11/28/2020

運動後の食欲

激しい運動の後は食欲が低下しやすいです。どのような運動だと食欲が低下しやすいのか、運動とその後の食欲の関係にはどのようなメカニズムがあるのか調べてみました。


食欲の低下しやすい運動方法

筋トレも有酸素運動も、激しくおこなうほど運動後に食欲が低下しやすいです。

有酸素運動だとHIITが最も食欲が低下しやすく、次に一定ペースの高強度有酸素運動、その次に一定ペースの中強度の有酸素運動の順です。(1)

筋トレだと、上半身だけのトレーニングよりも全身のトレーニングのほうが食欲が低下しやすいです(2)。また、高重量のトレーニングよりも、中重量でインターバルが短めのトレーニングのほうが食欲が低下しやすいです。(3)の研究では、90%1RM・各セット限界まで・インターバル180秒のグループよりも、70%1RM・各セット限界まで・インターバル90秒のグループのほうが運動後の食欲が抑制されました。 

 

11/24/2020

肩周りのストレッチ(タオル使用)

肩の健康を保つためのストレッチのやり方を解説したいと思います。 

肩周りのストレッチのポイントは、

1. 肩関節の可動域の限界を攻めない

肩関節(肩甲上腕関節)はボール・ソケット型の関節で、上腕骨の骨頭(ボール)と肩甲骨の関節窩(ソケット)から構成されます。ボールとソケットと言ってもソケットにボールがすっぽりとはまっているわけではなく、実際の骨の形はゴルフボールとティーに近いです。骨の噛み合わせ自体には安定性はなく、靭帯や関節包や筋肉などの柔らかい組織で安定させています。肩関節のストレッチでグイグイと力強く動かし、可動域の限界まで攻めると、肩関節の安定性が低下して怪我をしやすくなります。肩関節については可動性よりも安定性を重視し、肩甲骨や胸椎や肋骨を動かすことを意識しながら肩周りのストレッチをおこなったほうが良いです。





11/17/2020

ビタミンD摂取がストレングスと体組成変化に効果があったとする研究

(1)Effects of Seasonal Vitamin D3 Supplementation on Strength, Power, and Body Composition in College Swimmers
https://www.researchgate.net/publication/339044560_Effects_of_Seasonal_Vitamin_D3_Supplementation_on_Strength_Power_and_Body_Composition_in_College_Swimmers

日照量が減る秋にビタミンD摂取を摂取した場合の運動パフォーマンスと体組成への影響を調べた研究です。結果を先に書くと、運動パフォーマンス変化も体組成変化も、ビタミンD摂取グループのほうが良い結果でした。日照量の減る時期にビタミンDを摂取することで、高ボリュームのトレーニングに耐えるキャパシティを維持・改善し、トレーニング効果を得やすくなったと考えられます。

論文では血清ビタミンD濃度の単位がnmol/lなのですが、個人的に馴染みのあるng/mlに変換してあります。

 

11/13/2020

筋形質の肥大についての研究

(1)Sarcoplasmic Hypertrophy in Skeletal Muscle: A Scientific “Unicorn” or Resistance Training Adaptation?
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2020.00816/full

概要

「骨格筋における筋形質の肥大は、(実際には存在しないユニコーンのように)科学な幻想なのか?それともレジスタンストレーニングへの適応なのか?」というタイトルの論文です。

高重量・低レップのトレーニングだと筋原線維が肥大しやすく、低重量・高レップのトレーニングだと筋形質が肥大しやすい・・・というのはフィットネス関連の一般記事で確定事項のように書かれていたりするのですが、測定の精度や実験の難しさなどにより、科学界ではまだはっきりと結果が出ていません。

(1)の論文は、現時点での筋形質の肥大についての研究結果や、筋繊維の構成要素の測定方法の解説をまとめています。この論文は、トレーニング方法やトレーニング歴によって筋繊維の構成要素が異なった適応を見せるのはありえるというスタンスです。

