3/22/2017
プレス動作のステップアップ
http://ericcressey.com/ask-ec-installment-1
肩峰下インピンジメントが治癒して、プレス動作のトレーニングを再開する際にどのようなエクササイズを行ったら良いかという質問にEric Cresseyが回答している。
肩の調子が悪い人のエクササイズ選択の参考にもなるので紹介。
★ステップアップ順
順序が最初の方のエクササイズは、肩がそれほど頑健でなくても怪我のリスクが低い。
自重腕立て伏せ → 荷重腕立て伏せ → 低い位置からのケーブルクロスオーバー → 尻の位置からのケーブルクロスオーバー → ニュートラルグリップ(両手の掌が内側を向く)でのダンベルフロアプレス → ニュートラルグリップでのデクラインダンベルプレス → 順手でのデクラインダンベルプレス → バーベルフロアプレス → デクラインバーベルベンチプレス → フラットベンチでのダンベルプレス → インクラインダンベルプレス → フラットベンチでのバーベルベンチプレス → インクラインベンチプレス → ダンベルミリタリープレス → バーベルミリタリープレス/プッシュプレス → ビハインドネックプレス
必ずしも最後までステップアップする必要はない。肩の怪我をした人にとっては、ビハインドネックプレスは得られるリターンに比べてリスクが大きすぎる場合がある。
★なぜこの順序なのか
1) 肩甲骨と上腕骨のスタビライザーは、クローズドチェイン(手もしくは足の位置が固定)のエクササイズで最も効果的に働く。したがって腕立て伏せはスタビライザーを動員しやすい。
2) インピンジメントの症状は、肩関節の屈曲・外転が90度を超えると悪化しやすい。したがって直立時に腕が肩よりも上にくる角度で行うインクラインやオーバーヘッドプレスの順序は後の方になる。(肩関節の屈曲はフロントレイズの動き、肩関節の外転はサイドレイズの動き)
3) ケーブルクロスオーバーのように上腕骨頭を関節窩(肩関節のソケット)から引っ張る動きは、上腕骨頭を関節窩に押し付ける動きよりも怪我歴のある筋肉にとってダメージが少ない。
4) 順手でダンベル/バーベルを握ると上腕骨が内旋のポジションになり、肩峰下のスペースが小さくなって再び肩峰下の怪我をするリスクが高くなる。
★その他注意点
- 最初はゆっくり丁寧に行う。特にエキセントリックをゆっくり。
- エクササイズ中とそのあとに肩に痛みが出ないか注意する。出たらステップバックしてリスクの低いエクササイズを行う。
- 肩甲骨の内転(寄せる動き)と下制(下げる動き)と上腕の外旋を、並行して鍛える。
・肩甲骨の内転のエクササイズ例
シーテッドロウやベントオーバーラテラルレイズやフェイスプルなど。軽い重量で肩甲骨から動かして肩甲骨を寄せるのを意識する。手や肘から動かすとだいたい肩に良くない動きになるので注意。
・肩甲骨の下制のエクササイズ例
動画:ShoulderPerformance.com: Prone 1-arm Trap Raise
動画:EricCressey.com: Troubleshooting the Prone 1-arm Trap Raise
- 仰向けになって顎を引く。
- 片腕ずつ行う。
- 意識して収縮させるのは僧帽筋下部で、メインで動かすのは「胸椎-肩甲骨」の部分。三角筋などを使って肩関節メインで動かさないこと。
- 肩がだらんと身体の前側に垂れないようにする。腕を上げるにつれ肩甲骨はやや後傾させる。
- 脇と胴体の角度は135度。
・上腕の外旋のエクササイズ例
動画:ShoulderPerformance.com: Elbow-Supported DB External Rotations
関連記事:
ショルダープレス
3/11/2017
ショルダープレス
肩周りの可動域が十分で、肩甲骨の上方回旋と肩関節の外転を行う筋肉がバランス良く働くのなら、ショルダープレスは簡単。肘をダンベル(バーベル)の下にキープしたまま腕を頭上に突き上げればOK。
動画:HOW To Overhead Press: Proper Technique for Size, Strength & Performance
オリンピックリフティングスタイルでのオーバーヘッドプレス。Tシャツが気になる。臀筋と体幹を締めて腰が反らないようにし、バーを上に突き上げる。ロックアウトでは肩甲骨を寄せ上背部を固め、頭を前に出す。ロックアウトポジションでは、バー、肩、尻が直線上に来るようにする。
頭を前に出してロックアウトするのが肩の健康に良いのかはわからない。Dean Somersetがこの記事で、頭を前に突き出すと胸椎と肩甲骨の連動に悪影響と書いている。
★ショルダープレスの誤魔化し
立った状態で、臀筋と腹筋(主に下部と外腹斜筋あたり)に力を入れて腰が反らないようにする。この状態でショルダープレスが出来るかどうかやってみる。肩周りの可動域が足りなかったり、胸椎が過度に曲がっていたり(猫背)、大胸筋の関与を増やして無理に重い重量を上げようとすると、腰を反らせて胸を天井に向けてやってしまう。これをやると腰を痛めやすい。
動画:Lee Boyce Z Press 155lbs x 8
脚を伸ばして床に座ってプレスを行うと、さらに誤魔化しがきかない。
出来ない人は結構いると思う。私は出来なかった。4ヶ月くらい矯正エクササイズを続けてようやくまともにショルダープレスが出来るようになった。ジムでの観察と自分自身の経験から、腰を反らせて腕が上がらないのを誤魔化したり、インクラインベンチで斜めになってショルダープレスをする人が多いと思う。
★腕を上げる動作で使われる筋肉
画像は、[書籍] 姿勢の教科書 から引用。
腕を上げる動作は、肩甲骨の上方回旋と肩関節(肩甲上腕関節)の外転で行われる。
・肩甲骨の上方回旋
僧帽筋上部:挙上+上方回旋
僧帽筋下部:下制+上方回旋
僧帽筋上部と僧帽筋下部がバランス良く働くと、挙上と下制が打ち消し合って肩甲骨は上下に動かず、純粋な上方回旋の動きが起こる。
僧帽筋中部:内転+上方回旋
前鋸筋:外転+上方回旋
僧帽筋中部と前鋸筋がバランス良く働くと、内転と外転が打ち消し合って肩甲骨は寄せたり開いたりせず、純粋な上方回旋の動きが起こる。
・肩関節(肩甲上腕関節)の外転
棘上筋と三角筋が腕を引っ張り上げ、同時にローテーターカフが斜め下方向に上腕骨を引っ張って、上腕骨頭が肩甲骨の関節窩(ソケット部分)から上に飛び出ないよう制御する。
筋力のアンバランスがあるとこれらの動作が正常に行えず、肩甲骨が挙上したり(シュラッグの動き)、上腕骨頭がソケットからずれたりする。肩周りは神経や靭帯が密集していて、重いものを持った状態で骨が正常な軌道からずれると挟まったりぶつかったりして痛みが起きる。
痛みが無く誤魔化しのないショルダープレスを行うために、可動域の回復、筋力バランスの調整、肩甲骨と肩関節の動きの学習の順番でエクササイズを行っていく。
★肩周りの可動域の回復
・固く縮んでいる筋肉を伸ばす
ウェイトトレーニングを継続的に行っている人は、大胸筋、三角筋前部、広背筋、菱形筋をしっかりストレッチする。これらの筋肉が、縮んで固まっていることが多い。
・胸椎を伸ばす
猫背になっている場合は胸椎を伸ばす必要がある。普段デスクワークでトレーニングではベンチプレスばかりやっていると猫背・巻き肩になりやすい。
動画:T-spine extension
フォームローラーで胸椎を伸ばす
動画:Sun Dogs
胸椎を伸ばし、肩甲骨を正しい位置に。尻を天井に向けて突き上げるイメージで。
動画:EricCressey.com: Bench Thoracic Spine Mobilization
伸ばした時に息を限界まで吐くとさらに効く
・腕を上げる動作の可動域の回復
動画:Supine Shoulder Flexion
動画:EricCressey.com: Back-to-Wall Shoulder Flexion
動画:Foam supine lying arm slides
いずれも腕を上げた時に腰が反らないように注意する。
・肩甲骨の可動域の回復
動画:TonyGentilcore.com Prone Lengthening
肩甲骨が張り付いて前鋸筋をうまく使えない人が、まずは可動域を取り戻すためのエクササイズ。四つん這いになって手を広げて両手の親指が互いにつくかつかないかの距離の幅で前腕を床につけ、肩甲骨を前に突き出し前腕を押しながら胸椎を少し丸めて深く息を吸い込む。その姿勢を維持したまま息を限界まで吐いていく。発展バージョンは息を吐くフェーズで肘を伸ばす。
一般的なウェイトトレーニングの問題点は、肩甲骨の外転(肩甲骨を突き出す動作)を鍛える種目が無いこと。
★筋力バランスの調整
多くのケースでは僧帽筋下部と前鋸筋とローテーターカフが弱いので、これらの筋肉を鍛える。
・僧帽筋下部のトレーニング
動画:ShoulderPerformance.com: Prone 1-arm Trap Raise
動画:EricCressey.com: Troubleshooting the Prone 1-arm Trap Raise
- 仰向けになって顎を引く。
- 片腕ずつ行う。
- 意識して収縮させるのは僧帽筋下部で、メインで動かすのは「胸椎-肩甲骨」の部分。三角筋などを使って肩関節メインで動かさないこと。
- 肩がだらんと身体の前側に垂れないようにする。腕を上げるにつれ肩甲骨はやや後傾させる。
- 脇と胴体の角度は135度。
・前鋸筋のトレーニング
動画:Bonvecstrength.com - Serratus Wall Slide w/ Roller
肩甲骨を前に突き出し背中はやや丸めて、腹筋に力を入れて腰が反らないようにし、腕を上下させる。
動画:The Perfect Push Up - Do it right!
