まずはベンチプレスから。
こちらは、2021年7月の動画でベンチプレスで肩痛が発生した時のものです。大胸筋に効かせるフォームでのベンチプレスです
動画:【筋トレ】ベンチプレスで肩痛!ダンベル種目に変更した減量中の胸のトレーニング&トレ後の減量食【解説付】
https://www.youtube.com/watch?v=0u-Xo_mLIEw
下は2022年10月の動画です。腱板断裂とのことで、このあと手術を受けていました。上の動画だと右肩を痛めていましたが、腱板断裂したのは左肩とのことです。両肩ともだいぶ消耗していると思います。
動画:【ご報告】左肩の腱板が断裂してました。原因や症状、治療やトレーニングの計画などについて
https://www.youtube.com/watch?v=BQAgbHTLUjg
おそらくベンチプレスだけでなくて、肩のトレーニングでも肩に負担がかかったのだと思います。ビハインドネックプレスをやっている動画もありました。
下の画像は、1つ目の動画からキャプチャしたカトちゃんさんのベンチプレスです。大胸筋に効かせるフォームだと、ローテータカフのテンションが緩くなったり、肩甲骨と上腕骨が連動しなくなったりで、肩関節が不安定になりがちです。それと肘を開いて縦方向におろしていくので、肩関節が詰まりやすくなります。
肩の怪我をしないという点では、ベンチプレスはパワーリフティングのやり方が優れています。John Haack選手と、牛山恭太選手のベンチプレスを見てみましょう。注目ポイントは、肘の向きと位置です。ナローでもワイドでも、パワーリフティングのフォームだと肘が外側を向いていません。また、ワイドの場合はブリッジを高くし、肘が深くまで下りていません。
動画:John Haack | 205kg/451lb Bench Press | 85kg Body Weight
https://www.youtube.com/watch?v=JiXhig5qwko
動画:【体重66kg】BIG3トータル640kgの怪物ウッシーの本気練習の内容大公開!
https://www.youtube.com/watch?v=vUlUGpHBiLE
怪我をしにくいベンチプレスのポイントは、
・肘を絞る(上腕骨を外旋させる)
・肩甲骨を起こす(肩甲骨の後傾)=胸郭が立つ
・挙上距離を短くできない場合は、脇の開きを抑える。
ベンチプレスの肩甲骨周りの感覚は、以下のようにやると掴みやすいと思います。ここからテンションを保ったまま、引いて押します。
安全にベンチプレスをやるためには、ローテータカフで肩関節を安定させつつ、前鋸筋に力を入れて肩甲骨を立たせて(軽く立甲させて)、上腕骨を肩甲骨で受ける形にする必要があります。あとはこの力の入れ方をキープしながら、下ろして上げます。
大胸筋に効かせることを意識せず、肩甲骨を下制して肩甲骨で負荷を受けるイメージの腕立て伏せをやると、肩甲骨を安定させながら上げ下げする良いトレーニングになります。
ラックアップしたポジションでは、肩甲骨はそれほど寄せずに、軽く後ろに引くイメージです。肩甲骨を強く寄せる意識だと肩甲骨で上腕骨を受けにくくなります。
ベンチプレスでは脇を閉じたほうが安全とよく言われるのですが、同時に肘を絞らないと、肩甲骨が前傾しやすくなって、前腕が足側に倒れて、肩の前側に負担がかかります。
同時に肘も絞ると、挙上距離が長くても肩の負担が小さいフォームになります。
ナロー手幅の斜め軌道だと、下ろしの時に前腕をやや頭側に傾けるとやりやすいと思います(肘を絞って肩甲骨の後傾を維持すると自然に少し傾きます)。斜め軌道のフォームで「肘はバーの真下」を意識しすぎると、バーの軌道と力の方向がズレて挙げにくくなります。
動画:John Haack is a 181lb(82kg) bench pressed 501lbs/227.5kg for a 3 rep set!