11/08/2020

睡眠不足とカフェインの摂取がトレーニングボリューム与える影響

(1)Acute Caffeine Ingestion's Increase of Voluntarily Chosen Resistance-Training Load After Limited Sleep
https://www.researchgate.net/publication/221846407_Acute_Caffeine_Ingestion's_Increase_of_Voluntarily_Chosen_Resistance-Training_Load_After_Limited_Sleep

睡眠不足とカフェインの摂取がトレーニングボリュームにどのような影響を与えるか調べた研究を紹介します。

実験内容

・被験者
ラグビーのプロ選手
男性16人
平均21歳
身長185cm
体重97kg
スクワット1RM 170-210kg
ベンチプレス1RM 130-170kg
ベントロー 110-130kg

・グループ分け
- 睡眠十分+プラシーボ
- 睡眠不足+プラシーボ
- 睡眠十分+カフェイン
- 睡眠不足+カフェイン
被験者16人を4つのグループに分けるのではなくて、被験者全員が上の4つの条件で1回ずつトレーニングをおこなう。
睡眠十分は8時間以上の睡眠、睡眠不足は6時間以下の睡眠。
カフェインはトレーニングの1時間前に4mg/体重kgを摂取。

11/04/2020

シクリカル・ケトジェニックダイエットの最新研究

シクリカル・ケトジェニックダイエットの最新研究が出てきたので紹介します。

(1)The Influence of Cyclical Ketogenic Reduction Diet vs. Nutritionally Balanced Reduction Diet on Body Composition, Strength, and Endurance Performance in Healthy Young Males: A Randomized Controlled Trial
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7551961/

ケトジェニックダイエットとシクリカル・ケトジェニックダイエットの説明

ケトジェニックダイエットは、炭水化物の摂取を極度に制限する食生活のことです。一日の炭水化物の摂取量を30g以下にするのが目安です。炭水化物が少ないため身体は脂質ベースの代謝に移行し、脂質と脂質から生成されるケトン体により消費エネルギーの大部分を賄うようになります。詳しく知りたい方は、関連記事を参考にしてください。

関連記事:[書籍] The Ketogenic Diet

ケトジェニックダイエットを続けると、体内のグリコーゲンが少なくなり、強度の高い運動をおこなうのが困難になります。運動能力を維持したい場合や、筋肉量を維持したい場合は、減量中も強度の高い運動をおこなっていく必要があります。

そこで考え出されたのが、炭水化物を制限するケトジェニックダイエットをベースにしつつ、定期的に炭水化物の摂取量を増やすことで高強度の運動をおこなえるようにするシクリカル・ケトジェニックダイエットです。

10/30/2020

筋肥大をもたらす刺激(2019年版)

(1)Stimuli and sensors that initiate skeletal muscle hypertropHy following resistance exercise
https://journals.pHysiology.org/doi/full/10.1152/japplpHysiol.00685.2018?rfr_dat=cr_pub++0pubmed&url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org

レジスタンストレーニングによる筋肥大は、どのような刺激によってもたらされるのか、またそれらの刺激はどのようなセンサーによって感知されるのか。現状でわかっていること、わからないことをまとめた2019年の論文です。

以前調べた筋肥大のメカニズムから時間が経ったので、そのアップデートの意味もあります。

関連記事:筋肥大のメカニズム

内容がマニアックなので先に結論を書いておくと、実践面では「力学的な負荷」をかけることを最優先すればOKです。具体的には6-15レップ程度のセットをメインにトレーニングします。筋肥大の刺激の候補には、力学的な負荷以外に「ダメージ」と「代謝ストレス」もありますが、実践面では力学的な負荷を最優先するのが良いでしょう。

筋肉のダメージを増やすために、意図的に強い負荷をかけてエキセントリック動作をしたりするのはどれほど効果があるかはわからないですし、ダメージが大きくなりすぎると筋肥大にマイナスになる可能性があります。代謝ストレスを主目的としたトレーニング(高レップのセットや加圧トレーニング)は、力学的な負荷がメインのトレーニングにプラスしておこなうとさらに効果が高まるのか、それとも力学的な負荷が十分なら代謝ストレスを上乗せしても効果は高まらないのか、はっきりしていません(加圧トレーニングは力学的な負荷が不十分な状態で代謝ストレスを加えています)。

