5/21/2016

ベンチプレスのバーの軌道

Fix Your Bar Path for a Bigger Bench
http://strengtheory.com/bench-press-bar-path/

ネタ元。これを書いている人はトップクラスのパワーリフター。バーの軌道を修正すると、筋力が変わらなくてもベンチプレスの重量を伸ばすことができるという記事。


トップクラスのパワーリフターと、初心者(と言っても平均で100kg挙上)のベンチプレスのバーの軌道を比較すると、
- 下ろす際の軌道は、トップリフターと初心者はほぼ同じ。ややアーチした直線になる。
- 挙げる際の軌道が大きく違う。初心者は前半は胸から真っ直ぐ上に挙げて、後半に肩の真上に向かって挙げる。トップリフターはその逆で前半に顔の方に斜めに挙げて、後半に真上に挙げる。

なぜこのような違いが出ているのか、ベンチプレスで使う筋肉への負荷のかかり方から考えてみると・・・

まずベンチプレスでバーベルを持ち上げるのに使う筋肉の動きは、以下の組み合わせになる。
1) 広げた腕を前で閉じる動き(主に大胸筋)
2) 腕を前方に上げる動き(主に三角筋前部)
3) 肘を伸ばす動き(上腕三頭筋)




胸から真っ直ぐ上に挙げるとスティッキングポイントで三角筋前部(腕を前方に上げる動作)がボトルネックになり、まだ大胸筋(広げた腕を前で閉じる動作)は力を発揮できるのに挙がらなくなる。




挙上前半で顔の方に向かって斜めに挙げると、肩関節からバーまでの水平距離が小さくなる。これによりスティッキングポイントで三角筋前部がボトルネックになりにくくなり、より重い重量が挙がるようになる。

トップリフターは挙上中に発揮する最大の力と最小の力の差が小さい。初心者は最大の力と最小の力の差が大きい。挙上重量を決めるのは「最小の力(スティッキングポイント)」。バーの軌道の改善、つまりスティッキングポイントでのモーメントアームの縮小により、各筋肉の筋力は同じでも最小の力を引き上げ、挙上重量を伸ばすことができる。

脇の角度を90度にしてバーを真っ直ぐ鎖骨に下ろして、真っ直ぐ上に挙げるなら前部三角筋の負荷は大幅に減るが、それだと筋力を十分に発揮できる範囲を超えて下ろすことになるし、肩関節や大胸筋の怪我のリスクも上がる。一方で、腹の方に下ろすと挙上距離は縮まるが、前部三角筋の負荷が大きすぎてここがボトルネックになり重量が落ちる(大胸筋にも十分に刺激が入らない)。バーを下ろす位置は、乳首からみぞおち付近の間が良い。


バーの軌道の変更は、数週間から数ヶ月かけて行う。身体が動作を学び直す必要がある。いきなり重い重量でフォームを変えようとするのは危ないので気をつける。



★コメント
パワーリフター体型の人に向いているフォームの可能性もあるけど、腕が細長い私がやってみても力が入りやすい感じがして、肩や肘に変な負荷がかかっている感じもしなかったので、たぶん万人向けのフォームだと思います。大胸筋の負荷が上がるので大胸筋を鍛えたい人にも向いている。もちろん肩や肘に違和感を感じる場合は止めた方が良いです。


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