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5/13/2026

トレーニングボリューム20%増しと120%増しを比較した研究

一定のトレーニングボリュームを一律に処方するよりも、各々の普段のトレーニングボリュームの20%増しのボリュームにしたほうが、筋肥大について良い結果が出やすいという研究が過去にありました。

関連記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究 

ただ、20%増しが筋肥大に最適かは不明でした。今回の研究では、被験者の片脚ずつを、それぞれ20%増しと120%増しとに振り分けて比較しています。筋肥大は個人差が大きいため、被験者内で比較している研究は信頼性が高いです。


(1) Large increases in resistance training volume do not impair skeletal muscle hypertrophy or anabolic–catabolic molecular signalling in trained individuals
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.02.23.707462v1


9/18/2025

フィットネス競技の各部門の選手の部位別セット数を調べた研究

Quantification of weekly strength-training volume per muscle group in competitive physique athletes
https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2025.1536360/full#B3

フィットネス競技の各部門の選手にアンケートを取り、部位ごとのセット数をオフシーズンとコンテスト前に分けて調べています。有酸素運動についても調べていますが、あまり面白くないので割愛します(コンテスト前になると有酸素運動がやや増えるといった普通の結果)。

各部門の競技選手が、各部位に対してどのくらいのボリューム(週間セット数)をこなしているのか、水準感がわかって興味深いです。全体的な傾向として、(当然と言えば当然ですが)その部門で重視される部位のセット数が多いです。回答数が少ない部門は個人差の影響が大きく、部門全体のトレーニング傾向を反映していない可能性があります。



<調査方法>
オンラインアンケート
調査期間は2020年4月から12月


<回答のあった部門>


選手の参加している競技団体
• International Federation of Body Building and Fitness – São Paulo (IFBB SP): 1 athlete
• São Paulo Fisiculturismo e Fitness (SPFF): 19 athletes
• National Physique Committee PRO LEAGUE (NPC): 85 athletes
• International Federation of BodyBuilding and Fitness ELITE PRO (IFBB ELITE PRO): 39 athletes
• National Amateur Bodybuilders’ Association (NABBA): 1 athlete
• World Beauty Fitness & Fashion (WBFF): 2 athletes
• World Beauty Fitness & Fashion Professional (WBFF PRO): 1 athlete
• World Fitness Federation (WFF): 1 athlete
• Other affiliations: 5 athletes

PEDs使用の有無について調べてみましたが、NPCはIFBBプロの下部組織なのでPEDs前提ですかね。IFBBエリートプロは薬物禁止を掲げているけど、出場選手の仕上がりを見ると怪しい・・・という声が。

6/09/2020

トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究

Muscle Hypertrophy Response Is Affected by Previous Resistance Training Volume in Trained Individuals
https://www.researchgate.net/publication/339583180_Muscle_Hypertrophy_Response_Is_Affected_by_Previous_Resistance_Training_Volume_in_Trained_Individuals

一律のボリュームでのトレーニングと、被験者の直近のトレーニングボリュームの20%増しのトレーニングを実施し、筋肥大に差が出るか調べた研究。

8/28/2019

効果が頭打ちになるトレーニングボリュームの研究

★背景
トレーニングボリュームとトレーニング効果の関係は逆U字型になると言われている。ある程度までは、ボリュームを増やすとトレーニング効果も上がる。そのままボリュームを増やしていくと効果が頭打ちになり、さらに増やすとトレーニング効果が小さくなっていき、さらにボリュームを増やすとトレーニング効果がマイナス(筋肉量が減ったり筋力が低下したりする)になる。


具体的にどの程度のトレーニングボリュームで頭打ちになり、どの程度のトレーニングボリュームでトレーニング効果が低下していくのか。ここ数年でトレーニング歴のある被験者を対象としたボリューム関連の研究が増えてきたのでまとめてみた。今回の観点は、「1回のトレーニングセッションにおける部位あたりのボリューム上限」。



★低ボリュームと高ボリュームの効果を比較した研究
(1)Evidence of a Ceiling Effect for Training Volume in Muscle Hypertrophy and Strength in Trained Men - Less is More?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31188644

被験者:若い男性。ベンチプレス10RMが100kg弱。
グループ分け:5セット、10セット、15セット、20セット
実験期間:24週間
追い込み度:全セット限界まで

トレーニング内容:週3回トレーニングを行う。部位ごとに見ると週1回ペース。

<結果>



ストレングス:ベンチプレス、レッグプレス、ラットプルダウン、スティッフレッグドデッドリフトの10RMの伸びは、5セットグループと10セットグループがほぼ全ての種目で、15セットグループと20セットグループを上回った。

