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腰痛を予防するには、普段の生活で以下の点に気をつける。
★物を持ち上げる時
脊椎が直立時と同じ姿勢になるようにする。腰を曲げて地面から物を持ち上げるのではなく、脊椎が自然なS字を維持するように体幹を固定し、股関節と膝関節を使って物を持ち上げる。脊椎はこのニュートラルな姿勢の時に最も負荷に耐えられる。物の形状や大きさによってフォームは少しずつ違ってくるが、基本的にはスクワットかデッドリフトの動きになる。尻の筋肉に負荷がかかるのを感じると良い。腰を曲げて腕や上背部で引っ張り上げるのは良くない。それとなるべく身体に物を近づけながら持ち上げると、反作用モーメントが小さくなって良い。軽い物なら片足を後ろに上げてバランスをとりながら片手で持ち上げるのも良い。
★長時間腰を曲げた後
長時間座った後や中腰の姿勢を続けた後、立ち上がってすぐに重い物を持ち上げると腰を痛めやすい。少なくとも数分間は立った状態に腰を慣らしてから、物を持ち上げる。仕事の都合上、そのような時間的な猶予がない場合は、座っている時になるべく腰が丸まらないようにしておく。
★腹圧(腹腔内圧)について。
バルサルバ法で腹圧を高めると、体幹は固まるが脊椎の圧縮方向への負荷が増える。物を持ち上げたりといった日常動作では軽く腹筋周りに力を入れる程度で良く、通常は自然に体幹の筋肉が動員されるので意識的に体幹の筋肉に力を入れて腹圧を高める必要はない。この自然な体幹の筋肉の動員が上手く出来ない人は、ふとした日常動作で腰を痛めやすい。後ほど紹介されるエクササイズで体幹の筋肉が上手く動員されるよう訓練する。ウェイトリフティング等で高重量のものを持ち上げる場合は、バルサルバ法で腹圧を高めて体幹を固める必要がある。
★座り方
同じ姿勢で長時間座ることは、特定の身体組織に負荷がかかり続け腰痛リスクを高める。一般的に良い姿勢とされる背筋をピンと伸ばして座るのもずっと続けるのは腰に良くない。たったひとつの冴えた座り方は無く、理想的な座り方は、こまめに姿勢を変えて同じ組織に負荷がかかり続けないようにすることである。背筋を伸ばしたり、椅子の上であぐらをかいたり、足を組んだり、足を机の上に投げ出したり、リクライニングしたり・・・状況が許す範囲で姿勢をこまめに変えるのが良い。また数十分おきに立ち上がり、伸びをしたり軽く身体を動かしたり歩いたりすると良い。伸びの仕方は、立ち上がり両手をゆっくりと天井に向けて伸ばし(元気玉を作る姿勢)、息を深く吸い込む。
★寝起き
寝てる間に椎間板が水分を引き込んで膨らみ脊椎がキツキツになる(それで寝起きは背が少し伸びている)。日中は重力による圧縮方向の力が加わって水が抜ける。朝起きてすぐは腰を曲げる運動はしない方が良い。少なくとも起床後1-2時間は腰に負担がかからないようにする。寝過ぎ(8時間以上の睡眠)も椎間板がさらにパンパンになり脊椎に負荷がかかる。
★胴体を捻ることについて
無理のない可動範囲内で捻るだけなら問題は無い。捻りのない姿勢(脊椎がニュートラル)で、捻り方向のトルクがかかることも問題はない。しかし捻った状態で捻り方向の高いトルクがかかるのは危険(例、ゴルフのフルスイング)。
★歩く
腕を大きく振って早足で歩くのは腰に良い。ゆっくり歩くのは腰に負荷がかかるので腰が悪い人は避ける。
参考書籍:
Low Back Disorders / Stuart McGill
http://www.amazon.com/Low-Back-Disorders-Second-Edition/dp/0736066926
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