https://www.youtube.com/shorts/kvKj_BJ6Cwo
ただ、前腕の内側(橈骨側)に負荷を乗せながら前腕を傾けると、前腕屈筋群に負荷が乗って、肘(上腕骨内側上顆)を痛めやすくなると思います。尺骨側に負荷を乗せてください。
関連記事:ベンチプレスのグリップでは人差し指は頑張らない理論
柔軟性が足りなくて胸までバーを下ろすのがキツイい方は、この動画のストレッチをやると良いかもしれません。
動画:【1日たった30秒】コレだけはやってほしいベンチプレスが強くなる超絶おすすめのストレッチを解説します
https://www.youtube.com/watch?v=oNFpxwjuznk
このように、肩周りの動きについてはパワーリフティングのフォームが怪我をしにくいのですが、ブリッジをどこまで高く組むかは・・・ガッチリ高いブリッジを組むとストレートネックになるんですよね。鈴木佑輔選手もストレートネックになっています。
動画:【ベンチプレス101】ゴッドハンド降臨!元世界チャンピオンの救世主
https://youtu.be/Qb30gBau-pA?t=390
競技としてやるからには仕方ないのでしょうけど、首に負担をかけるのは怖いですね。手足のしびれが出たり、自律神経がおかしくなったりする場合がありますから。高いブリッジを組む場合は、首周りのケアもしていったほうが良いでしょう。
次は腰です。
動画:【筋トレ】床引きデッドリフトで広背筋を鍛える!フォームのポイント等も解説しながら追い込みました
https://www.youtube.com/watch?v=QcZG_6r2JQo
カトちゃんさんは、デッドリフトのフォームも腰に負担をかかるやり方をしていて、ヘルニアになるのでは?と思って検索したら、すでに腰を痛めていたようです。
骨盤前傾=腰椎伸展なので、腰を反った状態で高重量の負荷を腰にかけていることになります。カトちゃんさんは昔から、お腹を前に出して尻を後ろに突き出して骨盤前傾で腹圧をかけると安定すると言っているんですよね・・・。
動画:減量7週目の停滞期で変えた食事やビックリした腰痛の診断等!減量中重量アップは可能?チートデイは何を食べる?
https://youtu.be/p38VL7gPKYk?t=332
この動画の5分30秒くらいから、整形外科での腰の診断について語っています。ヘルニアにはなっていないけど、椎間板が薄くなって、腰椎の後ろの突起(棘突起)同士があたって軟骨が削れているとのこと。
背骨と椎間板は、ニュートラルのS字カーブの姿勢が最も負荷に耐えられます(下図左)。この姿勢をキープしていれば、そう簡単には壊れません。
背骨がニュートラルポジションだと、椎骨↔椎間板が平行で向き合うため、圧力が分散して背骨が強い力に耐えられるようになります。ニュートラルから外れたポジションで強い負荷をかけると、一部分に圧力が集中して椎間板と椎骨が壊れやすくなります。
例えば、物体を手のひらで押すのと、指先で押すのとでは、同じ力でも指先で押したほうが凹んだり壊れやすくなりますよね。
腹圧や体幹については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方
人体は消耗品なので、60代や70代で関節がすり減って痛くなるのは仕方がないのですが、40代で関節が壊れてくるのは問題があります。たまにノーペイン・ノーゲインと言う人がいるのですが、キツイ筋トレで筋肉や精神がペインするのはゲインに効果があっても、関節のペインはゲインに効果がありません。関節が痛い場合は、根本原因の解消を目指したり、迂回策を探したほうが良いでしょう。
大胸筋に効かせるなら、ダンベルプレスやチェストプレスなどで可動域をコントロールしながらやったほうが良いと思います。ストレートバーの握りで効かせる動きは、ボトム付近での肩関節の負担が大きいです。だいたいのチェストプレスマシンはグリップがハの字になっていて、ダンベルプレスもハの字で握るのがやりやすいです。
背中のトレーニングで、トップポジションで広背筋や脊柱起立筋の収縮を意識して効かせたい場合は、背骨に負荷がかからない方法、例えばインクラインベンチを使ったチェストサポーテッドロウなどがいいと思います。シーテッドロウもいいですね。
ベンチプレスやデッドリフトを取り入れるなら、ボディメイク目的でも、筋肉に効かせるやり方ではなくてパワーリフティング寄りのフォームのほうが安全です。
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