7/23/2021

パーシャルとフルレンジの筋肥大効果の比較

パーシャルとフルレンジの筋肥大効果を調べた研究を見ていきます。

そんなのフルレンジに決まってるでしょ? と思われるかもしれませんが、わりと面白い研究が出てきていて、考察しがいがあります。 

フルレンジの定義を最初にしたほうが良いと思うのですが、研究だとそのへんが曖昧で、多くの研究で可動域が広いグループをフルレンジ、狭いグループをパーシャルとしていて、なんとな~くの相対的なグループ分けになっているので、研究内容に沿って見ていくとなると定義が困難です。

例えば、レッグエクステンションの研究だと、フルレンジは膝屈曲90°か100°。マシンの可動域がそれくらいですし、それ以上膝を曲げると力が入らなくなります。スクワットの研究だと膝屈曲のフルレンジはパラレル付近や安全にしゃがめる限界までとしているケースが多く、レッグエクステンションでのフルレンジ相当の膝屈曲90°をパーシャルとしている研究もあります。そして、もし膝関節の可動域の限界までをフルレンジとするなら、(そのような研究は無いと思いますが)ピストルスクワットでもやるべきということになります。このように何がフルレンジなのかを考えだすと定義するのが難しいです。

 



パーシャルとフルレンジを比較した研究

2020年のシステマティックレビュー論文から個別研究をピックアップして、それに加えて数個の研究を見ていきます。読むのが面倒な場合は、下の方の「考察」まで飛ばしてください。

<プリーチャーカールで中間部分のパーシャルとフルレンジを比較>

(1)Effect of Range of Motion on Muscle Strength and Thickness
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2012/08000/effect_of_range_of_motion_on_muscle_strength_and.17.aspx

被験者:トレーニング歴なしの男性 

週2回トレーニング
セット数 10週間のうち序盤が2セットで徐々に増やしていき終盤が4セット
レップ数 10週間のうち序盤が20レップで徐々に減らしていき終盤が8レップ

種目:プリーチャーカール

パーシャル:肘屈曲50-100°
フルレンジ:肘屈曲0-130°


測定:肘の屈筋の厚み

結果:フルレンジ+9.52%(ES1.09)、パーシャル+7.37%(ES0.57)

コメント:フルレンジのほうがパーシャルよりも筋肥大で良い傾向だった。


<クォータースクワットとパラレルスクワットを比較>

(2)Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle
and tendon adaptations
https://www.researchgate.net/publication/236253394_Effect_of_range_of_motion_in_heavy_load_squatting_on_muscle_and_tendon_adaptations

被験者:トレーニング歴なしの男性

種目:スクワット 

パーシャル(クォーター):膝屈曲0-60°
フルレンジ(パラレル):膝屈曲0-120°




測定:太腿の断面積と除脂肪量変化

結果:フルレンジ(膝屈曲0-120°)のほうが良い結果。


<膝屈曲0-50°と膝屈曲0-90°の比較>

(3)Impact of Range of Motion During Ecologically Valid Resistance Training Protocols on Muscle Size, Subcutaneous Fat, and Strength
https://www.researchgate.net/publication/236581117_Impact_of_Range_of_Motion_During_Ecologically_Valid_Resistance_Training_Protocols_on_Muscle_Size_Subcutaneous_Fat_and_Strength

被験者:トレーニング歴なしの男女

種目:スクワット、レッグエクステンション、ブルガリアンスクワット、レッグプレスなど複数の膝伸展種目

全種目でグループごとに以下のレンジで動作
パーシャル:膝屈曲0-50°
フルレンジ:膝屈曲0-90°

測定:外側広筋の断面積

結果:フルレンジ(0-90°)のほうが筋肥大で良い結果。パーシャル(0-50°)だと膝寄り外側広筋の筋肥大が起きにくい。




<レッグエクステンション動作でパーシャルとフルレンジを比較>

(4)Influence of full range of motion vs. equalized partial range of motion training on muscle architecture and mechanical properties
https://www.researchgate.net/publication/326256990_Influence_of_full_range_of_motion_vs_equalized_partial_range_of_motion_training_on_muscle_architecture_and_mechanical_properties

被験者:トレーニング歴なしの男性。両グループで被験者は同じで、被験者の片脚ずつをグループ分け(筋肥大しやすさの個人差が出にくい)

