2/19/2014
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか
参考: Why Is It So Easy To Regain Weight?
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=415
エネルギー収支は、摂取エネルギーと消費エネルギーからなる。エネルギー収支がマイナスなら主に筋肉か体脂肪が分解燃焼されることで体重が減り、エネルギー収支がプラスなら主に筋肉か体脂肪が合成されることで体重が増える。
摂取エネルギーについては、人間の身体はとにかく飢餓を避けるようになっているので、体重が減ってくると食欲が増して摂取エネルギーを増やそうとする。ダイエットしても食欲が抑えられなくて食べ過ぎちゃう~(>_<)ということがよく起こる。これはシンプルな話。
今回の主題は、ダイエットをした場合の消費エネルギーの変化について。
減量をすると消費カロリーが低下する。身体が軽くなれば動くのに必要なエネルギーは減るし、筋肉と体脂肪の減少により基礎代謝量もそれなりに低下する(骨格筋1kgあたりの基礎代謝量は13kcal、体脂肪1kgあたりの基礎代謝量は4.5kcal)。ただ、現実にはそれ以上に消費エネルギーが低下する。それはなぜなのか調べたのが今回紹介する研究。
★基礎知識
トータルの消費エネルギーは以下のように分解できる。
・安静時エネルギー消費量
・活動時エネルギー消費量
- 計画的なエクササイズによるもの。ジムにいったりランニングしたり。
- Non-Exercise Activity Thermogenesis (NEAT)。計画的ではない身体活動。貧乏ゆすりとかウロウロしたりとか家事したりとか移動を目的としての歩行とか、エクササイズ以外の全ての活動。
・食事誘発性熱産生
★研究
・3種類の被験者
- 恒常的にその体重の人
- 10%以上体重を減らし、それを5-8週間保っている人
- 10%以上体重を減らし、それを1年以上保っている人
・実験方法
- 被験者は実験センターで生活し、安静時エネルギー消費量などを測定される。
- 食事は体重変動がないよう調整された流動食。
- エクササイズは無し。
・結果
- 体重を減らした人は1年以上経っても、恒常的に同じ体重の人に比べて消費カロリーが低い。
- 消費カロリーの低下は、主に活動時エネルギー消費量の低下によるものである。エクササイズはしていないので、NEATによるエネルギー消費量が低下していると思われる。
- 体重を減らした人は、無駄な動きをせずじっとしている傾向があるのだろう。また、減量により骨格筋動作のエネルギー効率が上がるという研究もあるので、動作自体のエネルギー消費量が低下していると思われる。
- 基礎代謝もそれなりに減っている。(体組成の違いによるエネルギー消費量の差異を調整してのデータなので、レプチンレベルの低下といった内分泌系の問題だと思う)
・対策
- 減量後に体重を維持するには、摂取カロリーを抑え意識的に運動するようにしよう。駅では階段を使う、ひと駅手前で降りて歩く、といった意識的なNEATの積み重ねも有効。
- いったん太ると、維持しやすい体脂肪率(セットポイント)が上方に変化して、減量した時に消費カロリーが低下してリバウンドしやすくなると思われる。1年以上減量状態を維持した人も消費カロリーが低下しているので、セットポイントを下方に変化させるのは困難な模様。まずは太らないようにしよう。
ちなみにレプチンを投与すると減量に伴う消費カロリーの低下をかなり抑えられる。ただ、レプチンは研究所外では手に入らない。
それとカロリーオーバーの状態にした時の体重増加を調べた研究もあって、これもNEATが関係しているという結果になっている。食べ過ぎても太りにくい人は、無意識のうちに無駄な動きが増えたりして余分なカロリーを消費している。
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