筋肥大:有意差なしだが24週時点では5セットグループと10セットグループが優位な傾向。15セットグループと20セットグループは12週時点から24週時点の比較で筋肉の厚みが減っている傾向。

ストレングスの伸びも筋肥大も、5セットと10セットグループが最も良い結果となっている。15セットと20セットグループはトレーニング効果が低下していて、トレーニングボリュームが過多だったと考えられる。

この研究は他の研究に比べてかなり綺麗な結果が出ている。この研究グループは、女性を対象とした同じデザインの研究も行っていて、そちらも同様に綺麗な結果が出ている。この手の研究は結果がばらつくことが多いので、結果が綺麗すぎる気もする。

気になる点は、上半身種目は既にこれだけの重量を扱えるのに、24週間でかなりストレングスが伸びていること。被験者の平均体重は80kg台前半なのだけど、1RM換算でのベンチプレス約130kgが半年で約160kgになっている。5セット週1回(ベンチプレス自体のセット数は2セット)で、このような高レベルの人のベンチプレスがこれほど伸びるのは普通のことなのだろうか?

※2020年7月21日追記
この研究者(Matheus Barbalho)は複数の研究でデータの捏造っぽいことをやっている可能性が高いので、この研究の結果は考慮に入れないことにする。

Improbable Data Patterns in the Work of Barbalho et al: An Explainer
https://www.strongerbyscience.com/barbalho/?ck_subscriber_id=699589358


(2)Dose-Response of Weekly Resistance Training Volume and Frequency on Muscular Adaptations in Trained Males.
https://research.birmingham.ac.uk/portal/files/54153731/Heaselgrave_et_al_Dose_response_of_weekly_International_Journal_Sports_Physiology_and_Performance_2018.pdf

被験者:若い男性。トレーニング歴あり。
期間:6週間
グループ分け:低ボリューム、中ボリューム、高ボリューム
追い込み度:10-12レップで、限界まで2レップ残し。

トレーニング内容:
a)低ボリュームグループ
週1回トレーニングで、アームカール3セット、ベントオーバーロー3セット、プルダウン3セット
b)中ボリュームグループ
週2回トレーニングで、両日ともアームカール3セット、ベントオーバーロー3セット、プルダウン3セット
c)高ボリュームグループ
週2回トレーニングで、アームカール5セットor4セット、ベントオーバーロー5セットor4セット、プルダウン4セットor5セット

<結果>
ストレングス:上腕二頭筋の筋力やプルダウン1RMは、低ボリュームに比べて中ボリュームと高ボリュームが優位。ベントオーバーロー1RMは低中ボリュームに比べて高ボリュームが優位。

筋肥大:上腕二頭筋の厚みを測定。増加率に有意差なしだが、効果量比較では中ボリュームが優位。

上腕二頭筋のような小さな筋肉のアイソレート種目は1回あたり3セット程度にするのが良さそう。頻度は週1回よりも2回のほうが効果が高くなるだろう。上半身のコンパウンド種目は、1回のトレーニングあたりプルとロー合わせて5-10セットが効果の上限になりそう。


(3)The effect of weight training volume on hormonal output and muscular size and function
https://www.researchgate.net/publication/232177076_The_Effect_of_Weight_Training_Volume_on_Hormonal_Output_and_Muscular_Size_and_Function

被験者:若い男性。スクワット1RMが130kg前後、ベンチプレス1RMが90kg弱。
グループ分け:各種目1セット、2セット、4セット
期間:10週間
追い込み度:全セット限界まで

トレーニング内容:
部位ごとに3種目ずつ行っているので、部位あたりのボリュームは3セット、6セット、12セットを週1回。

<結果>
ストレングス:スクワット1RMとベンチプレス1RMの伸びはグループ間で有意差なし。

筋肥大:大腿直筋の断面積と上腕三頭筋の厚みはグループ間で有意差なし。

いずれも有意差がないだけでなく、ボリュームの増加に伴い伸びが高くなるといった傾向もなし。テストステロン/コルチゾール比の変化では、高ボリュームグループがオーバートレーニングの可能性。


(4)Effects of a Modified German Volume Training Program on Muscular Hypertrophy and Strength.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27941492

中身が読めないので拾ったこの画像で判断。有意差があるのかもわからないが、被験者数が少なくて有意差が出にくいだろうから、全体的に見てどちらが効果的か見ていきたい。
被験者:若い男性。トレーニング歴あり。
グループ分け:5セット、10セット
実験期間:6週間
追い込み度:60%1RMで10レップ

