1/11/2017

股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み


トレーニングをしていると股関節の前側が痛いときがある、またその痛みを予防したい人向けの記事。慢性的な痛みが続いていたり、歩くだけで痛いといった場合は病院に行った方が良い。

股関節の前側の痛みの原因には、いくつかの候補がある。トレーニングを行う人によく見られる痛みの原因とその対処法を書いていく。


1) 股関節の屈筋の問題(腸腰筋、大腿直筋)
日々の生活で座っている時間が長くて股関節の屈筋が固く縮こまっていると、それ自体で屈筋が痛む場合があるし、股関節のボールとソケットが動くスペースが狭まることで衝突が起き痛みが起こる場合もある。また股関節の屈筋が固く縮こまっていると腰痛も起こりやすい。股関節の屈筋が縮こまっていると骨盤が前傾して腰椎が過度に伸展しやすく、大腰筋が縮こまっていると腰椎が直接引っ張られて過度に伸展しやすい。左右差があると腰椎に捻じれも起こる。

それとウェイトトレーニングでは少ないと思うけど、股関節の屈筋が繰り返し伸ばされて炎症を起こしたり、急激に伸ばされて怪我をするケースもある。

股関節の屈筋が固いかどうかはトーマステストで調べられる。

動画:Thomas Flexor Stretch | hip flexor self test

固い場合はストレッチを行う。股関節の屈筋をストレッチする時は、同時に臀筋を強く収縮させると良い。


2) 骨の問題
大腿骨頭と、それが嵌まる骨盤のソケット部分のかみ合わせがあまり良くないと、股関節で衝突が起きる。スクワットで深くしゃがもうとすると股関節の前側が痛みそれ以上しゃがめない場合はこの可能性がある。深くしゃがむスクワットを止め、他の種目に切り替えて、痛みがなくなるか観察する。

参考サイト:股関節インピンジメント


3) 股関節の伸展をする時に臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使っている
臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行うと、大腿骨が前方に押し出され、股関節の前側で摩擦が起きたりする。ハムストリングスだけでなく臀筋もしっかり使って股関節の伸展を行うと、大腿骨頭がソケットにうまく嵌ってスムーズに動く。

この画像の上図が臀筋を使って股関節の伸展を行う様子。下図がハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行う様子で、大腿骨頭が身体の前方に押し出されている。

このケースでは、痛みはあるけどスクワットで深くしゃがめる。また、ハムストリングスや内転筋が固く張っていたり、腰が痛む(腰が過度に反ることでの痛み)といった症状を伴うことがある。

スクワットとデッドリフトで臀筋をしっかり使っておらず股関節のロックアウトが出来ていない例を出すと、

スクワットはこんな感じ
動画:Bad Squat Finish: Incomplete Hip Extension

デッドリフトはこんな感じ。ちゃんと見てないけどたぶん言ってることは正しい。
動画:Deadlifting 315 lbs. with BAD FORM To Prove A Point

デッドリフトの動画から画像キャプチャして例を出すと、

1.ハムストリングスと腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。

2.大腿四頭筋と腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。

3.臀筋を使って股関節をロックアウト(良い例)。

上に挙げたような悪いフォームでトレーニングを行っている人は、股関節の前側やハムストリングスや腰を痛めるリスクが高いので注意した方が良い。臀筋を使って股関節の伸展を行うやり方を覚えるには、ヒップスラストをやるのが良いと思う。臀筋も集中的に鍛えられる。

参考記事:ヒップスラストのやり方

下の動画の1:30あたりから正しい股関節の使い方の実演がある。ヒップスラストもデッドリフトもスクワットも、ロックアウトの時の股関節の使い方は同じ。
動画:Proper Hip Thrust Form

臀筋を鍛えるには、アイソメトリックで臀筋を強く収縮させるのも良い。
動画:Half Kneeling Glute Posterior Tilt Hard Brace


4) 体幹が弱い
レッグレイズやデッドバグなど脚を上げ下げして腹筋を鍛える運動をする際、特に脚を下ろす時に股関節の前側が痛くなる場合。このケースでは体幹の筋肉が弱くて、代償として大腿直筋や縫工筋や腸腰筋といった股関節の屈筋が過度に働いている。

対処法は、腹筋下部と腹斜筋に強く力を入れる。ドローインしながらやるとやりやすい。これでも良くならない場合は、膝を曲げながら脚の上げ下げを行うと良い。



★まとめ
ウェイトトレーニングを行っている人に多いケースは、1)と3)の組み合わせだろう。対処法は、股関節の屈筋のストレッチと臀筋の強化を行い、股関節の正しい使い方を覚える。デッドバグやプランクで腹筋下部の強化も行った方が良い(参考記事:骨盤の前傾の矯正)。3)だけなら股関節の屈筋のストレッチは行わないほうが良いだろう。


参考サイト:
Troubleshooting Anterior Hip Pain
http://deansomerset.com/troubleshooting-anterior-hip-pain/

Hip Pain In Athletes: Understanding Femoral Anterior Glide Syndrome
http://ericcressey.com/newsletter150html

How Should I Treat My Sore, Tight Hip Flexors?
https://www.girlsgonestrong.com/blog/injury-prevention/ask-ann-how-should-i-treat-my-sore-and-tight-hip-flexor/

Squats and Hip Dysfunction: 2 Common Problems and How to Fix Them
https://breakingmuscle.com/learn/squats-and-hip-dysfunction-2-common-problems-and-how-to-fix-them

0 件のコメント:

コメントを投稿