10/29/2014

カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響

Role of calcium and dairy products in energy partitioning and weight management1,2,3
http://ajcn.nutrition.org/content/79/5/907S.long

カルシウム・乳製品の摂取が体組成変化に与える影響についての論文。2004年の論文だけど総括的に書かれていて良いです。以下抄訳。


★カルシウム・乳製品を十分に摂取すると
オーバーカロリー時: 体脂肪の増加を抑える。
アンダーカロリー時: 脂肪分解の増加と代謝の維持に寄与する。

★想定メカニズム(効果が発揮される経路は他にもあると思われる)
細胞間のカルシウムイオンが、脂肪細胞の脂質代謝に関わる。細胞間カルシウムイオンの増加は脂肪合成を促進し脂肪分解を抑制する。低カルシウムの食事に反応して増加したカルシトリオールは、脂肪細胞のカルシウムイオンの増加を刺激し、脂肪蓄積を促進する。

★マウス実験
乳製品によるカルシウム摂取は、サプリメントによるカルシウム摂取よりも、体脂肪増加抑制と体脂肪減少の効果が高い。

★ヒト対象の疫学調査
老若男女問わずカルシウム・乳製品の摂取量と肥満度合いが逆相関することが多数報告されている。つまりカルシウム・乳製品を多く摂取する人ほど、肥満しない傾向がある。

★ヒト対象の介入研究
- 肥満の大人が対象の介入研究では、減量の際にサプリメントのカルシウムを摂取することで減量効果が高まった。乳製品を摂取した場合だとさらに減量効果が高まった。
- 乳製品の摂取量は3サービングで、一日トータルのカルシウム摂取量は1100-1300mg程度(サービングの量がよくわからないけど、食品成分表で各食品のカルシウム含有量を調べて摂取量を考えれば良いと思う)。
- カルシウム・乳製品摂取グループは、胴体部分の体脂肪減少の割合が高かった。
- 除脂肪体重は乳製品摂取が多いほうが維持された。
- 維持カロリーでの実験では体重変動なしでの体脂肪減少(体脂肪量-5.4%)という結果が出た。

★サプリメントと乳製品の効果の違い
カルシウムサプリメントよりも乳製品でのカルシウム摂取の方が減量効果が高いのは、おそらくアンジオテンシン変換酵素阻害剤といった生物活性化合物やホエイに含まれる豊富なBCAAが、カルシウムと相乗効果を発揮するためであろう。

★カルシウム・乳製品摂取が肥満対策になる理由
何かを厳しく制限する食生活は長期間続けにくい。現状にプラスアルファする食生活の方が続けやすく成功しやすい。例えばすでにある事例として、高血圧への対処としてナトリウムを制限する食生活は続けにくいが、フルーツや野菜や乳製品を積極的に摂取する食生活は続けやすく成功しやすいことがわかっている。これと同様に肥満対策では、カロリーを制限するダイエットは続けにくいが、カルシウムを積極的に摂取するダイエットが肥満問題への対策となるのならそれはとても有用な方法となるだろう。



☆コメント☆
成人は1日1000-1300mg程度のカルシウム摂取を目指せば良いのではないでしょうか。海外のRDAだとカルシウムの摂取量はそれくらいだし、介入研究でもそのくらいの摂取量で効果が出ている。たぶん必要量が満たされたら、それ以上摂取しても効果がさらに高まるわけではないだろうから、過剰摂取は良くないと思う。

介入研究の結果を見ると乳製品摂取はボディメイクにとって良いことだらけに見える。ただ、研究対象は肥満者なのが気になる。しかもアメリカの肥満者なので、日本人の感覚からすると尋常じゃないレベルの肥満だろう。従ってそれほど太って無い人が減量する時にどれだけ効果があるのかは不明です。

乳製品はカロリーがそれなりにあるので減量時には扱いが難しい。カッテージチーズはタンパク質量とカロリー面では優秀なのだけど、カルシウム含有量が少ない。

プロテインパウダーのカルシウム含有量はどうかというと、手元のオプティマム製品の成分表では、1スクープで1日の必要量を摂取できる割合がホエイが10%(100mgくらい?)、ミセラーカゼインが40%(400mgくらい?)と書いてある。

その時点で許容できるカロリーを考えて、牛乳、ヨーグルト、低脂肪乳、チーズ、プロテインパウダーなどを適宜組み合わせ、カルシウムを十分摂取できるよう調整すれば良いと思う。加工度が低い方が生物活性化合物の点では優れているだろう。

10/24/2014

タンパク質の摂取タイミングの効果についてのメタ解析研究

The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis
http://www.jissn.com/content/10/1/53

タンパク質の摂取タイミングが筋力向上と筋肥大にどのような影響を与えるのか、既存の複数の研究結果をメタ解析した論文。私は統計学について無知なためここで用いられている手法を理解できているわけではないが、Alan Albert Aragon も Brad Jon Schoenfeld も現場知識があって誠実に科学研究を行う信頼できる研究者だと思うので、以下抄訳してみる。


