10/30/2021

腰痛対策シリーズ1回目:腰痛の概略

腰痛対策について書いていきます。私自身は、若い頃は腰痛持ちでギックリ腰もやりましたが、自分で色々と対策を行うようになってから腰の調子は良いです。

腰痛にはいくつか種類がありますが、腰椎付近の慢性的な痛みの対処方法と予防方法について。椎間板ヘルニアや腰椎すべり症といったお医者さんの担当範囲のものではなく、なんとなく痛いといったレベルの腰痛の対策です。

長くなるので3回にわけて書くつもりです。

1回目:腰痛の概略

2回目:腰痛を防ぐストレッチやトレーニング

3回目:スクワットとデッドリフトでの腰痛のトラブルシューティング

背景となる考え方や、状況に応じての種目の選択方法といった点を中心に書いてみたいと思います。腰は肩や膝と並んで痛みが発生しやすい部位で、その対策も世の中に多くありますが、どれをやったら良いのか自分の状況に合わせて選べるように。

「腰痛 体幹」などで検索すると、専門家によって「◯◯をやれ! △△はやるな!」というのが違っているので、背景の考え方を理解していないと何をやればいいのかわからなくなりますし、信頼できそうな専門家の言うことを信じるにしても、◯◯さえやっていればいいのかと捉えがちになります。

さすがに最近は、腰痛対策でシットアップやバックエクステンションを勧めるケースはあまり見かけなくなり、プランクやドローインといったまともな種目を勧めることがほとんどだと思います。しかし、どんな人でもプランクやドローインさえやっていれば腰痛は解決するのかというと、そうではありません。




なぜ腰痛になるのか

慢性的な腰痛は、具体的にどこの組織に問題が起きているのか、はっきりわからないことが多いみたいですが、何をすると腰痛になりやすいかは結構わかっています。


腰椎がニュートラルポジションから外れた姿勢で腰椎に負荷がかかると腰痛になりやすい。

赤ちゃん以外の人間の正常な背骨は、腰椎(こし)と胸椎(むね)が軽く曲がっていてS字カーブになっています。これが背骨のニュートラルの状態です。背骨に負荷をかける時は、このS字カーブの状態が一番安全です。スクワットやデッドリフトは背骨に強い負荷がかかりますが、それ以外に日常生活で歩いたり、走ったり、床から物を持ち上げたりといった動作でも、背骨に何らかの負荷がかかっています。それらの動作の際に姿勢が悪くなって、背骨がS字カーブを維持できていないと、腰痛になりやすいです。




良い姿勢・悪い姿勢

良い姿勢では、背骨のニュートラルなS字カーブが維持できています。一日中ずっとこの姿勢を続けるのが良いかというとそうではないですが(同じ姿勢を続けると筋肉と関節が固まるので)、何か動作を行う時はこの姿勢をベースに身体を動かすと安全に効率的に身体を動かせます。

悪い姿勢にはいくつかパターンがありますが、いずれも腰椎がニュートラルのS字カーブから外れた状態です。


通常は、骨盤が前傾すると腰椎が伸展(腰が反る)、骨盤が後傾すると腰椎が屈曲(腰が曲がる)ですが、スウェイバック姿勢は特殊で、骨盤後傾しつつ腰椎はニュートラル~伸展になりやすいです。

自分で姿勢を試してみると、スウェイバックは背骨の一個一個の骨(椎骨)がスライド気味になって痛める感じがします。他の姿勢では、背骨が反った状態や曲がった状態で負荷がかかって痛める感じです。イメージだと下図です(実際は腰椎ニュートラルで少し反っていますが、わかりやすさのためニュートラルをまっすぐにしています)


姿勢矯正の基本は、固く縮んでいるところをほぐして伸ばし、弱って緩んで伸びているところを鍛えて縮めるのですが、悪い姿勢にはいくつかのパターンがあるため、画一的な対処ではなく状況別の対処方法が必要になってきます。