種目:レッグエクステンション動作。ダイナモメーターを使ってコンセントリック(膝の伸展)のみ行った。各レップ最大努力での等速性収縮。グループ間で角速度は同じで、レップ数を変えることで筋肉が収縮しているトータルの時間をグループ間で揃えている(パーシャルだと1レップ辺りの収縮時間が短くなるのでそのぶんレップ数を増やす)。

パーシャル:膝屈曲0-60°
フルレンジ:膝屈曲0-100°

測定:外側広筋の体積と断面積(MRI)

結果:外側広筋の体積変化はフルが+7.6%、パーシャルが+6.7%(グループ間で有意差なし)。断面積変化は各測定箇所でグループ間で有意差なし。


コメント:負荷が抜けなければ、トップ付近(膝屈曲が小さいレンジ)のパーシャルでも十分に筋肥大するのかもしれない。スクワットだとトップ付近では負荷が抜ける。モーメントアームが小さくなって要求トルクが低下するのと、トップ付近で最大努力をするとバランスを崩しやすくなるため。


<スカルクラッシャーで中間部分のパーシャルとフルレンジを比較>

(5)Partial Range of Motion Exercise Is Effective for Facilitating Muscle Hypertrophy and Function Through Sustained Intramuscular Hypoxia in Young Trained Men
https://www.semanticscholar.org/paper/Partial-Range-of-Motion-Exercise-Is-Effective-for-Goto-Maeda/c603d57f976a6a8656dfd2cd84a5b1c7809e285e

https://www.docdroid.net/qhDKSUG/a-goto-m-et-al-2017-partial-range-of-motion-exercise-is-effective-for-facilitating-muscle-hypertrophy-and-function-via-sustained-intramuscular-hypoxia-in-young-trained-men-pdf#page=24

被験者:トレーニング歴ありの男性

種目:スカルクラッシャー

8レップ×3セット 週3回

パーシャル:肘屈曲45-90°
フルレンジ:肘屈曲0-120°


測定:上腕三頭筋の断面積。超音波で測定した上腕三頭筋の厚みと、上腕の周径測定から断面積を算出とのこと。MRIで直接断面積を測定したデータと相関するらしい。

結果:パーシャルが+48.7%、フルが+28.2%でパーシャルのほうが筋肥大した。


<フルスクワットとハーフスクワットを比較>

(6)Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
https://highfit.com.br/wp-content/uploads/2019/06/KEITARO-KUBO-2019.pdf

被験者:トレーニング歴なしの男性

種目:スクワット

パーシャル:膝屈曲0-90°
フルレンジ:膝屈曲0-140°

測定:大腿四頭筋の断面積と体積(MRI)

結果:大腿四頭筋の筋肥大は両グループで同等。


コメント:コントロールしているのは膝の屈曲角度のみなので、関節の動く範囲による筋肥大効果の違いを見ていくなら、大腿四頭筋のみを見たほうが良い。股関節の角度はコントロールしていない。

大腿四頭筋の筋肥大はパーシャルとフルで同等。ただ、パーシャルといっても膝屈曲90°で、レッグエクステンションの研究だとフルレンジの屈曲角度になる。

細かいことをいえば(他のスクワットの研究についても同じことが言えるのですが)、関節のモーメントアームをコントロールしていないので、関節の屈曲範囲の違いによる筋肥大効果を考えるなら、スクワットの研究はエビデンスとしての優先度は低くなります。たとえば蹲踞型スクワットとグッドモーニング型スクワットだったら、膝の屈曲範囲が同じでも、大腿四頭筋にかかる負荷は大きく変わる。


<トップ付近パーシャルとボトム付近パーシャルとフルレンジの比較>

(7)How Deep Should You Squat to Maximise a HolisticTraining Response? Electromyographic, Energetic,Cardiovascular, Hypertrophic and Mechanical Evidence
https://cdn.intechopen.com/pdfs/44165/InTech-How_deep_should_you_squat_to_maximise_a_holistic_training_response_electromyographic_energetic_cardiovascular_hypertrophic_and_mechanical_evidence.pdf

被験者:トレーニング歴なしの男女 

種目:バックスクワット、レッグエクステンション、レッグプレス、ブルガリアンスクワット、フォワードランジ

トップ付近パーシャル(SL):膝屈曲0-50°
ボトム付近パーシャル(LL):膝屈曲40-90°
フルレンジ(LX):膝屈曲0-90°


測定:外側広筋の幅(3箇所)

