12/25/2021

スクワット時のヒップシフト(尻の横移動)の対処事例

スクワット時のヒップシフト(尻の横移動)の対処方法です。実際にパーソナルトレーニングを受けていただいた方の事例に基づいているので、ヒップシフトの方向、モビリティと筋力の左右差が違うパターンの人の場合は、そのまま適用すると悪化するケースもあるのでご注意ください。


今回のお客様の特徴


<動きや筋力の左右差>

・スクワットで立ち上がる時、きつくなってくると右方向へのヒップシフトが起こる。
・ヒップシフトと同時にバーが反時計回りに回旋する。
・デッドリフトでも左に重心が乗る感じがする。
・左脚に比べて右脚が細い。
・左側の尻と左下背部が発達している。
・ブルガリアンスクワットで右脚がきつい。
・椅子に座って脚を組む場合、右脚を上にしたほうが楽に組める。
・足首の柔軟性の左右差や、捻挫歴はなし。
・野球歴がある
・右投げ右打ち


<立位と寝た状態での姿勢>

・アラインメントと可動域は、リラックスした状態での左右差はあまり無い。
・股関節は両側とも外旋の可動域が広め。


<左右差の起こるポイントの確認>

・足や足首には問題無し。(足裏のアーチが潰れないか、足首のアラインメントはまっすぐか)
・股関節の筋肉は左側が強く、右側が弱い。そのため骨盤の横方向への移動や回旋が起きやすい。
・立った状態での骨盤の高低差は無し。ただランジなどの片脚種目だと、尻の内側と外側の筋力差のため骨盤が安定せず、骨盤が傾きやすい。
・上半身(胸椎・肋骨・肩甲骨)が反時計回りへの回旋が得意で、時計回りへの回旋が苦手。


12/18/2021

デッドリフトの頻度とボリューム問題

デッドリフトの頻度とボリュームをどのくらいにすれば良いのかは、意見が分かれます。スクワット(+脚トレ)だと、トータルボリュームを多く、頻度は1回あたりのボリュームと回復次第というのがおそらく主流の考えで、ベンチプレスは高頻度、重い日や軽い日を織り交ぜていくけどトータルではボリュームは多くなるというのが主流だと思います。デッドリフトについては高頻度派も低頻度派もいて、トータルボリュームについての意見もバラバラの印象です。

色々と書いていたら長くなってしまったので、この記事の簡単なまとめを書きますと、デッドリフトのトレーニングのボリュームと頻度は、以下に挙げる個人差を考慮して決めていくのが良いかなと思います。


・スクワットとの被り度合い
スクワットとデッドリフトのフォームが近い人は、デッドリフトのためのトレーニングをあまりやらなくてOK。スクワットで下半身を鍛えつつ、週1回くらい80-90%1RMくらいの重量で床引きデッドリフトを行っていくのが目安になります。

スクワットとデッドリフトのフォームの差が大きい人は、デッドリフトのためのトレーニングを多めにやったほうが良いと思います。床引きしたり、背中やハムストリングスを補助種目で鍛えたり。補助種目で背中やハムストリングスの筋肥大トレーニングをする場合は、普通の筋肥大トレーニングと同じで週2回程度でOKです。


・ボリュームへの反応度合い
反応が良い人は低ボリューム、反応が悪い人は床引きと補助種目をトータルで考えて高ボリューム。まずは低ボリュームで始めて、伸びないようならボリュームを増やしていく。


・レップレンジへの反応度合い
低レップ(5レップ以下)の反応が良い人は低レップで床引き。

高レップ(8-10レップくらい)の反応が良い人は、床引きコンベンショナルは背中の疲労で怪我しやすいですし、全身疲労もきついので、タッチアンドゴースタイルかRDLでボリュームを積むと良いと思います。スモウは背中の負担がそれほと強くなく、挙上距離も短いため、高レップでもあまり危険な感じがしないですし、全身疲労もそこまできつくないので、床引き高レップしても良いかもしれません。ただこれは私個人の印象なので、自分の身体と相談しながら。

レップレンジへの反応の調べ方は、そのレップレンジで充実感のあるトレーニングができるか、そのレップレンジのトレーニングが好きか、で判断で良いと思います。私は遅筋優位な体質なので、全般的に高レップのほうが好きです。


・回復力

床引きデッドリフトは全身の疲労がきついです。回復力が高い人は床引きデッドリフトのボリュームが多めでOK。回復力が低い人は床引きのボリュームを減らし、補助種目のボリュームを増やしたほうが良いでしょう。


・技術レベル
デッドリフトのフォームがまだ固まっていない場合は、重量と追い込み度を下げたフォーム洗練のためのトレーニングを高頻度で行うと伸びが速いです。フォームが安定すれば、重量が上がってきたときに怪我をしにくくなります。フォームがすでに固まっていれば、デッドリフトの頻度はそれほど高めなくて良いでしょう。


・重量
普通の人はあまり気にしなくて良いと思いますが、挙上重量が300kgを超えるような人ですと、高強度(だいたい85%1RM以上)の床引きデッドリフトは週1回以下(10日に1回とか)の頻度で行う人もいます。高重量ほど神経系の回復が遅くなると考えられ、床引きデッドリフトの頻度は下げたほうが良いでしょう。



12/12/2021

スモウデッドリフトの様々なフォームと個人的なやり方


様々なスモウデッドリフトのフォーム


<足幅が狭い>



動画:Angelo Fortino 350 Kg (771 LB) Deadlift - 2021 USA Virginia Pro
https://www.youtube.com/watch?v=g_GZhsNoytM




動画:Ed Coan deadlift
https://www.youtube.com/watch?v=Q_LWQkn0HNU


<足幅が普通くらい> 



動画:Sumo Deadlift Tips and Tricks | 410kg/903lbs stiff bar deadlift |
https://www.youtube.com/watch?v=zbNmUpvI4-E



動画:YANGSU REN (81kg) - 400 kg Deadlift | Incredible result!
https://www.youtube.com/watch?v=Zm0HdjSD2bI


<足幅が広い>



動画:Dmitriy Nasonov 910 kg Total WR @ 82.5kg
https://www.youtube.com/watch?v=5MV_mfbQT-k



動画:2017ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会② 74kg級DEADLIFT
https://www.youtube.com/watch?v=6ddloVmwN04



