腕と脚と胴体の長さのバランスによって、デッドリフトはフォームが変わってくるのでその考察です。
そのフォームを実行可能かは、股関節の骨の噛み合わせ(大腿骨頭の角度や太さ、骨盤のソケットの向きや深さ)が深く関わりますが、スムーズに動作しやすいフォームは骨格バランスが強く影響します。
スクワットについての記事ですが、股関節の骨の噛み合わせについては関連記事に詳しく書いてあります。
関連記事:股関節の骨の個人差とスクワットのスタンス
本記事では、主にナローデッドリフトのフォームを考察していきます。スモウも少々。
3タイプの骨格に分けて考えていきます。
(1)バランス型タイプ(腕の脚の長さが普通)
(2)腕と脚が長くて胴体が短いタイプ
(3)腕と脚が短くて胴体が長いタイプ
脚が短くて腕が長い体型の人もいますし、逆に脚が長くて腕が短い体型の人もいますし、大腿とスネの長さの比率によってもフォームは変わってきますが、とりあえず3タイプに分けます。
12/04/2021
10/25/2019
パワーリフターの骨格
筋肉が太ければ重い重量を持ち上げられる。そのためパワーリフティングの選手は筋肉量は多いし、腕や脚の周径は太い。しかし趣味でトレーニングしている人に比べると、パワーリフティングの選手は非常に重いバーベル、時には数倍の重量を持ち上げることが出来る。なぜそれほど重量に差が出るのか、筋肉以外にも要因があるのではないかと思い、彼らの骨にはどのような特徴があるのかと調べてみたら、いくつか面白いことがわかった。なぜ骨を調べるのかと言うと、骨格はバーベルを持ち上げるときのレバレッジや挙上距離に関係するから。
パワーリフターの骨格について調べている3つの研究が見つかったので、順に見ていく。全身の筋肉量や腕・脚の周径のデータもあるけど、標準体型に比べて筋肉量は多く、腕や脚は太いという当たり前の結果なのでそこは省いて、骨についてのデータを見ていく。
★予備知識 Zp-scoreについて
身体が大きければ、それだけ骨は太くて長くなる。背の高い人と背の低い人の身体測定の絶対値を比べてもあまり意味はない。従って、標準的なバランスの体型と比べて、身体測定の各項目がどれだけ逸脱しているかを示す、Zp-scoreという指標を使って見ていく。
多くの人の身体測定データから作ったPhantomという男女合わせた人間の標準体型みたいなデータがあって、それと比較してどうなのかを示したのがZp-score。Z-scoreのPhantom参照という意味。
身長の影響を考慮していて、例えばAさんの身長が160cmで大腿骨の太さが10cm、Bさんの身長が176cmで大腿骨の太さが11cmだった場合、二人の大腿骨のZp-scoreは同じになる。
Zp-scoreは0が平均で、標準偏差が1。数字が大きくなるほど平均を上回ることを示す。数字がマイナスだと平均を下回ることを示す。正規分布に従う場合、出現確率はZp-scoreが1以上が上位16%、2以上が上位2.3%、3以上が上位0.13%、4以上が上位0.0032%となる。
偏差値に例えて書くと、偏差値は平均が50で標準偏差が10なので、Zp-score0が偏差値50、1が偏差値60、2が偏差値70、3が偏差値80、4が偏差値90となる。
測定方法の一例。大腿骨の幅は以下のように測定。膝のすぐ上の骨の幅。
動画:Epicondylar Femur Width (Breadth) Measurement
https://www.youtube.com/watch?v=gLSniqEX3n8
上腕骨の幅は以下のように測定。肘のすぐ上の骨の幅。
動画:Epicondylar Humerus Width (Breadth) Measurement
https://www.youtube.com/watch?v=lyjVA9d6hQ8
測定箇所のPhantomデータがあれば、Zp-scoreを計算できる。計算方法は、Phantom身長とその人の身長の比で測定箇所の数値を調整して、Phantom平均で引いてから、Phantom標準偏差で割る。

★研究1
(1)Anthropometric dimension of male powerlifters of varying body mass
https://www.researchgate.net/publication/6053231_Anthropometric_dimension_of_male_powerlifters_of_varying_body_mass
被験者はニュージーランドでの国際大会とニュージーランドの全国大会の参加者で全て男性。
各階級の被験者を軽量級(Lightweights)、中量級(Middleweights)、重量級(Heavyweights)の3つにグループ分けして分析。
軽量級:75kg級以下
中量級:82.5kg級、90kg級、100kg級
重量級:110kg級以上
軽量級平均:身長163.0cm、体重68.9kg
中量級平均:身長174.7cm、体重87.7kg
重量級平均:身長174.7cm、体重121.9kg
被験者は非常に高いレベルのパワーリフター
- 世界大会出場経験者が6名
- オセアニア大会出場経験者が35名
- ニュージーランド全国大会出場経験者が10名
- ニュージーランド地区大会出場経験者が3名
以下の図は、骨の太さと腕・脚の長さのZp-score。正規分布に従うなら、Zp-scoreが2で100人に2人くらいの出現確率。Zp-scoreが4だと10万人に3人といったレベルなので、重量級の選手は規格外の骨格の太さや厚みを持っている。
★研究2
(2)To what extent does sexual dimorphism exist in competitive powerlifters?
https://www.researchgate.net/publication/5577046_To_what_extent_does_sexual_dimorphism_exist_in_competitive_powerlifters
(1)の研究と同じ研究者によるもの。被験者はオーストラリアの全国大会とニュージーランドでの国際大会の参加者。男女分けて分析。女性14名、男性54名。
女性被験者平均:身長159.9cm、体重65.1kg
男性被験者平均:身長172.9cm、体重94.2kg
★研究3
(3)Anthropometric profile of powerlifters: Differences as a function of bodyweight class and competitive success
https://www.researchgate.net/publication/271331626_Anthropometric_profile_of_powerlifters_Differences_as_a_function_of_bodyweight_class_and_competitive_success
被験者はアルゼンチンの全国大会の参加者で全て男性。階級は56kg級から125kg超級まで。
各階級の勝者(Winners)と、それ以外(Non-winners)でデータを分けて分析している。
★パワーリフターの骨格の特徴
3つの研究の結果をまとめると、
・男性重量級は骨格の太さ・幅が規格外。
・男性中量級・軽量級と女性選手は骨の太さと幅が似通っている。ただ上腕骨の幅と肩幅は男性中量級・軽量級のほうが太い。
・胸の厚みは男性選手も女性選手もかなり厚みがある。
・男性重量級以外は、大腿骨の太さはそれほど太くはない。常人離れしたスクワット重量を考えると意外。
・腕や脚の長さは、重量級も軽量級も、男性選手も女性選手も標準体型のバランスに近い。パワーリフターは腕や脚が短いわけではない。むしろ前腕は長め。
★考察
<骨の太さ>
パワーリフターの骨は太い。特に上半身が太くて幅がある。骨が太いとパワーリフティングで有利な点は、まず筋肉量の遺伝的限界が高いこと。遺伝的限界まで鍛え続けた場合、多くの男性は、「筋肉:骨=5:1(重量比)」になる(女性は4:1)。骨が太くて骨量が多ければ、それだけ筋肉を多く付けることが出来る。筋繊維の単位面積当たりの筋力には個人差があるが、筋肉が太ければそれだけ強い筋力を出せる。
(3)の研究のデータを見ると、75kg級~100kg級では筋肉と骨の比率(Muscle to Bone ratio)は5.0付近になっている。この辺の階級の選手は、生まれ持ったポテンシャルの限界近くまで筋肉を発達させていると考えられる。重量級は選手数が少なく、また測定精度の問題もあって、数値がばらついている。軽量級は、競技歴が短く筋肉が発達しきっていないのか、意図的に筋肉量を抑えて階級を下げているのかわからないが、筋肉と骨の比率は低めになっている。
骨が太いとパワーリフティングで有利になるもう一つの点は、腱の付着点が関節の回転軸から遠くなりやすいので、レバレッジ(てこ比)の点で強い筋力を発揮しやすいこと。レバレッジには、骨の長さと骨の太さの両方が関係する。詳しくは以下の記事を参考に。
参考記事:力持ちの身体的特徴
胸の厚みがかなりあるのは、ベンチプレスで有利になるからだろう。挙上距離が短くなるだけでなく、強い筋力を発揮しやすいレンジで動作を行うことが出来る。
男性選手の上腕骨はかなり太い。上腕骨が太くてベンチプレスが有利になるのと、大腿骨が太くてスクワットが有利になるのとでは、後者のほうがトータルの記録は伸びそうな気がするのだがそうはなっていない。テープで周径を測ったデータ(筋肉の太さも含まれる)でも、大腿部の太さが極端に太いわけではない。
