ただ、一回の筋トレ期間での反応だと、反応が良かった/悪かった人は、その期間にたまたま筋トレに好ましい/好ましくない生活をしていた、例えば食事や睡眠の影響があった、という可能性があります。また、筋肥大測定は誤差が大きいので、誤差によって結果に個人差が出ている可能性もあります。従って、厳密に言えば、筋トレ効果の個人差が生物学的特性なのか、その期間の生活スタイルの差によるものなのか、測定誤差によるものなのか、一回の結果から言い切ることは難しいです(まあ経験則から、筋トレ効果の出やすい人と、出にくい人がいるというのは、皆さんなんとなく感じていると思いますが)。
今回取り上げる研究では、同じ筋トレ期間を二回繰り返して、それぞれの被験者の一回目の筋トレ効果が二回目にも再現されるかを調べています。
Repeated Resistance Training Reveals the Reproducibility of Muscle Strength and Size Responses Within Individuals
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12659766/
被験者:日常的に筋トレを行っていない若い男女 平均年齢32歳
グループ分け:
- 筋トレグループ 男性11名 女性9名
- コントロールグループ(何もしない) 男性14名 女性13名
コントロールグループは、実験期間中の自然な肉体変化や、測定誤差がどれくらいあるかの基準を得て、その変動レンジを超えた分を、筋トレグループにおける実際のトレーニング効果とするために、何もせず10週間すごしてその前後の測定データを取得しています。
実験期間:
- 筋トレグループ 10週間筋トレ→10週間何もしない(デトレーニング)→10週間筋トレ
- コントロールグループ 10週間何もしない
筋トレ内容:
一回目と二回目は同じ内容
週2回実施
種目は、レッグプレス、ニーエクステンション、スミスマシンベンチプレス、バーベルバイセップスカール、シーテッドロウ
各種目8-10レップ RPE8-9 3-4セット セット間インターバル2分 その週の2回目のセッションで各種目の最終セットは限界まで→10レップ超えで次回から重量アップ、8レップを下回ったら次回より重量ダウン
測定項目:
- 大腿四頭筋(外側広筋)の断面積 超音波測定
- 上腕二頭筋の断面積 超音波測定
- レッグプレス1RM
- バーベルバイセップスカール1RM
- 体重
結果:
一回目の筋トレで反応が良かった人は、2回目の筋トレでも反応が良い傾向がある。
一回目の筋トレよりも、2回目の筋トレのほうが、効果が乏しい人(ブルーのエリアに留まる人)は減る。
被験者ごとの筋肉断面積変化(筋トレ一回目→デトレーニング→筋トレ二回目)
被験者ごとの1RM変化(筋トレ一回目→デトレーニング→筋トレ二回目)
筋トレ一回目と二回目の変化量の関係
グラフは、塗りつぶしが男性です。◯は筋トレ一回目と二回目の両方で、トレーニング効果があると考えられる変化が起きた人(ブルーのエリアを超えた人)。他の記号は、そうではなかった人。
筋トレ一回目の変化率と、デトレーニング後の変化率の関係
考察
<筋肥大>
大腿四頭筋(外側広筋)でも上腕二頭筋でも、一回目の筋トレ期間で筋肥大しやすかった人は、二回目の筋トレでも筋肥大しやすいという結果になりました。研究における筋肥大反応の差は、一時的な生活スタイルの違いや測定誤差などの偶然ではなくて、その人の生物学的特性に由来するものだと考えられます。
結果の1つ目のグラフにおける筋肉の断面積の変化量は絶対値です。男女混合で体格差が大きいと思われるので、変化率で比較してほしかった。特に上腕二頭筋は元々の太さの男女差が大きいです。
ただ、男女の区別がつく3つ目のグラフを見ても、筋トレ一回目と二回目の相関係数は高く、男性内、女性内での個人差も大きいので、性差・体格差を超えた筋肥大の個人差があると考えられます。
<筋力>
筋力については、レッグプレス1RMは一回目と二回目の結果の相関係数が高かったですが、バイセップスカール1RMについては相関係数が低く、一回目の結果は二回目の結果とあまり関係が見られませんでした。(筋力の伸びも個人差が大きいのですが、筋力の変化量は体重で調整しているので、男女の体格差の影響は出にくいと考えられます)
<デトレーニング>
上腕二頭筋は、一回目の筋トレ期間で筋肥大効果が高かった人は、デトレーニング期間で減少量が大きかったです(一回目の筋トレ期間とデトレーニング期間の変化量が逆相関している)。大腿四頭筋の筋肥大については、一回目の筋トレ期間とデトレーニング期間の変化量に逆相関の傾向は見られましたが、有意ではありませんでした。
レッグプレス1RMは、一回目の筋トレ期間とデトレーニング期間の変化量がそれなりに逆相関していました。バイセップスカール1RMについては有意ではありませんでした。
全体的に見れば、筋トレへの反応が良くて高い効果を得る人は、トレーニングを止めた場合の落ち込みも大きい傾向がある、と言えそうです。
<筋トレ反応の乏しい人>
一回目の筋トレ期間よりも、二回目の筋トレ期間のほうが、筋肥大、1RMともに効果が乏しい人は減りました。筋トレの効果が出にくい人は、トレーニング期間の長さによる筋肉組織の適応や、トレーニングへの技術的な慣れが必要なのかもしれません。なかなか効果がでなくても、地道に続けていきましょう。
筋肥大も筋力アップもしない人はいませんでした。少なくともどれか一つの測定項目では、被験者全員がトレーニング効果が出ました。どの人も、トレーニングをすれば何かしらの効果は出ると言えます。
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