6/19/2021

足裏と足首の強化(スクワットやデッドリフトでの安定した踏み込み)

足裏・足首は身体と地面の接点なので、スクワットやデッドリフトの時に安定していることが重要です。また何かスポーツをやる場合も、足裏・足首のスタビリティ(安定性)はとても大事です。

足裏・足首の安定性を強化することで、パフォーマンスがどれだけ向上するかは、現在のコンディションと、どのような運動をするかによります。現時点で足裏・足首のアラインメントが悪かったり安定性が低くて、ランニングやサッカーなど足裏・足首に強い負荷がかかるスポーツをするなら、足裏・足首を鍛えることでパフォーマンス向上やケガ防止などが見込めます。この場合は、足裏・足首を強化することを強く勧めます。

足を使う運動はスクワットやデッドリフトくらいしかやらないなら、ウェイトリフティングシューズなどサポート力の強い靴を履いたり、アーチサポートのインソールを使ったりすれば、足裏・足首のコンディションが良くなくても、問題が出ないことも多いです。その場合は、足裏・足首を鍛えてもスクワットやデッドリフトの1RMが向上したりはしないでしょう。

足裏・足首のアラインメント異常や安定性の低さは、膝や股関節や腰などに悪影響を及ぼすことがあるので、鍛えておくと怪我を防ぎやすいです。またスクワットの際に膝が内側に入ったり、足首のモビリティが問題になる場合、足裏・足首のコンディション不良が原因のこともあるので、今回の記事のエクササイズをすることで改善される場合もあります。ただ、直接的にパフォーマンス向上をもたらすようなものではないので、地味なトレーニング箇所です。

正常な身体機能の維持や健康面では、足裏・足首は絶対に鍛えたほうが良いです。現代人の足は靴で過保護にされ、窮屈なポジションに押し込められているので、望ましい足裏・足首のコンディションの人は少ないです。




望ましい足裏・足首の状態

足裏は3つのアーチと三点荷重、足首はまっすぐの正常なアラインメント。この状態が望ましいです。






足裏・足首の強化エクササイズ

以下のエクササイズはすべて、裸足でやるのがベストです。裸足になれない時は、靴下やベアフットシューズがおすすめです。


<タオル踏みランジ>

タオルを細長く丸めて足の真中の少し後ろに置き、ゆっくりと踏みこみます。足裏の正常なアーチを取り戻すために、足の骨のズレを直します。深く踏み込む必要はなく、浅い踏み込みで良いので、青竹踏みのような痛気持ちいい感じがすればOKです。



<足首の動きで文字を空中に書く>

つま先でひらがなやアルファベットを空中に書きます。足の指を動かすのではなくて、足首をグリングリン動かします。足首を前後、左右、回転と動かすのが目的なので、書くのは文字でなくても構いません。



<タオルつかみ>

足裏エクササイズで定番のタオルつかみ(タオルギャザー)です。

開いた時に足指同士がくっついて自力で離せない場合は、あしゆび開き、あしゆびセパレーター、トゥセパレーターといった道具をしばらく使って、指をひらけるようにします。




<足裏・足首のポジション作り>

以下の手順で、足裏・足首のポジションを作り、腰幅で直立して60秒静止します。アーチを高くする、足の長さを短くすることを意識し、三点荷重を感じながら立ちます。慣れないうちは、足の変なところがつりそうになって結構きついと思います。足指が自力でひらかない場合は、手を使って足指をひらいていきます。

これが足裏と足首の基本ポジションです。以降の片足立ちなどのエクササイズはすべて、この基本ポジションを作ってから行います。



デッドリフトやスクワットもこの足裏・足首のポジションが基本で、踏ん張るときは床を掴んで踵方向に引きつける感じで力を入れると安定します。



<足を前後に並べて両足で立つ>

足裏と足首のポジションを作った状態で、バランス・スタビリティのトレーニグをしていきます。

まずは踵とつま先が触れるように足を前後に並べて直立し、30秒静止します。右足が前パターンと、左足が前パターンの両方をやります。慣れたら目を瞑ります。

次のステップが片足立ちなのですが、片足立ちが難しい場合はこれを先に練習します。片足立ちが問題なくできるなら、このエクササイズは飛ばしてOKです。



<片足立ち>

上げているほうの足を軽く前に出して片足立ちをし、30秒静止します。両足の親指が同じライン上にくるかこないかくらいが目安です。骨盤は水平で傾かないように。腕はリラックスして下げ、目線は前方向です。両足ともやります。慣れたら目を瞑ります。



