3/02/2017

特異性の原則

Why are strength gains specific? (and why does it matter?)
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/just-get-strong-is-wrong/

Why are strength gains force-vector specific? (strength is specific)
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/force-vector/

トレーニングによる刺激に対して身体は特異的に適応する。ストレングストレーニングは、達成したい目標に合致した特異性を鍛えるものにする必要がある。特異性にどのような面があり、それがどのようなメカニズムで起こるか、8つの面から見ていく。


1. 筋肉の動く方向性(エキセントリックかコンセントリックか)
エキセントリックトレーニングのみ行うと、コンセントリックの筋力も向上するがエキセントリックの筋力の方がより向上する。コンセントリックトレーニングのみ行うと、その逆になる。(上のリンク先に研究結果のグラフが一通り載っているので、それを見たほうが効果の違いがよくわかります。下の他の項目も同様)

想定メカニズム:
- 細胞外マトリクスとチチンの内容物の増加により、受動的に発揮される力が向上する。
- 神経系が適応する。


2. 筋収縮速度(速いか遅いか)
低速度でのトレーニングでは低速度で発揮される筋力が大きく向上し、高速度での筋力はあまり向上しない。高速度でのトレーニングでは高速度で発揮される筋力が大きく向上し、低速度での筋力もかなり向上する。
速度への適応は、速く動かそうとする意図(高重量だと全力でも速く動かせない)だけではなく、実際に速く動くことが必要だと思われる。

想定メカニズム:
- 筋膜長の増加。
- 筋繊維一本あたりの収縮速度の上昇。
- 動作の初期から大きな力を発揮するような神経系の適応。
- 拮抗筋の抑制。
- 協調動作の改善。


3. レップ数(最大筋力か筋持久力か)
低レップ(高重量)のトレーニングでは最大筋力が大きく向上し、筋持久力は変わらないかやや低下する。高レップ(低重量)のトレーニングでは最大筋力はやや向上し、筋持久力は大きく向上する。各セットを限界まで行えば、数カ月の実験期間においては、低レップも高レップも筋肥大は同等という結果が出ている。

想定メカニズム:
- 低レップ(高重量)のトレーニングでの最大筋力の向上は、筋肉間の協調動作の向上、筋繊維一本ごとの収縮能力の変化、横方向の力の伝達の改善(lateral force transmission)、神経系の適応などによる。

- 高レップ(低重量)のトレーニングでの筋持久力の向上は、毛細血管の発達、代謝物への耐性向上、イオン(Na+, K+, Ca²+) 輸送能力の向上などによる。


4. 動作範囲(フルレンジかパーシャルか)
パーシャルでのトレーニング(例えばハーフスクワット)を行えば、その動作範囲での最大筋力はフルレンジでのトレーニングよりも大きく向上する。フルレンジでのトレーニングを行えば、フルレンジでの最大筋力はパーシャルでのトレーニングよりも大きく向上する。

想定メカニズム:
- パーシャルのトレーニングでは、その関節の角度で大きな力を発揮するよう神経系が適応する。
- フルレンジのトレーニングでは、使われる部位の筋肥大により筋肉が伸びた状態で大きな力を発揮できるようになる。


5. 安定性(マシントレーニングのように安定かフリーウェイトのように不安定か)

軌道が固定されたマシンでのトレーニングと、軌道が固定されないケーブルマシンでのトレーニングの効果を比較すると、軌道固定マシンではそのマシンでの筋力がより向上し、ケーブルマシンではケーブルマシンでの筋力がより向上した。それとケーブルマシンのトレーニングを続けた後では、拮抗筋の活動抑制と協力筋の活動活発化が見られ、より効率的に力を発揮できるように身体が適応したことが観察された(軌道固定マシンではこの適応は起こらず)。

想定メカニズム:
- 拮抗筋の抑制や協力筋の動員により、不安定な状況でもより効率に身体を使い筋力を発揮できるようになる。


6. 負荷のタイプ(一定の負荷か変化するか)
空気圧で一定の負荷を与えるマシンでは、動作範囲の間は一定の負荷がかかる。フリーウェイトは慣性の影響で動作範囲の間で負荷が変わる。前者でのトレーニングでは前者の1RMがより向上し、後者でのトレーニングでは後者の1RMがより向上する。

想定メカニズム:
- 「2. 筋収縮速度」と「4. 動作範囲」のメカニズムの組み合わせ。


7. 力ベクトル(垂直方向か水平方向か)
スクワットでは地面に対して垂直方向の筋力(例えば垂直跳び)が鍛えられ、ヒップスラストでは地面に対して水平方向の筋力(例えばスプリントの加速フェーズ)が鍛えられる。プライオメトリクストレーニングでも同様に、負荷をかける方向の能力が強化される。

想定メカニズム:
- 「4. 動作範囲」とその動作で使われる筋肉の部位の発達。


8. 筋肉の部位

トレーニングで使われた筋肉が強くなる。

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