腕立て伏せも効果的。ボトムで肩甲骨を寄せて、トップで肩甲骨を突き出す。ベンチプレスは肩甲骨を寄せて動かさないけど、腕立て伏せは肩甲骨をダイナミックに動かす。
・ローテーターカフのトレーニング
動画:ShoulderPerformance.com: Elbow-Supported DB External Rotations
三角筋後部を使わないよう注意する。肩甲骨の中央あたりで細かい筋肉がグリグリ動いていればOK。
★肩甲骨と肩関節の動きを学ぶ
動画:HighPerformanceHandbook.com: Half-Kneeling 1-arm Landmine Press
姿勢セットアップ:臀筋と体幹を締める。顎を引く。頭、肩、尻が直線上にくるように背筋を伸ばす。
バーを上下させる:下ろした時に肘が胴体よりも後ろにいかないように。肩甲骨が挙上や前傾(猫背の動き)はしないように注意する。ただ肩甲骨が下に押し付けられている人(なで肩になっている人)は、肩甲骨をやや挙上してニュートラルポジションに戻してエクササイズした方が良い。
動画:HighPerformanceHandbook.com: 1-arm Bottoms-up KB Waiter's Walk
体幹を締めて背骨ニュートラルと肩甲骨の後傾を維持。腕を突き上げたまま歩く。ニュートラルグリップ(手のひらが内側を向く)で持つ。ケトルベルが無かったら5kgプレートやダンベルを縦に持っていいかも。
ここまで出来るようになったら、ショルダープレスを実施する。ただ、加齢や過去の怪我で可動域が十分にならなかったり、痛みが出る場合は、無理にショルダープレスを行う必要はないだろう。プレス動作で三角筋前部を鍛えたいのなら、1-arm Landmine Pressをやったりインクラインベンチを使って斜めにプレスしたりすれば良いし、レイズ系で鍛えても良い。
関連記事:
懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)
肩の健康のために
バランスの取れたトレーニング種目の選択-メカニズム編-
バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-
3/02/2017
特異性の原則
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/just-get-strong-is-wrong/
Why are strength gains force-vector specific? (strength is specific)
https://www.strengthandconditioningresearch.com/perspectives/force-vector/
トレーニングによる刺激に対して身体は特異的に適応する。ストレングストレーニングは、達成したい目標に合致した特異性を鍛えるものにする必要がある。特異性にどのような面があり、それがどのようなメカニズムで起こるか、8つの面から見ていく。
1. 筋肉の動く方向性(エキセントリックかコンセントリックか)
エキセントリックトレーニングのみ行うと、コンセントリックの筋力も向上するがエキセントリックの筋力の方がより向上する。コンセントリックトレーニングのみ行うと、その逆になる。(上のリンク先に研究結果のグラフが一通り載っているので、それを見たほうが効果の違いがよくわかります。下の他の項目も同様)
想定メカニズム:
- 細胞外マトリクスとチチンの内容物の増加により、受動的に発揮される力が向上する。
- 神経系が適応する。
2. 筋収縮速度(速いか遅いか)
低速度でのトレーニングでは低速度で発揮される筋力が大きく向上し、高速度での筋力はあまり向上しない。高速度でのトレーニングでは高速度で発揮される筋力が大きく向上し、低速度での筋力もかなり向上する。
速度への適応は、速く動かそうとする意図(高重量だと全力でも速く動かせない)だけではなく、実際に速く動くことが必要だと思われる。
想定メカニズム:
- 筋膜長の増加。
- 筋繊維一本あたりの収縮速度の上昇。
- 動作の初期から大きな力を発揮するような神経系の適応。
- 拮抗筋の抑制。
- 協調動作の改善。
3. レップ数(最大筋力か筋持久力か)
低レップ(高重量)のトレーニングでは最大筋力が大きく向上し、筋持久力は変わらないかやや低下する。高レップ(低重量)のトレーニングでは最大筋力はやや向上し、筋持久力は大きく向上する。各セットを限界まで行えば、数カ月の実験期間においては、低レップも高レップも筋肥大は同等という結果が出ている。
想定メカニズム:
- 低レップ(高重量)のトレーニングでの最大筋力の向上は、筋肉間の協調動作の向上、筋繊維一本ごとの収縮能力の変化、横方向の力の伝達の改善(lateral force transmission)、神経系の適応などによる。
- 高レップ(低重量)のトレーニングでの筋持久力の向上は、毛細血管の発達、代謝物への耐性向上、イオン(Na+, K+, Ca²+) 輸送能力の向上などによる。
4. 動作範囲(フルレンジかパーシャルか)
パーシャルでのトレーニング(例えばハーフスクワット)を行えば、その動作範囲での最大筋力はフルレンジでのトレーニングよりも大きく向上する。フルレンジでのトレーニングを行えば、フルレンジでの最大筋力はパーシャルでのトレーニングよりも大きく向上する。
想定メカニズム:
- パーシャルのトレーニングでは、その関節の角度で大きな力を発揮するよう神経系が適応する。
- フルレンジのトレーニングでは、使われる部位の筋肥大により筋肉が伸びた状態で大きな力を発揮できるようになる。
5. 安定性(マシントレーニングのように安定かフリーウェイトのように不安定か)
軌道が固定されたマシンでのトレーニングと、軌道が固定されないケーブルマシンでのトレーニングの効果を比較すると、軌道固定マシンではそのマシンでの筋力がより向上し、ケーブルマシンではケーブルマシンでの筋力がより向上した。それとケーブルマシンのトレーニングを続けた後では、拮抗筋の活動抑制と協力筋の活動活発化が見られ、より効率的に力を発揮できるように身体が適応したことが観察された(軌道固定マシンではこの適応は起こらず)。
想定メカニズム:
- 拮抗筋の抑制や協力筋の動員により、不安定な状況でもより効率に身体を使い筋力を発揮できるようになる。
6. 負荷のタイプ(一定の負荷か変化するか)
空気圧で一定の負荷を与えるマシンでは、動作範囲の間は一定の負荷がかかる。フリーウェイトは慣性の影響で動作範囲の間で負荷が変わる。前者でのトレーニングでは前者の1RMがより向上し、後者でのトレーニングでは後者の1RMがより向上する。
想定メカニズム:
- 「2. 筋収縮速度」と「4. 動作範囲」のメカニズムの組み合わせ。
7. 力ベクトル(垂直方向か水平方向か)
スクワットでは地面に対して垂直方向の筋力(例えば垂直跳び)が鍛えられ、ヒップスラストでは地面に対して水平方向の筋力(例えばスプリントの加速フェーズ)が鍛えられる。プライオメトリクストレーニングでも同様に、負荷をかける方向の能力が強化される。
想定メカニズム:
- 「4. 動作範囲」とその動作で使われる筋肉の部位の発達。
8. 筋肉の部位
トレーニングで使われた筋肉が強くなる。
2/15/2017
ストレスについて-身体反応と管理方法-
↓
Why Zebras Don't Get Ulcers
https://www.amazon.com/Why-Zebras-Dont-Ulcers-Stress-Related-ebook/dp/B0037NX018/
エビデンスベースでストレスについて様々な面から書かれている。著者は研究者なので科学的思考でエビデンスを扱えていて内容の信頼性が高い(科学的思考でエビデンスを扱えないとエビデンスベースでも誤った主張をいくらでも行うことが出来る)。文章も機知に富んでいて面白い。Lyle McDonald と Greg Nuckols も推薦。
邦訳(「なぜシマウマは胃潰瘍にならないか」)は絶版かな。探してみたけど売っていない。
★ストレスへの身体の反応
生物のストレス反応は、短期的で肉体的なストレスに適応している。例えば、捕食者からダッシュで逃げる時は、身体に強いストレスがかかっている。
ストレス反応により身体は、栄養素の取り込みや身体組織の構築など今やる必要のないコストのかかる活動は抑制して、酸素を取り込み貯蔵してあるエネルギーを動員しそれを筋肉に送り込んで走って逃げることに集中する。捕食側ならエネルギーを動員して追いかける。同種間での資源(食べ物や繁殖相手など)を巡っての闘争も同様。ストレス反応は生物の生存に必要不可欠なもの。
激しい運動をするとアドレナリンやノルアドレナリンや成長ホルモンやコルチゾールの血中レベルが一時的に急上昇するのも、この不必要な活動の抑制とエネルギー動員が目的。貯蔵されているグリコーゲンや体脂肪が分解され、身体活動のエネルギー源として使われる。
捕食者から逃れ、食事をして休んでいる時はストレス反応が消えて、消化吸収や身体組織の構築が行われる。
精神的なストレスでも、基本的には同じストレス反応システムが活性化される。アドレナリンやノルアドレナリンやグルココルチコイド(コルチゾールなど)の血中レベルが上がり、心拍増加や血圧上昇などが起きる。精神的なストレスを感じると心臓がバクバクするのはこのため。
身体は短期間のストレス反応に適応している。現代の先進国では捕食活動や逃走や闘争などの必要性は滅多になく、また人間は脳みそが非常に発達しているため、現代社会では精神的なストレスを感じることが多くなっている。肉体的なストレスは通常は一時的なものだけど、精神的なストレスは容易に長期間続くことができる。精神的なストレスにより長期間このストレス反応システムを活性化すると、身体には色々と不具合が出てくる。具体的には胃潰瘍や心血管疾患など色々な病気になりやすくなったり、性欲が低下したり、記憶力に悪影響が出たり、子供だったら成長が阻害されたりする。
★ボディメイクへの適用
強いストレスがかかった状態が続くと、維持・増強に高いコストがかかる筋肉は減りやすくなり、食べ過ぎるとメタボにもなりやすい。また上述したような様々な悪影響があるので生活の質も低下する。
歳を取ると一般的には仕事や家庭での責任が増え、精神的なストレスも大きくなってくる。一方で加齢とともにストレスへの耐性が低下していく。ボディメイクに限らず、歳を取るほどストレス管理の重要性が高くなる。
★ストレスの管理
以下に挙げたストレス管理方法を、まずはいくつか試してみる。できれば毎日少しずつ続けると良い。
・環境を整える
1) ストレスのはけ口を持つこと。