アップサイドリスクとダウンサイドリスクを考えると、ダメージを目的としたトレーニングはアップサイドが不明でダウンサイドリスクが大きいです。従って、ダメージを目的としたトレーニング、例えば高重量・高ボリュームのエキセントリック動作はあまりやらないほうが良いと思います。代謝ストレスを目的としたトレーニングは、アップサイドは不明ですがダウンサイドリスクは小さいと考えられるので、力学的な負荷を目的としたトレーニングに追加しておこなうのは問題ないと思います。

以下、マニア向けの内容。

10/21/2020

除脂肪量の増加と体脂肪量の減少を同時におこなうことは可能なのか?

体組成の組み換え

体組成の組み換え(Body Recomposition)は、除脂肪量の増加と体脂肪量の減少を同時におこなうことです。体脂肪率の高い初心者の場合は、新たにトレーニングを始めることで除脂肪量の増加と体脂肪量の減少を同時におこなうこともできますが、継続的にトレーニングをしている経験者では体組成の組み換えは困難だというのが主流の考え方です。

しかし、トレーニング歴のある被験者を対象とした研究でも体組成の組み換えを実現できているケースがいくつかあります。(1)の論文ではそれらの研究を調べて、どのような要因が体組成の組み換えに結びつく可能性があるのかを考察しています。

留意点は、体組成の測定はどのような機器を使っても精度が低いことです。偶然に除脂肪量増加・体脂肪量減少という結果が出た研究もある可能性があります。それと除脂肪量の変化が、骨格筋量の変化を示すとは限らないことです。また(1)の論文では体組成の組み換えがうまくいっている研究のみピックアップしています。世の中には体組成の組み換えがうまくいっていない研究も多くありますし、出版バイアスによりうまくいった研究のほうが表に出てきやすいです。

(1)の論文で取り上げられている体組成の組み換えが実現できている研究を個別に調べて、トレーニングや栄養がどのように調整されたかを今回の記事では見ていきます。またスタート時点の体脂肪率が体組成組み換えの難易度に大きく影響するので、被験者の体脂肪率がどの程度かも見ていきます。

体脂肪率は男性10-15%、女性20-24%がニュートラルレンジという判断です。このレンジ以上は体脂肪率が高めで、体脂肪を減らすのが容易です。このレンジ以下だと一般的には除脂肪量が減りやすく、体脂肪が増えやすくなり、長期的に維持するのが難しいです。

10/13/2020

増量時の栄養調整

(1)Is an Energy Surplus Required to Maximize Skeletal Muscle Hypertrophy Associated With Resistance Training
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6710320/

筋肥大のペースを最大化するためには、栄養をどのように摂取していけば良いかを調べた2019年の論文です。何か実験をおこなっているわけではなく、既存の研究を調べて、増量を効率的にやるには栄養をどう調整すれば良いのかを考察してます。想定ターゲットは運動量の多いアスリートと思われます。

Eric Helmsが関わっていることもあり内容は良いのですが、議論をそのまま出している感じの論文で、あまりまとまっていないです。今の時点ではわからないことが多いので、現状の整理と今後の研究の指針がメインになっています。

論文中のエネルギーの単位がKJであまり馴染みがないので、本記事ではkcal表記にしています(4.2KJ=1kcalで計算)。


★前提
体脂肪率の高い初心者や、トレーニングを休んでいたアスリートがトレーニングを再開する場合は、摂取カロリーを増やさなくても体脂肪を減らしながら同時に筋肉量を増やすこともできます。しかし、トレーニングを継続的におこなっていて、体脂肪率が高くない人の場合は、カロリー収支をプラスにして体重を増やしていくほうが効率的に筋肉を増やせます。

ただ、現状ではカロリー超過の条件下での筋トレの研究が乏しいです。この論文での栄養摂取の調整方法については、かなりの部分が推測にもとづいたものになります。


★どのくらいのカロリー超過が良いのか
筋肉を増やすのに必要なカロリーを、コスト積み上げ方式で考えていきます。

<骨格筋に含まれるエネルギー>
骨格筋の構成割合を「タンパク質20%、筋肉中の脂質(IMTG)やグリコーゲンなど5%、水分75%」とします。この数値で計算すると、骨格筋1kgは約1200kcalのエネルギーを持つことになります。これは言わば骨格筋の材料費で、骨格筋1kgを増やすのに最低限はこれだけのエネルギーが必要です。

9/26/2020

電子書籍「ボディメイクガイド」リリース!

