2/29/2016
[ボディメイク記録] 増量結果
前回の記録 9月28日
今回の記録 2月29日
★現状記録
筋グリコーゲンレベルは普通。直前のトレ履歴は、前々日に下半身、前日に上半身。
★身体計測
身長:180cm
体重:77.6kg(+7.3kg)
バスト:102.5cm(+6.5cm)
ウェスト:81.5cm(+7.5cm)
ヒップ:93cm(+4.0cm)
右上腕:32.0cm(+2.5cm)
左上腕:31.5cm(+3.0cm)
手首径:16cm
右大腿:58cm(+4.0cm)
左大腿:57cm(+4.0cm)
右カーフ:35.5cm(+0.5cm)
左カーフ:35.5cm(+1.0cm)
足首径:19cm
★主な種目のトレーニング重量
懸垂ワイド順手・・・5kg加重×6reps
ベンチプレス・・・80kg×5reps
デッドリフト・・・125kg×5reps
スクワット(スミスマシン)・・・85kg×8reps
★トレーニング種目明細
セット数: メイン5セットくらい。トータル20~30repsくらい。
メイン種目
- スクワット(週2回)
- デッドリフト(週2回)
- ベンチプレス(週2回)
補助種目
- インクラインベンチプレス(スミスマシン)
- ナローグリップベンチプレス(スミスマシン)
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- インクラインベンチにうつ伏せになって上背部を使ってのダンベルローイング
- 懸垂(ワイド順手・ナローパラレル)
- ローイングマシン
- レッグカール
- カーフレイズ
- アーノルドプレス
- サイドレイズ
- 腹筋マシン
- カールアップ
- アームカール
★増量プロセス
一ヶ月に体重が1.5~2kg増えるペースで増量。カロリー配分は目安で、厳格には行っていない。
1日目:上半身トレ/+500kcal
2日目:下半身トレ/+500kcal
3日目:休み/維持~+500kcal
4日目:上半身トレ/+500kcal
5日目:休み/維持~+500kcal
6日目:下半身トレ/+500kcal
7日目:休み/維持~+500kcal
★食事内容
- タンパク質の摂取量は2-3g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。
- 食事回数は1日3回で、トレーニング日はトレーニング前にプロテインパウダーとスクロースを摂取。スクロースは角砂糖をお湯に溶いたもの。摂取カロリーの把握がしやすいので角砂糖を使っている。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、1g/体重1kg/日くらいだと思う。卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を主に摂取した。揚げ物やドレッシングなどの付加的な脂質はあまり摂取していない。
- トータルカロリーの調整は炭水化物で行った。米、パスタ、ミューズリーが主体。甘いものも適当に。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。
★雑感
- 増量の終盤になるとたくさん食べるのに慣れるせいか食べ過ぎてしまい脂肪がつきやすかった気がする。次回から気をつける。
★怪我
- 特に怪我無し。
★今後の予定
- 減量を始める。目安は一ヶ月に-2kgペースで3ヶ月か4ヶ月。
2/28/2016
体重減少への代謝適応
Metabolic adaptation to weight loss: implications for the athlete
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-7
減量を続けていくと体重が落ちにくくなっていく。この時、身体で起きている適応について調べたレビュー論文。
★エネルギー不足への内分泌反応
- 甲状腺ホルモン、特にT3は、代謝率の調整に重要で直接的な働きをする。甲状腺ホルモンの血中レベルが増加すると代謝率が上がり、減少すると下る。
- レプチンは短期と長期のエネルギー可用性(availability)の指標として機能する。短期的なエネルギー制限と低い体脂肪率はレプチンレベルの低下を伴う。