トレーニング内容:
day1) ベンチプレス5セットor10セット、ラットプルダウン5セットor10セット、補助種目はインクラインベンチプレス・シーテッドロー。
day2) レッグプレス5セットor10セット、ランジ5セットor10セット、補助種目はニーエクステンション・レッグカール・カーフレイズ。
day3) ショルダー・プレス5セットor10セット、アップライトロー5セットor10セット、補助種目はアームカール・トライセップスプッシュダウン

部位ごとのボリュームを計算すると(補助種目は各種目のセット数が不明なので3.5セットで計算)、
大胸筋:8.5セット or 13.5セットを週1回  
広背筋:8.5セット or 13.5セットを週1回
大腿四頭筋:13.5セット or 23.5セットを週1回
ハムストリングス:足幅によるがランジである程度使いそう。レッグカールは両グループとも3セットか4セット。
腕の筋肉は計算と判断が難しい。コンパウンド種目でどれだけ上腕二頭筋・上腕三頭筋に負荷がかかるかは個人差が大きい。

<結果>
ストレングス:ベンチプレス1RMとラットプルダウン1RMの伸びは5セットグループが10セットグループよりも大きい。

筋肥大:
- 大胸筋と広背筋をまとめて胴体の除脂肪体重で見ると5セットグループのほうが増えた。
- 大腿四頭筋については、腿の前側の筋肉の厚みは5セットの方が増えた。
- ハムストリングスについては、腿の裏側の筋肉の厚みは10セットの方が増えた
- 腕の除脂肪体重は5セットが上、上腕二頭筋の厚みは5セットが上、上腕三頭筋の厚みは10セットが上。

上半身は部位あたりの1日のセット数が10セットを超えていくと効果が低下するようだ。上半身のコンパウンド種目は部位あたり1回5-10セットが良さそう。上半身に比べると脚は上半身よりもボリュームを増やしても大丈夫な感じがするが、1日に部位あたり20セット以上は多すぎると思われる。


(5)Effects of a 12-Week Modified German Volume Training Program on Muscle Strength and Hypertrophy—A Pilot Study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5969184/
(4)の研究と同じグループによるもの。実験期間が12週に伸びている以外はほぼ同じ研究デザイン。

被験者:若い男性。ベンチプレス1RMが80kg前後 除脂肪体重60kg程度。
グループ分け:5セット、10セット
実験期間:12週間
追い込み度:種目によって異なる。60%1RM~80%1RMで10レップ。

トレーニング内容:
部位ごとのボリューム計算も(4)の研究とほぼ同じになる。

<結果>
ストレングス:被験者数が少ないので有意差が出にくいが、両種目で両グループとも実験前後では1RMは伸びている。グループ間の効果量比較だとベンチプレス1RMは5セットグループがまあまあ優位。レッグプレス1RMは10セットグループが少し優位。

筋肥大:
- 除脂肪体重は両グループとも僅かに増えた。グループ間比較だとほとんど差なし。
- 部位別の除脂肪量の効果量比較は全般的に5セットグループが僅かに優位。胴体は5グループが僅かに優位。腕の除脂肪量は5セットグループが僅かに優位。脚の除脂肪量は6週時点では10セットグループが僅かに優位だが、12週時点では5セットグループが僅かに優位で、0週→12週の変化だと10セットグループの効果量は僅かにマイナス。

脚の除脂肪量は10セットグループは6週時点では増加しているのに、12週時点では減少していて、オーバートレーニングになっていると考えられる。レッグプレス10セット・ランジ10セット・ニーエクステンション4セットを1日でやるのはボリュームが多すぎるのだろう。

注意点は、実験前後の体脂肪率変化を見ると5セットグループは増えていて、10セットグループは減っているので、5セットグループのほうが摂取カロリーが多く筋肥大に有利だった可能性がある。


(6)Resistance Training Volume Enhances Muscle Hypertrophy but Not Strength in Trained Men
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6303131/

被験者。若い男性。スクワット1RMが100kg強、ベンチプレス1RMが100kg弱。
グループ分け:各種目1セット、3セット、5セット
実験期間:8週間
追い込み度:8-12レップを限界まで

トレーニング内容:
週3回のトレーニングは全て同じ内容。以下の各種目をグループごとに1セット、3セット、5セットずつ行う。
ベンチプレス、ミリタリープレス、ラットプルダウン、シーテッドロー、バックスクワット、レッグプレス、レッグエクステンション

