10/30/2016

骨盤の前傾の矯正

★なぜ骨盤の前傾を扱うのか
トレーニングを継続的におこなっている人に骨盤の傾きの問題がある場合は、大抵は前傾している。一般的なトレーニングプログラムだと前傾を促す筋肉ばかり鍛えてしまう傾向があるし、ベンチプレスやスクワットなど動作中に骨盤の前傾を強調する姿勢になりやすい種目が多い。仮に骨盤が後傾していたら腰椎がフラットになるので、既にデッドリフトやスクワットで腰を痛めてトレーニングを続けていない可能性が高い。


★骨盤につながっていて前傾・後傾に影響を与える主な筋肉

実際の各筋肉の付着部分は筋肉によって異なるけど簡略化のために大雑把な図で



背骨の伸筋: 脊柱起立筋群、(たぶん広背筋も)

背骨の屈筋: 腹直筋、外腹斜筋

股関節の伸筋: ハムストリングス、臀筋群

股関節の屈筋: 腰筋、腸骨筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋


★骨盤の前傾のメカニズム
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋が固く縮こまっている
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋が弱くて伸びている


★骨盤が前傾していると起こる問題
- 臀筋群が上手く働かず、ハムストリングスと大内転筋に過度の負荷がかかりやすくなる。特にハムストリングスはストレッチされた状態で強い負荷がかかるので怪我をしやすい。
- 腰椎が過度に伸展している。これも腰の怪我リスクを高める。
- 臀筋群が後ろから引っ張らないため、大腿骨が股関節のソケットから前の方にずれてゴリゴリして痛むことがある。前側の腿の付け根が痛くなる場合は、この問題が起きている可能性がある。


★重量と見た目の問題
- 臀筋群がしっかり働いていないので、スクワットやデッドリフトで現状の身体能力に対して重量を最大限に持ち上げられていない。
- 尻の見た目が貧弱。
- 腰椎が過度に伸展している分、内臓が前に押し出され、体脂肪率が低くても下腹部がぽっこり出る。


★骨盤前傾の矯正エクササイズ
アンバランスの矯正の基本的な考え方は、
- 固く縮こまっている筋肉をほぐして伸ばす
- 弱く伸びている筋肉を鍛える

従って骨盤の前傾では、
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋をストレッチやフォームローラーなどでほぐして伸ばす
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋を筋トレで鍛える

◇伸ばす
股関節の屈筋と大腿四頭筋を静的ストレッチ(大腿直筋は二関節筋)。写真の左側のポーズをやるときは、下の脚の臀筋を収縮させると、その脚の前側にある股関節の屈筋が伸びやすい。写真の右側は特に大腿直筋が伸びるポーズ。フォームローラーでコロコロするのも良い。静的ストレッチとフォームローラーは効果が異なるのでできれば両方やった方が良い。


脊柱起立筋群のストレッチは慎重に。筋トレのデッドバグで骨盤後傾させると自然に伸びるのでそれで十分かも。広背筋もストレッチしておいた方が良いと思う。

梨状筋のストレッチもやった方が良いようだ。

◇筋トレ
・背骨の屈筋の強化

腹直筋と外腹斜筋を鍛える。デッドバグなどで特に下腹部を鍛えると良い。腹直筋の上部を鍛えても骨盤にあまり影響を与えない。骨盤後傾させたプランクも良い。

デッドバグ(dead bug)
腹直筋の下部と外腹斜筋を収縮し、骨盤を後傾し腰椎のアーチをフラットにする。背中全体が床にべたっと付くように。ドローインを同時に行うと骨盤を後傾しやすい。この骨盤と腰椎の姿勢をキープしたままデッドバグの動作を行う。(もちろんこの骨盤と背骨の位置でデッドリフトなどをやってはだめ)


初級編は、片脚を床すれすれに伸ばしてまた元の位置に戻す。強度を上げるには、両腕を同時に動かしたり、脚を上げたり。

 他には片脚を上げてから下ろしたり、両足を上げてから下ろしたり。いずれも骨盤の後傾を維持するように。


・股関節の伸筋(臀筋群とハムストリングス)の強化
グルートハムレイズ、ルーマニアンデッドリフト、プルスルーヒップスラストなど。かかとで踏ん張ると臀筋群に効く。


以上のエクササイズは、骨盤が前傾していない人も筋肉のバランスを取るためにトレーニングプログラムに組み入れた方が良い。


★骨盤の後傾
運動不足の人には骨盤の後傾が見られる場合がある。骨盤の後傾の矯正の仕方は、前傾の矯正で伸ばす筋肉と鍛える筋肉を入れ替えれば良い。メカニズムを理解すれば簡単なので、具体な説明は省略。


★その他
- トレーニングをしている時間以外でも良い姿勢を維持するよう心がける。デスクワークでも座りっぱなしは避け、こまめに立ち上がって伸びをしたりウロウロしたりする。
- 腰筋が弱い場合。片脚もも上げ静止を20秒以上維持できない場合は腰筋が弱いので鍛えたほうが良い。
- トレーニングをしていると一般的に内転筋が強くなっている。スクワットでかなり負荷がかかるし、スモウデッドをやる人はさらに鍛えられている。バランスを取るため、内転筋をストレッチしつつ外転を行う筋肉も鍛えたほうが良い。股関節の外転の鍛え方は、膝の健康の記事を参考に。


参考サイト:
Hips Don't Lie
https://www.t-nation.com/training/hips-dont-lie

Core Training for Smart Folks
https://www.t-nation.com/training/core-training-for-smart-folks

Get Your Butt In Gear! 1
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear

Get Your Butt In Gear! 2
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear-2

10/23/2016

intermittent fasting(リーンゲインズ方式)の最新研究

Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males
http://translational-medicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12967-016-1044-0?__s=xd85fbqhz9qszcjaruiv


time-restricted feeding(一般的にはintermittent fasting)の効果を調べた研究。

time-restricted feeding(TRF)は、一定の時間内に1日分の食事をし、後の時間は何も食べない食事方法。この研究でのやり方はリーンゲインズとほぼ同じで、食事は24時間のうち8時間以内、後の16時間は何も食べない。細かいことを言うとリーンゲインズはトレーニング直前には食べなかったと思うので、そこが違いかな。


★被験者
- イタリアのジムでそれなりにトレーニング歴のある男性を募集。53名集まってそのうちアナボリックステロイドの使用歴がある7名が除外、12名が実験プロトコルの説明を受けて辞退。残り34名が参加。
- 平均年齢29歳
- 平均体重85kg
- 平均除脂肪体重74kg
- TRFグループ17名、通常食事グループ17名


★食事
- 被験者は一日あたりのトータルの食事量はこれまで通り食べるように指示された。栄養士の指導のもと、自己管理での維持カロリーの食事。タンパク質は1日に体重1kgあたり1.9gくらいと、十分な摂取量。
- TRFグループは、午後1時、午後4時、午後8時に食事。カロリー配分は午後1時から順に40%、25%、35%。
- 通常食グループは、午前8時、午後1時、夜8時に食事。カロリー配分は午前8時から順に25%、40%、35%。
- 両グループともこの食事に加えてトレーニングの30分後に20gのホエイプロテインを摂取。


