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5/13/2026

トレーニングボリューム20%増しと120%増しを比較した研究

一定のトレーニングボリュームを一律に処方するよりも、各々の普段のトレーニングボリュームの20%増しのボリュームにしたほうが、筋肥大について良い結果が出やすいという研究が過去にありました。

関連記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究 

ただ、20%増しが筋肥大に最適かは不明でした。今回の研究では、被験者の片脚ずつを、それぞれ20%増しと120%増しとに振り分けて比較しています。筋肥大は個人差が大きいため、被験者内で比較している研究は信頼性が高いです。


(1) Large increases in resistance training volume do not impair skeletal muscle hypertrophy or anabolic–catabolic molecular signalling in trained individuals
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.02.23.707462v1


10/23/2025

アイソメトリックトレーニングの筋肥大効果

Stronger By Scienceのメルマガネタです。アイソメトリックトレーニングでも、ちゃんとやれば普通の筋トレと同等に筋肥大する、という内容です。留意点がいくつかあり、それらについては記事の最後に書いています。

ちなみに筋力については、トレーニング方法が測定方法に近ければ伸びやすいです。アイソメトリックでトレーニングすればアイソメトリックの筋力が伸びやすいですし、アイソトニックでトレーニングすればアイソトニックの筋力が伸びやすいです。


前提知識として、各トレーニングモダリティの定義を書いておきます。

・アイソメトリック(等尺性筋収縮)
筋肉の長さを変えずに筋力を発揮する。

・アイソトニック(等張性筋収縮)
筋肉が一定の抵抗に対して伸縮運動を行う。いわゆる普通の筋トレ。

・アイソキネティック(等速性筋収縮)
筋肉が動く速さを一定に保ったまま筋力を発揮する。特殊なマシンが必要。


8/23/2025

重量の漸進的過負荷とレップ数の漸進的過負荷を比較した研究

個人差に関する研究で面白いです。多くの初心者向けトレーニングプログラムは、重量を漸進的過負荷していきますが、この研究からは、重量を漸進的過負荷したほうが筋肥大しやすい人もいれば、レップ数を漸進的過負荷したほうが筋肥大しやすい人もいることがわかります。

Individual muscle hypertrophy response is affected by the overload progression model and is associated with changes in satellite cell content
https://www.fisiologiadelejercicio.com/wp-content/uploads/2025/06/Individual-muscle-hypertrophy-response-is-affected.pdf

被験者:若い男女 37名 過去半年間のトレーニング歴無し

種目:片脚レッグエクステンション

被験者の脚を片方ずつどちらかのプロトコルに振り分け
- LOADprog:9-12RMのレンジ内で重量を漸進的過負荷 4セット
- REPSprog:全セット限界まで 重量は初期設定の80%1RMで据え置き レップ数の漸進的過負荷 4セット 

期間:10週間

インターバル:セット間90秒、プロトコル間2分(片脚4セット→もう片方の脚4セット)

測定:外側広筋の厚み(超音波)、外側広筋の筋肉組織採取

頻度:週2-3回

4/23/2025

トレーニング中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化


筋トレ中に音楽を聴いた時のパフォーマンス変化を調べた研究の知見をまとめます。


<筋トレ中の音楽の効果>

無音で行った場合に比べて、音楽を聴くとベンチプレスなどの限界レップ数が増えたという研究が多いです(1)(2)(7)。限界レップ数を増やす効果は、確実にありそうです。

挙上速度が上がったとする研究も多いです(1)(2)(3)。

1RMについては、音楽を聴きながらだと握力1RMがアップしたという研究があります(7)(8)。しかし、筋トレ種目については、ベンチプレスの1RMは音楽の有無で変わらなかったという研究しかありません(9)(10)。



<効果の高い音楽の種類>

自分が好きなジャンルで、テンポが速く(120BPM以上)、気分が高揚する雰囲気の音楽が最もパフォーマンス向上効果が高いです(4)(5)(6)。モチベーションの測定でも、好きな音楽を聴くとモチベーションが高くなっています(4)(6)。

テンポが遅くて落ち着いた雰囲気の音楽を聴くとパフォーマンスが低下した研究があります(8)。



<音楽を聴くタイミング>

セット中に音楽を聴き続けてパフォーマンスが向上した研究が多いです。

ウォームアップの時だけ聴いて、セット中は聴かなくてもパフォーマンスが向上した研究もあります(6)。



<音楽がパフォーマンスに影響を与えるメカニズム>

大きく分けて2つのメカニズムが考えられます。

・意識の覚醒、モチベーションのアップ。

・セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる。


意識の覚醒とモチベーションアップは、ウォームアップのみ聴いて、セット中は聴かなくても効果があります。

セット中のトレーニングの辛さから意識を逸らせる効果については、セット中に聴かないと効果がないでしょう。70%1RM付近より低い強度でのトレーニングで、特にスクワットなど精神的に辛くて心肺に負荷がかかる種目で(5)、レップ数を増やす効果が出やすいと考えられます。ハードな筋肥大トレーニングを行うのに役立ちそうです。