男性重量級を除けば、男女とも大腿骨はそれほど太くはない。脚が極端に太くないのは、脚の筋力ももちろん大事だけど、ロウバースクワットとデッドリフトだと股関節の筋力と背中が耐えられるかどうかが重要だからかもしれない。また脚の骨が太くなるとそれだけ体重が重くなるので、体重制限がある場合は、このくらいの大腿骨の太さがもっともパフォーマンスがよくなるのかもしれない。
もしくは、男女の骨格差は上半身で顕著なので、内分泌系かなにかわからないけど骨格の発達に影響する因子が極めて男性型の人は、上半身の骨格全体が太く厚みのあるものになるが、下半身の骨格にはあまり影響が無いのかもしれない。
<腕と脚の長さ>
パワーリフターの腕や脚の長さは、標準体型のバランスに近く、前腕が長めの傾向がある。体重が重くても軽くても、女性でも男性でも、同じような腕と脚の長さのバランスになっている。
各種目に有利な腕と脚の長さを考えてみると、
・スクワット:太腿が短いほうが股関節とバーベルの水平距離が短くなるので有利。脛の長さはたぶん関係ない。
・ベンチプレス:上腕が短いほうが肩関節と手の距離が短くなるので有利。前腕が短いほうが挙上距離が短くなるので有利。
・デッドリフト:上腕も前腕も長いほうが有利。太腿が短いほうが股関節とバーベルの水平距離が短くなるので有利。コンベンショナルでは脛が長いほうが股関節の位置が高くなり、股関節とバーベルの水平距離が短くなり、また膝関節をより伸ばした状態でスタート出来るので有利。それと股関節の位置が高いと、スタート時にハムストリングスと広背筋が適度に伸ばされて力が入れやすくて有利だと思う。スモウも太腿が短いほうが有利。スモウの脛は・・・ちょっとよくわからない。横から見た場合、スモウは脛が垂直に近くなるので、この場合は脛が短いほうが有利かもしれない。
各種目で有利になる腕や脚の長さは違っているので、3種目トータルで記録を出せる人は、ほぼ標準体型のバランスの腕と脚の長さになるのだろう。前腕が長めなのは、ベンチプレスで少し不利になってもデッドリフトでの有利さが勝るのだと思う。上腕が長くなるとベンチプレスはレバレッジが不利になるが、前腕なら挙上距離が少し長くなるだけでデメリットが小さい。太腿は短くてもデメリットは無いと思うが、(1)と(2)の研究では太腿は短くなっていない。各部位全てで都合の良いパラメータを引くのは確率的に非常に稀だということだろうか。
デッドリフトがコンベンショナルとして、3種目で記録を出すのに力学的に理想の体型は、「上腕が短くて前腕が長い、太腿が短くて脛が長い」だと思う。(3)の勝者グループがまさにこの体型になっている。
ちなみにこのようなことを調べて何の役に立つのかと言うと、まず第一に競技に向いている人の発掘で、論文にも研究実施の背景として書かれている。あとは、中量級と重量級の中間ぐらいの体重の人が、どの階級で競技を行うか判断する際にも役立つかもしれない。骨格を調べて重量級で戦えるくらいの太さなら、重量級を選ぶと良いだろう。
★他の競技の骨格データ
競技によって骨格が様々で興味深い。ただ多くのスポーツは要求される要素が多くて、チームスポーツだったら、ポジション毎に特徴が異なるだろうし、筋肉の質(持久力・瞬発力)、全身持久力、速さの質(スピード、クイックネス、アジリティ)、動体視力、空間認識能力、ボールの軌道をシミュレートする能力など、競技によって様々な能力が必要になると思われ、骨格のみで才能を発掘することは難しいだろう。
ブラジリアン柔術:Anthropometric Characteristics of Top-Class Brazilian Jiu Jitsu Athletes: Role of Fighting Style
http://www.intjmorphol.com/wp-content/uploads/2015/06/art_48_323.pdf
水球:Anthropometric changes in elite male water polo players: Survey in 1980 and 1995
https://www.researchgate.net/publication/8600662_Anthropometric_changes_in_elite_male_water_polo_players_Survey_in_1980_and_1995
合気道:Anthropometric Characteristics and Body Composition in Aikido Practitioners
https://scielo.conicyt.cl/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0717-95022016000200001
ボディビルダー:Body composition, somatotype and proporcionality of elite bodybuilders in Brazil*
http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S1517-86922003000600005&script=sci_arttext&tlng=en
パワーリフターの骨格について調べている3つの研究が見つかったので、順に見ていく。全身の筋肉量や腕・脚の周径のデータもあるけど、標準体型に比べて筋肉量は多く、腕や脚は太いという当たり前の結果なのでそこは省いて、骨についてのデータを見ていく。
★予備知識 Zp-scoreについて
身体が大きければ、それだけ骨は太くて長くなる。背の高い人と背の低い人の身体測定の絶対値を比べてもあまり意味はない。従って、標準的なバランスの体型と比べて、身体測定の各項目がどれだけ逸脱しているかを示す、Zp-scoreという指標を使って見ていく。
多くの人の身体測定データから作ったPhantomという男女合わせた人間の標準体型みたいなデータがあって、それと比較してどうなのかを示したのがZp-score。Z-scoreのPhantom参照という意味。
身長の影響を考慮していて、例えばAさんの身長が160cmで大腿骨の太さが10cm、Bさんの身長が176cmで大腿骨の太さが11cmだった場合、二人の大腿骨のZp-scoreは同じになる。
Zp-scoreは0が平均で、標準偏差が1。数字が大きくなるほど平均を上回ることを示す。数字がマイナスだと平均を下回ることを示す。正規分布に従う場合、出現確率はZp-scoreが1以上が上位16%、2以上が上位2.3%、3以上が上位0.13%、4以上が上位0.0032%となる。
偏差値に例えて書くと、偏差値は平均が50で標準偏差が10なので、Zp-score0が偏差値50、1が偏差値60、2が偏差値70、3が偏差値80、4が偏差値90となる。
測定方法の一例。大腿骨の幅は以下のように測定。膝のすぐ上の骨の幅。
動画:Epicondylar Femur Width (Breadth) Measurement
https://www.youtube.com/watch?v=gLSniqEX3n8
上腕骨の幅は以下のように測定。肘のすぐ上の骨の幅。
動画:Epicondylar Humerus Width (Breadth) Measurement
https://www.youtube.com/watch?v=lyjVA9d6hQ8
測定箇所のPhantomデータがあれば、Zp-scoreを計算できる。計算方法は、Phantom身長とその人の身長の比で測定箇所の数値を調整して、Phantom平均で引いてから、Phantom標準偏差で割る。

★研究1
(1)Anthropometric dimension of male powerlifters of varying body mass
https://www.researchgate.net/publication/6053231_Anthropometric_dimension_of_male_powerlifters_of_varying_body_mass
被験者はニュージーランドでの国際大会とニュージーランドの全国大会の参加者で全て男性。
各階級の被験者を軽量級(Lightweights)、中量級(Middleweights)、重量級(Heavyweights)の3つにグループ分けして分析。
軽量級:75kg級以下
中量級:82.5kg級、90kg級、100kg級
重量級:110kg級以上
軽量級平均:身長163.0cm、体重68.9kg
中量級平均:身長174.7cm、体重87.7kg
重量級平均:身長174.7cm、体重121.9kg
被験者は非常に高いレベルのパワーリフター
- 世界大会出場経験者が6名
- オセアニア大会出場経験者が35名
- ニュージーランド全国大会出場経験者が10名
- ニュージーランド地区大会出場経験者が3名
以下の図は、骨の太さと腕・脚の長さのZp-score。正規分布に従うなら、Zp-scoreが2で100人に2人くらいの出現確率。Zp-scoreが4だと10万人に3人といったレベルなので、重量級の選手は規格外の骨格の太さや厚みを持っている。
★研究2
(2)To what extent does sexual dimorphism exist in competitive powerlifters?