結果:8週間後の筋肥大は、フルレンジ(グラフ青色)が最も良い傾向。デトレーニングの影響は、トップ付近パーシャル(グラフ赤色→濃い灰色→薄い灰色)が最も早く萎んで、次にフルレンジ(グラフ青色→濃い灰色→薄い灰色)で、ボトム付近パーシャル(グラフ緑色→濃い灰色→薄い灰色)が最も萎まなかった。



<トップ付近パーシャルとボトム付近パーシャルとフルレンジとパーシャルミックスの比較>

(8)Partial range of motion training elicits favorable improvements in muscular adaptations when carried out at long muscle lengths
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17461391.2021.1927199?needAccess=true

被験者:トレーニング歴なしの女性

種目:レッグエクステンション

トップ付近パーシャル(FINAL):膝屈曲65-30°
ボトム付近パーシャル(INITIAL):膝屈曲100-65°
フルレンジ(FULL):膝屈曲100-30°
パーシャルミックス(VAR):膝屈曲100-65°と膝屈曲65-30°を日毎に変える


測定:大腿直筋と外側広筋の断面積。それぞれ4箇所。40%が股関節側。

結果:私はMASSで内容を見ているのですが、有料サイトなのでグラフなどをコピペするのはまずいと思うので、文字だけで結果を書きます。

全体的に見ると、ボトム付近パーシャル(INITIAL)とパーシャルミックス(VAR)が最も良い結果。つぎにフルレンジ。そしてトップ付近パーシャル(FINAL)が最も筋肥大効果が低い。トップ付近パーシャル(FINAL)は、股関節寄りの測定ポイントではそれほど筋肥大効果が低くないが、膝寄りの測定ポイントでは筋肥大効果が大幅に低下していた。これは他の研究結果とも一致している。膝の伸展動作だと、トップ付近のパーシャルでは膝寄り部分の大腿四頭筋が肥大しにくいようだ。


<ハムストリングスの長さが違うレッグカール種目での筋肥大比較>

(9)Greater Hamstrings Muscle Hypertrophy but Similar Damage Protection after Training at Long versus Short Muscle Lengths
https://www.researchgate.net/publication/344445943_Greater_Hamstrings_Muscle_Hypertrophy_but_Similar_Damage_Protection_after_Training_at_Long_versus_Short_Muscle_Lengths

パーシャルとフルの比較ではないのですが、筋肉が短いポジション(例えば膝伸展種目でのトップ付近パーシャル)と、筋肉が伸ばされたポジション(ボトム付近パーシャル)で筋肥大効果が変わってくるようなので、その方向の研究も見ていきます。

被験者:トレーニング歴なしの男女。被験者は両グループ同じで、片脚ずつグループわけ。

種目:シーテッドレッグカールとライイングレッグカール。ハムストリングスの二関節筋部分は、シーテッドレッグカールではある程度伸ばされた状態でトレーニングされ、ライイングレッグカールではある程度短縮された状態でトレーニングされる。

シーテッドレッグカール:股関節屈曲90°固定で、膝屈曲0-90°
ライイングレッグカール:股関節屈曲30°固定で、膝屈曲0-90°


測定:ハムストリングスの体積(MRI)

結果:ハムストリングス全体の体積はシーテッドレッグカールが+14%で、ライイングレッグカールが+9%になった。ハムストリングスの個別の筋肉では、二関節筋はシーテッドレッグカールのほうが筋肥大していて、単関節筋は両グループで同じだった。股関節の屈曲角度のコントロールにより、ハムストリングスの二関節筋部分をある程度伸ばした状態でトレーニングしたほうが、筋肥大しやすいという結果になった。



考察

<トップ付近のパーシャルは筋肥大効果が低下しやすい>

トップ付近(筋肉が短縮されたポジション)のパーシャルだと、筋肥大効果が低下しやすいです。これには想定される要因が2つあって、

1.フリーウェイト種目では、トップ付近ではモーメントアーム(関節と重りの水平距離)が小さくなることで要求トルクが低下する種目があります。例えば、スクワット、ダンベルフライ、スタンディングアームカール、スカルクラッシャーなどです。また、トップ付近で筋肉が最大出力を出すとバランスが崩れやすくなるため、筋肉が強い力を発揮しにくくなります。