1回のトレーニングでの部位ごとボリュームを計算すると、
- 大腿四頭筋:3セット or 9セット or 15セット
- 上腕二頭筋(プルとロー):2セット or 6セット or 10セット
- 上腕三頭筋(プレス):2セット or 6セット or 10セット

注意点は、大腿四頭筋はスクワットでもレッグプレスでもレッグエクステンションでもフルに負荷がかかるけど、上腕二頭筋と上腕三頭筋は個人差があるがコンパウンド種目ではフルに負荷がかからないこと。

<結果>
ストレングス:ベンチプレス1RMとスクワット1RMはグループ間で伸びに有意差なし。ボリュームの増加に伴い伸びが大きくなるといった傾向も無し。

筋持久力:ベンチプレス50%1RMで何レップ出来るかはグループ間で伸びに有意差なし。

筋肥大:
- 上腕二頭筋は1セットグループに比べて5セットグループのほうが厚みの増加率が高かった(有意差あり)。
- 上腕三頭筋は厚みの増加にグループ間で有意差なし。
- 大腿直筋は1セットグループに比べて5セットグループのほうが厚みの増加率が高かった(有意差あり)。
- 外側広筋は1セットグループに比べて5セットグループのほうが厚みの増加率が高かった(有意差あり)。

筋肥大は各部位ともボリュームが多くなるにつれて、厚みの増加率が高くなる傾向があった。脚は1日あたりのセット数が10セットを超えても、筋肥大面では効果が高くなっていくかもしれない。ただ、(4)(5)の研究結果を考えると、1日に20セット超えは脚でもボリューム過多だろう。腕についてはコンパウンド種目でどれだけ負荷がかかるかは個人差が大きいので、あまり参考にならないと思う。プレスやプルのあとに腕に余力があれば、アイソレートで3セットほどやっておけば良いのではないだろうか。

このSCHOENFELD他の研究をライル・マクドナルドが叩きまくっているけど、1日の部位あたりボリューム上限の観点では他の研究と大きな食い違いが出るわけではない。週ベースのボリューム上限の観点では、5セットグループのボリュームを週3回ペースだと、追い込み度を下げないと回復が追いつかないと思う。



★まとめ
以上の研究結果を参考に、トレーニングレベルが中程度の人にとって、1回のトレーニングで効果が頭打ちになるセット数の目安を書くと以下のようになる。時間と体力に余裕がある人はこのくらいのセット数を行うのが、高いトレーング効果を期待できて良いだろう。

脚:同系統の種目合わせて5-15セット程度。例えば、スクワット5セットとレッグプレス5セットで10セット。

上半身のコンパウンド種目:同系統の種目合わせて5-10セット程度。例えば、フラットベンチプレス4セットとインクラインベンチプレス3セットで7セット。シーテッドロー4セットとラットプルダウン3セットで合わせて7セット。

腕の単関節種目:上半身のコンパウンド種目をやっている前提で、アームカールやトライセップスエクステンションを3セット程度。

トレーニングレベル中程度の目安は、ベンチプレス1RMが体重の1.0倍~1.2倍程度、スクワット1RMが体重の1.2倍~1.5倍程度。トレーニグでの想定レップ数は6-12レップ程度で、追い込み度は限界まで2レップ残し以内(RPE8以上)。

これらは1回のトレーニングセッションあたりのトレーニングボリュームの上限の目安。週あたりのトレーニングボリュームの目安だと、週2回なら回復できるだろうからもっと多くなると思う。全セット限界までを週3回だと回復できないかもしれない。



★ボリュームを考える時の注意点
研究に基づいて目安のボリュームを示すことは出来るが、人によって適切なボリュームは変わってくる。影響を与える要因としては、

・トレーニングレベル。長くトレーニングしていてハードなトレーニングに適応している人はそれだけ多くのボリュームに耐えられる(また多くのボリュームがさらなる向上に必要となる)。

・部位によってボリューム上限は異なる。普段から強い負荷がかかる大きな筋肉ほど多くのボリュームに耐えられると考えられる。一般的に下半身(特に大腿四頭筋)がもっとも多くのボリュームに耐えられ、次に上半身のコンパウンド種目(広背筋や大胸筋メイン)、そして腕の単関節種目。あまり鍛えてこなかった部位をトレーニングする際は、ボリュームを少なめにすると良いだろう。

・追い込み度。限界までやるか、限界まで数レップ残すか。限界までやると効果が頭打ちになるトレーニングボリュームは少なくなると考えられる。ただ、フォームの崩れや怪我リスク、メンタル面での消耗、その日行う予定の他の種目への影響を考えると、フリーウェイトのコンパウンド種目では全セット限界までやらないほうが良いと思う。アームカールなどの単関節種目なら限界までやっても良いだろう。