https://www.researchgate.net/publication/5577046_To_what_extent_does_sexual_dimorphism_exist_in_competitive_powerlifters
(1)の研究と同じ研究者によるもの。被験者はオーストラリアの全国大会とニュージーランドでの国際大会の参加者。男女分けて分析。女性14名、男性54名。
女性被験者平均:身長159.9cm、体重65.1kg
男性被験者平均:身長172.9cm、体重94.2kg
★研究3
(3)Anthropometric profile of powerlifters: Differences as a function of bodyweight class and competitive success
https://www.researchgate.net/publication/271331626_Anthropometric_profile_of_powerlifters_Differences_as_a_function_of_bodyweight_class_and_competitive_success
被験者はアルゼンチンの全国大会の参加者で全て男性。階級は56kg級から125kg超級まで。
各階級の勝者(Winners)と、それ以外(Non-winners)でデータを分けて分析している。
★パワーリフターの骨格の特徴
3つの研究の結果をまとめると、
・男性重量級は骨格の太さ・幅が規格外。
・男性中量級・軽量級と女性選手は骨の太さと幅が似通っている。ただ上腕骨の幅と肩幅は男性中量級・軽量級のほうが太い。
・胸の厚みは男性選手も女性選手もかなり厚みがある。
・男性重量級以外は、大腿骨の太さはそれほど太くはない。常人離れしたスクワット重量を考えると意外。
・腕や脚の長さは、重量級も軽量級も、男性選手も女性選手も標準体型のバランスに近い。パワーリフターは腕や脚が短いわけではない。むしろ前腕は長め。
★考察
<骨の太さ>
パワーリフターの骨は太い。特に上半身が太くて幅がある。骨が太いとパワーリフティングで有利な点は、まず筋肉量の遺伝的限界が高いこと。遺伝的限界まで鍛え続けた場合、多くの男性は、「筋肉:骨=5:1(重量比)」になる(女性は4:1)。骨が太くて骨量が多ければ、それだけ筋肉を多く付けることが出来る。筋繊維の単位面積当たりの筋力には個人差があるが、筋肉が太ければそれだけ強い筋力を出せる。
(3)の研究のデータを見ると、75kg級~100kg級では筋肉と骨の比率(Muscle to Bone ratio)は5.0付近になっている。この辺の階級の選手は、生まれ持ったポテンシャルの限界近くまで筋肉を発達させていると考えられる。重量級は選手数が少なく、また測定精度の問題もあって、数値がばらついている。軽量級は、競技歴が短く筋肉が発達しきっていないのか、意図的に筋肉量を抑えて階級を下げているのかわからないが、筋肉と骨の比率は低めになっている。
骨が太いとパワーリフティングで有利になるもう一つの点は、腱の付着点が関節の回転軸から遠くなりやすいので、レバレッジ(てこ比)の点で強い筋力を発揮しやすいこと。レバレッジには、骨の長さと骨の太さの両方が関係する。詳しくは以下の記事を参考に。
参考記事:力持ちの身体的特徴
胸の厚みがかなりあるのは、ベンチプレスで有利になるからだろう。挙上距離が短くなるだけでなく、強い筋力を発揮しやすいレンジで動作を行うことが出来る。
男性選手の上腕骨はかなり太い。上腕骨が太くてベンチプレスが有利になるのと、大腿骨が太くてスクワットが有利になるのとでは、後者のほうがトータルの記録は伸びそうな気がするのだがそうはなっていない。テープで周径を測ったデータ(筋肉の太さも含まれる)でも、大腿部の太さが極端に太いわけではない。
男性重量級を除けば、男女とも大腿骨はそれほど太くはない。脚が極端に太くないのは、脚の筋力ももちろん大事だけど、ロウバースクワットとデッドリフトだと股関節の筋力と背中が耐えられるかどうかが重要だからかもしれない。また脚の骨が太くなるとそれだけ体重が重くなるので、体重制限がある場合は、このくらいの大腿骨の太さがもっともパフォーマンスがよくなるのかもしれない。
もしくは、男女の骨格差は上半身で顕著なので、内分泌系かなにかわからないけど骨格の発達に影響する因子が極めて男性型の人は、上半身の骨格全体が太く厚みのあるものになるが、下半身の骨格にはあまり影響が無いのかもしれない。
<腕と脚の長さ>
パワーリフターの腕や脚の長さは、標準体型のバランスに近く、前腕が長めの傾向がある。体重が重くても軽くても、女性でも男性でも、同じような腕と脚の長さのバランスになっている。
各種目に有利な腕と脚の長さを考えてみると、
・スクワット:太腿が短いほうが股関節とバーベルの水平距離が短くなるので有利。脛の長さはたぶん関係ない。
・ベンチプレス:上腕が短いほうが肩関節と手の距離が短くなるので有利。前腕が短いほうが挙上距離が短くなるので有利。
・デッドリフト:上腕も前腕も長いほうが有利。太腿が短いほうが股関節とバーベルの水平距離が短くなるので有利。コンベンショナルでは脛が長いほうが股関節の位置が高くなり、股関節とバーベルの水平距離が短くなり、また膝関節をより伸ばした状態でスタート出来るので有利。それと股関節の位置が高いと、スタート時にハムストリングスと広背筋が適度に伸ばされて力が入れやすくて有利だと思う。スモウも太腿が短いほうが有利。スモウの脛は・・・ちょっとよくわからない。横から見た場合、スモウは脛が垂直に近くなるので、この場合は脛が短いほうが有利かもしれない。
各種目で有利になる腕や脚の長さは違っているので、3種目トータルで記録を出せる人は、ほぼ標準体型のバランスの腕と脚の長さになるのだろう。前腕が長めなのは、ベンチプレスで少し不利になってもデッドリフトでの有利さが勝るのだと思う。上腕が長くなるとベンチプレスはレバレッジが不利になるが、前腕なら挙上距離が少し長くなるだけでデメリットが小さい。太腿は短くてもデメリットは無いと思うが、(1)と(2)の研究では太腿は短くなっていない。各部位全てで都合の良いパラメータを引くのは確率的に非常に稀だということだろうか。
デッドリフトがコンベンショナルとして、3種目で記録を出すのに力学的に理想の体型は、「上腕が短くて前腕が長い、太腿が短くて脛が長い」だと思う。(3)の勝者グループがまさにこの体型になっている。
ちなみにこのようなことを調べて何の役に立つのかと言うと、まず第一に競技に向いている人の発掘で、論文にも研究実施の背景として書かれている。あとは、中量級と重量級の中間ぐらいの体重の人が、どの階級で競技を行うか判断する際にも役立つかもしれない。骨格を調べて重量級で戦えるくらいの太さなら、重量級を選ぶと良いだろう。
★他の競技の骨格データ
競技によって骨格が様々で興味深い。ただ多くのスポーツは要求される要素が多くて、チームスポーツだったら、ポジション毎に特徴が異なるだろうし、筋肉の質(持久力・瞬発力)、全身持久力、速さの質(スピード、クイックネス、アジリティ)、動体視力、空間認識能力、ボールの軌道をシミュレートする能力など、競技によって様々な能力が必要になると思われ、骨格のみで才能を発掘することは難しいだろう。
ブラジリアン柔術:Anthropometric Characteristics of Top-Class Brazilian Jiu Jitsu Athletes: Role of Fighting Style
http://www.intjmorphol.com/wp-content/uploads/2015/06/art_48_323.pdf
水球:Anthropometric changes in elite male water polo players: Survey in 1980 and 1995
https://www.researchgate.net/publication/8600662_Anthropometric_changes_in_elite_male_water_polo_players_Survey_in_1980_and_1995
合気道:Anthropometric Characteristics and Body Composition in Aikido Practitioners
https://scielo.conicyt.cl/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0717-95022016000200001
ボディビルダー:Body composition, somatotype and proporcionality of elite bodybuilders in Brazil*
http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S1517-86922003000600005&script=sci_arttext&tlng=en
6/11/2016
遺伝的な要因による筋トレ効果の違い
Genetics and Strength Training: Just How Different Are We?