★トレーニング
- 週に3日 分割法 各種目6-8レップ限界までを3セット。
- 実施時間帯は午後4時-6時。
- 実験以外のトレーニングは禁止。


★結果
- 除脂肪体重は、両グループとも実験前と実験後では有意差無し。
- 体脂肪量は、TRFが-16.4%で有意差有り、通常食が-2.8%で有意差無し。
- テストステロンレベルとIGF-1レベルがTRFグループで低下、通常食は有意差無し。
- 除脂肪体重、1RM、腕と脚の太さの変化はそれぞれ両グループとも有意差無し
- 血糖レベルとインスリンレベルはTRFで低下、通常食は有意差無し。
- レプチンはTRFで低下だが体脂肪量で調整すると有意差無し、通常食は有意差無し。
- アディポネクチンはTRFで増加、通常食は有意差無し。
- TRFは甲状腺ホルモンT3が減少だがTSHは変わらず、通常食は有意差無し。
- コレステロールはHDLがTRFが増加、通常食は有意差無し。LDLは両グループとも有意差無し。
- 中性脂肪はTRFが減少、通常食は有意差無し。
- 炎症関連の指標であるTNF-αとIL-1βはTRFが減少、通常食は増加傾向。
- 安静時代謝は両グループとも有意差無し。



☆コメント
期間が短いので体組成の変化が小さく、体組成測定の誤差の影響が大きいのではないかというのと、食事が自己管理なのとが欠点だが、これまでのintermittent fastingの研究に比べると、とても良い研究デザイン。特に筋肉愛好家の男性を対象としているので、ボディメイクを行う人にとって参考になる。

intermittent fastingでも除脂肪体重や1RMや腕と脚の太さは通常食と変わらず、人間の身体は柔軟に適応するんだなあと思える。○時間食べなかったらカタボリック!(強迫的トレーニー)とか、朝食を抜いたり食事間隔を空けたりすると太る!(迷信ダイエッター)とかは考えなくて良いだろう。

維持カロリーなのにTRFグループでは体脂肪量が減っていたのは、アディポネクチンの効果ではないかと論文著者は推測している。ただはっきりと理由はわからないようだ。単に摂取カロリーが少なかった可能性もある。8時間以内に一日分の維持カロリーを食べるのは結構キツイから、自然と少し減ってしまったのかもしれない。もしかしたら体重測定のタイミングが朝食時間~昼食時間の間で、TRFグループは朝食が無いぶん水分等が抜けていて体重が軽くなっていたのかもしれない(こんなマヌケなことはやらないと思うが測定時間が書いていないので)。

テストステロンレベルの低下は、摂取カロリーが(もしかしたら)少なかったからなのかもしれないし、intermittent fastingにテストステロンレベルを下げる効果があるのかもしれない。体脂肪の減少量からするとせいぜい一日100-200kcal程度のアンダーカロリーなのに、テストステロンレベルは26%低下していて、要因は摂取カロリーだけではないように思える。

現状のエビデンスだと維持カロリーもしくはマイルドなカロリーカットとウェイトトレーニングの組み合わせでは、intermittent fastingは除脂肪体重に悪影響はなさそうと言えるようだ。筋肉愛好家にも十分に利用可能な食事方法に思える。ただもっとカロリーを減らして体脂肪減少ペースを速くした場合に、除脂肪体重がどうなるのかという問題はある。

増量の場合は、intermittent fastingではテストステロンレベルとIGF-1レベルの低下が筋肥大に悪影響を与えるかもしれない。今後の研究で、この程度の低下では筋肥大に影響がない、カロリーオーバーならテストステロンレベルは通常食と同じになる、逆にintermittent fastingの方が筋肥大にも優れている、などといった結果が出るかもしれないが、現状わかってることを組み合わせて考えると、筋肉を増やすのを第一の目的とする人は、朝から晩まで分散させて食べるのが無難な選択だと思う。

健康面では通常の食事パターンよりもかなりメリットがありそうなのが良い。intermittent fastingは、健康リスクが気になる増量期にこそ行うと良いんじゃないかと個人的には思う。一日200-300kcal程度のカロリーオーバーなら、健康関連の指標については今回の結果と同じく、通常の食事パターンよりも良い結果が出るのではないかと思う。運動してるとはいえカロリーオーバーは健康には良くないので、少しでもダメージを減らせるなら良い。

筋肉が増えるのはゆっくりでもいいが、健康面を大事にしたいという人には、intermittent fastingは良い選択肢だと思う。今回測定していない健康リスク指標に悪影響が出る可能性もあるが、単に朝食を抜くだけでそんなに過激なことをやっているわけではないし、メジャーな健康リスクに関わる指標は改善しているし、IGF-1レベルの低下は発がんリスクを下げだろうし、たぶん全体的に見て健康には良いだろう。一日分に必要なマクロ栄養素とミクロ栄養素を8時間以内にちゃんと食べるように意識する。特にタンパク質とミクロ栄養素が不足しないよう注意する(高タンパクで精製度の低い食事は短い時間にたくさん食べるのが大変)。もちろん自分でやってみて体調が良くなかったら続けない方が良い。

人類の歴史を考えると朝昼晩の決まった時間に食事を出来るようになったのはごく最近で、進化上は人間の身体は不規則な食事や一時的な絶食に適応しているという話があって、これは多分そのとおりだけど、淘汰圧がかかっているのは個体の若い時の生存と生殖であって、急激に寿命が伸びた現代の中高年以降にはその淘汰圧がかかっていない。だから不規則な食事や一時的な絶食が中高年以降の人間の健康に良いとは、件のストーリーからは演繹できない。それと生物の個体の生存と生殖にはトレードオフがあるので、カロリー制限やファスティングで個体の生存確率が上がるなら、生殖能力が犠牲になっている可能性がある。今回の研究でのテストステロンレベルの低下はその表れかもしれない。

あと今回の研究は男性のみが対象。intermittent fastingの反応には性差がある。女性はfastingは14時間にすることがLeangainsでは推奨されている。

intermittent fastingの研究は健康面ではフロンティアだと思う。ボディメイクの面でフロンティアなのかは現状のエビデンスでは何とも言えない。炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエットのカテゴリとして何かしらのメリットがあるかもしれないが、ファスティング自体がカロリーの振り分けを改善するのかは今のところ不明。

intermittent fastingのこれまでの研究について興味がある場合は、strengtheoryの記事にリンクが張られていたこの記事が非常に参考になる。

ちなみに私は増量期でも朝はプロテインパウダーとコーヒーのみにしてます。朝カーボ摂らなければintermittent fastingに近い効果が得られるだろうと考えているのと、筋肉合成の面でタンパク質摂取をある程度分散させたほうがわずかでも有利になるのではないかと思うのと、以前朝コーヒーだけを試したらうんこが出なくて困ったのと、単に朝は食欲が無いのとで、こういうスタイルにしています。ちなみに減量期も維持期も同じで朝はプロテインパウダーとコーヒー。

最後に。。一般ジムにこれだけステロイド利用者がいるってすごいなあ・・・。7名というのも自己申告だろうから実際は被験者内にもいたかもしれない。

10/20/2016

膝の健康のために

ネタ元
 ↓
18 Tips for Bulletproof Knees
https://www.t-nation.com/training/18-tips-for-bulletproof-knees