趣味や運動などを行いストレスを解放する。はけ口を周囲の人間に向ける、つまりイライラしたら人にあたるのはストレス低減に効果的で、類人猿でも序列が下の相手をいじめて憂さ晴らしをするのが観察されるが、理性ある人間としては避けたい行為。
2) コントロールできる範囲を少しずつ広げること
状況をコントロールできないほどストレスは増大しやすい。
3) 予測可能性
ストレス要因となる出来事は予測可能な方が、心構えが出来てストレス低減の傾向がある。しかし、毎度のこと(例:通勤電車は混んでます)や非常に稀なこと(例:小さな隕石があなたの車を直撃します)が知らされても、ストレス低減効果はほとんどない。前者は毎度のことで避けられないし、後者はもともと普段から気にしてストレスを感じているわけではないので、予測可能になってもストレスは低下しない。あとストレス要因発生の直前に知っても心構えができず、ストレス低減にはならない。逆にずっと先のことがわかってもストレス低減にはならない。またあまりに悪い出来事(例:明日あなたは脚を切断されます)は、事前に知らされてもストレス低減にならない。
4) コミュニティへの参加や周囲のサポート
社会的なつながりを持つとストレスは低減しやすい。ただし親しみを感じる相手とつながること。合わない相手や見知らぬ他人の中に放り込まれてもストレスが増大するだけになる。それと困ってる人に必要とされ、サポートをする側になるのもストレスを低減させる。
5) 運動
継続的で自発的で適度な運動はストレス低減効果がある。特に軽めの有酸素運動が良い。嫌々やってもストレス低減にはならないので、自分が楽しく出来る運動を選ぶのが良い。
6) 睡眠
規則正しい生活リズムで良質の睡眠を取る。
7) 瞑想
瞑想中は血圧低下などの良い効果が見られるが、それが日々の生活で継続するのかは不明。実験デザインが良くない研究が多いのではっきりとはわからない。自分に合っていると感じるなら続けると良い。
8) 自主性
小さなことで良いので、能動的に行動し責任を持って自分で決定する機会を増やすと良い。
・自分の考え方
1) 物事の良い面を見ること
ポジティブに捉える。物事は今後良くなっていくと考える。ただし結果が悪くなることも心の隅で想定しておくこと。ひたすら楽観しているとその間はストレスは軽いけど、実際に悪い結果が出たら大きなストレスを感じてしまう。
2) その状況が世界の全てだと思わないこと
世の中には色々な選択肢がある。他の道を選ぶ可能性を塗りつぶしていくと、追い詰められてしまう。
3) コントロール可能だと思うこと
受け身にならず発生した問題は自分でコントロールでき、解決できると思うとストレスを低減しやすい。ただし致命的な病気や交通事故など非常に悪い出来事については、コントロール可能だと思わない方が良い。自分がああすれば防げたのに・・・もっと頑張れば良かった・・・とさらにストレスを感じてしまう。
4) ストレス要因を変えるか、自分の受け止め方を変えるか
ロジカルなアプローチで結果を良く出来ることは、変えようとした方が良い。変えようもない大きなこと、すでに起こってしまった悪いことは、自分の受け止め方を変えるしかない。そして状況が変更可能なものかどうか見分ける。変えられない大きすぎるものに挑み続けると潰れてしまう。また良い出来事は自分の手柄、悪い出来事は何か外部要因のせいで一時的なものだと考えるのもストレス低減になる(でもこれをやると成長できないような・・・どこかの政治家がこんな態度だけど)。
2/05/2017
デッドリフトのやり方
ネタ元
↓
How to Deadlift: The Definitive Guide
http://www.strongerbyscience.com/how-to-deadlift/
Deconstructing the Deadlift
https://www.t-nation.com/training/deconstructing-the-deadlift
当記事でのデッドリフトは、コンベンショナルデッドリフトのこと。スモウについては、こちらの記事が参考になります。
★股関節の使い方の学習とデッドリフト実施までのステップ
動かすのは股関節。腰椎は動かさない。身体動作の訓練をしていない人は、床から物を持ち上げようとすると、膝関節と腰椎と腕を使って持ち上げるケースが多い。これをやると腰を痛めやすい。
・股関節の使い方の学習
1) 壁を背にして10cm程度離れて立つ。足幅は腰幅から肩幅くらい。背中を伸ばしたまま、膝をわずかに曲げ、尻を後ろに出す。臀筋に負荷を感じながら行う。重心は踵寄りの方がやりやすい。壁にタッチしたら元の直立姿勢に戻る。数cm前方に移動してまた尻を後ろに出して壁タッチ。また数センチ前に移動して・・・これを距離の問題でできなくなるまで繰り返す。
2) 慣れたら軽いダンベルなどを持って同じ尻壁タッチを繰り返す。
3) ダンベルを床に縦に置いて、両手でダンベルの片側を持ち股関節を使ってダンベルを床から持ち上げる。
4) ダンベルに慣れたら、バーベルでルーマニアンデッドリフト(RDL)を行う。
動画:RDL
5) RDLで60kgを10レップ程度行うのが余裕になって、股関節の可動域も十分なら、20kgプレートをバーにつけて床からデッドリフトを行う。
★背中の姿勢の作り方
・肩甲骨の位置
肩甲骨は下げて(下制)、前傾させない。内転外転については、特に内側に寄せたりはせずニュートラルな位置。肩を上げ下げして肩甲骨が下にカポッとはまる位置を確認する。胸を上げると、肩甲骨は自然に下制され、前傾しなくなる。胸を張るのではなくて、胸を上げる。
・背中の固め方
- 肩甲骨をカポッとはめてその位置をキープ。背骨はニュートラルのS字をキープ。
- 広背筋に力を入れて、腕を胴体にひきつける(肩を伸展する)。臀筋にも力をいれる。広背筋と臀筋に力を入れるのはとても重要。
- 脊柱起立筋群は負荷がかかれば受動的に力がはいるので特に意識しなくて良い。意識して収縮させると腰が反りすぎる恐れがある。
- 広背筋に力を入れる感覚は、腕を伸ばしてのプルダウン、もしくは軽いダンベルを持って、バタフライで腕を水面から抜く時みたいな動きをする。
動画:Elastic lat set deadlift pattern
★メカニクス
デッドリフトを行うのに必要な4箇所の力
・バーを握る力
・背中の姿勢を維持する力
・股関節を伸展する力
・膝関節を伸展する力
股関節の伸展については、
股関節の伸展に必要なトルク=「バーベルと上半身の体重の合成重心と股関節との水平距離」×「バーベルと上半身の重量の合計」
合成重心はだいたい足の真上。バーベルが重くなるにつれて、バーベルの重心≒合成重心に近づいていく。尻を必要以上に後ろに引くか、バーベルを前に出すかすると、合成重心と股関節との水平距離が増して、股関節の伸展に必要なトルクが増える。バーベルと股関節をなるべく近づけると、股関節の筋肉が発揮する力が同じでも、より重い重量を持ち上げることができる。従って、挙上の際にはバーを脛と腿に沿って持ち上げつつ、股関節をバーベルに近づけていく。
膝関節の伸展については、
膝関節の伸展に必要なトルク=「バーベルと膝から上の体重の合成重心と膝関節との水平距離」×「バーベルと膝から上の重量の合計」
合成重心はだいたい足の真上なので、脛が地面に対して垂直に近い場合、水平距離はゼロに近くなり、膝関節の伸展に必要なトルクはとても小さくなる。大腿四頭筋は主に、股関節の伸展に伴うハムストリングス(二関節筋)の収縮による膝関節の屈曲を相殺するために力を発揮する。膝関節を伸展する力が弱くてバーベルが持ち上がらないケースは稀で、スクワットやレッグプレスなどを行っていれば、デッドリフトに必要な膝関節の伸展力は備わっている。
従ってデッドリフトでバーベルが持ち上がらない時にボトルネックになる部分は、一般的には背中の姿勢を維持する強さと股関節を伸展する強さ。競技として行うのでなければ、バーが把持できなければストラップかパワーグリップをつけて握れば良い。
★アプローチ(バーベルの前に立ちバーを握る)
・足幅
目安になるのは、垂直跳びをしてみて、もっともジャンプしやすい足幅。普通は腰幅と同じくらい。そこから少し開いたり閉じたりして、しっくりくる足幅を見つける
・つま先の角度
やりやすい角度で行う。経験則では、つま先が開き気味だと挙上開始時に力が入りやすいようだ。つま先が平行だとロックアウトの時に力が入りやすいようだ。
・直立時のバーと脛の距離
2,3センチ程度。
・バーを握る手幅
手幅は、脚の動きを邪魔しない程度に狭く握る。狭すぎると、脚と腕がぶつかってしまう。逆に広く握ると肩とバーまでの距離が小さくなる(実質的に腕が短くなる)ので、背中の傾きが増し、背中の姿勢キープに必要な力が大きくなる。また、股関節の伸筋がよりストレッチされた状態になり力を発揮しにくくなる。
・バーの握り方
両手とも順手握りは、把持力がボトルネックになる場合はストラップを着用。ストラップを使わない場合はオルタネイト(ミックス)グリップ。発達の左右差が気になる場合は、セットごとに順手逆手を交代して行う。個人的にはオルタネイトグリップは胸椎の捻じれが起こる気がするので、交互に持ち替えてやった方が良いと思う。ウェイトルームでは大した影響はなくても、日常生活やスポーツで悪影響が出るかもしれない。あと逆手側の腕の上腕二頭筋が断裂するケースが稀にあるので、高重量を腕で引かないよう注意する。
・腹圧
下半身が生み出した力は、胴体を固くしないと上半身に伝わらない。腹圧を高くすると胴体が固くなる。一般的にはバーベルを握ってから息を吸い込んで腹圧を高めるが、バーを握ってからだと深く息を吸いこみにくい人は、立っている時に吸いこんでからバーを握る。腹圧と体幹については以下の記事を参考に。
関連記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方
・息継ぎ
息継ぎは、床にバーベルを置いている時か直立している時に行う。上体が傾いて背骨にせん断力がかかっている時に息継ぎをすると危険。
★セットアップ
いくつかやり方がある。自分がしっくりくるやり方をするのが良い。以下はポピュラーな順。
1) バーの前に立つ。ハムストリングスにテンションを感じながら尻を後ろに押し出し、膝をあまり曲げず背中を曲げてバーを握る。息を深く吸い込み腹圧をかける。ハムストリングスのテンションを維持しながら、尻を後方と下方向に動かし背中を伸ばす。引き絞った弓の弦のようにハムストリングスにテンションをかけるイメージで行う(挙上開始で力を解き放つ)。胸を上げ、視線を固定する。このセットアップ方法は、腕と脚が長く腰高フォームで股関節メインでデッドリフトを行う人に向いている。
動画:Tight Hamstrings, Pull Yourself Down to Bar