★今回の論文で解析対象とした研究
- 実験群はレジスタンストレーニング実施の前後1時間以内に6g以上の必須アミノ酸(or相当のタンパク質)を摂取し、対照群は前後2時間以内にタンパク質を摂取しなかった研究。
- レジスタンストレーニングプロトコルを少なくとも6週間継続した研究。


★結果
共変量をコントロールしなかった単純な解析では、タンパク質摂取タイミングは筋肥大に有意差ありで、筋力に有意差無しという結果になった。筋肥大への影響量は、小さい~中程度といったレベル。しかし、共変量をコントロールした解析ではタンパク質摂取タイミングは筋肥大に影響なしという結果になり、サブ解析ではトータルのタンパク質摂取量が、摂取タイミング研究で示された筋肥大の差の大部分を説明するという結果が出た。これらの結果は、トレーニングの直前・直後にタンパク質を摂取することが筋トレ効果を高めるのに非常に重要であるという一般的な考えを否定するように見える。

タンパク質のトータルの摂取量を揃えていない摂取タイミング研究での平均のタンパク質摂取量は、対照群が1.33 g/kg/dayで、実験群が1.66 g/kg/dayだった。レジスタンストレーニングの効果を最大に得るためには初心者は少なくとも1.6 g/kg/dayのタンパク質摂取が推奨されていることを考慮すると、これらの研究での筋肥大の差はタンパク質摂取量の違いによるものである可能性が高い。

タンパク質のトータルの摂取量を揃えた摂取タイミング研究では、対照群が1.81 g/kg/dayで、実験群が1.91 g/kg/dayだった。トータルの摂取量を揃えた研究はわずかに3つあり、2つは結果に差が無し。残り一つは摂取タイミングが筋力と除脂肪体重の増加に有意差をもたらしたという結果なのだが、データ不足により今回の解析対象の基準を満たせず除外された。

このメタ解析研究の強みは、
- 解析対象に含める研究の基準を高く設定し、質の高い研究を集め、バイアスが入る可能性を減らしたこと。
- それなりのサンプル数を確保できたこと。実験数23で、筋力については被験者数478名、筋肥大については被験者数525名。
- 良い解析手法。

このメタ解析研究の限界は、
- 対照群の食事タイミングが研究によってバラバラ。ある研究では運動後2時間でタンパク質摂取で、他の研究では何時間もタンパク質摂取を遅らせた。
- 大半の研究がレジスタンストレーニング初心者を被験者としている。トレーニング歴のある人と初心者とでは反応が異なるのは良く知られている。今回の研究でのサブ解析では、筋力についても筋肥大についても、トレーニング歴とタンパク質摂取タイミングの間に交互作用効果は示されなかったが、トレーニング歴のある被験者数を対象とした研究が4つだけなので、この解析結果は強くはない。
- サンプル数を大きくするため、筋断面積と除脂肪体重のデータを筋肥大のデータとして扱った。除脂肪体重の増加は大部分が筋繊維の肥大によるものであるが、レジスタンストレーニングでは骨や結合組織も増加することが知られている。筋断面積と除脂肪体重のデータを分けて解析もしてみたが、結果はほぼ同じだった。
- トータルのタンパク質摂取量を揃えた研究がわずかしかない。


★結論
既存のエビデンスは、ワークアウト前後1時間以内のタンパク質摂取が、レジスタンストレーニングの効果(筋力と筋肥大)を大きく高めるという主張をサポートしないようだ。もしワークアウト前後にアナボリックウィンドウが存在するのなら、それは前後1時間よりも長いものだろう。

ただ、今回の解析からは因果関係は直接には導けないため、タンパク質摂取タイミングが実際にはトレーニング効果の違いをもたらし、タンパク質摂取量の増加はそれに偶然に一致した可能性を排除できない。今後、タンパク質摂取量を揃えて摂取タイミングの影響を調べる研究、またトレーニング歴のある人を対象にした研究が多く行われることが期待される。



関連記事:
ゴールデンタイムはあるのか?

10/22/2014

[書籍] The Ketogenic Diet

Lyle McDonald の The Ketogenic Diet を読んでのメモ。自分用のメモなのであまりわかりやすいようには書いてないです。

糖質制限ダイエットに興味がある人には参考になる情報が多くあると思います。出版1998年なので一部outdatedな情報もあるかも。本の後半は運動生理学の教科書的な内容なので割愛して、前半部分だけメモしてます。

Lyle McDonald の本は amazon.comでも買えますが、Lyle McDonald のサイトから買った方が安いです。購入を考えている人には、amazonのレビューが参考になるかも。



★基礎知識
人間の身体のエネルギー源:グルコース、タンパク質、遊離脂肪酸、ケトン
どのエネルギー源を使うかは、炭水化物の可用性(ホルモンレベルに影響)、肝グリコーゲンの状態、ある種の酵素のレベル、次第。

エネルギーの身体内の貯蔵量は、脂質>>タンパク質>炭水化物

一般的に、身体の組織は血液中濃度の比率に沿ったエネルギー源を使う。例えば血中のグルコースが増えれば、それを優先的に使う。逆に炭水化物の可用性を低下させることで、脂質を優先的に使うようにできる。