・レップ数。おそらく高重量低レップ(だいたい5レップ以下)のほうが、効果が頭打ちになるセット数は多くなり、トータルのレップ数は小さくなる。例えば、3レップ10セットと10レップ3セットだったら、前者の方が強い刺激になる。

・筋肉の反応の個人差。同程度のトレーニングレベルの人を集めて同じトレーニングメニューを行っても、トレーニング効果の反応は大きくばらつく。この辺はわかっていないことだらけなので何とも言えない。


関連記事:
筋肥大トレの推奨ボリューム

筋肥大トレの推奨ボリューム2

9/29/2017

筋肥大トレの推奨ボリューム2

金(キン)曜日の29(ニク)日は「筋肉を考える日」らしいので、筋肉のことを考えてみましょう。


以前の記事(筋肥大トレの推奨ボリューム)のアップデート的な記事になります。筋肥大を目的としたトレーニングの場合、どのくらいのトレーニングボリュームが適切なのか。


★トレーニング未経験者・初心者の推奨ボリューム
今回見ていく研究はSchoenfeld他の研究で、週間のセット数と筋肥大の関係を調べた2016年のシステマティックレビュー・メタアナリシス研究になる。トレーニングボリュームと筋肥大の関係について、現状の研究結果からは何がわかるのか。

(1)Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass: A systematic review and meta-analysis
https://www.researchgate.net/publication/305455324_Dose-response_relationship_between_weekly_resistance_training_volume_and_increases_in_muscle_mass_A_systematic_review_and_meta-analysis

分析対象となった研究の数は15で、そのうち被験者がトレーニング歴有りとなっている研究の数は3つ。大部分の研究の被験者がトレーニング歴なしで、年齢性別も老若男女さまざま。

調べているのは、「部位あたりの週間のトータルのセット数」と筋肥大の関係。

結果への影響の大きい外れ値の研究(被験者はトレーニング歴あり)を除くと、週に5セット以下よりも週に5-9セットの方が筋肥大効果は高いが、週に10セット以上と週に5-9セットはほぼ同等という分析結果となっている(下表の赤線で囲った部分)。


この分析結果では大部分がトレーニング歴なしの被験者になっている。トレーニング歴なしの人が筋肥大を目指してトレーニングする場合は、部位あたり週に5-9セットのトレーニングボリュームが適切だということになる。部位あたり週に10セット以上やっても筋肥大の観点ではあまり意味がないかもしれない。

また週に5セット以下でもそれなりに効果が得られるようだ。時間や体力の無い初心者の人は各部位2セットを週に2回程度でも良いだろう。

トレーニング歴ありの人でも、鍛え込まれていない部位だと週に10セット以上やってもあまり意味がないかもしれない。例えば下半身は強いが上半身はあまり鍛えていないアスリートが、上半身も鍛えようとする場合がこのケースに相当する。



★セット数とレップ数
1セット8-12レップを週に5-9セット行うとすると、週に40-108レップ。部位あたり週2回トレーニングすると、一回のトレーニングで部位あたり20-54レップ。

以前の記事で紹介した研究では、一回あたり合計30-60レップのトレーニングボリュームが筋肥大を最適化するようだという結論だった。この研究でも主な対象は未経験者・初心者で、今回の研究とレップ数換算ではだいたい数字が一致する。トレーニング歴の無い人や始めたばかりの初心者は、一回のトレーニングで部位あたり2-5セット、合計レップ数20-60程度のボリュームで、これを週に2回程度行うのが筋肥大目的のトレーニングとして望ましいと考えられる。



★トレーニング歴のある人を対象とした研究
それではトレーニング歴のある人にはどの程度のトレーニングボリュームが良いのだろうか。予め断っておくと、研究の数が非常に少ないのでたいしたことはわからない。

今回のメタアナリシス研究で分析対象となったトレーニング歴ありの被験者の研究は3つ。それぞれ見ていくと、

(2)The Effect of Weight Training Volume on Hormonal Output and Muscular Size and Function
https://www.researchgate.net/publication/232177076_The_Effect_of_Weight_Training_Volume_on_Hormonal_Output_and_Muscular_Size_and_Function
被験者は20代前半の若い男性。実験開始前の平均値はスクワット1RMが約130kg、ベンチプレス1RMが約90kg。筋肥大の測定部位は、大腿直筋と上腕三頭筋長頭。週4回トレーニング(下表Table1参照)。1種目あたり1/2/4セット。測定部位についての週あたりの種目数は、大腿四頭筋が3種目(スクワット、レッグプレス、レッグエクステンション)、上腕三頭筋が6種目(ベンチプレス、インクラインベンチプレス、デクラインベンチプレス、クロースグリップベンチプレス、トライセップスプッシュダウン、トライセップスエクステンション)。7-12RM限界まで。

