5/28/2014
維持カロリーでの砂糖・果糖ぶどう糖液糖の摂取の影響
スクロース(≒砂糖)やHFCS(≒果糖ぶどう糖液糖)の健康への影響を調べた既存の研究は、疫学調査や、マウスに異常な量を与えるといった研究が多い。今回の研究は、肥満の人が一般的に摂取している量の糖を摂取した場合の身体への影響を調べた初めての前向き研究(prospective study)とのこと。2014年発表の研究。
スクロースとHFCSの違いは、グルコース分子とフルクトース分子が結合しているか否かと、フルクトースが含まれる割合。一般的に使用されているHFCSはフルクトースの割合が55%か42%なので、フルクトース含有率はスクロースとほぼ同じ。
★実験条件
<被験者>
健康状況: 健康な肥満
性別: 男性・女性
人種: 白人68%、アフリカ系9%、ヒスパニック14%、アジア系6%、その他3%
人数: 65名
年齢: 25-60歳
BMI: 27-35
<期間>
10週間
<一日の食事>
摂取カロリー: 維持カロリー
総摂取カロリーに占める糖由来のカロリーの割合: 10%HFCS / 20%HFCS / 10%スクロース / 20%スクロース
食事管理方法:低脂肪乳に糖を混ぜたものを被験者に配給。トータルで維持カロリーになるよう食事指導。食事は外で各自食べる。加糖された低脂肪乳を規定量飲まなかったりすると実験から脱落。開始時86名で最終的に65名が残った。
★結果
血圧や中性脂肪レベルは全てのグループで変化無し。
体重は全体では10週間で1kg増えたが、テクニカルには維持されていると言っていい状態。自己申告ベースでトータルの摂取カロリーが増えたことが原因かも(外で各自食事しているので正確な摂取カロリーは把握できない)。ウェストサイズには有意な差は無し。
スクロース20%群でHDL低下が見られた。脂質の摂取量が減って炭水化物の摂取量が増えたことが要因かも。
まとめると、一日の摂取カロリーの10%および20%相当のスクロースと砂糖(食事でも糖を摂取しているのでトータルの糖の摂取量はもっと多い。Table 3を参照)を10週間摂取しても、総摂取カロリーが維持カロリー程度ならば、体重や肥満状況やウェストサイズや中性脂肪レベルやLDLや血圧には悪影響が現れないという結果になった。
★感想
一通り読んだけど、まともな研究だと思った。ただ、資金を出しているのがコーン精製に関わる企業の協会だ。当然、HFCSの利害関係者。うーん。他の研究からも、トータルの摂取カロリーが維持カロリーで、常識的な範囲内での摂取量なら、砂糖およびHFCSの摂取は肥満や循環器疾患などの大きなリスクにならないというのは正しいと思うが。
参考:
The Effect of Normally Consumed Amounts of Sucrose or High Fructose Corn Syrup on Lipid Profiles, Body Composition and Related Parameters in Overweight/Obese Subjects
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3967182/
関連記事:
砂糖と糖尿病
果糖ぶどう糖液糖と肥満
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