★保護
・ニースリーブを着用する
- 適当なニースリーブを買って脚のトレーニングの際に着用する

・ウォームアップをしっかり行う

・痛みのでる運動は止める
- 無理はしないこと。

・着地時の衝撃を吸収する
- ジャンプしたり走ったりするときは、関節と筋肉を使って柔らかく着地する。なるべく音を立てないように着地するのを意識。

・正しい姿勢をとる
姿勢が悪いと日常生活でもトレーニングでもダメージが蓄積していく。詳しくはNeanderthal No More シリーズを参照。


★ストレッチなど
・足首と股関節の可動域を広げる

関連記事:股関節のストレッチ・ウォームアップ


・大腿四頭筋とふくらはぎをストレッチ
- アスリートを対象としたプロスペクティブ研究で、膝蓋大腿関節の痛みが発生したアスリートは、大腿四頭筋と腓腹筋が固かった。
- 腓腹筋のストレッチは膝を伸ばした状態でやると良い。

・大腿直筋を伸ばす
- 台かテーブルに腰掛けて、片足の膝を抱えて胸に寄せてそのまま後ろに倒れ込んで背中をつける。もう片方の脚は下にだらんとし、その際に脛が地面に対して垂直なら問題なし。垂直にならず突っ張ってるなら大腿直筋が固いか短縮しているのでストレッチする(下の画像は固い例)。

大腿直筋は膝と股関節にまたがる二関節筋なので、膝と股関節を同時に伸ばしたストレッチをすると良い。伸ばしている側の脚の臀筋を同時に収縮させると、大腿直筋がよく伸びる。

・フォームローラーやマッサージ
- 大腿四頭筋と大腿直筋のあたりに(膝上から股関節まで)
- 大腿の外側。主に外側広筋と腸脛靭帯。


★筋肉を鍛える
・股関節の外転と外旋を強化する
- 膝蓋大腿関節の痛みを抱えるアスリートは、股関節の外転と外旋の強さが大幅に低下していることが報告されている。
- 外転と外旋を行うには大殿筋と中殿筋後部を使う。
- 脚のトレーニングを行う前に、大殿筋と中殿筋を刺激するするために軽いエクササイズを行う。
- もちろんこれらの筋肉を強化するためにボリュームのあるトレーニングも行う。スクワットなどをやった後に行うのが良いだろう。

エクササイズ例:
X-band walk

side steps

Side-lying Clam

- つま先は開き気味で、かかと側から足を運ぶようにすると良い。つま先から足を運ぶと、おそらく太ももの外側の筋肉を使ってしまう。

- side stepsをやったあとそのままバンドをつけて自重スクワット(もちろん膝とつま先が同じ方向を向いて)を行うと、膝を外に押し出して臀筋を締める良いフォームが意識しやすい。

- アブダクションマシンは軌道が固定されているので使わないほうが良い。取っ手のついてない1000円くらいのトレーニングチューブを買って、適当に結んで輪っかを作って使うのがおすすめ。柔らかめのを買うと肩周りのエクササイズにも使える。輪っかを二重にすれば抵抗が増えて臀筋のトレーニングに使える。

・臀筋群とハムストリングスを鍛える
- 一般的には大腿四頭筋に偏重したトレーニングを行っているので、膝と股関節の前後のバランスを取るため臀筋群とハムストリングスも鍛える必要がある。
- エクササイズ例:
グルートハムレイズ、デッドリフト、ルーマニアンデッドリフト、リバースハイパー、ヒップスラスト

・内側広筋斜頭(VMO:vastus medialis obliquus)のアイソレートは忘れる
- 外側広筋が強すぎることで膝の左右で筋力差が生じ、横に引っ張られてしまうことが膝の痛みにつながる。内側広筋斜頭を強くすれば、左右の筋肉のバランスが取れると考えられる。
- ただ内側広筋斜頭を完全にアイソレートするのは非常に困難。
- 内側広筋斜頭を無理にアイソレートしようとするのではなくて、レッグエクステンションなどで大腿四頭筋を全体的に鍛えるのが良いだろう。


★トレーニング全般
・リハビリ局面ではアイソレート種目をちゃんとやる
- ストレングスを求めるとコンパウンドをやりたくなるが、コンパウンド動作では弱ってる筋肉があると他の強い筋肉で代替しようとするので、筋肉のアンバランスがさらに拡大してしまう。まずはアイソレートで弱い筋肉を強くするのが重要。

・長期的に筋肉のバランスが取れるようなトレーニングプログラムにする
- 偏ったトレーニングプログラムを続けると筋肉のアンバランスは時間の経過とともに拡大してく
膝の前後:大腿四頭筋とハムストリングス
膝の左右:外側広筋と内側広筋斜頭

・片脚でのトレーニングも行う
- 左右の脚の筋力バランスを整えたり、膝の安定に重要な大腿四頭筋と臀筋群を鍛えたり。

・正しいフォームでトレーニングする


★食事・サプリメント
・抗炎症作用のある食生活
- 飽和脂肪酸を摂りすぎない
- オメガ3脂肪酸の摂取を増やして、オメガ6脂肪酸の摂取を減らす。

※オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率が重要で、オメガ3脂肪酸も摂取しすぎると健康に悪いんだけど、現代の一般的な食生活ではオメガ6脂肪酸を摂りすぎる傾向があるので、オメガ3脂肪酸の摂取を増やすことを意識してオメガ6脂肪酸を減らすのが良い。

・関節の健康に良いとされるサプリメントを摂取
- グルコサミンとコンドロイチン

※Examine.comを読んだ感じでは、グルコサミンは硫酸塩(塩酸塩は効果ない)の形で摂取すれば。関節の劣化を遅らせるわずかな効果がありそう。グルコサミンを服用してさえいれば関節の健康を保てるようなものではない。費用対効果をどう考えるかの問題なので、ランニングのように膝を酷使するスポーツを行っていてお金に余裕がある人は、わずかにあるかもしれない効果のために服用するのもありだろう。(個人的には運動量を調整したり膝周りの筋肉を鍛えたりしたほうが費用対効果はずっと高いと思う)

コンドロイチンについては、効果を示す研究は実験デザインが良くないものが大半。大規模調査だと効果なしの傾向。現状ではプラシーボ効果を上回る効果があるとは言えない。


10/12/2016

肩の健康のために

 ネタ元
  ↓
Shoulder Savers - Part 1
https://www.t-nation.com/training/shoulder-savers-1

Shoulder Savers - Part 2
https://www.t-nation.com/training/shoulder-savers-2

Cracking the Rotator Cuff Conundrum
https://www.t-nation.com/training/cracking-the-rotator-cuff-conundrum

Push-Ups, Face Pulls, and Shrugs
https://www.t-nation.com/training/push-ups-face-pulls-and-shrugs

★日常生活編

・机に座りっぱなしは避ける
- こまめに立ってうろついたり伸びをしたりストレッチをしたりする。背中を丸めて前かがみになり、肩が丸まり首が突き出る姿勢は肩にも背骨にも良くない。うつむいてスマホを見続けるのも良くない。
- 背筋を伸ばした一般的に良いと言われる姿勢も、ずっとその姿勢を続けるなら身体には良くない。身体にとって良いたったひとつの姿勢というものはなくて、良い姿勢というのは、こまめに姿勢を変えて一箇所に負荷がかからないようにすること。
- 一週間に数時間のエクササイズで姿勢を矯正しようとしても、残りの大部分の時間を悪い姿勢で過ごしたらあまり意味がない。

・身体の片側ばかりを使わない
利き腕じゃないと出来ないことは仕方がないが、いつも一方の腕で頬杖をついたり、いつも片方の肩にバックパックを担いだりといったことは避ける


★トレーニングで気をつけること

・肩峰の形
肩峰の形には個人差があって、オーバーヘッドプレスやストレートバーでのベンチプレスで肩を痛めやすいタイプの人がいる。これらの種目で肩に違和感を感じたり痛くなったりする場合は、他の種目で目的の筋肉を鍛えると良い。