12/04/2021

骨格の違いによるデッドリフトフォーム考察

腕と脚と胴体の長さのバランスによって、デッドリフトはフォームが変わってくるのでその考察です。

そのフォームを実行可能かは、股関節の骨の噛み合わせ(大腿骨頭の角度や太さ、骨盤のソケットの向きや深さ)が深く関わりますが、スムーズに動作しやすいフォームは骨格バランスが強く影響します。

スクワットについての記事ですが、股関節の骨の噛み合わせについては関連記事に詳しく書いてあります。

関連記事:股関節の骨の個人差とスクワットのスタンス


本記事では、主にナローデッドリフトのフォームを考察していきます。スモウも少々。

3タイプの骨格に分けて考えていきます。

(1)バランス型タイプ(腕の脚の長さが普通)

(2)腕と脚が長くて胴体が短いタイプ

(3)腕と脚が短くて胴体が長いタイプ



脚が短くて腕が長い体型の人もいますし、逆に脚が長くて腕が短い体型の人もいますし、大腿とスネの長さの比率によってもフォームは変わってきますが、とりあえず3タイプに分けます。




11/20/2021

腰痛対策シリーズ3回目:スクワットとデッドリフトでの腰痛のトラブルシューティング

関連記事:腰痛対策シリーズ1回目:腰痛の概略

関連記事:腰痛対策シリーズ2回目:腰痛を防ぐストレッチやトレーニング


スクワットやデッドリフトで腰を痛める場合

腹圧を高めて背骨ニュートラルを維持していれば、スクワットやデッドリフトで腰を痛めることはほとんどないと思います。ニュートラルポジションを維持できてる限りは、背骨はかなり頑丈です。

なぜ痛めるのかというと、背骨ニュートラルを維持できていないから。背骨ニュートラルを維持できないケースをいくつか見ていきます。


11/13/2021

腰痛対策シリーズ2回目:腰痛を防ぐストレッチやトレーニング

前回の続きです。

腰痛対策シリーズ1回目:腰痛の概略


今回は、腰痛対策(というかほぼ姿勢対策)のストレッチ等とトレーニングについて書いていきます。

ネットで検索すると腰痛対策のストレッチや体幹トレーニングがたくさん出てきますが、それらを闇雲にやるのではなく、現状を分析し、適切な種目を選んで実施していくのが重要です。分析→戦略→戦術の順ですね。

1. 現状分析
骨の配置と筋肉の状態がどうなっているか分析します。固く縮んでいる筋肉と、弱くて伸びている筋肉を洗い出しますが、解剖学的に個別の筋肉の状態を理解しようとするよりも、各関節の伸展や屈曲といった動作の方向で考えたほうが実践面では楽です。この記事では簡略化のために、猫背や反り腰といったパターンごとに振り分けをしてみていきます。パターンに沿わないケースもありますし、矢状面以外での問題もありますが、パターンごとに振り分けすることで対策を絞りやすくなります。

2. 戦略の決定
部位ごとに緩める筋肉、鍛える筋肉を決めて、それにフィットするストレッチや筋トレ種目を選んでいきます。弱って伸びている筋肉をストレッチでさらに伸ばしたりすると状況が悪化するので、戦略は非常に大事です。どんなに種目のやり方(戦術面)が上手くても、種目の選択(戦略面)が間違っていたら、良い結果は得られません。

3. 戦術の実行
選んだ種目を実施していきます。正確なテクニックで実施する必要があり、また同じ種目でも目的によってやり方を変える場合があります。例えば、プランクをやるなら呼吸はどうするか、息を吐ききってドローインの状態でやる? 息を入れて腹圧かけた状態でやる? それとも意識的に体幹は固めずに自然に呼吸をしながら? etc.

腰痛ストレッチや体幹トレーニングの種目については、ネットで検索すればいくつも出てきます。分析と戦略がしっかりしていれば、種目の選択と実施は正しく行えます。逆に分析と戦略が欠如していると、多すぎる情報に混乱したり、適切な種目を行えずに良い結果が得られなかったりします。

これから腰回りや骨盤周りといった各部位の各状況ごとにストレッチ方法や筋トレ種目の例を書いていきますが、その方法や種目が最高に良いから書いているわけではなくて、戦略にフィットする種目を適当に見繕って書いています。やりやすい種目やりにくい種目には個人差があるので、戦略を理解した上で、自分にあった種目を選択していくと良いでしょう。


10/30/2021

腰痛対策シリーズ1回目:腰痛の概略

腰痛対策について書いていきます。私自身は、若い頃は腰痛持ちでギックリ腰もやりましたが、自分で色々と対策を行うようになってから腰の調子は良いです。

腰痛にはいくつか種類がありますが、腰椎付近の慢性的な痛みの対処方法と予防方法について。椎間板ヘルニアや腰椎すべり症といったお医者さんの担当範囲のものではなく、なんとなく痛いといったレベルの腰痛の対策です。

長くなるので3回にわけて書くつもりです。

1回目:腰痛の概略

2回目:腰痛を防ぐストレッチやトレーニング

3回目:スクワットとデッドリフトでの腰痛のトラブルシューティング

背景となる考え方や、状況に応じての種目の選択方法といった点を中心に書いてみたいと思います。腰は肩や膝と並んで痛みが発生しやすい部位で、その対策も世の中に多くありますが、どれをやったら良いのか自分の状況に合わせて選べるように。

「腰痛 体幹」などで検索すると、専門家によって「◯◯をやれ! △△はやるな!」というのが違っているので、背景の考え方を理解していないと何をやればいいのかわからなくなりますし、信頼できそうな専門家の言うことを信じるにしても、◯◯さえやっていればいいのかと捉えがちになります。

さすがに最近は、腰痛対策でシットアップやバックエクステンションを勧めるケースはあまり見かけなくなり、プランクやドローインといったまともな種目を勧めることがほとんどだと思います。しかし、どんな人でもプランクやドローインさえやっていれば腰痛は解決するのかというと、そうではありません。

10/23/2021

前腕の回内・回外の可動性はけっこう大事

前腕をスムーズに捻れる(回内・回外できる)ことは、筋トレでけっこう大事です。ベンチプレスはストレートバーに合わせて握る必要があるので、前腕が十分に回内できないと手首や肩に捻れストレスがかかり、痛めやすくなります。

特にナローで握ってお腹側にバーを下ろす場合は、要求される回内角度が大きくなります。ベンチプレスは上腕を外旋させる必要があり、さらにバーを握るときに親指が邪魔になるので(サムアラウンドの場合)、回内角度が大きくなります。ナローグリップのボトムでの脇角度を45°とすると、リラックスした状態で脇角度45℃くらいで手の甲を真上に向けるには回内角度45°でOKですが、ベンチプレスの身体の使い方だと70-80°くらい回内角度が必要です。