強度が高くなってくると、(特にフリーウェイトは)集中力を高めて繊細に身体をコントロールすることが要求されるので、音楽で気が散ると逆効果になる可能性もあります。個人差があると思いますが、90%1RM以上といった高強度のセットでは、ウォームアップ中だけ聴いてモチベーションを高めるのが良いと思います。



<時間帯による効果の違い>

一般的に、短時間・高強度運動のパフォーマンスが最大化されるのは夕方以降なのですが、ウォームアップ中に音楽を聴くことによるパフォーマンスの上げ幅は、夕方に聴くよりも朝に聴くほうが高い(パフォーマンスの絶対値は夕方のほうが高い)という研究があります(11)(12)。

覚醒レベルが低い状態で聴くと、音楽の効果が出やすいと考えられます。朝早くにトレーニングをする場合は、音楽を聴くことでトレーニングの質を高められるでしょう。



<長期的な効果>

音楽を聴きながらトレーニングした場合の、長期的な適応を調べた研究は無いと思います。



<現実への応用>

覚醒効果をもたらす刺激だとカフェインがあります。カフェインは摂取直後のパフォーマンス向上(筋力、筋持久力)はエビデンスがありますが、長期的に筋肥大・筋力向上をブーストする効果があるという研究は出てきていないと思います。挙上速度がわずかに上がる、という研究はあります(13)。

音楽についても、長期の効果はあまり期待しないほうが良いと思いますが、音楽を聴くことでモチベーションが上がりやすい人は、音楽を聴いたほうが日々のトレーニングの質を上げていけます。質の高いトレーニングを積み重ねていけば、長期的に良い結果を得やすくなります。

また、研究に参加する被験者のほとんどは若い学生なので、エネルギーに満ち溢れていて、大抵の状況で質の高いトレーニングをこなせるでしょう。一方で、私のような疲れた中年の同志諸君は、仕事の後のトレーニングでなかなかやる気が出ないときがあると思います。その場合、気分を上げてトレーニングの質を高めるのに、音楽を聴くのは効果が高いかもしれません。

カフェインと違って副作用がないのは音楽の長所です。カフェインだと、睡眠の質を下げるリスクがあるので、夕方以降のトレーニングでは利用しにくいです



参考文献
(1)Impact of Augmented Feedback and Music During the Bench Press Resistance Exercise: Does Their Combination Compromise Mechanical Performance?
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11808692/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.1歳

音楽:エレクトロニックダンスミュージック BPMは120以上 スピーカーで約70dB 無音と比較

種目:ベンチプレス 70%1RM 4セット 20%速度低下でセット停止

結果:レップ数、挙上速度(最速、平均)は、音楽有りのほうが有意に上


(2)Effect of Pre-Exercise Music on Bench Press Power, Velocity, and Repetition Volume
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33722102/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22.8歳

音楽:セット前に3分間音楽を聴く。セット中は聴かない。

種目:ベンチプレス パワー、挙上速度、限界レップ数@75%1RM

結果:パワー、挙上速度、限界レップ数(音楽有り約14レップ、なし約12レップ)、モチベーションいずれも音楽有りのほうが高かった。


(3)Effects of Respite Music on Repeated Upper-body Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9987432/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.7歳

音楽:セット間インターバルの2分間だけ自分の選んだ好きな音楽を聴く(120BPM以上) ヘッドフォン 無音と比較

種目:ベンチプレス 75%1RM 3セット 限界レップ数

結果:レップ数は音楽ありと無音で有意差なし。
平均挙上速度は、2,3セットは音楽のほうが速かった。
モチベーションも、2,3セットは音楽のほうが高かった。
RPEは有意差なし。
論文では、レップ数で差が出なかったのは、1セット目が終わってすでに疲れた状態で聞いたから、と考察。
RPEで差が出なかったのは、セット中は聞いていなかったから、と考察。


(4)Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30531416/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.5歳

音楽:好みのジャンルの音楽(平均127BPM) と 好みでないジャンルの音楽(平均126BPM)

ちなみに、大部分の被験者が好みのジャンルの音楽としてラップ/ヒップホップを選び、好みでないジャンルの音楽としてカントリーミュージックを選んだ。

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好みの音楽が平均10.58レップ、好みでない音楽が平均8.9レップ(有意差有り)
モチベーションと挙上速度についても、好みの音楽のほうが、好みでない音楽よりも高かった。


(5)The influence of music genre on explosive power, repetitions to failure and mood responses during resistance exercise
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1469029217306751

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均22歳

音楽:メタル(平均159BPM)、エレクトロニックダンス(平均128BPM)、自分で選んだ10曲(平均129BPM)
ヘッドフォン ウォームアップからセッション終わるまでずっと

