–6 mg/kgという多量のカフェインを投与している。カフェインは常用により耐性がついてパフォーマンス向上効果が低下する。カフェインを上手く利用するには摂取をサイクルさせるのが良いだろう。

・微量栄養素
念のためサプリメントで補助するのが良いかも


★コンテスト直前
水抜きが見た目に及ぼす効果についての研究は無いが、体調のことを考えると危険な行為である。水分は皮下組織だけでなく血管系にも多く存在するので、水抜きによりこれらの血管系の水分も抜けコンテスト時のパンプに悪影響が出ることが考えられる。また筋肉の大部分が水分であるので、筋肉の水分が抜け見た目に悪影響が出る可能性もある。

コンテスト前のカーボローディングについては効果がありそう。やる場合は自分に合うやり方を事前に試しておくこと。定量的な見た目の変化と炭水化物の摂取割合、トータルカロリーの影響を調べる研究が望まれる。


★心理社会的な問題
ボディビルダーは増量と過酷な減量を繰り返すので精神面に問題を抱えてしまうケースが多い。過食症、拒食症、不安神経症、短気イライラ、筋肉異形症(Muscle dysmorphia)、月経異常。問題を感じたら早めに専門家に相談すること。


★Limitations
この論文の第一の制約は、ナチュラル・ボディビルダーを被験者とした大規模で長期間の研究が欠如していることである。これを回避するため、アスリートを対象とした骨格筋の肥大と体脂肪の減少についての長期の研究を優先的に選んだ。そのような研究が無い場合は、短期の研究や動物を対象とした研究を選んだ。

10/24/2014

タンパク質の摂取タイミングの効果についてのメタ解析研究

The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis
http://www.jissn.com/content/10/1/53

タンパク質の摂取タイミングが筋力向上と筋肥大にどのような影響を与えるのか、既存の複数の研究結果をメタ解析した論文。私は統計学について無知なためここで用いられている手法を理解できているわけではないが、Alan Albert Aragon も Brad Jon Schoenfeld も現場知識があって誠実に科学研究を行う信頼できる研究者だと思うので、以下抄訳してみる。


★今回の論文で解析対象とした研究
- 実験群はレジスタンストレーニング実施の前後1時間以内に6g以上の必須アミノ酸(or相当のタンパク質)を摂取し、対照群は前後2時間以内にタンパク質を摂取しなかった研究。
- レジスタンストレーニングプロトコルを少なくとも6週間継続した研究。


★結果
共変量をコントロールしなかった単純な解析では、タンパク質摂取タイミングは筋肥大に有意差ありで、筋力に有意差無しという結果になった。筋肥大への影響量は、小さい~中程度といったレベル。しかし、共変量をコントロールした解析ではタンパク質摂取タイミングは筋肥大に影響なしという結果になり、サブ解析ではトータルのタンパク質摂取量が、摂取タイミング研究で示された筋肥大の差の大部分を説明するという結果が出た。これらの結果は、トレーニングの直前・直後にタンパク質を摂取することが筋トレ効果を高めるのに非常に重要であるという一般的な考えを否定するように見える。

タンパク質のトータルの摂取量を揃えていない摂取タイミング研究での平均のタンパク質摂取量は、対照群が1.33 g/kg/dayで、実験群が1.66 g/kg/dayだった。レジスタンストレーニングの効果を最大に得るためには初心者は少なくとも1.6 g/kg/dayのタンパク質摂取が推奨されていることを考慮すると、これらの研究での筋肥大の差はタンパク質摂取量の違いによるものである可能性が高い。

タンパク質のトータルの摂取量を揃えた摂取タイミング研究では、対照群が1.81 g/kg/dayで、実験群が1.91 g/kg/dayだった。トータルの摂取量を揃えた研究はわずかに3つあり、2つは結果に差が無し。残り一つは摂取タイミングが筋力と除脂肪体重の増加に有意差をもたらしたという結果なのだが、データ不足により今回の解析対象の基準を満たせず除外された。

このメタ解析研究の強みは、
- 解析対象に含める研究の基準を高く設定し、質の高い研究を集め、バイアスが入る可能性を減らしたこと。
- それなりのサンプル数を確保できたこと。実験数23で、筋力については被験者数478名、筋肥大については被験者数525名。
- 良い解析手法。