2) バーの前に立つ。まず背中を伸ばし胸を上げる。股関節を曲げ、バーを掴めるまで膝を曲げていく。息を深く吸い込み腹圧を高める。背中を伸ばしたまま、尻を下ろしていく。バネを縮めるように脚に力を溜めるイメージで行う(挙上開始で力を解き放つ)。視線を固定する。このセットアップ方法は、腕と脚が短くて、大腿四頭筋の関与が大きめの人に向いている。
動画:Tight back, then pull hips down
3) バーの前に立つ。背中を伸ばし胸を上げ、股関節を曲げ、肩をバーよりも大きく前に出してつま先の方に重心を乗せながら、バーを掴めるまで膝を曲げていく。息を深く吸い込み腹圧をかける。身体を揺らして尻を後ろに動かし、重心が足の中心にくるようにする。視線を固定する。
動画:Set up over the bar, rock hips into position
4) バーを握り背中を伸ばしたまま体重を後ろにかけてスクワットのようにしゃがむ。息を深く吸い込み腹圧をかける。脚で床を押して挙上開始。ウェイトリフティングの経験がある人向け。
動画:Clean pull style
5) おもむろにバーに向かって歩いていき、深く息を吸い込み、バーにむかってかがみ、握ってすぐ挙げる。フォームが完璧に身についている人向け。
動画:John Haack: 629x2x2 Deadlift at 187lbs bodyweight
6) バーよりもかなり後ろに立ち、バーを握り、息を深く吸い込み、バーベルを自分の脛に向けて転がしながら背中を伸ばして尻を下げ、ポジションまで来たらすぐ挙げる。
動画:Rolling the bar
★セットアップ時の脛の角度
垂直かやや膝を前に出して角度をつけるか。バーベルが床から離れれば、どのみち脛はほぼ垂直になるので、好みでどちらにしても良い。一般的には、股関節メインの人は脛が垂直に近い方がやりやすい。腕と脚が短くて膝関節の関与が大きい人は膝をやや前に出した方がやりやすいようだ。
★バランス
挙上中は前後のバランスが崩れないように注意する。足裏の重心位置は、バーベルが軽いうちは足の真ん中のミッドフットがやりやすくて、バーベルが自分の体重より重たくなるくらいからは、踵寄り重心(下の画像)がやりやすいと思います。重心とバーの軌道については、関連記事に詳しく書いてあります。
・うまくバランスが取れない場合のドリル
数cmだけバーベルを持ち上げて、その状態で止めて、バランスを確認する。これで上手くいくようなら、デッドリフトのトレーニングの前にこのドリルを行い、バランスを確認してからデッドリフトのトレーニングを行う。
動画:One inch pull to find balance
・上手くいかない場合のさらなる対策
1. 1.25gプレートの上に立ってデッドリフトを行う。重心がずれると足の裏の圧力変化ですぐにわかる。
2. 床から数センチ挙げたところで一旦止めてバランスを確認、次に膝下まで挙げたところでまた止めてバランスを確認。
動画:Double-paused deadlift
この途中で止めてバランスを確認するデッドリフトは、ウォームアップとして数レップ数セット行うのも良い。慣れたらゆっくりと上げ下げしながらバランスを確認する。慣れるに従い、バランスを維持しながら挙上スピードを上げていく。
★挙上動作
バーベルを床から持ち上げる前に、全力で身体を固める。バーを強く握り、広背筋と臀筋に力を入れ、腹圧を高めて、脚に力をこめる。緩みがあるとバーベルの重さで崩れる。
腕は下にブランと垂らすのではなくて、広背筋を使って胴体に引きつける。個人的にはショベルカーのイメージ 背中・腕・手を一体化させて、バーを広背筋でガシッと掴む。
セットアップが完了していざ挙上となったら、バーを腕力で持ち上げてやろうと考えないこと。腕で持ち上げようとするとフォームが崩れてしまう。
デッドリフトの挙上は、簡単に言えば、背中の姿勢を保ったまま、膝関節と股関節を伸ばして直立姿勢になること。
1) 挙上開始は、腹圧をこめて脚で床を思いっきり押し下げ、同時に胸を上げるイメージ。胸が上がらないと、尻だけ上がってしまう。尻だけ上がるのは失敗。
2) バーがだいたい膝の高さまで上がったら、肩を後ろに、尻を前に。広背筋は収縮したままバーと股関節を近づけていく。
もしくは腕・胴体・大腿で囲まれた三角形を潰すイメージ。
または胴体の中央を軸に回転するイメージ。実際は股関節を軸に胴体が回転しているけど、おそらくそのイメージで行うと上半身が後ろに残って股関節をロックアウトしにくくなると思う。
肩を後ろにする感覚がよくわからない場合は、グッドモーニングを行う。
動画:How To Perform Good Mornings - Exercise Tutorial
尻を前に出す感覚を掴むのには、ヒップスラストが良い。
参考記事:ヒップスラストのやり方
★ロックアウト
臀筋をしっかり使って股関節をロックアウトする。臀筋が使えてないと、代わりに腰とハムストリングスに過度の負担がかかり、怪我をしやすくなる。
(良い例) 臀筋を使って股関節をロックアウト。
(悪い例1) 重心が前に行き過ぎ、ハムストリングスと腰で持ち上げていて、臀筋が使えていない。
(悪い例2) 大腿四頭筋と腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。
★挙上速度
フォームを身につけるまではゆっくりと。良いフォームが身について重量を伸ばすフェーズになったら、毎レップなるべく速く挙上するのを意識する。そうした方が重量が伸びやすい。
★バーを下ろす
背中の姿勢を保ったまま、バーをコントロールしながら下ろす。エキセントリック動作をしっかりやると筋肥大効果が高まるし、ドシンと下ろして周囲に迷惑をかけることもない。普通は3秒くらいかけて下ろす。10秒とかだと長すぎて、トータルのトレーニングボリュームが低下して筋肥大面ではマイナスかもしれない。
★ウィークポイント
通常は、股関節の伸展が弱いか、背中の姿勢保持が弱いか。
弱点が股関節なのか背中なのか判別するには、
1) 膝下までバーが上がってそこでギブアップ
両方とも弱い。股関節も背中も鍛える。
2) バーが床からほとんど動かない
自分が扱える重量よりも遥かに大きな重量だったら、動かないのは当たり前。扱える重量よりも少し重いだけなのに全く動かなくなる場合は、以下の要領で切り分け。
パワーラックなどを使って高重量のエキセントリックのみやってみる。1RMの100%超えの重量を背中の姿勢を維持したままエキセントリックで下ろせるなら、股関節の伸展が弱い。通常はエキセントリックの方がコンセントリックよりも高重量を扱える。1RMの100%未満の重量で下ろせなくなるなら背中が弱い。
股関節が弱いならRDLやリバースハイパーやヒップスラストで股関節の伸展の筋肉を鍛える。背中は広背筋や脊柱起立筋群や肩甲骨の制御を行う筋肉を鍛える。ローイングやスターナム懸垂やラックプルやバックエクステンション系など。
3) ロックアウト
股関節は伸びてるけど猫背気味で背中が伸びない→高い位置からのラックプルなどで脊柱起立筋群の上の方(胸椎伸ばすあたり)を鍛える
背中は伸びてるけど股関節が伸びない→ヒップスラストなどで股関節の伸展を鍛える
★デッドリフトのトレーニングプログラム
デッドリフトの向上に効果的なトレーニングプログラムは、スクワットやベンチプレスに比べて個人差がかなり大きい。
大まかな傾向としては、
1. スクワットのトレーニングボリュームの1/2-2/3程度のボリュームでまずは始めてみるのが良い。
2. 股関節の伸展のトレーニングは高い頻度で行い、実際にデッドリフトを行う頻度は低めにすると向上しやすい。 Greg Nuckolsの経験によると、デッドリフトの実施頻度は、50%の人が週に一回、25%の人が週に二回、15%の人が週に一回以下(例えば3週間に二回など)、10%の人が週に三回以上のペースで行い、それに加えて股関節の伸展のトレーニング(RDLなど)を少なくとも週に三回行うと、速く向上しやすい。デッドリフトによる全身疲労の蓄積に妨げられず、動作に必要な筋肉を鍛えられるため。
3. 腕が長くてデッドリフト向きの体型の人やスモウデッドリフトを行う人は、デッドリフトをより高頻度・高ボリュームでトレーニングできる。
4. 背中が弱くて姿勢の維持がボトルネックになる人は、高ボリュームや高強度のデッドリフトのトレーニングを行うとぐったりと疲れやすい。 バックエクステンションやローイングなどで背中を鍛えると、デッドリフトのトレーニングボリュームを増やすことができる。
5. 挙上テクニックが洗練されるにつれ、より多くのトレーニングボリュームを扱えるようになる。
6. スクワットでは尻や脚が多少疲れていても、充実したトレーニングを実施することができるが、デッドリフトでは尻や背中が疲れている場合はその日はパスし、1日か2日先延ばしにしてトレーニングを行った方が良い。
★フォームの個人差
胴体、腕、脛、大腿の長さによって、適切な背中の傾きや尻の高さは異なってくる。それぞれの骨格に合った効率的で安全なフォームで行うのが重要。
★背骨の曲がり
トップクラスのリフターのデッドリフトだと背骨(主に胸椎)が曲がっていることがある。これは股関節をバーに近づけることでより重い重量を挙げられるようにするテクニック。趣味でトレーニングを行う人は真似しない方が良い。趣味のトレーニングなら背骨は常にニュートラルの姿勢を保つこと。
★股関節の可動域、背骨の姿勢
股関節の可動域が足りないと、バーを床に下ろす時、また床のバーを掴む時に、背中を丸めてバーに手を届かそうとする。股関節の可動域はストレッチやウォームアップで確保する必要がある。
関連記事:股関節のストレッチ・ウォームアップ
股関節を深く曲げようとすると背中のニュートラルポジションが保ちにくい場合はラックやブロックなどを使い、床よりも高い位置にバーベルを置いてデッドリフトを行う。背中の姿勢を保ったまま股関節を動かせる範囲で動作を行う。股関節のストレッチなどを続けつつ、慣れてきたら徐々にバーベルの位置を下げていく。
動画:Block pull
股関節の可動域を広げても、股関節の骨の噛み合わせの問題で可動域が床からのデッドリフトに足りない人もいる。骨の問題は生まれつきなのでどうしようもない。その場合はラックプルやRDLを行って鍛えるのが良い。バーの高さは単にプレートの半径で決まってるだけで、特に意味がある数値になっているわけではない。
また猫背で胸椎が過度に屈曲しているケースもある。フォームローラーなどで姿勢を矯正して、良い背中の姿勢を作れるようにする。
姿勢の矯正について詳しくは以下を参考に。
★TIPS
・レップ間の仕切りの有無
2レップ目以降は、床にバーベルを置いて一旦仕切り直すべきか、床にバーベルがタッチしたらすぐに次のレップにいくべきか。
