6/26/2021

肩周りの安定性強化のための腕立て伏せ

肩甲骨のコントロール能力と、肩関節を安定させる細かい筋肉の強化に効果的な腕立て伏せのやり方を解説していきます。腕立て伏せで肩周りの安定性を強化しておくと、ベンチプレスで肩を痛めにくくなると思います。

このあと肩周り(肩甲帯)のトレーニングをテーマに記事を書くつもりで、その中のエクササイズの一つとして腕立て伏せを出そうと思っています。腕立て伏せは難しい種目で、技術的に細かい解説が必要なため別記事として書くことにしました。





腕立て伏せは終始、直立姿勢と同じ姿勢を保ち続けます。頭、胴体、骨盤、脚が一直線です。首を反らしたり、顎を引いたりはせず、背を高く、首を長くするイメージで姿勢を作ります。お腹が下に落ちて腰が反るのはNGなので、それを特に注意します。

足は指のみ接地して、拇指球など足の裏は地面につけません。踵を高くするイメージを持つと、全身の姿勢を保ちやすくなります。

体幹前側と、大腿四頭筋に力を入れます。臀筋は力を入れても入れなくてもどっちでもいいと思いますが、私は臀筋も収縮させたほうが全身の力が入りやすいので収縮させています。姿勢維持の観点からは、お腹の落ち込み(背骨と股関節の伸展)を防ぐために、背骨屈曲(腹筋)、股関節屈曲(大腿直筋と腸腰筋)に力を入れれば良いでしょう。

肩甲骨は下制のポジションを保ちます。下制のまま、トップポジションでは開く(外転)、ボトムポジションでは寄せる(内転)です。肩甲骨周りの細かい筋肉を緊張させ、肩甲骨と肩関節の安定を保ったまま動かしていきます。

肩甲骨周りの細かい筋肉の緊張のさせ方がわからない場合、ヨガプッシュアップのプッシュアップ抜きの動作を繰り返して、感覚を掴むと良いと思います。


腕を曲げる時は、真下ではなくて斜め前に倒れ込む感じで腕を曲げていくとスムーズになります。肩甲骨を寄せながら、胸(胸郭)を押し出します。

上腕が水平になるくらいがボトムポジションの目安です。肩関節と肩甲骨の安定したコントロールを意識していると、上腕が水平になるくらいで肩甲骨が止まって腕も止まります。これ以上深く下ろしていくと、肩関節で上腕骨頭が前にずれたり、肩甲骨が前傾したりしやすくなり、肩に良くありません(ローイングで肘を引きすぎるのが肩に良くないのと同じ)。胸を床にタッチしにいく意識は持たないほうが良いです。


手幅は肩幅よりも少し広いくらいです。ハの字にしたりせず指がまっすぐ前を向くようにします。

手のひらは床にべったりつけません。スクワットなどで踏ん張るときの足裏と同じようにアーチを作り、手のひらの小指側にある筋肉に力を入れて安定させます。アーチを作ったほうが肩周りが安定しやすいですし、アーチを作らないとおそらく手首の小指側(TFCC)を痛めやすくなります。

負荷は小指側の前腕の骨(尺骨)で受けます。尺骨で負荷を受けるのはベンチプレスと同じです。上腕骨とヒンジ関節を形成し、上腕三頭筋が付着するのは尺骨なので、尺骨に負荷を乗せることで肘の伸展の力がストレートに伝わります。拇指球で押すと親指側の前腕骨(橈骨)に負荷が乗りやすくなるので、手のひらのアーチで受けて尺骨に負荷を乗せる感じのほうがやりやすいと思います。

肘は横に開かず、後ろに曲げていきます。ボトムでの脇角度は20°くらいです。

肩周りの安定性を鍛えるのが目的の腕立て伏せは、エキセントリックはゆっくり、ボトムで静止、コンセントリックは速く、が良いと思います。大胸筋に効かせるといったことは考えず、肩周り(肩甲帯)のテンションを保ったまま、肩甲骨と肩関節をスムーズに動かすのを意識すると上手くいきやすいです。下の動画のように壁際でやると、肘が横に開くのを防げます。

動画:腕立て伏せ後ろから
https://www.youtube.com/watch?v=qlW3ppWw_0Q

肩甲骨を大きく動かします。



Youtubeで探すと、この動画のやり方が近いです。手の形と、ボトムの深さ以外は同じです。 

動画:7 Push-Up Mistakes Never Do | How to do Perfect Push -Up
https://www.youtube.com/watch?v=NS4Rta4mFWQ


手幅ワイドで大胸筋に効かせる腕立て伏せは、肩の怪我につながりやすいので、個人的にはあまりおすすめしません。効かせたかったら、バーベルやダンベルでベンチプレスをやったほうが良いです

腕立て伏せは筋力面でも技術的でも難易度が高いです。初心者の方は、膝をついたり、椅子などに手をついて身体を斜めにしたりして、良いフォームを維持できるやり方にするのが良いでしょう。

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