このメタ解析研究の限界は、
- 対照群の食事タイミングが研究によってバラバラ。ある研究では運動後2時間でタンパク質摂取で、他の研究では何時間もタンパク質摂取を遅らせた。
- 大半の研究がレジスタンストレーニング初心者を被験者としている。トレーニング歴のある人と初心者とでは反応が異なるのは良く知られている。今回の研究でのサブ解析では、筋力についても筋肥大についても、トレーニング歴とタンパク質摂取タイミングの間に交互作用効果は示されなかったが、トレーニング歴のある被験者数を対象とした研究が4つだけなので、この解析結果は強くはない。
- サンプル数を大きくするため、筋断面積と除脂肪体重のデータを筋肥大のデータとして扱った。除脂肪体重の増加は大部分が筋繊維の肥大によるものであるが、レジスタンストレーニングでは骨や結合組織も増加することが知られている。筋断面積と除脂肪体重のデータを分けて解析もしてみたが、結果はほぼ同じだった。
- トータルのタンパク質摂取量を揃えた研究がわずかしかない。


★結論
既存のエビデンスは、ワークアウト前後1時間以内のタンパク質摂取が、レジスタンストレーニングの効果(筋力と筋肥大)を大きく高めるという主張をサポートしないようだ。もしワークアウト前後にアナボリックウィンドウが存在するのなら、それは前後1時間よりも長いものだろう。

ただ、今回の解析からは因果関係は直接には導けないため、タンパク質摂取タイミングが実際にはトレーニング効果の違いをもたらし、タンパク質摂取量の増加はそれに偶然に一致した可能性を排除できない。今後、タンパク質摂取量を揃えて摂取タイミングの影響を調べる研究、またトレーニング歴のある人を対象にした研究が多く行われることが期待される。



関連記事:
ゴールデンタイムはあるのか?

9/24/2014

ゴールデンタイムはあるのか?

Nutrient timing revisited: is there a post-exercise anabolic window?
http://www.jissn.com/content/10/1/5

Alan Albert Aragonの関わった論文。2013年のもの。栄養摂取に関するこれまでの研究のレビュー論文。

巷間では、ワークアウト直後の短い時間に栄養摂取をしないとウェイトトレーニングの効果が低くなると言われている。いわゆるゴールデンタイム。英語だと anabolic window と言われる。そんなに摂取タイミングにシビアになる必要があるのか?という論文内容になっています。以下、抄訳。

★グリコーゲン回復
- 筋グリコーゲンレベルが高いとアナボリックになりやすく、筋グリコーゲンレベルが低いとカタボリックになりやすい(AMPKなどが関係する)。
- 筋グリコーゲンは運動直後の炭水化物摂取で回復が速い。炭水化物摂取が遅れるとその後の数時間は筋グリコーゲン回復速度が遅くなる。
- だが一日に複数回の激しい運動をするのでない限り、次のワークアウトまでにはグリコーゲン回復時間が十分になるので、神経質にならなくても良い。

★筋分解
- 運動後の栄養摂取は、運動後のカタボリックを防ぐ効果。インスリンレベルの上昇によってカタボリックが防がれる。運動後に絶食が続くとカタボリックが優勢になり、筋肉のタンパク質のネットバランスがマイナスになる。
- インスリンの抗カタボリック効果は空腹時の3-4倍程度のインスリンレベルでプラトーに達する。実験によると、このインスリンレベルは通常の固形物の食事やホエイプロテインパウダー(45g)のみで十分に達成可能。
- そもそも通常の食事の消化吸収には時間がかかるので、運動前に十分に栄養摂取してない場合にのみ、運動直後に速やかにインスリンレベルを上げたほうがよいということになる。
- また運動後の筋合成/筋分解でネットバランスに寄与するのは筋合成の方が大きく、筋分解抑制による寄与は小さい。従って、カタボリックを防ぐために運動後に慌ててインスリンレベルをスパイクさせることにどれだけ効果があるかは疑問。