遺伝的な要因によって、筋トレの効果にどのような個人差が出るのか。この記事をネタに筋トレの効果の個人差について書いてみたい。
ここでの遺伝的な要因とは、生まれつきの遺伝子と幼児期の発達過程で決まり大人になったらほぼ変えられないもののこと。
全く同じレジスタンストレーニングを行っても、筋肥大への効果にはかなりの個人差がある。これを示す研究はいくつもあって、
Variability in muscle size and strength gain after unilateral resistance training
https://www.researchgate.net/publication/7794282_Variability_in_muscle_size_and_strength_gain_after_unilateral_resistance_training
利き腕じゃない方の上腕二頭筋を12週間トレーニング。18-40歳の男女。被験者数500人超え。
レップ数は期間後半になるにつれて低レップに:12レップ→8レップ→6レップ
筋肥大にはかなり個人差がある。年齢と筋肥大の程度には相関が見られなかったので、(年齢と相関する)テストステロンレベルの差は筋肥大の個人差に重要な影響を及ぼしていないようだと論文では述べられている。
ただ、年齢と筋肥大に相関が見られなかったというのは、加齢とともに筋量が衰えていてトレーニング開始初期はマッスルメモリーで若者と同等の筋肥大になっていた可能性もある。トレーニングを継続していくと、年齢による差(テストステロンレベルによる差)が出てくるかもしれない。既存の研究は、トレーニング歴のない人を対象とした研究は被験者の年齢は様々だが、トレーニング歴のある人を対象とした研究はだいたいが大学の運動部員や20代のアスリート、つまり若者のみ。なのでマッスルメモリーの影響はよくわからない。
個人差をもたらしているのはレセプターなどの局所的な反応システムなのかもしれない。上半身と下半身の発達のしやすさには差があるし、女性は一般的には上半身の骨格が華奢で、上の研究でも示されているように上半身の筋肉が発達しにくい。
High responders to resistance exercise training demonstrate differential regulation of skeletal muscle microRNA expression
http://jap.physiology.org/content/110/2/309.long
この研究では、トレーニングへの反応の良いグループと悪いグループのmiRNAの違いを調べていて、miR-378の変化が除脂肪体重の変化と相関しているという結果に。
レップレンジは6-12レップ程度。トレーニングへの反応の良いグループと悪いグループでは、タイプⅠ・Ⅱ筋繊維の構成に違いはなかった。
Regulation of IGF -1 signaling by microRNAs
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4292735/
miR-378は心筋細胞のIGF-1シグナリングに関わるらしい。心肥大のメカニズムの文脈で研究されている。
思春期にはテストステロンレベルやIGF-1レベルが急上昇して、これが骨格や筋肉など身体の成長を促進する。人によってどの程度発達するかは、ホルモンレベルと局所的な反応システムの感度が影響してくるのだろう。成人後もレセプターか何かの局所的な反応システムの感度が筋肥大の個人差に影響を与えているのではないだろうか。思春期にガッチリした骨格になる人は、ホルモンの骨と筋肉への反応が良くて、成人後も筋肥大が起こりやすいのかもしれない。ちなみにAGAもレセプターの問題・・・。
Free testosterone is a positive, whereas free estradiol is a negative, predictor of cortical bone size in young Swedish men: the GOOD study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16007330
テストステロンレベルと骨の太さは相関する、という研究もある。
既存の研究でわかっていることは、6-12RM、3セット、週2回といった一般的なレジスタンストレーニングプログラムに対する反応が悪い人がいるということだけ。反応が悪い人も他のスタイルのレジスタンストレーニングプログラムで良い反応が出る可能性は残っている。
A genetic-based algorithm for personalized resistance-training
https://www.researchgate.net/publication/299415724_A_genetic-based_algorithm_for_personalized_resistance-training
この研究では遺伝子を調べて、パワー型(速筋型)と持久型(遅筋型)にグループを分け、それぞれグループをまた2つに分けて、高強度トレと低強度トレを行った。
高強度:10セット×2レップ
低強度:3セット×10レップ(2週間)→3セット×15レップ(3週間)→3セット×20レップ(3週間)
種目は、デッドリフト、プルダウン、フロントスクワット、フラットダンベルプレス、踏み台登り、垂直跳び。
得意と思われるレップレンジでトレーニングを行ったグループは、「パワー型×高強度トレ」「持久型×低強度トレ」。
苦手と思われるレップレンジでトレーニングを行ったグループは、「パワー型×低強度トレ」「持久型×高強度トレ」。
遺伝子タイプとトレーニングタイプを一致させた「パワー型×高強度トレ」「持久型×低強度トレ」のグループは、CMJ(腕の反動を使わない垂直跳び)も3分間自転車こぎも伸びが良かった。下の表の赤丸部分がタイプ一致トレ。
被験者はアスリートなので神経系は適応済みだろうから、CMJの伸びを筋肥大によるものと仮定すると、パワー型の人は低ップ、持久型の人は高レップのトレが良いということになる。
欲を言えば、1-3レップ、6-12レップ、15-20レップの三つのレンジでやって、通常のレジスタンストレーニングのレップレンジに比べて、タイプ一致トレがより高い効果を示すのかやってみて欲しかった。
パワー型が1-3レップと6-12レップで同等の効果がでるなら、6-12レップを選択する。持久型が、6-12レップと15-20レップで同等の効果がでるなら、6-12レップを選択する。高強度トレは恒常的に行うには時間効率面でも怪我リスク面でも非現実的だし、低強度トレはコンパウンド種目を20レップとかちょっとやりたくないし・・・。
筋肥大を目的とすると、パワー型は一般的なレジスタンストレーニングのレップレンジ6-12レップの下限近くで、持久型は上限近くで行うのが良い目安かも。色々試してみて、自分が筋肉に負荷をかけやすいレップ数で行うのが良いと思う。部位によってやりやすいレップ数も違うだろうし。私は持久型の筋肉なんだけど、3レップ以下だと筋肉に余力があるはずなのに動かなくなって負荷をかけにくく、高レップだと心肺とメンタルがきつくなってもまだ筋肉が動く。
パワー型かどうかは、中高生の時にやったスポーツテストの垂直跳びの記録で大体わかると思う。高く跳べた人はパワー型。
遺伝的な筋肉の性質に一致したトレーニングを行えばより良い効果が出る可能性はある。とは言うものの、骨格と筋肉量の上限の関係はソリッドに確立されていて、骨格がデカイほど筋肉量の上限も大きい。
YOUR Drug-Free Muscle and Strength Potential: Part 1
http://strengtheory.com/your-drug-free-muscle-and-strength-potential-part-1/
遺伝的限界まで鍛え続けた場合、多くの男性は、「筋肉:骨=5:1(重量比)」になる。女性は4:1。
恵まれた体質の男性だと、5.5:1くらいまでは筋肉がつくようだ。この比率を超えて筋肉がついている場合は、ほぼ100%薬物を使っている。