- 高いインスリン血中レベルはエネルギー可用性のシグナルになり、食欲抑制効果を伴う。
- グレリンは食欲促進効果がある。
- テストステロンは体脂肪生成を抑制する可能性がある。
- コルチゾールは筋分解を促進する。レプチンの活動を抑制する可能性もある。
全体としては、カロリー不足への内分泌系の反応は、空腹感を増加させ、代謝率を低下させ、除脂肪体重の維持を脅かす。減量を止め低い体脂肪率を維持しようとする際も、これらのネガティブ(飢餓回避の観点ではポジティブ)なホルモンレベルは継続する。
★体重減少と代謝率
消費カロリーの項目
- total daily energy expenditure (TDEE) 1日の総エネルギー消費量
- basal metabolic rate (BMR) 基礎代謝量
- exercise activity thermogenesis (EAT) 身体活動代謝
- non-exercise activity thermogenesis (NEAT) 非運動性活動熱産生
- thermic effect of food (TEF) 食事誘発性熱産生
減量時には総エネルギー消費量が低下する。その内訳を項目別に見ていく。
- まず体重減少のぶん基礎代謝量が減る。
- 身体活動代謝も低下。体重減少したぶん動くのに必要なエネルギーが減るが、それに加えて筋肉が効率よく働くことで消費エネルギーが低下する。
- 食事誘発性熱産生も食べる量が減るぶん低下する。摂取カロリーの10%くらいが食事誘発性熱産生になるので、例えば摂取カロリーを1000kcal減らすと食事誘発性熱産生は100kcal減る。
- NEATも減る。無駄な動きをあまりしなくなる。
減量後に体重維持モードにしても、消費エネルギーは以前よりも低下した状態になる。リバウンドしやすい。
★熱生成の減少
熱生成でエネルギーを消費する量が減る。UCP-1の発現に加えて、甲状腺ホルモン、レプチン、コルチゾールが褐色脂肪細胞での熱生成の増減に関わっている可能性。
★実践
低カロリーの食生活を続けると、体重減少を防ぎエネルギー消費を抑えるための数多くの適応が起こる。適応の度合いは、カロリー赤字の大きさに比例するようなので、カロリー赤字を大きなものにせず(急激な減量はせず)、適応を緩やかにした減量の方が良いだろう。それにカロリー赤字が大きすぎると除脂肪体重が減りやすくなる。
減量を続けると代謝の適応により消費カロリーが低下し、体重が減らなくなる。そうしたら摂取カロリーをさらに減らし、再びカロリー赤字を作り出す。これを繰り返す。
最近ではリフィードが普及。主に炭水化物の摂取量を増やし、維持カロリーよりもわずかに多いカロリーを摂取。しばしばボディビルやフィジークの競技者は24時間のリフィードを週に1,2回行う。レプチンレベルを上げる事で代謝率を上昇させるのが目的。女性を対象とした研究では短期の炭水化物メインのカロリー過剰摂取(維持カロリー+40%)によりレプチリンレベルが上昇することが確認されているが、消費カロリーの増加はそれほどでもなく、1日の総エネルギー消費量が食事誘発性熱産生を含めて7%増えた程度。
※維持カロリーを続けてからカロリー過剰摂取を行った研究なので、減量を続けて消費カロリーが低下した状態ではまた違った結果になるかもしれない。アスリートの減量と同じような状況設定の研究が望まれる。まあリフィードは代謝回復には過度な期待はせず、メンタル面の息抜きと、筋グリコーゲン回復・トレーニング強度の維持を主目的とした方が良いと思う。
減量を続けて低い体脂肪率になると、維持カロリーに戻しても代謝の適応は完全には回復しない。この状態は体脂肪が増えやすいので気をつける。減量後の回復は摂取カロリーを少しずつ増やしていくと良い。またラット実験ではあるが、減量後のカロリーオーバーでの体脂肪増加は、脂肪細胞の過形成(脂肪細胞が増える)を伴うことが確認されている。減量と回復を繰り返すと、脂肪細胞が増えて減量が難しくなっていく可能性がある。
関連記事:
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-7
減量を続けていくと体重が落ちにくくなっていく。この時、身体で起きている適応について調べたレビュー論文。
★エネルギー不足への内分泌反応