種目:ベンチプレスとスクワット パワー@30%1RM 限界レップ数@60%、70%、80%1RM

結果:パワーについては、効果なし、もしくはわずかにネガティブな効果。
限界レップ数は、ベンチプレス@60%1RMと、スクワット@60%、70%1RMは音楽を聴いたほうが伸びた。どの音楽もそれなりに伸びたが、自分で選んだ音楽が他よりもわずかに伸びた。
ベンチプレス@70%1RM、80%1RM、スクワット@80%1RMは音楽を聴いても伸びなかった。


(6)Effects of Preferred and Non-Preferred Warm-Up Music on Resistance Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7838790/

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均21.6歳

音楽:ウォームアップセット(5レップ@40%1RM→3レップ@60%1RM)のみ音楽を聴く 本番セットでは聴かない
好みの音楽 好みでない音楽を比較
ヘッドフォン使用
ラップ/ヒップホップ、ロック、カントリーミュージック、ポップス、クラシック、オルタナティブの6ジャンルを被験者ごとに好みをランク付けしてもらう。最も好みのジャンルから被験者が好きな曲を選んで→好きな音楽、最も好みでないジャンルから研究者側がランダムに選んで→好みでない。
いずれもBPM120以上

種目:ベンチプレス 75%1RM 限界レップ数

結果:限界レップ数は好きな音楽のほうが多かった。
1セット目 好きな音楽13.5レップ 好きでない音楽11.1レップ
2セット目 好きな音楽9.4レップ 好きでない音楽8.0レップ(グラフと文章の記述が逆、グラフを正しいと判断した)

モチベーションも好きな音楽のほうが高い。
挙上速度とRPEは有意差なし。


(7)Preferred Music Genre Benefits During Strength Tests: Increased Maximal Strength and Strength-Endurance and Reduced Perceived Exertion
https://www.researchgate.net/publication/343554194_Preferred_Music_Genre_Benefits_During_Strength_Tests_Increased_Maximal_Strength_and_Strength-Endurance_and_Reduced_Perceived_Exertion

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均20.0歳

音楽:被験者の好きなジャンルの音楽、被験者の好きではないジャンルの音楽、無音
70dB、平均165±5BPM

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)、ラットプルダウン限界レップ数@85%1RM

結果:握力1RMは好きなジャンルの音楽を聞いた時が、好きではないジャンルの音楽を聞いた時よりも10%くらい高かった。
ラットプルダウンの限界レップ数は、好きなジャンルの音楽が6.32、好きでないジャンルの音楽が4.48。
RPEは、好きなジャンルの音楽が、好きでないジャンルの音楽よりも低かった。
無音はいずれの項目も、好きでない音楽と同じくらいだった。


(8)Effects of pretest stimulative and
sedative music on grip strength. Perceptual and Motor Skills, 83(3 Pt 2), 1347–1352.
https://doi.org/10.2466/pms.1996.83.3f.1347

被験者:普段から運動をしている若い男女(学生)

音楽:ヘッドフォン使用 刺激的な音楽 落ち着いた音楽 ホワイトノイズ

刺激的な音楽はこの曲
BABY D - Let Me Be Your Fantasy(134BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=f17b8m5fniU

落ち着いた音楽はこの曲
Louis Armstrong - We Have All The Time In The World(90BPM)
https://www.youtube.com/watch?v=RMxRDTfzgpU

種目:握力1RM(ハンドグリップ握力計)

結果:
男性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+1.5%、落ち着いた音楽は-2.0%
女性 ホワイトノイズに比べて刺激的な音楽は握力+3.0%、落ち着いた音楽は-3.4%


(9)Does Motivational Music Influence Maximal Bench Press Strength and
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1180389.pdf

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均23.92歳

音楽:自分で選んだモチベーションが上がる音楽をウォームアップから実験終了までイヤホンで(BPM135-140)、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+3.9%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(10)Effects of Self-Selected Music on Maximal Bench Press Strength and Strength Endurance
https://www.researchgate.net/publication/279305465_Effects_of_Self-Selected_Music_on_Maximal_Bench_Press_Strength_and_Strength_Endurance

被験者:トレーニング歴あり 若い男性 平均24.7歳

音楽:自分で選んだ音楽、無音

種目:ベンチプレス1RM、ベンチプレス限界レップ数@60%1RM

結果:
2回測定を行い、音楽グループは、無音と音楽有りを比較。無音グループは、無音と無音を比較。
音楽グループは、音楽を聴いても1RM有意差なし、限界レップ数は有意差ありでわずかに伸びた(+5.8%)
無音は、1RM、限界レップ数ともに有意差なし。



(11)Time-of-Day Effects on Short-Duration Maximal Exercise Performance
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7289891/



(12)Listening to neutral or self-selected motivational music during warm-up to improve short-term maximal performance in soccer players: Effect of time of day
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30817975/


(13)Pre-exercise Caffeine Intake Enhances Bench Press Strength Training Adaptations
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33575270/
カフェイン長期研究。1RM変化はカフェインなしと有意差なし(同じくらい向上)。挙上速度はカフェインのほうが向上する傾向。




