腰を丸めない、スネからバーを離さないといった基本的なフォームが出来ている前提で、コンベンショナルデッドリフトで怪我をしないコツを書いていきます。
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パーシャルとフルレンジの筋肥大効果を調べた研究を見ていきます。
そんなのフルレンジに決まってるでしょ? と思われるかもしれませんが、わりと面白い研究が出てきていて、考察しがいがあります。
フルレンジの定義を最初にしたほうが良いと思うのですが、研究だとそのへんが曖昧で、多くの研究で可動域が広いグループをフルレンジ、狭いグループをパーシャルとしていて、なんとな~くの相対的なグループ分けになっているので、研究内容に沿って見ていくとなると定義が困難です。
例えば、レッグエクステンションの研究だと、フルレンジは膝屈曲90°か100°。マシンの可動域がそれくらいですし、それ以上膝を曲げると力が入らなくなります。スクワットの研究だと膝屈曲のフルレンジはパラレル付近や安全にしゃがめる限界までとしているケースが多く、レッグエクステンションでのフルレンジ相当の膝屈曲90°をパーシャルとしている研究もあります。そして、もし膝関節の可動域の限界までをフルレンジとするなら、(そのような研究は無いと思いますが)ピストルスクワットでもやるべきということになります。このように何がフルレンジなのかを考えだすと定義するのが難しいです。
スクワットの深さの記事を書いていて気付いたバーの軌道と足裏の重心について書いていきます。
スターティングストレングスの影響なのか、スクワットとデッドリフトでは、重心は常に足の真ん中(ミッドフット)、バーの軌道はミッドフットライン上を垂直(鉛直)に上下すると解説しているところが多いです。バーや重心の位置を不必要にグラグラと動かさないためにそういった意識を持つことは必要だとは思いますが、実際にはバーの軌道は常に垂直ではないですし、足裏の重心も常にミッドフットではないです。そして垂直軌道とミッドフット重心を厳格に守ろうとすると、フォームが破綻します。
「身体の質量があるため、バックスクワットでバーベルが軽いとバーの軌道は垂直にならない」
これは気づいている人もいて、私も認識していました。
「スクワットで尻を後ろに出す時と、ある程度の重さ以上のコンベンショナルデッドリフトでは、足裏の重心はミッドフットから踵寄りに数cm移動している」
これは新たに認識しました。自分で試した感じでもそうなっていますし、バーの軌道分析でもそうなっていることが示唆されます。
はじめに明確にしておくと、踵寄りに重心が移動するといっても、踵の骨までは移動しません。足裏の三点荷重を維持できる範囲で移動します。つま先が浮くくらいまで踵に重心を移動するのは、スクワットでもデッドリフトでも望ましくないフォームです。
ミッドフット:足の真ん中。アーチの高い部分。三点荷重になる(下の絵)。
踵寄り重心:ミッドフットから数cmほど踵寄りの位置。脛の骨の前端の真下あたりから、くるぶりの下あたり。バーベルの重さの影響や、身体の使い方の個人差がありそうで、おそらく点ではなくてレンジ。前側(母指球・小趾球)の踏み圧は弱まるが、つま先は浮かず足裏の三点荷重は維持可能。
踵重心:踵の骨に重心を乗せる。つま先が浮き、三点荷重が維持できない。この重心でスクワットやデッドリフトをやるのは望ましくない。
腰が曲がらない範囲でなるべく深く、腿の裏側とふくらはぎが接触するまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は約130-150°。日本語だと、パラレルより少し下の深さをフルスクワットと呼ぶことがありますが、研究だとフルスクワットは出来るだけ深くしゃがむスクワットのことを意味することが多いので、この記事ではフルボトムもフルもATGも同じものとします。
太腿が床と平行になるまでしゃがむスクワット。膝の屈曲角度は骨格やフォームによって違いますが、だいたい110-130°くらい。
膝の屈曲角度が約90°になるまでしゃがむスクワット。
膝の屈曲角度が50-60°になるまでしゃがむスクワット。
過去のパワーリフティングのケガ率の研究で、パワーリフティングのケガ率は低いというものがあります。同じようにウェイトリフティング(五輪の重量挙げ)のケガ率が低いという研究もあり、マッチョ寄りのフィットネス業界ではそれらの研究をもとに「バーベルを使ったウェイトトレーニングは、正しく行えばケガ率が低く安全である」と言われることが多いです。
しかし、それらの研究での怪我は、トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我のことでした。今回紹介する研究では、怪我を「痛みと、トレーニングに影響を与える機能障害」と定義し、記録上位25%のエリートレベルを除くパワーリフターにアンケートを送って、現在の怪我、過去12ヶ月の怪我について回答を集めています。調査はスウェーデンで行われました。
Prevalence and Consequences of Injuries in Powerlifting: A Cross-sectional Study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5954586/
バーベルを使って趣味でBIG3をする場合、パワーリフティング系、特にRippetoeのスターティング・ストレングスのやり方をする人も多いと思います。このブログの過去記事にもスターティング・ストレングスのやり方は紹介していますし、自分もそのやり方をやっていました。
ただ、趣味でBIG3をやるなら、パワーリフティング系のやり方から何箇所か調整したほうが、怪我リスクを下げられます。
今回のパワーリフティングの怪我リスクの研究をもとに、BIG3で怪我をしやすい部位、原因、趣味でやる場合の調整方法などを考察していきます。
(今回はパワーリフティングについての研究なのでパワーリフティングのみ取り上げていますが、ウェイトリフティングのケガ率も似たようなものだと思います。トレーニングや試合出場を中断せざるを得ないレベルの怪我は少ないが、痛みを抱えるケースは多いでしょう)
私のやり方の説明です。コンベンショナル、ベルト無し。撮影可能なジムをビジターで利用してスマホで撮ってきました。画質が10年前の動画みたいですが数日前に撮ってます。
動画:デッドリフト 腹圧のかけかた 体幹の固め方
https://www.youtube.com/watch?v=7L11x3_1lbY
これが正しいやり方だと言いたいわけではなくて、デッドリフトで体幹を固めるのが苦手な人に参考にしてもらえればと。
腹圧のコントロール方法は、関連記事に詳しく書いてあります。
関連記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方