https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12000559/
夕方以降の運動が睡眠に与える影響について調べた研究です。
トレーニングからの回復には、食べることと寝ることが最も重要です。トレーニングが睡眠に悪影響を与えてしまうと、回復が阻害される可能性があります。
結論としては、寝る直前に激しい運動をすると、睡眠に悪影響が出ます。
夕方以降の運動では
・軽い運動なら寝る2時間前までに終わらせる
・激しい運動なら寝る4時間前までに終わらせる
と、睡眠に悪影響が出にくくなります。
研究の概略
被験者に、心拍数などの生理学的データを測定できる腕時計型デバイス(WHOOP)を装着して生活してもらった。被験者は、日常的に運動をしている男女14689人で、平均年齢は38歳。データの取得期間は一年間。
<運動の激しさのレベル分け>
被験者の行った運動は主に有酸素運動。
運動の激しさは、心拍数を6段階にゾーン分けして、それに持続時間を乗じる。その総和から運動の激しさをレベル分けした。心拍数が高くなる運動でも短時間で終わるなら、激しい運動にはならない。高い心拍数が長時間続くと激しい運動になる。
<睡眠と自律神経の状態を反映している生理学的データ>
入眠時間:被験者の普段の寝る時間を、月ごと、平日・休日ごとに算出して、この普段寝る時間に対して、運動をした日は入眠時間のズレが起きたかを調べている。
睡眠時間:寝てから起きるまで。
睡眠の質:睡眠時間中における実際に寝ていた割合(睡眠時間から中途覚醒時間を引いた時間を分子、睡眠時間を分母)
RHR(安静時心拍数):安静にしている状態での1分間の心拍数。
HRV(心拍変動):心臓の拍動の間隔の変動の度合い(連続する心拍間隔の差の二乗平均平方根)。副交感神経優位だと高くなる。
運動をすると交感神経優位になる。副交感神経優位になると良い眠りへ。睡眠時に安静時心拍数は低下し、心拍変動は上昇するのが望ましい。寝る前に激しい運動をすると、副交感神経優位に切り替わるのが遅れて、入眠に時間がかかり、睡眠の質が低下する。この研究では測定していないが、運動によって深部体温が高いままだったり、コルチゾールとメラトニンの日内変動リズムが崩れることでも、睡眠に悪影響が出ると考えられる。
<結果>
この研究の結果からは、夕方以降の運動では
・軽い運動なら寝る2時間前までに終わらせる
・激しい運動なら寝る4時間前までに終わらせる
と、睡眠に悪影響が出にくくなると言えます。
中程度の運動も、できれば就寝の4時間前までに終了したほうが良いでしょう。
筋トレだとどうなの?
この研究では被験者は主に有酸素運動をしているので、筋トレによる睡眠への影響ははっきりとはわかりません。
仮に、運動による身体への負荷を、「運動による消費カロリー」で表せると考えた場合、ランニングは体重1kgあたり1km走るごとに約1kcalの消費カロリーで、体重60kg台の男性が8kmのランニングをするなら500kcalくらい消費します。
筋トレは、フリーウェイトのコンパウンド種目中心に1セットあたり6-12レップ、インターバル2-4分の一般的なウェイトトレーニングを90分間みっちりやると、500kcalくらいの消費カロリーになります。このようなトレーニング、もしくはこれよりも激しいトレーニングをする場合は、就寝の4時間以上前にトレーニングを終了させると睡眠に悪影響が出にくくなる、というのが、消費カロリーで運動負荷を考えた場合の目安です。
関連記事:筋トレの消費カロリー
・負荷の重いトレーニングは週末に行う
下半身のトレーニングのほうが身体への負荷が重いので、月曜~木曜の夜は主に上半身のトレーニングを行い、金曜の夜や土日の昼間にみっちりと下半身のトレーニングを行うと良いでしょう。
・トレーニングボリュームを振り分ける
平日夜のトレーニングは、60分以内に終わらせる。心拍数が上がる運動でも短時間なら睡眠への影響が小さいです。週のトータルボリュームが多い人は、平日夜は小分けにして一回あたりの負荷を小さくし、休日の昼間に長めのトレーニングを行うと良いでしょう。
その他には、平日夜のトレーニング前にカフェインを摂取するのは避けたいです。仕事で疲れているけど、なんとかやる気を出したいなあ・・・という場合は、音楽を聴くのがおすすめです。
関連記事:トレーニング中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化
また、平日夜に筋トレをしてから、帰宅後に爆食するのは避けたいです。寝る直前に大量に食べると睡眠の質が低下します。トレーニング日は、日中に分散して栄養摂取するのを心がけると良いでしょう。
筋トレは、フリーウェイトのコンパウンド種目中心に1セットあたり6-12レップ、インターバル2-4分の一般的なウェイトトレーニングを90分間みっちりやると、500kcalくらいの消費カロリーになります。このようなトレーニング、もしくはこれよりも激しいトレーニングをする場合は、就寝の4時間以上前にトレーニングを終了させると睡眠に悪影響が出にくくなる、というのが、消費カロリーで運動負荷を考えた場合の目安です。
関連記事:筋トレの消費カロリー
仕事の後に就寝まで4時間の余裕をもってトレーニングを終わらせるのは難しくないですか?
睡眠への悪影響を抑えるトレーニングプランを考えてみます。月曜から金曜が日中に仕事で、土日が休みの人を想定すると、
・負荷の重いトレーニングは週末に行う
下半身のトレーニングのほうが身体への負荷が重いので、月曜~木曜の夜は主に上半身のトレーニングを行い、金曜の夜や土日の昼間にみっちりと下半身のトレーニングを行うと良いでしょう。
・トレーニングボリュームを振り分ける
平日夜のトレーニングは、60分以内に終わらせる。心拍数が上がる運動でも短時間なら睡眠への影響が小さいです。週のトータルボリュームが多い人は、平日夜は小分けにして一回あたりの負荷を小さくし、休日の昼間に長めのトレーニングを行うと良いでしょう。
その他には、平日夜のトレーニング前にカフェインを摂取するのは避けたいです。仕事で疲れているけど、なんとかやる気を出したいなあ・・・という場合は、音楽を聴くのがおすすめです。
関連記事:トレーニング中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化
また、平日夜に筋トレをしてから、帰宅後に爆食するのは避けたいです。寝る直前に大量に食べると睡眠の質が低下します。トレーニング日は、日中に分散して栄養摂取するのを心がけると良いでしょう。
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