3/30/2025

チーティングとストリクトの筋肥大効果を比較した研究

Do cheaters prosper? Effect of externally supplied momentum during resistance training on measures of upper body muscle hypertrophy
https://www.researchgate.net/publication/387411261_Do_cheaters_prosper_Effect_of_externally_supplied_momentum_during_resistance_training_on_measures_of_upper_body_muscle_hypertrophy?ck_subscriber_id=699589358

stronger by scienceのメルマガで紹介されていた研究です。

チーティングは、ターゲットの筋肉以外を使い、勢いや反動をつけて筋トレをするテクニックです。ストリクトは、できるだけターゲットの筋肉のみを使い、勢いや反動を使わずに筋トレをするテクニックです。

この研究では、チーティングとストリクトの筋肥大効果を比較しています。

1/05/2025

PEDs使用ボディビルダーと非使用ボディビルダーのトレーニング方法の違い

(1)Self-Reported Training and Supplementation Practices Between Performance-Enhancing Drug-User Bodybuilders Compared with Natural Bodybuilders
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36165879/

競技ボディビルダーにアンケート調査をし、PEDs使用ボディビルダーと、非使用ボディビルダーで、トレーニング方法にどのような違いがあるのかを調べた研究です。おそらく前回の記事と同じデータを使って分析した論文です。

前回記事:競技ボディビルダーのトレーニングを調べた研究

187名がオンラインアンケートに回答。アンケート期間は2018年4月~2020年2月。


使用割合の高いPEDsは、testosterone (85.0%),drostanolone propinate (57.5%), stanozolol (47.5%),trenbolone
acetate (45.0%), boldenone undecylenate (42.5%), oxandrolone(37.5%), clenbuterol (37.5%),nandrolone decanoate (32.5%), methenolone enanthate(20.0%).

12/21/2024

競技ボディビルダーのトレーニングを調べた研究

Training, Supplementation, and Pharmacological Practices of Competitive Male Bodybuilders Across Training Phases
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33651737/

235人の競技ボディビルダーにアンケート調査し、そのデータをまとめた研究です。

アンケート回答期間は、2018年4月~2020年2月。

アンケート回答者のデータ
性別:全員男性
平均年齢:26歳
平均身長:177cm
平均体重:88kg

回答者235名中、165名がナチュラルの大会に参加。

大部分の回答者がアマチュア競技者。13名がプロの競技者(うち2名がナチュラル大会の競技者)


7/12/2024

ブリッジとベタ寝を比較した研究(ベンチプレス)

ブリッジをした場合と、ブリッジをしなかった場合のベンチプレスの1RMや挙上距離を測定した研究です。

Flat-Back vs. Arched-Back Bench Press: Examining the Different Techniques Performed by Power Athletes
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/9900/flat_back_vs__arched_back_bench_press__examining.422.aspx


<研究内容>

被験者:15名(男性13名、女性2名) 平均年齢29歳 体重87.5kg 身長176.8cm 10名がパワーリフター 3名がウェイトリフター 2名が投擲競技の選手 ベンチプレス平均1RMはベタ寝で体重の1.38倍

フォーム:被験者がそれぞれブリッジを組んでベンチプレスをした場合(アーチ)と、ベタ寝でベンチプレスをした場合(フラットバック)の、1RM、挙上距離、挙上速度、筋電位を測定し比較する。

「アーチ」のフォームは、腰を反る、肩甲骨を寄せるくらいしか書かれてないので、たぶん各自がやりやすいやり方で実施しています。

「フラットバック」のフォームは、腰椎をニュートラルします。いわゆるベタ寝ですね。胸椎については記述がありませんが、胸椎もニュートラルだと肩が危ないのでさすがに胸は張っていると思います。

各自やりやすい手幅で行うが、アーチとフラットバックのフォームで手幅は揃える。

両フォームとも、尻はベンチにつける、かかとは床につける。


6/28/2024

限界セット(RPE10)と非限界セット(RPE8-9)の筋肥大効果を比較した研究

Similar muscle hypertrophy following eight weeks of resistance training to momentary muscular failure or with repetitions-in-reserve in resistance-trained individuals
https://www.researchgate.net/publication/378436551_Similar_muscle_hypertrophy_following_eight_weeks_of_resistance_training_to_momentary_muscular_failure_or_with_repetitions-in-reserve_in_resistance-trained_individuals


トレーニング歴有りの被験者を対象として、限界まで追い込んだ場合と、限界の少し手前で止めた場合の筋肥大効果を調べた研究です。これまでの限界セットと非限界セットの効果を比較した研究は、ほとんどがトレーニング歴の無い被験者を対象としたもので、非限界セットの追い込み度も研究によってまちまちでした。

今回の研究は、現場経験が豊富な研究者が関わっていて、痒いところに手が届く実験デザインになっています。

・被験者のトレーニングレベルが高い。

・非限界セットの設定がRPE8-9(限界まで2レップ残しか1レップ残し)で実用的。

・レップレンジやインターバルの設定が実用的。

・トレーニングボリュームの設定を、被験者の普段のトレーニングボリュームを基準にしている(ボリュームの変化が筋肥大効果に影響を与えると思われるため。これに関連した研究はこちら→関連記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究 )