ワイドグリップだとスムーズに下ろせるけど、ナローグリップだと手首・肘・肩が詰まる感じがしてスムーズに下ろせない、といった場合は回内の可動性に問題があるかもしれません。

他に前腕の捻りが要求される種目には、ストレートバーでのアームカールや逆手懸垂があります。これらの種目では、前腕を十分に回外する必要があります。

今回の記事では、前腕の回内・回外がスムーズに出来ない場合のケア方法について書いていきます。


回内・回外の説明

前腕を外側に捻るのが回外、内側に捻るのが回内です。正常な可動域は、回内と回外それぞれ90°くらいです。脇を閉じて肘を直角に曲げた姿勢で、回外した時は手のひらが上を向く、回内した時は手の甲が上を向く(下の写真の状態)なら十分な可動域があります。


動画:その腕ちゃんと回せてる?「回内・回外」編 ~家族でできるROM(関節可動域)検査/練習~ 医療学生も必見!
https://www.youtube.com/watch?v=x4mSfCXRuUs


10/16/2021

胸郭を開くダンベルプルオーバーの問題点



筋トレ界隈のダンベルプルオーバーは、ボディビル系の胸郭を開くやり方が主流です。ボディビル志向の人がボディビルっぽい体型になりたくて胸郭を開くプルオーバーをやるなら問題はないですが、それ以外の人にとっては身体機能面でのデメリットがあり、あまり良い種目ではないです。

「トレーニー、アスリートの怪我予防に最適なコンディショニングダンベルプルオーバー」を謳っているので、望ましくない例としてこの動画を取り上げます。胸郭を開くプルオーバーはコンディショニングに向いていませんし、肩や腰の痛みの対策にもなりません。

動画:【ダンベルプルオーバー】トレーニーは全員やるべき!肩と腰の痛みを根本改善するやり方
https://www.youtube.com/watch?v=DI4wzrewvJw


10/09/2021

加齢による総消費カロリーと基礎代謝量の変化

加齢による総消費カロリーと基礎代謝量の変化を調べた研究です。

Daily Energy Expenditure Through The Human Life Course
https://www.science.org/doi/abs/10.1126/science.abe5017

サイエンス誌の論文なのですが、下のリンクから読めます(合法なのか不明)。

https://www.scribd.com/document/520549780/Daily-Energy-Expenditure-Through-the-Human-Life-Course


9/25/2021

身体の使い方ガイド

身体の使い方やコンディショニングの仕方を書いた記事をまとめます。

私がトレーニングを含めた身体作りで重視しているのは以下の4点です。


<持続可能>

若くなくても、体質に恵まれた人でなくても、怪我をしないで続けられるトレーニングをする。トレーニングで最も重要なことは、継続することです。どんなに素晴らしいトレーニング理論であっても、続けられなければ効果はゼロです。


<健康>

身体に無理な負担をかけない、痛みの無いトレーニングをする。肥大した筋肉や、重たいバーベルを持ち上げる力と引き換えに、関節がボロボロになることは目指しません。


<機能的>

特定の筋肉を個別に鍛えるのではなく、機能的に身体を使ったトレーニングをする。機能的なトレーニングにより、肩こり、腰痛、姿勢の歪みの解消といった健康面での効果も得られます。


<美しさ>

単に体脂肪を減らして筋肉を増やすのではなく、姿勢と動きを美しく、格好良くする。筋肉モリモリでも、腰が反って、胸郭が開いて、がに股歩きをするのは、あまり格好良くありません。


9/20/2021

手と指のケア(ベンチプレスの手首痛対策)


ベンチプレスで手首や手が痛くなる場合、下の動画のケアがおすすめです。手は細かい骨の集まりで構成されていて、これらの細かい骨同士が凝り固まっていると力が正しく伝わらなくなり、変なところに痛みが出たりします。そうならないように骨同士をほぐしていきます。

動画:【やってないならチャンス】手を強化すればもっとパフォーマンスが上がる
https://www.youtube.com/watch?v=0qPbI5AkA94



動画:指を絶対に軽視してはならない理由【必ず強化してください】
https://www.youtube.com/watch?v=ZBv8QErK6X4

2つ目の動画にある指をクリクリ回すケアは、下の動画の最後のほうで鈴木祐輔選手もやってますね。

動画:【神回】世界チャンピオンに教わるベンチプレス200kgあげる方法がヤバすぎた!!【鈴木佑輔】
https://youtu.be/fEfgH94VhYw?t=465


パワーリフターの人の動画で、ベンチに手をあてて体重をかけてやる手首のストレッチが推奨されている場合があるのですが、個人的にはこのストレッチには慎重になったほうが良いかなと思います。関節が固い人にはいいのかもしれませんが、 私はこれをやると手首が緩くなって痛めやすくなります。手首の曲げ伸ばし(掌屈・背屈)のストレッチは、反対側の手を当てて軽く伸ばす程度で良いと思います。

手と指のケアは、ジムに行く途中に歩きながらでも出来ますし、ベンチプレスのセット間インターバルでも出来るので、手首や手の調子が悪い方は試してみてください。

ちなみに足も同じように細かい骨で構成されているので、同じようなやりかたでほぐすことが出来ます。寝る前にやると、じんわり温かくなって気持ちが良いです。

9/18/2021

ベンチプレスで重要な脇の締め方(スクワットやデッドリフトにも使える)

バーベル種目をやる時に、前鋸筋に力を入れて肩甲骨を肋骨にぴったり張り付ける感じにし、両腕と胴体の間を窮屈にすると、肩周りや体幹が安定します。自分で実践していたのですが、この感覚って人に伝えにくいなと思ってました。

スポーツ向けの動画なのですが、この感覚(=脇を締める)を言語化していて、感覚を掴むためのエクササイズも構築しているので紹介します。自在に脇を締められるようになると、身体コントロールのレベルが上がり、パフォーマンス向上や怪我防止に効果的なので、バーベル種目をやる人も是非感覚を掴んで欲しいです。バーベル種目は脇を締めっぱなしで良いので比較的簡単です。動きの激しいスポーツだと、締めと緩めを切り替えていく必要があります。

動画:【肩甲骨操作】体幹の力をフルで腕につなげるためのトレーニング方法
https://www.youtube.com/watch?v=LCbcC3IufLM



9/11/2021

ベンチプレスのバーの握り方とブリッジ

前回の記事の続きです。

関連記事:ベンチプレスでの肩甲骨の動き

今回は、バーの握り方とブリッジについて。  

 