炭水化物が不足すると、タンパク質が糖新生で使われる。炭水化物を多く取れば糖新生は起こりにくくなるけど、同様に脂質もエネルギー源になりにくくなる。

炭水化物不足の状態の初期は糖新生が起こりやすいので、身体のタンパク質が分解されないようタンパク質の摂取量を増やす必要がある。身体がケトーシスに適応すると脂質とケトンでエネルギーを賄うようになり、タンパク質が分解されにくくなる。

ほとんどの身体組織は遊離脂肪酸をエネルギー源に出来るが、脳、赤血球、腎髄質、骨髄、TypeⅡ骨格筋は遊離脂肪酸を使えない。

ケトーシス適応後は、脳は消費エネルギーの75%までをケトンでまかなうことが出来る。残りはグルコース。

ほとんどの身体組織はケトンをエネルギーとして利用できる。例外は肝臓で遊離脂肪酸を利用。

ケトーシスの三日目にはタンパク質以外のエネルギー源は全て遊離脂肪酸とケトンになる。ケトーシスが進むにつれて、脳以外の組織はケトンを利用しなくなっていき、3週間後以降は遊離脂肪酸を主にエネルギー源とするようになる。ケトンを脳に使わせるため。

身体組織による遊離脂肪酸の利用が高まるとケトンも増えて利用されるようになる。

遊離脂肪酸をエネルギー源として利用できるようになれば、それだけグルコースの必要量も減少する。


★エネルギー利用に影響を与えるファクター
・摂取栄養素の質: グルコースを多く摂取するとグルコースの利用が増える(少ないと減る)。タンパク質の摂取を増やすとある程度はタンパク質の酸化が増える(少ないと減る)。脂質は摂取量を増やしてもエネルギー源としての利用割合が顕著に増えるわけではない。炭水化物とアルコールの摂取が増えると、脂質のエネルギー利用は低下する。筋グリコーゲンのレベルが筋肉での脂質の利用を調整する。運動か炭水化物制限により、筋グリコーゲンと肝グリコーゲンのレベルを低くすると、脂質の利用が増える。

・ホルモンレベル: インスリンは貯蔵ホルモンで、血中のグルコースは筋肉か肝臓に貯蔵され、脂質の合成・貯蔵も刺激される。脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出は、わずかなインスリンでも抑制される。インスリンの主な役割は血糖レベルを一定のレンジに保つこと。炭水化物の摂取でインスリンレベルは大きく上昇するが、タンパク質の摂取でも上昇する(一部のアミノ酸がグルコースに転換されるため)。遊離脂肪酸もわずかにインスリンレベルを上昇させる。血糖値が下がるとインスリンレベルも低下し、グルカゴンなどの他のホルモンレベルが上昇し、貯蔵されたエネルギーが血中に放出される。脂肪細胞から遊離脂肪酸とグリセロールが、筋肉などのタンパク質組織からアミノ酸が、肝グリコーゲンからグルコースが放出される。グルカゴンはインスリンの逆の役割で、通常レベルでは肝グリコーゲンの分解を促進、炭水化物制限や運動によりインスリンレベルが非常に低くなると、筋グリコーゲンや脂肪細胞内の脂質の分解放出も。肝臓でのケトン体の生成にも関わる。絶対レベルよりも、インスリンとグルカゴンの比率が重要。他のホルモンは、GH、IGF-1、甲状腺ホルモン、コルチゾール、アドレナリン、カテコールアミン。

・肝グリコーゲン: 肝グリコーゲンのレベルは、身体全体の栄養貯蔵or分解の傾向を決定する主要因。

・酵素のレベル: 摂取する栄養とホルモンレベルによって決まる。

以上まとめると、炭水化物の摂取が多いと炭水化物がエネルギーとして利用され貯蔵され脂質はあまり使われない。炭水化物の摂取が少ないとその逆。


★ケトン生成
インスリンレベルが高いと脂肪分解が抑制される。
カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)は脂肪分解を促進。グルカゴンや成長ホルモンやコルチゾールも脂肪分解効果があるが効果は小さい。まれなケースではなるが、インスリンレベルが高いと、カテコールアミンレベルが高くても脂肪分解は抑制される。普通は運動といったカテコールアミンの分泌を促す刺激は、同時にインスリンレベルを低下させる。

脂肪細胞のトリグリセリドが分解されると、グリセロールと遊離脂肪酸になる。遊離脂肪酸は血液中を流れていき身体の組織でエネルギーとして利用される。大量の遊離脂肪酸があって、肝臓が準備ができていると、ケトン体に変換され、それが血液に放出される。

ケトンは通常でも微量作られて身体で利用されている。肝グリコーゲンが枯渇すると肝臓はケトジェニックモードになりケトン体をどんどん生成するようになる。この状態では遊離脂肪酸のアベイラビリティがケトン生成レートを決定する。カーボカットしてから12-16時間程度で肝グリコーゲンは枯渇する。カーボカットしてから三日後に肝臓はケトン・フル生産体制になる。