・被験者の片方の脚を限界セット、もう片方の脚を非限界セットにしている。筋肥大反応の個人差の影響が無い。

・筋肥大するように体重が増加する食事をさせている(トレーニングレベルの高い被験者だと体重増加無しでは筋肥大しにくい)。

6/14/2024

筋トレへの筋肥大反応が低い人はボリュームを増やすと筋肥大しやすいという研究(ただし高齢者対象の研究)

筋トレへの筋肥大反応には大きな個人差があります。同じトレーニングをしても、ほとんど筋肥大しない人もいれば、大きく筋肥大する人もいます。

現在の科学だと、どういう人が筋肥大反応が良いのか事前に判断することはできませんし、反応が悪い人はどうすれば筋肥大するようになるのかもわかっていません。

今回、トレーニング歴の無い高齢者が対象ですが、筋肥大反応が悪い人はボリュームを増やすと筋肥大効果が高まったという研究が出てきました。

Higher resistance training volume offsets muscle hypertrophy nonresponsiveness in older individuals
https://journals.physiology.org/doi/epdf/10.1152/japplphysiol.00670.2023


5/31/2024

低炭水化物食の健康リスクを調べた研究

普通の食事よりも低炭水化物食のほうがインスリン抵抗性が増すという研究です。

(1)Low carbohydrate intake correlates with trends of insulin resistance and metabolic acidosis in healthy lean individuals
https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2023.1115333/full


横断研究で、一時点での食事調査と血液検査をして分析しています。

<実験概要>
クウェートで実施。
被験者は平均32歳の男女。
本人が糖尿病の人、家族に糖尿病の人がいる人は除外。
BMI25以下の人を募集。平均BMIは22.7kg/m2

グループ分けは、摂取カロリーに占める炭水化物の割合に基づいて行っている。
低炭水化物グループ:45%未満
中程度炭水化物グループ:45-65%
高炭水化物グループ:65%より上

3/15/2024

拷問みたいなストレッチをすると普通に筋トレするのと同等の筋肥大効果が得られる

拷問みたいなハードなストレッチをすると、普通に筋トレするのと同等に筋肥大するという研究が出てきています。筋力(アイソメトリック)についても、普通の筋トレと同等の伸びになっています。実用性の面では疑問符が付きますが、学術的に興味深い内容なので取り上げます。

ストレッチによる筋肥大研究のこれまでの流れについては、こちらの論文が詳しいです。ざっと概略を書きます。

(1)Physiology of Stretch-Mediated Hypertrophy and Strength Increases: A Narrative Review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10587333/ 

動物実験では、ストレッチによる筋肥大について明確な効果が示されています。ただし、重りで無理やり筋肉を引っ張るのを毎日24時間続けるといった、人間対象では不可能な方法です。

人間対象のストレッチ研究は、ストレッチで筋肥大が起きたり、起こらなかったりと結果がばらついています。

ストレッチをする時間の長さと、ストレッチの強度が重要なファクターになっていると考えられます。

一日数分程度の普通のストレッチだと、筋肥大はほぼ起こらないです。短時間のストレッチでも効果があったとする研究が一部ありますが、効果なしの研究のほうが多いです。

一日一時間といった長時間、または筋肉に非常に強いテンションがかかり、痛みを強く感じるストレッチだと、確実に筋肥大が起こりそうです。また、効果が示された研究では、整形外科的な器具を用いて、筋肉を強制的にストレッチ状態で固定しています。

ストレッチで筋肥大が起こるのは、筋肉への力学的な張力(メカニカルテンション)が主要な経路だろうと推測されていますが、詳しいメカニズムははっきりとはわかっていません。筋肉が引っ張られて薄くなることで虚血が起こり、酸欠による筋肥大が起こっている可能性もあるようです。
 

1/28/2024

プロテイン100gを一度に摂取してもちゃんと筋肉に使われるという研究


(1)The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10772463/


プロテイン25gと100gを摂取したときの筋肉合成を調べている研究です。100gという大量のタンパク質を一度に摂取しても無駄にはならず、そのぶん多く筋肉合成されているという結果です。

「一度に大量にタンパク質を摂っても一定量以上は酸化されて無駄になるため、筋肥大を狙うには一食あたり30g程度に分散させて食べたほうが良い」という考えがありますが、それを否定する結果になっています。


9/08/2023

フリーウェイトとマシンのトレーニング効果の比較研究

フリーウェイトとマシンのトレーニング効果の比較について、メタアナリシスと、新しい研究が出てきたので紹介します。

トレーニングにフリーウェイトとマシンをどのように取り入れるかは、実践面では体幹の疲労のマネジメントといった問題も出てきますが、研究では扱いません。研究で扱う、筋力(1RM、nRM、アイソメトリックの最大筋力)、筋肥大、スポーツパフォーマンス(ジャンプ力)への効果を見ていきます。