バーを握る手幅と握り方

バーの握り方の基本は、手首を寝かせて、指の付け根から被せるように握ります。指先で握ると肩を怒らせる力の入れ方になりやすいですし、バーを手の甲側に押し込むことになるので、手首に負担がかかります。指の付け根を曲げて握ると、手の甲側にバーが転がりにくくなるので、手首を寝かせても手首を痛めにくくなります。


上級者の人がバーは強く握り込まないと言っている場合もありますが、ピンポイントで前腕骨に荷重を載せられるのが前提なので、慣れないうちは親指以外の指(特に小指)をしっかり握って、バーがズレないようにするのも良いと思います。指の付け根から強く握ろうとしても、わしづかみのようにはならないので困ったことにはなりにくいです。

親指に力を入れると、拇指球のあたり(親指の付け根付近)が固く盛り上がって、バーを乗せにくくなるので、親指には力は入れないほうが良いです。拇指球付近の肉厚な部分を柔らかくしておいて、そこにバーを「むにゅっ」と押し付けると安定します。

 

8/28/2021

ベンチプレスでの肩甲骨の動き

最近、苦手なベンチプレスをちゃんとやろうと試行錯誤しているのですが、身体の使い方が結構しっくりくるようになってきました。

ベンチプレスは日本のレベルが非常に高くて、トップレベルのベンチプレッサーの方々が解説しているYouTubeが勉強になります。中でも鈴木佑輔選手の動画がわかりやすくて、自分には合っていました。


動画:ベンチプレス動作 詳細解説【SBDアスリート】鈴木 佑輔
https://www.youtube.com/watch?v=3l7IIc9Cx1Y


肩甲骨と腕の動きを理解する上で前提となる考え方が、

バーがトップポジション付近にある時(a)と、バーがミドルレンジを上下動する時(b)とでは、安全性と出力面で最適となる肩甲骨と腕の位置が異なる。

(a)「バーがトップポジション付近にある時」というのは、ラックアップ直後と、一度下ろしてから挙げていき、最後に肘を伸ばし切る位置です。

(b)「バーがミドルレンジを上下動する時」は、ラックアップ後に肘を絞ってスタートポジションに持っていき、そこからボトム付近まで下げて挙げてをするレンジです。


(a)と(b)とで、肩甲骨と腕の位置が違ってくるので、(a)から(b)、(b)から(a)にバーが移動するときは、それに合わせて肩甲骨と腕の位置を変えると、怪我リスクを小さくしつつ、高い出力を出せるフォームになります。


8/21/2021

レップ速度・挙上テンポが筋肥大とストレングスに与える影響


筋トレで筋肥大とストレングス向上を目指す場合に、レップ速度・挙上テンポをどのくらいにすれば良いのか、研究をもとに書いていきます。

先に簡単な結論を書くと、

・コンセントリック局面は、なるべく速く挙げたほうが筋肥大でもストレングスでも効果的。

・エキセントリック局面は、筋肥大目的の場合は2-4秒程度。挙上距離が短い場合や、ストレングス目的の場合は1-2秒でもOK。

・フリーウェイトやマシンを利用できて、関節に不安のない健康な人にとっては、スロトレは特にメリットがなく、普通の筋トレをやったほうが良い。

・TUT(筋肉にテンションがかかっている合計時間)よりも、トレーニングボリューム(筋肉が伸長と短縮を繰り返した数)を優先したほうが良い。


8/12/2021

伸長短縮サイクルの話

予備動作なしに筋肉を収縮させるよりも、まず筋肉を伸ばしてから収縮させたほうが、より強い力とパワーを発揮できます。この筋肉の使い方を、伸長短縮サイクル(SSC:Stretch-Shortening Cycle)と呼びます。例えば、しゃがんだ状態からジャンプするよりも、立った状態から素早くしゃがみこんでジャンプしたほうが高く跳べます。

主にプライオメトリクス(ジャンプ力を上げたりするトレーニング)の領域の話なのですが、レジスタンストレーニングでもエキセントリックからコンセントリックへの切り返しや、エキセントリックのスピードをどれくらいにすれば良いのか、といった点で関わってきます。もともとは、筋肥大とストレングス向上に効果的なコンセントリックとエキセントリックのレップ速度を調べていたのですが、これらの変数調整について説明するには、まずSSCのメカニズムを理解する必要があるな・・・と思い、この記事を書くことにしました。それと、スターティングストレングスの影響なのか、筋トレ業界ではSSCと伸張反射を混同しているのを見かけるので、正確な知識が普及したほうが良いなと。

下の2010年の記事を参考にしましたが、その後の研究でSSCに対する理解が大幅に変わっていたら申し訳ないです(たぶん大丈夫だと思います)。

The Stretch-Shortening Cycle: Proposed Mechanisms and Methods for Enhancement
https://journals.lww.com/nsca-scj/fulltext/2010/08000/the_stretch_shortening_cycle__proposed_mechanisms.10.aspx


7/23/2021

パーシャルとフルレンジの筋肥大効果の比較

パーシャルとフルレンジの筋肥大効果を調べた研究を見ていきます。

そんなのフルレンジに決まってるでしょ? と思われるかもしれませんが、わりと面白い研究が出てきていて、考察しがいがあります。 

フルレンジの定義を最初にしたほうが良いと思うのですが、研究だとそのへんが曖昧で、多くの研究で可動域が広いグループをフルレンジ、狭いグループをパーシャルとしていて、なんとな~くの相対的なグループ分けになっているので、研究内容に沿って見ていくとなると定義が困難です。

例えば、レッグエクステンションの研究だと、フルレンジは膝屈曲90°か100°。マシンの可動域がそれくらいですし、それ以上膝を曲げると力が入らなくなります。スクワットの研究だと膝屈曲のフルレンジはパラレル付近や安全にしゃがめる限界までとしているケースが多く、レッグエクステンションでのフルレンジ相当の膝屈曲90°をパーシャルとしている研究もあります。そして、もし膝関節の可動域の限界までをフルレンジとするなら、(そのような研究は無いと思いますが)ピストルスクワットでもやるべきということになります。このように何がフルレンジなのかを考えだすと定義するのが難しいです。

 

7/10/2021

肩甲帯のトレーニング(プッシュ・プル動作に重要)