★ケトーシスとケトアシドーシス
ケトーシスとは、グルコースベースの代謝から脂質ベースの代謝に完全移行すること。絶食や高脂質食や運動直後に起きる。タイプⅠ糖尿病やアルコール依存症でのケトアシドーシスは命に関わる。通常のケトーシスとケトアシドーシスの主な違いは血中のケトン濃度。絶食や低炭水化物高脂質食では身体システムにフィードバックループが存在するので危険なレベルまではいかない。
血中のケトン濃度が0.2 mmol/dlを超えるとケトーシス
血中のケトン濃度が7 mmol/dlを超えるとケトアシドーシス
ケトニミア(血中のケトン濃度が高まっていく)
ケトヌリア(尿中のケトン濃度が高まっていく)


★ケトーシスへの適応
ケトーシスは、絶食(飢餓状態)の研究で色々と調べられている。ケトジェニックダイエットは、身体の適応の面では飢餓状態と大まかに同じである。タンパク質と脂質の摂取により、飢餓状態で失われる分のタンパク質と脂質の減少が抑えられる。

飢餓への適応(5段階)
1. 絶食開始後8時間は最後の食事の消化吸収。10時間以内に身体のエネルギー消費の半分が遊離脂肪酸から。
2. 1,2日で遊離脂肪酸と肝グリコーゲンの分解に頼るようになる。12-16時間で肝グリコーゲンは枯渇する。
3. 最初の1週間は、身体はタンパク質や乳酸塩などからのグルコース生成を増やす。脳以外の組織はグルコースの使用量を減らし遊離脂肪酸とケトンの使用を増やす。
4. 3,4日後からケトーシスが始まり、脳はケトンを利用するようになる。
5. 2週目から糖新生が減る。3週間でケトン濃度はプラトーに達する。

絶食後三日目までにエネルギー消費の90%が遊離脂肪酸とケトンで賄われる。3週間後には93%。
3週間後以降は脳以外のほとんどの組織はケトンを使わず遊離脂肪酸をエネルギーとして使うようになる。脳にケトンを回すため。脳は絶食開始直後はケトン利用に適応していないが、じきに適応する。

脳と中枢神経は一日に約100gのグルコースを使うが、飢餓に適応すると、エネルギー消費の75%までをケトンで賄うようになる。残りはグルコースで。

絶食時(炭水化物ゼロ)だと12-16時間で肝グリコーゲンが枯渇。肝臓は糖新生により、グリセロール、乳酸塩、ピルビン酸塩、アミノ酸(アラニンとグルタミン酸)からグルコースを生成する。絶食が続くと腎臓もグルコースを生成するようになる。グリセロールは脂肪細胞のトリグリセリドを分解して得られる。乳酸塩とピルビン酸塩はグリコーゲンとグルコースを分解して得られる。アミノ酸は筋肉から。アラニンは肝臓で糖新生、グルタミン酸は腎臓で糖新生。


★タンパク質の分解
絶食1週間は尿に一日に12gの窒素、75gのタンパク質が75gのグルコースを作るのに使用されたことを示す。1週間を過ぎるとタンパク質の分解は抑制されてくる。3週間後には3-4gの窒素損失、約20gのタンパク質。

トリグリセリドの質量の約1割がグルコースに(グリセロールを糖新生)。150ポンドの人だと一日におおよそ160-180gの脂肪を分解、そこから16-18gのグルコースを生成。

ケトジェニックに脳が適応するまでは1日100gのグルコースが必要。最初の1週間は、タンパク質由来と脂肪由来で合わせて約100gのグルコースを生成。

3週間で脳がケトン利用に対応し最大75%のエネルギーをケトンで賄う、残りを脂肪由来とタンパク質由来のグルコースで賄う。従ってタンパク質の分解が抑制される。


★ケトーシスとタンパク質消費節約
ケトーシスがタンパク質の消費を抑える4つのメカニズム
- 身体のグルコース必要量を低下させる
- 腎臓での窒素排出を減少させる
- ケトン自体がアンチカタボリックの効果の可能性
- 甲状腺ホルモンT3のレベルが急低下することでタンパク質分解が抑制される。


★甲状腺ホルモンの変化と甲状腺機能について
甲状腺機能に関する以下の2つの症状は区別される必要がある。
・甲状腺機能低下症(hypothyroidism):通常より高いレベルのTSHと、低いレベルのT3、T4。症状は倦怠感と代謝低下。
・甲状腺機能正常性ストレス症候群(euthyroid stress syndrome):T3レベルの低下と、通常レベルのT4、TSH。ケトジェニックダイエットで見られる症状。甲状腺機能低下症で見られる代謝撹乱とは異なる。ここでのT3レベルの低下はケトジェニックダイエットで見られる代謝低下とリンクしていない。他の要因で代謝低下が起きる。(ここでは書かれてないけどレプチンかな)。


★各栄養素のケトジェニックダイエットへの影響
- 炭水化物は100%ケトジェニック阻害効果。1日あたり100g以下の炭水化物だとケトジェニックダイエットになる
- タンパク質は摂取し過ぎるとグルコース転換によりケトジェニックダイエットを阻害。一方でタンパク質はグルカゴンの分泌効果がありケトジェニックダイエットを促進。それと身体のタンパク質分解を防ぐ効果。
- 脂質は利用されたトリグリセリドの10%分がグルコース転換されるので、部分的にケトジェニック阻害効果。