長いので結論を先に書きますと、

・全体的に見れば、フリーウェイトでトレーニングすればフリーウェイトの1RMが向上しやすく、マシンでトレーニングすればマシンの1RMが向上しやすいです。特異性の原理に従っています。

・動作がフリーウェイトに近いマシントレーニングは、フリーウェイトの1RM向上効果がフリーウェイトでトレーニングした場合と遜色ないです。具体的には、スミスマシンスクワットやハックスクワットは、バーベルスクワットの1RM向上効果がスクワットでトレーニングした場合と同じくらいです。

・アイソメトリックの筋力向上効果は、フリーウェイトもマシンも同等です。

・筋肥大効果は、フリーウェイトもマシンも同等です。

・ジャンプ力向上効果は、全体的に見ればフリーウェイトのほうが高いですが、スミスマシンスクワットやハックスクワットは、ジャンプ力向上効果がフリーウェイトと同じくらいです。


8/07/2023

デロードの研究が出ました

たぶんデロードの研究は初めてです。途中で3週間休止してトレーニング再開するという研究はあったのですがデロードというよりもリトレーニングの研究です。1週間のデロード期間の研究は世界初だと思います。ただ、一般的に行われるデロードと違って、完全にトレーニングを休んでいます。


(1)Gaining more from doing less? The effects of a one-week deload period during supervised resistance training on muscular adaptations
https://sportrxiv.org/index.php/server/preprint/view/302/604

<被験者>
トレーニング歴有りの若い男女。男性率7割強。平均体重78kgでスミスマシンスクワットの1RM平均が100kg付近なので高いレベルのトレーニーというわけではなさそう。


<トレーニング内容>
トレーニングメニューは両グループで同じ。いずれの種目も2分インターバルで8-12RMを5セット実施(全セット限界まで) 

上半身 週2回
・ショルダープレス
・ラットプルダウン
・チェストプレス
・バイセップスカール
・トライセプスプッシュダウン

下半身 週2回
・スミスマシンスクワット 
・レッグエクステンション
・膝を伸ばしたカーフレイズ
・膝を曲げたカーフレイズ

通常トレーニンググループは、9週間ずっと同じメニューでトレーニング

デロードグループは、4週間トレーニング+1週間完全オフ+4週間トレーニング


<結果>
筋肥大は両グループで差は無し。

筋力については通常グループのほうがやや有利。

ジャンプ力は両グループで差は無し。


<その他>
ディスカッション欄に書かれていることが興味深いです。

・デロード後は、リフレッシュ感よりもむしろ怠さを訴える被験者がいた。

・4週目から9週目にかけて、通常グループは筋肉痛が減って、デロードグループは筋肉痛が増えた

・4週目から9週目にかけて、デロードグループはモチベーションが低下して、通常グループはモチベーションは変わらず。


他には、ファンディング欄にRenaissance Periodizationの名前があります。日本でも人気の高いMike Israetel​のチームですね。よく見たらMike Israetel​は研究者欄にも名前がありました。他に有名な人だと、Brad J. Schoenfeldも関わっています。

1/04/2023

上腕三頭筋の筋肥大効果を調べた研究(オーバーヘッドvsプッシュダウン)

Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17461391.2022.2100279



ケーブルマシンを使っての上腕三頭筋のトレーニングで、オーバーヘッドでのトライセップスエクステンションと、プッシュダウンでのトライセップスエクステンションでは、どちらが筋肥大効果が高いかを、上腕三頭筋長頭、内側頭、外側頭それぞれについて調べた研究です。

上腕三頭筋は長頭、内側頭、外側頭で構成されます。長頭は、肘と肩関節にまたがる二関節筋です。内側頭と外側頭は、肘関節のみの単関節です。

この研究は、被験者の左右の腕をランダムに各グループに振り分けているので、筋肥大の個人差の影響がないです。例えば、被験者Aは、右腕をオーバーヘッドでトライセップスエクステンション、左腕をプッシュダウンといったように振り分けています。

期間は12週間、被験者21名(各グループが21本の腕)、筋肉量の測定はMRIで行っています。筋肥大研究としての研究の質が高く、結果の信頼性が高いです。

被験者は、14名の男性、7名の女性、平均年齢は20代前半、少なくとも過去1年間はトレーニング歴なし。

一般的な上腕三頭筋の筋トレ方法と少し違うのは、肩の外転を防ぐために手首を回外した状態(アームカールと同じ握り)でトライセップスエクステンションしていることです。

 

12/16/2022

レジスタンストレーニングの頻度による筋力への影響を調べた研究

メタアナリシスで、頻度を上げると筋力も伸びやすくなるかを調べています。分析対象の研究の数は22で、そのうちトレーニング歴ありの被験者を対象とした研究は3つです。

Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis
https://www.researchgate.net/publication/323348254_Effect_of_Resistance_Training_Frequency_on_Gains_in_Muscular_Strength_A_Systematic_Review_and_Meta-Analysis

 