筋肥大については大腿直筋も上腕三頭筋長頭もグループ間では有意差なしという結果。大腿直筋断面積の変化は、1種目4セット・週に12セットの高ボリュームグループが+12.3%、1種目2セットグループが+4.6%、1種目1セットグループが+6.8%となった。有意差無しなのは被験者数が少ないためではないだろうか。このボリューム差なら、高ボリュームのほうが筋肥大効果が高い気がする。ただストレングスの変化(スクワット1RM)は差がない。上腕三頭筋長頭については測定機器の能力の問題か(筋肉の厚さが40mm程度で変化量が1mmか2mm、コンマ以下は測定できない模様)、上腕三頭筋の鍛え込みレベルがそれほど高くなくて1種目1セット・週に6セットの低ボリュームですでに刺激が飽和しているのか。もしくはベンチプレス系では短頭に負荷がかかりやすく測定対象となっている長頭への負荷がそれほど高くないためか。被験者のトレーニングレベルや1種目1/2/4セットというボリュームの比較は良い感じなのに、種目の選択と測定機器の性能がいまいちでなんだか惜しい研究。


(3)Dose-response of 1, 3, and 5 sets of resistance exercise on strength, local muscular endurance, and hypertrophy.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25546444
被験者は趣味でトレーニングしている若い男性。筋肥大の測定部位は、肘の屈筋と伸筋。部位あたり週に30セット、18セット、6セット(1種目あたり5/3/1セット・各部位2種目・週三日)。例えば肘の伸筋の種目はベンチプレスとトライセップスエクステンションで、それぞれ5セットを週三日やると肘の伸筋の週間セット数は30になる。8-12RM限界まで。30セットが最も良い結果。


(4)Three Sets of Weight Training Superior to 1 Set With Equal Intensity for Eliciting Strength
https://www.researchgate.net/publication/11043617_Three_Sets_of_Weight_Training_Superior_to_1_Set_With_Equal_Intensity_for_Eliciting_Strength
被験者は趣味でトレーニングしている若い男性。実験開始前のベンチプレス1RMは65kgくらい。メイン種目はベンチプレスとレッグプレスで3セットor1セット、これを週に3日。1セットグループは時間が余るので、その間にラットプルダウンやクランチやシーテッドロウなど他の種目を1セットずつ行った。3セットグループも時間が許せは同様の種目を行った。筋肥大については除脂肪体重の変化のみ測定で、グループ間で有意差はなし。研究の主目的であるストレングスの変化については、3セットグループの方が大きく伸びた。



★トレーニング歴のある人の推奨ボリューム
中級者以上は、部位あたり週に10セット以上は行った方が良いと思われる。コンパウンド種目だと対象の筋肉に負荷がどれくらいかかるか種目によっても人によっても異なり、部位あたりのセット数のカウントは単純ではないと思うけど(例えばロウ・プル系は上腕二頭筋のボリュームにカウントするか、スクワットはハムストリングのボリュームにカウントするか、デッドリフトは大腿四頭筋のボリュームにカウントするか)、部位あたり週に10-30セットくらいやるのが良いのではないだろうか。もちろん疲労を回復できる範囲で行うのが基本で、ハード過ぎると回復が追いつかず、結果が悪くなると考えられる。

一般論としては、鍛えられている筋肉ほどさらなる肥大には大きなトレーニングボリュームが必要になる。

どのくらいのボリュームが最適なのか、どのくらいやると逆効果なのか。研究の数が少ないし、トレーニングに対する反応には個人差(遺伝子や現状の筋肉レベルや栄養や疲労やストレスや睡眠や年齢など)が非常に大きいと考えられるので、反応を見ながら調整していくしかないだろう。

例えば下の研究では、トレーニング経験の無い被験者に、ニーエクステンション、レッグプレス、スクワットを各種目3セット、8-12RM限界まで。これを週に3日。つまり大腿四頭筋のトレーニングを週27セット。大腿四頭筋の筋肥大(外側広筋から採取した筋繊維の断面積の増加)が起こらなかった人もいれば、大きく筋肥大した人もいた。このようにトレーニングに対してどう反応するかは、個人差が非常に大きい。

