ここで目指すベンチプレスは、怪我をしにくいフォーム、パワーリフティング寄りのフォームです。筋肥大のためのベンチプレスではなくて、ベンチプレスのためのベンチプレスのフォームです。
下の画像のように、人差し指を中指・薬指と揃えて深く握ると、負荷が「拇指球→橈骨」にかかりやすいです。
この位置に乗せるデメリットはいくつもあって、
・拇指球のあたりの関節や、手首を痛めやすい。
・拇指球の出っ張りがあるため、小指側の掌底に乗せるよりも高い位置に乗せる必要がある。そのため、バーを胸に付けるには、より深く肘を降ろさないといけない。
・上腕三頭筋を使いにくい。上腕三頭筋の腱が付着しているのは尺骨なので、橈骨側に負荷を乗せると上腕三頭筋を使いにくい。
・肘を絞りにくい。ベンチプレスで怪我をしにくいフォームでは、上腕骨を外旋させて肘を絞る動作が必須なのですが、人差し指を深く握り込むとこの動作をやりにくくなります。
・握り込むことで、肘を痛めやすい(上腕骨内側上顆炎)。
ベンチプレスが厄介なのは、本能的に大胸筋に力を入れやすいのは、人差し指を深く握り込み、橈骨に負荷を乗せるフォームなこと。意識して訓練しないと、人類はほぼこのフォームになります。
アナトミートレイン
アナトミーートレインという理論があって、筋肉のつながり・連動を線(ライン)で考えます。アナトミートレインの理論は、ベンチプレスでバーを乗せる位置の違いによる力の流れや、動員されやすい筋肉の感覚とかなり一致していて面白いので紹介します。
簡単な説明は以下の動画を参考にしてください。私も動画を見たくらいの知識で、アナトミートレインにまったく詳しくないです。
動画:【完全保存版】アナトミートレイン(筋肉のつながり)がすべてわかる動画:3大原理と基本7ラインについて
https://www.youtube.com/watch?v=GAIzYDzSeWo
腕のラインは4つあって、(浅い層/深い層)×(腕の前側/後ろ側)の組み合わせです。
腕の前側のラインは、浅層と深層の2つ。
下の記事の図が視覚的にわかりやすいです。
参考記事:浅前腕線:スーパーフィシャルフロントアームライン(SFAL)
参考記事:深前腕線:ディープフロントアームライン(DFAL)
腕の前側ラインをフル動員すると、モストマスキュラーのポーズになります。親指を握り込んだり、手首を屈曲させたりするのも、大胸筋や上腕二頭筋に力を入れやすいからだと思います。
ベンチプレスで大胸筋を使って力まかせに挙げようとすると、腕の前側のラインが支配的に使われます。もちろんベンチプレスの主動筋は大胸筋ですが、このラインだけ使うと、肩関節が不安定になったり、下ろす際に肩関節が詰まったりして肩を痛めやすいです。それに加えて、強く握り込みながら動作を行うことで、肘痛(上腕骨内側上顆炎)にもなりやすいです。ちなみにベンチプレスでも上腕骨内側上顆炎による肘痛は起きますが、最も起こりやすいのは懸垂です。
関連記事:筋トレでの肘の痛み-対処方法と予防方法-
なぜ大胸筋ばかり使うと肩関節が不安定になるのかというと、腱の付着点が肩関節から遠いからです。付着点(力点)が肩関節(支点)から遠いため、てこ比が有利になって手(作用点)で強い力を発揮しやすいのですが、関節から遠い地点を強く引っ張るため、肩関節は不安定になります。ローテーターカフは見ての通り肩関節付近に付着しているので、肩関節を安定させる働きがあります。
動画:Pectoralis Major Muscle - Function& Origins - Human Anatomy | Kenhub
https://www.youtube.com/watch?v=as9Ked5qhXw
動画:Rotator Cuff | 3D Anatomy Tutorial
https://www.youtube.com/watch?v=RaIt79pPfgE
次に腕の後ろ側のラインを見てみます。
下の記事の図が視覚的にわかりやすいです。
参考記事:浅後腕線(スーパーフィシャルバックアームライン SBAL)
参考記事:深後腕線:ディープバックアームライン(DBAL)
腕の後ろのラインに、ベンチプレスに役立ちそうなラインがありますね。そうです、深層バックアームのラインです。このラインを使うと、ローテーターカフで肩関節を安定させつつ、上腕三頭筋を動員することができます。深層バックアームは、尺骨、小指につながるため、尺骨側にバーの負荷を乗せると、このラインを使いやすくなります。
従って、人差し指は頑張らない意識で、小指・薬指・中指で握って尺骨に負荷を乗せると、怪我をしにくいフォームになります。感覚的にも、この身体の使い方だと手首・肘・肩に負担をかけずにベンチプレスが出来ます。
ベンチプレスのグリップは以下の記事のやり方で握ると簡単に決まります
関連記事:ベンチプレスの握りが簡単に決まる小技
私は手が大きいためか、指を被せて握ったほうがやりやすいのですが、指先で押さえるように握る方法(ブルドッググリップ)もあります。
ちなみに、スクワットとデッドリフトのグリップも、人差し指を深く握らないほうがやりやすいと思います。
スクワットは人差し指で深く握ると、肩が詰まって窮屈になります。ロウバーだとサムレスで握るソリューションがあります。ハイバーだとサムレスはやりにくいので、ハイバーで肩が窮屈な場合は、人差し指を少し浮かせたり、浅く握ったりすると肩が楽になると思います。