レジスタンストレーニングによる筋力向上の要素には大きく以下の3つがあって、

<筋肥大>
筋肉が太くなった。

<神経系の適応>
神経-筋肉が強い力を出すのが上手くなった。

<スキル向上>
フォームが良くなった。複数の筋肉を協調させて強い力を発揮するのが上手くなった。


アームカールやレッグエクステンションといった単関節種目だと、スキル向上の影響は小さくて、筋肥大と神経系の適応がメインになります。

スクワットやベンチプレスといった複合関節種目だと、スキル向上の影響が大きくなってきます。

10/30/2020

筋肥大をもたらす刺激(2019年版)

(1)Stimuli and sensors that initiate skeletal muscle hypertropHy following resistance exercise
https://journals.pHysiology.org/doi/full/10.1152/japplpHysiol.00685.2018?rfr_dat=cr_pub++0pubmed&url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org

レジスタンストレーニングによる筋肥大は、どのような刺激によってもたらされるのか、またそれらの刺激はどのようなセンサーによって感知されるのか。現状でわかっていること、わからないことをまとめた2019年の論文です。

以前調べた筋肥大のメカニズムから時間が経ったので、そのアップデートの意味もあります。

関連記事:筋肥大のメカニズム

内容がマニアックなので先に結論を書いておくと、実践面では「力学的な負荷」をかけることを最優先すればOKです。具体的には6-15レップ程度のセットをメインにトレーニングします。筋肥大の刺激の候補には、力学的な負荷以外に「ダメージ」と「代謝ストレス」もありますが、実践面では力学的な負荷を最優先するのが良いでしょう。

筋肉のダメージを増やすために、意図的に強い負荷をかけてエキセントリック動作をしたりするのはどれほど効果があるかはわからないですし、ダメージが大きくなりすぎると筋肥大にマイナスになる可能性があります。代謝ストレスを主目的としたトレーニング(高レップのセットや加圧トレーニング)は、力学的な負荷がメインのトレーニングにプラスしておこなうとさらに効果が高まるのか、それとも力学的な負荷が十分なら代謝ストレスを上乗せしても効果は高まらないのか、はっきりしていません(加圧トレーニングは力学的な負荷が不十分な状態で代謝ストレスを加えています)。

アップサイドリスクとダウンサイドリスクを考えると、ダメージを目的としたトレーニングはアップサイドが不明でダウンサイドリスクが大きいです。従って、ダメージを目的としたトレーニング、例えば高重量・高ボリュームのエキセントリック動作はあまりやらないほうが良いと思います。代謝ストレスを目的としたトレーニングは、アップサイドは不明ですがダウンサイドリスクは小さいと考えられるので、力学的な負荷を目的としたトレーニングに追加しておこなうのは問題ないと思います。

以下、マニア向けの内容。

7/15/2020

TRF(Time-Restricted Feeding)の研究

TRF(Time-Restricted Feeding)は、一日のうち食事を摂れる時間枠を8時間以内や4時間以内と決めて、残りの時間はカロリー摂取をしない食事方法のこと。具体名を出すと、リーンゲインズやウォリアーダイエットといった方法。

TRFはIF(Intermittent Fasting)に含まれるけど、IFだと一日置きの断食(ADF:Alternate-day fasting)などもあって、そういった方法は運動する人には実行が難しい。TRFは運動する人でも実行可能。

TRFとレジスタンストレーニングを組み合わせた研究がここ数年でいくつか出てきたので紹介します。

6/05/2020

リフィードの研究

Intermittent Energy Restriction Attenuates the Loss of Fat Free Mass in Resistance Trained Individuals. A Randomized Controlled Trial
https://www.mdpi.com/2411-5142/5/1/19/htm

毎日同じペースでカロリーカットをしたグループと、週に2日リフィードをしたグループの減量結果を比較した研究。筋トレ愛好家の知りたいポイントを押さえた研究デザインになっている。

・被験者は肥満ではなく、トレーニング歴あり
・筋トレしながらの減量
・タンパク質摂取量がこの手の研究にしては多め(個人的にはもう少し増やしたほうがいい思うが)
・週に2日という現実的なリフィード方法

減量や筋トレの研究は、社会的意義の面から肥満の人や高齢者を対象とした研究が多いので、こういう筋トレ愛好家向けの研究が行われるのは稀。

結論を先に書くと、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ良い結果になっている。


★被験者データ


体脂肪率は結果の表に載っていて、実験前の時点で21%くらい。男女合わせてのデータなので男性17%、女性25%くらいかな?