- 甲状腺ホルモン、特にT3は、代謝率の調整に重要で直接的な働きをする。甲状腺ホルモンの血中レベルが増加すると代謝率が上がり、減少すると下る。
- レプチンは短期と長期のエネルギー可用性(availability)の指標として機能する。短期的なエネルギー制限と低い体脂肪率はレプチンレベルの低下を伴う。
- 高いインスリン血中レベルはエネルギー可用性のシグナルになり、食欲抑制効果を伴う。
- グレリンは食欲促進効果がある。
- テストステロンは体脂肪生成を抑制する可能性がある。
- コルチゾールは筋分解を促進する。レプチンの活動を抑制する可能性もある。
全体としては、カロリー不足への内分泌系の反応は、空腹感を増加させ、代謝率を低下させ、除脂肪体重の維持を脅かす。減量を止め低い体脂肪率を維持しようとする際も、これらのネガティブ(飢餓回避の観点ではポジティブ)なホルモンレベルは継続する。
★体重減少と代謝率
消費カロリーの項目
- total daily energy expenditure (TDEE) 1日の総エネルギー消費量
- basal metabolic rate (BMR) 基礎代謝量
- exercise activity thermogenesis (EAT) 身体活動代謝
- non-exercise activity thermogenesis (NEAT) 非運動性活動熱産生
- thermic effect of food (TEF) 食事誘発性熱産生
減量時には総エネルギー消費量が低下する。その内訳を項目別に見ていく。
- まず体重減少のぶん基礎代謝量が減る。
- 身体活動代謝も低下。体重減少したぶん動くのに必要なエネルギーが減るが、それに加えて筋肉が効率よく働くことで消費エネルギーが低下する。
- 食事誘発性熱産生も食べる量が減るぶん低下する。摂取カロリーの10%くらいが食事誘発性熱産生になるので、例えば摂取カロリーを1000kcal減らすと食事誘発性熱産生は100kcal減る。
- NEATも減る。無駄な動きをあまりしなくなる。
減量後に体重維持モードにしても、消費エネルギーは以前よりも低下した状態になる。リバウンドしやすい。
★熱生成の減少
熱生成でエネルギーを消費する量が減る。UCP-1の発現に加えて、甲状腺ホルモン、レプチン、コルチゾールが褐色脂肪細胞での熱生成の増減に関わっている可能性。
★実践
低カロリーの食生活を続けると、体重減少を防ぎエネルギー消費を抑えるための数多くの適応が起こる。適応の度合いは、カロリー赤字の大きさに比例するようなので、カロリー赤字を大きなものにせず(急激な減量はせず)、適応を緩やかにした減量の方が良いだろう。それにカロリー赤字が大きすぎると除脂肪体重が減りやすくなる。
減量を続けると代謝の適応により消費カロリーが低下し、体重が減らなくなる。そうしたら摂取カロリーをさらに減らし、再びカロリー赤字を作り出す。これを繰り返す。
最近ではリフィードが普及。主に炭水化物の摂取量を増やし、維持カロリーよりもわずかに多いカロリーを摂取。しばしばボディビルやフィジークの競技者は24時間のリフィードを週に1,2回行う。レプチンレベルを上げる事で代謝率を上昇させるのが目的。女性を対象とした研究では短期の炭水化物メインのカロリー過剰摂取(維持カロリー+40%)によりレプチリンレベルが上昇することが確認されているが、消費カロリーの増加はそれほどでもなく、1日の総エネルギー消費量が食事誘発性熱産生を含めて7%増えた程度。
※維持カロリーを続けてからカロリー過剰摂取を行った研究なので、減量を続けて消費カロリーが低下した状態ではまた違った結果になるかもしれない。アスリートの減量と同じような状況設定の研究が望まれる。まあリフィードは代謝回復には過度な期待はせず、メンタル面の息抜きと、筋グリコーゲン回復・トレーニング強度の維持を主目的とした方が良いと思う。
減量を続けて低い体脂肪率になると、維持カロリーに戻しても代謝の適応は完全には回復しない。この状態は体脂肪が増えやすいので気をつける。減量後の回復は摂取カロリーを少しずつ増やしていくと良い。またラット実験ではあるが、減量後のカロリーオーバーでの体脂肪増加は、脂肪細胞の過形成(脂肪細胞が増える)を伴うことが確認されている。減量と回復を繰り返すと、脂肪細胞が増えて減量が難しくなっていく可能性がある。