骨の総重量を計測するのは非常に手間がかかる。手首と足首の周径が骨の総重量とだいたい比例するので、手首と足首の太さを測ることで、限界まで鍛えた場合にどれくらいの除脂肪体重に達することが出来るか推測することが出来る。
上のリンク先の Casey Butt’s Maximum Muscular Potential Model のところに、自分の数値を入力するとマッスルボディの遺伝的な限界の推測値を出してくれるカルキュレーターがある。
単位がインチでよければ、オリジナルのカルキュレーターで。
Endocrine Crosstalk Between Muscle and Bone
骨と筋肉のコンディションは密接に関わっている。共通の遺伝子が影響するのか(例えばミオスタチン異常では筋肥大だけでなく骨の密度と強度が高くなる)、それぞれの細胞から分泌されるサイトカインにより情報交換を行っているのか
まあ普通に考えて、骨格のキャパシティを上回る筋肉量がついたら骨格が壊れる可能性があるし、筋肉量を大幅に上回る骨格を持ったら重さと大きさから動作が困難になるだろうしで、骨格と筋肉は互いに効率よいサイズ・重さに発達するよう進化しているのだろう。そして遺伝子や内分泌系などを使って私達の体内で調整してくれているのだろう。
ガッシリ体型の方が同じトレーニングをしても筋肥大の反応が良いという研究もある。
Effect of body build on weight-training-induced adaptations in body composition and muscular strength.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8201909
体脂肪量に対して除脂肪体重を多く持っているガッシリ体型と、その逆のスレンダー体型に分けて12週間のレジスタンストレーニング。ガッシリ体型グループは除脂肪体重が増えたが、スレンダー体型グループの除脂肪体重はトレーニング前と有意差なしという結果に。切ない。
骨太タイプはレジスタンストレーニングに対する筋肥大の反応も良く、骨細タイプは反応が悪いんじゃないかと個人的には推測している。これは私自身が骨細なので言い訳探しのバイアスがあると思われるが・・・。
反応が悪い人は筋肥大速度の上限が低いのか、それともリターンが低いのか。例えば単純化して考えると、100のトレーニングをして、反応が良い人は100の筋肥大が起きて、反応が悪い人は50の筋肥大が起きたとする。トレーニング量を半分に減らすと、反応が良い人は50の筋肥大が起きるが、反応が悪い人は実は50が上限でこっちも50の筋肥大が起きるかもしれない。もしくは、トレーニング量に比例してリターンが下がり25の筋肥大が起きるかもしれない。上限説に従うなら、反応が悪い人はハードにトレーニングしてもリターンが限られているのでまったりやった方が効率が良い。リターンが低い説に従うなら、人並みのリターンを得るためには反応が悪い人はよりハードにトレーニングする必要がある。どっちだろう。
あとはストレスもトレーニング効果に影響がある。体調不良や仕事や家族や友人関係などで強いストレスを感じる時は、トレーニングは軽めするか休んだ方が良い。トレーニングボリュームはかなり減らしても、筋肉は維持できる(関連:筋力と筋量の維持に必要なトレーニング量 )。コントロール可能なものはコントロールすれば良いし、コントロールできないものはやり過ごせばよい。
Self-rated mental stress and exercise training response in healthy subjects.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22416235
これは持久能力についての実験だけど、持久運動トレーニングへの反応では、ストレスが軽い人の方が持久能力の伸びが高かった。
それとトレーニングの結果がなかなか出なくて焦るとこれもストレスになる。生まれつきの差もかなりあるだろうから、他人と比較せず、一歩一歩着実に進めていくのが良いだろう。生まれつきの差は、トレーニングをサボる言い訳にするのではなくて、自分の体質を理解し、ネガティブに考えずストレスを軽くし、前向きにトレーニング取り組むことの理由付けにすると良い。競技やメディアやネットで目立つ人は、恵まれた体質の人が選びぬかれているわけで、彼らのパフォーマンスを基準にしない方が良い。
遺伝的な要因によって、筋トレの効果にどのような個人差が出るのか。この記事をネタに筋トレの効果の個人差について書いてみたい。
ここでの遺伝的な要因とは、生まれつきの遺伝子と幼児期の発達過程で決まり大人になったらほぼ変えられないもののこと。
全く同じレジスタンストレーニングを行っても、筋肥大への効果にはかなりの個人差がある。これを示す研究はいくつもあって、
Variability in muscle size and strength gain after unilateral resistance training
https://www.researchgate.net/publication/7794282_Variability_in_muscle_size_and_strength_gain_after_unilateral_resistance_training
利き腕じゃない方の上腕二頭筋を12週間トレーニング。18-40歳の男女。被験者数500人超え。
レップ数は期間後半になるにつれて低レップに:12レップ→8レップ→6レップ
筋肥大にはかなり個人差がある。年齢と筋肥大の程度には相関が見られなかったので、(年齢と相関する)テストステロンレベルの差は筋肥大の個人差に重要な影響を及ぼしていないようだと論文では述べられている。
ただ、年齢と筋肥大に相関が見られなかったというのは、加齢とともに筋量が衰えていてトレーニング開始初期はマッスルメモリーで若者と同等の筋肥大になっていた可能性もある。トレーニングを継続していくと、年齢による差(テストステロンレベルによる差)が出てくるかもしれない。既存の研究は、トレーニング歴のない人を対象とした研究は被験者の年齢は様々だが、トレーニング歴のある人を対象とした研究はだいたいが大学の運動部員や20代のアスリート、つまり若者のみ。なのでマッスルメモリーの影響はよくわからない。
個人差をもたらしているのはレセプターなどの局所的な反応システムなのかもしれない。上半身と下半身の発達のしやすさには差があるし、女性は一般的には上半身の骨格が華奢で、上の研究でも示されているように上半身の筋肉が発達しにくい。
High responders to resistance exercise training demonstrate differential regulation of skeletal muscle microRNA expression
http://jap.physiology.org/content/110/2/309.long
この研究では、トレーニングへの反応の良いグループと悪いグループのmiRNAの違いを調べていて、miR-378の変化が除脂肪体重の変化と相関しているという結果に。
レップレンジは6-12レップ程度。トレーニングへの反応の良いグループと悪いグループでは、タイプⅠ・Ⅱ筋繊維の構成に違いはなかった。
Regulation of IGF -1 signaling by microRNAs
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4292735/
miR-378は心筋細胞のIGF-1シグナリングに関わるらしい。心肥大のメカニズムの文脈で研究されている。
思春期にはテストステロンレベルやIGF-1レベルが急上昇して、これが骨格や筋肉など身体の成長を促進する。人によってどの程度発達するかは、ホルモンレベルと局所的な反応システムの感度が影響してくるのだろう。成人後もレセプターか何かの局所的な反応システムの感度が筋肥大の個人差に影響を与えているのではないだろうか。思春期にガッチリした骨格になる人は、ホルモンの骨と筋肉への反応が良くて、成人後も筋肥大が起こりやすいのかもしれない。ちなみにAGAもレセプターの問題・・・。