★実験期間
7週間


★食事
指導のもと自己管理

・摂取カロリー配分
一定カロリー群  ずっと25%カロリーカット
リフィード群  5日連続35%カロリーカット、2日連続維持カロリー



・マクロ栄養素バランス
カロリーカット時のマクロバランスは両群ともタンパク質摂取量 1.8g/kg/日、残りの必要カロリーを脂質と炭水化物で半分ずつ。

リフィード群のリフィード日は、カロリーカット時の食事に炭水化物のみを足して維持カロリーにする。



★レジスタンストレーニング
週あたり上半身メイン2日、下半身メイン2日の合計4日。4週目だけはデロードで合計2日。あと30分の有酸素運動を週2日。



★結果
体重差を考えると両群とも同じくらい体重が減少したが、リフィード群のほうが除脂肪量の減少を抑えられ、良い結果となっている。リフィードによる保水量の差を考慮するため、乾燥除脂肪量(Dry FFM)も算出しているが、これもリフィード群のほうが減少を抑えられている。体脂肪量もリフィード群のほうが減っていて良い。今回の研究では、リフィードは体重を落ちやすくするというよりも、除脂肪量を維持しやすいという結果になっている。



リフィードの目的は一般的に以下の3つ。

・代謝低下の抑制
・筋肉の維持・肥大
・メンタル面の息抜き

代謝低下については、安静時代謝(RMR)の減少幅に少し差がついている。安静時代謝は除脂肪量の影響が大きいので、除脂肪量減少の差が表れていると考えられる。リフィードで期待されるレプチンなど内分泌系の影響による代謝低下の抑制が起きているかはよくわからない。そもそも代謝低下の抑制があったかは安静時代謝だけではなくNEATも見ないといけない。

マクロ視点でみると、7週間での体重減少量は両群でほぼ同じだが、分解して消費する場合、除脂肪部分のほうが体脂肪よりもエネルギー密度が低いことを考慮すると、リフィード群のほうがトータルでの消費カロリーが少し多かった感じはする。

除脂肪量の維持については、リフィードでグリコーゲンを補充してトレーニングの質が上がったり、筋肉のエネルギーレベルが一時的に高くなることで、筋肉の維持・肥大がしやすくなったのかもしれない(個別データだと除脂肪量が増えている人もいる)。

トレーニングボリュームは両群で同じとのことだが、ボリュームをセット数×レップ数で出しているのか、セット数×レップ数×重量で出しているのか不明なので、トレーニングの質に差がついたのかよくわからない。


★コメント
デザインの良い研究で、リフィードの優位性が示された結果になっている。今後同じようなデザインの研究で繰り返しリフィード優位の結果が示されれば、確度が高まる。

体脂肪率を楽に維持できる水準(男性なら13-15%くらい)より高い体脂肪率で減量をするならリフィードはあまり必要ないと思っていたけど、体脂肪率が低くなくても体組成変化に効果がありそうなので考えを改めたい。

なぜ両群を比較すると体重減少にあまり差がつかなかったのか仮説を考えてみると、

・今回の実験では被験者はそれほど低い体脂肪率ではないので、両群とも大幅な代謝低下が起こらず、そのためリフィードの代謝回復効果も大きくは出ず、代謝低下の抑制の面であまり差がつかなかった。

・リフィード日の摂取カロリーは維持カロリーなので、グリコーゲンとして貯蔵に回される分を考慮すると摂取カロリーが足りなく、リフィードの代謝低下の抑制効果が出るには不十分だった。

・そもそも2日程度のリフィードでは代謝低下の抑制効果があまり無い。

もし今回よりも低い体脂肪率の被験者を集めて、男性なら体脂肪率10%以下を目指すという研究デザインにして、リフィード日の摂取カロリーをグリコーゲン貯蔵分を考慮して維持カロリーよりも多めにすると、リフィードがレプチンレベルの低下抑制に寄与するといった経路で、リフィード群と一定カロリーカット群とで体重減少に大きな差が出てくるかもしれない。



★細かい話
・リフィード群はリフィード時に炭水化物だけ足しているため、週ベースでの炭水化物の摂取量がリフィード群のほうが多くなっているはず。レプチンレベルの維持や筋グリコーゲンの補充、トレーニングの質の維持の面ではリフィード群が有利だと思う。

・タンパク質摂取量が1.8g/kg/dayは減量時としては少し足りなく、特にリフィード群の35%カロリーカットだとかなり不足気味な感じがするので、この点ではリフィード群が不利に見える。(が、除脂肪量の維持ではリフィード群のほうが良い結果だった)

・減量終了後から一週間くらい空けてから、体組成を測定してほしかった。土日のリフィードで実験期間終了だと、リフィード群はグリコーゲンと水が補充されていて除脂肪量が多く出やすい。論文にはリフィードから最低2日空けて体組成を測定したと書かれていて、また水分量を考慮した乾燥除脂肪量も出しているので、ある程度はこの保水量の差をケアしているが。

・トレーニングボリュームの細かい記録や、1RM変化も記録するとより良い研究になると思う。

・極度に低い体脂肪率を目指す場合は、リフィード日はオーバーカロリー(その日の活動で消費するカロリーに加えて貯蔵グリコーゲンの分も摂取する)のほうが良いと思う。



関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
6年前の記事で、当時とあまり考えは変わっていないけど、カジュアルダイエットの人はリフィードというか、1、2週間の維持カロリーに戻すダイエット休憩を入れると良いと思う。(一つ下の関連記事参照)

維持カロリーを挟むダイエット方法

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか

レプチンについて

AMPkについて

タンパク質摂取量の目安