関連記事:
なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか
2/17/2016
ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法
Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20
ナチュラル(薬物を使わない)ボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法を、栄養摂取とサプリメントの面で調べたレビュー論文。ボディビルをやらなくても、低い体脂肪率を目指す人には参考になると思います。
★減量期の摂取カロリーの設定
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくする。体脂肪1ポンドは約3500kcal。1日500kcalのカロリー赤字を続ければ、理論的には一週間で1ポンドずつ体脂肪が減っていく。しかし実際には、摂取カロリーの減少により代謝の適応が起こり消費カロリーも減少していく。過体重ではない男性を対象とした研究では、摂取カロリーを維持カロリーの50%に設定したダイエットを24週間続けたところ、体重が25%減少し、基礎代謝が40%減少した。この40%のうち25%は体重減少によるもので残り15%が代謝の適応によるものだと考えられる。従って、ダイエットを継続し体重減少が起きるとともに摂取カロリーの設定も調整していく必要がある。
カロリー赤字を大きくすればそれだけ速く体重が減少するが、除脂肪体重の減少も大きくなるというデメリットがある。推奨は、週に0.5-1.0%の体重減少ペースで、減量期間は2-4ヶ月間。スタート時の体脂肪率が高ければそれだけ減量期間も長くなる。体脂肪率が低くなるとより除脂肪体重が失われやすくなるので、減量期の後半は体重減少ペースを落とした方が良い。
★マクロ栄養素の摂取量
・タンパク質
除脂肪体重を維持するのに十分な量のタンパク質を摂取する。タンパク質の必要摂取量は運動や栄養状態によって変わってくる。
- 激しい運動を行う場合はより多くのタンパク質が必要になる。
- 減量時にはより多くのタンパク質が必要になる。
- 体脂肪率が低くなるとより多くのタンパク質が必要になる。
コンテスト準備期間のボディビルダーにはこれらの要素が全て当てはまる。この論文での推奨は1日に除脂肪体重1kgあたり2.3-3.1gのタンパク質を摂取。
・炭水化物
減らしすぎるとパフォーマンスの低下と除脂肪体重の減少につながる。低炭水化物による除脂肪体重の減少はインスリンとIGF-1のレベルの低下が関連しているようだ。
・脂質
減らしすぎるとテストステロンレベルの低下につながる。ただ、高タンパク質・高脂質・低炭水化物での減量と、高タンパク質・低脂質・高炭水化物での減量を比べた場合、高炭水化物の方が除脂肪体重の維持につながったので、脂質と炭水化物だったら炭水化物を優先した方が良さそう。それと極度に低い体脂肪率にする場合はそれ自体がテストステロンレベルを大幅に低下させる。目安は摂取カロリーの20-30%を脂質で、カロリー摂取枠に余裕が無い場合は15-20%。
・ケトジェニックダイエットと個人差
デザインの良い研究がないので、除脂肪体重を維持しつつ体脂肪率を極度に低くする場合のケトジェニックダイエットの是非は今後の研究待ち。ただ、脂質多めが良いか炭水化物多めが良いかの反応には個人差がある。多くの人はこの論文での推奨レンジで良い結果がでるが、推奨レンジをはずれたマクロ栄養素バランスで良い結果を出す人もいる
・まとめ
減量ペースを決め、一日あたりのカロリー赤字を決定し、マクロ栄養素のバランスを決める。トレーニングのパフォーマンスが落ちてきたら、脂質を減らしその分の摂取カロリーを炭水化物に割り当てる。
減量ペース: 体重の0.5-1.0%/週
タンパク質: 2.3-3.1g/除脂肪体重kg/日
脂質: 総摂取カロリーの15-30%
炭水化物: タンパク質と脂質を除いた残りのカロリー
★栄養摂取のタイミング
一日のトータルの栄養摂取量が最も大事だろう。詳しくは以下の論文を参照。これもAlan A Aragonが関わっている。
ゴールデンタイムはあるのか?