デッドリフトは、上腕骨を外旋させて広背筋やローテーターカフを締め付けて肩甲骨・肩周りを固めたほうが安定するのと、腕の後ろ側に力を通したほうが背中に負荷を乗せられるので、人差し指を深く握らないほうがやりやすいと思います。ストロングマンのデッドリフトだと、ストラップ使用OKなので、サムレスで握るケースもあります。
ただ、やりやすさには個人差があります。グリップの微妙な違いが身体の使い方に影響を与えるので、色々と試してみると面白いと思います。
人によっては、小指側に力を入れるのが苦手で、人差し指で握り込む癖がある人もいます。その場合はハンドグリップで人差し指以外の握る力を鍛えると良いでしょう。
動画:【完全保存版】アナトミートレイン(筋肉のつながり)がすべてわかる動画:3大原理と基本7ラインについて
https://www.youtube.com/watch?v=GAIzYDzSeWo
腕のラインは4つあって、(浅い層/深い層)×(腕の前側/後ろ側)の組み合わせです。
腕の前側のラインは、浅層と深層の2つ。
<浅層フロントアーム>
大胸筋・広背筋→上腕骨内側→前腕屈筋群(手首を曲げる・指を曲げる)→手のひら→親指以外の4指
<深層フロントアーム>
小胸筋→上腕二頭筋→橈骨→拇指球→親指
下の記事の図が視覚的にわかりやすいです。
参考記事:浅前腕線:スーパーフィシャルフロントアームライン(SFAL)
参考記事:深前腕線:ディープフロントアームライン(DFAL)
腕の前側ラインをフル動員すると、モストマスキュラーのポーズになります。親指を握り込んだり、手首を屈曲させたりするのも、大胸筋や上腕二頭筋に力を入れやすいからだと思います。
ベンチプレスで大胸筋を使って力まかせに挙げようとすると、腕の前側のラインが支配的に使われます。もちろんベンチプレスの主動筋は大胸筋ですが、このラインだけ使うと、肩関節が不安定になったり、下ろす際に肩関節が詰まったりして肩を痛めやすいです。それに加えて、強く握り込みながら動作を行うことで、肘痛(上腕骨内側上顆炎)にもなりやすいです。ちなみにベンチプレスでも上腕骨内側上顆炎による肘痛は起きますが、最も起こりやすいのは懸垂です。
関連記事:筋トレでの肘の痛み-対処方法と予防方法-
なぜ大胸筋ばかり使うと肩関節が不安定になるのかというと、腱の付着点が肩関節から遠いからです。付着点(力点)が肩関節(支点)から遠いため、てこ比が有利になって手(作用点)で強い力を発揮しやすいのですが、関節から遠い地点を強く引っ張るため、肩関節は不安定になります。ローテーターカフは見ての通り肩関節付近に付着しているので、肩関節を安定させる働きがあります。
動画:Pectoralis Major Muscle - Function& Origins - Human Anatomy | Kenhub
https://www.youtube.com/watch?v=as9Ked5qhXw
動画:Rotator Cuff | 3D Anatomy Tutorial
https://www.youtube.com/watch?v=RaIt79pPfgE
次に腕の後ろ側のラインを見てみます。
<浅層バックアーム>
僧帽筋・三角筋→上腕骨→前腕伸筋群(手首を反らす・指を伸ばす)→手の甲
<深層バックアーム>
肩甲挙筋・菱形筋→肩甲骨→棘上筋・棘下筋(ローテーターカフ)→上腕三頭筋→尺骨→小指
下の記事の図が視覚的にわかりやすいです。
参考記事:浅後腕線(スーパーフィシャルバックアームライン SBAL)
参考記事:深後腕線:ディープバックアームライン(DBAL)
腕の後ろのラインに、ベンチプレスに役立ちそうなラインがありますね。そうです、深層バックアームのラインです。このラインを使うと、ローテーターカフで肩関節を安定させつつ、上腕三頭筋を動員することができます。深層バックアームは、尺骨、小指につながるため、尺骨側にバーの負荷を乗せると、このラインを使いやすくなります。
従って、人差し指は頑張らない意識で、小指・薬指・中指で握って尺骨に負荷を乗せると、怪我をしにくいフォームになります。感覚的にも、この身体の使い方だと手首・肘・肩に負担をかけずにベンチプレスが出来ます。
ベンチプレスのグリップは以下の記事のやり方で握ると簡単に決まります
関連記事:ベンチプレスの握りが簡単に決まる小技
私は手が大きいためか、指を被せて握ったほうがやりやすいのですが、指先で押さえるように握る方法(ブルドッググリップ)もあります。
ちなみに、スクワットとデッドリフトのグリップも、人差し指を深く握らないほうがやりやすいと思います。
スクワットは人差し指で深く握ると、肩が詰まって窮屈になります。ロウバーだとサムレスで握るソリューションがあります。ハイバーだとサムレスはやりにくいので、ハイバーで肩が窮屈な場合は、人差し指を少し浮かせたり、浅く握ったりすると肩が楽になると思います。
デッドリフトは、上腕骨を外旋させて広背筋やローテーターカフを締め付けて肩甲骨・肩周りを固めたほうが安定するのと、腕の後ろ側に力を通したほうが背中に負荷を乗せられるので、人差し指を深く握らないほうがやりやすいと思います。ストロングマンのデッドリフトだと、ストラップ使用OKなので、サムレスで握るケースもあります。
ただ、やりやすさには個人差があります。グリップの微妙な違いが身体の使い方に影響を与えるので、色々と試してみると面白いと思います。
人によっては、小指側に力を入れるのが苦手で、人差し指で握り込む癖がある人もいます。その場合はハンドグリップで人差し指以外の握る力を鍛えると良いでしょう。
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