・前鋸筋
- 前鋸筋は、頭上で腕を動かす際に、僧帽筋とともにバランスをとりながら肩甲骨の制御を行う。上腕骨と肩甲骨が上手く連動して動くようにするには前鋸筋もしっかり働くようにしないといけない。
- 肘を伸ばしたまま肩甲骨を寄せて開くプッシュアップをすると良い。高レップが良い。キツイ場合は膝をついたりして負荷を調整する。
動画:Scap Push-Ups

・ベンチプレス
肘を開いて鎖骨に下ろすフォーム(いわゆるボディビルスタイルのベンチプレス)はやめる。あとは体幹を固めるとか、肩を突き出さないとか基本的なことに注意する。

・肩だけを鍛える日はやめる
肩だけを1時間とかやると肩関節に負荷をかけすぎてしまう。バランスを取るエクササイズをやっていれば刺激は十分。もし肩のトレーニングをやるなら、オーバーヘッドプレスとラテラルレイズを少々付け加えると良い。

・軟組織のケア
アクティブリリース、ロルフィング、グラストン、マッサージ、フォームローラーなど。(私はよくしらないです。なんかこのジャンルは胡散臭い感じのものもありますが、この記事を書いている人は信頼できると思うのでエキスパートがやれば高い効果があるのだと思います)

・シーテッドロウ
- 肩甲骨を寄せる動きを鍛えるのを意識する。
- 膝と股関節を使って引くのはよくない(デッドリフトみたいな動き)。
- 僧帽筋上部に力が入って肩が上がって、広背筋と大円筋と上腕三頭筋長頭で引くのも良くない。これをやると胸部の後彎(前かがみ)が悪化する。
- 肩甲骨まわりが固くて引ききれないのを、頭を前に突き出して肘を曲げることで誤魔化すのもよくない。
動画:Good Seated Cable Row

・ラテラルレイズ
肩甲骨と同一平面上で上腕を動かす。真横から約30度前に出して上下させると良い。腕を外旋して親指を上に向けてやるとさらに安全。

真上から見た図

動画:Scapular Plane Lateral Raises

・腹直筋
- クランチなどで腹直筋ばかりを鍛えすぎると体幹の前側(肋骨と骨盤の間)が縮まり、前かがみの姿勢になる。肩甲骨が前傾し肩が前に出て肩を痛めやすくなる。
- プランクやサイドブリッッジなど外腹斜筋も動員したコア安定のトレーニング、それと腹筋の下の方を鍛えて骨盤の前傾を矯正する(これについては今度書きます)。

・ストレートバーでのベンチプレスとバックスクワット
- ベンチプレスは腕と肩の動作域に遊びが無い→ときにはダンベルプレスで代替する、ニュートラルグリップ(手のひらが向かい合う)、動作範囲を短くする(深くまで下ろさない)といった対策で肩への負荷を減らす。
バックスクワットでの腕の姿勢(上腕が外旋・肩が外転)は、肩に負荷がかかる→腕が辛くない特殊なスクワットバーを使う、フロントスクワット、デッドリフトや片脚でのトレーニング(ランジとかスプリットスクワットとか)といった対策で肩への負荷を減らす。

・利き腕と反対側の腕
野球のピッチャーなど利き腕とそうじゃない腕の差が大きい人は、以下の対策が効果的な場合が多い。特に利き腕じゃない方の肩が痛くなるケース(私はバドミントンをやっていたのですがまさにこのケース)。
- 利き腕側は肩甲骨とローテーターカフの安定性を高めるエクササイズが効果的。
- 利き腕じゃない方の肩は可動域を広げるエクササイズ(特に大胸筋、広背筋、三角筋前部のストレッチ)と上腕の外旋動作を鍛えるエクササイズが効果的。

・肩甲下筋
- 肩甲下筋を鍛える。上腕骨頭を後ろに引くのに重要な役割。上腕骨頭を後ろに引けないと前に飛び出してゴリゴリ。
- 台の上にうつ伏せになって、上腕はサポートされた状態で、肩甲骨は下制し、上腕を内旋
- 肩甲骨の裏側の脇の横あたりに筋肉の動きを感じればOK。
動画:Prone Internal Rotations

・胸椎を伸ばす
前かがみの姿勢を矯正するためにフォームローラーで胸椎を伸ばす。ゆっくりと反りすぎないようにやる。肩甲骨のやや下から肩甲骨の真ん中あたりまでをほぐす
動画:Thoracic Extensions on the Foam Roller

・アップライトローは止める
特にストレートバーでのアップライトローで肘を高く上げると肩を痛めやすい。三角筋と僧帽筋上部を鍛えたかったら他に安全な種目はいくつもある。


★エクササイズのバランスの取り方

以下の各動作の1)と2)のエクササイズを両方ともバランス良くやる。一般的に、1)のエクササイズが足りなくて、2)のエクササイズを多くやっていることが多い。偏ると肩の怪我をしやすい。

トータルのレップ数でバランスを取るようにする。重量はそれほど気にしなくて良い。普通は肩甲骨の寄せや上腕の外旋の動作で高重量は扱えないし、怪我のリスクを考えると高重量でやらない方が良い。

動画へのリンクを張ってるのもあるけど、やり方がよくわからなかったら適当に検索してください。あまりメジャーじゃない種目は英語の方が検索ヒットするので英語のまま書いてます。

◇肩甲骨の寄せ、突き出し

1) 肩甲骨の寄せ
全てのローイング(やり方は前述のシーテッドロウを参考に)

Rear Delt Fly
あまり良い動画が見つからなかったけど、軽い重量で肩甲骨を寄せるのを意識する。

Prone Trap Raise Variations

Face Pulls

2) 肩甲骨の突き出し

腕立て伏せ

ディップス


◇肩甲骨の下げ、上げ

1) 肩甲骨の下げ
Scapular Wall Slides

Prone Trap Raise Variations

Behind-the-Neck Band Pulldowns

Prone Cobras to 10&2 (held for time)

Straight-Arm Lat Pulldowns (strict!)

2) 肩甲骨の上げ
シュラッグ

クリーン&スナッチ

Seated Dumbbell Cleans
たぶんこのやり方で良いと思う。軽い重量で高レップ。上げる時に上腕の外旋、下げるときは内旋のエキセントリック動作にせず小指側から下ろすと肩に負荷がかかりにくい。

Cuban Presses


◇上腕骨の外旋、内旋
上腕骨を外側に回転させるのが外旋、内側に回転させるのが内旋。


1) 上腕骨の外旋
Seated Dumbbell Cleans

Cuban Presses

Rear Delt Fly

Prone Trap Raise Variations

Prone Cobras to 10&2 (held for time)

その他外旋動作全て

2) 上腕骨の内旋
ベンチプレス、プッシュアップ

懸垂、ラットプルダウン

フロントレイズ

ディップス

オーバーヘッドプレス

その他内旋動作全て



関連記事:
懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)

10/05/2016

懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)

ネタ元
  ↓
Strength Training Programs: Are Pull-ups THAT Essential?
http://ericcressey.com/strength-training-programs-pull-ups-essential

懸垂をやり過ぎることによる怪我のリスクについて。主に二つあり、まずは肘に高負荷がかかること、それと広背筋が他の筋肉に比べてアンバランスに強くなることによる身体の歪みと肩の怪我リスク。