激しい運動を2時間以上する場合は、1時間あたり8-15gのタンパク質と30-60gのカーボを6-8%の濃度で水に溶かした飲み物を摂取することで筋肉のダメージを抑える。
・状況毎の栄養摂取のタイミングの重要度
ピンポイントで摂取すべきか、フレキシブルに摂取してもよいか。
炭水化物
超重要: グリコーゲンを多く消費する運動を一日に複数回行う場合
タイミングは変更可能: 一晩の絶食の後のトレーニング。1~2時間の激しいトレーニング。
重要じゃない: 空腹ではない状態での1時間以内の低中強度のレジスタンストレーニング
タンパク質
超重要: 前回の食事から3-4時間以上経過した状態でのレジスタンストレーニング
タイミングは変更可能: タンパク質を十分に含む食事の後のレジスタンストレーニング
重要じゃない: 有酸素運動
サプリメント
超重要: カーボ/電解質のスポーツドリンク、カフェイン、その他のパフォーマンス向上効果のあるサプリメント
タイミングは変更可能: 無し
重要じゃない: クレアチニン、ベータアラニン、その他の筋肉の適応に長期的な効果のあるサプリメント
★食事頻度
トータルの摂取量が同じなら、一日の食事回数を多くしても少なくしても消費カロリーは変わらない。しかし食事パターンをコロコロ変えると食後の熱産生が減少し、インスリン感受性と血中脂質にネガティブな影響が出たという研究がある。ただ、運動はインスリン感受性と血中脂質を改善するので、これらへのネガティブな影響は運動をしない人に限られるだろう。
コンスタントにカロリーカットするダイエットと、普通に食べる日と極端に制限する日を交互に行うダイエット( ICR: intermittent calorie restriction)では、ICRの方が良い結果が出ているが、体組成の測定方法の影響も考えられるので、結果の解釈には注意が必要。
- 筋合成のスイッチを入れるには一食あたりのロイシン摂取量が閾値を越える必要があるという説
- 血中アミノ酸濃度を高いままにしたら筋合成速度が低下したという研究
アミノ酸注入による反応を調べたacuteの研究なので長期間ではどうなるかはわからないが、一応これらの研究結果を考えると、一食当たり30-40g以上のタンパク質を摂取、食事間隔を短くしすぎない、というのが推奨の食事の仕方になる。一日に3-4回の食事、各食事のタンパク質摂取量は均等、この食事パターンが筋肥大を最大化するのに良いとする論文もある。
この論文での推奨は、1日3-6回の食事、一食当たり20g以上のタンパク質。このレンジ内だったら、良いトレーニングと正しく設定された一日のトータルの栄養摂取を行えば、食事頻度による差はほとんど無いだろう。
★サプリメント
・クレアチン
継続的に摂取。筋肉のサイズと強さを増大させる。副作用は確認されていない。色々なタイプが出ているが、クレアチン・モノハイドレイトが最も効果があるだろう。
・βアラニン
継続的に摂取。高強度運動への疲労耐性を上げ、パフォーマンスを向上させる。除脂肪体重増加の効果もあるようだ。長期服用の安全性についてはまだあまり研究されていない。一度に大量に摂取すると知覚異常の副作用が起こることが確認されている。
・HMB
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB)はロイシンの代謝物で、筋分解の抑制と筋合成の促進に効果があるとされている。しかし、高齢者や病気の人には効果的でもトレーニングを行う健康な人への効果については結果が分かれている。非常に強度の高いトレーニングをするフェーズに摂取することでカタボリックを抑制する効果があるかもしれない。長期のカロリー制限の状況で除脂肪体重を維持する効果があるかは調べられていない。
・BCAA
BCAAの摂取直後に筋合成が高まることは繰り返し示されているが、筋肥大と筋力への長期的な効果については今後の研究待ち。
・アルギニン
血流を増やしたり運動後の筋合成を高めたりといった効果はないようだ。パフォーマンス向上効果については結果が分かれているが、これもどうやら効果は疑わしい。
・シトルリンリンゴ酸
パフォーマンス向上の効果があるとされているが、現状の研究結果でははっきりとした判断を下すことは難しい。今後の研究待ち。