肩甲帯は、肩周りの骨・関節・筋肉の一連のシステムのことで、肩甲骨・胸骨・鎖骨・上腕骨と、これらをつなぐ筋肉・靭帯で構成されます。身体イメージを作る場合は、肩甲骨周辺の骨と筋肉をまとめてイメージすると良いと思います。


解剖学的な肩甲帯の範囲と、上のイメージの範囲は完全には一致していないと思いますが、上のようなイメージを持つと実用面でやりやすく、また他に適切な用語が無いので、当記事では肩甲帯を上のイメージとして扱います。ローテーターカフも肩周りの安定に重要ですが、肩甲骨周辺の安定にはローテーターカフ以外にも前鋸筋や肩甲挙筋や菱形筋や僧帽筋(上部・中部・下部)など多くの筋肉が関与するので、ひっくるめて肩甲帯と呼ぶと便利です。


ショルダープレスやベンチプレスや腕立て伏せなどのプッシュ・プレス動作、懸垂やシーテッドローイングなどのプル・ロウ動作では、肩甲帯の「安定」と「可動性」の両方が求められます。肩甲帯の働きにより、肩甲骨の適切なポジショニングと、肩関節でのボール・ソケットのスムーズな動きが実現されます。

肩甲帯がうまく働かなくても、広背筋や大胸筋といった大きな筋肉で動作を行うことは可能です。ラットマシンやチェストプレスマシンといったマシントレーニングだと、肩甲帯の動きや安定が足りなくてもなんとかなる感じがします。ただ、フリーウェイトの場合は、プッシュやプルの動作中に肩甲帯が適切に働かないと、負荷が肘や肩に集中して、これらの部位を怪我しやすくなります。

ショルダープレスやベンチプレスなどプッシュ・プレス動作では、肩甲帯が安定しないと肩峰下インピンジメントなどになって肩を痛めやすいです。プル・ロウ動作では、懸垂で上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)になるケースが多いです。肘の痛みについては以前にも記事を書いたのですが、怪我の予防のために肩甲帯にフォーカスした記事を今回書きます。

身体機能レベルが高い人は、プッシュやプル動作でバーやグリップを握った時に、あまり意識しなくても肩甲骨周りの細かい筋肉に力が入って、自動的に肩甲帯が働き始めると思います。そのような人はあまりトラブルもなくトレーニングを続けられます。しかし、自動的に肩甲帯が働かない人もいます。私は肩甲帯の右側はすぐ反応してくれるのですが、左側が自動的に反応しづらいので、意識してアクティベートしないといけないです。

肩甲帯が自動的に働いてくれない場合、筋トレを続けていると肘や肩に問題が出やすくなるので、肩甲帯の働きを取り戻し、維持していくためのトレーニング方法を書いていきます。


6/26/2021

肩周りの安定性強化のための腕立て伏せ

肩甲骨のコントロール能力と、肩関節を安定させる細かい筋肉の強化に効果的な腕立て伏せのやり方を解説していきます。腕立て伏せで肩周りの安定性を強化しておくと、ベンチプレスで肩を痛めにくくなると思います。

このあと肩周り(肩甲帯)のトレーニングをテーマに記事を書くつもりで、その中のエクササイズの一つとして腕立て伏せを出そうと思っています。腕立て伏せは難しい種目で、技術的に細かい解説が必要なため別記事として書くことにしました。



6/19/2021

足裏と足首の強化(スクワットやデッドリフトでの安定した踏み込み)

足裏・足首は身体と地面の接点なので、スクワットやデッドリフトの時に安定していることが重要です。また何かスポーツをやる場合も、足裏・足首のスタビリティ(安定性)はとても大事です。

足裏・足首の安定性を強化することで、パフォーマンスがどれだけ向上するかは、現在のコンディションと、どのような運動をするかによります。現時点で足裏・足首のアラインメントが悪かったり安定性が低くて、ランニングやサッカーなど足裏・足首に強い負荷がかかるスポーツをするなら、足裏・足首を鍛えることでパフォーマンス向上やケガ防止などが見込めます。この場合は、足裏・足首を強化することを強く勧めます。

足を使う運動はスクワットやデッドリフトくらいしかやらないなら、ウェイトリフティングシューズなどサポート力の強い靴を履いたり、アーチサポートのインソールを使ったりすれば、足裏・足首のコンディションが良くなくても、問題が出ないことも多いです。その場合は、足裏・足首を鍛えてもスクワットやデッドリフトの1RMが向上したりはしないでしょう。

足裏・足首のアラインメント異常や安定性の低さは、膝や股関節や腰などに悪影響を及ぼすことがあるので、鍛えておくと怪我を防ぎやすいです。またスクワットの際に膝が内側に入ったり、足首のモビリティが問題になる場合、足裏・足首のコンディション不良が原因のこともあるので、今回の記事のエクササイズをすることで改善される場合もあります。ただ、直接的にパフォーマンス向上をもたらすようなものではないので、地味なトレーニング箇所です。

正常な身体機能の維持や健康面では、足裏・足首は絶対に鍛えたほうが良いです。現代人の足は靴で過保護にされ、窮屈なポジションに押し込められているので、望ましい足裏・足首のコンディションの人は少ないです。


6/12/2021

スクワットとデッドリフトのバーの軌道と足裏の重心

スクワットの深さの記事を書いていて気付いたバーの軌道と足裏の重心について書いていきます。

スターティングストレングスの影響なのか、スクワットとデッドリフトでは、重心は常に足の真ん中(ミッドフット)、バーの軌道はミッドフットライン上を垂直(鉛直)に上下すると解説しているところが多いです。バーや重心の位置を不必要にグラグラと動かさないためにそういった意識を持つことは必要だとは思いますが、実際にはバーの軌道は常に垂直ではないですし、足裏の重心も常にミッドフットではないです。そして垂直軌道とミッドフット重心を厳格に守ろうとすると、フォームが破綻します。


「身体の質量があるため、バックスクワットでバーベルが軽いとバーの軌道は垂直にならない」

これは気づいている人もいて、私も認識していました。


「スクワットで尻を後ろに出す時と、ある程度の重さ以上のコンベンショナルデッドリフトでは、足裏の重心はミッドフットから踵寄りに数cm移動している」

これは新たに認識しました。自分で試した感じでもそうなっていますし、バーの軌道分析でもそうなっていることが示唆されます。

はじめに明確にしておくと、踵寄りに重心が移動するといっても、踵の骨までは移動しません。足裏の三点荷重を維持できる範囲で移動します。つま先が浮くくらいまで踵に重心を移動するのは、スクワットでもデッドリフトでも望ましくないフォームです。