★怪我リスク
1. 肘への負荷
腕が引っ張られるので、関節では骨同士が離れる方向に力が働く。骨が離れて腕がちぎれないようにしているのは腱や靭帯。高負荷の懸垂ではこれらの軟組織に強いストレスがかかり、トレーニングを続けると肘を痛めるリスクがある。

どれくらいの重量の懸垂を高負荷と呼ぶかは関節の強度との相対的なもので、その人の関節周りの強さにもよるし、体重にもよる。力士などは自重懸垂でも肘に相当な負荷がかかるだろう。


※体感では、逆手懸垂が最も肘を痛めやすい。というか私は痛めたことがある。逆手のプル動作は引く時に肘に捻じれが発生して怪我リスクが上がると思う。逆手のベントロー(ドリアンロー)も気をつけたほうが良いと思う。プル動作は多分パラレル(ニュートラル)グリップが最も肘を傷めにくい。

肘の痛みについては下の記事に詳しく書きました。

関連記事:筋トレでの肘の痛み-対処方法と予防方法-

 

肩周りの細かい筋肉が弱いと肩や肘を怪我しやすくなります。その対策については以下の記事に。

関連記事:肩甲帯のトレーニング(プッシュ・プル動作に重要)


2. 広背筋が他の筋肉に比べて強すぎると起こる問題
広背筋は背骨の強力な伸筋である。広背筋が他の筋肉に比べてアンバランスに強く縮こまっていると、腰部の反りが強くなる。

広背筋は上腕骨にくっつく途中で、胸部の後ろ側と肩甲骨にもくっついている。このため広背筋に引っ張られて、前から見ると胸が開いた状態になる。また広背筋が僧帽筋下部を圧倒するため、肩甲骨は広背筋に引っ張られて下の方に押し付けられ、肋骨に張り付いたままになり、僧帽筋下部が肩甲骨を寄せたり下げたりする働きをしなくなる。ちなみにBIG3でも肩甲骨が下に押し付けられることが多いので、ウェイトトレーニングを熱心にやる人ほど肩甲骨が下に押し付けられてしまう。


頭と背骨だけ描くとこんな感じ。

肩の後ろ側は広背筋の腱や、大円筋や小円筋や三頭筋の長頭や三角筋後部が集中している。肩甲骨が動かないと、広背筋だけで肩の伸展(上腕を後ろに動かす動作)を行い、他の筋肉は衰える。

ローイング動作で広背筋のみ使うと、肩甲骨は胸部とくっついて前傾し、上腕骨は肩との接合部で前に飛び出る形になり、肩の前部がゴリゴリ圧迫され痛めやすい。



上腕骨に連動して肩甲骨が内側に動くと、上腕骨をしっかり後ろに引ける。


広背筋が強すぎて縮んでいるとると肩峰下のスペースが減り肩を痛めやすい。

腕を上に上げる動きではローテーターカフと僧帽筋下部の働きが重要。広背筋が強すぎるとこれらの筋肉は弱っている。

膝を曲げて仰向けに寝て、背中は床にべったりつける(アーチは作らない)。この姿勢で腕を頭の上に伸ばす(肩の伸展)。肩が不健康になっていると、腕が床までいかなかったり痛みがあったりする。

無理に腕を頭の上まで上げようとすると、腰を反らせて胸部を肩ごと後ろに倒して首を前に突き出す動きになる。この動きで肩の動かなさをカバーしている人は要注意。

※私はこうなってしまう。ショルダープレスをやると肩が痛い。矯正しないと。


★姿勢矯正

身体のアンバランスの直し方の基本は、
- 縮んだ側の筋肉をストレッチ
- 伸びた側の筋肉を強化

背骨についていえば、広背筋が強すぎるケースでは
- 腰椎が過度に伸展し、
- それを補ってバランスを取るために胸椎は過度に屈曲し、首が前に突き出て頚椎が過度に伸展。

この悪い姿勢を直すには、
- 腰椎の伸筋(広背筋)をストレッチし、腰椎の屈筋(腹筋)を強化。
- 首の後ろ側をストレッチし、首を曲げる筋肉を強化。
- 肩甲骨が広背筋の縮こまりから解放され、僧帽筋やローテーターカフでコントロールできるようにする。

★エクササイズ例

・既に広背筋が強い場合、懸垂をやる際は加重を増やすのではなくて、レップ数とセット数を増やす。

・自分の身体の状態をよく確認し、懸垂が痛みをもたらすようなら控える。

・肩の前部や肘が痛い場合は、マッサージやフォームローラーなどの治療を行うこと。

・腕を上げてのシュラッグで、張り付いた肩甲骨を動かし、僧帽筋上部を鍛えて広背筋の引っ張りに対抗する。


・首の後ろ側を伸ばし、首を曲げる筋肉を鍛える。


・腹筋を鍛える。

・肩甲骨を動かし僧帽筋下部を鍛える。いずれのエクササイズも臀筋に力を入れ、コアを安定させ、腕を上げる時に腰が反って頭が前に出ないように気をつける。


・広背筋のストレッチをする。


・水平方向のプル(ローイング動作)のトレーニングも行う。上腕と肩甲骨を同時に動かす正しいフォームで行うこと。

・下の動画のように、背中をべったり壁にくっつけて、腰を反らさず首を前に突き出さず、腕を上に上げて手が壁に付くかテストする。姿勢の歪みが激しい場合は、懸垂はしばらくは控えて、上のようなエクササイズを行い、まずは姿勢矯正した方が良さそう。



9/28/2016

プランクのやり方

腰椎を少し曲げ、骨盤を後傾させる。 大腿四頭筋に力を入れて膝をロックし、臀筋に力を入れて骨盤の後傾を維持するとやりやすい。





こうすることで、

・身体が石橋と同じアーチ状になるので、背骨にかかる負荷が分散し腰を傷めにくい。

・腹直筋が短縮した状態になるので腹直筋に力を入れやすい。背骨ニュートラルの状態は腹直筋が伸びているので力を入れにくい。





参考サイト:
Anti-Ab Training
https://www.t-nation.com/training/anti-ab-training

The RKC Plank
https://bretcontreras.com/the-rkc-plank/

9/24/2016

デッドリフトにおける広背筋の重要性


参考サイト

Cueing Lat Activation For a Deadlift, or pretty much anything that needs lats
http://deansomerset.com/cueing-lat-activation-deadlift-pretty-much-anything-needs-lats/

Cueing Lat Activation For a Deadlift, or pretty much anything that needs lats
http://deansomerset.com/the-most-important-low-back-muscle/

The Importance of the Lats in the Deadlift
http://strengtheory.com/lats-in-the-deadlift/


★基礎知識
- 背骨の伸展(extension)は、背中を反らす方向の動き
- 背中の屈曲(flexion)は、背中を丸める方向の動き


★広背筋のデッドリフトへの寄与

大きく分けて2つ

◇胸椎の負荷を減らし上背部の姿勢を保ちやすくする

腕を下半身の方に引き寄せ、肩甲骨を下半身の方向に押し込むことで、荷重点を股関節方向にわずかに移動させ、股関節にかかる曲げモーメントを少し減らし、胸椎にかかる曲げモーメントを大幅に減らすことが出来る。


肩甲骨を下半身の方向に押し込む動き(専門用語だと肩甲骨の下制)を意識しにくい場合は、立った状態で胸を上にクイッと上げる動きをすると良い。同時に頭をやや後ろに動かすとやりやすい。


ちなみに他のトレーニング種目でも、体幹に強い負荷がかかる種目は大体この姿勢で行う。懸垂やローイングもこの姿勢の方が広背筋に刺激が入りやすい。胸を張るのではなくて、胸を上にクイッと。