・グルタミン
健康なアスリートのパフォーマンス向上効果はこれまでの研究からはサポートされない。ストレス環境下にある人の胃腸の健康とペプチドの取り込みには良い影響があるかもしれない(減量中のボディビルダーは強いストレスに晒される)。
・カフェイン
ワークアウト前に摂取。多くの研究で持久運動、スプリント、ストレングストレーニングのパフォーマンスを向上させることが示されている。ストレングストレーニングでの効果を示した研究の多くは安全な摂取量の上限である5–6 mg/kgという多量のカフェインを投与している。カフェインは常用により耐性がついてパフォーマンス向上効果が低下する。カフェインを上手く利用するには摂取をサイクルさせるのが良いだろう。
・微量栄養素
念のためサプリメントで補助するのが良いかも
★コンテスト直前
水抜きが見た目に及ぼす効果についての研究は無いが、体調のことを考えると危険な行為である。水分は皮下組織だけでなく血管系にも多く存在するので、水抜きによりこれらの血管系の水分も抜けコンテスト時のパンプに悪影響が出ることが考えられる。また筋肉の大部分が水分であるので、筋肉の水分が抜け見た目に悪影響が出る可能性もある。
コンテスト前のカーボローディングについては効果がありそう。やる場合は自分に合うやり方を事前に試しておくこと。定量的な見た目の変化と炭水化物の摂取割合、トータルカロリーの影響を調べる研究が望まれる。
★心理社会的な問題
ボディビルダーは増量と過酷な減量を繰り返すので精神面に問題を抱えてしまうケースが多い。過食症、拒食症、不安神経症、短気イライラ、筋肉異形症(Muscle dysmorphia)、月経異常。問題を感じたら早めに専門家に相談すること。
★Limitations
この論文の第一の制約は、ナチュラル・ボディビルダーを被験者とした大規模で長期間の研究が欠如していることである。これを回避するため、アスリートを対象とした骨格筋の肥大と体脂肪の減少についての長期の研究を優先的に選んだ。そのような研究が無い場合は、短期の研究や動物を対象とした研究を選んだ。
http://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-11-20
ナチュラル(薬物を使わない)ボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法を、栄養摂取とサプリメントの面で調べたレビュー論文。ボディビルをやらなくても、低い体脂肪率を目指す人には参考になると思います。
★減量期の摂取カロリーの設定
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費カロリーを大きくする。体脂肪1ポンドは約3500kcal。1日500kcalのカロリー赤字を続ければ、理論的には一週間で1ポンドずつ体脂肪が減っていく。しかし実際には、摂取カロリーの減少により代謝の適応が起こり消費カロリーも減少していく。過体重ではない男性を対象とした研究では、摂取カロリーを維持カロリーの50%に設定したダイエットを24週間続けたところ、体重が25%減少し、基礎代謝が40%減少した。この40%のうち25%は体重減少によるもので残り15%が代謝の適応によるものだと考えられる。従って、ダイエットを継続し体重減少が起きるとともに摂取カロリーの設定も調整していく必要がある。
カロリー赤字を大きくすればそれだけ速く体重が減少するが、除脂肪体重の減少も大きくなるというデメリットがある。推奨は、週に0.5-1.0%の体重減少ペースで、減量期間は2-4ヶ月間。スタート時の体脂肪率が高ければそれだけ減量期間も長くなる。体脂肪率が低くなるとより除脂肪体重が失われやすくなるので、減量期の後半は体重減少ペースを落とした方が良い。
★マクロ栄養素の摂取量
・タンパク質
除脂肪体重を維持するのに十分な量のタンパク質を摂取する。タンパク質の必要摂取量は運動や栄養状態によって変わってくる。
- 激しい運動を行う場合はより多くのタンパク質が必要になる。
- 減量時にはより多くのタンパク質が必要になる。
- 体脂肪率が低くなるとより多くのタンパク質が必要になる。