Free testosterone is a positive, whereas free estradiol is a negative, predictor of cortical bone size in young Swedish men: the GOOD study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16007330
テストステロンレベルと骨の太さは相関する、という研究もある。
既存の研究でわかっていることは、6-12RM、3セット、週2回といった一般的なレジスタンストレーニングプログラムに対する反応が悪い人がいるということだけ。反応が悪い人も他のスタイルのレジスタンストレーニングプログラムで良い反応が出る可能性は残っている。
A genetic-based algorithm for personalized resistance-training
https://www.researchgate.net/publication/299415724_A_genetic-based_algorithm_for_personalized_resistance-training
この研究では遺伝子を調べて、パワー型(速筋型)と持久型(遅筋型)にグループを分け、それぞれグループをまた2つに分けて、高強度トレと低強度トレを行った。
高強度:10セット×2レップ
低強度:3セット×10レップ(2週間)→3セット×15レップ(3週間)→3セット×20レップ(3週間)
種目は、デッドリフト、プルダウン、フロントスクワット、フラットダンベルプレス、踏み台登り、垂直跳び。
得意と思われるレップレンジでトレーニングを行ったグループは、「パワー型×高強度トレ」「持久型×低強度トレ」。
苦手と思われるレップレンジでトレーニングを行ったグループは、「パワー型×低強度トレ」「持久型×高強度トレ」。
遺伝子タイプとトレーニングタイプを一致させた「パワー型×高強度トレ」「持久型×低強度トレ」のグループは、CMJ(腕の反動を使わない垂直跳び)も3分間自転車こぎも伸びが良かった。下の表の赤丸部分がタイプ一致トレ。
被験者はアスリートなので神経系は適応済みだろうから、CMJの伸びを筋肥大によるものと仮定すると、パワー型の人は低ップ、持久型の人は高レップのトレが良いということになる。
欲を言えば、1-3レップ、6-12レップ、15-20レップの三つのレンジでやって、通常のレジスタンストレーニングのレップレンジに比べて、タイプ一致トレがより高い効果を示すのかやってみて欲しかった。
パワー型が1-3レップと6-12レップで同等の効果がでるなら、6-12レップを選択する。持久型が、6-12レップと15-20レップで同等の効果がでるなら、6-12レップを選択する。高強度トレは恒常的に行うには時間効率面でも怪我リスク面でも非現実的だし、低強度トレはコンパウンド種目を20レップとかちょっとやりたくないし・・・。
筋肥大を目的とすると、パワー型は一般的なレジスタンストレーニングのレップレンジ6-12レップの下限近くで、持久型は上限近くで行うのが良い目安かも。色々試してみて、自分が筋肉に負荷をかけやすいレップ数で行うのが良いと思う。部位によってやりやすいレップ数も違うだろうし。私は持久型の筋肉なんだけど、3レップ以下だと筋肉に余力があるはずなのに動かなくなって負荷をかけにくく、高レップだと心肺とメンタルがきつくなってもまだ筋肉が動く。
パワー型かどうかは、中高生の時にやったスポーツテストの垂直跳びの記録で大体わかると思う。高く跳べた人はパワー型。
遺伝的な筋肉の性質に一致したトレーニングを行えばより良い効果が出る可能性はある。とは言うものの、骨格と筋肉量の上限の関係はソリッドに確立されていて、骨格がデカイほど筋肉量の上限も大きい。
YOUR Drug-Free Muscle and Strength Potential: Part 1
http://strengtheory.com/your-drug-free-muscle-and-strength-potential-part-1/
遺伝的限界まで鍛え続けた場合、多くの男性は、「筋肉:骨=5:1(重量比)」になる。女性は4:1。
恵まれた体質の男性だと、5.5:1くらいまでは筋肉がつくようだ。この比率を超えて筋肉がついている場合は、ほぼ100%薬物を使っている。
骨の総重量を計測するのは非常に手間がかかる。手首と足首の周径が骨の総重量とだいたい比例するので、手首と足首の太さを測ることで、限界まで鍛えた場合にどれくらいの除脂肪体重に達することが出来るか推測することが出来る。
上のリンク先の Casey Butt’s Maximum Muscular Potential Model のところに、自分の数値を入力するとマッスルボディの遺伝的な限界の推測値を出してくれるカルキュレーターがある。
単位がインチでよければ、オリジナルのカルキュレーターで。
Endocrine Crosstalk Between Muscle and Bone
骨と筋肉のコンディションは密接に関わっている。共通の遺伝子が影響するのか(例えばミオスタチン異常では筋肥大だけでなく骨の密度と強度が高くなる)、それぞれの細胞から分泌されるサイトカインにより情報交換を行っているのか
まあ普通に考えて、骨格のキャパシティを上回る筋肉量がついたら骨格が壊れる可能性があるし、筋肉量を大幅に上回る骨格を持ったら重さと大きさから動作が困難になるだろうしで、骨格と筋肉は互いに効率よいサイズ・重さに発達するよう進化しているのだろう。そして遺伝子や内分泌系などを使って私達の体内で調整してくれているのだろう。
ガッシリ体型の方が同じトレーニングをしても筋肥大の反応が良いという研究もある。
Effect of body build on weight-training-induced adaptations in body composition and muscular strength.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8201909
体脂肪量に対して除脂肪体重を多く持っているガッシリ体型と、その逆のスレンダー体型に分けて12週間のレジスタンストレーニング。ガッシリ体型グループは除脂肪体重が増えたが、スレンダー体型グループの除脂肪体重はトレーニング前と有意差なしという結果に。切ない。
骨太タイプはレジスタンストレーニングに対する筋肥大の反応も良く、骨細タイプは反応が悪いんじゃないかと個人的には推測している。これは私自身が骨細なので言い訳探しのバイアスがあると思われるが・・・。
反応が悪い人は筋肥大速度の上限が低いのか、それともリターンが低いのか。例えば単純化して考えると、100のトレーニングをして、反応が良い人は100の筋肥大が起きて、反応が悪い人は50の筋肥大が起きたとする。トレーニング量を半分に減らすと、反応が良い人は50の筋肥大が起きるが、反応が悪い人は実は50が上限でこっちも50の筋肥大が起きるかもしれない。もしくは、トレーニング量に比例してリターンが下がり25の筋肥大が起きるかもしれない。上限説に従うなら、反応が悪い人はハードにトレーニングしてもリターンが限られているのでまったりやった方が効率が良い。リターンが低い説に従うなら、人並みのリターンを得るためには反応が悪い人はよりハードにトレーニングする必要がある。どっちだろう。
あとはストレスもトレーニング効果に影響がある。体調不良や仕事や家族や友人関係などで強いストレスを感じる時は、トレーニングは軽めするか休んだ方が良い。トレーニングボリュームはかなり減らしても、筋肉は維持できる(関連:筋力と筋量の維持に必要なトレーニング量 )。コントロール可能なものはコントロールすれば良いし、コントロールできないものはやり過ごせばよい。
Self-rated mental stress and exercise training response in healthy subjects.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22416235
これは持久能力についての実験だけど、持久運動トレーニングへの反応では、ストレスが軽い人の方が持久能力の伸びが高かった。