★protein sparing modified fast (PSMF)
除脂肪体重1kgあたり1.5gのタンパク質とビタミンミネラルのみ摂取。かなり過激で身体へのリスクも高いので、病的な肥満の人向け。


★ケトジェニックダイエットと、カーボを取るバランス型ダイエットの体組成変化への影響
- ケトジェニックダイエットは水分が抜けやすい。
- 水分が抜けたあとの体重減少は両方のダイエットで同じ程度だろう
- 体組成(除脂肪体重と体脂肪)の変化への影響についての研究は、結果がまちまち。タンパク質摂取量が不十分だったり、カロリー摂取が低すぎたりで、現実のダイエットでどうなるのかよくわからない。カーボ摂取量が減るにつれて脂肪減・除脂肪体重維持の傾向がでる研究もあるが・・・。個人差もあるしケトジェニックダイエットが有利とははっきりとは言い切れない。研究では運動もしてないし。

ダイエットの種類によって体脂肪の変化や食欲への影響に個人差があるので、自分に向いているのをやればいいだろう。消費カロリー>摂取カロリーにすることが大原則。


★ケトジェニックダイエットの諸々の影響
・幼児のてんかん患者の治療としてのケトジェニックダイエットはよく研究されてる。最大3年間。副作用は、血中脂質の上昇、便秘、水溶性ビタミンの欠乏、腎結石リスクの増加、成長抑制、病気時の酸血症。この本で提案されているケトジェニックダイエットのやり方とは同一ではないので、そのまま当てはめることはできない。ただ、この本で提案されているやり方を長期間続けた場合の影響についてはまったくわかっていないので、ずっと続けることは推奨されない。

・インスリン抵抗性
- ケトジェニックが続いたあとカーボを入れるとインスリン抵抗性が増す傾向。酵素の働きが変化することが要因で、数時間から数日で身体は再びカーボのある状況に適応する。カーボの入れ始めは肝臓が適応しておらず血中にグルコースをリリースし筋グリコーゲンが補充される傾向。

・食欲抑制
- ケトジェニックダイエットは食欲が抑制される傾向。

・コレストロールレベル
- 体重減少だとコレストロールレベルが低下する傾向。体重維持だと上昇する傾向。動脈硬化には長期間のコレストロールレベルの上昇が必要なので、ケトジェニックダイエットで一時的にコレストロールレベルが上昇してもすぐさま動脈硬化になることはないだろうけど、念のためコレストロール測定しておいて、悪い反応が出たら対処する。

・エネルギーレベルの低下
- だるさや立ちくらみが起こる。ナトリウムを十分に摂取(4-5g/day).どうしても合わない場合は少量カーボ摂取か中止

・脳への影響
- てんかん患者の研究では認知能力の低下は見られない。開始数週間は疲労感がある傾向がある。個人差もある。

・尿酸レベル
- ケトンと尿酸は腎臓での処理プロセスが競合。ケトン処理が多いと、血中の尿酸レベルが高まる。ケトジェニックダイエット開始後数週間で元のレベルに戻る。遺伝的に痛風リスクの高い人は、トータルカロリーの5%のカーボ摂取するか、ケトジェニックダイエットは行わないことを推奨。

・腎臓結石と腎臓へのダメージ
- 短期の実験では腎臓への影響なし。てんかん患者で結石リスクがやや高まったのは脱水気味だったのが要因かもしれない。ただ、長期間の影響は不明である。

・肝臓へのダメージ
- 短期での研究では影響なし。長期間は不明。

・便秘
- 食物繊維の摂取量が減るので便秘気味に。カーボの少ない野菜を沢山食べるか繊維サプリを摂取するかしたほうが良い。

・ビタミンミネラル
- カロリー制限するとどうしてもビタミンミネラルの摂取は不足してくる。マルチビタミン剤の摂取を推奨。それと厳しくカーボ制限すると野菜をあまり食べられなくなるので、長期間はやらない方が良いだろう。

・電解質
- ケトジェニックダイエットでは脱水&電解質不足の傾向。食物に含まれる分に加えて、ナトリウム3-5g、カリウム1g、マグネシウム300mgの摂取を推奨。

・カルシウム損失・骨粗しょう症
- カルシウムを十分に摂取すること。特に精製されたプロテインパウダーを飲む場合は。

・リバウンド
- ケトジェニックダイエットの特徴として、水分とグリコーゲンの変化による体重変動が激しいので、炭水化物を再び入れた時の体重増加に落胆しないようにする。体重変動と体組成変動を分けて考えること

・免疫システム
- 維持カロリーでのケトジェニックダイエットだと免疫システムへの影響は見られない。アンダーカロリーかタンパク質不足だと免疫システムに悪影響だろう。

・視神経症
- ビタミンミネラル不足が要因

・抜け毛・爪の変化
- 要因はわからないが・・・タンパク質・ビタミン・ミネラルの不足では。抜け毛((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