<片足立ちしながら重りを持ち替える>

片足立ちに慣れたら、今度は片足立ちしながら、ケトルベルかダンベルかウェイトプレートを左右の手で持ち替えます。直立のまま姿勢をぶらさないように。5往復(10回持ち替える)おこないます。

男性の場合、重りの目安は5kgくらいです。女性は3kgくらい。重すぎて反動をつけないと持ち上げられない場合は、もっと軽めの重りを使います。慣れてきたら重さを増やしていきます。



<エキセントリック重視のカーフレイズ>

手でドア枠など適当なものに掴まってバランスとりながら、両足でつま先立ちして、それから10秒かけて踵を下ろしていきます。小趾球と拇指球の接地、足指で床を掴むのを意識します。

慣れてきたら両足でつま先立ちしてから、片足立ちに切り替えて踵を下ろしていきます。扁平足の人はつま先を少し外側に開いて小趾球に強めの負荷を感じながらやると良いでしょう。



<腿上げしてつま先立ち>

腿上げしてから、拇指球と小趾球で踏み込んでカーフレイズをします。足、膝、体幹がぶれないようにまっすぐに踵をあげます。




<片足RDL>

慣れないうちはなにかに掴まりながら行います。慣れたら手を離して自重で。負荷を上げたい場合は、手に重りを持ちます。絵では胸椎の捻りを入れていますが、入れなくても構わないです(重りを持つ場合は捻るのは難しい)。

動きになれて筋力に余裕のある人は、自重での片足RDLをトレーニグ前のウォームアップに組み込むと良いでしょう。臀筋など大きな筋肉の筋トレ効果も狙いたい場合は、両足の(普通の)スクワットやデッドリフトをメイン種目としてやったあとに、補助種目として手に重りをもった片足RDLをおこなうと良いと思います。




実践

運動は趣味の筋トレだけで、足に負荷がかかる種目はスクワットやデッドリフトくらいなら、上で紹介したエクササイズをやっていけば足裏・足首のスタビリティは十分に鍛えられると思います。

ランニングやサッカーなど動きの激しいスポーツをやっている場合は、片足ぴょんぴょんで前後左右に跳んだりすると良いと思います。前後左右の急激な動きに対する足裏・足首のスタビリティが必要になるので、その能力を鍛えます。球技の場合は、片足立ちでメディシンボールを投げたりすると良いでしょう。

動画:HighPerformanceHandbook.com: Heidens
https://www.youtube.com/watch?v=QIZxaxt9dYg

動画:Plyometrics (Phase 2) ACL Exercise: Single Leg Jump Targets
https://www.youtube.com/watch?v=0MCW2YhV7s8

動画:EliteBaseballMentorships.com: 1-leg Overhead Med Ball Taps to Wall
https://www.youtube.com/watch?v=5u8m1WId0LI

タオルつかみや片足立ちは、家で暇な時や、子供と遊びながらや、歯磨きしながらや、ドライヤーで髪を乾かしながらやると良いでしょう。一回あたりは短時間、それを高頻度でやっていくと良いです。

ジムでやる場合は、セット間インターバルにちょこちょこやるのが良いと思います。ベンチプレスなどの上半身種目のインターバルには、大抵の足裏・足首エクササイズが行えます。あとは、サイドレイズを片足立ちでやったりするのも良いでしょう。主目的の種目にネガティブな影響が出ない範囲で、時間をあまりかけないように工夫してメニューに組み込むのがおすすめです。



バランスとスタビリティ

バランスとスタビリティの一般的な定義は、

バランス:重力のもとで身体の均衡をコントロールし、重心を土台部分(手や足や車輪)の上に維持すること。均衡とは、静止、もしくは等速運動。

スタビリティ:加速・減速や、外部から加わる力に抵抗して、身体のポジションや軌道の均衡を保つ能力のこと。

この記事のエクササイズを簡単に分けると、シンプルな片足立ちはバランスを強化する種目で、手に重りを持ったり動きをつけたりするとスタビリティを強化する種目になります。