それとトレーニングの結果がなかなか出なくて焦るとこれもストレスになる。生まれつきの差もかなりあるだろうから、他人と比較せず、一歩一歩着実に進めていくのが良いだろう。生まれつきの差は、トレーニングをサボる言い訳にするのではなくて、自分の体質を理解し、ネガティブに考えずストレスを軽くし、前向きにトレーニング取り組むことの理由付けにすると良い。競技やメディアやネットで目立つ人は、恵まれた体質の人が選びぬかれているわけで、彼らのパフォーマンスを基準にしない方が良い。
4/28/2016
力持ちの身体的特徴
力の強さにはかなりの個人差がある。例えばスクワットやデッドリフトのトップ選手は400kgを越える重量を挙げられるが、多くの人はトレーニングを積んでもその半分の重量すら困難である。一方で短距離走や長距離走だと、トップ選手の6,7割のパフォーマンスを出すのは比較的容易である。100mを15秒、フルマラソンを3時間、健康な若い男性なら趣味の範囲のトレーニングで達成できる。
走るという比較的単純な動作のパフォーマンスを左右するのは、筋肉の瞬発力や筋持久力や全身持久力なのだろうと想像できるし、アスリートのこれらの能力は一般人よりも何割か高いのだろうと納得できる。だが、重いものを持ち上げるという単純な動作で一般人とトップ選手の差が2倍以上開くのには、他にも要素があると考えられる。どのような要素があると力持ちになれるのか、以下に考察してみる。
★筋肉の出力
・神経系の適応
筋繊維の動員と発火頻度。強度の高いトレーニングを行えば容易に神経系の適応は完了する。
・瞬発型か持久型か
筋繊維のタイプ分けについてはいくつかあるけど面倒なので割愛。全体で見て筋肉の性質が瞬発型だと瞬間的に大きな力を発揮できる。生まれつきの影響が大きい。
・羽状筋の羽状角
羽状筋についてはこちらの記事を参考に。筋肉が羽状筋の場合は羽状角が出力に影響する。羽状角が大きいと筋肉の縮む速度が遅いが、大きな力を発揮できる。
短距離走者の筋肉の羽状角は、長距離走者の筋肉の羽状角よりも小さいという研究がある。羽状角が小さいほうが筋肉の縮む速度が速くスプリントに有利なのだろう。短距離走者同士でも、ベストタイムが速い選手の方が羽状角が小さいという研究もある。
羽状筋は肥大すると羽状角が大きくなるが、もともと持って生まれた羽状角に個人差があり、それにより速く動かすのが得意か、遅くても大きな力を出すのが得意かという運動能力の違いが生じていると思われる。
・太さ(断面積)
筋肉は太い方が大きな力を出せる。鍛えれば太くなる。
★骨格の違い
・骨格によるテコ比の違い
人間の身体が骨格筋を用いて外部に力を加える際には、ほとんどの場合テコの原理が働く。腱の付着箇所が力点、関節が支点、外部との接触箇所が作用点。第3種てこなので、力点に加わる筋肉の出力よりも作用点で働く力は小さくなる。
1) 上腕二頭筋を使って肘を曲げて手に持ったおもりを持ち上げる動作(アームカール)を例に図解してみると以下のようになる。
2) 骨が短いと作用点-支点の距離が小さくなり、テコ比(力点-支点の距離/作用点-支点の距離)は大きくなる。従って、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は大きくなる。それに加えて骨が太くて関節が大きいと、力点-支点の距離が大きくなり、これもテコ比を大きくする。
3) 仮にドラえもんのビッグライトを当てて骨格と筋肉をそのまま拡大したら、テコ比は一定で筋肉が太くなるので、より大きな力を出せるようになる。格闘技の無差別級やストロングマンコンテストの選手などはこのタイプ。身長が高くて骨格がデカイ(下の図)。
4) 一方で、高身長でも腕と脚が細長く伸びた骨格だと、強い力を発揮するのは苦手になる。骨が長いとテコ比は小さくなり、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は小さくなる。しかし、作用点は大きく動くようになり、筋肉の収縮速度が同じでも作用点の速度が速くなる。野球の投手に多いのがこのタイプ。腕が長い方が速い球を投げられるので有利になる(下の図)。
・筋肉が力を発揮しやすい範囲で動作ができるか
筋肉は伸びすぎても縮みすぎても最大の力を発揮できない。腕や脚が短い方がスクワットやベンチプレスでは力の出る範囲で動作が行える。デッドリフト(コンベンショナル)は脚が長めの方が膝関節の角度が開いて力が入りやすいようだ。これについては以前書いたので参考まで(骨格によるフォームの違い)。
★まとめ
骨格と筋肉の性質により競技の向き不向きがある。ベンチプレス300kg挙げる人が野球の球を投げる練習をしても大してスピードは出ないだろうし、160km/hの豪速球を投げるピッチャーがベンチプレスをやりこんでも重い重量は上がらないだろう。
従って、挙上重量で中級者か上級者かを判断するのはナンセンス。その人の遺伝的限界に対してどの程度達しているかで判断するべきだろう。また他の人と挙上重量を比べて得意になったり落ち込んだりする必要もない。過去の自分を上回れるかが大事だと思う。
走るという比較的単純な動作のパフォーマンスを左右するのは、筋肉の瞬発力や筋持久力や全身持久力なのだろうと想像できるし、アスリートのこれらの能力は一般人よりも何割か高いのだろうと納得できる。だが、重いものを持ち上げるという単純な動作で一般人とトップ選手の差が2倍以上開くのには、他にも要素があると考えられる。どのような要素があると力持ちになれるのか、以下に考察してみる。
★筋肉の出力
・神経系の適応
筋繊維の動員と発火頻度。強度の高いトレーニングを行えば容易に神経系の適応は完了する。
・瞬発型か持久型か
筋繊維のタイプ分けについてはいくつかあるけど面倒なので割愛。全体で見て筋肉の性質が瞬発型だと瞬間的に大きな力を発揮できる。生まれつきの影響が大きい。
・羽状筋の羽状角
羽状筋についてはこちらの記事を参考に。筋肉が羽状筋の場合は羽状角が出力に影響する。羽状角が大きいと筋肉の縮む速度が遅いが、大きな力を発揮できる。
短距離走者の筋肉の羽状角は、長距離走者の筋肉の羽状角よりも小さいという研究がある。羽状角が小さいほうが筋肉の縮む速度が速くスプリントに有利なのだろう。短距離走者同士でも、ベストタイムが速い選手の方が羽状角が小さいという研究もある。
羽状筋は肥大すると羽状角が大きくなるが、もともと持って生まれた羽状角に個人差があり、それにより速く動かすのが得意か、遅くても大きな力を出すのが得意かという運動能力の違いが生じていると思われる。
・太さ(断面積)
筋肉は太い方が大きな力を出せる。鍛えれば太くなる。
★骨格の違い
・骨格によるテコ比の違い
人間の身体が骨格筋を用いて外部に力を加える際には、ほとんどの場合テコの原理が働く。腱の付着箇所が力点、関節が支点、外部との接触箇所が作用点。第3種てこなので、力点に加わる筋肉の出力よりも作用点で働く力は小さくなる。
1) 上腕二頭筋を使って肘を曲げて手に持ったおもりを持ち上げる動作(アームカール)を例に図解してみると以下のようになる。
2) 骨が短いと作用点-支点の距離が小さくなり、テコ比(力点-支点の距離/作用点-支点の距離)は大きくなる。従って、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は大きくなる。それに加えて骨が太くて関節が大きいと、力点-支点の距離が大きくなり、これもテコ比を大きくする。
3) 仮にドラえもんのビッグライトを当てて骨格と筋肉をそのまま拡大したら、テコ比は一定で筋肉が太くなるので、より大きな力を出せるようになる。格闘技の無差別級やストロングマンコンテストの選手などはこのタイプ。身長が高くて骨格がデカイ(下の図)。
4) 一方で、高身長でも腕と脚が細長く伸びた骨格だと、強い力を発揮するのは苦手になる。骨が長いとテコ比は小さくなり、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は小さくなる。しかし、作用点は大きく動くようになり、筋肉の収縮速度が同じでも作用点の速度が速くなる。野球の投手に多いのがこのタイプ。腕が長い方が速い球を投げられるので有利になる(下の図)。
・筋肉が力を発揮しやすい範囲で動作ができるか