★カロリー設定
- 1日の摂取カロリーが1000kcal以下になると代謝が急低下する。
- 推奨は、食事制限・運動により維持カロリーから10-20%のカロリー不足を作り出す。一般的に12-13 calories/lb程度。
- このカロリー設定で週に1-1.5ポンド体脂肪を減らせる。減少が週に1ポンド以下なら摂取カロリーを減らすか運動を増やす。- 週に2ポンド以上減ると筋肉減少リスクが高まるので摂取カロリーを増やすか運動を減らす。
- 代謝低下をあまり起こさずに体脂肪減できるカロリー不足量は1日1000kcal。体重が軽い人はそれ以内。
- 増量は維持カロリー+20%が目安


★The Standard Ketogenic Diet(skd)
炭水化物カットをずっと続けるスタンダードなケトジェニックダイエット。

炭水化物は食べない・タンパク質と脂質は好きなだけ食べて良いというダイエットををすると、多くの人は自動的に摂取カロリーを減らし、結果として減量できるケースが多い。もちろんカロリーオーバーすれば太る。

炭水化物一日100g以下でケトジェニックになるはずだけど、実際は一日30g以下にしないと目立ってケトーシス状態にならない。タンパク質摂取量や運動量によって個人差があるが。

最初の数週間は炭水化物30g以下で、身体が適応したらある程度は炭水化物摂取量を増やせる。

インスリンリリースをなるべく抑えてケトーシスを続けるために、炭水化物はGI値の低い食べ物から摂取、つまり野菜。デンプンはだめ。

・タンパク質摂取量
ケトーシスに適応するまでの最初の3週間は、0.8g/lb か 150g の多い方。体重が軽いと150gになる。これは運動しない場合。運動する場合は0.9g/lb
どれくらい多くのタンパク質摂取でケトーシスが止まるかは個人差がある。筋グリコーゲンのレベルによるのかもしれない。筋グリコーゲンが枯渇してると、入ってきたグルコースは筋グリコーゲンとして補充される。
タンパク質は動物性のものが基本。

脂質はケトーシスにニュートラル。摂取カロリーが低すぎると代謝低下や除脂肪体重の減少が起きやすくなるので、脂質の摂取量でカロリー調整を行う。
普段低脂質の食事をしている人は、急に脂質の多いケトジェニックダイエットを始めると胃に違和感が出たり吐き気がしたりすることがあるので、徐々に脂質の摂取量を増やしていく移行期をもうける。繊維質を多く摂取するのも良い。
必須脂肪酸は摂取すること。必須脂肪酸の多く含まれるオイルの摂取が体脂肪減につながりやすいという報告例も。


★他の飲食物のケトーシスへの影響
水: 健康のため十分に飲むこと。理屈の上では血中のケトン濃度が高くなるすぎるのを防ぐことで脂肪分解を妨げない効果が考えられるがエビデンスは無い。

アルコール: ケトーシス状態になった後はアルコールはケトーシスを深める傾向があるが、アルコール自体のカロリーがあるので、アルコールを飲むとその分の脂肪分解が減る。アルコールもケトンに転換される。

カフェイン: アドレナリンとノルアドレナリンと遊離脂肪酸の血中レベルを上げる。アドレナリンとノルアドレナリンのレベルが上昇することで肝グリコーゲンの分解を促し血中のグルコース濃度を上げてインスリンレベルが上がる。ケトーシス確立後は肝グリコーゲン空っぽなのでインスリンレベルは上がらない。

アスパルテーム クエン酸: クエン酸はケトーシスを阻害する可能性

繊維質: 炭水化物に分類されるけど消化できないのでケトーシスに影響なし。摂取してOK。炭水化物の摂取量にはカウントしない。


★炭水化物とケトジェニックダイエット
ウェイトトレーニングを行わなずにダイエットをすると、体脂肪だけじゃなく除脂肪体重もかなり減るので、除脂肪体重を維持したい場合はウェイトトレーニングが必須。

強度の高いウェイトトレーニングをするには炭水化物を摂取する必要がある。

ある程度筋グリコーゲンレベルが下がると脂肪燃焼しやすい。各ダイエットでのグリコーゲンレベルは図参照(p121)

運動後に炭水化物を摂取しないと筋グリコーゲンはわずかしか回復しない(乳酸塩由来のグルコースでわずかに回復する)
運動前に炭水化物を摂取しておくと、運動後に筋グリコーゲンはかなり回復する。


★The Targeted Ketogenic Diet (TKD)
トレーニングに合わせて炭水化物を摂取する。

TKDは、SKDとCKDの間の妥協策。CKDは強度とボリュームが高くて上級者向け。

トレーニング前のカーボ摂取。なぜトレーニング前の摂取がパフォーマンスを上げるのかよくわかっていない(グリコーゲン充填には時間がかかるし)。血糖値の上昇が筋繊維の動員率を上げるのかも。持久運動にもトレーニング前中のカーボ摂取は有効。

トレーニング30分前に25-50gのカーボ摂取。カーボの種類は問わない。自分に合うのを試そう。
トレーニングボリュームが多くて50g以上摂取する場合は、30分前と直前に分割摂取。