高重量の1レップ目のフォームが安定しない人は、レップごとに仕切り直してバーベルが止まった状態から良いフォームで引けるように練習する。1レップ目も2レップ目も良いフォームで引ける人は、好みでタッチアンドゴー。
レップごとに仕切り直すと疲れが溜まるにつれて体幹が緩んでしまう人は、仕切り直さずタッチアンドゴーにした方が姿勢を維持できて良いかもしれない。
いずれにせよ、良いフォームで質の高いトレーニングを行える方法を選ぶのが良いだろう。
・視線の向き
頭を上げて前を見るか、下を見るか。首を反らしすぎるとわずかだが怪我のリスクが上がるかもしれない。安全に動く範囲で好みの方法で。
・ベルト
ベルトを着用した方がしっくりして力が入るならベルトを着用。ベルト無しの方がやりやすいならベルトなし。好きなほうで。
・脛の保護
脛にバーが当たって痛い場合は、デッドリフト用の脛当てを使うのがベスト。米Amazonで「shin guards deadlift」で検索して、日本に発送可能なリーズナブルな価格の商品を買うのがおすすめです(Ships to Japan と書かれているのが日本に発送可能なもの。送料は10ドルくらい)。
関連記事:デッドリフト時の脛の保護(脛当て)
・ストラップ・パワーグリップ
筋トレ目的なら積極的に使おう。手のひらの保護になるし、把持力がトレーニングの制約にならない。

Amazonの販売ページ:図解デッドリフト
1/20/2017
トレーニング効果の個人差
↓
Individual Differences: The Most Important Consideration for Your Fitness Results that Science Doesn’t Tell You
https://bretcontreras.com/individual-differences-important-consideration-fitness-results-science-doesnt-tell/
James Krieger と Bret Contreras が書いた記事。
個人差の話。
トレーニング効果やダイエット効果や健康効果などを扱う研究は大量にあるが、それらの科学研究が示すデータはほとんどが平均値であって、ある特定の個人への効果を保証するものではない。そしてこれらの効果には大きな個人差があることが示されている。
個人差が出る原因としては、遺伝子による差もあるし、年齢や性別による差もあるし、その時の環境(栄養状態やストレス状況)の影響もある。
★有酸素運動
有酸素運動の継続による有酸素運動能力の向上やインスリン感受性の改善にも個人差があるが、ここでは体脂肪減少を目的とした場合の有酸素運動の効果の個人差を見ていく。
・食欲への影響
有酸素運動を50分間行い、その後のカロリー摂取への影響を調べた研究がある。低強度の有酸素運動をするとお腹が減ってそのあとたくさん食べることで、運動で消費したカロリーは埋め合わされてしまうのか。それともそれほど食べずに、トータルではカロリー不足の状態になるのか。
下のグラフがその結果で、破線が有酸素運動で消費した分のカロリー。この破線より上のカロリー摂取の人は運動で消費した以上に食べたことになる。破線より下の人は運動で消費したカロリーほど食べなかったことになる。0.00の線より下の人は運動後に普段よりも食べなかったことになる。被験者は全員女性。
有酸素運動後に食欲が増して、もしくは運動でカロリー消費したからたくさん食べでもいいだろうと考えて、運動した以上に食べてしまう人は、ダイエット目的では無理に有酸素運動を行わない方が良いだろう。研究では、食べ過ぎてしまう人は、高脂質で甘い食べ物を好み、そういった食べ物を食べると快楽を感じる傾向があることが示されている。ケーキやソフトクリームが大好きな人は、有酸素運動後の暴食に注意した方が良いだろう。有酸素運動で食欲が増す場合は、インターバルトレーニングなど他のタイプの運動でカロリー消費をするのも選択肢になる。有酸素運動をしても食べ過ぎず、ダイエットが順調に行く人は、そのまま怪我をしない範囲で有酸素運動を続けるのが良いだろう。
(記事では最大心拍数の50%の低強度有酸素運動と書かれているけど、リンク先の論文のアブストラクトでは最大心拍数の70%の高強度運動と書かれている。論文の本文を読めないので記事の記述が間違いなのか、リンク貼り間違いなのか確認ができない。ただ運動後の食欲への反応の個人差があるのは事実なので、運動後の自分の食欲反応に注意するのが良いだろう)
・NEATへの影響
摂取カロリーの増減によるNEATの変動には大きな個人差があって、例えばカロリーオーバーの食事を続けてもその大部分をNEATの増加(無意識に無駄に動くようになる)で相殺してあまり太らない浪費型の体質の人もいれば、食べすぎた分はしっかり体脂肪として蓄える倹約型の体質の人もいる。
運動によるNEATの変動にも個人差がある。
運動をすると身体活動によるトータルのカロリー消費が増える人もいるけど、逆に自発的な動き(NEAT)が少なくなり身体活動によるトータルのカロリー消費が減る人がいる。以下のグラフは閉経後の女性が運動(早足で歩く)を生活に取り入れた際の、身体活動による消費カロリー(運動+NEAT)を調べたもの。
運動後に疲れて座りっぱなしになったり、寝っ転がったりし続ける人は、無理にその運動しなくてもいいかもしれない。ただ体力の問題なのか遺伝子レベル(倹約型遺伝子か浪費型遺伝子か)の問題なのかわからない。体力の問題なら、続けていれば体力がついて運動後もアクティブな生活を送れる可能性がある。運動の種類を変えてみるという選択肢もある。
・睡眠への影響
一般的に運動は睡眠に良い影響を与えるが、強度の高い運動をすると睡眠に悪影響が出る人もいる。運動の強度が高いほど、また眠りにつく直前に運動するほど悪影響が出やすい。
睡眠の質と量を確保できないと健康に様々な悪影響が出るし、筋肥大もしにくい。睡眠に悪影響が出ている場合は運動内容を見直したほうが良い。寝る前にストレッチやマッサージや瞑想などを行って神経を落ち着かせるのも良いだろう。
・レジスタンストレーニングへの影響
レジスタンストレーニングのパフォーマンスに悪影響が出る場合は、有酸素運動の強度を落とすのが良い(レジスタンストレーニングの方が優先度が高い場合)。
・自制心への影響
メンタルに負荷がかかると、自制心は削られていく。自制心のキャパシティは有限。自制心が削られると、暴飲暴食したりする人もいる。運動を楽しく行えて、普段の生活でも快活に過ごせるなら良いが、運動が辛くてメンタルに負荷がかかって自制心が削られる人は、無理にその運動をしない方が良いだろう。運動の種類を変えたり、運動する時間や曜日を変えるのも選択肢。
★レジスタンストレーニング
同じトレーニング内容を続けても、筋肥大とストレングスの伸びには大きな個人差がある。
・筋肥大の個人差
トレーニング歴無しの若い男性が、4セット10レップのレッグエクステンションを週3回を9週間続けた研究。大腿四頭筋の生理学的断面積変化の被験者ごとの結果。なんと減少する人もいた。右端のバーが平均。点線はたぶん標準偏差。
・ストレングスの個人差
トレーニング歴無しの中高年男女が、ストレングストレーニングを週2回、21週間続けた研究。レッグエクステンションのアイソメトリックで発揮できる力の伸びの被験者ごとの結果。
★関節の可動域
下半身のエクササイズ種目は、健全な股関節の可動域を必要とするものが多いが、股関節の可動域には個人差がある。可動域限界までいってさらに曲げようとすると、骨盤が後継し腰が丸まり怪我をしやすい(いわゆるbutt wink)。肩関節も可動域に大きな個人差がある。
可動域が足りないのに正しいとされるフォームで完遂しようとすると、怪我をするリスクが高くなる。自分が無理なく関節を動かせる範囲でトレーニングを行う必要がある。
★筋肉のダメージ
筋肉のダメージ(筋肉痛)の回復には個人差がある。腱や靭帯の怪我のしやすさにも個人差がある。
筋肉痛が長期間残る場合は、トレーニング日あたりのボリュームを減らしたり、追い込み度を下げたり、筋肉が伸ばされた状態で強い負荷がかかる種目を避けたりする。
★まとめ
今後も色々と個人差の研究が出てくるだろう。
平均を示すエビデンスは叩き台としては使えるけど、結局自分に何が合っているかは試行錯誤して反応を見ていかないといけない。また初心者→中級者→上級者と向上していくに従い、その時の自分に合うトレーニングプログラムは変わってくる。
ちなみに遺伝子検査はあまり意味がないと思う。運動能力に影響を与える遺伝子は、それぞれの能力に対して数十か数百か、もしくはそれ以上存在するだろう。そして現時点ではごく一部しかわかっていない。
関連記事:遺伝的な要因による筋トレ効果の違い
1/11/2017
股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み
トレーニングをしていると股関節の前側が痛いときがある、またその痛みを予防したい人向けの記事。慢性的な痛みが続いていたり、歩くだけで痛いといった場合は病院に行った方が良い。
股関節の前側の痛みの原因には、いくつかの候補がある。トレーニングを行う人によく見られる痛みの原因とその対処法を書いていく。
1) 股関節の屈筋の問題(腸腰筋、大腿直筋)
日々の生活で座っている時間が長くて股関節の屈筋が固く縮こまっていると、それ自体で屈筋が痛む場合があるし、股関節のボールとソケットが動くスペースが狭まることで衝突が起き痛みが起こる場合もある。また股関節の屈筋が固く縮こまっていると腰痛も起こりやすい。股関節の屈筋が縮こまっていると骨盤が前傾して腰椎が過度に伸展しやすく、大腰筋が縮こまっていると腰椎が直接引っ張られて過度に伸展しやすい。左右差があると腰椎に捻じれも起こる。
それとウェイトトレーニングでは少ないと思うけど、股関節の屈筋が繰り返し伸ばされて炎症を起こしたり、急激に伸ばされて怪我をするケースもある。
股関節の屈筋が固いかどうかはトーマステストで調べられる。
動画:Thomas Flexor Stretch | hip flexor self test
固い場合はストレッチを行う。股関節の屈筋をストレッチする時は、同時に臀筋を強く収縮させると良い。
2) 骨の問題
大腿骨頭と、それが嵌まる骨盤のソケット部分のかみ合わせがあまり良くないと、股関節で衝突が起きる。スクワットで深くしゃがもうとすると股関節の前側が痛みそれ以上しゃがめない場合はこの可能性がある。深くしゃがむスクワットを止め、他の種目に切り替えて、痛みがなくなるか観察する。
参考サイト:股関節インピンジメント
3) 股関節の伸展をする時に臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使っている