筋肉は伸びすぎても縮みすぎても最大の力を発揮できない。腕や脚が短い方がスクワットやベンチプレスでは力の出る範囲で動作が行える。デッドリフト(コンベンショナル)は脚が長めの方が膝関節の角度が開いて力が入りやすいようだ。これについては以前書いたので参考まで(骨格によるフォームの違い)。
★まとめ
骨格と筋肉の性質により競技の向き不向きがある。ベンチプレス300kg挙げる人が野球の球を投げる練習をしても大してスピードは出ないだろうし、160km/hの豪速球を投げるピッチャーがベンチプレスをやりこんでも重い重量は上がらないだろう。
従って、挙上重量で中級者か上級者かを判断するのはナンセンス。その人の遺伝的限界に対してどの程度達しているかで判断するべきだろう。また他の人と挙上重量を比べて得意になったり落ち込んだりする必要もない。過去の自分を上回れるかが大事だと思う。
1/17/2016
骨格によるフォームの違い
腕と脚が長い骨格の人と短い骨格の人では、BIG3のフォームと動作範囲が異なってくる。自分の骨格のタイプを理解したうえでウェイトトレーニングを行うと、怪我のリスクを低下させ効果的にトレーニングを行うことができる。
★ベンチプレス
ネガティブ局面で過度に伸張されることによる大胸筋の筋肉・腱の断裂が多い。
・腕が長い、特に前腕が長い人
- 肘が深く下がり、大胸筋が過度に伸張され怪我しやすい。
・胸板が厚い人
- バーがあまり下がらないので怪我しにくい。
・腕が長い人の対策
- 手幅を狭める(クロースグリップ)と肘があまり下がらなくなり大胸筋の伸張が抑えられる。
- バーを胸まで降ろさない
★スクワット
・脚が短い人
- 胴体があまり前傾しない
- 大腿四頭筋の負荷が大きい
・脚が長い人
- 胴体が前傾することで、ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。
- 大殿筋、脊柱起立筋群への負荷が大きい。
- 胴体が前傾しているため、腰にかかるせん断力が大きい。後背部の姿勢と力の維持を崩すと危ないので気をつける
- 大腿四頭筋に負荷がかかりにくいので、大腿四頭筋はスクワット以外で鍛えたほうが良い。(ハックスクワットが勧められている。フロントスクワットは脚が長い人は胴体が前傾してバーの保持が困難)
・足首の柔軟性
足首が固いと膝が前に出ず胴体が前傾する。ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。
・胴体の前傾対策
- リフティングシューズのような踵の高い靴を履く、こうすることで膝が前に出て胴体の前傾がゆるくなる。
★デッドリフト
・腕・脚が短い人
- 太腿が水平に近くなり主に大腿四頭筋の関与が大きくなる。
・腕・脚が長い人
- 膝関節の角度が鈍角で力が入りやすく重い重量を挙げやすい。
★コメント
ネタ元は Strength Training Anatomy 3rd Edition
このようなスケスケのお姉さんの絵が満載の本。
邦訳は「目でみる筋力トレーニングの解剖学」だけど、これは多分 1st edition の訳で、今回の記事で参考にした怪我などの記述は載っていないかも。
踵の高いリフティングシューズは値段が結構する。私はSuperfeetという中敷きを買って使ってみたが、踵が上がって腿の裏側への負担が減って良い感じになった。あと私は扁平足なのでアーチサポートも効いて踏ん張りやすい。
脚が長い、足首が固い、扁平足の人にはSuperfeetはおすすめです。私はAmazonで買ってうまくフィットしたけど、個人差が大きそうなので、できればスポーツ用品店や登山用品店でフィッティングした方が良いと思う。
脚が短い人はスクワットとデッドリフトでは身体の後ろ側の筋肉(脊柱起立筋群、臀筋群、ハムストリングなど)が鍛えにくそうなので、ルーマニアンデッドリフトをやると良さそう。
Youtubeでパワーリフティングの選手が高重量を挙上している動画はたくさんあるけど、スクワットとベンチプレスが強い人は腕・脚が短くて胴体が樽状の体型の人が多く、また挙上距離を短くするテクニックを使っているので、違う体型の人がBIG3のフォームを学ぶ上ではあまり参考にならない。
動画を見た感じではデッドリフト(コンベンショナル)が強い人は腕と脚が長めの人が多いけど、上背部を曲げるテクニックを使ってることがあるのでそれは真似しないほうが良いと思う。上背部を曲げると股関節までのモーメントアームが小さくなる、膝関節と股関節が鈍角になるといったメリットがある。ただし胸椎の怪我リスクも上がる。
関連記事:
スクワットの基本ポイント
自重での膝を前に出さないスクワット
デッドリフトの基本ポイント
挙上重量によるデッドリフトのフォームの違い
ベンチプレスの基本ポイント
★ベンチプレス
ネガティブ局面で過度に伸張されることによる大胸筋の筋肉・腱の断裂が多い。
・腕が長い、特に前腕が長い人
- 肘が深く下がり、大胸筋が過度に伸張され怪我しやすい。
・胸板が厚い人
- バーがあまり下がらないので怪我しにくい。
・腕が長い人の対策
- 手幅を狭める(クロースグリップ)と肘があまり下がらなくなり大胸筋の伸張が抑えられる。
- バーを胸まで降ろさない
★スクワット
・脚が短い人
- 胴体があまり前傾しない
- 大腿四頭筋の負荷が大きい
・脚が長い人
- 胴体が前傾することで、ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。
- 大殿筋、脊柱起立筋群への負荷が大きい。
- 胴体が前傾しているため、腰にかかるせん断力が大きい。後背部の姿勢と力の維持を崩すと危ないので気をつける
- 大腿四頭筋に負荷がかかりにくいので、大腿四頭筋はスクワット以外で鍛えたほうが良い。(ハックスクワットが勧められている。フロントスクワットは脚が長い人は胴体が前傾してバーの保持が困難)
・足首の柔軟性
足首が固いと膝が前に出ず胴体が前傾する。ハムストリング、大内転筋、薄筋に過度のテンションがかかり痛めやすい。
・胴体の前傾対策
- リフティングシューズのような踵の高い靴を履く、こうすることで膝が前に出て胴体の前傾がゆるくなる。
★デッドリフト
・腕・脚が短い人
- 太腿が水平に近くなり主に大腿四頭筋の関与が大きくなる。
・腕・脚が長い人
- 膝関節の角度が鈍角で力が入りやすく重い重量を挙げやすい。
★コメント
ネタ元は Strength Training Anatomy 3rd Edition
このようなスケスケのお姉さんの絵が満載の本。
邦訳は「目でみる筋力トレーニングの解剖学」だけど、これは多分 1st edition の訳で、今回の記事で参考にした怪我などの記述は載っていないかも。
踵の高いリフティングシューズは値段が結構する。私はSuperfeetという中敷きを買って使ってみたが、踵が上がって腿の裏側への負担が減って良い感じになった。あと私は扁平足なのでアーチサポートも効いて踏ん張りやすい。
脚が長い、足首が固い、扁平足の人にはSuperfeetはおすすめです。私はAmazonで買ってうまくフィットしたけど、個人差が大きそうなので、できればスポーツ用品店や登山用品店でフィッティングした方が良いと思う。
脚が短い人はスクワットとデッドリフトでは身体の後ろ側の筋肉(脊柱起立筋群、臀筋群、ハムストリングなど)が鍛えにくそうなので、ルーマニアンデッドリフトをやると良さそう。
Youtubeでパワーリフティングの選手が高重量を挙上している動画はたくさんあるけど、スクワットとベンチプレスが強い人は腕・脚が短くて胴体が樽状の体型の人が多く、また挙上距離を短くするテクニックを使っているので、違う体型の人がBIG3のフォームを学ぶ上ではあまり参考にならない。
動画を見た感じではデッドリフト(コンベンショナル)が強い人は腕と脚が長めの人が多いけど、上背部を曲げるテクニックを使ってることがあるのでそれは真似しないほうが良いと思う。上背部を曲げると股関節までのモーメントアームが小さくなる、膝関節と股関節が鈍角になるといったメリットがある。ただし胸椎の怪我リスクも上がる。
関連記事:
スクワットの基本ポイント
自重での膝を前に出さないスクワット
デッドリフトの基本ポイント
挙上重量によるデッドリフトのフォームの違い
ベンチプレスの基本ポイント
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