(5)Cluster analysis tests the importance of myogenic gene expression during myofiber hypertrophy in humans
http://jap.physiology.org/content/102/6/2232.long


若い→20-35歳
高齢→60-75歳

筋肥大の程度で3つのクラスターに分けた。クラスター内の内訳は以下の通り。
XTR) 筋肥大反応が非常に良いクラスター:若い女性3人、若い男性9人、高齢女性3人、高齢男性2人
MOD) 筋肥大反応がほどほどクラスター:若い女性8人、若い男性11人、高齢女性7人、高齢男性6人
NON) 筋肥大反応が見られないクラスター:若い女性5人、若い男性1人、高齢女性5人、高齢男性6人

若い男性の未経験者でトレーニングしても筋肥大が起こらないのは少数だと思われる。栄養と睡眠とストレス管理に気をつけて、適度なボリュームのトレーニングを行えば、程度の差はあれほとんどの若い男性で筋肥大は起こるだろう。一方、若い女性や高齢男女では筋肥大がなかなか起きないケースも結構あるようだ(この研究のトレーニング内容がハード過ぎたのかもしれないが)。

6/03/2016

筋力と筋量の維持に必要なトレーニング量

忙しかったりストレスがきつかったりでトレーニングが思うように行えない時がある。そのような場合は、どの程度のトレーニングを行えば筋力と筋量を維持できるのか。

筋肉の維持に必要なトレーニング量の研究はいくつかあるけど、この研究は年齢の影響、筋力(1RM)、筋肥大(生体組織診断による筋繊維断面積とDXAによる筋肉量測定)と包括的に調べていて、かつ被験者数が多く実験期間が長い。

Exercise Dosing to Retain Resistance Training Adaptations in Young and Older Adults


★被験者
60-75歳グループと20-35歳グループで計70名(実験を完遂したのは56名)。肥満ではない。過去5年にトレーニング歴無し。


★実験方法
・第一段階
全員が以下のレジスタンストレーニングプログラムを16週間実施。
- トレーニング日は週3回。
- トレーニング種目はニーエクステンション、レッグプレス、スクワット。
- 各トレーニング日に上記3種目を重量75-80%1RMで8-12レップ×3セット。

・第二段階
高齢者グループと若者グループをそれぞれ以下の3グループに分ける。期間は32週間。
1) トレーニング無し
2) トレーニングボリューム1/3:トレーニング日を週に1回に減らす。トレーニング日の内容は第一段階と同じ。
3) トレーニングボリューム1/9:トレーニング日を週に1回に減らす。各種目1セットに減らす。


★測定項目
- 1RM
- TLM(Thigh lean mass)。体脂肪と骨を除いた太腿の質量。DXAで測定。
- 外側広筋の筋繊維のタイプ別の断面積と構成割合


★結果
・第一段階
高齢者グループも若者グループも、筋力の向上と筋肥大が見られた。若者グループの方がより筋肥大し、それは主にタイプⅡ筋繊維の肥大によるものだった。タイプⅡ筋繊維の割合はグループ間で差はなく、割合変化(タイプⅡx→タイプⅡaへのシフト)も差がなかった。

・第二段階
高齢者グループ
- トレーニング無し:筋量はトレーニング前のレベルに戻った。筋力は維持。
- トレーニングボリューム1/9:筋量低下。筋力は維持。
- トレーニングボリューム1/3:筋量低下。筋力は維持。

若者グループ
- トレーニング無し:筋量はトレーニング前のレベルに戻った。筋力は維持。
- トレーニングボリューム1/9:筋量は概ね維持。筋力は上昇。
- トレーニングボリューム1/3:緩やかではあるが筋肥大と筋力の上昇が続いた。

※他の研究でもレジスタンストレーニングで獲得した筋力(神経系の適応などによる)は、何もしなくても数ヶ月間は維持されることが示されている。ただ、この研究では4-8週間ごとに行った1RM測定が筋力の維持に寄与した可能性もある。



レジスタンストレーニングへの適応として起こるタイプⅡ筋繊維の割合(ⅡaとⅡx)の変化は、高齢者グループと若者グループで同じ。
- トレーニング無し:割合は元に戻った。
- トレーニングボリューム1/9:割合はややリバーサルした。
- トレーニングボリューム1/3:割合は維持。


★結論
若い人はトレーニングボリュームを1/3に減らしても筋量と筋力を数ヶ月は維持・向上できるようだ。高齢になるとボリューム1/3でも筋量の維持には足りないが、筋力の維持はできる。高齢者の筋力の維持は転倒予防につながる。筋量は糖や脂質の代謝などに影響するので、筋量もなるべく維持した方が健康には良い。