トレーニング後のカーボ摂取はケトーシスを長い時間中断させやすいので、25-50g必要があれば摂取する。その場合はフルクトースが入ってるのは避ける。肝グリコーゲンが補充されやすくケトーシス中断が長引くので。

トレーニング後のプロテイン摂取推奨

トレーニング後の脂質の摂取は推奨されない。タンパク質・炭水化物の消化吸収を遅らせるのと、インスリンレベルが高い時に脂質摂取すると脂肪貯蔵されやすいので(アンダーカロリーなら長期的にはネットで脂肪減になると思うけど・・・まあ頑固な脂肪は分解がボトルネックになるが)


★The Cyclical Ketogenic Diet (CKD)
(後に The Ultimate Diet 2.0 としてブラッシュアップされてるので、やり方についてはあまり詳しくメモしていないです)

CKDは1-2日の高炭水化物摂取フェーズを取り入れる。いったんグリコーゲンを枯渇させるので、高ボリュームのトレーニングが出来ない人には無理。上級者向け。ケトジェニックフェーズはSKDと同じやり方。

週の前半はそこそこグリコーゲン減らして週の後半に枯渇させてからカーボいれてグリコーゲン超回復してウェイトトレーニング。

筋グリコーゲン枯渇してからのリフィード開始24時間以内に通常レベルまで筋グリコーゲンは回復。36時間で超回復。運動後6時間がグリコーゲン合成速度が高い。

24時間で2時間おきに50gのカーボでグリコーゲン合成最大化、体重70kgの人の場合。24時間で8-10g/除脂肪体重kg。睡眠などで食事間隔が空く場合はまとめて摂取でもOK。その後の24時間はグリコーゲン合成速度は低下し、多くの人にとって体脂肪増加のリスクに見合わない。

カーボの種類はグルコースベースかスクロースを推奨。フルクトースは筋グリコーゲンの回復が鈍い。最初の24時間はGI高めの方が良い傾向、その後の24時間は低GIの方が良い。

トレーニング直後にカーボとプロテイン摂取。トレーニング前中から摂取しても良い。

摂取カロリーはケトジェニックフェーズでの摂取カロリーの2倍。カロリーの70%が炭水化物、タンパク質と脂質が15%ずつ。タンパク質は1g/lbで十分

筋グリコーゲン枯渇してからのリフィード局面24時間は、炭水化物をたくさんとってもそれはグリコーゲン補充とエネルギー消費に使われ、また体脂肪の燃焼も続き脂質が蓄積されにくい。その後の24時間は脂質が体脂肪として蓄積されやすい。


★カーボロードとケトーシスへの適応
CKDでリフィード局面を入れると、ケトーシスへの適応がやや遅れるようだ(エビデンスなし、経験ベース)。


★カーボロードとアナボリック
生物学的な意味においては、アナボリックとは小さな物質から大きな物質を構築することである。

全身のアナボリック/カタボリックを司るのは肝臓。肝臓のグルコース代謝の酵素レベルが通常に戻るまで5時間かかる。なのでカーボロード前の最後のワークアウトの5時間前に25-50gのカーボ摂取。

肝グリコーゲンのレベルも重要。マウス実験だと肝グリコーゲンの補充にはグルコースとフルクトース合わせたのが有効だった。最後のワークアウト2時間前に摂取。

ここで示されているのはあくまでガイドライン。色々と試して自分の身体で良い結果が出るパターンを探す。


★ケトジェニックダイエットでの停滞期の越え方
- 飽和脂肪酸ではなくて不飽和脂肪酸を多く摂取する。熱としてカロリーが消費されやすくなる。
- 一日のトータルカロリーは同じで、食事回数を減らす。食事と食事の間に体脂肪が燃焼されやすくなるかも。
- 一週間維持カロリーに戻す。ケトジェニックのままでもカーボ入れてもOK。4-6週間ごとに1-2週間のブレークが多くの人にワークするようだ。
- 低カロリーと高カロリーの日を作る。平均して設定した摂取カロリーになるようにする。

CKDの場合
- リフィードの時間を24時間に減らす
- リフィードで食べる食事の質を良くする。ジャンクフードや甘いものを減らす。
- リフィード日の翌朝に有酸素運動してケトーシス開始を早める。
- 10日サイクル(うち1日リフィード)にしてケトーシス期間を長くする。

できれば一度に一つだけの戦略を使って、効くか効かないか判断する。


★ケトジェニックダイエットの終わらせ方
減量を終えて体重維持を続ける際は、運動を習慣にすると体重維持しやすい。

長期でのケトジェニックの影響はわかっていないので、この本ではケトジェニックの食生活を永続することを推奨しない。

炭水化物を再び摂取する際の注意点
- グリコーゲンと水による体重増加を体脂肪増加と混同しない。
- インスリン抵抗性による血糖値の乱高下と高インスリン血症。長期間炭水化物の摂取を制限すると、グルコース燃焼に関係する酵素の働きが低下。また血中の遊離脂肪酸濃度が高いとグルコース運搬を阻害。リフィード開始後、肝臓では5時間、筋肉では24-48時間でグルコース処理の働きが回復する。