2.レッグカールの研究(9)で示されたように、筋肉が短縮されたレンジでのトレーニングは筋肥大効果が低下しやすいと考えられます。アイソメトリックトレーニングでの筋肥大比較の研究でも、筋肉が伸ばされたポジションに比べ、筋肉が短いポジションでのトレーニングは筋肥大効果が低くなっています(おそらく筋肉が高い出力を出しにくいため)。

1つ目の要因については、トップ付近でも強い出力を出せるケーブルマシン種目などでは影響を小さくできると思います。

スクワットやベンチプレスといったトップ付近で負荷が抜けやすいフリーウェイト種目で筋肥大を狙うなら、関節が安全な範囲で、ある程度深くおろしたほうが良いでしょう。


<筋肉がある程度伸ばされた状態でのパーシャルは筋肥大効果が高い>

レッグエクステンションの研究(8)とスカルクラッシャーの研究(5)で、筋肉がある程度伸ばされたレンジでのパーシャルはフルレンジよりも筋肥大効果が高いという結果でした。複数の膝の伸展種目の研究(7)と、プリーチャーカールの研究(1)では、フルレンジのほうが、筋肉がある程度伸ばされたレンジのパーシャルよりも筋肥大効果が高い傾向でした。

筋肥大に必要なことをシンプルに考えると、筋肉が強い力を発揮できる適切なレンジで適切なボリュームのトレーニングを行うことです。筋肉は長すぎても短すぎても発揮できる力が小さくなるので、適切なトレーニングレンジが各筋肉に存在すると考えられます(length tension curveで検索するとそのへんの話が出てきます)。


トップ付近のレンジは負荷が抜けやすく、筋肉に力が入りにくいため、筋肥大効果が低いと考えられます。趣味の筋トレなら、トップ付近は省いても大丈夫な感じです。ボディビルの高いレベルで競技するなら、トップ付近で最大収縮すると発達する部位があるかもしれないので、そういった種目(例えばケーブルクロスとかですかね?)もやったほうが良いかもしれません。筋肥大研究は測定精度が低く、高いレベルの人の疑問に答える研究は出てきにくいので、かもしれません程度しか言えないです。

ボトム付近については、フルレンジをどう定義するかにもよるのですが、フルレンジを関節の可動域全てだと定義するなら、ボトムもある程度は省いたほうが良いでしょう。

筋肉は伸ばされすぎるとダメージ(微細な損傷)が大きくなりますし、筋肉と関節の怪我リスクも上がります。回復まで数日かかる筋トレの疲労はほぼ筋肉のダメージで、筋肉のダメージは筋肥大のメインファクターではないため、おそらく疲労コストのわりに筋肥大リターンがあまり大きくないです。

関連記事:筋肥大をもたらす刺激(2019年版)

フルレンジを、筋肉が高い出力を出すことができ、筋肉と関節の怪我リスクが低い範囲と定義するなら、ボトム付近のレンジ(ある程度筋肉が伸ばされたレンジ)は優先的にやったほうが良いでしょう。

理屈の上では、疲労コストが小さく筋肥大リターンが大きいレンジにリソースを集中投下すれば最大リターンを得られるので、筋肉が伸びすぎず縮みすぎずのパーシャルレンジでトレーニングするのが効率的な筋肥大にはベストということになります。

ただ、今回いろいろな研究を見ての感想は、動作範囲35°や45°でも十分に筋肥大するので、筋肉が頑張っていると感じるならレンジは適当でいいのではないかと。個人的には、筋肉の出力が高く、安全に行える範囲なら、動作範囲はなるべく広いほうが良いだろうと思っていたので、思ったよりも狭いレンジで筋肥大するのが意外でした。スクワットやベンチプレスでトップポジションから20cmくらいの可動域で上下したりはさすがに筋肥大効果が低くなると思いますが、そういった極端なケース以外では、大雑把なレンジのトレーニングでほとんどの人にとっては満足する結果が得られると思います。ストリクトにフルレンジ、といった先入観は捨てて、柔軟に適当にやっていったほうが良いでしょう。


<ボトム付近のパーシャルの実行可能性>

ベンチプレスやスクワットのボトム付近のパーシャルは、息継ぎが難しいです。安全に息継ぎすることが難しい場合は、(筋肉と関節の怪我リスクが低い範囲での)フルレンジをやったほうが良いでしょう。セーフティバーを高くして、そこに乗せたタイミングで息継ぎをする(トップ付近を省いたピンスクワット)というソリューションも考えられますが、弾性エネルギー利用の有無による筋肥大効果の違いという別のファクターが入ってきますね(以前から疑問に思っているのですが、これは差が出るのでしょうか。直感的には一旦置くとパッシブのメカニカルテンションが抜けるので筋肥大効果が少し低下しそうな感じがしますが)。

