9/29/2023

USAPLのレベルが高い(パワーリフティング)

USAPLは、アメリカのパワーリフティング団体で、ドラッグテスト有りの団体です。2021年まではIPFの傘下に入っていたのですが、ドラッグテストを巡るゴタゴタで、2021年にIPFから脱退しました。

この間行われた、USAPLのアメリカ全国大会で、いくつかの階級でノーギア・ドラッグテスト有りの歴代最高記録が更新されたので紹介します。なぜこんな記事を書くのかというと、すごい記録が出ていて面白いのと、現在のトップ選手のフォームを見ることが出来て興味深いからです。


結果は、このページから取得しています。
https://www.usapowerlifting.com/live/



◆67.5kg級

Daniel Clements選手

動画:He Just Broke Two All-Time World Records! | USAPL Nationals
https://www.youtube.com/watch?v=H6bX5VEebP0

S 260kg
B 162.5kg
D 323kg
TOTAL 745.5kg
体重 66.76kg
Dots 579.22

自身の持つ67.5kg級の歴代最高記録を23kg更新。あまり話題になっていませんでしたが、66kg級の歴代最高記録が713.5kg(Brian Le選手)なので、かなりエグい記録です。Dotsは歴代10位にランクイン。



◆75kg級

Austin Perkins選手

動画:The Greatest Powerlifting Performance of All Time - Austin Perkins, 851kg @ 74.2kg
https://www.youtube.com/watch?v=EIg8EPpFOGg

S 313.5kg
B 200kg
D 337.5kg
TOTAL 851kg
体重 74.24kg
Dots 614.54

74kg級でTaylor Atwood選手が出した838.5kgを超えて、74/75kg級の歴代最高記録を更新。この記録が狂っているのは、82.5級/83kg級の歴代最高記録843kg(Russel Orhii選手)よりも上なこと。もちろんDotsは歴代1位。



◆110kg級

Ashton Rouska選手

動画:MATTHEWS, ROUSKA, KEENAN / 110 KG / USAPL RAW NATIONALS 2023
https://www.youtube.com/watch?v=_PNSs9HN5eM

S 380.5kg
B 215kg
D 372.5kg
TOTAL 968kg
体重 105.81kg
Dots 582.00

110kg級の歴代最高記録を更新。2位のBobb Matthews選手はTOTAL960kg、3位のKeenan Lee選手はTOTAL957.5kgとハイレベルでの戦いでした。3選手ともデッドリフトの第三試技を失敗してこの記録なので、この階級は記録がまだ伸びそうです。



◆120/125kg級

Rondel Hunte選手

Rondel Hunte | Deadlift_Lord | 1045kg Total
https://www.youtube.com/watch?v=vLZPbt1MV48

S 385kg
B 262.5kg
D 397.5kg
TOTAL 1045kg
体重 119.54kg
Dots 600.92

ゲストとして試技を行いました(国籍がアメリカではなくトリニダード・トバゴのため?)。自身の持つ120/125kg級の歴代最高記録を42.5kg更新。Dotsは600超えで歴代3位にランクイン。




IPF世界大会との比較

今年の6月に行われたIPFの世界大会と優勝記録を比較してみます。微妙に各階級の体重に違いがあるため、Dotsで比較しています。優勝記録の比較なので、Rondel Hunte選手の記録は抜いています。








Dots歴代トップ10

ノーギア・ドラッグテスト有りの条件でのDots歴代トップ10です。








おまけ。USAPLがIPFから脱退した経緯について。

調べたことをかいつまんで書きます。自分に背景知識が無く、ざっくり調べただけなので、間違っていることを書いていたら申し訳ないです。

USAPLは2021年にIPFを脱退したのですが、それ以前もドラッグテストのやり方についてIPFとUSAPLは揉めていた。IPFはWADAの言う通りにやることを望んでいて、USAPLは独自のやり方で多くの選手に頻繁にドラッグテストをやることを望んでいた。USAPLのドラッグテストの基準はWADA準拠ですが、どのレベルの選手をどういった頻度でテストしていくかが独自のやり方だったようです。

脱退のトリガーになったのは、WADAが2021年に、ドラッグテストの実施をWADAとその関連機関のみ認めると規約をアップデートして、IPFがそれに従って規約をアップデートし、USAPLにもそれに従うことを要求したこと。

USAPLは、WADA基準の割安な第三者機関に検査を委託してきたが、これがWADA機関を使うとなると検査コストが上がる。もともとIPFより多くのテストを実施してきたので、検査数を維持しようとするとトータルコストが跳ね上がって、USAPLの望むドラッグテストを実施出来なくなる。また、IPFは国際レベルと全国レベルのみドラッグテストをすると定めているにもかかわらず、USAPLが独自に地方大会でもドラッグテストをして第三者機関に検査を委託すると、これもIPFの規約違反となってしまう。USAPLは自らが望むレベルのドラッグテストを実施し続けるためにIPFから脱退した。これがUSAPL側の言い分。

IPFはパワーリフティングをメジャー競技にしたいし、IOCに認められたという権威が欲しい。できればオリンピック競技として採用されたい。だから、WADAに従わざるを得ない。双方の正義を貫いた結果、進む道が別れた・・・という経緯のようです。

参考サイト:What’s Really Going on with USAPL and the IPF?

参考サイト:Making Sense of the IPF vs USAPL Drug Testing Fiasco

ちなみに、USAPLの大会に出てから、IPFとその傘下団体の大会に出るには何ヶ月か期間を空けないと出られません。Russel Orhii選手はこれまでUSAPLの大会に出ていましたが、来年はIPFで世界チャンピオンを目指すために、今回のUSAPLのアメリカ大会へのエントリーを取りやめています

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