5/26/2014
砂糖と糖尿病
高スクロースと低スクロースの食事をした場合の、健康への影響を調べた研究。糖尿病と循環器疾患に関わる各指標に差が出るのかどうか実験している。砂糖を多く摂取すると2型糖尿病と循環器疾患の発症リスクが高まるのかを調べるのが目的。
★実験条件
<被験者>
健康状態: 健康
性別: 男性
人種: 西欧白人
人数: 13名
年齢: 33歳±3
BMI: 26.6±0.9
<期間>
6週間
<一日の食事>
摂取カロリー: 維持カロリー
マクロ栄養素:タンパク質10-15% / 脂質30-35% / 炭水化物~55%
その他: 食物繊維18g
スクロース: 低スクロース群が10%、高スクロース群が25%のカロリーをスクロースで摂取。
食事管理方法: 条件に沿う量を計り被験者に配給。食事は外で各自食べる。週二回の体重測定で連続して増加もしくは減少した場合はカロリー調整を行う
★結果
高スクロース群と低スクロース群では、インスリン感受性や血圧や空腹時血糖値や中性脂肪レベルなどに違いは出なかった。総コレステロールとLDLコレステロールは、高スクロース群の方がやや高くなった(レベル自体は正常の範囲内)。これについては、両群でトータルの脂質の摂取量は同じだが、高スクロース群は低スクロース群に比べて、飽和脂肪酸の摂取量が多くて多価不飽和脂肪酸の摂取量が少なく、これがLDLコレステロールの上昇に寄与したのではないかと論文著者は推測している。
★結論
健康な若い白人男性においては、高スクロースの食事は糖尿病と循環器疾患の大きなリスクファクターにはならないだろう。カロリーオーバーと運動不足が大きなリスクファクターだろう。
★個人的感想
2型糖尿病のなりやすさは個人差があるけど、人種によっても差があって、白人は2型糖尿病の耐性が高いという話が一般的。農業(高炭水化物食)の歴史の長さが遺伝子プールに影響してウンタラカンタラ。なんだけど、このへんの話はイデオロギー的な論争(糖質制限主義者など)や糖尿病関連ビジネスに群がる団体・研究者が入り乱れていて、調べようとしても何が科学的に正しいのかよくわからない。まあインスリン関連の体内システムの悪化が2型糖尿病の要因になるのなら、今回の研究ではインスリン関連の指標に差が出ていないので、スクロースの摂取量の増加は人種間の耐性の差に関係なく2型糖尿病の大きなリスクファクターにはならないということになる。リスクがゼロと断言できないのは、疫学調査では砂糖の摂取量と糖尿病の発症が相関する傾向がある、今回の研究は期間が6週間程度で長期間の影響がわからない、といった理由。
カロリーオーバーと運動不足を避けるのが最も重要だというのは間違いなさそうなので、それを守っていれば炭水化物の質にそれほど神経質にならなくてもいいかと個人的には思ってる。もちろん砂糖の摂り過ぎは、カロリーや微量栄養素の観点から健康には良くないだろう。砂糖に限らず精製度の高い食品の問題点は、GI値がどうのではなくて、カロリーオーバーしやすく微量栄養素が乏しいこと。
参考:
Effect of Eucaloric High- and Low-Sucrose Diets With Identical Macronutrient Profile on Insulin Resistance and Vascular Risk A Randomized Controlled Trial
http://diabetes.diabetesjournals.org/content/55/12/3566.long
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