★筋合成
- 運動と血中アミノ酸濃度の上昇を組み合わせることで筋合成が大きく上昇する。炭水化物の摂取が筋合成を上昇させるかについては、効果ありという研究と無しという研究とがある。
- 摂取タイミングを数時間遅らせたケースに対しての、運動直後のアミノ酸(タンパク質)摂取の優位性は一貫して示されてはいない。ありなし両方の研究がある。ありの方も、持久運動だったり実験デザインに欠陥があったりで強固なエビデンスとは言いがたい。
- また被験者がトレーニング歴があるか初心者かによる違いもある。
- そもそもこれらのacute研究で調べられている運動後数時間の筋合成/筋分解によるネットバランス変化が、長期の筋肥大にそのままつながるかは不明である。

★長期での筋肥大
- 研究の数が少ないし、実験結果がまちまち。運動前後の栄養摂取が効果ありという研究もあれば無しという研究もある。それに加えて実験デザインにより解釈に注意が必要。
- タンパク質vsプラシーボの場合、一日トータルのタンパク質摂取量に違いがでるので、筋肥大の結果の違いが摂取タイミングによるものかトータルのタンパク質摂取量によるものかわからない。
- 運動前と運動後の両方にタンパク質摂取している研究が多く、運動後摂取による効果の切り分けができない。
- 期間が短いと測定方法の性能限界により、筋肥大に差が出ているかわからない。

★ディスカッション
- 運動直後にすぐに栄養摂取することは、長期の筋肥大を最大化するのに非常に重要であるという主張を裏付ける決定的なエビデンスは今のところ無い。
- 空腹状態で運動をした場合は、その直後に栄養摂取をすることは効果的であろう。例えば、朝起きて何も食べずにワークアウトを行った場合は、直後の栄養摂取が推奨される。
- 実際に多くの人が行うトレーニング/栄養摂取プログラムを考えると、運動の1-2時間前にしっかりした食事を摂取すれば、運動後まで消化吸収は続いているので、運動前中後に渡って身体には栄養供給が行われていることになる。また運動直前の20gのホエイプロテイン摂取でも運動後3時間まで筋合成レベルが上昇していたという研究もある。このように運動前に栄養摂取を行った場合は、運動直後に再び栄養摂取を行うのはリダンダントであろう。通常の食事間隔で次の食事を摂れば、栄養摂取は十分だろう。
- 前の食事から運動まで3-4時間以上空く場合は、運動直前か運動直後の栄養摂取が推奨されるだろう。
- これまでの研究結果からは運動直後の栄養摂取の効果については曖昧な答えしか出ないが、シビアな結果を求めるアスリートは、あるかもしれない効果に賭けて運動直後に栄養摂取するのも良いだろう。効果がなかった場合でもコストは低い。

★実践
- タイミングは運動直前直後に拘らず、運動前と後の両方に0.4-0.5g/除脂肪体重kgのタンパク質を含む食事の摂取が、シンプルでフェールセーフなガイドラインだろう。この運動前と運動後の食事の間隔は3-4時間以上空けない方がよいだろう。ただ、食事の量が多い場合は5-6時間空けるのも良い。
- 例えば、運動前食事→90分休み→運動を60分間→90分休み→運動後食事だと、食事の間隔は4時間となりガイドラインに沿ったものになる。個人の好みやライフスタイルによって食事と運動の間隔はフレキシブルに調整可能である(図1参照)。もちろん一日のトータルのタンパク質摂取量は重要である(※)。
- 炭水化物の摂取タイミングについては、はっきりとした推奨方法を示すには一貫したデータを欠いている。一日のトータルの摂取量を決めて、それを守れば、タイミングはあまり気にしなくて良いのではないだろうか。





※筋肥大を目指してウェイトトレーニングを行う人の一日のトータルのタンパク質摂取量についての私の追記コメント。専門家によって推奨している数字が違うんだけど、維持カロリー以上摂取しているなら1日トータルで2g/体重kgの摂取で十分だと思われる。これでも一般的な推奨値よりも多め。多めでも食費がかかる以外には特にデメリット無いし。基本的には、カロリー不足、運動強度が高い、初心者、といった要因があると必要なタンパク質摂取量は増える。