ミッドフット:足の真ん中。アーチの高い部分。三点荷重になる(下の絵)。

踵寄り重心:ミッドフットから数cmほど踵寄りの位置。脛の骨の前端の真下あたりから、くるぶりの下あたり。バーベルの重さの影響や、身体の使い方の個人差がありそうで、おそらく点ではなくてレンジ。前側(母指球・小趾球)の踏み圧は弱まるが、つま先は浮かず足裏の三点荷重は維持可能。

踵重心:踵の骨に重心を乗せる。つま先が浮き、三点荷重が維持できない。この重心でスクワットやデッドリフトをやるのは望ましくない。


6/05/2021

スターティングストレングスの正しさの範囲

Mark Rippetoe のスターティングストレングス(=パワーリフティング基準でのBIG3)について、色々と書いていきます。否定的なことも書きますが、パワーリフティング基準でのBIG3を「ルールのある遊び」として楽しむことを否定するわけではありません。そこは個人の価値観です。

私がモヤモヤするのは、「パワーリフティング基準でのBIG3は安全で効果的。正しいフォームでやれば怪我リスクの低いトレーニング方法だ」といった主張に対してです。YouTubeにたくさんある「正しい〇〇のやり方」といった動画にも、モヤモヤしたものを感じます。それは誰にとって正しいのか?と。(「宇宙一正しいスクワット」という動画は勢い良すぎてクスッとしました)

昔の私のような準備の出来ていない初心者がバーベルトレーニングで怪我をしたり、経験の浅いトレーナーがスターティングストレングスに傾倒して正しさの範囲を意識せずにクライアントに適用したり・・・そういったことを少しでも減らしたいです。そこら辺をつっついていく記事です。

バーベルトレーニングは筋肉量やストレングスの向上にとても効果的だ、という点には強く同意します。BIG3を否定したいわけではなく、多くの人が安全に効果的にトレーニングできるよう問題点を洗い出して改善していきませんか、という問題提起がしたいです。

5/28/2021

スクワットの深さ/推奨のスクワット方法

 

スクワットの分類 

<フルボトム/フル/ATG>

腰が曲がらない範囲でなるべく深く、腿の裏側とふくらはぎが接触するまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は約130-150°。日本語だと、パラレルより少し下の深さをフルスクワットと呼ぶことがありますが、研究だとフルスクワットは出来るだけ深くしゃがむスクワットのことを意味することが多いので、この記事ではフルボトムもフルもATGも同じものとします。

<パラレル>

太腿が床と平行になるまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は骨格やフォームによって違いますが、だいたい110-130°くらい。

<ハーフ>

膝の屈曲角度が約90°になるまでしゃがむスクワット。

<クォーター>

膝の屈曲角度が50-60°になるまでしゃがむスクワット。

 

5/15/2021

パワーリフティングのケガ率/BIG3の調整

過去のパワーリフティングのケガ率の研究で、パワーリフティングのケガ率は低いというものがあります。同じようにウェイトリフティング(五輪の重量挙げ)のケガ率が低いという研究もあり、マッチョ寄りのフィットネス業界ではそれらの研究をもとに「バーベルを使ったウェイトトレーニングは、正しく行えばケガ率が低く安全である」と言われることが多いです。

しかし、それらの研究での怪我は、トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我のことでした。今回紹介する研究では、怪我を「痛みと、トレーニングに影響を与える機能障害」と定義し、記録上位25%のエリートレベルを除くパワーリフターにアンケートを送って、現在の怪我、過去12ヶ月の怪我について回答を集めています。調査はスウェーデンで行われました。

Prevalence and Consequences of Injuries in Powerlifting: A Cross-sectional Study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5954586/

バーベルを使って趣味でBIG3をする場合、パワーリフティング系、特にRippetoeのスターティング・ストレングスのやり方をする人も多いと思います。このブログの過去記事にもスターティング・ストレングスのやり方は紹介していますし、自分もそのやり方をやっていました。

ただ、趣味でBIG3をやるなら、パワーリフティング系のやり方から何箇所か調整したほうが、怪我リスクを下げられます。

今回のパワーリフティングの怪我リスクの研究をもとに、BIG3で怪我をしやすい部位、原因、趣味でやる場合の調整方法などを考察していきます。

(今回はパワーリフティングについての研究なのでパワーリフティングのみ取り上げていますが、ウェイトリフティングのケガ率も似たようなものだと思います。トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我は少ないが、痛みを抱えるケースは多いでしょう)

5/08/2021

デッドリフト 腹圧のかけかた 体幹の固め方

私のやり方の説明です。コンベンショナル、ベルト無し。撮影可能なジムをビジターで利用してスマホで撮ってきました。画質が10年前の動画みたいですが数日前に撮ってます。

動画:デッドリフト 腹圧のかけかた 体幹の固め方
https://www.youtube.com/watch?v=7L11x3_1lbY


これが正しいやり方だと言いたいわけではなくて、デッドリフトで体幹を固めるのが苦手な人に参考にしてもらえればと。

腹圧のコントロール方法は、関連記事に詳しく書いてあります。

関連記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方

5/01/2021

ショルダープレス-肩のトラブル回避と難易度調整-


ショルダープレスでの肩のトラブルを回避する方法と、肩に問題がある場合や肩の怪我リスクを下げたい場合にショルダープレスの難易度を調整する方法を書いていきます。

ここでのショルダープレスは、肩のプレス動作をおこなう種目全般をひっくるめてです。ダンベルショルダープレスや、バーベルでのオーバーヘッドプレスなどを含みます。

肩の種目は怪我をしやすいです。肩のトラブルを回避するには、コンディションを整えることが重要です。アラインメント(姿勢)→モビリティ(可動性)→スタビリティ(安定性)の順に、ショルダープレスの準備をしていきます。

関連記事:筋トレのピラミッドとパフォーマンスの積み木


4/24/2021

ピンスクワット

MASSでGreg Nuckolsが「ピンスクワット、めっちゃええで!(意訳)」と書いていたので、自分でも試したのですが、めっちゃ良かったです。スクワットのフォームが安定しました。

ピンスクワットは、スクワットのデッドリフト版で、セーフティバーにバーベルを置いて、エキセントリックフェーズなしに、しゃがんだ状態から立ち上がるスクワットです。

動画:Pin Squats - How To Increase Squat With Supramaximal Load
https://www.youtube.com/watch?v=j_zAoI_Gyuw