 


Kindle向けの電子書籍を出しました。
ボディメイクガイド Kindle版

Kindleアプリをインストールすれば、パソコンやスマホでも読めます!

https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/fd/kcp




<本を書いた経緯>

まず、私が筋トレを始めてからどのように情報収集をしていったのか、その思い出を語りたいと思います。

最初は右も左も分からないのでまずは筋トレ本を読もうと思い、元ボディビルダーの大学教授が書いた本を読んだのですが、筋肉の仕組みなどを説明されても結局何をやったらいいのかわからず、インターネットで情報を探すようになりました。

今もそうなのですが、インターネット上の情報は玉石混交で、何が正しいのかわからず試行錯誤の日々でした。そのうち、「教えてgoo」のOneHさんを中心としたやり取りのログを見つけました。目からうろこでした。この方面を調べていけば、良い情報にたどり着けると思い、Lyle McDonald や Alan Aragon の書いたものを読むようになりました。それから芋づる式に Brad Schoenfeld、Eric Helms、Greg Nuckolsなどを追いかけていき、今に至ります。

インターネット上のサイトを見たり、トレーニングや栄養関連の本を読んで学んできたのですが、いくつか不満もありました。

まず日本語の本だと実用的な筋トレ本があまりないです。今回あらためて市場調査をしましたが、自己啓発系の筋トレ本、最新研究を散漫に羅列しているだけで実践と結びついていない本、筋肉や身体の仕組みなどが最初の50ページくらいに書いてあってあとは自重トレかボディビル的な種目解説の絵で埋めている本・・・といったものが多いです。本気で体型を変えたい人には物足りません。

インターネット上には日本語でも有用な情報がありますが、断片的に散らばっていて探すのが大変です。サーチエンジンでもなかなか上位にきません。それで情報を探すとなると英語が必須になってきます。しかし、英語の壁を乗り越えたとしても、問題があります。

良書を探すと、だいたいが専門的でカバーしている範囲が狭いです。多くの分野の本を読む必要があります。そして値段が高いです。一冊3000-5000円くらいします。

内容が良くてカバー範囲が広い本も少数ですがあります。

マニア向けの定番だとこの本ですね。
The Muscle and Strength Pyramid

一般向けだと多分この本が最も売れていると思います。レビュー数がすごいです。
Bigger Leaner Stronger(Michael Matthews )

ただこれらの本にも不満点はあって、エビデンスベースでトレーニングと栄養の両方を扱っているのは良いのですが、本に書かれている内容を適用できるのが、「存分にトレーニングをすることができて、好きな時に望み通りの食事を食べられる体格に恵まれた若い男性」に限られるということです。著者自身がそうなのでしょうし、これらの本の著者が関わるようなハードコアなジムに来る人にはそういう人が多いのでしょうけど、本気でボディメイクをしたい人には、上に当てはまらない人も大勢います。その人たちがアクセスできる良い情報源が現状では乏しいわけです。

その状態をなんとかしようと思って、自分で本を書くことにしました。なるべく多くの人が、自分のできる範囲でなるべく良い結果を出せるようになれば・・・との思いです。

最初はブログの内容を土台にして書こうと思い、ブログの記事をエディターにまとめました。その時点で4万字でした。その後いろいろと書き直したり、書き足したりして、最終的に11万字を超えました。ビジネス書と同じくらいのボリュームです。一般的な筋トレ本は図や写真が多いので、もっと文字数は少ないと思います。

本を書くのは初めてで、最初から最後まで一人で仕上げたので至らない点もあると思います。変なところがあったらご指摘いただけるとありがたいです。どのような内容なのか、参考までに目次を載せておきます。もし気に入っていただけたら、SNSで紹介したり、Amazonにレビューを書いてくれると嬉しいです。