関連記事:
タンパク質の摂取タイミングの効果についてのメタ解析研究

4/05/2014

運動後に摂取するカーボの種類によるグリコーゲン回復の違い


An Objective Comparison of Chocolate Milk and Surge Recovery
http://www.bodyrecomposition.com/muscle-gain/an-objective-comparison-of-chocolate-milk-and-surge-recovery.html

このAlan Aragonの記事を読んで、リフィードと関係する部分があったのでメモ。

記事は、運動後のリカバリードリンクとして、Surge(商品名)とチョコレートミルクのどっちがいいかという内容。T-nationのフォーラムで、Alan AragonがT-nationのバックにいるサプリメーカーの人物に科学的研究を論拠に突っ込んでいたら、最終的に書き込み禁止になったらしい。今回はゲストとしてLyle McDonaldのサイトに寄稿している。

基礎知識としてカーボ(炭水化物)の種類を書いておくと
・グルコース: ブドウ糖。
・スクロース: ショ糖。いわゆる普通の砂糖。グルコース1つとフルクトース1つで構成される。
・フルクトース: 果糖。
・スターチ: デンプン。多数のグルコースで構成される。


★運動後のカーボ摂取の研究
グリコーゲンを消耗する激しい運動をさせた後に、違う種類のカーボを摂取させて、肝グリコーゲンと筋グリコーゲンの回復度合いを調べた研究は複数あって、

Effect of different post-exercise sugar diets on the rate of muscle glycogen synthesis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3316904
この研究は、運動後2時間おきに3回カーボ摂取で、カーボの量と種類を変えている。グルコースは体重1kgあたり0.7gの摂取で、筋グリコーゲンの回復速度が上限に達している。また体重1kgあたり0.7gのスクロースだとグルコースよりもやや筋グリコーゲン回復速度が高いという結果になっている。フルクトースは筋グリコーゲン回復速度が遅い。

Effect of different carbohydrate drinks on whole body carbohydrate storage after exhaustive exercise.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10797108
この研究は、グルコースポリマーとスクロースの比較で、同量を摂取した場合、グルコースポリマーの方がやや筋グリコーゲン回復速度が高いという結果になっている。

Effect of carbohydrate ingestion on glycogen resynthesis in human liver and skeletal muscle, measured by (13)C MRS.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10644538
この研究は肝グリコーゲンの回復も調べていて、スクロースはグルコースの2倍くらい肝グリコーゲンを回復させている。筋グリコーゲンについては大きな違いはないという結果に。

Human muscle glycogen resynthesis after exercise: insulin-dependent and -independent phases
http://jap.physiology.org/content/76/1/104.short
グリコーゲンがスッカラカンに近くなるとグリコーゲン合成速度は上がるみたいなので、倒れそうなレベルの運動をしたらカーボ摂取量を増やしても良いかも。

以上から、運動後に摂取するカーボは、グルコースでもスクロースでもどっちでも良いと思われる。肝グリコーゲンが回復していた方が運動キャパシティにやや好影響らしいので、すぐまた運動する人はどっちかというと甘いものが良いかも。運動後は遠慮なく甘いものを食べよう。ただしグリコーゲン合成速度はわりと遅いので、消化の速いものを一度に大量に摂取してもあまり意味がなさそう。ちなみに、最近よく使われる果糖ぶどう糖液糖は、フルクトースとグルコースの割合がせいぜい6:4くらいなので、スクロースと同じようなものと見なして良いと思う。


★リフィードへの応用
問題は、リフィードではカーボ1kg程度の摂取も行う場合があること。スクロースを摂取していくと肝グリコーゲンがどんどん回復していくが、肝グリコーゲンの容量は100g程度と小さいので、「肝グリコーゲンは満タンに近いけど筋グリコーゲンはまだ足りない」、という状況になると思われる。憶測だけど、この状況ではグルコースのみを入れていった方が筋グリコーゲンの回復には効率的なんじゃないかな。肝グリコーゲンが満タンに近いと、スクロースのうちのフルクトースがDNL変換(糖質→脂質)されやすくなるのでは。