似た種目に、立った状態からしゃがんでボトムで数秒間停止するポーズドスクワットがあります。

ピンスクワットもポーズドスクワットも期待される効果は似ていて、

・ボトム付近で体幹をしっかり固めて、力強く踏ん張り立ち上がるスキルを高める。

・スクワットのフォームを良くする。

個人的には、ピンスクワットのほうがポーズドスクワットよりもメニューに組み込みやすいと感じました。私はスクワットを筋肥大目的でやっていて、ストレングス目的ではやっていないのですが、ポーズドスクワットは体力の消費が激しくてボリュームを積みにくく、メニューに組み込むのが難しかったです。その点、ピンスクワットは体力の消費がマイルドなのでメニューに組み込みやすいです。

ポーズドスクワットは、ボトム付近で体幹を固めて立ち上がるスキルを高める効果が高いので、スクワットにストレングスを求める人に向いていると思います。

4/17/2021

筋トレでの肘の痛み-対処方法と予防方法-

筋トレで起こる肘の痛みについて結構わかってきたので、以前の記事を全面的に書き直しました。ディスクレイマーとしては「痛い場合は医者にいきましょう」なのですが、医者に行っても「安静にしてください」と言われて湿布とか処方されて終わりになりそうなので、自力でなんとかする方法を書いていきたいです。ただ、私は専門家ではないので、あくまで自己責任でお願いします。



筋トレで痛くなりやすい箇所

・内側上顆
肘の内側の出っ張り。手首の屈曲と前腕の回内をする筋肉の腱が付着。ゴルフ肘で痛くなる部分。

・外側上顆
手首の伸展をする筋肉の腱が付着。テニス肘で痛くなる部分。

・肘頭突起
肘の後ろ側の出っ張り。上腕三頭筋と肘筋の腱が付着。

4/10/2021

筋トレのピラミッドとパフォーマンスの積み木

筋トレをする上で、姿勢やモビリティはどういう位置づけになるのか、なぜ姿勢やモビリティを意識していったほうが良いのかを書いていきます。



筋トレのピラミッド

姿勢(アラインメント)やモビリティは、筋トレをする上で土台部分になります。(エクササイズピラミッドやパフォーマンスピラミッドといった考え方をベースにしています)



4/03/2021

タイプ別の姿勢矯正方法

姿勢が悪いまま筋トレをすると、怪我をしやすくなりますし、見た目も良くありません。以前にも姿勢矯正の記事はいくつか書いたのですが、今回の記事ではそれらをまとめています。扱うのは3タイプの悪い姿勢で、矢状面のみです。悪い姿勢には他のタイプもありますし、前額面・水平面での悪い姿勢(アシンメトリー)もあります。(姿勢矯正は難しいです。あらゆる姿勢を治せるならそれで飯が食えますから)

それぞれの姿勢パターンは、「胸椎(むね)の曲がり・反り」と、「腰椎(こし)の曲がり・反り」の組み合わせで記述できます。

(1)良い姿勢
背骨はニュートラルのS字カーブ。胸椎が適度に曲がって、腰椎が適度に反っているのがニュートラルです。

(2)猫背&反り腰
胸椎曲がり+腰椎反り。ベンチプレス偏重型のトレーニーに多い。

(3)背中全体が反り
胸椎反り+腰椎反り。背中全体の筋肉が緊張している。胸郭が開いている(リブフレア)。アスリートに多い。 

(4)背中全体が曲がり
胸椎曲がり+腰椎曲がり。運動不足のデスクワーカーに多い。デスクジョッキー(desk jockey)と呼ばれる。

ちなみに腰椎曲がり+胸椎反りだと、背中のS字カーブが失われた状態で「平背」と呼ばれます。運動不足で全身の筋力が衰えている人に多い。

3/27/2021

ベアフットシューズの使用感

今年の初め頃、長年使っていたジム用の靴(以前バドミントンをやっていた時のを流用)が壊れてきたので、新たにベアフットシューズを買いました。今回は、その使用感のレポートです。

買ったのは3000円くらいのテスラというメーカーのもの。

[テスラ] トレイルシュ−ズ トレーニングシューズ ベアフット

3/20/2021

ニースリーブのすすめ



ニースリーブとは

ニースリーブは膝にはめて使う筒状のサポーターです。上の画像はニースリーブを着用した状態です。似たものにニーラップがありますが、ニーラップは帯状のもので、ぐるぐると膝の周りに巻いて使います(ベンチプレスの時に手首に巻くリストラップの膝用みたいなものです)。

最近、ニースリーブを使い始めて、これはいいものだと思ったので紹介記事を書きます。



自分の使用感

私は膝が弱くて、スクワットを頑張ると膝に違和感が出やすく負荷をかけにくかったのですが、ニースリーブ着用で膝の不安が無くなり、楽しくスクワットが出来るようになりました。

体感では、「すごいなニースリーブ!」って感じなのですが、エビデンスだとどうなのかも書いていきます。

3/13/2021

股関節のストレッチ・ウォームアップ

スクワットやデッドリフトの前にやると効果的な、股関節(とその周辺)のストレッチとウォームアップのやり方を書いていきます。別にこの通りやらないといけないわけではなくて、色々なやり方がありますが、自分はだいたいこんな感じでやっているのでその紹介です。トレーニング前にやっておきたい準備の考え方を理解すれば、あとは自分の身体に合ったやり方をしていくのが良いでしょう。



3/06/2021

座りっぱなしの生活は健康だけでなく体組成にも悪影響が出る可能性

 

座りっぱなし(sedentary)の生活が、肥満や健康リスクと相関するという研究が近年多く出ています。私も気になってはいたのですが、そこそこ運動していて肥満を避けるようにしている自分には関係ないだろう・・・観察研究だと交絡因子があるかもしれないし・・・と思いながらスルーしていました。しかし、1日や2日でも座りっぱなしの状態にすると、脂質代謝に悪影響が出るといったRCTが出てくるようになって、これは身体のメカニズム的に何かあるなと思って調べました。


身体活動と体組成に関する新たな考え方

今回調べてみて、新たな考え方を導入するにいたりました。自分の中でのパラダイムシフトは、こんな感じです。

「太るか痩せるかはカロリー収支の問題である」

       

「太るか痩せるかは生理学的にはカロリー収支の問題ではあるが、活動量が少ないと食欲のコントロールが失われ、ついつい食べすぎになることで太りやすくなる」(関連記事:運動と食欲)

       

「座りっぱなしの時間が長いと、脂質代謝の異常やインスリン感受性の低下により、摂取カロリーの振り分け(カロリーが筋肉にいくか体脂肪にいくか)が体組成変化にネガティブに働き、カロリー収支以外の面でも生理学的に太りやすくなる可能性がある」 ←New!

