12/12/2021

スモウデッドリフトの様々なフォームと個人的なやり方


様々なスモウデッドリフトのフォーム


<足幅が狭い>



動画:Angelo Fortino 350 Kg (771 LB) Deadlift - 2021 USA Virginia Pro
https://www.youtube.com/watch?v=g_GZhsNoytM




動画:Ed Coan deadlift
https://www.youtube.com/watch?v=Q_LWQkn0HNU


<足幅が普通くらい> 



動画:Sumo Deadlift Tips and Tricks | 410kg/903lbs stiff bar deadlift |
https://www.youtube.com/watch?v=zbNmUpvI4-E



動画:YANGSU REN (81kg) - 400 kg Deadlift | Incredible result!
https://www.youtube.com/watch?v=Zm0HdjSD2bI


<足幅が広い>



動画:Dmitriy Nasonov 910 kg Total WR @ 82.5kg
https://www.youtube.com/watch?v=5MV_mfbQT-k



動画:2017ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会② 74kg級DEADLIFT
https://www.youtube.com/watch?v=6ddloVmwN04





トップ選手によるスモウの解説

この動画で、Jamal Browner選手がスモウのやりかたを解説してくれています。ざっとポイントをあげていくと、


動画:Sumo Deadlift Tips and Tricks | 410kg/903lbs stiff bar deadlift |
https://www.youtube.com/watch?v=zbNmUpvI4-E


・挙上開始時点でスネが垂直。自分(Jamal Browner選手)は81cmラインにスネの外側が来て、つま先の開きは45°がやりやすい。
・グリップはオルタネイトよりもフックグリップが好み。オルタネイトだと身体が捩れて腰に悪いので。
・踏み込みはレッグプレスのように地面を押す。バーを引くイメージは持たない。
・バーを掴んでから一度尻を上げてバーの重さで腕にテンションかけて腕を伸ばす(挙上前に一度尻を上げて、そこで息を吸い込んでから、股関節をバーに近づけてその流れで挙上開始する選手が多いです)。
・尻はフォームが崩れない範囲で高くする。尻を落として低い位置からスタートするとデフィシットデッドリフトのようになって挙上重量面で不利になる。
・各動作をつなげ、モメンタムを維持しながら、スムーズに挙げる。
・膝・股関節のロックアウトと肩の返しは同時におこなう。
・首は終始ニュートラル。
・広背筋に力を入れて背中を固めるのではなくて、小指を身体に近づけるイメージで肩を外旋させて背中を固める(ベンチプレスで肘を絞るのと同じ)。肩の上の方はリラックスさせて腕を伸ばしたい。



個人的なスモウのやりかた

上で見たように様々なフォームがあります。骨格や力の入れやすい筋肉、股関節の可動域などによって、どのような意識でスモウデッドリフトをやるのか違ってくると思いますが、個人的に意識しているポイントを書いていきます。

私は腕長脚長で大腿骨が長い体型で、この人に骨格バランスが非常に似ていて、力を入れやすいスモウのフォームもこんな感じです。


動画:Layne Norton Squat, Bench, Deadlift Test Day 2-15-2014
https://www.youtube.com/watch?v=j6cUJmM1eWY

挙上開始時点でスネを81cmラインより5cmくらい内側に当てて、上半身をわりと前に突っ込ませて、コンベンショナルに近い意識で上げています。たぶん少数派のフォームなので、あまり参考にならないかもしれませんが・・・。


<足幅とつま先の開き>

リラックスしてまっすぐ立った状態で、つま先と膝の向きを同方向に維持しながら脚を開きます。脚とつま先を大きく開くと、尻に思い切り力を入れていないと姿勢をキープできなくなりますが、そのようなワイドスタンスは難しいのでやめたほうがいいと思います。

股関節を開くのが苦手な場合は、無理にスモウをやると股関節を痛めるので慎重にやったほうがいいです。私は痛めたことがあります。最初は狭めのスタンスがおすすめです。

つま先の開きは30-60°くらいがやりやすいと思います。つま先が開きすぎると、股関節の外旋の可動域が不足しやすいです。逆に、つま先があまり前向きだと力の入れ方が難しいです(挙上時に膝が内側に入りやすくなる)。

どのくらいの足幅とつま先の開きが向いているかは、筋肉の柔軟性以外にも、骨盤のソケットの位置や向き、大腿骨頭(ボール部分)の角度が影響します。レントゲン撮影をせずにアタリをつける方法には、クレイグズテストというものがあって、腿の横側を触り、大腿骨を内旋・外旋して骨の出っ張り(大腿骨の大転子)がもっとも顕著になるところで足を止めます。この足を止めた時の脛の角度が15°付近か、それよりもやや大きいなら、狭い足幅でつま先の開きが小さいスタンスが向いています(15°より大幅に大きい場合は、スモウデッドリフトはやらないほうがいいでしょう)。逆に15°よりもずっと小さい角度で脛がほぼ垂直(0°)になる場合は、ワイドスタンスでつま先を大きく開けると思います。


