6/09/2020

トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究

Muscle Hypertrophy Response Is Affected by Previous Resistance Training Volume in Trained Individuals
https://www.researchgate.net/publication/339583180_Muscle_Hypertrophy_Response_Is_Affected_by_Previous_Resistance_Training_Volume_in_Trained_Individuals

一律のボリュームでのトレーニングと、被験者の直近のトレーニングボリュームの20%増しのトレーニングを実施し、筋肥大に差が出るか調べた研究。


★実験内容
・被験者
若い男性16人 トレーニング歴有り

・グループ分け
被験者の片脚ずつを一律ボリュームと、20%増しボリュームに、利き足が半々になるようランダムに振り分け。

・レジスタンストレーニング
一律ボリュームは大腿四頭筋のトレーニングを週間22セット。

20%増しを算出する元のボリュームは、実験開始前の2週間における被験者の大腿四頭筋のトレーニングボリューム(週間セット数)。平均だと20%増しで週間24セットになった。

実験期間は8週間で、週2日トレーニング。

種目は片脚レッグプレスと片脚レッグエクステンション。各セット8-12RM。種目ごとのセット数は明記されていないけどレッグプレスとレッグエクステンションで半々かな。

・測定方法
外側広筋の断面積を超音波で測定。


★実験結果





平均では、一律ボリュームの脚の外側広筋の断面積が+6.2%、20%増しの脚は+9.9%。

16人中10人が20%増しボリュームの脚の方がより筋肥大、2人が一律ボリュームの脚の方がより筋肥大、4人が同じくらい筋肥大した。

8週間の合計ボリューム(セット数×レップ数×重量)は、両グループで有意差無し。

一律ボリュームの週間22セットは、16人中8人にとってはそれまでの各自のトレーニングボリュームに比べて20%より多くなった。最も変化の大きい被験者だと120%増し。しかし20%増しボリュームの脚の方がより筋肥大する人が多かった。単に高ボリュームを行えば良いというものでもなく、普段自分が行っていたトレーニングよりも少しボリュームを増やしたほうが筋肥大しやすいという結果になっている。



★この研究のインプリケーション
・重量とストレングスの関係だけではなく、トレーニングボリュームと筋肥大の関係にも、漸進的過負荷の原則が適用されると考えられる。つまり、ボリュームを大幅に増やしたり、または楽に出来るボリュームをずっと続けるよりも、少しずつボリュームを増やしていくのが効率的な筋肥大をもたらす可能性が高い。

・トレーニングボリュームについての研究を考える時、実験での一律のボリュームは被験者の普段のトレーニングに比べて増えたのか、減ったのか、変わらないのか、といったことを考えたほうがいいだろう。トレーニングボリュームと筋肥大の関係を調べた研究結果がわりとばらつくのは、被験者ごとに普段のトレーニングボリュームが異なることも影響していると考えられる。



★実践への適用
20%増しが最適かは不明で、10%増し、20%増し、30%増し、どれくらいが最適なのかは今後の研究で実験が行われるのに期待だが、この研究では20%増しで良い結果が出ているので、とりあえずの目安になる。

これまでのトレーニングボリュームの研究だと、高ボリュームのほうが筋肥大しやすいという研究が多いが、今回の研究の結果を踏まえれば、いきなり高ボリュームはやらないほうが良いだろう。そして扱う重量と体重が順調に増えている場合は無闇にボリュームを増やさないのが良い。特に初心者は少ないボリュームから始めるのがおすすめで、部位あたり一回3セットを週2回くらいが目安だと思う。頭打ちになったら、とりあえず20%くらいボリューム(セット数)を増やしてみる。

ボリュームを増やしていくのにも、体力と回復力と時間の上限がある。デロードでボリュームへの感受性がある程度リセットされるのかわからないけど、ボリュームがどんどん増えてきてトレーニングをこなすのが厳しくなってきたら、重量とボリュームを減らすデロード期間を1,2週間入れてみる。(デロードの研究はかなり不足しているので実践的なのをやってほしいところ)


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