コンテスト準備期間のボディビルダーにはこれらの要素が全て当てはまる。この論文での推奨は1日に除脂肪体重1kgあたり2.3-3.1gのタンパク質を摂取。
・炭水化物
減らしすぎるとパフォーマンスの低下と除脂肪体重の減少につながる。低炭水化物による除脂肪体重の減少はインスリンとIGF-1のレベルの低下が関連しているようだ。
・脂質
減らしすぎるとテストステロンレベルの低下につながる。ただ、高タンパク質・高脂質・低炭水化物での減量と、高タンパク質・低脂質・高炭水化物での減量を比べた場合、高炭水化物の方が除脂肪体重の維持につながったので、脂質と炭水化物だったら炭水化物を優先した方が良さそう。それと極度に低い体脂肪率にする場合はそれ自体がテストステロンレベルを大幅に低下させる。目安は摂取カロリーの20-30%を脂質で、カロリー摂取枠に余裕が無い場合は15-20%。
・ケトジェニックダイエットと個人差
デザインの良い研究がないので、除脂肪体重を維持しつつ体脂肪率を極度に低くする場合のケトジェニックダイエットの是非は今後の研究待ち。ただ、脂質多めが良いか炭水化物多めが良いかの反応には個人差がある。多くの人はこの論文での推奨レンジで良い結果がでるが、推奨レンジをはずれたマクロ栄養素バランスで良い結果を出す人もいる
・まとめ
減量ペースを決め、一日あたりのカロリー赤字を決定し、マクロ栄養素のバランスを決める。トレーニングのパフォーマンスが落ちてきたら、脂質を減らしその分の摂取カロリーを炭水化物に割り当てる。
減量ペース: 体重の0.5-1.0%/週
タンパク質: 2.3-3.1g/除脂肪体重kg/日
脂質: 総摂取カロリーの15-30%
炭水化物: タンパク質と脂質を除いた残りのカロリー
★栄養摂取のタイミング
一日のトータルの栄養摂取量が最も大事だろう。詳しくは以下の論文を参照。これもAlan A Aragonが関わっている。
ゴールデンタイムはあるのか?
激しい運動を2時間以上する場合は、1時間あたり8-15gのタンパク質と30-60gのカーボを6-8%の濃度で水に溶かした飲み物を摂取することで筋肉のダメージを抑える。
・状況毎の栄養摂取のタイミングの重要度
ピンポイントで摂取すべきか、フレキシブルに摂取してもよいか。
炭水化物
超重要: グリコーゲンを多く消費する運動を一日に複数回行う場合
タイミングは変更可能: 一晩の絶食の後のトレーニング。1~2時間の激しいトレーニング。
重要じゃない: 空腹ではない状態での1時間以内の低中強度のレジスタンストレーニング
タンパク質
超重要: 前回の食事から3-4時間以上経過した状態でのレジスタンストレーニング
タイミングは変更可能: タンパク質を十分に含む食事の後のレジスタンストレーニング
重要じゃない: 有酸素運動
サプリメント
超重要: カーボ/電解質のスポーツドリンク、カフェイン、その他のパフォーマンス向上効果のあるサプリメント
タイミングは変更可能: 無し
重要じゃない: クレアチニン、ベータアラニン、その他の筋肉の適応に長期的な効果のあるサプリメント
★食事頻度
トータルの摂取量が同じなら、一日の食事回数を多くしても少なくしても消費カロリーは変わらない。しかし食事パターンをコロコロ変えると食後の熱産生が減少し、インスリン感受性と血中脂質にネガティブな影響が出たという研究がある。ただ、運動はインスリン感受性と血中脂質を改善するので、これらへのネガティブな影響は運動をしない人に限られるだろう。
コンスタントにカロリーカットするダイエットと、普通に食べる日と極端に制限する日を交互に行うダイエット( ICR: intermittent calorie restriction)では、ICRの方が良い結果が出ているが、体組成の測定方法の影響も考えられるので、結果の解釈には注意が必要。
- 筋合成のスイッチを入れるには一食あたりのロイシン摂取量が閾値を越える必要があるという説
- 血中アミノ酸濃度を高いままにしたら筋合成速度が低下したという研究
アミノ酸注入による反応を調べたacuteの研究なので長期間ではどうなるかはわからないが、一応これらの研究結果を考えると、一食当たり30-40g以上のタンパク質を摂取、食事間隔を短くしすぎない、というのが推奨の食事の仕方になる。一日に3-4回の食事、各食事のタンパク質摂取量は均等、この食事パターンが筋肥大を最大化するのに良いとする論文もある。