関連記事:股関節の骨の個人差とスクワットのスタンス


<立つ位置>

スネをバーからやや離して立ちます。しゃがんで、挙上開始をする時点でスネがバーに触れるくらいの位置に立ちます。これはコンベンショナルと同じです。



<腕>

腕はまっすぐ下ろします。コンベンショナルと同じでなるべく腕を長くしたいです。




<腹圧>

腹圧は当然強くかけるのですが、腹回りにだけ息を入れて固める感じでやっています。コンベンショナルは腹と胸に入れて、下背部と上背部を固める意識でやってますが、スモウは胸周りはあまり息を入れず腹だけ入れる意識でやっています(腹周りを360°膨らませる感じで息を入れています)。

スモウは上半身の角度が浅く、バーと腰の距離が近くて背中の負担が小さいのでそれほど胸周りを固めなくて良いのと、胸を膨らませないほうが肩が下がって腕が伸びるからです。コンベンショナルは腕を前に出すので胸に息を入れても問題ないです。

立っているときに息を吐いて肩をリラックスして下げて、それからしゃがんでバーを掴んで、軽く踏み込んでバーの重さを使って腕を伸ばして肩周りを締めてから、息を吸って腹回りに空気を入れて腹圧かけて、挙上開始しています。



<骨盤>

スタートポジションでは、骨盤を大腿骨に乗せて押し付ける感じでやっています。コンベンショナルは骨盤を両脚の大腿骨の間に入れる感じです。

スモウは骨盤を僅かに後傾させても大丈夫だと思います。実際に後傾しているのかわかりませんが、腰を反って前傾させると股関節周りや腰に変な負荷がかかる感じがするので、少なくとも腰は反らないほうがいいと思います。個人的には、骨盤を立てるイメージがやりやすいです。




<スタートポジション>

四股みたいに深くしゃがんで力を溜めるイメージではなく、骨格を外側に広げず、身体の重心が高い位置からコンパクトな動作で立ち上がる意識でやっています。脚を広げて膝は外側に向けるのですが、斜め下方向に踏んでその反力を使って骨格を内側にタイトにするイメージです。しゃがんでバーを掴みにいくときに、重心を高く、骨格を内側に維持にする意識で下半身のテンションを維持したまましゃがんでいくとやりやすいです。(ベンチプレスの腕の意識と似ています。ベンチプレスも腕の外側に力を通して、骨格を内側にタイトにするイメージ。バーを深く下げてから上げるのではなくて、テンションを維持しながら下げていって胸についたらボンッと戻す)。



動画:関取と一緒に!四股【入門編】
https://www.youtube.com/watch?v=RVRIgqL0Iqg

動画:WORLD'S STRONGEST SUMO DEADLIFTER!
https://www.youtube.com/watch?v=Et8LXwfMWz8


<立ち上がり>

脚と尻の外側に力を通す意識で立ち上がっています。太ももの内側(股の内側)に力を通すと膝が内側に入って、膝を痛めやすいです。内転筋に効かせる意識は持たないほうがいいでしょう。少し膝を外側に回しながら立ち上がる感じです。臀筋の外側が疲れるならOKだと思います。大腿四頭筋は内側広筋を中心に疲れると思います。

それと足裏のアーチを潰さないように意識して、足裏で床を掴んでいます。アーチが潰れると膝が内側に入りやすいです。

臀筋の外側を鍛えられるので、スモウは美尻トレーニングにもおすすめです。

<足裏重心位置>

足裏の重心位置は、たぶん中央(ミッドフット)あたりだと思います。コンベンショナルは踵寄りでやっています。


関連記事:スクワットとデッドリフトのバーの軌道と足裏の重心



<ロックアウト>

ロックアウトは、スモウは膝が先でそのあと股関節だよ派と、膝と股関節は同時だよ派がいるみたいです。私は同時派なんですが、スムーズな動作ができるなら、やりやすいほうで良いと思います。



<フォームの練習>

まずは軽い重量でフォームを固めるのが良いと思います。コンベンショナルをやっているなら、コンベンショナルのウォームアップのついでにやっていくと良いでしょう。スクワットとコンベンショナルデッドリフトをやっていると、スモウは慣れないうちでもコンベンショナルと同じくらいの重量を挙上できたりしますが、重たい重量ほど股関節を痛めやすいので、いきなり重たい重量は持たないほうがいいです。慣れるまではコンベンショナルの70-80%1RMを上限にするのが良いと思います。股関節に違和感が出たら中止しましょう。

ある程度フォームが固まってきたら、15RMくらいの重量で10レップくらい床引きしてみて、なるべく高い位置からリスタートする意識でやっていくと効率的なフォームの感覚をつかみやすいです。疲れてくると、身体が効率を求めるようになって、無駄な動作が減っていきます。


<スモウのメリット・デメリット>

メリットは、

・大柄の人でなければ、スモウのほうがコンベンショナルよりも高重量をあげやすい。
・背中の負担が小さいので、腰を痛めにくい。
・臀筋の外側を鍛えられる。見た目の面では尻の立体感が出る。機能面では股関節が頑健になる(コンベンショナルやRDLだと一方向の動きしか鍛えられない)。臀筋の外側に負荷をかけようとすると、ゴムバンドを使ったり、マシンを使ったりするのが一般的で、身体機能を高めやすいクローズドチェインでの立位姿勢で臀筋の外側に強い負荷をかけられるスモウデッドリフトは優れた種目です。
 ・全身疲労がコンベンショナルよりも小さい。背中の負担が小さいのと、挙上距離が短いためと思われます。

デメリットは、

・股関節を開くのが苦手な人は、股関節を痛めやすい。
・ハムストリングスは、あまり鍛えられない。





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