De novo lipogenesis during controlled overfeeding with sucrose or glucose in lean and obese women.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11722954
これはスクロースとグルコースの過食時のDNL変換についての研究で、結果はどっちも変わらんということなんだけど、この場合は、「肝グリコーゲンも筋グリコーゲンも満タンに近い状況」なので、そりゃどんな糖質を摂取しても貯蔵場所が無いのだから脂質に変換される。

The role of dietary carbohydrates in muscle glycogen resynthesis after strenuous running.
http://ajcn.nutrition.org/content/34/9/1831.short
この研究では、二日間に渡ってシンプルなカーボ(グルコース/スクロース/フルクトース)と複雑なカーボ(デンプン)の二種類のリフィードによる筋グリコーゲン回復を比較している。カーボ摂取量は最初の24時間が648gで、次の24時間が415g。食事回数は24時間で2回。PFCは1:2:7。筋グリコーゲンの回復は、最初の24時間はほぼ同じで、次の24時間はデンプンの方がより回復した。食事回数を7回に増やした実験もしていて、7回でも2回より筋グリコーゲン回復が高まるわけではないという結果に。ディスカッションでは、インスリンレベル(スパイクかコンスタントかの違い)が影響?と推測している。





★結論
まあメカニズムはよくわからないけど、リフィード初期は甘いものでもデンプンでも良い、リフィード中盤以降はデンプン主体が良さそう。フルクトース単糖は筋グリコーゲンの回復に向いていないけど、フルクトース単糖の食品は滅多にないだろうから、甘いものという大雑把な考え方で良いと思う。食事頻度については、タンパク質や脂質も同時に摂取すれば、それほど細かく食べなくてもいいのかも。ただ、Lyle McDonaldはUD2.0で、リフィードは2-3時間おきに摂取と書いている。個人的には、色々混ざった普通の食事は消化に時間かかるから、グリコーゲン回復についても筋合成についても、トータルの摂取量が同じなら5-6時間くらい間隔空いても大丈夫では・・・ドカ食いすれば10時間くらいは大丈夫では・・・という考えです。


関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた

3/06/2014

Alan Aragon に聞く栄養の基礎


1. 筋肉を増やしたり体脂肪を減らしたりといった身体組成の変化を扱う場合、マクロの栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物の割合)とカロリーが同じならば、どんなものを食べるかは問題にはならないか? 例えばハンバーガーとプロテインシェイクの食事と、チキンとブロッコリーとオリーブオイルとアーモンドといった健康的な食事を比べた場合、筋肉と体脂肪について言えば結果は同じか?


A. 身体組成についていえば、食事内容は問題にはならない。食物繊維の摂取量や、固形物か流動食かといったことに伴う満足感の問題が起こる可能性はあるが。健康意識をそれなりに持ち、ジャンクフード中毒者のようには食べない人は気にしなくて良い。


2. 夜に食べると不必要に体重が増加するか? 特に炭水化物を食べると?

A. 脂肪燃焼が、起きている間に多いか寝ている間に多いかは問題にはならない。問題になるのは24時間での脂肪のバランス、つまり脂肪合成と脂肪燃焼の差である。もし昼間あまり食べず、夜多く食べた場合、脂肪燃焼は昼間に多く起こる。逆の食事パターンだったら、夜に脂肪燃焼が多く起こる。結果、24時間での脂肪のバランスは同じになる。その時間帯に何らかの活動をすることでエネルギー摂取の増加が必要になるのでない限りは、昼に多く食べて夜に少なく食べることは、身体組成の変化にとって本質的には役に立つわけではない。


3. ワークアウト後の炭水化物摂取は必要か? タンパク質と脂質を含む食事は同じくらい効果的か? インスリンレベルの急騰が役に立つといった考えは正しいのか。

A. ワークアウト後がアナボリックの好機であるという考え方は、とても誤用され乱用されている。一日に複数回のグリコーゲン枯渇を伴う活動をする持久運動のアスリートでない限りは、ワークアウト前の栄養摂取によりワークアウト後の栄養摂取の緊急性はほぼ無くなる。最近の研究によれば、45gのホエイ・アイソレートの投与は、血中アミノ酸レベルをピークにするのに約50分かかり、それに伴うインスリンレベルの上昇はホエイ投与から40分後にピークになり、投与後120分間は筋分解を抑制する水準を超えたままであった。この投与では、インスリンとアミノ酸レベルが元に戻るまで3時間かかった。炭水化物をこれに加えれば、インスリンとアミノ酸のピークレベルを高くし持続時間をより長くするだろう。