臀筋をあまり使わずハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行うと、大腿骨が前方に押し出され、股関節の前側で摩擦が起きたりする。ハムストリングスだけでなく臀筋もしっかり使って股関節の伸展を行うと、大腿骨頭がソケットにうまく嵌ってスムーズに動く。
この画像の上図が臀筋を使って股関節の伸展を行う様子。下図がハムストリングスを主に使って股関節の伸展を行う様子で、大腿骨頭が身体の前方に押し出されている。
このケースでは、痛みはあるけどスクワットで深くしゃがめる。また、ハムストリングスや内転筋が固く張っていたり、腰が痛む(腰が過度に反ることでの痛み)といった症状を伴うことがある。
スクワットとデッドリフトで臀筋をしっかり使っておらず股関節のロックアウトが出来ていない例を出すと、
スクワットはこんな感じ
動画:Bad Squat Finish: Incomplete Hip Extension
デッドリフトはこんな感じ。ちゃんと見てないけどたぶん言ってることは正しい。
動画:Deadlifting 315 lbs. with BAD FORM To Prove A Point
デッドリフトの動画から画像キャプチャして例を出すと、
1.ハムストリングスと腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。
2.大腿四頭筋と腰で持ち上げて、臀筋が使えていない。
3.臀筋を使って股関節をロックアウト(良い例)。
上に挙げたような悪いフォームでトレーニングを行っている人は、股関節の前側やハムストリングスや腰を痛めるリスクが高いので注意した方が良い。臀筋を使って股関節の伸展を行うやり方を覚えるには、ヒップスラストをやるのが良いと思う。臀筋も集中的に鍛えられる。
参考記事:ヒップスラストのやり方
下の動画の1:30あたりから正しい股関節の使い方の実演がある。ヒップスラストもデッドリフトもスクワットも、ロックアウトの時の股関節の使い方は同じ。
動画:Proper Hip Thrust Form
臀筋を鍛えるには、アイソメトリックで臀筋を強く収縮させるのも良い。
動画:Half Kneeling Glute Posterior Tilt Hard Brace
4) 体幹が弱い
レッグレイズやデッドバグなど脚を上げ下げして腹筋を鍛える運動をする際、特に脚を下ろす時に股関節の前側が痛くなる場合。このケースでは体幹の筋肉が弱くて、代償として大腿直筋や縫工筋や腸腰筋といった股関節の屈筋が過度に働いている。
対処法は、腹筋下部と腹斜筋に強く力を入れる。ドローインしながらやるとやりやすい。これでも良くならない場合は、膝を曲げながら脚の上げ下げを行うと良い。
★まとめ
ウェイトトレーニングを行っている人に多いケースは、1)と3)の組み合わせだろう。対処法は、股関節の屈筋のストレッチと臀筋の強化を行い、股関節の正しい使い方を覚える。デッドバグやプランクで腹筋下部の強化も行った方が良い(参考記事:骨盤の前傾の矯正)。3)だけなら股関節の屈筋のストレッチは行わないほうが良いだろう。
参考サイト:
Troubleshooting Anterior Hip Pain
http://deansomerset.com/troubleshooting-anterior-hip-pain/
Hip Pain In Athletes: Understanding Femoral Anterior Glide Syndrome
http://ericcressey.com/newsletter150html
How Should I Treat My Sore, Tight Hip Flexors?
https://www.girlsgonestrong.com/blog/injury-prevention/ask-ann-how-should-i-treat-my-sore-and-tight-hip-flexor/
Squats and Hip Dysfunction: 2 Common Problems and How to Fix Them
https://breakingmuscle.com/learn/squats-and-hip-dysfunction-2-common-problems-and-how-to-fix-them
1/03/2017
胸椎の姿勢矯正
★胸椎とは
胸椎は背骨の胸のあたり。下の背骨の画像の青い部分。
胸椎はニュートラル姿勢でもやや曲がっているが、過度に曲がっていたり(猫背)、可動域に問題があると、生活に支障がでる。ウェイトトレーニングの観点からは、ショルダープレスなどの肩のトレーニングが良いフォームで行えず、怪我をしやすくなる。BIG3も良いフォームで行えない。
座っている時間が長い生活をしていると猫背になりやすい。歳をとるほど悪い姿勢による歪みが蓄積されていき、また老化により自然に可動域が狭くなる。
★胸椎の役割
・胸椎の機能的役割は以下の三つ
- 肋骨の接合点
- 肩甲骨の接合点
- 可動性(曲がる・捻る)
・肋骨は肋間筋で相互接続されている。また斜角筋、横隔膜、腹直筋など呼吸に関係する筋肉の影響を受ける。
・呼吸は上半身の運動機能において重要な役割を果たす。
- 肋間筋が縮こまっていて横隔膜が圧迫されていると、背中が丸まって伸ばせなくなる。肩の動きや首の姿勢に問題も出る。
- 肋間筋が縮こまったままだと呼吸において役割を果たせなくなり、横隔膜のみで呼吸を行うようになる。この状態だと呼吸で腹部のみが動く。
- 深く息を吸って吐く際には、機能が正常なら肋骨の上部と下部、腹部が大きく膨らんでもとに戻る。
- 胸椎が伸ばせないと、肩甲骨の動きが制限され、肩の働きに問題がでる。
- 座っている時間が長いと、胸椎が過度に曲がった状態で固定され、また呼吸も正常に行えなくなる。
- 胸椎の可動性が足りないと、背中の曲げ伸ばしが他の部分、例えば腰椎で行われる
★可動性チェック
・胸椎の横方向の曲がり
背骨の一箇所が曲がるのではなくて全体的に均等に曲がるのが良い。年齢にもよるが左右とも45度くらい曲がるのが目安。
動画:Lateral flexion spinal assessment
・胸椎の捻り
動画:3-point T-spine rotations
・胸椎の伸展
動画:T-spine extension
・肩甲骨の可動性
腕を真っすぐ伸ばして行う。上腕二頭筋が耳をこするのをイメージ。
動画:Supine Shoulder Flexion
。胸椎の伸展と捻り
動画:1-arm Overhead squat
これらの動作は矯正エクササイズとしても有効。
★矯正エクササイズ
・呼吸
- 背筋を伸ばして座って最大限に息を吸い込む。
- ゴムチューブを胸に巻いてチューブが伸びるように息を吸い込む。
動画:Banded Breathing
- 腕を頭の上にあげる時に息を大きく吸い込む。
動画:Supine Shoulder Flexion
- 胸椎の伸展と捻り。ランジの姿勢で腕を上げる 動画
動画:Box lunge & rotate
・胸椎の伸展と首の位置の矯正
動画:Sun Dogs
動画:Cable Face Pulls
・捻りの可動性確保
胸椎の捻りはウェイトトレーニング種目ではほとんど使わないけど、スポーツや日常動作(歩行や腕を前に伸ばして物を取る動きなど)ではとても重要。以下の捻りエクササイズでは、腰椎や肩関節を捻るのではなくて、胸椎を捻ることを意識する。
動画:bent over rotations
動画:Side Lying Extension Rotation
・肩後部の強化
水平方向のプル動作。留意点は、
- 胸を前に押しだすイメージで行うと胸椎が伸展されやすく、上背部の筋肉も動員しやすい。
- 顎を引く
動画:chin tuck hanging rows
・色々角度での肩後部の安定性。ベンチにうつ伏せに寝てダンベルを使うのも良いと思う。
動画:Cable wide arm altered Pollof Press
参考サイト:
All Things Thoracic Spine Part 1: Functional Anatomy
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-1-functional-anatomy/
All Things Thoracic Spine Part Two: Assessments and Figuring it All Out
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-two-assessments-and-figuring-it-all-out/
All Things Thoracic Spine Part 3: Corrective Strategies
http://deansomerset.com/all-things-thoracic-spine-part-3-corrective-strategies/
12/24/2016
セット間インターバルの決め方
以前の研究で、8-12レップのトレーニングでは休憩時間が長い方が2セット目以降に十分に回復できるのでトータルのトレーニングボリュームが多くなって、筋肥大効果が高いという結果が出た。最新の研究では、軽い重量(40%1RM)・高レップのいわゆるパンプトレーニングでも、短い休憩時間(30秒)よりも長い休憩時間(2分半)の方がトレーニングボリュームが多くなって筋肥大効果が高い傾向があったという結果が出ている。
セット間休憩を短くすることでアナボリックホルモンがドバドバでて筋肥大に効果的というホルモン仮説は、現在では否定されつつある。
筋肥大に重要なのは、トータルのトレーニングボリューム。セット間のインターバルは、トータルのトレーニングボリュームを稼げるかどうかという観点から決めるのが良い。
参考記事:筋肥大トレの推奨ボリューム
一般的にトレーニングボリュームは、重量×セット数×レップ数で表される。
ボリュームの話も細かく考えると複雑で、限界近くまでやるのと限界にほど遠いところ(例えば10RMの重量で5レップとか)で止めるのとでは、トータルボリュームを同じにしても前者の方が筋肥大効果は大きいだろう。また例えば80%1RMの重量と40%1RMの重量で同じセット数を限界レップまでやった場合は、40%1RMの方がボリュームは稼げるだろうけど、現状のエビデンスからは筋肥大効果は同程度だと思われる。フルレンジとパーシャルだとパーシャルの方がボリュームは増やせるだろうけど、筋肥大効果が高くなるかというとそうではないだろう。とまあ細かいことを考えだしたらきりがないのだけど、大雑把なボリュームの指標としては、重量×セット数×レップ数で良いと思う。軽い重量でレップ数が多い場合は、セット数で管理すると良いと思う。