ではなぜ肩甲骨を下制し、腕を引き寄せると、胸椎の負荷が減るかというと・・・

デッドリフト時の背中は片持ち梁だと考えられる。荷重点はバーベルと上半身の合成重心の真上(バーベルが十分に重ければバーベルの位置と近似)。重力は垂直方向にかかるので、荷重点からの水平距離(モーメントアーム)と、バーベル+上半身の重さ(荷重)の積が曲げモーメントになる。荷重点から離れるほど(デッドリフトの場合は股関節に近づくほど)、曲げモーメントは大きくなる。

strengtheoryの例を使うと、肩甲骨を下制し腕を引き寄せることで荷重点を1インチ股関節に近づけた場合、股関節(重りを持ち上げるのに動かす関節)は荷重点から遠いので、例えば水平距離が20インチ→19インチになると曲げモーメントは5%減る。一方で、胸椎は荷重点から近いので例えば5インチ→4インチになると曲げモーメントは20%も減る。上の図では赤の矢印がbeforeで、緑の矢印が1インチ股関節に近づけたafter。

このため上背部の姿勢をキープしやすく、また股関節が重りに打ち勝つのに必要な力も少しだが小さくなるので、デッドリフトを効率的に行うことができる。

このメカニズムから、バーよりも肩が前に出て、腕が鉛直にならない方がデッドリフトは効率的になるのだが、バーベルが重たいとこの腕の角度をキープするのに広背筋はかなりの力が必要になる。従って高重量のデッドリフトでは腕はほぼ鉛直になる。

トップレベルになると上背部を意図的に曲げるフォームになることもあるみたいで、これも力学的にどう有利になるのか解説されているけど、技術的な難しさと怪我のリスクを考えると、趣味でトレーニングする人はあまり真似しない方が良いと思う。


◇腰椎の伸展をサポートし下背部の姿勢を保つ

広背筋は背骨の中の方から下の方や肩甲骨にくっついていて、もう片方は上腕骨にくっついている。これだけ大きい筋肉なので、下背部のS字姿勢を保つのに重要な働きをする。下の画像はWikipediaから。




★広背筋の収縮を意識する方法

背中を壁にベタッとつけ、息を吐きながら手のひらで壁を強く押す。下背部のアーチを作らずベタッと壁につける。


ストレートアームのプルダウンの動き



★広背筋に効かせやすいトレーニング

パラレルグリップでのプルダウン。股関節を伸ばした状態で、背中を伸ばし、臀筋(尻)に力をいれながらやると良い。座った状態(股関節が曲がった状態)でのラットプルダウンは広背筋を使うのが難しい。

個人的に広背筋に負荷をかけやすい種目は、デッドリフトとナローパラレルグリップでの懸垂なので、これはよくわかる。



☆コメント

Greg Nuckols(strengtheory)が言うには、「広背筋は(脊柱起立筋と違って)複数の椎骨にまたがってつながっているわけではないから、脊柱の伸展方向の力はほぼなく、また広背筋は上部胸椎にはつながっていないから胸椎の伸展には関わらない」とのことだけど・・・

私が考えるには、下背部は腰椎がS字を維持している限りは、広背筋の収縮で下背部には伸展方向の力が働き、バーベルによる曲げモーメントに抵抗するのでは。



ただし下背部が丸まると伸展の力は働かなくなり、逆にやや屈曲方向の力が働くのでは。広背筋がストレッチされて力を入れにくいが、水泳のスタートのときのように背中を丸めて広背筋に力を入れてみるとそうなると思う。

自分で背中を丸めたり伸ばしたりした状態で広背筋に力を入れて試してみたけど、たぶんこれで合ってるかと。脊椎がS字のときは広背筋の収縮で下背部を面でサポートできる感じ。脊柱起立筋だけだと線でサポートする感じになる。

なのでDean Somersetの言うとおり、広背筋は下背部に伸展方向の力を加え下背部の姿勢を保つのに非常に重要な働きをすると思う。

上背部は、肩甲骨を下制することで鎖骨を引っ張り胸椎の伸展を保つのに寄与するのではないだろうか。ただこの力は弱いかも。モーメントアーム短縮による曲げモーメントの削減の方が大きそう。

9/17/2016

女性の糖質制限

てんかん患者の治療にケトジェニックダイエット(厳格な糖質制限食)が使われていて、てんかん患者を対象とした研究が結構ある。どれも1日の炭水化物摂取量が100gを大幅に下回る食生活にしている。

個人差はあるがケトジェニックダイエットはてんかんの発作の抑制に効果的なのだけど、副作用がいくつかあって、これは疾患の無い人がケトジェニックダイエットを行った場合にも起こると思われる。特に女性は高い確率で月経異常になるので注意が必要。


◇The Ketogenic Diet: Adolescents Can Do It, Too
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1528-1157.2003.57002.x/full

被験者:てんかん患者の思春期の男女。開始時点の平均年齢は約14歳。

45%(9名)の女性に月経異常が起こった。うち6名が無月経、3名が思春期の遅れ。9名のうち4名が体重減少(残り5名は体重減少していない)。1名は月経を起こすためにホルモン治療を受けた。8名はケトジェニックダイエットの終了後は月経は正常に戻った。1名はケトジェニックダイエット終了後に月経過多になった。


◇The Ketogenic Diet for Intractable  Epilepsy in Adults: Preliminary Results
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1528-1157.1999.tb01589.x/pdf

被験者:男性2名 女性9名。年齢19-45歳。

女性9名全員が月経異常になった。男女11名中5名が体重減少したが、カロリーを増やすことでこれに対処した(それ以降は体重減少無し)。ケトジェニックダイエットの終了後は全員が月経は正常に戻った。


◇Long-term use of the ketogenic diet in the treatment of epilepsy
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1469-8749.2006.tb01269.x/pdf

ケトジェニックダイエットは、他には便秘や骨が脆くなることや腎結石になりやすいといった副作用がある。



★コメント
女性は体重を維持するだけのカロリーを摂取していても、厳格な糖質制限食を行うと非常に高い確率で月経異常になる。

厳格な糖質制限食では、身体は飢餓時に発動する緊急システムを使うことになる(詳しくは関連記事の[書籍] The Ketogenic Diet を参考)。健康の維持にはある程度のストレスが必要なので、たまにケトジェニックダイエットやファスティングをするのは健康に良いかもしれない。また極度に低い体脂肪率にするために、炭水化物の摂取をサイクルさせ一時的にケトーシスを起こすダイエットは、数ヶ月といった短い間ならそれほど問題にはならないだろう。だけど飢餓時の緊急システムをずっと使い続けるのは、健康に良いとは思えない。

個人的には、厳格な糖質制限食は、特定の疾患を持つ人以外には勧めません。体重を維持するだけのカロリーを摂取する場合でもそうです。最低でも1日100-150gの炭水化物を摂取した方が良い。

1日100-150gの炭水化物の摂取を糖質制限と呼ぶ人も見かけるけど、例えば1日1500kcalのダイエットをするとして、炭水化物125g(500kcal)、タンパク質100g(400kcal)、残りの600kcalを脂質で摂取するとしたら、これは糖質制限ではなくて単なるバランス型ダイエットになる。