腰痛対策の順序

腰痛対策の順序は、固く縮んでいる筋肉をほぐす→体幹のトレーニング→良いコンディションを維持していく、です。


1. 固く縮んでいる筋肉をほぐす
筋肉が固くなって縮んでいると、関節を引っ張って窮屈にしたり、骨の配置を歪めたりします。それが腰痛につながります。

骨盤と背骨につながっている筋肉で、固くなっているところがあればストレッチやフォームローラーでほぐしていきます。骨盤の上側の脊柱起立筋群や腹直筋や腰方形筋や広背筋だけでなく、骨盤の下側の殿筋群や内転筋や腸腰筋や大腿直筋やハムストリングスも腰に影響を及ぼします。

股関節の可動性が足りないと、腰椎を曲げて動作を行いやすくなります。例えば、床に落ちているものを持ち上げるときに、股関節があまり曲がらないと腰を曲げることになります。軽い負荷なら腰椎を曲げても問題は起きにくいですが、重たいものを腰椎を曲げた状態で持ち上げると腰を痛めやすくなります。

他には、例えば猫背になってたり首が前に突き出てたりすると、身体は重力にたいしてバランスを取ろうとして悪い姿勢になり、腰にも影響が出てきます。

優先順位としては腰に近いところの筋肉からほぐしていったほうがいいですが、腰は下半身と上半身のつなぎ目で、上からも下からも影響が及ぶので、なかなか腰痛が改善しない場合は全身の姿勢をチェックして歪んでいるところを整えていく必要があります。


2. 体幹のトレーニング
腰痛は、背骨の配置が歪むことで引き起こされることが多いです。背骨を望ましい配置にするには、筋肉を適切に使う必要があるので、そのためのトレーニングをしていきます。

体幹のトレーニングの要素には、筋力や筋持久力を鍛える「筋肉のトレーニング」と、呼吸も含めて身体を上手くコントロールできるようにする「脳のトレーニング」の2つがあります。筋肉に指令を出すのは脳ですから、筋肉も脳もどっちも大事です。通常の種目は、強度に違いはありますが、どちらの要素も含んでいます。どの要素にアプローチするのかを意識すると効果的にトレーニングができます。

体幹トレーニングは、呼吸と腹圧のコントロール→弱い筋肉のトレーニング→様々な状況で体幹を適切に固められるようにする、という順序でやっていくと良いでしょう。

<呼吸と腹圧をコントロールできるようにする>
呼吸と腹圧は体幹の安定に深く関わります。横隔膜、肋間筋、腹横筋、腹斜筋、腹直筋など様々な筋肉が協調して、呼吸と腹圧のコントロールをおこなっています。体幹にトラブルを抱える場合、これらの筋肉の強さよりも、コントロール能力不足が問題になっていることが多いので、まずは上手くコントロール出来るよう練習し、脳に覚え込ませる必要があります。

<弱い筋肉を鍛える>
体幹の姿勢維持に使われる筋肉である、脊柱起立筋群、腹直筋、腹斜筋などを鍛えていきます。運動不足でこれらの筋肉が弱いと、体幹がグニャグニャして腰を痛めやすいので、筋肉を強くする必要があります。日常生活で良い姿勢を維持するには主に筋持久力が必要で、スポーツで大きな力を発揮するには筋力が必要です。

<体幹を適切な強さで固めて様々な動きをする>
歩く、走る、しゃがむ、かがむ、デッドリフトをする・・・それぞれ適切な体幹の使い方は異なります。状況に応じて体幹を上手く固め、背骨を守れるようにトレーニングしていきます。


3. 筋力や動作のバランスを調整しながら良いコンディションを維持していく
日々の活動により全身の姿勢や筋力バランスは変化していきます。良いコンディションを保つには、状態をチェックしてトレーニングを調整していく必要があります。

日常生活を元気に過ごせる筋力で十分な場合は、軽めの筋トレやストレッチを続ければ腰痛は防げると思います。種目自体で筋力と動作のバランスを取ることが出来るので、それほど難しくないです。

スクワットやデッドリフトやベンチプレスなどを熱心にトレーニングする場合は、筋力や動作のバランスが崩れやすいです。ほとんど場合、背中の筋肉が張って腰が反ってきます。従って、バランス調整のための補助種目や、固くなりやすい筋肉のケアに気を使う必要があります。


続きは次回に。
2回目:腰痛を防ぐストレッチやトレーニング


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