3/13/2021

股関節のストレッチ・ウォームアップ

スクワットやデッドリフトの前にやると効果的な、股関節(とその周辺)のストレッチとウォームアップのやり方を書いていきます。別にこの通りやらないといけないわけではなくて、色々なやり方がありますが、自分はだいたいこんな感じでやっているのでその紹介です。トレーニング前にやっておきたい準備の考え方を理解すれば、あとは自分の身体に合ったやり方をしていくのが良いでしょう。





股関節の動く方向

股関節をストレッチ・ウォームアップするには、股関節の動く方向を理解する必要があります。





股関節のストレッチ・ウォームアップで狙いたいポイント

・スクワットやデッドリフトに必要な可動域の確保
良いフォームでおこなうためには、可動域を確保する必要があります。

・アラインメント修正
アラインメント(身体のパーツの配列)に異常がある場合、簡単に言えば姿勢が悪い場合は、なるべく正常に近づけます。

・心拍数を上げ、身体を温め、筋肉と関節に刺激を入れる
動きが良くなり、トレーニングの質と量を上げられます。

・左右のバランス感覚・足裏感覚の調整
重心が左右のどちらかに偏らないか、足裏の重心が偏らないか、これらを意識して感覚を調整していきます。足裏は下図のように三点荷重です。足裏の感覚や働きが鈍くなっている場合は、テニスボールをグリグリ踏んだり、床にタオルを広げてそれを足の指でニギニギしたりすると効果的です。踏み込んだ時に土踏まずのアーチが潰れて膝が内側に入りやすい人は、スクワットやデッドリフトの際に足の裏で床を掴むように力をいれてアーチを意識して作ると踏み込みが安定します。


順序

動きのあまり無いストレッチ主体の種目を前半におこない、ランジなど動きがあって筋肉と関節に刺激を入れる種目を後半におこないます。



意識するポイント

なるべく立ったままできるやり方にしています。立ったままのほうが身体が温まりやすいですし、クローズドチェインの動作になるのでスタビライザーの筋肉に刺激が入りやすいです。また、寝転ぶよりも立ったままのほうがトレーニング向けて気持ちが高まります。

大まかな考え方としては、股関節の内転・外転(横方向)、屈曲・伸展(前後方向)、内旋・外旋(捻じり方向)を、膝を曲げた状態と伸ばした状態で動かしていきます。股関節の正常な働きには骨盤のポジションや足首の柔軟性も影響を与えるため、それらに対処する種目も入れてあります。

バランス感覚や足裏に刺激を入れたいので、なるべく裸足でやります。裸足が難しいなら、ベアフットシューズも良いと思います。

片脚種目はファンクショナルやコレクティブといった要素があるので、ウォームアップに含めておくと、メインのトレーニングでコンディションを整えるための種目に割く時間を減らせます。

左右両方やるものは、左右とも同じ動作ができるように意識すると、アシンメトリーを修正しやすいです。

関連記事:アシンメトリー

止まってやるスタティックストレッチ系は10秒くらい静止、繰り返し動作のものは10レップくらい。次々とこなしていって10分くらいで終えるのが目安です。後半のランジや片脚RDLなどで身体が十分温まるので、ウォームアップでの有酸素運動は省いて大丈夫だと思います(私は省いています)。




ストレッチ・ウォームアップ種目

骨を全部描くのは骨が折れるので(ダジャレ)、簡易骨格で描いてあります。伸ばす筋肉・ほぐす関節は青線、力を入れる筋肉は赤線です。

・しゃがみこんで肘で膝を開く




・踵を掴んだまま、上下に動いたり左右に動いたり。






・足首を曲げるのと股関節外転を同時に




・ふくらはぎのストレッチ

膝を伸ばして足首を曲げると、ふくらはぎの二関節筋(腓腹筋)が伸びます。



・股関節の屈筋のストレッチ


膝の角度が90°くらいだと股関節屈筋の単関節筋(腸腰筋)が伸びやすく、膝を大きく曲げると股関節屈筋の二関節筋(大腿直筋)が伸びやすいです。両方とも10秒くらい静止で、両脚やります。

図のように股関節の角度は180°までが目安です。180°を超えてグイグイと伸ばすと、股関節の「はまり」を支える部分(関節包・靭帯)の前側が緩みます。筋トレで問題になりやすい症状は、「股関節の前側のはまりがゆるくて後ろ側が固い」「大腿骨頭が前側にずれて太腿の前側の付け根(鼠径部)が痛む」なので前側はあまりゆるめないほうが良いです。

関連記事:股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み

ちなみに肩関節も同じで、「前側がゆるくて後ろ側が固い」「上腕骨頭が前側にずれて肩が痛む」ことが問題になりやすいです。なので肩関節も、大胸筋のストレッチでアグレッシブに伸ばすのは止めたほうが良いです。

・片足立ちして脚組

何かに掴まりながらおこないます。足首を持ち上げて静止、膝を持ち上げて静止、左右それぞれおこないます。





・前屈

 

交互に膝を曲げて、骨盤をローテーションしながらハムストリングスを伸ばす。





片腕を天井に向けて上げて、ハムストリングスと腰の横側(腰方形筋)を伸ばす。骨盤を落とす感じにすると、膝を伸ばした脚のほうの股関節・関節包後部がほぐれます。左右ともやります。



・犬(♂)のおしっこポーズ→平泳ぎのキック




・つま先上げ⇔つま先立ち。

両足で立って、つま先上げとつま先立ちを交互にやります。つま先立ちのときは、親指の付け根(拇指球)と小指の付け根(小趾球)の両方に荷重することを意識します。扁平足の人は小指側の荷重が苦手なので、何かに掴まりながらつま先立ちして、その状態で親指を床から浮かせると小指側に荷重を感じやすくなります。





・片脚を横に振る







・ヒップエアプレーン

 

可動域を広げることを重視する場合は、何かに掴まってフルレンジで動かすほうがやりやすいです。

動画:TonyGentilcore.com - Supported Hip Airplane
https://www.youtube.com/watch?v=liUkohRmzrE



股関節のスタビリティ強化のトレーニングとしてやるなら、掴まらずにやります。慣れないと難しいので、最初は掴まりながら練習していくと良いでしょう。コツは、両方の尻に力を入れ、体幹前側と広背筋を締めることです。

動画:Hip Airplanes
https://www.youtube.com/watch?v=nqNgCWbDg-I
動画だと内旋・外旋はニュートラルくらいで止めてますが、可能なら内旋側の可動域も限界まで動かしてOKです。


Hip Airplaneは、スクワットやデッドリフトと相性が良いエクササイズです。股関節の安定性を高めて、外旋動作の筋肉を鍛えることができます(外旋できないと膝が内側に入りやすくなります)。

ちなみにこの種目は、脊柱研究の権威であるStuart McGill博士が考案したとのことです。

関連記事:腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)


・ランジ

手は適当なところに。きつい場合は、太腿の膝に近い部分に両手を置いてゆっくりやります。


・腿上げ(横と交差)







・ラテラルランジ

きつい場合は、太腿の膝に近い部分に手を置いてゆっくりやります。




・片脚RDL

バランスを取るの難しい場合は、何かに手で掴まりながらやります。後ろ足の大腿骨・骨盤・背骨が常に直線上にあることを意識するとやりやすいです(後ろ足をベンチなどに乗せてバランスをサポートすると、この直線を維持しにくくなるので、バランスが取りにくい場合は手で掴まったほうがやりやすいです)。






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