炭水化物でも脂質でも摂り過ぎて体内で余剰が出れば、健康に害を及ぼす。バランスの取れた食生活をして、適度に運動をするのが最も健康に良いだろう。

糖質制限は、頭を使わずに摂取カロリーを抑えつつタンパク質の摂取量を確保できるので、その点は優れていると思う。ダイエットで重要なのは摂取カロリーが消費カロリーを下回るようにし、タンパク質を十分に摂ること。でも糖質制限で痩せると考える人は、体重の増減のメカニズムを間違って理解するケースが大半だろうから(糖質でインスリンが出るから太る云々)、壁にぶつかるとどうしようもなくなる。またダイエットの際はウェイトトレーニングを行うと筋肉を維持増強できるので、ウェイトトレーニングは出来るならやったほうが良い。ウェイトトレーニングを行うには炭水化物を摂取した方が楽だし効果的。

減量の効果の観点からは、厳格な糖質制限食は男性なら体脂肪率10%程度、女性なら17%程度を下回ってさらに減量したい場合には意味があると思うけど、それ以上の体脂肪率の人がやってもバランス型ダイエットに比べて効果的かというと恐らく意味がない。



関連記事:
[書籍] The Ketogenic Diet

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

9/14/2016

健康な骨と心臓血管のための食生活ガイドライン

Nutritional strategies for skeletal and cardiovascular health: hard bones, soft arteries, rather than vice versa
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4809188/

2016年の論文。先にまとめを書いて、その後に詳しく書いていきます。

★先にまとめ
カルシウムはサプリメントよりも食事から摂取する。特に骨を含む食品を多く食べると良い。骨を含む食品とは、例えばイワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など。一般的なカルシウムサプリメントは心臓血管系に悪影響が出る可能性がある。

乳製品もカルシウム摂取に良いが、牛乳の飲み過ぎは乳糖不耐症やガラクトースの過剰摂取による悪影響の可能性があるので、牛乳の飲み過ぎは避け、チーズやヨーグルトを優先的に食べると良い。

十分な量の動物性タンパク質を摂取し、1日にカルシウム約1000mgを摂取することを目指す。カルシウム摂取量は多すぎても健康にネガティブな影響がある。

果物と野菜の摂取を増やす。体内システムをアルカリ化し骨の健康を保つ効果が期待される。またナトリウムの摂取量が多く、カリウムの摂取量が少ないと、心臓血管系の疾患リスクが上がるので、この面でも果物や野菜を積極的に食べるのは効果的。種子類や豆類も良いだろう。

ビタミンDも重要。日光にあたるか食品やサプリメントで摂取する。

ビタミンK1・K2も骨と血管の健康に良いと考えられる。色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品にビタミンKが豊富に含まれるので、これらの食べ物の摂取を増やすと良いだろう。


★骨と心臓血管の疾患
- 50歳以降、閉経後の女性は年に0.7-2%の骨量が減少し、男性は0.5-0.7%の骨量が減少する。45歳から75歳の間に、平均で女性は30%の骨量を失い、男性は15%を失う。
- 骨密度の低下と心臓血管系の疾患リスクの上昇は強く相関している。例えば骨粗相症の人は冠動脈疾患のリスクが高く、逆もまた然り。


★牛乳をカルシウムの主な摂取源とする場合のリスク
- 乳糖不耐症の人はあまり乳糖を摂取できない。
- 牛乳の摂取量がいくつかの疾患、具体的には白内障や卵巣がん、前立腺がん、パーキンソン病、タイプ1糖尿病と相関することが疫学調査で示されることがある。
- また乳糖は体内でグルコースとガラクトースに分解され、ガラクトースが炎症と酸化を増加させるという研究もある。
- 安全を期するなら、牛乳をたくさん飲んでカルシウムを摂取しようとするのは避け、乳製品はヨーグルトやチーズを主に食べるのが良いだろう


★ベジタリアン食の骨への影響
- 多くの植物や穀物や豆類に含まれるシュウ酸やフィチン酸がカルシウムの吸収を阻害する。
- ヴィーガンは骨折リスクが高いことがいくつかの研究で示されている。カルシウムの摂取量が少ないことと、吸収率が低いことが影響していると考えられる。


★カリウムとナトリウム
- 植物や加工度が低い食品にはカリウムが多く含まれている傾向がある。加工度の高い食品にはナトリウムが多く含まれている傾向がある。
- ナトリウムを多く摂取すると心臓血管系の疾患のリスクが上がる。
- 心臓血管を健康に保つには、野菜や果物や豆類やナッツなどカリウムの豊富な食品を多く食べ、味の濃い加工度が高い食品は控えめにするのが良い。


★ビタミンK
- 骨の強度を増すことで、骨を健康にするのに役立つと考えられている。
- 血管の石灰化は心臓血管疾患の予測因子。ビタミンKの摂取で血管の石灰化を防ぐことができると考えられる。
- ビタミンKは、色の濃い葉物野菜や種子類、納豆やチーズやカード(凝乳)などの発酵食品に多く含まれている。


★カルシウムサプリメントの問題点
- 一般的なカルシウムサプリメントは、炭酸カルシウムやクエン酸カルシウム。リン酸塩の吸収を阻害することで、骨が脆くなるのを防ぐと考えられるが、これまでの研究だと骨折リスクの低下について強いエビデンスが出ているわけではない。
- カルシウムサプリメントの摂取は心筋梗塞リスクと相関すると報告する研究もある。
- 血清カルシウム濃度の上昇は、頸動脈のプラークの厚み、動脈と大動脈の石灰化、そして心筋梗塞の発症と相関するという研究がある。500-1000mgのカルシウムサプリメントの摂取後に血清カルシウム濃度が一時的に上昇することが観察されている。
- 対照的に、食事からカルシウムを摂取した場合のカルシウム濃度の上昇はずっと小さい。
- カルシウムサプリメントと心臓血管疾患を結びつける他のメカニズムとしては、冠動脈の石灰化、血管拡張の阻害、動脈の硬化の増大、血液凝固の亢進。


★骨を食べる利点
- 骨に含まれるカルシウムはカルシウム・ハイドロキシアパタイトで、非常に効果的に骨を形成する。
- またカルシウムとともにマグネシウム、リン、ストロンチウム、亜鉛、鉄、銅、コラーゲン、アミノグリカン、オステオカルシンなどを摂取でき、頑強な骨の形成をサポートする。
- イワシや鮭(もちろん骨ごと)、鶏の軟骨、ブロス(骨のスープ)など動物の骨を積極的に食べ、カルシウムを摂取すると良いだろう。
- サプリメントで摂取するなら、一般的な水溶性のカルシウム塩ではなくて、ハイドロキシアパタイトのが良いだろう。カルシウム・ハイドロキシアパタイトとビタミンDの投与で骨の厚みが大きく増したという研究がある。


☆コメント
一般的なカルシウムサプリメントが骨を強くするか微妙な感じで、心臓血管系の疾患リスクを上げるネガティブな効果があるというのが新たな発見だった。栄養なんてサプリで摂ればいいだろうという人間の浅知恵を嘲笑うかのような人体のメカニズム。こういう例はよくあって、たいていは健康のためには肉や魚や野菜や果物や豆類や種子類や乳製品などをバランスよく食べ、加工度の高い食品を食べ過ぎず、適度に運動しましょうという常識的で平凡なガイドラインになる。食物繊維やフィトケミカルなどの効果がわかってきたのも最近だし、今後も同じようにホールフードに含まれる栄養について新たな発見があることでしょう。長期的な健康を考えるなら、食事に対してこのようなアプローチ方法は危険だと思う(栄養失調よりはマシだが)。