アナボリックチャンスはワークアウト後のごく短い時間だとか、トレーニング中にアミノ酸を摂取しなければならないといった戯言はもうやめよう。ワークアウト前に栄養摂取をしておけば、トレーニング中から血中に栄養素が出回り、それはトレーニング終了後も続く。ワークアウト前の栄養摂取がない場合でさえ、ワークアウト後の食事のアナボリック効果は、ワークアウト前の栄養摂取がないことを補う形で増加する。また最近の研究では、ワークアウト後のタンパク質と炭水化物の投与は、タンパク質のみの投与に比べてネットでの筋肉量をより増やすことは無かった。炭水化物を加える事が逆効果になると言うわけではないが、最適の結果を得るためにはワークアウト後すぐに炭水化物を大量摂取しないといけないという考えは疑わしい。

多くの人が認識していないことは、ワークアウト後に短い時間だけ起こる魔法のようなアナボリックのタイミング(日本だと所謂ゴールデンタイム)なんてものは存在しないということだ。トレーニングを行えば、タンパク質摂取に対する筋肉の反応は少なくとも24時間は続く。


4. 多くの人は、炭水化物の摂取が日々の活動や、ジムでのトレーニングに必要なエネルギーを与えるのに必要であると考えている。脂質とタンパク質で主に構成された食事でも、同じようにエネルギーを与えるのだろうか?

A. 何を目標とするかによる。ざっくりとした言い方をすれば、個人の好みと許容度次第だ。気晴らし程度の運動目的なら、単純に一日のマクロ栄養素の目標を守ることが重要だ。


5. ケトジェニック・ダイエット(厳しい糖質制限ダイエット)は、体脂肪燃焼をより効果的に行うのか? それとも維持カロリー以下の摂取カロリーにすることが最も重要なのか?

A. ケトジェニック・ダイエットは体脂肪減少についてに何ら特別な効果はない。これはコントロールされた長期の研究で繰り返し示されている。よくあるデザインの悪い研究は、タンパク質の摂取量を揃えていないものだ。

タンパク質の摂取量を揃えれば、代謝上わずかに優位性があるのは、炭水化物が多いダイエットだ(理由は書いていないが食事誘導性体熱産生やDNL変換でのロスやレプチンレベルが関係していると考えているのだろうか)。まあともかく、炭水化物中心か脂質中心かについては、どっちかに極端に偏った食事にするのでなく、大雑把な中間的な立場が良いだろう。個人の炭水化物の必要性は許容度や好みや目標によって大きく違う。ある人にとっては炭水化物が少ない方が効果的だし、他の人にとってはそうではない。


6. 複雑な炭水化物と二糖類などのシンプルな炭水化物について。体組成変化を扱う場合になにか違いはあるか。満足感とか。GI値の違いとか。

A. 炭水化物の複雑さと満足感にははっきりとした関連性があるわけではない。しかしながら、含まれる微量栄養素の観点からnon-milk extrinsic sugars(砂糖など)の摂取割合は抑えた方が良いだろう。
GI値についていえば、以下の条件を全て満たさない限りは、糖尿病患者を含む全ての人にとって関係ない。
- 高炭水化物/低タンパク質/低脂質/低食物繊維の食事
- 慢性的なオーバーカロリーの状態
- 座ってばかりで運動せず


7. 玄米や全粒粉にはビタミンやミネラルの吸収を阻害する物質が含まれていて、吸収される栄養的には精製された食品に比べて単に高価格なだけであるというのは本当か?


A. 本当だ。玄米は窒素保持に劣り、生体の利用できる微量栄養素の観点では優位性が無い。


8. 一日の食事回数について。カロリーとマクロ栄養素を満たした場合、一日の食事回数に最善の方法はあるか。

A. 結論から言えば、食事回数は個人の嗜好や許容度や目標に沿って決められるべきだ。食事回数を多くすることに代謝上の優位性は無い。コントロールされた研究で繰り返し示されている。


9. 全卵を食べるとコレステロール値に影響するか?