セット間インターバルに話を戻すと、休憩時間が短すぎると次のセット開始時にあまり回復しておらず、レップ数もしくは重量がガクンと落ちる。つまりトレーニングボリュームが低下する。
どうやってインターバルを決めればよいかというと、次のセット以降にボリュームが大幅に低下しない程度に回復できるだけ休む。2セット目以降にレップ数もしくは重量が少しずつ落ちていくのは仕方がないが、例えば12RMくらいの重量で10レップ前後を3セットやるつもりが、2セット目が6レップとかになるのは落ちすぎだろう。
どの程度休めば回復するかは種目によって違うし、個人の回復力、扱う重量、フォーム、各セットの追い込み度合いによっても異なるだろう。
一般的には、デッドリフトやスクワットなど全身に強い負荷がかかるフリーウェイトのコンパウンド種目は長めのインターバル(3分~5分程度)を取る。重量が増えるほど回復にも時間がかかるだろう。
フォームによっても必要な回復時間は異なるかもしれない。デッドリフトで腰の位置が高いフォームだと体幹に強い負荷がかかるので、そうではないフォームよりも回復に時間がかかるかもしれない。私はこのフォームだけど、デッドリフトでは脚と尻の筋肉と心肺が先に回復して、体幹の回復に時間がかかる。
単関節種目は短めのインターバル(1分~2分程度)で良いだろう。スーパーセット法(拮抗筋同士を交互にトレーニングする)で行うと時間短縮できる。
インターバルを短くすると代謝ストレスが上がりそれだけ筋肥大効果が高くなることが期待されるので、トレーニングのボリュームを減らさない範囲で、なるべく休憩時間を短くするのを目指すのも良いだろう。時間節約にもなる。
12/10/2016
ボディメイクガイド
トレーニングと栄養の項目については、大幅に加筆修正して書籍にまとめました。
身体の使い方については、以下の記事にまとめました。
★はじめに
1. 目標設定
時間・労力と成果の曲線を考える。他の多くの分野と同じように、ボディメイクにおいても収穫逓減の法則が働く。高いレベルを目指すほど、多大な時間・労力が必要になる。メディアなどでムキムキボディを披露している人は、もともと遺伝子に恵まれている上に莫大な時間と労力をつぎこんでいる。100%の成果を目指すのはそれで飯を食っている人、もしくは時間と体力に余裕がある人に限られる。自分がどれだけの時間と労力を使い、何%程度の成果を目指すのかを決める。
土台となる基本的な事柄を優先的してボディメイクを行うのが効率的。100点満点のテストで80点を取るには、マニアックな事柄を覚えるよりも基本的な事柄を覚えたほうが効率が良いのと同じ。ダイエットや筋トレに関してメディアではマニアックな事柄がフォーカスされることが多いけど、もっと基本的な事柄を意識した方が楽に大きなリターンを得られる。
3. ボディメイクプログラムの調整
優先順位と重み付けを意識してトレーニングと栄養管理を行っていく。ボディメイクプログラムは、その時点の自分に合ったものになるよう調整していく。アスリートやボディビルダーの真似をしても空回りするだけ。
★トレーニングと栄養の要素
本記事では、トレーニングと栄養の各要素を、重要度順にAランク、Bランク、Cランクに分ける。
トレーニング日が週に2回で、成果60%を目指す場合はAランクをしっかりやる。
トレーニング日が週に3,4回で、成果80%を目指す場合はAとBランクをしっかりやる。
トレーニング日が週に5,6回で、成果100%を目指す場合はAからCランクまで全部きっちりやる。
(ただし上半身のみ、下半身のみといった感じで鍛える部位を限定するなら、もっと少ないトレーニング頻度で100%を目指せる。)
わかりやすさのためにトレーニング回数と%の数字とランク分けは個人的な感覚で書いています。わかりやすさのためには犠牲にしないといけないものもある。
****************トレーニング****************
★★★トレーニングAランク★★★
◆筋肉への適切な負荷、良いフォーム
筋肉の発達には、まず筋肉に適切な負荷をかける必要がある。例えばレッグプレスマシンで膝をつっぱらせてガチャコンガチャコンやってる人をよく見るけど、そうやっても関節を痛めつけるだけだろう。筋肉の腹(筋肉の中央付近の膨らんでいるあたり)に負荷をかけるイメージで行うと良い。関節をつっぱったり、ダンベルを振り回したりしない。
フリーウェイトのコンパウンドは良いフォームでやればだいたい効くと思う。BIG3のやり方は一応以前に書いたけど、詳しくはstrengtheoryの記事を見るのが良いと思う。
BIG3に共通することだが、脚で生み出した力を上半身に乗っかっているバーベルに伝えるのに重要なのは、腹圧を高めて体幹を安定させることと、臀筋と広背筋に力を入れること。
参考記事:筋トレでの腹圧の高め方・体幹の固め方
参考記事:スクワットの基本ポイント
参考記事:butt winkの話
参考記事:スクワットの深さ
参考記事:怪我をしにくいベンチプレスのやり方
参考記事:ベンチプレスの基本ポイント
参考記事:ベンチプレスのバーの軌道
参考記事:ベンチプレスの肘の位置
参考記事:ベンチプレスの背中のアーチ
参考記事:デッドリフトのやり方
参考記事:デッドリフトにおける広背筋の重要性
参考記事: ロウ・プルのやり方
以下はstrengtheoryの記事へのリンク
How to Squat: The Definitive Guide
How to Bench: The Definitive Guide
How to Deadlift: The Definitive Guide
参考記事:ショルダープレス
最初から良いフォームで出来る可能性は低いので、慣れるまでは以下に気をつける。徐々に理想のフォームに近づけていけば良い。
- 関節や筋肉に痛みや違和感を感じたらすぐに止める。
- 5レップ以下しかできない重量では行わない。高重量はフォームが悪いと怪我のリスクが高くなる。男性はすぐに高重量でトレーニングしたがるけど、怪我をしたらトレーニングが出来なくなるばかりでなく日常生活にも支障が出る。
- ベンチプレスやスクワットなどフリーウェイトのコンパウンド種目は、フォームが崩れる限界まではやらない。限界までやらなくても十分な刺激が入るし、筋肉を追い込みたかったらマシンやアイソレートで追い込めば良い。そもそもコンパウンド種目で主に働く筋肉全てが同時に限界を迎えることはなく、通常はボトルネックになる筋肉が限界を迎えて、他の筋肉には余力がある状態で動作を続けられなくなる。だからフリーウェイトで限界までやったとしても、ボトルネック以外の筋肉は限界まで使われていない。
◆継続してトレーニングを行うこと
効果が表れるまでは継続してトレーニングを行う必要がある。
参考記事:ボディメイクの継続
◆漸進的過負荷
長期的には重量もトレーニングボリュームも増やしていく。身体は適応すべき刺激に対して適応する。身体が慣れたら、さらなる適応のためには刺激のレベルを上げる必要がある。じきに重量とボリュームを同時に上げられなくなるので、そうしたらピリオダイゼーションを考える。
参考記事:筋肥大トレの推奨ボリューム
参考記事:筋肥大トレの推奨ボリューム2
参考記事:効果が頭打ちになるトレーニングボリュームの研究
☆★★トレーニングBランク★★☆
◆疲労の管理
漸進的過負荷を続けていると、さらなる向上に必要な重量とボリュームが増えてくる。トレーニングをこなし回復するためのワークキャパシティも増加するが、じきに追いつかなくなる。疲労が蓄積すると、さらなる向上をもたらすだけのトレーニングが行えなくなる。疲労の管理が必要。
フリーウェイトのコンパウンドでは、動作を分割して全身疲労がたまらないようにする。デッドリフトやスクワットはそれだけで必要なボリュームをこなそうとすると全身疲労がきつくなる。動作を股関節の伸展、膝関節の伸展、背中の姿勢の維持に分解し、それらの動作を補助種目として行うことで、全身疲労を抑えながら筋肉に必要なボリュームを与えることが出来る。
トレーニング部位を分割する、トレーニングを軽くする期間を入れる、といったピリオダイゼーションを使うのも効果的。
参考記事:プラトー打破とピリオダイゼーション
◆追い込み度合い
フリーウェイトのコンパウンド種目は、限界まであと1レップ~3レップできる程度で止めるのが良い。全部セット限界までやろうとすると、2セット目以降のボリュームが落ちてトータルのボリュームを確保しにくく、また全身疲労が溜まりやすい、フォームが崩れて怪我しやすい、といったデメリットがある。ただ、たまには1RM、または3レップや5レップをどの重量まで出来るかといった測定を行うのもモチベーションの維持につながって良い。
参考記事:各セット限界まで追い込むべきか
◆ストレス
仕事が忙しくて睡眠不足、私生活に問題が起こって精神的なストレスがきついといった状況では身体がトレーニングのストレスに耐えられる許容量が低下する。このような状況で無理にハードトレーニングを行うと、苦しいだけで良い結果が出せなくなる。現状維持に必要な労力は、向上に必要な労力に比べて大幅に少なく済むので、ストレスがきつい時期は現状維持を目指すのが良い選択だろう。
減量時もトレーニングに対する許容量が低下するので、トレーニングボリュームを減らすのが良い。 重量はなるべく落とさない方が良いだろう。
参考記事:筋力と筋量の維持に必要なトレーニング量
◆エクササイズ種目の選択
初心者は種目を絞ってフォームを覚えるのを優先する。本格派を目指して段階的に種目を追加していくとしたら、
1) BIG3
2) 1)+ショルダープレス、ラットプルダウン、ローイング、腹筋群
3) 2)+BIG3の補助種目
4) 3)+腕と脚のカール/エクステンション
BIG3の補助種目は、インクラインベンチプレス、レッグプレス、ルーマニアンデッドリフトなど。大筋群を多角的に補完的に鍛える種目。コンパウンド種目では骨格やその人の筋力バランスによって負荷がかかりやすい筋肉とかかりにくい筋肉があるので、補助種目はそれを補完できるものを選択すると良い。
参考記事:骨格によるフォームの違い
見た目の面では以上のような感じで全身の大きな筋肉を鍛えられると思う。ただ、個人的には、身体のバランスを取って怪我を予防し、良い姿勢になるための補助エクササイズも行うのが良いと思う。
参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-メカニズム編-
参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-
参考記事:プッシュとプルのバランス
ヒップスラストを組み込むのも推奨。臀筋は下半身と上半身をつなぐ要の働きをする。
参考記事:ヒップスラストのやり方