2/27/2021

バックスクワットのバーを担ぐ位置とフォームの違い

バックスクワットはハイバーで担いでも、ロウバーで担いでも、フォームは大して変わらない・・・という内容です。

もちろんバーのポジションの影響はゼロではなくて、重心位置の違いの影響で、ある程度はフォームは変わります。ただ、一般的なイメージのハイバースクワットとロウバースクワットのフォームは、バーの位置で決まるわけではなくて、しゃがむ際の意識のほうが影響が大きいです。

<ハイバースクワットとロウバースクワットのイメージ>


バーを担ぐ位置の違いがスクワット動作に及ぼす影響を調べた研究がいくつかあって、しゃがむ深さとスタンスを揃えると、ハイバーとロウバーでは股関節や膝関節の角度に小さな違いしか出ないという結果になっています。


2/20/2021

歳を取ると筋トレからの疲労回復が遅くなるのか?

自分自身も中年のおじさんなので、加齢の回復への影響については以前から興味を持って探していたのですがなかなか研究が見つからなく・・・。既存の研究をまとめた論文(1)を見つけたので、この論文で取り上げられている個別の研究を中心に、今回の記事は書いていきます。

筋トレの疲労回復の研究では、筋肉にダメージを与えるハードな筋トレ(エキセントリック主体や高ボリュームの筋トレ)をして、その後数日間の回復度合いを調べます。回復度合いは以下の3種類の項目の1つ、もしくは複数で測定されることが多いです。

・主観的な筋肉痛の度合いの測定

・クレアチンキナーゼなどの筋肉のダメージ指標の測定

・ストレングス・パワーの落ち込み度合いの測定

2/13/2021

フォーム習得の3ステップ

 

スクワットやデッドリフトなど、難易度の高い種目はフォーム習得までステップを分けて練習していくと、安全で効率的にフォームを習得しやすくなります。

私自身は、準備段階をろくにやらず最初からバーベルを使って練習したのですが、今から考えてみると怪我をすることもあり、あまり良いやり方ではありませんでした。現在は知識も増えて色々と見えてきたので、自省の意味も込めてスムーズにフォームを習得する方法を書いてみたいと思います。


3ステップの概略

野球やサッカーなどのスポーツでも、「基礎的な身体能力の向上」「基礎動作の反復練習」「動作を統合した試合形式での練習」といったステップに分けるのが効率的な上達方法です。筋トレ種目でも、動作が複雑で難しい種目は以下のようにステップを分けて練習してくと安全で効率的に上達していけます。

ステップ1:準備
その種目を安全に実施するのに必要な可動域の獲得や姿勢矯正など。

ステップ2:分割
種目の完遂に要求される動作を分割し、個別動作を練習する。

ステップ3:統合
個別動作を統合して種目を練習する。

2/06/2021

同系統内での種目選択の考え方


同系統内でトレーニグ種目を選ぶ時の、私の考え方を書いていきます。状況や目的にあった種目を選ぶと、リスクを抑えながら効果を得やすくなる、という話です。

流れとしては、同系統内でトレーニグ種目をいくつかの項目で評価していき、トレーニグをする人の状況や目的と照らし合わせて適切な種目を選択していこう、というものです。


1/29/2021

怪我をしにくいロウ・プルのやり方


怪我をしにくいロウ・プルのやり方を書いていきます。ここでのやり方は、身体機能の維持・向上や、低い怪我リスクを目的としたトレーニング方法です。特定の筋肉を筋肥大させることを最優先する場合は、YouTubeで再生数の多い動画を参考にすると良いかと思います。

ロウとプルの基本をシンプルに書くと、

・背骨ニュートラルを維持

・胸郭を歪ませない

・上腕骨と肩甲骨を連動させて同じ方向に動かす

ロウ・プルに限らないのですが、コンパウンド種目では動かす骨と動かさない骨を把握し、「動かす骨は身体にとって自然な軌道を通す、動かさない骨は動かさない」というのを意識すると良いと思います。どこの筋肉に効かせるかというやり方は、身体機能の維持・向上や低い怪我リスクを目的とする場合はあまり向いていません。

順に説明していきます。

1/23/2021

タンパク質摂取量と除脂肪体重の増加の関係(2020年のメタ解析)

タンパク質の摂取量と除脂肪体重の増加の関係を調べた最新のメタ解析(1)が出てきたので紹介します。

この手の研究だと2018年のメタ解析(2)が有名で、その解析ではタンパク質の摂取量が1.6g/体重kg/dayで除脂肪体重の増加が頭打ちになるという結果になっていました。下のグラフは、(2)の研究のものです。


今回のメタ解析だと、「1.3g/kg/dayを超えると除脂肪体重の増加が緩慢にはなるが頭打ちにはならず、タンパク質摂取量を増やすほど除脂肪体重が増えやすくなる関係が続く」という解析結果になっています。

2018年の研究はレジスタンストレーニング有りのみの研究が対象で、解析対象の研究数は49です。今回の研究はレジスタンス有り無しの両方を集めていて、全部で105、レジスタンストレーニング有りの研究は53です。


1/16/2021

2020年時点の筋トレサプリメント評価(シトルリンリンゴ酸、硝酸塩、ホスファチジン酸、BCAA、HMB、ベタイン)

ストレングス向上や筋肥大に効果があるとして売られている新しめのサプリメントについて、効果の程を調べた研究をまとめた2020年の論文(1)を見つけたので、この論文をもとに各サプリメントの評価を書いていきます。

今回取り上げるサプリメントは、シトルリンリンゴ酸、硝酸塩、ホスファチジン酸、BCAA、HMB、ベタインです。


1/06/2021

筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方

腹圧は腹腔内圧のことで、胴体の横隔膜より下にある内臓などが詰まってる部分(腹腔)の圧力です。正確には、骨盤内部の部分は骨盤腔になりますが、腹腔と骨盤腔の間に仕切りがあるわけではないので、腹腔と骨盤腔をまとめて大きな水風船みたいなものだと考えるとわかりやすいです。下図のピンク色の部分がそれにあたります。
筋トレではよく、腹圧を高めることで体幹を固め、腰の怪我を防ぐと言われますが、これはどういうことなのか説明していきます。