5/10/2016

果物の食べ方

果物の果糖が肥満の原因になり健康に悪影響を及ぼすという理由で果物を避けるよう指示するダイエットがある。一方で、果物に含まれる微量栄養素が身体に良いので積極的に食べるよう推奨する食事法もある。

以下、果物の食べ方について考えてみたい。


★果物の栄養素
果物に含まれる主な栄養素は、糖質、繊維質、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルである。果物の糖質は単糖まで分解した場合、果糖とブドウ糖の割合がだいたい1:1になる。繊維質とビタミンとミネラルは必ず摂取すべき栄養素だが、果物にはそれほど多くは含まれてはいない。フィトケミカルは健康に良い影響を与える可能性がある。


★果物の加工品
ドライフルーツにするとビタミンCなどが失われる。ジュースにすると繊維質も失われる。ドライフルーツは砂糖漬けにしていてカロリー密度が高いものが多いし、ジュースは大量に飲みやすいので、カロリーの摂り過ぎに注意する。ドライフルーツは砂糖の塊だと考えた方が良い。ジュースは100%ストレートでもコーラやファンタと同じくらいのカロリーがあるので、これらの清涼飲料水と同じだと考えたほうが良い。

例としてパイナップル、パイナップルジュース、パイナップルドライフルーツの栄養成分。


★身体に良いかどうか
果物に限らず、食べ物が身体に良いかどうかは、その人の置かれた状況による。運動をせずカロリーオーバーの状況で糖質、特に果糖を大量に摂取するのは身体に悪い(関連記事参照)。というか食べ過ぎではカロリーのある食べ物は身体に悪いだろう。一方で、餓死寸前の人にとっては糖質は身体に良い。その人の置かれた状況を考慮せず、ある特定の食べ物を身体に悪いとするのは馬鹿げている。

こんな極端なことを言っても実生活のガイドラインにならないので、研究を参考にしてみると。
Health implications of fructose consumption: A review of recent data.

果糖の摂取は1日50g以下、もしくは総カロリーの10%以下が健康に悪影響を及ぼさない目安になっている。果物の糖質だけでなく、砂糖や異性化糖も果糖とブドウ糖の割合がだいたい1:1なので、果物やお菓子やジュースやケーキなどひっくるめて甘い食べ物の糖質は一日100g(400kal)までということになる。でもまあちょっとこれだと微量栄養素の観点から甘いもの(たいてい微量栄養素が乏しい)を摂り過ぎかなと思うし、料理にも砂糖は使われるので、果物やお菓子やデザートは一日200kcal程度までが妥当なガイドラインかと思う。

市販の菓子類に比べれば、果物は微量栄養素が多少なりとも含まれていて、質の悪い脂質も入っていないので、楽しみのための甘いものとして生の果物や干しただけのドライフルーツ(プルーンなど)を選択するのは良い生活習慣だろう。

もちろん一時的に1日200kcalを超えて食べても問題はない。甘いものを食べ過ぎた場合は、他の日に食べるのを控えれば良い。毎日大量に食べ続けなければ問題はない。

上のガイドラインは一日の摂取カロリーが2000kcalくらいで、特に運動していない人を想定している。運動量の多いアスリート、例えばロードレースや水泳やマラソンやシンクロナイズドスイミングなどの選手は、必要な摂取カロリーが多いのでもっと甘いものを食べても良いだろう。むしろホールフード中心に1日5000kcal食べたりするのは消化吸収能力が高くないとキツイはず。胃腸が強くないアスリートは、精製度の高い食品とサプリメントを積極的に利用しても良いと思う。



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