 

<疲労コストを考慮した実際の運用面>

筋肥大研究だとグループ間でトレーニングボリュームを揃えますが、実際のトレーニングではパーシャルだと疲労が小さく回復が早くなるので、トレーニング間隔を短くしたり、一回あたりのボリュームを増やしたり、セット間インターバルを短くしたりできます。従って、ボリュームの積みやすさを考慮すると、フルレンジの優位性はそれほどあるわけではないです。

(10)Full Range of Motion Induces Greater Muscle Damage Than Partial Range of Motion in Elbow Flexion Exercise With Free Weights
https://www.researchgate.net/publication/305110453_Full_Range_of_Motion_Induces_Greater_Muscle_Damage_Than_Partial_Range_of_Motion_in_Elbow_Flexion_Exercise_With_Free_Weights

プリーチャーカールのパーシャル(肘屈曲50-100°)とフルレンジ(肘屈曲0-130°)のトレーニングでの筋肉のダメージを比較した研究。フルレンジのほうが筋肉のダメージが大きいことが示唆される結果だった(パーシャルのほうが扱える重量が増えるので、その点はちゃんと調整してあります。上で見ていった他の筋肥大研究でも同様)。

このダメージ研究は、プリーチャーカールの筋肥大研究(1)とレンジが同じです。プリーチャーカール筋肥大研究では、フルレンジのほうが筋肥大効果が高い傾向でした。ただトレーニングが週2回で、パーシャルは回復にかなり余裕があるでしょうから、実際のトレーニングではボリュームを増やすことでパーシャルとフルレンジの差が縮まる可能性はあります。

週3回トレーニングしたスカルクラッシャーの研究(5)でパーシャルのほうが筋肥大効果が高くなったのは、フルレンジグループは疲労コストの悪影響が出たのかもしれません。


<他の筋肉はどうなのか>

今回見ていった筋肉は、膝の伸展と屈曲、肘の伸展と屈曲のみです。わりかしシンプルな筋肉たち。広背筋、三角筋、大胸筋などではどうなのか、直接調べた研究は現時点では無いと思います。今のところは、他の筋肉たちについても、伸びすぎず縮みすぎずの範囲で負荷をかけていくと良いと思います。



ストレングスについて

ストレングスについてはだいたいが特異性の原則に沿った結果が出てきます。フルレンジで1RMを測定すれば、フルレンジでトレーニングしたほうがストレングスが伸びやすい。パーシャルで1RMを測定すれば、そのパーシャルのレンジでトレーニングしたほうが伸びやすい。

面白いのが、(8)の研究でボトム付近のパーシャルとトップ付近のパーシャルを交互に行ったVARグループは、ボトム付近のパーシャルでも、トップ付近のパーシャルでも、フルレンジでも、全てのレンジの1RM測定で良い結果を得られたことです。(フルレンジだけ行ったFULLグループよりも、フルレンジを含むすべての測定レンジで良い傾向だった)。

スクワットで、フルレンジのみトレーニングよりも、フル+パーシャルのほうが、フルレンジでの1RMが伸びたという研究があります。

(11)The efficacy of incorporating partial squats in maximal strength training
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2014/11000/the_efficacy_of_incorporating_partial_squats_in.2.aspx

ベンチプレスでも、フルレンジのみと、フルとパーシャルを混ぜた研究があります。この研究では、1RMの伸びは差がなさそうですが、スミスマシンでのベンチスロー(パワー測定)と、浅い角度でのアイソメトリックの出力は、パーシャルを混ぜたほうが良い結果になりました。

(12)The Influence of Variable Range of Motion Training on Neuromuscular Performance and Control of External Loads
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2011/03000/The_Influence_of_Variable_Range_of_Motion_Training.18.aspx


様々なレンジでのトレーニングを混ぜるとストレングスで良い結果が得やすいかもしれません。パーシャルを混ぜたトレーニングには、下のような成功例もあります。

参考サイト:スクワット300kg!最も記録が伸びた方法をトップリフターが伝授!

0 件のコメント:

コメントを投稿