この論文での推奨は、1日3-6回の食事、一食当たり20g以上のタンパク質。このレンジ内だったら、良いトレーニングと正しく設定された一日のトータルの栄養摂取を行えば、食事頻度による差はほとんど無いだろう。
★サプリメント
・クレアチン
継続的に摂取。筋肉のサイズと強さを増大させる。副作用は確認されていない。色々なタイプが出ているが、クレアチン・モノハイドレイトが最も効果があるだろう。
・βアラニン
継続的に摂取。高強度運動への疲労耐性を上げ、パフォーマンスを向上させる。除脂肪体重増加の効果もあるようだ。長期服用の安全性についてはまだあまり研究されていない。一度に大量に摂取すると知覚異常の副作用が起こることが確認されている。
・HMB
Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB)はロイシンの代謝物で、筋分解の抑制と筋合成の促進に効果があるとされている。しかし、高齢者や病気の人には効果的でもトレーニングを行う健康な人への効果については結果が分かれている。非常に強度の高いトレーニングをするフェーズに摂取することでカタボリックを抑制する効果があるかもしれない。長期のカロリー制限の状況で除脂肪体重を維持する効果があるかは調べられていない。
・BCAA
BCAAの摂取直後に筋合成が高まることは繰り返し示されているが、筋肥大と筋力への長期的な効果については今後の研究待ち。
・アルギニン
血流を増やしたり運動後の筋合成を高めたりといった効果はないようだ。パフォーマンス向上効果については結果が分かれているが、これもどうやら効果は疑わしい。
・シトルリンリンゴ酸
パフォーマンス向上の効果があるとされているが、現状の研究結果でははっきりとした判断を下すことは難しい。今後の研究待ち。
・グルタミン
健康なアスリートのパフォーマンス向上効果はこれまでの研究からはサポートされない。ストレス環境下にある人の胃腸の健康とペプチドの取り込みには良い影響があるかもしれない(減量中のボディビルダーは強いストレスに晒される)。
・カフェイン
ワークアウト前に摂取。多くの研究で持久運動、スプリント、ストレングストレーニングのパフォーマンスを向上させることが示されている。ストレングストレーニングでの効果を示した研究の多くは安全な摂取量の上限である5–6 mg/kgという多量のカフェインを投与している。カフェインは常用により耐性がついてパフォーマンス向上効果が低下する。カフェインを上手く利用するには摂取をサイクルさせるのが良いだろう。
・微量栄養素
念のためサプリメントで補助するのが良いかも
★コンテスト直前
水抜きが見た目に及ぼす効果についての研究は無いが、体調のことを考えると危険な行為である。水分は皮下組織だけでなく血管系にも多く存在するので、水抜きによりこれらの血管系の水分も抜けコンテスト時のパンプに悪影響が出ることが考えられる。また筋肉の大部分が水分であるので、筋肉の水分が抜け見た目に悪影響が出る可能性もある。
コンテスト前のカーボローディングについては効果がありそう。やる場合は自分に合うやり方を事前に試しておくこと。定量的な見た目の変化と炭水化物の摂取割合、トータルカロリーの影響を調べる研究が望まれる。
★心理社会的な問題
ボディビルダーは増量と過酷な減量を繰り返すので精神面に問題を抱えてしまうケースが多い。過食症、拒食症、不安神経症、短気イライラ、筋肉異形症(Muscle dysmorphia)、月経異常。問題を感じたら早めに専門家に相談すること。
★Limitations
この論文の第一の制約は、ナチュラル・ボディビルダーを被験者とした大規模で長期間の研究が欠如していることである。これを回避するため、アスリートを対象とした骨格筋の肥大と体脂肪の減少についての長期の研究を優先的に選んだ。そのような研究が無い場合は、短期の研究や動物を対象とした研究を選んだ。
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