ヨーグルトなら牛乳の飲み過ぎによるデメリットが無いみたいに書かれているけど・・・ヨーグルトは乳糖がだいぶ残っている。まあ牛乳をがぶ飲みするのは簡単でも、ヨーグルトを大量摂取するのはかなり頑張らないと難しいので、ヨーグルトを優先的に食べればガラクトースの過剰摂取は避けられると思う。牛乳も毎日1リットルとか飲まない限りは問題ないでしょう。こういう研究を知ると、特定の食品を少しでも食べると身体に毒になる、という考え方をしてしまう人がいるけど、そういうのは病的になるので止めたほうが良いでしょう。チーズについては、カルシウムは豊富だけどカロリーと塩分の摂り過ぎに注意が必要。カッテージチーズは脂質少ないけどカルシウムも少ない。

骨の摂取には、骨ごと食べられる魚の缶詰が便利だと思う。イワシや鮭や鯖の缶詰。安いし、オメガ3脂肪酸も豊富に含まれるし、タンパク質も摂取できる。すばらしい栄養価とコストパフォーマンス。小魚も良いと思う。

それとウェイトトレーニングが骨密度を高めるのはよく知られているので、骨の健康のためにはウェイトトレーニングも行うとなお良い。心臓血管系にはたしか有酸素運動が効果的(うろ覚え)。



関連記事:
カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響

高タンパク食の健康への影響(骨への影響について記述あり)

9/08/2016

筋肥大トレのピリオダイゼーション

前回の記事(プラトー打破とピリオダイゼーション)の続き。

筋肥大目的のトレーニングにピリオダイゼーションを取り入れるメリットを書いていきます。


★同じ内容のトレーニングを続けるデメリット
種目やレップレンジが同じトレーニングを続けると・・・
- メンタル面: 飽きる。意欲的にトレーニングに取り組めるかどうかは、トレーニングの効果に影響する。
- フィジカル面: レップレンジごとに筋肉に入る刺激と適応する組織が変わってくると考えられるので、筋肥大を最大化したいなら、低レップ(1-5レップ)も中レップ(6-12レップ)も高レップ(15レップ以上)もやった方が良い。


★レップレンジへの身体適応
筋肥大をもたらす主な三つの刺激は、
- メカニカルテンション
- 代謝ストレス
- ダメージ

メカニカルテンションは低レップと中レップで良い刺激が入る。代謝ストレスは中レップと高レップで良い刺激が入る。

ダメージはエキセントリック動作でよく起こるとされてる。特に不慣れな動作で起こりやすい。ダメージにフォーカスする場合は、コンセントリックの1RM超えの負荷をかけてエキセントリック動作をやると効くと思われるが、負荷が大きいので長期間続けられるトレーニングではなく、リターンがどれだけあるかもわからない。個人的には、通常の挙げて下ろすトレーニングでエキセントリック動作を丁寧にやれば十分だと思う。

筋肥大の要素は、
- 筋原線維の肥大: 収縮して力を発揮する組織が太くなる。
- 筋形質の肥大: 毛細血管やミトコンドリアやグリコーゲン貯蔵量などの増加。高レップで筋形質の肥大が起こりやすいだろう。


★トレーニングへのフィードバック効果
高レップで代謝ストレスへの耐性を上げる事で、中レップでこなせるレップ数が上がる。また低レップで高強度トレに慣れることで、中レップでより強度の高いトレーニングを行える。従って、低レップも高レップもやることで、より質の高いトレーニングをこなすことが出来る。


★レップレンジ毎のトレーニング方法
- 低レップはコンパウンド推奨。アイソレートの低レップは怪我のリスクが高い。
- 中レップはコンパウンドでもアイソレートでも良い。
- 高レップはアイソレート推奨。コンパウンドの高レップは心肺機能やスタビライザーがボトルネックになりメインターゲットとなる大筋群を追い込みにくい。

一回のセッション中のトレーニングの順番は、低レップ→中レップ→高レップにする。


★筋肥大関連の身体能力のピラミッド
ストレングス(筋力)と筋肥大(筋量)とワークキャパシティはピラミッドの関係になっている。
土台がワークキャパシティ。ワークキャパシティとは、トレーニングセッションでどれだけトレーニングをこなせるか、次のトレーニングセッションまでにどれ だけ回復できるか。身体の適応はこなせるトレーニングの質と量が上限になる。そして回復が追いつかないと継続的にトレーニングをこなせない。

回復力はワークキャパシティの拡大で向上するが、栄養と睡眠を十分に確保することも重要。またトレーニング以外のストレス、例えば仕事やプライベートなどのストレスもワークキャパシティに影響する。ストレスがキツイときはワークキャパシティが縮小していると考え、トレーニングを全体的に軽くしたり、特定の筋肉や種目にター ゲットを絞って他は維持程度に軽くトレーニングし、トータルのトレーニング量を抑えた方が良いだろう。

トレーニングへの適応として筋肥大が起こる。基本的には、筋肉が太いほど強い力を出せる。

神経系とフォームの効率性を高めることで、太くした筋肉から強い力を引き出せる。神経系の適応とフォーム改善が上限に達したら、より強い力を発揮するにはより筋肥大しないといけない。


★筋肥大トレーニングのイメージ化

筋肥大トレーニングの内容を台形のイメージで考える。横幅がボリュームで、縦方向は上が高強度トレーニング、下が低強度トレーニング。

例えば中レップはバランス型なのでこのような台形。


低レップはこんな形





トレーニングを続けると、ワークキャパシティと筋肥大とストレングスがトレーニング内容に適応する。


初心者は中レップのみのトレーニングでも良いだろう。これで問題なく伸びていくし、この段階ではフォームを身につけることが最も重要なので、中レップが向いている。

5×5(5セット×5レップ)のようなボリュームが少ない低レップトレーニングは、ある程度続けると伸び悩む。



そうしたら、中レップと高レップを中心としボリュームを増やしたトレーニング内容にすると良いだろう。こうすることでワークキャパシティと筋肥大の土台を大きくすることが出来る。


前述したように筋肥大目的のトレーニングでは、全てのレップレンジのトレーニングを行うのが良いと考えられるが、長期的に均した時に中レップのトレーニングボリュームが最も多くなるのが良いだろう。中レップはメカニカルテンションと代謝ストレスのバランスが良く、怪我のリスクが低く、疲労も溜まりにくい。


★ピリオダイゼーションの例
ある程度トレーニングに慣れてきたら、期間を分けて特定のレップレンジにフォーカスすると良いだろう。

数ヶ月を一区切り、1-3週間を各レンジにフォーカスしたトレーニングを行う。

例えば、各週のトレーニングボリュームの振り分けを以下のようにする。
1週目: 中レップ4割、高レップ6割
2週目: 低レップ2割、中レップ6割、高レップ2割
3週目: 低レップ4割、中レップ4割、高レップ2割
4週目: デロード

トレーニングの強度とボリュームを下げるデロードの週を定期的に入れると良い。例えば3週ハードトレーニング続けたら1週デロード。デロードは疲れを抜いて体力を回復させる以外にも、トレーニングへの感受性を回復させる効果があるとされている。

各部位を週に複数回トレーニングするなら、トレーニング日ごとにレップレンジを変えるDUP(Daily Undulating Periodization )という方法もある。具体例は以下の記事で紹介した研究が参考になる。

関連記事:レップ数を変化させるトレーニングの筋肥大効果


その他関連記事:
筋肥大トレの変数調整

筋肥大のメカニズム