1/27/2016

高タンパク質/低炭水化物食がメンタルに及ぼす影響

Lyle McDonaldの記事から

Anxiety Low-Carbohydrates Whey and BCAA

Carbohydrate Intake and Depression – Q&A


★セロトニン
セロトニンは抑制作用を持つ。抑うつ傾向がある人は、脳のセロトニンレベルが十分高ければ、その傾向が抑制される。セロトニンレベルが低下すると抑うつの症状が表に現れる。同様に不安神経症や躁病の傾向がある人にも、セロトニンのレベルが影響する。


★トリプトファン
トリプトファンはセロトニンの前駆体。

複数のアミノ酸が同一の輸送体を使用。輸送体をめぐっての競合が発生する。

BCAA、チロシン、フェニルアラニン、そしてトリプトファンはLNAA輸送体を使用。BCAAやチロシンやフェニルアラニンの量が多いと、脳に輸送されるトリプトファンが減り脳のセロトニンレベルが低くなる。

多くのタンパク質はトリプトファンよりも他の競合アミノ酸を多く含んでいる。例外はα-ラクトアルブミンでトリプトファンの含有率が高い。

トリプトファンの競合アミノ酸(特にBCAA)は、インスリンレベルが上昇すると細胞に取り込まれる。その結果血中の競合アミノ酸濃度が低下し、トリプトファンが脳へ輸送されやすくなる。

高タンパク質/低炭水化物食では、
- 高タンパク質食により競合アミノ酸が多く供給される。
- 低炭水化物食でのインスリンレベルの低下により、血中の競合アミノ酸濃度が高いままになる。
- ダイエットによる血中のトリプトファンレベルへの影響もある。

これらが合わさって脳のセロトニンレベルが低下し、メンタルに問題を抱える人にはリスクになる。

逆に極端な低タンパク質/高炭水化物食では、血中のトリプトファンレベルが上昇しセロトニンレベルが上昇する。抑うつの症状がある人が、このタイプの食生活を求めることがあるのは、自らを治療しようとしているのかもしれない。


★対策
- タンパク質の摂取量を減らし、炭水化物の摂取量を増やす。炭水化物摂取量1日100g以下は問題が起こりやすい。
- α-ラクトアルブミンを摂取する。夜に摂取すると睡眠の質が良くなる。同じ理由で夜にタンパク質の摂取量を減らし炭水化物の摂取量を増やすのも良い。
- L-トリプトファンや5-HTP(セロトニンの前駆体)を摂取する。
- 摂取カロリーと炭水化物摂取量を上げるダイエット休憩を入れる。2ヶ月毎に2週間が目安。



個人的な感想
- 厳格な糖質制限ダイエットは万人向けじゃないよなあ・・・。特に医師が勧めるのはどうかと思う。
- 対策で挙げられている方法は、メンタルに問題がない人でも減量時の睡眠の質の改善に使える。

1/17/2016

骨格によるフォームの違い

腕と脚が長い骨格の人と短い骨格の人では、BIG3のフォームと動作範囲が異なってくる。自分の骨格のタイプを理解したうえでウェイトトレーニングを行うと、怪我のリスクを低下させ効果的にトレーニングを行うことができる。


★ベンチプレス
ネガティブ局面で過度に伸張されることによる大胸筋の筋肉・腱の断裂が多い。

・腕が長い、特に前腕が長い人
- 肘が深く下がり、大胸筋が過度に伸張され怪我しやすい。

・胸板が厚い人
- バーがあまり下がらないので怪我しにくい。

・腕が長い人の対策
- 手幅を狭める(クロースグリップ)と肘があまり下がらなくなり大胸筋の伸張が抑えられる。
- バーを胸まで降ろさない




★スクワット
・脚が短い人
- 胴体があまり前傾しない
- 大腿四頭筋の負荷が大きい

・脚が長い人
- 胴体が前傾することで、ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。
- 大殿筋、脊柱起立筋群への負荷が大きい。
- 胴体が前傾しているため、腰にかかるせん断力が大きい。後背部の姿勢と力の維持を崩すと危ないので気をつける
- 大腿四頭筋に負荷がかかりにくいので、大腿四頭筋はスクワット以外で鍛えたほうが良い。(ハックスクワットが勧められている。フロントスクワットは脚が長い人は胴体が前傾してバーの保持が困難)

・足首の柔軟性
足首が固いと膝が前に出ず胴体が前傾する。ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。

・胴体の前傾対策
- リフティングシューズのような踵の高い靴を履く、こうすることで膝が前に出て胴体の前傾がゆるくなる。



★デッドリフト
・腕・脚が短い人
- 太腿が水平に近くなり主に大腿四頭筋の関与が大きくなる。

・腕・脚が長い人
- 膝関節の角度が鈍角で力が入りやすく重い重量を挙げやすい。



★コメント

ネタ元は Strength Training Anatomy 3rd Edition

このようなスケスケのお姉さんの絵が満載の本。


邦訳は「目でみる筋力トレーニングの解剖学」だけど、これは多分 1st edition の訳で、今回の記事で参考にした怪我などの記述は載っていないかも。


踵の高いリフティングシューズは値段が結構する。私はSuperfeetという中敷きを買って使ってみたが、踵が上がって腿の裏側への負担が減って良い感じになった。あと私は扁平足なのでアーチサポートも効いて踏ん張りやすい。

脚が長い、足首が固い、扁平足の人にはSuperfeetはおすすめです。私はAmazonで買ってうまくフィットしたけど、個人差が大きそうなので、できればスポーツ用品店や登山用品店でフィッティングした方が良いと思う。


脚が短い人はスクワットとデッドリフトでは身体の後ろ側の筋肉(脊柱起立筋群、臀筋群、ハムストリングなど)が鍛えにくそうなので、ルーマニアンデッドリフトをやると良さそう。

Youtubeでパワーリフティングの選手が高重量を挙上している動画はたくさんあるけど、スクワットとベンチプレスが強い人は腕・脚が短くて胴体が樽状の体型の人が多く、また挙上距離を短くするテクニックを使っているので、違う体型の人がBIG3のフォームを学ぶ上ではあまり参考にならない。

動画を見た感じではデッドリフト(コンベンショナル)が強い人は腕と脚が長めの人が多いけど、上背部を曲げるテクニックを使ってることがあるのでそれは真似しないほうが良いと思う。上背部を曲げると股関節までのモーメントアームが小さくなる、膝関節と股関節が鈍角になるといったメリットがある。ただし胸椎の怪我リスクも上がる。



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