☆コメント
筋肥大に必要なトレーニングボリュームに比べて、筋量と筋力の維持はかなり少ないボリュームで可能。各人の状況によって必要なトレーニングボリュームは変わってくると思われる。自分の身体の反応を見ながら調整するのが良いだろう。筋力の維持よりも筋量の維持の方が必要ボリュームが多いようなので、筋量を維持したい場合は、筋力をギリギリ維持できるボリュームよりも多くした方が良いだろう。
- 年齢が高くなると維持に必要なトレーニングボリュームは多くなる。
- 減量時(カロリー収支マイナス)には維持に必要なトレーニングボリュームは多くなるだろう。
- 体脂肪率が極度に低い場合は維持に必要なトレーニングボリュームは多くなるだろう。
- 筋量の水準の影響はどうだろう。筋量が増えればそれだけさらなる筋肥大に必要なボリュームは増えるので維持に必要な絶対的なトレーニングボリュームも増えるはずだが、相対的には筋量が少ない場合と同じなのだろうか。

3/29/2016

筋肥大トレの推奨ボリューム

The Influence of Frequency, Intensity, Volume and Mode of Strength Training on Whole Muscle Cross-Sectional Area in Humans

ストレングストレーニングの筋肥大への影響を調べたレビュー論文。強度、頻度、ボリューム、モダリティ(コンセントリック、エキセントリック、アイソメトリック、アイソキネティック等)といったトレーニングの要素をどう調整すると、より良い筋肥大効果を引き出せるのかを調べている。

このレビュー論文で分析対象となった論文の大部分が筋トレ未経験者や初心者を被験者としているので、トレーニング歴のある人にそのまま当てはまるわけではないことに注意。

分析対象の筋肉は大腿四頭筋と上腕二頭筋。

長いので結論をサクッと書くと、普通のフリーウェイトトレーニングでは、一回のセッションあたり合計30-60レップのトレーニングボリュームが筋肥大を最適化するようだ。合計30-60レップというのは、トレーニングを複数セット行い合計のレップ数がこのレンジに収まるようにするという意味。例えば8レップを5セット行うと合計40レップ。

頻度は各部位週に2,3回。

強度は70-85% 1RM。だいたい6RM~12RMで複数セットを行うとこの合計レップ数を達成できる。5RM以下でも十分なボリュームを行えば同等の筋肥大は起こるが、時間効率と怪我のリスクを考えると、筋肥大目的のトレーニングで5RM以下のセットが大部分を占めるのは非効率的だと思われる。5RM以下を1セット程度行うことで神経系の適応を引き出し、メインとなる6RM~12RMのセットでより強度の高いトレーニングを行えるようにするのは良い。

[書籍] The Muscle and Strength Pyramid では、一回のセッションあたり合計40-70レップが推奨されている。この本で推奨ボリュームの根拠として示されているのが今回の論文なんだけど、この論文では被験者が主に未経験者・初心者だったことを考慮して、トレーニング歴のある人向けに多めのボリュームを推奨していると思われる。おそらく著者自身の経験やコーチとしての実地経験も根拠になっているだろう。上級者になるほどボリュームは増やす必要がある。

推奨レンジに上限があるのは、ボリュームが多すぎても筋肥大効果が低下するから。間違えるなら、多すぎて間違えるよりも少なすぎて間違える方がコストが低いので、最初は少なめのボリュームで毎回のトレーニングを元気よく行えるようにし、伸び悩んだらボリュームを少し増やしてみる、というアプローチが良いだろう。


以下はプログラムの組み方の個人的なお薦め。といっても優秀な人が書いていることを適当に組み合わせただけ。

・鍛えたい部位ごとに、2種目か3種目行う。
・部位ごとに多角的に補完的に鍛えるようにする。
・コンパウンド種目は6-12RMのレンジの下の方、アイソレート種目はレンジの上の方。

例えば胸だったら、ベンチプレス6-8RMを数セット、インクラインベンチプレス8-12RMを数セット、合計40-70レップ。クロースグリップベンチプレスを数セット追加で上腕三頭筋も目標ボリューム達成。

下半身だったら、スクワット数セットにフロントスクワットやレッグプレスやルーマニアンデッドリフトを数セット。合計40-70レップ。スクワットで下半身の後ろ側に負荷がかかりやすい人は、フロントスクワットやレッグプレスで腿の前側を補完的に鍛える。スクワットで腿の前側に負荷がかかりやすい人は、ルーマニアンデッドリフトで下半身の後ろ側を補完的に鍛えると良い。


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