A. 全卵を食べるとLDL値とHDL値が上昇する傾向がある。しかしこのLDL値の上昇は動脈硬化に対してニュートラルな副画分でのものだ。だからリラックスして良い。全卵に含まれる脂質はちゃんとマクロ栄養素にカウントするように。


10. 一回に吸収できるタンパク質の量に上限はあるのか? そうだと仮定すれば、タンパク質を摂取するベストのタイミングはワークアウト後と朝なのだろうか?

A. いいえ。一日のトータルの摂取量を満たせば、それでうまくいく。

 Intermittent Fastingで良い結果を出している人々は一部の成功者なのか、それとも人間の身体は一定時間内の食事で残りの一日を効率的にやっていくことが出来るのか?

A. IFの成功例は、食事を効率的に消化し同化する身体の能力を示している。すごいカラダをしている人は多い食事回数によるものだと人々は思い込んでいるが、それは正しくない。IFの成功例は、人間の身体は我々が認めているよりも賢いという事実を強固にするものだと私は考える。


その他のQA

- もしたくさん飲み食いしてしまったら、どのようにリカバーして元のペースに戻すのがベストか?

A. くよくよせず、目標に向かってこれまでどおりのことをやれ。

- 寝る前にカゼイン摂取は必要か? 他のタンパク質は?
A. 高品質の様々な食材を適切な量食べていれば、寝る前のカゼインは成功にとって重要ではない。どのような高品質のタンパク源も有効。どのみちトータルのタンパク質摂取の一部分でしか無い。

- トータルのタンパク質摂取量が十分な場合、BCAAの摂取は効果があるか?
A. トータルのタンパク質摂取量が十分なら、追加で摂取するBCAAはプラシーボ効果はあるだろう。

- Nutrient-Partitioners(筋肉にエネルギーを送り込んで、脂肪を分解すると謳うサプリメント)は試す価値があるか?
A. 個人的には、人間を対象として体組成やパフォーマンスにポジティブな効果があることを示すエビデンスを見たことがない。ただ全部チェックしたわけではないので、もし見る価値のあるデータがあるなら送ってほしい。


参考:
Nutrition Facts 101: Alan Aragon
http://fitnfly.com/learn-about-food/nutrition-facts
http://fitnfly.com/learn-about-food/nutrition-facts-2

2/03/2014

アルコール摂取による筋肉と体脂肪への影響

・アルコールのカロリーは7.1kcal/gだが、20%が食事誘発性熱産生で失われる。

・ほどほどのアルコール摂取はインスリン感受性を高めたり、トリグリセリド濃度を下げたりする。長生きや健康への良い影響もある。

・インスリン感受性の影響なのか食事量が減るからなのか、メカニズムははっきりとはわからないが、アルコールを定期的に摂取しても太らない傾向。

・筋肉へのアルコールの影響。ほどほどの摂取なら気にする必要はなさそう。
- 毎日30-40gのアルコールを三週間摂取したらテストステロンレベルが男性では6.8%低下したという研究
- 体重1kgあたり1.5g(体重80kgだったら120g、ビール2.4リットル)のアルコールを摂取したら10-16時間の間テストステロンレベルが23%低下。
- トレーニング後に70-80gのアルコール摂取で、テストステロンに影響なし、コルチゾールにわずかな影響。
- かなりハードなトレーニングをしてから、かなりの量のアルコールを摂取すると、テストステロンレベルや筋肉の回復に悪影響が出る。

・アルコール摂取時は脂肪分解が抑制。アルコールから生成されるアセテートの酸化は、他の栄養素の酸化より優先される。後回しされ余った脂質は体脂肪になる。アルコール摂取時に体脂肪を増やしたくない場合は、脂質の多いものを同時に食べるのを避ける。長期的にはトータルのカロリーをコントロールすれば良い。

The truth about alcohol, fat loss and muscle growth
http://www.leangains.com/2010/07/truth-about-alcohol-fat-loss-and-muscle.html

A Musclehead's Guide to Alcohol
http://www.t-nation.com/free_online_article/sex_news_sports_funny/a_muscleheads_guide_to_alcohol_1