・SKD/TKDの終わらせ方の推奨方法
炭水化物を再び摂取するようにする場合は、徐々に量を増やしていく、野菜も同時に摂取する(消化吸収を遅らせるため)、といった方法をとると移行がスムーズ。

・CKDの終わらせ方の推奨方法
- 炭水化物多めのバランス型食事に移行する。これがお薦め。
- CKDのサイクルを続けつつ、摂取カロリー増やす、カーボロードの時間を伸ばすといったやり方で、体重維持・増量フェーズにすることもできるが、長期でのCKDの健康への影響はわからないので、CKDをずっと続けることはこの本では推奨されない。


★検討と選択
ダイエットが有効であるためには、身体面だけではなく精神面でもその人に合ったものでないといけない。ダイエットを続けられないと、どんなダイエット方法も有効にはならない。

・ケトジェニックダイエットをバランス型ダイエットと比較
- 食材の制限: 食事の楽しみといったメンタル面に影響。個人差があって、食事の選択が楽になるという人もいる。あと野菜や果物が制限されるので、それらにのみ含まれる微量栄養素が不足する。CKDなら問題をだいぶ回避できるが、リフィード期間に抑制無く食べまくるタイプの人は食習慣にも健康にも良く無いだろう。
- 体組成変化: 体脂肪を多く減らし、筋肉の減少を抑えるというケトジェニックダイエットのセールスポイントは、強固なエビデンスがあるわけではない。経験ベースは、バランスダイエットに比べて体脂肪が減りやすく筋肉が残りやすいという多くの報告があり、とりわけボディビルダーにそういうケースが多いようだ。

・どのタイプのケトジェニックダイエットを選ぶか
- standard ketogenic diet (SKD): 運動をしない、もしくは低中強度の有酸素運動のみする人向け。
- cyclical ketogenic diet (CKD): 高い強度とボリュームのトレーニングをこなせる上級者向け。健康上の理由(高インスリン血症や高血圧)でケトジェニックダイエットをしている人はリフィード期間の高炭水化物摂取が健康上の問題を引き起こる恐れがあるので向いていない。
- targeted ketogenic diet (TKD): ほとんどの人に有効

・ケトジェニックダイエットを避けた方が良いケース
- 腎結石が出来易い人
- タイプ1糖尿病の人はインスリン必要量が変わるので医師と相談。タイプ2糖尿病で高インスリン血症・低血糖の人は血糖値が下がり過ぎるのに注意。それとタイプ2糖尿病や肥満の人はケトーシス状態を確立しにくい傾向がある。
- 冠状動脈の疾病・高コレステロールの人は血中脂質レベルの推移をチェックして、ケトジェニックダイエットがネガティブな影響を及ぼすようであれば中止する。
- 痛風の人。
- 妊娠中の人。
- てんかん患者。子供のてんかん患者治療に用いられるケトジェニックダイエットはここでのやり方とは異なるし、医師の監督の下に行われないといけない。
- 青年期の人。

10/19/2014

人工甘味料が糖尿病のリスクを高める?


結局、人工甘味料は体にいいのか悪いのか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41973

先月話題になった人工甘味料が糖尿病のリスクを高めるという研究についての記事。ネットのダイエット関連記事は酷い内容のものが大半だけど、この記事は良質ですね。

記事の要点を書くと
・腸内細菌についての研究はマウス対象のもの。また人工甘味料の摂取量はかなり多い。
・疫学調査では、相関と因果がはっきりしない。糖尿病や肥満の人が自分の健康状態を意識して人工甘味料飲料を積極的に飲んでいるのかもしれない。
・ヒト対象の介入試験は被験者数が7名と少なく期間も短い。
・他の介入試験では、「血糖値に影響はない」という結果や、「血糖値は下がった」という結果が出ている。人工甘味料を摂取して「明らかに血糖値が悪化した」という結果は見られない。
・ただ、介入試験の期間は短いため、糖尿病のリスクが高まるのか高まらないのかははっきりとはわからない。2型糖尿病は長期間かけて発症するもの。
・どんなものでも大量摂取は毒になるだろう。また人工甘味料に対する感受性は個人差があると思われるので、自分が糖尿病になりやすい体質で人工甘味料を大量に摂取する生活を送っているならそれを見なおしたほうが良いだろう。


たしかヒト対象の介入試験はサッカリンのみを投与してる。ネイチャーのサイトで論文見ようとしたんだけど、無料では部分的にしか読めなかった(´・_・`) ちなみにサッカリンは日本ではほとんど使用されていない。

個人的には、人工甘味料の入ったゼロカロリー飲料はたまに飲む程度。CCレモンとペプシNEXは良く出来ていると思う。最近はシュウェップスのフルーツビネガーゼロがお気に入り。プロテインパウダーは、人工甘味料・人工香料不使用のOPTIMUMのNATURALシリーズを使っている。プロテインパウダーは摂取量が多いし、アメリカの人工甘味料入りプロテインパウダーは甘すぎたり薬品臭かったりで自分の味覚には合わないので(たぶん濃い目に溶くことが多いせいだと思う)。