スタビリティには筋肉の協調と筋力発揮が必要です。動きの激しさ(加速・減速)、外部からの力(重りの重さ)を調整することで、漸進的過負荷をかけて鍛えていきます。ただ、スタビリティは大きな筋肉が力を発揮するときのボトルネックにならなければ良いので、ある程度までスタビリティを高めたら維持フェーズに入り、スタビリティトレーニグの強度は一定にすると良いと思います(独立したスタビリティトレーニグを減らし、ウォームアップや複数の目的を含んだ補助種目に組み込むと効率的です)。

スタビリティを大きな筋肉のキャパシティ以上に鍛えても、あまりメリットが無いです。最強の足裏・足首に鍛え上げても、太腿や尻の筋肉が弱ければ下半身の出力は弱いままです。これは体幹や肩周りのスタビリティについても同じことが言えます。ボトルネックにならない程度までは漸進的過負荷で鍛えたほうが良いですが、大きな筋肉の出力以上まで鍛えてもあまり意味がないので、筋力バランスを見つつ維持フェーズに入ったほうが、そのぶんの時間と労力を他のところに使えます。

スタビリティ強化のエクササイズをやる場合、そのエクササイズの主目的を明確にしておくと良いです。例えば、両足スクワットをBOSU(半球型のボヨンボヨンした道具)など不安定な土台の上でおこなうのは効果的ではありません。両足スクワットは、両足で踏ん張って安定度を高くすることで、大きな筋肉や下半身全体の出力を高めることが目的の種目だからです。両足スクワットなら、固い床でスクワットをやったほうが良いです。目的を明確にせず、中途半端にストレングスとスタビリティを混ぜたエクササイズをやっても、どっちつかずになりあまり効果が得られません。

バランス方面の漸進的過負荷は、地面との接地部分を小さくしたり、接地部分を不安定にしたりといった方法になりますが、多くの場合は、競技が行われるフィールドと同じ条件(固い床や土や芝生など)の場所で片足立ちをする程度でいいかなと思います。下の動画のような高いバランス能力が必要な競技なら、バランスも漸進的過負荷で鍛える必要があるでしょう。

動画:世界ランク1位も練習 お寺の境内でスラックライン 長野・小布施町
https://www.youtube.com/watch?v=Tv5x3z9SCSI



ベアフットシューズ

筋トレでの靴はベアフットシューズが個人的にはおすすめです。Amazonで3000円くらいで売っているもので十分な性能です。サポート力の強い靴からベアフットシューズに切り替える場合は、足首・足裏の準備が出来ていないと足元が不安定になって危ないです。上で紹介したエクササイズをやってみて、足裏と足首の機能が十分かチェックしたほうが良いでしょう。準備が出来ていない場合は、足裏・足首のエクササイズを続けて強化していきます。

関連記事:ベアフットシューズの使用感

ベアフットシューズで走ったり歩いたりする場合は、ストライドの大きな踵着地だと関節にダイレクトに衝撃が伝わり怪我をしやすくなります。ストライド狭めのミッドフット着地かフォアフット着地で、足のアーチ、足首、膝を柔らかく使って着地の衝撃を吸収する必要があります。それといきなり長距離を走ったり歩いたりすると怪我をするので、足裏・足首を強化しつつ少しずつ慣らしていくのが良いでしょう。




<参考サイト>


3 Critical Exercises For Pronated, Flat Feet. (Causing Foot, Knee & Back Pain) UPDATED
https://www.youtube.com/watch?v=MaVAsuwYacE

Developing Strength & Stability in the Foot, Ankle, and Lower Leg
https://www.mountainpeakfitness.com/blog/strength-stability-foot-ankle-lower-leg

Why Weak Feet and Ankles Can Ruin Your Strength and Speed...And How to Fix
https://www.advancedhumanperformance.com/why-weak-feet-and-ankles-can-ruin-your-strength-and-speed-and-how-to-fix-them

The Importance of Foot & Ankle Workouts for Athletes
https://www.advancedhumanperformance.com/footandankleworkouts

The Truth About Barefoot Training
https://www.advancedhumanperformance.com/truthbarefoottraining

5 Important Lessons on Balance Training
https://ericcressey.com/5-important-lessons-on-balance-training

タオル踏みスクワット
https://funda-reha.com/squat-while-stepping-on-the-towel/

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