☆☆★トレーニングCランク★☆☆
◆レップレンジ
ボディメイク目的の場合は、1セット6-12レップ程度で行うのが良い。どのレップ数でも限界近くまで行えば筋肥大は起こるが、疲労や怪我リスクを抑えつつトータルのボリュームを稼ぎやすいのは6-12レップ。一般的には、コンパウンドは6-8レップ程度がやりやすく、アイソレートは8-12レップ程度がやりやすいと思う。高みを目指すには、低レップも高レップも行うのが良いだろう。
参考記事:筋肥大トレのピリオダイゼーション
◆種目の実施順序
そのトレーニングセッションの最初の方にやる部位が効果が高い傾向がある。フレッシュな状態で取り組める。特に鍛えたい部位がある場合は、その種目を最初に行う。バランスを重視するなら、例えば上半身の日に胸側からやったら次回は背中側から、下半身の日に腿の前側からやったら次回は腿の後ろ側や尻から、といった感じで行うとバランスがとれる。ジムが混んでるなどの制約がある場合も工夫をすることで効果的なトレーニングを行うことが出来る。
参考記事:フレキシブルなトレーニングプログラムの組み立て方
◆頻度
回復ペースにもよるが一般的には各筋肉部位あたり週に2回が良いだろう。
- トレーニング日が週2回なら、各日とも全身をトレーニング。
- トレーニング日が週4回なら、上半身を2回、下半身を2回に分割。
参考記事:部位あたり週に何回トレーニングすべきか
◆セット間インターバル
参考記事:セット間インターバルの決め方
◆挙上テンポ、動作範囲(フルレンジかパーシャルか)
参考記事:筋肥大トレの変数調整
参考記事:レップ速度・挙上テンポが筋肥大とストレングスに与える影響
参考記事:
パーシャルとフルレンジの筋肥大効果の比較
****************栄養****************
★★★栄養Aランク★★★
◆カロリー収支
体重の増減は基本的にはカロリー収支で決まる。
消費カロリー>摂取カロリーなら、マイナス分のカロリーが体脂肪がそれ以外の身体組織の燃焼により賄われ体重が減る。
消費カロリー<摂取カロリーなら、プラス分のカロリーが体脂肪かそれ以外の身体組織として蓄積され体重が増える。
ただ、運動をしたほうが食欲をコントロールしやすいと考えられるので、運動を積極的に行うのが良い。
参考記事:ダイエットの原則
参考記事:ダイエット方法の評価軸
参考記事:栄養素の貯蔵と引き出し
参考記事:夜食べると太るのか
参考記事:運動と食欲
◆マクロ栄養素
ボディメイクではタンパク質の摂取量を最も気にする必要がある。炭水化物と脂質は、どちらもほどほどに摂取するのが無難な選択。摂取するタンパク質と炭水化物と脂質(とアルコール)の量から、トータルの摂取カロリーが決まる。
一般的には、まずタンパク質の摂取量を決め、脂質が総カロリーの2,3割程度、残りのカロリーを炭水化物で摂取する。
参考記事:タンパク質摂取量の目安
参考記事:タンパク質摂取量と除脂肪体重の増加の関係(2020年のメタ解析)
参考記事:プロテインパウダーの選択
☆★★栄養Bランク★★☆
◆減量・増量
筋肉量を増やしたいときは、カロリー超過にするのが良い。体脂肪も同時に増えるが、筋肉量も速く増える。筋肉量も体脂肪も増えたら、今度はカロリー不足にして減量を行う。減量では、筋肉量を維持しつつ、体脂肪を優先的に減らすことを目指す。これを繰り返すことで、筋肉量が多く体脂肪率が低い身体を作ることが出来る。維持カロリーでも筋肉量は増えるけど、増加ペースは遅くなる。
減量も増量も、余地が大きいほどペースを速くしても良い。余地が小さくなったらペースを落とす。減量における余地とは、どれだけ体脂肪が残っているか。体脂肪率が高ければ、減量ペースを速くしても筋肉は減りにくい。増量における余地とは、どれだけ筋肉を増やす余地があるか。現時点であまり筋肉が付いていない身体なら、筋肉が増えるペースが速いので増量ペースも速くして良い。
体脂肪率10-20%の男性が減量をする場合、週あたり体重を0.5-1.0%減らしていくペースがおすすめ。体重70kgの人だったら、一週間で350-700gずつ体重を減らしていく。このペースだと筋肉量を維持しつつ、無理なく体脂肪率を減らせると思われる。一日500kcal程度のカロリー赤字にすると、一週間でだいたい500g体重が減る。
初心者で筋肉量が少なく体脂肪量が多い場合、また過去にトレーニングをしていて筋肉量が多かったことがあり現在は筋肉量が少なくなっている場合は、筋肉量を増やしつつ同時に体脂肪を減らすことが出来る。
参考記事:増量の考え方
参考記事:減量ペースの違いによる体組成変化と運動パフォーマンス変化
参考記事:増量時の栄養調整
参考記事:体重減少への代謝適応
参考記事:減量時の食事調整例
参考記事:減量時に助かるアイテム(※個人の感想です)
参考記事:増量と減量の移行期
参考記事:除脂肪量の増加と体脂肪量の減少を同時におこなうことは可能なのか?
◆ミクロ栄養素
なるべくサプリメントからではなく加工度の低い食品からミクロ栄養素を摂取しようと心がけるのが良いだろう。人体に必要なミクロ栄養素の全ては、現時点では解明されていない。またサプリメントと食品中のミクロ栄養素では、利用効率などが異なるケースがある。
◆タンパク質の質
動物性タンパクを十分に摂取する。肉、魚、乳製品をバランス良く食べる。
参考記事:タンパク質の種類と筋肥大
参考記事:低炭水化物食とタンパク質源の健康への影響
◆炭水化物の質
穀物やイモ類を中心にする。果糖(甘いものには大抵含まれている)は摂りすぎない方が良い。ほどほどに食べるぶんには問題ないだろう。繊維質は積極的に摂取する。
参考記事:果物の食べ方
◆脂質の質
- オメガ3脂肪酸を積極的に摂取する。青魚に多く含まれている。
- 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸はどちらもほどほどに摂取する。
☆☆★栄養Cランク★☆☆
◆栄養摂取タイミングと頻度
維持・増量時は1日1食といった極端なことをしない限りは、食事のタイミングと1日の回数はあまり気にしなくて良い。筋肉量を維持しながら低い体脂肪率を目指す場合は、ある程度は気にした方が良い。
参考記事:ゴールデンタイムはあるのか?
参考記事:ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法
参考記事:食事回数と量の配分
参考記事:炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット
参考記事:リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた
参考記事:リフィードでの筋グリコーゲン回復に適した炭水化物
参考記事:リフィードの研究
参考記事:シクリカル・ケトジェニックダイエットの最新研究
参考記事:TRF(Time-Restricted Feeding)の研究
◆サプリメント
減量や筋肥大に効果のあるサプリメントはいくつかある。効果があるといっても、わずかな上積み効果なので、優先順位は低い。
参考記事:ダイエットに効果のあるサプリメント
参考記事:サプリメントの効果を調べるサイト
参考記事:クレアチンについて
参考記事:2020年時点の筋トレサプリメント評価(シトルリンリンゴ酸、硝酸塩、ホスファチジン酸、BCAA、HMB、ベタイン)
参考記事:マグネシウムと運動パフォーマンス
参考記事:ビタミンD摂取がストレングスと体組成変化に効果があったとする研究
参考記事:ビタミンDと運動パフォーマンス
参考記事:プロバイオティクスのスポーツへの利用
◇◆◇◆◇◆実践編◇◆◇◆◇◆
◆進捗管理
- 体重の増減の把握。水分、グリコーゲンの変化と、体脂肪の変化の峻別。
- ウェストサイズでの体脂肪の増減の把握
◆疲労管理
参考記事:疲労のメカニズム
参考記事:筋トレの疲労と回復方法
参考記事:運動からの疲労回復方法(2018年版)
参考記事:限界まで追い込んだ場合と追い込まなかった場合の回復の違い
参考記事:フレキシブルなトレーニングプログラムの組み立て方
参考記事:主働筋-拮抗筋のペアードセット
参考記事:連日トレーニング
参考記事:
歳を取ると筋トレからの疲労回復が遅くなるのか?
◆ストレッチとウォームアップ
参考記事:ストレッチとウォームアップ
参考記事:肩周りのストレッチ
参考記事:運動後のクールダウンの効果
◆メンタルトレーニング
参考記事:ストレングストレーニングにメンタルトレーニングを加えると効果アップ
参考記事:筋肉への意識と筋肥大の関係
◆反応の個人差
- 筋肉の成長速度や筋肉量の限界の個人差
- トレーニング内容への反応の個人差
参考記事:遺伝的な要因による筋トレ効果の違い
参考記事:なかなか筋肥大しない場合
参考記事:トレーニングボリュームを被験者ごとに調整した研究
◆怪我対策
- 良いフォームでトレーニングを行う。
- 全身の筋肉のバランスを意識して筋肉の強化とストレッチを行う。特に肩と股関節は気をつけた方が良い。
参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-メカニズム編-
参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-
参考記事:プッシュとプルのバランス
参考記事:股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み
参考記事:胸椎の姿勢矯正
参考記事:骨盤の前傾の矯正
参考記事:膝の健康のために
参考記事:肩関節の基礎知識
参考記事:ローテーターカフの強化
参考記事:前鋸筋の動員
参考記事:肩の健康のために
参考記事:プレス動作のステップアップ
参考記事:懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)
参考記事:[書籍] 姿勢の教科書
参考記事:肘の痛み
参考記事:腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)
参考記事:腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)
参考記事:腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)
参考記事:腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)
参考記事:腰痛の予防
◆ストレス管理
参考記事:ストレスについて-身体反応と管理方法-
◆女性のトレーニングと栄養
参考記事:女性の月経周期と合わせたトレーニングと栄養






























